掲載弁護士・法律事務所 2,000以上件/全国対応

相続トラブル事例集|原因と予防・解決の進め方

相続トラブル事例集|原因と予防・解決の進め方

この記事で分かること

  • よくある相続トラブルの具体的な事例
  • 相続でもめてしまう根本的な原因
  • トラブルを未然に防ぐための予防策
  • 協議から調停へと進む段階的な解決手段
  • 弁護士に相談すべきタイミングと準備

相続のトラブルは、特別に仲の悪い家族だけでなく、ごく普通の家庭でも起こります。この記事では、遺産分割や不動産、使い込み、遺言をめぐる代表的な事例を取り上げ、なぜもめるのかという原因を掘り下げます。そのうえで、生前にできる予防策、こじれてしまったときの協議から調停へと進む解決の道筋、そして弁護士に相談すべきタイミングと相談前の準備までを、弁護士の視点でわかりやすくまとめました。

相続に強い弁護士を探す

「うちの家族に限ってもめるはずがない」。相続の相談に来られる方の多くが、最初はそうおっしゃいます。けれども、いざ親が亡くなり、いざ遺産を分ける段になると、これまで仲のよかったきょうだいが口をきかなくなる。そんな光景を、弁護士として何度も見てきました。

相続のトラブルは、特別に仲の悪い家族だけに起こるものではありません。むしろ、ごく普通の家庭で、ちょっとした行き違いから一気にこじれていくケースがほとんどです。この記事では、実際によく起きる相続トラブルの具体例を取り上げながら、なぜもめるのか、どうすれば防げるのか、そしてこじれてしまったときにどう動けばよいのかを、弁護士の視点で順を追って整理していきます。

読み終えるころには、自分の家族にどんなリスクがあり、いま何をしておけばよいのかが、きっと見えてくるはずです。難しい専門用語はできるだけ避けて説明していきますので、相続に詳しくない方も、どうか身構えずについてきてください。

相続トラブルは決して他人事ではない

相続をめぐる争いは、年々増えています。背景には、家族のかたちが変わり、不動産という分けにくい財産を抱える家庭が多く、そして情報がインターネットで簡単に手に入る時代になったことがあります。それぞれが自分なりの「正しさ」を持って臨むため、かえって折り合いがつきにくくなっているのです。

かつては「家督を継ぐ長男がすべてを引き継ぐ」という暗黙の了解が、争いを抑える役割を果たしていました。けれども、いまはそうした価値観も薄れ、相続人それぞれが対等な権利を主張するようになっています。これ自体は公平な変化ですが、共通の物差しがなくなった分、話し合いで折り合いをつける難しさは増しているともいえます。

意外に思われるかもしれませんが、争いになりやすいのは資産家の家庭ばかりではありません。遺産の額がそれほど大きくない家庭でも、いえ、むしろ預貯金と自宅くらいしかないからこそ、限られた財産を奪い合うかたちになり、深刻にもつれることがあります。「分けるものが少ないからもめない」という思い込みは、危険な誤解だと考えておいたほうがよいでしょう。

実際、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割の争いを見てみると、その多くが、遺産総額のそれほど大きくない事案で占められています。金額が小さいからこそ、一円でも多くという気持ちが働き、譲り合いが難しくなる。そんな皮肉な構図が、相続の現場では珍しくないのです。あなたの家庭が「ふつうの家庭」だからといって、安心しきってしまうのは禁物だと心に留めておいてください。

言い換えれば、相続のトラブルは、運が悪い一部の家庭だけに降りかかる災難ではないということです。誰の身にも起こりうる、ごく身近な問題なのです。だからこそ、起きてから慌てるのではなく、起きるかもしれないと知ったうえで備えておく姿勢が、何よりも大切になります。

では、具体的にどんなトラブルが起きるのでしょうか。次の章で、代表的なパターンを一つずつ見ていきます。ご自身の家族に当てはまりそうなものがないか、想像しながら読み進めてみてください。

ワンポイントアドバイス
トラブルの芽は、たいてい相続が始まる前から潜んでいます。「親の介護を誰が担ったか」「生前にお金を援助してもらった人がいるか」。こうした過去の経緯が、遺産分割の場で一気に噴き出すのです。早い段階で家族の状況を整理しておくことが、何よりの予防になります。

相続でよく起きるトラブル事例

ここからは、弁護士のもとに実際によく持ち込まれる相談を、典型的なパターンとして紹介します。どれも特殊な事情があったわけではなく、ありふれた家庭で起きたものばかりです。

事例一 遺産の分け方で意見が合わない

もっとも多いのが、誰が何をどれだけ受け取るかでもめるケースです。法律上の取り分である法定相続分は決まっていますが、実際には「長男だから家を継ぐべきだ」「親の面倒を見たのは自分なのだから多くもらって当然だ」といった、それぞれの言い分がぶつかります。話し合いが感情的になり、いつのまにか遺産の中身そのものより「気持ちの問題」が争点になってしまうのです。

こうしたケースで弁護士がまず行うのは、感情論と法律論を切り分けることです。誰がどれだけの取り分を主張できるのか、それは法律上どこまで根拠があるのか。土台となる事実を一つずつ確かめていくと、漠然とした「不公平感」が、具体的な数字や条文のかたちで見えるようになります。すると、お互いに歩み寄れる余地がどこにあるのかも、自然と浮かび上がってくるのです。

感情のぶつかり合いに見えた対立も、いったん事実の土俵に乗せ直すと、意外なほど整理がつくことがあります。「思っていたほど取り分に差はなかった」と気づき、肩の力が抜ける瞬間も少なくありません。

事例二 不動産があって公平に分けられない

遺産の大半が自宅などの不動産で、預貯金が少ない。これは典型的なもめごとの火種です。土地や建物は、現金のように半分こにはできません。きれいに二等分できないからこそ、誰がどう引き継ぐかで知恵をしぼる必要が出てきます。誰か一人が住み続けたいと言えば、ほかのきょうだいの取り分をどう確保するかが問題になります。売って分ければ早いものの、「実家を手放したくない」という思いが絡むと、話はそう単純には進みません。

このような場合、解決の方法はいくつか考えられます。住み続ける人がほかの相続人に金銭を支払って清算する方法もあれば、いったん売却して代金を分ける方法もあります。どれを選ぶのが現実的かは、不動産の価値や、各人の資力、そして思い入れの強さによって変わります。選択肢を一つずつ比べながら、全員が折り合える着地点を探していくことになります。

事例三 生前の預金の使い込みが疑われる

親と同居していた家族が、親の口座からお金を引き出していた。これも争いになりやすいパターンです。介護費用として正当に使った場合もあれば、私的に流用していた場合もあります。引き出した側は「親のために使った」と言い、ほかの相続人は「勝手に持ち出した」と疑う。記録が残っていないと、真相を確かめるのは容易ではありません。

弁護士が関わる場合には、まず金融機関の取引履歴を取り寄せて、いつ、いくらが引き出されたのかを客観的に確認します。介護や生活費として正当に使われたのか、それとも説明のつかない流出があるのか。記録に沿って事実を整理することで、感情的な「疑い」を、検証できる「事実」へと変えていきます。証拠にもとづいて話せるようになれば、不毛な水掛け論から抜け出せます。

もし正当な理由のない引き出しが見つかった場合には、その分を遺産に戻して計算するよう求めることもできます。泣き寝入りせずにすむケースもあるのですから、疑問を感じたら、まずは取引履歴を確認してもらうとよいでしょう。

事例四 遺言の内容や有効性に疑問が出る

「全財産を長女に相続させる」といった遺言が見つかったとき、ほかの相続人が納得できずに争いになることがあります。遺言が本当に本人の意思で書かれたものか、認知症が進んだ状態で書かされたのではないか。こうした疑いが生じると、遺言そのものの有効性をめぐる深刻な対立に発展します。

遺言が有効かどうかは、書かれた当時の本人の判断能力や、形式が法律の要件を満たしているかによって決まります。当時の診療記録や、遺言を作成した経緯などを丹念に調べる必要があり、これは個人の力だけではなかなか難しい作業です。納得がいかないまま遺言に従うのではなく、まずは専門家に有効性を確かめてもらうことが、後悔しないための第一歩になります。

事例五 寄与分や特別受益で取り分を主張する

「自分は長年親の事業を手伝ってきた」「自分だけ家を建てる資金を出してもらった人がいる」。こうした生前の貢献や援助は、寄与分や特別受益として、取り分の調整に影響することがあります。ただし、どこまでが認められるかの線引きは難しく、当事者だけで判断しようとすると、かえって対立が深まりがちです。

寄与分が認められるには、単に「親孝行をした」というだけでは足りず、その貢献によって遺産の維持や増加に具体的に役立ったといえる事情が求められます。特別受益についても、どの生前贈与が対象になるのか、線引きには専門的な判断が欠かせません。だからこそ、自分の主張がどこまで通るのかを、早い段階で見極めておくことが大切なのです。

事例六 相続人の一人と連絡が取れない

長年音信不通のきょうだいがいる、前妻との間に子どもがいて所在がわからない。こうしたケースも、相続では珍しくありません。遺産分割は相続人全員でまとまる必要があるため、一人でも欠けると話し合いが成立しないのです。裏を返せば、全員がそろって初めて、有効な合意が成り立つということです。所在がわからない人を探し出す手続きや、それでも見つからない場合の対応など、専門的な知識が求められる場面が出てきます。連絡の取れない相続人がいるとわかった時点で、早めに相談しておくのが賢明です。

以上の五つは、いずれも単独で起きることもあれば、いくつもが同時に絡み合うこともあります。複数の事情が重なったとき、家族だけで解きほぐすのはきわめて困難になります。

たとえば、実家に住み続けたい長男が、その不動産の評価額をできるだけ低く見積もりたいと考える一方で、現金で取り分を受け取りたい次男は、評価額を高くしたいと考える。立場が違えば、同じ財産の見え方すらまるで変わってしまうのです。こうしたすれ違いが、いくつも積み重なっていきます。

さらに、相続人の中に認知症の方や行方のわからない方がいると、話し合いそのものが前に進まなくなります。判断能力に不安のある方がいる場合には、家庭裁判所で成年後見人を選ぶ手続きが必要になることもあり、解決までの道のりはいっそう長くなります。こうなると、もはや家族の善意だけでは乗り越えられません。

なぜ相続はこれほどもめるのか

これだけ多くのトラブルが起きるのには、いくつかの共通した理由があります。原因がわかれば、対策も立てやすくなります。

第一に、相続では「お金」と「感情」が分かちがたく結びついているからです。遺産の金額そのものより、「親に大事にされたかどうか」「自分の苦労を認めてもらえるか」といった思いが、争いの本当の動機になっていることが少なくありません。理屈で割り切れない部分があるからこそ、こじれると長引くのです。

たとえば、親の介護を一身に担ってきた人が、その苦労をまったく評価されないまま、ほかのきょうだいと同じ取り分しか認められない。そう感じたとき、人は金額の多寡を超えて、「わかってもらえない」という痛みに苦しみます。相続の争いの根っこには、しばしばこうした承認をめぐる思いが横たわっているのです。

第二に、相続の場では、これまで表に出ていなかった家族の不満が一気に噴き出すからです。「あのとき助けてくれなかった」「いつも自分ばかり損をしてきた」。何十年も心の奥にしまっていた感情が、遺産分割という機会に堰を切ったようにあふれ出します。

第三に、当事者それぞれが、自分に都合のよい情報だけを集めてしまうからです。インターネットで調べれば、自分の主張を後押ししてくれる解説はいくらでも見つかります。けれども、相続は一つひとつの事情によって結論が変わるため、断片的な知識だけで動くと、かえって対立を深める結果になりかねません。

もう一つ見落とされがちなのが、時間の経過が問題をこじらせるという点です。相続が始まってからも話し合いを先延ばしにしているうちに、相続人の一人が亡くなって次の相続が重なったり、不動産の名義がそのままになって扱いづらくなったりします。問題を放置すればするほど、関係する人が増え、手続きは複雑になっていくのです。早めに向き合うことが、結局はいちばんの近道になります。

「いつか話し合えばいい」と先送りにしている間に、当事者の記憶は薄れ、感情のしこりだけが残っていきます。時間は、必ずしも問題を解決してはくれません。むしろ複雑にしてしまうことのほうが多いのです。

こうした原因を知っておくと、争いの正体が「お金そのもの」ではなく、「気持ちのもつれ」や「情報のすれ違い」にあることが見えてきます。だからこそ、感情を一度脇に置いて、事実と法律にもとづいて冷静に整理してくれる第三者の存在が、解決の鍵を握るのです。

トラブルを未然に防ぐためにできること

では、こうした争いを避けるには、どうすればよいのでしょうか。完全にゼロにすることは難しくても、リスクを大きく下げる方法はあります。とりわけ効果が大きいのは、相続が始まる前に手を打っておくことです。

  • 遺言書を作成し、誰に何を遺すかを明確にしておく
  • 不動産が遺産の中心になる場合は、生前に分け方の方針を家族と話し合っておく
  • 生前贈与をするなら、いつ誰にいくら渡したかを記録に残しておく
  • 親の財産の全体像を、元気なうちにおおまかに把握しておく
  • 判断能力に不安が出てくる前に、財産管理の方針を決めておく
  • 介護や援助の負担が偏らないよう、家族で役割を確認しておく

とくに遺言書は、トラブル予防の切り札といえます。きちんとした形式で、付言事項として「なぜこのように分けるのか」という思いを書き添えておけば、残された家族の納得感がまるで違ってきます。たとえば「長男には自宅を継いでほしい。その分、預貯金は次男に多めに残す。みんな仲良く暮らしてほしい」という一文があるだけで、子どもたちの受け止め方はやわらかくなります。法的な拘束力はなくとも、こうした言葉が争いの芽を摘むことは少なくありません。

もう一つ、見過ごせない予防策があります。それは、家族で「話し合いの場」をあらかじめ持っておくことです。元気なうちに、親自身の口から「自分はこう考えている」と伝えてもらえれば、子どもたちも心の準備ができます。亡くなってから遺言だけが出てくるよりも、生前にひと言あったかどうかで、受け止め方は大きく変わるものです。

とはいえ、お金の話を家族で切り出すのは、なかなか勇気がいります。親が健在なうちは、なおさら言い出しにくいものでしょう。「縁起でもない」と嫌がられることもあるでしょう。そんなときは、年末年始やお盆など、家族が自然に集まる機会をうまく使うのも一つの方法です。重い相談としてではなく、将来の話の延長として、やわらかく切り出してみてください。

注意
自分で書く遺言は、形式の不備で無効になることがあります。日付の書き方一つで効力が失われる例も珍しくありません。確実を期すなら、公証役場で作成する公正証書遺言を検討するとよいでしょう。せっかくの備えが無駄にならないよう、形式には十分に気を配ってください。

それでもこじれてしまったときの解決手段

予防が間に合わず、すでに争いが始まってしまった。そんなときでも、解決への道筋はきちんと用意されています。相続のもめごとは、段階を踏んで解きほぐしていくのが基本です。

順番をいきなり飛ばして、最初から裁判所に頼らなければならないわけではありません。多くの相続は、話し合いの段階で解決します。仮に話し合いがうまくいかなくても、調停という中間の手続きが用意されているので、いきなり白黒つける必要はないのです。この段階的なしくみを知っておくだけでも、気持ちはずいぶん楽になるはずです。

  1. まずは相続人どうしの話し合いである遺産分割協議を行います。全員が合意できれば、それがもっとも円満で早い解決になります。
  2. 話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。調停委員が間に入り、中立の立場で合意をうながしてくれます。
  3. 調停でも折り合わなければ、審判に移ります。裁判官が、法律にもとづいて遺産の分け方を決定します。
  4. 審判で出された結論には、原則として従う必要があります。ここまで来ると、当事者の希望よりも法的な基準が優先されるため、できれば手前の段階で歩み寄っておきたいところです。

大切なのは、いきなり裁判所に駆け込む必要はないということです。まずは冷静な話し合いを試み、それが難しいとわかった段階で、次の手段に進めばよいのです。なお、調停や審判には時間がかかることも知っておきましょう。事案によっては、解決まで一年以上を要することもあります。だからこそ、できるだけ早い段階で着手し、長引かせない工夫をすることが望まれます。とはいえ、当事者だけで話し合おうとすると感情がぶつかってしまうことも多く、早めに専門家を間に入れたほうが結果として早く片づくこともあります。

調停と聞くと、裁判のように身構えてしまう方もいますが、実際の調停は、話し合いの延長に近いものです。相続人が一堂に会して言い争うわけではなく、調停委員を通じて、それぞれの意向を順番に伝えていきます。顔を合わせずにすむ分、感情的にならずに進められるという利点もあります。

それでも合意に至らなければ、最終的には審判で決着がつきます。審判では、裁判官が法律にもとづいて結論を出すため、当事者の希望どおりになるとは限りません。だからこそ、できるだけ話し合いや調停の段階で、お互いが納得できる落としどころを探っておくことが望ましいのです。最後まで争うほど、時間も費用も、そして心の負担も大きくなっていきます。

こんなときは弁護士への相談を考えたい

相続のすべてに弁護士が必要なわけではありません。家族みんなが納得していて、財産も単純であれば、自分たちで進めることも十分に可能です。実際、預貯金だけで相続人も少なく、全員が円満であれば、専門家に頼らずに手続きを終える家庭もたくさんあります。無理にすべてを依頼する必要はありません。一方で、次のような兆候が見えたら、早めに相談しておくことをおすすめします。

  • ほかの相続人と連絡が取りにくい、または話し合いが平行線をたどっている
  • 遺産に不動産が含まれ、評価や分け方で意見が割れている
  • 生前の預金の使い込みや、財産隠しが疑われる
  • 遺言の内容に納得できない、あるいは有効性に疑問がある
  • 自分の取り分が法律上どうなるのか、そもそも見当がつかない
  • 遠方に住んでいて、ほかの相続人とのやり取りに手が回らない

弁護士に依頼する利点は、単に交渉を代わってくれることだけではありません。法的にどこまで主張できるのかを冷静に見極め、感情の応酬になりがちな話し合いに、筋道を通してくれます。相手方と直接やり取りせずにすむため、精神的な負担が大きく軽くなるのも見逃せない点です。

もう少し具体的に言えば、弁護士は、相手の主張のどこに無理があるのかを見抜き、こちらの正当な権利を法的な根拠とともに示してくれます。感情に流されず、「ここは譲れるが、ここは譲れない」という線引きを冷静に引けるのは、第三者である専門家ならではの強みです。当事者だけだと、つい意地の張り合いになってしまう場面でも、弁護士が入ると不思議と話が前に進むことがあります。

もちろん、弁護士に依頼すれば費用はかかります。けれども、こじれた相続を放置して関係がこわれてしまったり、本来受け取れたはずの取り分を取り逃したりすることを考えれば、専門家の力を借りる意味は小さくありません。費用に見合う価値があるかどうかは、最初の相談の段階で見通しを立ててもらえます。納得したうえで判断すればよいのですから、まずは話を聞いてみることから始めてください。

初回の相談を無料で受け付けている事務所も多くあります。費用の不安があるなら、その点も含めて遠慮なく尋ねてみるとよいでしょう。見通しが立てば、進むべきか退くべきかの判断もしやすくなります。

相談前に準備しておくとよいもの

いざ弁護士に相談すると決めたら、手元の資料をある程度そろえておくと、話がスムーズに進みます。完璧にそろえる必要はありませんが、あるものを持参するだけでも、状況の把握がぐっと早くなります。

準備するもの 役割
戸籍関係の書類 誰が相続人になるのかを確定するために使います
遺言書 ある場合は、内容を踏まえて方針を考えます
財産がわかる資料 通帳や不動産の権利証など、遺産の中身を把握します
これまでの経緯のメモ 家族間で何があったかを時系列で整理しておきます

とりわけ役に立つのが、最後のメモです。誰がいつ何を言ったか、どんな経緯で対立が生まれたかを書き出しておくと、弁護士は短い時間で全体像をつかめます。記憶があいまいにならないうちに、気づいたことを書きとめておくとよいでしょう。

資料が一部しか手元になくても、心配はいりません。何が足りないのか、どこで取り寄せればよいのかも含めて、相談の中で整理していけます。大切なのは、完璧にそろえることよりも、まず一歩を踏み出すことです。「資料がそろってから」と先延ばしにしているあいだにも、状況は刻々と変わっていきます。

たとえば、ほかの相続人がすでに動き出していたり、不動産の名義をめぐって既成事実が積み上がっていたりすることもあります。出遅れると、選べる手立てがそれだけ狭まってしまいます。資料が完璧でなくても、気になった時点で一度プロの目を入れておくことが、結果的にあなたを守ることにつながるのです。

相続トラブルに関するよくある質問

最後に、相続のトラブルについて、相談の場でよく寄せられる質問をまとめておきます。同じような不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

もめてからでも弁護士に相談して間に合いますか

間に合います。話し合いの途中でも、調停が始まってからでも、依頼することは可能です。ただし、早く相談したほうが取れる選択肢は多くなります。不利な発言をしてしまう前に、一度方針を確認しておくと安心です。

たとえば、軽い気持ちで「自分はいらない」と口にしてしまうと、後からそれを覆すのが難しくなることがあります。話し合いの場での一つひとつの発言が、後々の結論に影響することも少なくありません。だからこそ、本格的に動き出す前に、何を言ってよくて何に気をつけるべきかを、整理しておくと安心なのです。

きょうだいと直接話したくない場合はどうすればよいですか

弁護士に依頼すれば、相手方とのやり取りを代わって行ってくれます。あなたが直接顔を合わせる必要はなくなり、冷静に手続きを進められます。感情的な衝突を避けたい方ほど、専門家を間に入れる意味は大きいといえます。

遺言があれば絶対にもめないのですか

残念ながら、絶対とまではいえません。遺言の有効性や、遺留分という最低限の取り分をめぐって、争いになることもあります。それでも、遺言があるのとないのとでは、もめる確率も解決のしやすさも大きく変わります。備えとして用意しておく価値は十分にあります。

遺留分というのは、一定の相続人に法律で保障された最低限の取り分のことです。たとえ遺言で「すべてを一人に」と書かれていても、ほかの相続人はこの遺留分を請求できます。ですから、遺言を作るときには、この遺留分にも配慮した内容にしておくと、いっそうもめにくくなります。せっかく遺言を残すなら、ここまで目を配っておきたいところです。

相談だけして依頼しないこともできますか

もちろん可能です。多くの法律事務所では、まず相談だけを受け付けています。話を聞いてもらったうえで、自分たちで進められそうなら、それで構いません。逆に「これは任せたほうがよい」と感じたときに、改めて依頼を検討すればよいのです。一人で抱え込まず、まずは状況を打ち明けてみることをおすすめします。

遠方に住んでいても相続の手続きは進められますか

進められます。いまは郵送やオンラインでのやり取りが整っており、遠くに住んでいても、現地に何度も足を運ぶ必要はありません。地元を離れて暮らしている方でも、実家の相続をきちんと進められますので、距離を理由にあきらめる必要はないのです。まずは電話やメールで、いまの状況を伝えるところから始めてみてください。

とくに、実家が地方にあって、自分は都市部で働いているという方は多いものです。仕事を休んで何度も帰省するのは大きな負担ですが、専門家に窓口になってもらえば、その負担を最小限に抑えられます。遠く離れていることをハンディに感じず、できる範囲で一歩ずつ進めていきましょう。

相続は、誰にとっても初めての経験であることがほとんどです。わからなくて当然なのですから、知らないことを恥じる必要はまったくありません。困ったときに、頼れる相手がいると知っておくだけでも、心の支えになります。一人で悩み続けるより、早めに専門家の手を借りて、穏やかな解決を目指してください。

大切な家族を失った悲しみのなかで、相続の手続きにまで気を配るのは、本当に骨の折れることです。だからこそ、抱えきれない部分は人に頼ってよいのだと、どうか覚えておいてください。あなたが穏やかな気持ちで前を向けることが、亡くなった方にとっても、何よりの願いであるはずです。

あなたの相続税はいくら?無料診断

5,000万円
2人

基礎控除額

4,200万円

課税対象額

800万円

相続税の総額(概算)

80万円

申告が必要です

※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。

遺産相続は弁護士に相談を
法律のプロがスムーズで正しい相続手続きをサポート
  • 相続人のひとりが弁護士を連れてきた
  • 遺産分割協議で話がまとまらない
  • 遺産相続の話で親族と顔を合わせたくない
  • 遺言書に自分の名前がない、相続分に不満がある
  • 相続について、どうしていいのか分からない
掲載2,000以上事務所 初回相談無料の事務所多数 全国対応

かんたん3ステップで相談できます

1
お住まいの
地域を選ぶ
2
事務所を
比べて選ぶ
3
無料相談を
申し込む
上記に当てはまるなら弁護士に相談
相続に強い弁護士を探す