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遺産相続手続きを弁護士に任せるべき5つの理由
この記事で分かること
- 遺産額の多寡にかかわらず相続をめぐる争いは起きることがある。
- 相続でもめるのは遺言状がないことが原因の場合が多い。しかし、遺言状があっても遺産を公平に分割するのは難しくもめることがある。
- 弁護士に遺産相続を任せることで、損をせず、スムーズな相続が可能になる。
自分は遺産相続を争うことなんてないと思っていても、巻き込まれてしまうことがあります。複雑な相続手続きを弁護士に依頼することで、相続をめぐる争いを避けたり収めたりすることができる可能性が高まります。少しでもスムーズに相続を行うためには相続関係の経験が豊富で相性がよい弁護士を選ぶことが大切です。
目次[非表示]
遺産が少なくても相続手続きでもめることがある
「うちは資産が少ないから」「兄弟の仲がいいから大丈夫」「相続でもめ事なんて起きない」と考えている人は多いでしょう。相続をめぐる争いと聞くと、愛人や隠し子がいる資産家の家庭や兄弟の仲が悪い家族の話だと思われがちですが、財産の多寡にかかわらず、またどんなに仲がよい兄弟であっても争いはおきます。
遺産総額が5千万以下の世帯でも争いが起きる
平成28年度の相続に関する審判や調停で家庭裁判所に新たに持ち込まれた件数は、1万4662件。遺産額の内訳で最も多い割合は遺産総額が1千万円~5千万円の世帯で、全体の約半分を占めています。意外なことに、遺産が莫大と思われる資産家と言われる5億円以上の遺産がある世帯はわずか1%です。つまり、遺産が高額だから相続でもめると決めつけることはできず、相続をめぐる争いは遺産額と関係なく起こると言えます。
相続手続きが争続となってしまう理由
相続が発生するまで円満だった家族がなぜもめるのでしょうか?
主な要因は次のようなことが考えられます。
遺言書がないこと
まず、遺言書自体が残されていないことが大きな理由の一つです。もし、遺言書があれば、亡くなった人の意志による相続ということで、多少の不満があってもそれに従おうとする可能性はあります。しかし、遺言書がなければ、話し合いで相続財産などを分けることになってしまうのです。お金が絡むことなので、お互いの権利や利害が衝突してまとまりにくくなります。
遺言書の書き方が曖昧
遺言書に遺産分割のための具体的な数字が書かれていない場合、遺言書を優先させなければいけないにもかかわらず、どう遺産分割すべきかわからずもめることがあります。例えば、「よく面倒をみてくれた次女に感謝して、遺産を残す」などと書かれていても、どの程度の遺産を受け取れるのかが不明だからです。
法定相続人の権利を侵害している
「遺産のすべてを与える長男に」といった遺言を残す人がいますが、法定相続人が他にも存在している場合、法定相続人がもらえる最低限の遺産である、遺留分の侵害になります。かりに、遺産のすべてを第三者に与えるといった遺言書が残されていたとしても、法定相続人を無視することはできません。
相続財産の分け方の問題
仮に遺言書があったとしても相続財産の分け方を相続人全員が納得するのは難しいことがあります。相続財産の大半を不動産が占める場合、売却して現金に換えなければならないこともあります。家業を営んでいると不動産の売却は難しいことがありますし、長年住み慣れた家や土地を手放すことに抵抗を感じる人もいて、問題が生じます。
相続手続きを弁護士に相談するべき5つの理由
相続財産の分け方に納得がいかない場合でも弁護士に依頼することに躊躇する人は多いと思います。弁護士というと離婚などのっぴきならない状況に陥ったときに頼むものと考えがちです。いくら揉めても親族同士なので話し会えばわかると楽観的な見方もあります。しかし、相続財産の分け方をめぐって揉めたときは、早めに弁護士に解決を依頼したほうがよいのです。では、どうして、遺産相続の手続きを弁護士に依頼した方がよいのでしょうか。それには、次のような5つの理由が考えられます。
①解決への筋道が立つ
遺産相続については専門知識が必要ですが、多くの場合、遺産相続についての深い知識は有しておらず、どのように解決をすればいいのか分からない人がほとんどではないでしょうか。解決の見通しが全く立たなければ、不安になりがちです。弁護士に依頼すれば、その人の立場、考え方、相続を争っている相手との状況などを詳細にヒアリングし、できるだけ正解に近い道筋を立ててくれます。また、弁護士が間に入ることで、みんなが冷静になり、話し合いがスムーズになる可能性があります。
②争っている相手と直接話し合いをする必要がなくなる
遺産相続を争っているということは、お金の問題の渦中にあるということです。中には、「そもそもお金の話をしたくない」という人もいるのではないでしょうか。弁護士に依頼をすれば、窓口を弁護士にすることができます。気が引けてしまう話し合いも代わりに弁護士がしてくれますし、争っている相手方から何か言われても、弁護士を通すことで気が楽になるでしょう。
③法的手段を使って解決に結びつけられる
話合いで解決しない場合は、家庭裁判所で調停を行います。弁護士や家庭裁判所の調停員が間に入ってくれるので、スムーズに話を進められます。もし、相手が遺留分の意味を理解していないときは有効な解決策となります。遺留分とは、一定の法定相続人が取得できる、最低限の遺産のことです。もし、調停で解決しない場合は、次に訴訟を行うことになります。家庭裁判所では調停を行いますが、訴訟となると地方裁判所で行うことになります。弁護士に依頼をすれば、裁判所へは弁護士が行ってくれるので、本人は必要がない限り出廷しなくても問題ありません。
④書面の準備など煩雑な作業を任せられる
話合いで解決せずに調停や訴訟にまで進んでしまうと、裁判のためのたくさんの書類を作成しなくてはいけなくなります。どんな書面をどこで手に入れ、どのような内容の文章を作成しなくてはいけないのかを、法律の知識がない人がすべて自分でやることは、とても大変なことです。膨大な時間を書類作成に使い、調停や訴訟の準備に追われると、日常の生活や仕事に影響が出てしまうでしょう。そういった負担の多くを弁護士が引き受けてくれることで、気持ちも楽になります。
⑤精神的なサポーターになる
相続争いが起こった時点で、大抵は自分だけで解決できない状態になっていきます。今までに味ったことのない緊張感やゴールが見えない不安など、多大なストレスを感じることになります。弁護士に依頼すれば法律の観点から、いろいろなアドバイスをしてくれ、どのように解決していけばいいか、一緒に考えてくれます。精神的にも安定し、日常生活も普通に送れます。
相続手続きを弁護士に依頼して損はない
遺産相続で争う前に、できれば、はじめから相続手続きを弁護士に依頼するのがベストです。相続手続きはケースバイケースでどれも異なり複雑です。財産がどれだけ残されているのか、借金も含めてその全貌を把握する必要もあります。相続人がどれだけいるかを丁寧に調べることも重要です。また、遺留分減殺請求や相続放棄が必要になることもあるでしょう。そういった細かいことを、はじめから弁護士に任せれば、損をすることなく、スムーズに相続することができます。
相続手続きを依頼する弁護士を選ぶポイント
弁護士に依頼すれば、必ず円満に解決するかというとそんなことはありません。依頼する弁護士を誤るとかえってこじれてしまいます。では、相続手続きのために、どんな弁護士を選ぶといいのでしょうか。
遺産相続の経験が豊富な弁護士
相続手続きを依頼するべきポイントは、相続に関する事案を豊富に扱った経験があるかどうかです。遺産相続の問題は依頼人によって異なり、問題の数だけ、解決方法も変わります。経験を積まなければ対応できない事例がたくさんあるのです。その点、遺産相続に強い弁護士を選べば安心です。
依頼者の立場に立って考えてくれている弁護士か
次に重視すべきなのは、依頼人の話にしっかりと耳を傾け、真摯に対応してくれる弁護士かどうかです。依頼人の話を聞いてくれるのは当たり前のことのようですが、力のかけ具合を事案によって変える弁護士がいるのも事実です。能力がある弁護士だとしても、熱意には差が生まれてしまうものです。弁護士の性格を見極めるのは至難の業ですが、分からないことはどんどん質問することで「自分の抱えている問題にどれだけ注力してくれるのか」」を判断することができます。
相性も重要
自分と性格的に合うかどうかというのも重要です。弁護士と相談を進めていく中で、直感的に性格の不一致を感じた場合は、他の弁護士に変えることも必要です。人と人ですから必ず相性の良し悪しはあるものです。遺産相続の解決は長引くことがあります。また過去の家族関係に遡って説明しないといけないこともあります。性格の合わない弁護士と長期間、プライベートな内容を話し合い続けなければならないとしたら、とても苦痛になるはずです。
遺産相続手続きは弁護士に相談!
遺産相続の手続きは、法律の知識がないと難しく、できたと思っても、遺産のすべてを把握していなかったばかりに損をしてしまうケースも少なくありません。相続争いになれば、解決までに時間と労力がかかり、精神的にも負担になります。弁護士に相談して手続きを任せれば、適切なアドバイスをしてくれるだけでなく、争いごとも正しい形で解決してくれるので安心です。相続手続きを弁護士に頼んで損をすることはありません。手続きで困ったら、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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