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身近な人が亡くなったとき、まず確かめなければならないのが、「誰が相続人になるのか」です。これがはっきりしないと、遺産分割の話し合いも、預貯金や不動産の手続きも、一歩も先へ進めません。相続人が確定して初めて、すべての手続きがスタートできるのです。ところが、いざ調べてみると、「自分は相続人なのか」「思いがけない人が加わるのではないか」と、迷う場面が次々と出てきます。
たとえば、亡くなった父に、自分たちの知らない前妻との子がいた。あるいは、長く音信不通だった兄弟姉妹が相続人に含まれる。こうしたことは、決して特別な話ではありません。相続人の範囲を正しく把握しないまま手続きを進めると、後で思わぬ落とし穴にはまることになります。だからこそ、まずは「誰が相続人か」を正確に押さえることが、何よりも大切なのです。
この記事では、相続人になれる人の範囲と順位、配偶者の特別な立場、代襲相続という仕組み、そして順位ごとの取り分の割合までを、弁護士の視点でわかりやすく整理していきます。専門用語はできるだけかみくだいて説明しますので、相続に初めて向き合う方も、どうか身構えずに読み進めてください。読み終えるころには、自分の家のケースで誰が相続人になるのかが、きっと見えてくるはずです。
相続人の確定は、すべての手続きの出発点です。いわば、相続という長い道のりの、第一歩にあたる作業です。ここを正確に押さえておけば、その後の遺産分割も、名義変更も、迷わず進められます。逆に、ここがあいまいなままだと、後で大きなやり直しが生じかねません。少し手間に感じても、最初にしっかり確認しておく価値は十分にあるのです。
相続人になれる人には決まった範囲がある
まず知っておきたいのは、相続人になれる人は、法律であらかじめ決められているということです。亡くなった方と親しかったかどうか、よく面倒を見てくれたかどうかは関係ありません。血のつながりや婚姻関係といった、形式的な基準で決まります。感情的なつながりの深さは、ここでは考慮されないということです。この、法律で定められた相続人のことを、法定相続人といいます。
なぜ、気持ちではなく形式で決めるのでしょうか。それは、相続人を客観的にはっきりさせるためです。もし「親しかったかどうか」で決めるとなれば、誰がどれだけ親しかったかをめぐって、際限のない争いが起きてしまいます。誰が見ても明らかな基準で線を引くことで、相続人をめぐる無用な混乱を防いでいるのです。明確なルールがあるおかげで、私たちは安心して手続きを進められるともいえます。少し冷たく感じるかもしれませんが、これにはきちんとした理由があります。
法定相続人になり得るのは、配偶者と、一定の範囲の血族です。配偶者は特別な立場にあり、常に相続人になります。一方、血族については、優先順位が定められていて、上の順位の人がいれば、下の順位の人は相続人になりません。まるで順番待ちのように、前の順位の人がいる限り、次の順位には進まないのです。この「順位」という考え方が、相続人を確定するうえでの要になります。
順位の考え方は、それほど難しくありません。要は、亡くなった方に近い関係の人から順に、相続人になっていくということです。まず子、いなければ親、それもいなければ兄弟姉妹、という具合に、優先順位がはっきり決まっています。近い関係の人から順番に、と覚えておけば、大きく外すことはありません。そして、上の順位の人が一人でもいれば、下の順位の人の出番はありません。ここを取り違えると、相続人を一人増やしたり減らしたりしてしまうので、注意が必要です。この単純なルールを押さえるだけで、相続人の見当はおおよそつくようになります。
もっとも、実際のケースでは、この基本ルールに代襲相続や相続放棄といった要素が重なって、判断が一筋縄ではいかないこともあります。基本の順位を押さえたうえで、例外的な事情がないかを一つずつ確認していく。それが、相続人を正しく見極めるこつです。少しでも自信がなければ、専門家に確認してもらうと安心です。思い込みで進めるのが、いちばん危ういのです。
逆に言えば、どんなに親しくしていた友人や、内縁のパートナー、そして血のつながらない人は、原則として法定相続人にはなれません。財産を渡したい相手がいるなら、遺言などの別の手立てが必要になります。こうした人に確実に財産を残すには、生前の備えが欠かせません。まずは、この基本の枠組みを押さえておきましょう。
具体的に、原則として法定相続人になれないのは、次のような人たちです。
- 婚姻届を出していない内縁のパートナー
- 親しくしていた友人や知人
- 亡くなった方の配偶者の連れ子で、養子縁組をしていない人
- すでに離婚が成立した元配偶者
これらの方に財産を残したい場合は、遺言などの手立てを使う必要があります。気持ちだけでは財産が渡らない、という点には注意が必要です。
配偶者は常に相続人になる
相続人を考えるうえで、もっとも特別な存在が配偶者です。配偶者は、ほかの相続人が誰であるかにかかわらず、常に相続人になります。順位という枠の外にいて、必ず遺産を受け継ぐ立場にあるのです。
ただし、ここでいう配偶者とは、婚姻届を出した法律上の配偶者を指します。どれだけ長く一緒に暮らしていても、籍を入れていない内縁関係の場合は、相続人にはなりません。長く連れ添ったという事実があっても、法律上はそう判断されてしまいます。ここは誤解されやすいところなので、しっかり覚えておきたい点です。逆に、別居していても、離婚が成立していなければ、法律上は配偶者のままなので、相続人となります。
たとえば、夫婦関係が破綻して何年も別居していたとしても、戸籍の上で離婚していなければ、その配偶者は相続人です。実態として夫婦と呼べる関係でなくても、法律はあくまで婚姻届の有無で判断します。感情や生活の実態ではなく、書類の上の事実が決め手になるのです。逆に、結婚式を挙げて事実上の夫婦として暮らしていても、届を出していなければ、相続人にはなれません。この線引きは厳格なので、誤解のないようにしておきましょう。
近年は、長年連れ添ったパートナーと、あえて籍を入れずに暮らす方も増えています。その場合、どれだけ深い関係であっても、相手は相続人にはなりません。お互いに財産を残したいと考えるなら、遺言を用意するなどの備えが欠かせません。事実婚やパートナーシップの関係にある方は、この点をとくに意識しておく必要があります。気持ちと法律のずれが、思わぬ悲しみを生むこともあるからです。
配偶者の取り分は、一緒に相続人となる血族が、どの順位の人かによって変わってきます。この点については、後ほど割合のところでくわしく見ていきます。組み合わせによって取り分が変わる、という点だけ、ここでは覚えておいてください。まずは、配偶者は別格で、必ず相続人になる、と押さえておいてください。
配偶者が常に相続人になるのは、長年連れ添い、生活をともにしてきた立場を、法律が特別に保護しているからです。残された配偶者が生活に困らないよう、手厚く守る仕組みになっているのです。人生をともに歩んできた相手を、最後まで支える。そうした考え方が根底にあります。だからこそ、配偶者は順位の枠の外に置かれ、どんなケースでも必ず遺産を受け継げるようになっています。この点は、相続を考えるうえでの大前提として覚えておきましょう。
血族の相続には順位がある
配偶者以外の血族には、相続人になる順位が決められています。この順位が、相続人を確定するうえでもっとも重要なルールです。上の順位の人が一人でもいれば、下の順位の人は相続人になりません。順番に見ていきましょう。
第一順位は子
もっとも優先されるのが、亡くなった方の子です。子がいれば、その子が相続人になります。実の子はもちろん、養子縁組をした養子も、実の子と同じく相続人になります。血のつながりがなくても、正式に養子縁組をしていれば、実の子とまったく同じ扱いになります。また、結婚していない相手との間に生まれた子であっても、認知されていれば相続人です。子が複数いる場合は、全員が等しく相続人となります。
かつては、結婚していない相手との間に生まれた子の取り分が、結婚している夫婦の子よりも少なくされていた時代もありました。しかし、現在では、認知されていれば、どちらの子も同じ取り分になります。生まれた事情によって差をつけることは、もう行われていません。子は、立場にかかわらず平等に扱われる、と理解しておくとよいでしょう。
ただし、養子については、相続税の計算上、人数に一定の制限が設けられている点には注意が必要です。これは、養子を増やして不当に税負担を減らすことを防ぐための仕組みです。制度を悪用させないための、歯止めのようなものと考えるとわかりやすいでしょう。相続人としての地位そのものは実の子と変わりませんが、税の場面では扱いが異なることがある、と知っておくとよいでしょう。気になる場合は、税理士などの専門家に確認すると確実です。
第二順位は親などの直系尊属
子がいない場合に相続人になるのが、親などの直系尊属です。直系尊属とは、父母や祖父母といった、自分より上の世代で直系にあたる人のことです。まず父母が相続人となり、父母がともに亡くなっている場合には、祖父母が相続人になります。つまり、より世代の近い直系尊属が、先に相続人になるという仕組みです。子がいる限り、親が相続人になることはありません。
ここでよくある誤解が、「子がいても、親も一緒に相続人になるのではないか」というものです。実際には、子が一人でもいれば、親は相続人になりません。親が相続人になるのは、あくまで子がいないか、子が全員相続放棄をしたような場合に限られます。この順序を取り違える方は意外と多いので、気をつけたいところです。親と子が同時に相続人になることはない、と覚えておくとよいでしょう。子がいる時点で、親の出番はない、というシンプルな関係です。
第三順位は兄弟姉妹
子も直系尊属もいない場合に、ようやく相続人になるのが、兄弟姉妹です。亡くなった方に子がなく、親や祖父母もすでに亡くなっている。そんなときに、兄弟姉妹が遺産を受け継ぎます。兄弟姉妹が複数いれば、全員が相続人となります。近年は、子のない方や生涯独身の方が増えており、兄弟姉妹が相続人になるケースも以前より目立つようになっています。順位がいちばん下にあるため、実際に兄弟姉妹が相続人になるのは、限られた場面といえます。子や親がいれば、兄弟姉妹に順番が回ってくることはありません。
兄弟姉妹が相続人になるケースには、特有の難しさがあります。一つは、相続人の数が多くなりがちなことです。兄弟姉妹が大勢いれば、それだけ関係者が増えます。もう一つは、戸籍の収集が大変なことです。亡くなった方の親の代までさかのぼって戸籍を集める必要があり、子が相続人の場合よりも、はるかに手間がかかります。兄弟姉妹の相続は、早めに準備に取りかかるのが賢明です。
とはいえ、子のない夫婦や、生涯独身だった方が亡くなった場合には、兄弟姉妹が相続人になることは珍しくありません。とくに、親もすでに亡くなっているケースでは、兄弟姉妹が遺産を受け継ぐことになります。自分には子がいないという方は、自分が亡くなったとき、誰が相続人になるのかを一度考えておくと、備えがしやすくなります。場合によっては、思っていた人とは違う親族が相続人になることもあり、確認しておく意味は小さくありません。
代襲相続という仕組み
相続人を考えるうえで、もう一つ大切なのが、代襲相続という仕組みです。これは、本来相続人になるはずだった人が、すでに亡くなっている場合に、その人の子が代わりに相続人になるという制度です。少し複雑に思えるかもしれませんが、具体例で考えると、すんなり理解できます。
言葉だけで説明されると難しく感じますが、要するに「親が先に死んでいたら、その子が親の分を引き継ぐ」というだけのことです。家系図を思い浮かべると、わかりやすくなります。紙に簡単な家系図を書いてみると、頭の中がすっきり整理されます。上の世代が抜けたとき、その下の世代が繰り上がって相続人になる。そんなイメージで捉えてみてください。日常ではあまり耳にしない言葉ですが、仕組み自体はそれほど難しいものではありません。
たとえば、祖父が亡くなったとき、本来であれば、その子である父が相続人になるはずでした。けれども、父がすでに亡くなっていた場合、父の子、つまり孫が、父に代わって相続人になります。これが代襲相続です。亡くなった人の取り分を、その子が受け継ぐ、というイメージです。
なぜこのような仕組みがあるのでしょうか。それは、本来受け取れたはずの取り分を、その家系に残すためです。たとえば、先に亡くなった父にも、当然、子である自分の取り分があったはずです。その取り分が、父が亡くなったからといって消えてしまうのは、孫にとって酷な話です。そこで、孫が父に代わって受け継げるようにしているのです。世代をまたいで、公平さを保つための工夫といえます。
身近な例で考えてみましょう。祖父母の家を継ぐはずだった父が、祖父母より先に亡くなっていたとします。このとき、父の子である孫が、祖父母の遺産について、父の取り分を引き継ぎます。孫からすれば、亡き父の代わりに、祖父母の相続に加わるかたちです。こうして、家系のつながりが、相続の上でも保たれるようになっているのです。
代襲相続は、第一順位の子と、第三順位の兄弟姉妹について起こります。子が先に亡くなっていれば孫が、兄弟姉妹が先に亡くなっていればその子である甥や姪が、代わりに相続人になります。ただし、兄弟姉妹の代襲は、甥姪までで止まり、それより下の世代には引き継がれません。一方、子の系統では、孫も亡くなっていれば、さらにその子へと続いていきます。
つまり、子の系統では、孫、ひ孫へと、下の世代に向かって代襲が続いていくのに対し、兄弟姉妹の系統では、甥や姪の代でストップする、という違いがあります。この差は意外と知られていません。兄弟姉妹が相続人になるケースで、その甥や姪もすでに亡くなっていれば、その先の世代は相続人にならない、と覚えておきましょう。代襲の範囲は、系統によって扱いが異なるのです。
なぜ兄弟姉妹の代襲だけ範囲が狭いのか、疑問に思うかもしれません。これは、関係が遠くなりすぎるのを防ぐためと考えられています。甥や姪のさらに下の世代となると、亡くなった方とのつながりはかなり薄くなります。そこまで相続人を広げると、面識のない人どうしで遺産を分けることになり、かえって混乱を招きます。関係の薄い人が大勢加わるほど、話し合いはまとまりにくくなります。そうした事態を避けるための、合理的な線引きといえるでしょう。
順位ごとの取り分の割合
相続人が確定したら、次に気になるのが、それぞれの取り分です。法律が定める基本的な取り分の割合を、法定相続分といいます。この割合は、配偶者と一緒に相続人になる血族が、どの順位かによって変わります。整理しておきましょう。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の取り分 | 血族の取り分 |
|---|---|---|
| 配偶者と子 | 二分の一 | 二分の一を子で分ける |
| 配偶者と直系尊属 | 三分の二 | 三分の一を分ける |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 四分の三 | 四分の一を分ける |
表からわかるように、配偶者の取り分は、組み合わせる血族の順位が下がるほど大きくなります。これは、関係の近さに応じて、取り分のバランスを調整しているためです。子と一緒なら半分、兄弟姉妹と一緒なら四分の三を、配偶者が受け取ります。血族の順位が下がるほど、配偶者の取り分が手厚くなる仕組みです。なお、配偶者がいない場合は、その順位の血族だけで遺産を分け合います。血族が複数いるときは、その人数で等しく分けるのが基本です。
たとえば、配偶者と三人の子が相続人なら、配偶者が二分の一を受け取り、残りの二分の一を三人の子で等しく分けます。つまり、子一人あたりは六分の一ずつです。代襲相続が絡む場合は、亡くなった人の取り分を、その子たちでさらに分け合うことになります。計算が複雑になりやすいので、相続人が多いときは、図に書き出して整理すると間違いを防げます。
家系図のような図を一枚作っておくと、相続人の全体像がぐっとつかみやすくなります。誰が誰の子で、誰がすでに亡くなっているのか。それを目で見て確認できるだけで、話し合いの土台がしっかりします。相続人が多いケースや、代襲が絡むケースでは、こうした整理が特に役立ちます。手間を惜しまず、まずは全体像を見える化することをおすすめします。
ただし、これはあくまで法律が定めた目安です。相続人全員が合意すれば、この割合どおりに分ける必要はありません。家庭の事情に応じて、柔軟に決めることができます。法定相続分は、話し合いがまとまらないときの基準になるもの、と理解しておくとよいでしょう。
実際の相続では、この割合をそのまま使うことも、使わないこともあります。全員が納得すれば、たとえば配偶者がすべてを相続して、子は何も受け取らない、という分け方も可能です。一方で、話し合いがこじれて家庭裁判所の手続きに進んだ場合には、この法定相続分が基準として用いられます。もめたときの最後のよりどころが、この割合なのです。裏を返せば、全員が合意できるなら、この割合に縛られる必要はありません。だからこそ、自分の取り分の目安として、法定相続分は知っておく価値があるのです。
順位が移動するケース
これまで見てきた順位は、いつも固定されているわけではありません。一定の事情があると、本来の相続人が相続人でなくなり、順位が移動することがあります。代表的なものを知っておきましょう。
こうした順位の移動を見落とすと、相続人を取り違えてしまいます。本来は相続人だと思っていた人が外れたり、思いがけない人が相続人になったりするのです。とくに借金がある相続では、放棄による順位の移動が大きな意味を持ちます。誰が最終的な相続人になるのかは、これらの事情まで踏まえて判断する必要があります。
一つ目が、相続放棄です。相続人が家庭裁判所で相続放棄の手続きをすると、その人は最初から相続人でなかったものとして扱われます。たとえば、第一順位の子が全員放棄すると、相続権は第二順位の親へと移ります。借金が多い相続で、子が放棄した結果、思いがけず親や兄弟姉妹が相続人になる、ということが起こり得ます。
これは、見落とすと深刻なトラブルにつながります。亡くなった方に借金があり、子が全員相続放棄をしたとします。すると、借金を返す義務が、今度は親や兄弟姉妹に移ってくるのです。ところが、その事実を知らされていないと、ある日突然、債権者から請求が来て驚くことになります。誰かが相続放棄をするときは、次に相続人になる人にも、ひと言伝えておくことが望まれます。
相続放棄は、自分が借金を背負わずにすむ有効な手段ですが、その影響は自分だけにとどまりません。放棄によって、相続権が思わぬ親族に移っていきます。連鎖的に放棄が必要になることもあります。だからこそ、放棄を考えるときは、その先に誰が相続人になるのかまで見据えて、関係者で情報を共有しておくことが大切です。黙って放棄すると、親族に迷惑をかけてしまうこともあるのです。
相続放棄には、亡くなったことを知ってから一定の期間内に手続きをするという期限もあります。次に相続人になる人も、自分が相続人になったことを知ってから、改めてこの期限が始まります。連鎖的に放棄が必要なケースでは、誰がいつまでに動くべきかが入り組んでくるため、早めに全体像を整理しておくことが欠かせません。混乱を避けるためにも、専門家の助けを借りるとよいでしょう。
ここまで、相続人の範囲と順位について見てきました。配偶者は常に相続人になること、血族には順位があること、代襲という仕組みがあること、そして放棄などで順位が動くこと。この四つを押さえておけば、多くのケースで相続人の見当はつけられます。あとは、戸籍を丁寧にたどって裏づけを取れば安心です。判断に迷う場面が出てきたら、一人で抱え込まず、専門家に相談してください。正確な相続人の確定こそが、円満な相続への確かな第一歩になります。
二つ目が、相続欠格と廃除です。これは、相続人が重大な不正を行った場合などに、相続する資格を失わせる仕組みです。たとえば、被相続人を脅して遺言を書かせたような場合が、これにあたります。ほかにも、遺言書を偽造したり、隠したりした場合などが、これに含まれます。こうした事情で相続人でなくなると、やはり順位が移動したり、その人の子が代襲相続したりすることになります。いずれも、相続人の範囲に大きく影響する事情です。
相続人を正確に確認する方法
相続人が誰なのかは、思い込みで判断してはいけません。後から知らなかった相続人が出てくると、それまでの手続きがやり直しになってしまうからです。正確に確認するには、戸籍をたどるのが基本です。
- 亡くなった方の、出生から死亡までのすべての戸籍を取り寄せます。本籍地のある役所に請求します。
- 戸籍をたどり、子がいるか、認知した子や養子がいないかなどを確認します。前の結婚での子が見つかることもあります。
- 必要に応じて、相続人となる人の現在の戸籍も取得し、生存や関係を確かめます。
この作業で意外と多いのが、亡くなった方に、家族の知らない子がいたと判明するケースです。前の結婚での子や、認知した子がいると、その人も当然に相続人となります。戸籍を最後まで丁寧にたどることで、こうした見落としを防げます。集める戸籍が多く手間がかかる場合は、専門家に任せるという方法もあります。とくに兄弟姉妹の相続では、戸籍が膨大になりがちなので、無理せず頼ることも考えてよいでしょう。
こうした隠れた相続人を見落としたまま遺産分割を進めてしまうと、その合意は無効になってしまいます。後からその相続人が現れて、「自分は聞いていない」と主張すれば、すべてやり直しです。それまでの時間も労力も、水の泡になりかねません。だからこそ、戸籍をたどる作業は、面倒でも省略してはいけない、もっとも重要な手続きの一つなのです。
相続人の範囲に関するよくある質問
離婚した元配偶者は相続人になりますか
なりません。離婚が成立した時点で、配偶者ではなくなるため、相続人にはなりません。一方で、元配偶者との間に生まれた子は、親が離婚しても、亡くなった方の子であることに変わりはありません。したがって、その子は相続人になります。離婚しても、親子の関係は続くという点を、覚えておくとよいでしょう。
相続人が一人もいない場合はどうなりますか
配偶者も血族も誰もいない場合、遺産は最終的に国庫に帰属する、つまり国のものになるのが原則です。ただし、その前に、生前に深い関わりのあった人が、一定の手続きを経て財産を受け取れる場合もあります。身寄りのない方が、お世話になった人に財産を残したいなら、遺言を作成しておくのが確実です。早めの備えが、自分の意思を実現する助けになります。
近年は、おひとりさまと呼ばれる、身寄りの少ない方が増えています。自分が亡くなったとき、財産がどうなるのかを、元気なうちに考えておくことは、とても大切です。誰にも相談しないまま時が過ぎ、いざというときに自分の意思が反映されない。そんな事態は避けたいものです。お世話になった人や、応援したい団体に財産を託したいなら、その思いを遺言というかたちにしておく必要があります。口で伝えるだけでは、法律上の効力は生まれません。何もしなければ、財産は国に納められてしまいます。自分の意思を残すために、できる備えがあることを、ぜひ知っておいてください。
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基礎控除額
4,200万円
課税対象額
800万円
相続税の総額(概算)
80万円
申告が必要です
※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。
