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孫は相続人になれる?孫に財産を残す方法

孫は相続人になれる?孫に財産を残す方法

この記事で分かること

  • 孫が原則として相続人ではない理由
  • 代襲相続で孫が相続人になるケース
  • 遺贈や生前贈与や孫養子の特徴と選び方
  • 孫への承継で注意したい遺留分と税金
  • 生命保険や家族信託を使う残し方

かわいい孫に財産を残したいと願う方は多いものですが、孫は原則として法定相続人ではありません。この記事では、子が先に亡くなった場合に孫が相続人になる代襲相続の仕組みを説明したうえで、遺言で遺贈する方法、生前贈与で渡す方法、孫を養子にする方法という三つの選択肢の特徴と選び方を解説します。さらに、ほかの相続人の遺留分や、孫が受け継ぐ際の税負担の注意点、生命保険や家族信託を使う方法まで、弁護士の視点でわかりやすくまとめました。

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「かわいい孫に、自分の財産を残してあげたい」。そう願う方は、少なくありません。けれども、いざ調べてみると、孫は原則として相続人ではない、という事実に突き当たります。それでは、孫に財産を渡すことはできないのでしょうか。そんなことはありません。いくつかの方法を使えば、孫にきちんと財産を引き継ぐことができます。

この記事では、孫が相続人になるのはどんな場合か、そして孫に財産を残すための代表的な方法とその特徴、注意しておきたい点までを、弁護士の視点でわかりやすく整理していきます。読み終えるころには、自分の家族構成や思いに合った方法が、きっと見えてくるはずです。難しく考えず、まずは全体像をつかんでいきましょう。

孫への財産承継は、少しややこしく感じるかもしれません。けれども、一つずつ整理していけば、決して難しいものではありません。大切なのは、自分はどんな思いで、誰に、何を残したいのか。そこがはっきりすれば、おのずと選ぶべき方法も見えてきます。専門用語はできるだけかみくだいて説明していきますので、安心して読み進めてください。

孫に財産を残したいと考える背景には、人それぞれの思いがあります。子を通り越してでも孫を助けたい、子にはすでに十分なものを渡した、孫の教育資金を直接支えたい。どんな思いであっても、それを実現する手立ては用意されています。大切なのは、思いに合った方法を選ぶことです。やみくもに進めるのではなく、まず自分の願いを整理することから始めましょう。

孫は原則として相続人ではない

まず押さえておきたい大前提があります。それは、孫は、原則として法定相続人ではない、ということです。法律で定められた相続人は、配偶者と、一定の範囲の血族に限られます。血族には順位があり、第一順位は子、第二順位は親などの直系尊属、第三順位は兄弟姉妹です。孫は、この順位の中に直接は登場しません。

ここで、「孫は血のつながった大切な家族なのに、どうして相続人ではないのか」と疑問に思う方もいるでしょう。気持ちはよくわかります。けれども、相続人は、気持ちの深さではなく、法律で定められた基準によって決まります。孫を飛ばして子へ、というのは冷たく感じるかもしれませんが、これは相続人をはっきりさせて、無用な混乱を防ぐための決まりなのです。だからこそ、孫に残したいなら、別の備えが必要になります。

なぜなら、孫の親、つまり亡くなった方の子が存命であれば、その子が第一順位の相続人になるからです。財産は、まず子へと引き継がれます。孫は、その次の世代にあたるため、通常は相続の場面に登場しないのです。いわば、孫は一つ後ろの順番に控えている、という位置づけです。順番に考えれば、自然なことといえます。まず子、その先に孫、という流れは、家族の世代をたどれば腑に落ちるはずです。

この仕組みには、きちんとした理由があります。財産は、まず最も近い世代へ引き継がれるのが基本だからです。子がいるのに孫が同じ立場で相続人になってしまうと、世代を飛び越えて取り分が複雑に絡み合い、かえって混乱を招きます。だからこそ、まず子へ、そして子がいなければ次の順位へ、という順序が定められているのです。孫が原則として相続人にならないのは、この秩序を保つためでもあります。

とはいえ、現実には「子は十分に自立しているから、その先の孫を支えたい」という方も増えています。法律の原則と、家族それぞれの実情との間には、こうしたずれが生じることもあります。だからこそ、原則を理解したうえで、自分の思いを実現する方法を選ぶことが大切になるのです。原則を知ることは、それを乗り越える手立てを知るための、第一歩でもあります。

とはいえ、これはあくまで原則です。一定の事情があれば、孫が相続人になることもありますし、原則とは別の方法で、孫に財産を残すこともできます。まずは、孫が相続人になる例外的なケースから見ていきましょう。

孫に財産を残す方法を考えるうえで、まず知っておきたいのが、孫が自然に相続人になる場合と、こちらが意図的に残す場合の二つがある、ということです。前者が代襲相続、後者が遺言や贈与、養子といった方法です。この区別をつかんでおくと、話が整理しやすくなります。それぞれを順に見ていきましょう。

ワンポイントアドバイス
孫に財産を残したいなら、「何もしないと孫には渡らない」と知っておくことが出発点です。原則として孫は相続人ではないため、放っておけば財産は子へと引き継がれます。孫に確実に残したいなら、これから紹介する方法のいずれかを、生前に準備しておく必要があります。早めの備えが肝心です。

孫が相続人になる代襲相続のケース

孫が相続人になる代表的なケースが、代襲相続です。これは、本来相続人になるはずだった子が、すでに亡くなっている場合に、その子、つまり孫が代わりに相続人になるという仕組みです。少し言葉が難しいので、具体例で考えてみましょう。

たとえば、祖父が亡くなったとき、本来であれば、その子である父が相続人になるはずでした。けれども、父が祖父より先に亡くなっていた場合、父の子である孫が、父に代わって相続人になります。これが代襲相続です。亡くなった父が受け取るはずだった取り分を、孫が引き継ぐ、というイメージです。順番を一つ繰り上げて、孫がその穴を埋める、と考えるとわかりやすいでしょう。

身近な例で考えてみましょう。祖父母の財産を継ぐはずだった父が、祖父母より先に亡くなっていたとします。このとき、父の子である孫が、父の代わりに祖父母の相続に加わります。孫からすれば、亡き父の取り分を引き継ぐかたちです。こうして、その家系が本来受け取るはずだった財産が、次の世代へと受け継がれていきます。代襲相続は、いわば世代のつながりを守るための仕組みなのです。

代襲相続では、孫は親と同じ立場で相続人になります。もし孫が複数いれば、親が受け取るはずだった取り分を、その孫たちで分け合うことになります。たとえば孫が二人いれば、亡き親の取り分を、その二人で等しく分けることになります。これは、本来その家系が受け取るはずだった財産を、次の世代に残すための、公平を保つ仕組みといえます。なお、孫もすでに亡くなっている場合には、さらにその子であるひ孫へと、代襲は続いていきます。

代襲相続は、あくまで「本来相続するはずだった人が先に亡くなっている」という事情があって、はじめて起こるものです。子が健在であれば、代襲相続は起こりません。つまり、子が元気なうちに孫へ財産を残したいなら、代襲相続を当てにすることはできない、ということです。その場合は、これから説明する別の方法を使う必要があります。代襲相続は、あくまで例外的な場面の話だと理解しておきましょう。

逆に言えば、子が先に亡くなっているという、本来であれば悲しい事情があったときに、その家系へ財産を残す道を確保してくれるのが、代襲相続だともいえます。孫にとっては、亡き親の代わりに祖父母の財産を受け継ぐ権利が、法律によって守られているわけです。望んで使う制度というよりは、いざというときに家系のつながりを保ってくれる、安全網のような仕組みと捉えるとよいでしょう。

孫に財産を残す主な方法

代襲相続は、あくまで子が先に亡くなっているという、特別な事情がある場合の話です。では、子が健在な状態で、それでも孫に財産を残したいときは、どうすればよいのでしょうか。主な方法は、大きく三つあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

遺言で孫に遺贈する

もっとも分かりやすいのが、遺言を使う方法です。遺言に「孫に財産を遺す」と書いておけば、相続人でない孫にも、財産を渡すことができます。これを遺贈といいます。相続人でない人に遺言で財産を渡すことを、こう呼びます。誰に何をどれだけ遺すかを、自分の意思で自由に決められるのが、大きな利点です。相続人でない孫にも、財産を届けられる柔軟さが、遺言の魅力です。自分の意思を、そのまま財産の行き先に反映できるのが強みです。ただし、遺言には決まった形式があり、不備があると効力を持たないこともあるため、作成には注意が必要です。

たとえば、日付の書き方一つで効力が失われてしまうことすらあります。せっかく孫への思いを込めて書いた遺言が、形式の不備で無駄になっては、あまりにもったいない話です。確実を期すなら、公証役場で作成する公正証書遺言という方法もあります。多少の手間や費用はかかりますが、その分、後で効力を争われるリスクを大きく減らせます。大切な思いを確実に残すために、形式にはしっかり気を配りたいところです。

生前贈与で孫に渡す

生きているうちに、孫へ財産を贈与しておくという方法もあります。これを生前贈与といいます。自分の目の届くうちに、確実に財産を渡せるのが魅力です。亡くなってから渡すのとは違い、自分の意思で、その場で手渡せる安心感があります。孫の進学や結婚といった節目に合わせて、必要なときに援助できるのも利点といえます。生きているうちに、孫が喜ぶ顔を見られるのも、生前贈与ならではの良さです。なお、贈与には贈与税が関わってくるため、どのように贈与するかは、税のしくみも踏まえて考える必要があります。

生前贈与のもう一つの利点は、相続のときの財産を、あらかじめ減らしておける点です。元気なうちに少しずつ孫へ渡しておけば、その分、将来の相続でやり取りする財産が減ります。これが、結果として相続をめぐる争いや、税の負担を和らげることにつながる場合もあります。早めに動くことが、将来のもめごとを減らすことにもつながるのです。ただし、渡し方によっては、思ったような効果が得られないこともあります。贈与は、計画的に進めることが大切です。

一つ注意したいのは、贈与は、渡す側と受け取る側の双方が合意して、はじめて成立するという点です。孫がまだ幼い場合は、その親が孫に代わって受け取る手続きをすることになります。また、ただお金を孫の口座に移しただけでは、贈与として認められないこともあります。きちんと贈与の事実を残しておくことが、後のトラブルを防ぐうえで欠かせません。形だけでなく、手続きの中身にも気を配りましょう。

孫を養子にする

孫を自分の養子にすることで、孫を法律上の子にする、という方法もあります。養子になれば、孫は第一順位の相続人になり、実の子と同じ立場で財産を相続できます。順位の外にいた孫が、一気に最優先の相続人になる、というわけです。相続の立場という点では、もっとも強力な方法といえるでしょう。ただし、それだけ影響も大きいため、安易に選ぶべきではありません。これを、いわゆる孫養子といいます。相続対策として、実際に用いられることのある方法です。特に、相続税の対策とあわせて検討されることが多い方法です。相続の順位そのものを変える、思い切った方法ですが、家族関係や、ほかの相続人とのバランスに影響するため、慎重な検討が欠かせません。

孫養子は、相続人の数や取り分に大きな影響を与えます。たとえば、孫が養子になることで相続人が一人増えると、ほかの相続人の取り分は、その分だけ減ることになります。これがもとで、家族の間に不満が生じることもあります。また、税の面でも、思っていたような効果が得られない場合があります。良かれと思った選択が、思わぬ波風を立てることもあるのです。孫養子を考えるなら、家族とよく話し合い、専門家の助言も得たうえで、慎重に判断することをおすすめします。

三つの方法を比べる

遺贈、生前贈与、孫養子。この三つの方法には、それぞれ向き不向きがあります。表で特徴を整理してみましょう。自分の状況に照らして、どれが合いそうかを考えてみてください。

方法 特徴と向いている場面
遺贈 遺言で自由に渡す相手と内容を決められる。財産を自分の代で持っておきたい場合に向く
生前贈与 生きているうちに確実に渡せる。孫の節目に合わせて援助したい場合に向く
孫養子 孫を相続人そのものにする。相続の立場をしっかり与えたい場合に向く

どの方法が最適かは、家族構成や、財産の中身、そして何より、本人の思いによって変わります。これが絶対に正しい、という唯一の正解があるわけではありません。一つの方法に絞る必要はなく、いくつかを組み合わせることもできます。迷ったときは、専門家に相談しながら、自分にとって無理のない方法を選ぶとよいでしょう。費用や手間、家族への影響まで含めて、総合的に見比べることが大切です。

たとえば、まとまった財産は遺言で孫に遺しつつ、孫の進学のタイミングでは生前贈与で援助する、という組み合わせも考えられます。あるいは、孫を養子にしたうえで、さらに生命保険の受取人にも指定しておく、というやり方もあります。家族の状況や思いに合わせて、複数の方法を上手に使い分けることで、より自分の願いに近い形を実現できます。一つにこだわらず、組み合わせる発想を持つと、選択の幅がぐっと広がります。正解は一つではないので、柔軟に考えてみてください。

孫への財産承継で注意したいこと

孫に財産を残すときには、いくつか気をつけたい点があります。良かれと思って準備したことが、かえって家族の間にわだかまりを生むこともあるため、注意しておきましょう。

まず意識したいのが、ほかの相続人とのバランスです。孫に多くの財産を渡すと、その分、本来の相続人である子の取り分が減ることになります。一定の相続人には、遺留分という最低限の取り分が法律で保障されており、これを侵すと、後で争いになることがあります。この取り分は、本人の意思でも奪うことができない、強い権利です。孫への承継を考えるときは、ほかの相続人の取り分にも目を配っておくことが大切です。

遺留分をめぐる争いは、相続のトラブルの中でも、とりわけこじれやすいものです。孫を思う気持ちが強いあまり、子の取り分を大きく削ってしまうと、子としては面白くありません。「自分たちより孫を優先するのか」という不満が、家族の関係に深い溝を作ることもあります。孫への承継は、ほかの家族の気持ちにも配慮しながら、バランスよく考えることが、円満に進めるための鍵になります。

次に、税金の問題です。財産を渡す方法によって、かかる税金の種類や負担が変わってきます。とくに孫への承継では、税の扱いが複雑になる場面もあります。具体的にどれくらいの負担になるかは、財産の額や渡し方によって異なるため、事前に税理士などの専門家に確認しておくと安心です。思わぬ税負担で、せっかくの財産が目減りしてしまうことを防げます。

とくに知っておきたいのが、孫が財産を受け継ぐ場合、相続税の負担が通常より重くなることがある、という点です。財産は、本来であれば親から子、子から孫へと、世代を追って引き継がれ、その都度、税が課されるのが原則です。ところが、孫が直接受け継ぐと、その中間の課税を一回飛ばすことになります。そのため、税の負担を割り増しにする扱いが設けられているのです。節税のつもりが、かえって負担が増える場合もあるため、注意が必要です。

もっとも、割り増しの負担を踏まえてもなお、孫へ直接渡すことに意味があるケースもあります。たとえば、子の世代を飛ばすことで、結果的に一族全体で支払う税を抑えられる場合などです。要は、損か得かは、家族全体の財産の状況によって変わってくる、ということです。表面的な税率だけで判断せず、全体を見渡したうえで方針を決めることが大切です。こうした判断は、専門家の力を借りるのが確実でしょう。

注意
孫養子には、相続税の計算上、養子の数に一定の制限が設けられている点に注意が必要です。これは、養子を増やして不当に税負担を減らすことを防ぐための仕組みです。また、孫が財産を受け継ぐ場合、税の負担が割り増しになることもあります。節税のつもりが思わぬ結果になることもあるため、専門家への確認が欠かせません。

贈与を活用するときの考え方

生前贈与で孫に財産を渡す場合、いくつかの制度を知っておくと、選択の幅が広がります。贈与には、贈与税が関わってきますが、目的によっては、税の負担を抑えながら渡せる仕組みも用意されています。

たとえば、毎年少しずつ贈与していく方法や、教育資金や結婚・子育ての資金、住宅取得の資金など、特定の目的のために贈与する場合に、一定の範囲で税の負担が軽くなる制度があります。孫の進学や独立を後押ししたい、という思いがある方にとっては、こうした制度が役立つことがあります。人生の節目を支える贈り物として、活用を考えてみる価値はあります。

これらの制度は、孫の将来を応援したいという気持ちを、税の面から後押ししてくれるものです。教育や住まい、新しい家庭づくりといった、人生の大きな節目を支えられるのは、贈与する側にとっても喜ばしいことでしょう。ただし、それぞれの制度には、対象となる用途や金額、利用できる期間などに細かな決まりがあります。使い方を誤ると、想定外の税がかかることもあるため、制度の中身をよく理解してから使うことが大切です。

また、これらの制度は、法律の改正によって内容が変わることもあります。以前は使えた仕組みが、いまは条件が変わっている、ということも起こり得ます。利用を考えるときは、その時点での最新のルールを確認することが欠かせません。古い情報のまま進めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまることもあります。最新の制度に明るい専門家に相談しながら進めるのが、確実な方法です。

ただし、これらの制度には、利用するための条件や手続きが定められています。対象となる費用の範囲や、いつまでに使う必要があるかなど、細かなルールがあるため、思い込みで進めるのは禁物です。よく確かめないまま使うと、期待した恩恵を受けられないこともあります。自分の目的に合った制度が使えるかどうかは、専門家に確認しながら進めるのが確実です。せっかくの制度も、条件を満たさなければ使えないからです。

そのほかの財産の残し方

ここまで紹介した方法のほかにも、孫に財産を残す手段はあります。家族の状況によっては、これらが有効な選択肢になることもあります。代表的なものを知っておきましょう。

  • 生命保険の受取人を孫にしておくことで、保険金というかたちで財産を残す方法
  • 家族信託という仕組みを使って、財産の管理と承継を柔軟に設計する方法
  • 遺言で、孫に特定の不動産や預貯金を指定して遺す方法

これらの方法には、それぞれ特有のメリットと、注意すべき点があります。手軽なものもあれば、専門的な準備を要するものもあります。目的や財産の性質によって、向き不向きがはっきり分かれます。たとえば生命保険は、受取人を指定することで、すみやかに孫へ財産を渡せる利点があります。一方、家族信託は、設計の自由度が高いぶん、専門的な知識が求められます。手軽さよりも、柔軟さを重視する方に向いた方法だといえます。どの方法が自分に合うかは、財産の内容や、家族の事情を踏まえて、総合的に判断する必要があります。

家族信託は、近年注目されている方法です。財産の管理を信頼できる家族に託しつつ、その財産を最終的に誰に渡すかまで、あらかじめ決めておくことができます。たとえば、認知症などで自分が判断できなくなったときに備えながら、孫への承継も組み込んでおく、といった柔軟な設計が可能です。ただし、仕組みが複雑で、契約の作り方にも専門的な知識が必要です。家族信託を検討するなら、これにくわしい専門家に相談しながら進めるのが安心です。

ここまで、孫に財産を残すためのさまざまな方法を見てきました。遺贈、生前贈与、孫養子、そして生命保険や家族信託。選択肢が多いぶん、どれを選べばよいか迷うかもしれません。けれども、出発点はいつも同じです。自分は誰に、何を、どんな思いで残したいのか。そこさえ定まれば、あとは専門家とともに、最適な方法を選んでいけばよいのです。孫を思う気持ちを、確かな形にするために、早めの準備を始めてみてください。

孫への財産承継に関するよくある質問

孫への財産承継を進めるときの基本ステップ

実際に孫へ財産を残す準備を進めるときは、おおまかに次のような順序で考えると、迷いにくくなります。一つずつ確認しながら進めてみてください。

  1. まず、孫に何を、どれくらい残したいのかを、自分の中で具体的に描きます。漠然とした思いを、形にすることが出発点です。
  2. 次に、ほかの相続人の取り分とのバランスを確認します。遺留分を侵していないか、争いの種にならないかを見ておきます。
  3. そのうえで、遺贈、生前贈与、孫養子といった方法のうち、どれが目的に合うかを選びます。組み合わせも検討します。
  4. 選んだ方法について、必要な書類や手続きを確認します。遺言なら形式を、養子縁組なら届け出を、それぞれ整えます。
  5. 最後に、税の負担も踏まえて、専門家に相談しながら、具体的な手続きを進めていきます。

この流れを意識しておくと、何から手をつければよいかが見えてきます。思いを形にする第一歩として、まずは紙に書き出してみるのもよいでしょう。

この準備を、元気なうちに進めておくことが、何より大切です。判断する力がしっかりしているうちでなければ、遺言も贈与も、有効に行うことが難しくなります。「まだ早い」と思っているうちに、機会を逃してしまうこともあります。孫への思いがあるなら、先延ばしにせず、できるところから少しずつ準備を始めてみてください。早めの一歩が、確実な承継につながります。

孫に全財産を残すことはできますか

遺言を使えば、孫にすべての財産を遺すと書くことは可能です。ただし、子などの相続人には遺留分という最低限の取り分が保障されているため、その相続人から請求があれば、その分は渡さなければなりません。実際には、全財産を孫にとはいかない場合が多いと考えておくとよいでしょう。現実的には、ほかの相続人の取り分を残したうえで、可能な範囲で孫に多めに、という形になることが多いものです。ほかの相続人にも配慮した内容にしておくことが、争いを避けるこつです。

遺留分は、子や配偶者といった近しい相続人に認められた、最低限の取り分です。たとえ遺言で「すべてを孫に」と書いても、これらの相続人が請求すれば、その分は確保されます。ですから、孫に多くを残したいなら、ほかの相続人の遺留分を踏まえたうえで、無理のない配分を考えるのが現実的です。あらかじめ配慮しておけば、孫が受け取った後で争いに巻き込まれる、という事態も避けられます。

孫が複数いる場合はどうすればよいですか

孫が複数いる場合は、誰にどの財産をどれだけ残すかを、遺言などで具体的に指定しておくのがよいでしょう。指定があいまいだと、孫どうしや、その親である子の間で、不公平感から争いが生じることがあります。それぞれにどう残すかを明確にし、できれば、なぜそのように分けるのかという思いも書き添えておくと、納得を得やすくなります。あいまいさを残さないことが、孫たちの仲を守ることにもつながります。

遺言には、財産の分け方とは別に、家族へのメッセージを書き添えることができます。法的な効力はありませんが、「なぜ孫にこれを残すのか」「家族みんなに仲良くしてほしい」といった思いを言葉にしておくと、残された家族の受け止め方は、ずいぶん変わってきます。数字や財産の指定だけの遺言よりも、こうした一言があるほうが、争いを防ぐ力になることも少なくありません。最後の言葉として、家族の心に残るものにもなります。気持ちを伝える場として、活用してみてください。

子に内緒で孫に贈与してもよいですか

法律上、贈与は贈与する人と受け取る人の合意で成立するため、子に知らせずに孫へ贈与すること自体は可能です。ただし、後でそれが分かったときに、家族の間に不信感が生まれることもあります。また、孫がまだ幼い場合は、贈与の手続きを親が代わって行う必要もあります。幼い孫自身が手続きを理解するのは難しいため、親の関与が前提になるのです。できれば、家族で話し合ったうえで進めるほうが、後々の関係を良好に保てます。財産のことは、なるべくオープンにしておくのが望ましいといえます。

とくに、孫がまだ小さいうちは、贈与した財産を実際に管理するのは、その親である子になります。子の協力なしには、贈与がうまく機能しないこともあるのです。だからこそ、孫への承継は、その親である子も交えて話し合っておくほうが、結果としてスムーズに進みます。孫を思う気持ちを、家族みんなで共有できれば、それがいちばん理想的な形だといえるでしょう。家族ぐるみで支えるという形は、孫にとっても何よりの財産になるはずです。

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