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相続欠格とは|資格を失う事由と廃除の違い

相続欠格とは|資格を失う事由と廃除の違い

この記事で分かること

  • 相続欠格とはどういう制度か
  • 相続欠格にあたる具体的な行為
  • 相続欠格と放棄と廃除の違い
  • 欠格者が出た場合の代襲相続の扱い
  • 欠格をめぐって争いになったときの対応

相続欠格は、被相続人を殺害したり遺言を偽造したりといった重大な不正をした相続人から、相続する資格を法律上当然に奪う制度です。この記事では、欠格の意味と趣旨、生命に関わる行為や遺言に関わる行為という具体的な欠格事由を解説し、相続放棄や相続廃除との違いを整理します。さらに、欠格にあたらないケース、欠格者の子が代襲相続する仕組み、欠格をめぐって争いになったときの対応まで、弁護士の視点でわかりやすくまとめました。

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「あの人にだけは、財産を継がせたくない」。相続をめぐって、そんな思いを抱く場面があるかもしれません。被相続人を脅して無理やり遺言を書かせた人、遺言書を勝手に破り捨てた人。いずれも、被相続人の意思や利益を、自分の都合でねじ曲げようとした人たちです。こうした重大な不正をはたらいた相続人は、はたして何もなかったように財産を受け継げるのでしょうか。実は、法律には、そうした人から相続する資格を奪う仕組みが用意されています。それが相続欠格です。

相続欠格は、ふだんの暮らしの中ではめったに出てこない言葉です。けれども、相続の現場では、思いがけずこの問題に直面することがあります。たとえば、亡くなった親の遺言書が見当たらない。調べてみると、特定の相続人が処分していたらしい。こうしたとき、その人は相続できるのか、という形で、欠格の問題が浮かび上がってくるのです。知らないままでいると、不正をした人が得をしてしまうことにもなりかねません。

だからこそ、相続に関わる立場になったら、相続欠格という制度があることだけでも、頭の片隅に入れておく価値があります。すべてを詳しく知る必要はありません。「重大な不正をした相続人は、資格を失うことがある」。この一点を知っているだけで、いざ不審な事情に気づいたときに、適切に動き出せます。泣き寝入りせずにすむかどうかは、知識があるかどうかにかかっているのです。

この記事では、相続欠格とはどういう制度なのか、どんな行為が欠格にあたるのか、似た制度である相続放棄や相続廃除とは何が違うのか、そして欠格者が出たときにどう対応すればよいのかを、弁護士の視点でわかりやすく整理していきます。読み終えるころには、相続欠格という制度の全体像が、きっとつかめているはずです。

相続欠格は、ふだんあまり耳にしない言葉かもしれません。けれども、いざ相続でもめたときには、重要な意味を持つことがあります。難しい法律用語が出てきますが、できるだけかみくだいて説明していきますので、安心して読み進めてください。一つずつ理解していけば、決して難しい制度ではありません。

相続欠格とは何か

相続欠格とは、一定の重大な不正を行った相続人から、相続する資格を法律上、当然に奪う制度のことです。ポイントは、「当然に」という部分にあります。誰かが手続きをしたり、裁判所が判断を下したりしなくても、欠格にあたる事実があれば、その人は自動的に相続人としての資格を失います。

この「当然に失う」という点は、相続欠格を理解するうえで、もっとも大切なところです。たとえば、ある相続人が被相続人の遺言を偽造していたとします。この事実があれば、ほかの相続人が何か手続きをしなくても、その人は法律上、はじめから相続人でなかったことになります。わざわざ裁判所に「あの人を欠格にしてください」と申し立てる必要はないのです。ただし、本人がそれを認めず争えば、結局は裁判で確かめることになります。

この仕組みを知らないと、「裁判所が欠格を決めるはずだ」と思い込んで、いつまでも動けないことがあります。実際には、欠格は事実があれば当然に生じるものなので、ほかの相続人は、欠格者を除いた形で遺産分割を進めようとすることができます。それに対して欠格を否定する側が反論し、争いになれば裁判で確定する、という流れです。順番のイメージを持っておくと、実際の場面で戸惑わずにすみます。

なぜ、こうした制度があるのでしょうか。それは、相続をめぐって重大な不正をはたらいた人に、その不正によって得られる利益を与えるのは、あまりに不公平だからです。たとえば、自分が有利になるよう被相続人を殺害した人が、何ごともなく財産を相続できるとしたら、誰もが納得できないでしょう。そうした著しく道義に反する行為をした人を、相続から排除する。それが相続欠格の趣旨です。

言い換えれば、相続欠格は、相続の公正さを守るための制度だといえます。不正によって利益を得ようとした人が、まんまとその利益を手にするようでは、法律への信頼が揺らいでしまいます。そうした事態を防ぎ、まじめに相続に向き合う人が報われるようにする。それが、この制度の根底にある考え方です。だからこそ、その効果は非常に強いものになっているのです。

相続欠格になると、その人は最初から相続人でなかったものとして扱われます。遺産を受け取る権利を失うだけでなく、遺言によって財産を受け取ることもできなくなります。きわめて強い効果を持つ制度だといえます。

この効果の強さは、相続欠格が、いわば最も重い相続上のペナルティであることを示しています。被相続人がどう思っているかにかかわらず、法律の力で資格を奪うわけですから、その分、適用される場面も厳しく限定されています。強い武器であるほど、その使いどころは慎重に絞られている、ということです。軽い気持ちで「あの人は欠格だ」と言えるようなものではなく、本当に重大な不正があった場合に限って、はじめて問題になる制度なのです。

ワンポイントアドバイス
相続欠格は、特別な手続きをしなくても、その事実があれば自動的に効力が生じます。ここが、後で説明する相続廃除との大きな違いです。ただし、実際に欠格にあたるかどうかが争われることもあり、その場合は裁判で決着をつけることになります。「自動的」とはいっても、もめれば手続きが必要になる、と覚えておきましょう。

つまり、相続欠格には、二つの顔があります。一つは、事由があれば当然に効力が生じるという、原則としての側面です。もう一つは、本当に欠格にあたるかどうかが争われたときに、裁判で決着をつけるという、現実の側面です。教科書どおりにすんなり進むとは限らない、ということを知っておくと、いざというときに慌てずにすみます。制度の建前と、現実の運用には、こうしたずれがあるものです。

相続欠格にあたる行為

では、具体的にどんな行為をすると、相続欠格になるのでしょうか。法律は、欠格となる事由を定めています。大きく分けると、被相続人らの生命に関わるものと、遺言に関わるものの二つに整理できます。どちらも、相続の根幹を揺るがす重大な行為だという点で共通しています。一つずつ見ていきましょう。

生命に関わる行為

まず、被相続人や、自分より先や同じ順位の相続人を、故意に死亡させたり、死亡させようとしたりして、刑罰を受けた場合です。未遂に終わった場合でも、刑罰を受ければ欠格の対象になり得ます。結果として死亡に至らなくても、その重大さは変わらないと評価されるのです。自分の取り分を増やそうとして、こうした行為におよぶことは、最も重い欠格事由とされています。人の命に関わる行為は、相続の資格を論じる以前の、許されない罪です。また、被相続人が殺害されたことを知りながら、それを告発したり告訴したりしなかった場合も、欠格にあたることがあります。ただし、これには例外もあります。

この例外とは、たとえば、殺害した人が自分の配偶者や直系の家族であった場合などです。身近な家族をかばう気持ちは自然なものであり、告発しなかったことだけをもって相続資格まで奪うのは酷だ、という考え方によるものです。人情と法律のはざまで、一定の配慮がなされているわけです。また、そもそも善悪を判断する力がない年少者などについても、欠格の扱いは別に考えられます。このように、生命に関わる欠格事由にも、細やかな配慮がなされているのです。

遺言に関わる行為

次に、遺言に不正に関わった場合です。具体的には、詐欺や強迫によって、被相続人に遺言をさせたり、遺言の取り消しや変更をさせたりした場合があたります。本人の自由な意思をゆがめて、自分に都合のよい遺言を作らせる行為です。被相続人の真意ではなく、加害者の思惑が反映された遺言になってしまうのです。さらに、被相続人の遺言書を偽造したり、変造したり、破棄したり、隠したりした場合も、欠格事由になります。自分に不利な遺言を見つけて、こっそり処分してしまうような行為が、これにあたります。要するに、被相続人の最終的な意思である遺言を、不正にゆがめようとする行為が、広く欠格の対象になっているのです。遺言という最後の意思を守ることが、相続の公正さを支えているといえます。

遺言は、被相続人が自分の財産の行く先について示した、最後の意思表示です。これを偽造したり、破棄したり、無理やり書かせたりする行為は、被相続人の意思そのものをふみにじるものです。そうした行為をした人に、相続の利益を与えるわけにはいきません。だからこそ、遺言に関わる不正は、生命に関わる行為と並んで、欠格事由として厳しく扱われているのです。

相続欠格・相続放棄・相続廃除の違い

相続欠格と似た言葉に、相続放棄と相続廃除があります。どれも、結果として相続人でなくなる点は共通していますが、その中身は大きく異なります。混同しやすいので、表で整理しておきましょう。結論から言えば、誰の意思がきっかけになるかが、最大の見分け方です。

制度 誰の意思によるか 主な特徴
相続欠格 法律によって当然に 重大な不正があれば手続きなしで資格を失う
相続放棄 相続人本人の意思 自ら家庭裁判所で手続きをして相続を断る
相続廃除 被相続人の意思 被相続人が家庭裁判所に申し立てて資格を奪う

大きな違いは、誰の意思がきっかけになるかです。相続欠格は、誰の意思とも関係なく、法律によって当然に生じます。相続放棄は、相続人自身が、借金を引き継ぎたくないなどの理由で、自ら相続を断るものです。そして相続廃除は、被相続人が、自分を虐待した相続人などについて、家庭裁判所に申し立てて、その資格を奪う制度です。被相続人自身が、はっきりと意思を示して動く必要があるのが特徴です。この三つは、結果が似ているだけで、性質はまったく別物だと理解しておきましょう。

もう少しわかりやすく言い換えてみましょう。相続欠格は、不正をはたらいた人に対して「法律が」資格を取り上げるものです。相続放棄は、相続人が「自分で」相続を辞退するものです。そして相続廃除は、被相続人が「自分の意思で」特定の人の資格を奪うものです。誰が主体になるのかが、それぞれまったく違います。この点さえ押さえておけば、三つを混同することはなくなるはずです。

とくに、相続放棄と相続欠格は、結果が似ているために取り違えられがちです。どちらも相続人でなくなりますが、放棄は本人が自ら望んで行うもの、欠格は不正の結果として法律が科すものです。さらに、先ほど触れたように、子への代襲相続の有無という点でも大きく違います。言葉の響きが似ていても、中身はまったくの別物です。相続の場面でこれらの言葉が出てきたら、どの制度の話なのかを、まず確かめるようにしましょう。

相続廃除とはどんな制度か

三つの中でも、相続欠格と混同されやすいのが、相続廃除です。両者は、相続人の資格を奪うという点で似ていますが、決定的な違いがあります。それは、廃除が被相続人の意思にもとづく、という点です。

相続廃除は、被相続人が、自分に対してひどい仕打ちをした相続人から、相続権を奪いたいと考えたときに使う制度です。たとえば、被相続人を日常的に虐待していた、重大な侮辱を加えていた、あるいは著しい非行があった、といった場合が対象になります。欠格ほど重大な犯罪行為でなくても、被相続人を深く傷つけるような行いがあれば、廃除の対象になり得ます。

ここが、欠格と廃除の対象範囲の違いです。欠格は、殺人や遺言の偽造といった、きわめて重大な不正に限られます。一方、廃除は、それほどの犯罪でなくても、被相続人への虐待や重大な侮辱があれば対象になり得ます。ただし、その分、廃除は当然には認められず、被相続人の申し立てと裁判所の判断が必要になります。重さの違う二つの制度が、それぞれ異なる手続きで用意されている、と整理しておくとよいでしょう。

ただし、廃除は当然には認められません。被相続人が、生前に家庭裁判所へ申し立てるか、遺言で廃除の意思を示し、家庭裁判所がそれを認める必要があります。つまり、最終的な判断は裁判所に委ねられているのです。被相続人が「あの子には継がせたくない」と思っただけでは成立せず、正式な手続きと裁判所の認定が必要になる、という点を押さえておきましょう。

裁判所の認定が必要とされているのは、廃除が被相続人の一方的な感情で乱用されるのを防ぐためです。もし、気に入らないというだけで自由に相続権を奪えるとすれば、相続人の立場はあまりに不安定になります。そこで、本当に廃除に値するだけの事情があるのかを、中立な裁判所が見きわめる仕組みになっているのです。廃除のハードルは、思いのほか高いといえます。

実際、家庭裁判所は、廃除の申し立てに対して慎重に判断する傾向があります。被相続人が一方的に「ひどい子だ」と感じていただけでは足りず、客観的に見て、相続権を奪うのもやむを得ないといえるだけの、重大な事情が求められます。ですから、廃除を考えるなら、どのような事実があり、それを裏づける証拠があるのかを、しっかり整理しておく必要があります。この準備の段階から、専門家の助言を得ておくと、手続きがスムーズに進みます。

相続欠格にあたらないケース

相続欠格は、強い効果を持つ制度だけに、その対象は限定的に考えられています。「あの人は許せない」という感情だけで、誰かを欠格にできるわけではありません。たとえば、生前に被相続人と仲が悪かった、疎遠だった、介護を手伝わなかった、といった事情は、欠格事由にはあたりません。

欠格事由にあたらない、よくある例を挙げておきます。次のようなことは、どれほど腹立たしくても、それだけでは欠格にはなりません。

  • 被相続人と長年仲が悪く、ほとんど連絡を取っていなかった
  • 親の介護や世話を、まったく手伝わなかった
  • 生前に金銭をめぐるもめごとがあった
  • 被相続人の悪口を言っていた、態度が冷たかった
  • 遺産の使い道について、生前に意見が対立していた

これらは、人としての感情のもつれではあっても、法律が定める欠格事由とは別の話です。腹立たしさと、法律上の不正とは、まったく次元の異なるものなのです。混同しないように注意しましょう。

こうした線引きがあるのは、相続欠格が、感情的な制裁の道具として使われるのを防ぐためです。もし「仲が悪かった」程度のことで欠格が認められてしまえば、相続のたびに、過去の人間関係を蒸し返す争いが絶えなくなってしまいます。法律は、本当に許されない不正だけを欠格事由とすることで、制度の濫用を防いでいるのです。だからこそ、欠格の主張をするなら、それが法律の定める事由に本当にあたるのかを、慎重に確かめる必要があります。

また、遺言書を見つけた相続人が、それを家庭裁判所に提出しなかったとしても、ただちに欠格になるわけではありません。隠す意図があったかどうかが問われ、単に手続きを知らなかっただけ、といった場合には、欠格とされないこともあります。欠格はあくまで、相続をめぐる著しい不正に対する制度であり、日常的な人間関係のもつれとは区別して考える必要があるのです。感情の問題と、法律上の欠格事由とは、はっきり切り分けて考えることが肝心です。

たとえば、親の介護をめぐって、きょうだいの一人が「自分は何もしなかったあの人に、相続させたくない」と感じることはあるでしょう。その気持ちは理解できます。しかし、介護を手伝わなかったことは、相続欠格の事由ではありません。こうした不公平感は、欠格という制度ではなく、寄与分や遺産分割の話し合いの中で調整すべき問題です。制度の使いどころを取り違えると、解決から遠ざかってしまうので、注意が必要です。

このように、欠格にあたるかどうかは、行為の重大さや、その人の意図によって慎重に判断されます。安易に「あの人は欠格だ」と決めつけるのではなく、本当に欠格事由にあたるのかを、冷静に見きわめることが大切です。判断に迷う場合は、専門家に相談するのが確実でしょう。

とくに気をつけたいのが、遺言書の取り扱いをめぐる誤解です。たとえば、相続人が遺言書の存在を知っていたのに、それをすぐに他の相続人へ知らせなかった、というだけでは、欠格にはあたりません。欠格となるのは、隠したり破棄したりする不正な意図があった場合です。手続きをよく知らなかった、しまい忘れていた、といった事情であれば、欠格とは判断されないのが通常です。表面的な行為だけでなく、その背後にある意図まで含めて、慎重に判断されるのです。

逆に言えば、明らかに不正な意図をもって遺言書を破棄したり隠したりした場合は、しっかりと欠格事由になります。たとえば、自分に不利な内容の遺言を見つけて、それをこっそりシュレッダーにかけたような行為です。こうした場合は、言い逃れは通用しません。要は、うっかりミスと、悪意ある不正とを、きちんと見分けて判断する、ということです。この線引きは微妙な場合も多く、だからこそ専門家による評価が重要になります。

欠格者が出た場合の取り扱い

もし相続人の中に欠格にあたる人がいた場合、その後の相続はどうなるのでしょうか。順を追って整理しておきましょう。

  1. 欠格者は、最初から相続人でなかったものとして扱われます。遺産を受け取る権利も、遺言で受け取る権利も失います。
  2. 欠格者を除いた、ほかの相続人で遺産を分けることになります。いわば、その人がいなかったものとして、相続をやり直すかたちになります。欠格者がいない前提で、改めて取り分を計算します。
  3. 欠格者がすでに遺産の一部を受け取っていた場合は、それを返してもらう必要が生じることもあります。
  4. ただし、欠格者に子がいる場合は、その子が代襲相続によって、欠格者に代わって相続人になります。

ここで重要なのが、三番目の代襲相続です。欠格になったのは、あくまでその本人であって、その子には罪はありません。そのため、欠格者の子は、親に代わって相続する権利を持ちます。これは、罪を犯した本人と、その子を切り離して考えるべきだ、という公平の理念にもとづいています。親が欠格になったからといって、その子まで相続から締め出されるわけではない、という点は、しっかり覚えておきたいところです。

この点は、相続放棄との大きな違いでもあります。相続放棄をした場合は、その人の子に代襲相続は起こりません。放棄した人は、はじめからいなかったものとして扱われ、その家系ごと相続から外れるイメージです。ところが、相続欠格の場合は、欠格になった本人だけが排除され、その子は代襲相続できます。同じように相続人でなくなる制度でも、子への影響がまったく違うのです。混同しやすいので、気をつけておきましょう。

具体例で確かめてみましょう。父が亡くなり、長男が相続欠格にあたるとします。長男に子、つまり父から見て孫がいれば、その孫が長男に代わって相続します。一方、長男が自ら相続放棄をした場合は、孫への代襲は起こらず、長男の家系は相続から外れます。同じ「長男が相続しない」結果でも、孫が相続できるかどうかが、欠格と放棄とでは正反対になるのです。この違いは、実際の相続で大きな意味を持ちます。

欠格をめぐって争いになったときは

相続欠格は、当然に効力が生じるとはいえ、実際には「あの人は欠格にあたるのではないか」と、相続人の間で争いになることがあります。とくに、遺言書の破棄や隠匿が疑われるケースでは、本当に不正があったのか、意図的だったのかをめぐって、意見が対立しがちです。

こうした争いは、当事者だけで決着をつけるのは困難です。欠格にあたるかどうかは、法的な評価が必要な、専門的な判断だからです。最終的には、裁判所での手続きを通じて、欠格かどうかが確定されることになります。白黒をはっきりさせるには、やはり司法の場での判断が必要になります。当事者の言い分が食い違う以上、第三者の判断に委ねるしかないのです。その過程では、証拠を集め、法的な主張を組み立てる必要があり、個人の力だけで進めるのは容易ではありません。

もし、身近な相続で欠格が問題になりそうなら、早めに弁護士に相談することをおすすめします。欠格を主張する側も、逆に欠格ではないと反論する側も、専門家の力を借りることで、適切に対応できます。感情的な対立に陥る前に、冷静な見通しを持っておくことが、解決への近道です。

欠格をめぐる争いは、ともすると感情的になりがちです。「あの人は不正をした」「いや、そんなつもりはなかった」という応酬は、家族の関係を深く傷つけます。だからこそ、早い段階で専門家に間に入ってもらい、事実と法律にもとづいて整理することが大切です。本当に欠格にあたるのか、あたるとしてどう手続きを進めるのか。冷静な道筋をつけてもらえれば、不毛な対立を避けながら、適切な解決にたどり着けます。

また、欠格が争点になる相続では、遺産分割そのものも止まってしまいがちです。欠格かどうかが決まらなければ、誰が相続人なのかが確定せず、遺産を分けることもできないからです。争いが長引けば、その間ずっと、相続の手続き全体が宙ぶらりんになります。だからこそ、欠格をめぐる問題は、できるだけ早く、専門家の力を借りて決着をつけることが望ましいのです。先延ばしにするほど、関係する全員の負担が大きくなっていきます。

相続欠格が関わる相続は、通常の相続よりも複雑で、神経を使う場面が多くなります。不正の有無という、人の信頼に関わるデリケートな問題を扱うからです。それだけに、当事者だけで抱え込むと、心労も大きくなりがちです。信頼できる専門家を味方につけて、客観的な立場から進めてもらうことが、心の負担を軽くすることにもつながります。一人で背負い込まず、頼れるところは頼るという姿勢が大切です。

相続欠格に関するよくある質問

相続欠格になると遺言でも財産を受け取れませんか

受け取れません。相続欠格になると、相続人としての資格を失うだけでなく、遺言によって財産を受け取る資格も失います。つまり、被相続人が「あの子に財産を遺す」と遺言に書いていたとしても、その人が欠格にあたれば、その財産を受け取ることはできないのです。欠格の効果は、相続と遺贈の両方におよぶ、と理解しておきましょう。

これは、相続欠格の効果がいかに強いかを示すものです。被相続人が、欠格者のことを許して「それでも財産を遺したい」と遺言に書いたとしても、その遺言は、欠格者に関する部分については効力を持ちません。法律が、不正をした人への財産の承継を、被相続人の意思よりも優先して防いでいるのです。被相続人の意思で取りやめられる廃除とは、この点でも対照的だといえます。

相続欠格は取り消すことができますか

相続欠格は、法律上当然に生じるものであり、被相続人が自由に取り消せる制度ではありません。この点は、被相続人の意思で取りやめることができる相続廃除とは異なります。ただし、欠格にあたるとされた事実そのものに争いがある場合は、裁判の中でその有無が判断されることになります。欠格かどうかの認定が、争いの焦点になることも少なくありません。

実際の裁判では、欠格にあたる行為が本当にあったのか、その行為が法律の定める事由に該当するのか、そして不正な意図があったのかなどが、丁寧に検討されます。とくに遺言書の破棄や隠匿が問題になる場合は、その行為が故意によるものか、過失や勘違いによるものかが、結論を分ける重要な争点になります。こうした判断には専門的な知識が欠かせないため、争いになりそうなら、早めに弁護士に相談しておくのが安心です。

欠格にあたるか自分では判断できません

判断が難しいのは、当然のことです。相続欠格にあたるかどうかは、行為の内容や、その人の意図など、さまざまな要素を踏まえた専門的な判断が必要になります。素人が条文だけを読んで結論を出すのは、簡単ではありません。少しでも疑問や不安があるなら、一人で抱え込まず、弁護士などの専門家に相談してください。状況を整理したうえで、欠格にあたる可能性があるのか、どう対応すべきかを、的確に助言してもらえます。

相続欠格は、知っているか知らないかで、対応が大きく変わる制度です。不正に気づいても、制度を知らなければ泣き寝入りするしかありませんが、知っていれば、適切に権利を守ることができます。逆に、欠格を疑われた側も、正しく反論すれば、不当な主張から身を守れます。どちらの立場であっても、まずは正確な知識を持ち、必要なら専門家を頼ること。それが、相続欠格をめぐる問題に冷静に向き合うための、いちばんの備えになります。

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