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相続放棄とは?手続きの流れとデメリット・注意点を徹底解説

この記事で分かること
- 相続放棄が単純承認・限定承認とどう違うかと、3つの選択肢の比較
- 家庭裁判所への申述から受理通知書まで6ステップの具体的な手続きの流れ
- 自分でやる・司法書士・弁護士の3パターンの費用比較と選び方
- 法定単純承認の落とし穴(葬儀費用・預金引き出し・形見分けの可否)
- 相続放棄しても受け取れる財産(生命保険金・死亡退職金・遺族年金)と、2023年改正の管理義務
相続放棄の制度の本質と3つの選択肢の比較、申述書提出から受理通知書受領までの6ステップ、自分でやる・司法書士・弁護士の3パターンの費用、法定単純承認のリスクと回避法、相続放棄しても受け取れる財産、後順位の親族への影響、期限超過時の最高裁昭和59年4月27日決定による救済、2023年改正の管理義務まで、相続放棄を検討する方の判断に必要な実務情報を整理した解説です。
目次[非表示]
相続放棄を考え始めた方が、最初に知っておくべきこと
被相続人が亡くなったあと、遺産だけでなく借金や保証債務まで引き継ぐことになるかもしれない。そんな不安から、相続放棄という選択肢を検討し始める方は少なくありません。
相続放棄は、被相続人の権利義務を一切引き継がないという、相続の3つの選択肢のうちで最も強力な手段です。借金から完全に解放される反面、預貯金や不動産といったプラスの財産も一切受け取れません。家庭裁判所への申述という、書類1枚で完結する単純な手続きで実行できますが、撤回は原則として認められず、期限を1日でも過ぎると単純承認したものとみなされます。これらの特徴を正しく理解しないまま判断してしまうと、後から取り返しのつかない事態に発展することがあります。
本記事では、
(1)相続放棄が他の選択肢(単純承認・限定承認)とどう違うのか、
(2)手続きの具体的な流れと必要書類、
(3)費用は自分でやる・司法書士に頼む・弁護士に頼むの3パターンでいくら違うか、
(4)相続放棄をすると後順位の親族にどう影響するか、
(5)期限を過ぎた場合でも例外的に認められるケース、
(6)生命保険金や遺族年金など相続放棄しても受け取れる財産、
までを、相続放棄をこれから検討する方が判断するために必要な情報として体系的に解説します。
相続放棄とは何か、3つの選択肢の中での位置づけ
相続が始まったとき、相続人には法律上3つの選択肢があります。この3つの違いを理解することが、相続放棄を正しく位置づける出発点になります。
3つの選択肢:単純承認・限定承認・相続放棄
1つ目の選択肢が単純承認です。被相続人の権利義務すべてを引き継ぐ、最も標準的な相続のしかたです。預貯金・不動産・有価証券といったプラスの財産も、借金・保証債務といったマイナスの財産も、まとめて引き継ぎます。何も手続きをしないまま3か月が経過すると、自動的に単純承認したものとみなされます。被相続人にプラスの財産しかない、あるいは負債があってもプラス財産で十分賄える場合は、この選択肢で問題ありません。
2つ目の選択肢が限定承認です。被相続人のプラスの財産の範囲内でマイナスの負債を弁済する、相続放棄と単純承認の中間的な仕組みです。プラスとマイナスのどちらが多いか分からない場合に有効ですが、相続人全員の合意が必要であり、官報公告や財産目録の作成といった手続きが煩雑なため、実務での利用件数は限定的です。
3つ目の選択肢が、本記事で取り上げる相続放棄です。被相続人の権利義務を一切引き継がない選択で、家庭裁判所への申述という単独の手続きで完結します。借金から完全に解放されますが、プラスの財産も一切受け取れません。3つの選択肢の中で、相続関係を完全に断ち切る最も強力な手段です。
3つの比較を表で整理する
3つの選択肢の特徴を、判断の観点で比較すると次の通りです。
| 項目 | 単純承認 | 限定承認 | 相続放棄 |
|---|---|---|---|
| プラスの財産 | すべて引き継ぐ | マイナス弁済後の残余を引き継ぐ | 一切引き継がない |
| マイナスの負債 | すべて引き継ぐ | プラスの範囲内で弁済 | 一切引き継がない |
| 手続き | 不要(放置で確定) | 家裁への申述+財産目録+官報公告 | 家裁への申述 |
| 相続人の合意 | 不要 | 全員の合意が必須 | 個別に判断可能 |
| 期限 | 3か月放置で確定 | 3か月以内に申述 | 3か月以内に申述 |
| 実務利用 | 大多数 | 少数 | 負債超過時に頻用 |
この表から見えてくるのは、相続放棄が「個別の相続人が単独で判断・実行できる」「手続きが単純」という運用上の利点を持っていることです。一方、限定承認は理論上有利な場合があるものの、相続人全員の合意というハードルと手続きの煩雑さから、現実にはあまり選ばれません。
相続放棄が選ばれる典型的な状況
実務で相続放棄が選ばれるのは、主に次のような状況です。
第1に、被相続人に明らかに多額の借金がある場合です。住宅ローン残債、消費者金融からの借入、事業の運転資金借入などが、プラスの財産を超えていることが分かっているケースが該当します。
第2に、被相続人の財産・債務の全体像が掴めず、隠れた借金や保証債務がありそうな場合です。被相続人と疎遠だった、被相続人が高齢で経済状況を把握できなくなっていた、といった事情があると、相続放棄でリスクを断ち切る判断が現実的になります。
第3に、特定の相続人(例えば長男)に家業や財産を集中させたいという家族の方針がある場合です。他の相続人が相続放棄することで、長男が単独で財産を承継できます。ただしこの目的なら、相続放棄ではなく遺産分割協議で長男に集中させる方法もあり、専門家への相談が選択肢を広げる機会になります。
第4に、被相続人との関係が悪く、関わりを断ち切りたい場合です。離婚した親、絶縁状態の兄弟など、財産がなくても精神的に関わりたくないケースで利用されます。
相続放棄をすると、何が起きるのか
相続放棄の効果は、民法939条に明文化されています。要点を実務的に整理します。
相続放棄の3つの効果
第1の効果は、被相続人の権利義務を一切引き継がないことです。プラスの財産は受け取れず、マイナスの負債を返済する義務もありません。被相続人の銀行口座、不動産、株式、事業の権利、すべての積極財産から相続放棄者は除外されます。同時に、借金、保証債務、未払いの税金、損害賠償債務など、すべての消極財産からも解放されます。
第2の効果は、「初めから相続人とならなかったもの」とみなされることです。相続放棄者は、相続の場面において最初から存在しなかったかのように扱われます。この結果、後述するように、相続権が他の相続人や後順位の親族に移動します。
第3の効果は、相続放棄が原則として撤回できないことです。民法919条1項により、相続の承認・放棄は、熟慮期間内であっても撤回することができないと定められています。後から「やっぱり相続したい」と思っても、覆せません。
ただし、同条2項は、民法総則の規定により取消しが認められる場合を留保しています。具体的には、(1)詐欺・強迫による申述、(2)未成年者が法定代理人の同意なく行った申述、(3)成年被後見人本人が単独で行った申述などのケースです。取消しが認められる場面は限定的で、立証も容易ではありません。
代襲相続は発生しない
相続放棄の重要な特徴として、代襲相続が発生しないという点があります。
例えば、被相続人Aの子Bが相続放棄した場合、Bの子(Aの孫)C・Dには相続権が移りません。これは、Bが「初めから相続人でなかった」と扱われるためで、代襲相続の前提となる「相続人の死亡または欠格・廃除」とは異なる扱いです。
ただし、被相続人の子全員が相続放棄した場合、相続権は被相続人の親(直系尊属)、さらに親も既に亡くなっている場合は被相続人の兄弟姉妹に移動します。この場合、兄弟姉妹が既に亡くなっていれば、その子(被相続人の甥姪)に代襲相続が発生します。あくまで「先順位の相続人が放棄」した場合の、後順位への相続権移動の話であって、放棄した相続人の直系卑属(子)への代襲ではありません。
後順位への影響:相続放棄の連鎖
相続放棄をしたあと、見落とされがちなのが「後順位の親族への影響」です。
被相続人に多額の借金があり、子が全員相続放棄した場合、相続権は被相続人の親に移動し、親もいなければ被相続人の兄弟姉妹に移動します。兄弟姉妹は、何も知らされていなければ、ある日突然、被相続人の借金問題に巻き込まれることになります。
このため、相続放棄をする際には、必ず後順位の親族にも事情を説明し、彼らも相続放棄を選択するかどうかの判断機会を確保する必要があります。後順位への通知は法律上の義務ではありませんが、人間関係を保つ上では実務的に欠かせない配慮です。
具体的には、被相続人の子A・B・C全員が相続放棄したら、被相続人の兄弟D・Eに「兄が借金を残して亡くなった。子は全員相続放棄したので、あなた方に相続権が移動します。借金を引き受けたくなければ、3か月以内に家庭裁判所で相続放棄してください」と連絡することになります。
D・Eが事情を知らないまま3か月を過ぎ、債権者から請求が来て初めて状況を知るケースもあり、人間関係のもつれにつながりがちです。早期の連絡と、必要なら後順位の親族全員での同時申述が、円滑な解決につながります。
相続放棄の手続き:申述書1枚で完結する流れ
相続放棄の手続きは、家庭裁判所への「相続放棄申述書」の提出という1つのアクションで完結します。手続き自体は単純ですが、いくつかのチェックポイントがあります。
ステップ1:被相続人の死亡と相続開始を確認する
最初のステップは、被相続人の死亡を確認し、自分が法定相続人であることを把握することです。被相続人の戸籍謄本・住民票除票を取り寄せ、相続人の構成を確認します。
ここで重要なのが、自分の相続順位の確認です。被相続人の子であれば第1順位の相続人ですが、被相続人の兄弟姉妹であれば第3順位の相続人で、先順位の相続人(子や親)が全員相続放棄した結果として相続権が回ってきている可能性があります。順位によって熟慮期間の起算点が変わるため、自分の順位を正確に把握することが出発点になります。
ステップ2:必要書類を揃える
家庭裁判所への申述には、次の書類が必要です。
共通必要書類は、(1)被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)、(2)被相続人の住民票除票または戸籍附票、(3)申述人(自分)の戸籍謄本、(4)収入印紙800円分(申述書に貼付)、(5)郵便切手(各家庭裁判所が指定する金額、一般的に84円×5枚程度)、です。
申述人の続柄により追加で必要な書類があります。被相続人の配偶者・子が申述する場合は上記で足ります。被相続人の親が申述する場合は、被相続人の出生から死亡までの戸籍に加え、子(全員)の死亡や相続放棄が分かる戸籍など、第2順位として相続人になった経緯を示す書類が必要です。被相続人の兄弟姉妹・甥姪が申述する場合は、さらに被相続人の親の死亡が分かる戸籍も必要で、書類の数が多くなります。
被相続人の戸籍取得には、最大の落とし穴があります。被相続人が本籍を何度も変更している場合、各市区町村で個別に取得する必要があり、郵送請求では1か所あたり1〜2週間程度かかります。3〜4回本籍を変更している場合、すべての戸籍を集めるだけで1か月以上かかることがあります。早期の着手が大切です。
2024年3月から戸籍の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村でも戸籍を取得できるようになりました(本人・配偶者・直系親族のみ)。この制度を活用すれば、戸籍取得の時間を短縮できます。ただし、兄弟姉妹の戸籍は広域交付の対象外なので、被相続人の兄弟姉妹が申述する場合は従来通りの郵送請求が必要になります。
ステップ3:相続放棄申述書を作成する
相続放棄申述書は、家庭裁判所の窓口で受け取るか、裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。記入する内容は、(1)申述人の氏名・住所・生年月日・連絡先、(2)被相続人の氏名・本籍・最後の住所・死亡日・申述人との続柄、(3)相続の開始を知った日、(4)相続放棄の理由、(5)相続財産の概略、です。
書き方で注意すべきは、「相続の開始を知った日」の記載です。これは熟慮期間の起算日になる重要な日付で、原則として被相続人の死亡日と同じですが、後順位として相続権が回ってきた場合は「先順位の相続放棄を知った日」、被相続人と疎遠で死亡を遅れて知った場合は「死亡を知った日」が起算日になります。事実に即した日付を記載することが、後のトラブル予防につながります。
「相続放棄の理由」欄は、選択式または記述式で、被相続人の負債が多い、被相続人と疎遠だった、生活が安定している他の相続人に譲るため、などから選びます。理由によって受理可否が変わるわけではありませんが、家庭裁判所が事案を理解する材料になります。
ステップ4:管轄の家庭裁判所に提出する
申述書類は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。被相続人の最後の住所地が東京都なら東京家裁、大阪府なら大阪家裁、というように、各地域の家裁の管轄が決まっています。
提出方法は、(1)窓口持参、(2)郵送、のどちらかです。郵送の場合は、書類一式を簡易書留またはレターパックプラスで送付し、控えを保管します。窓口持参の場合は、書類のチェックを受けてその場で受け付けてもらえることもあります。
ステップ5:照会書への回答
申述から1〜2週間後、家庭裁判所から「照会書(回答書)」が郵送されます。照会書には、(1)相続放棄の意思に間違いはないか、(2)相続財産を処分していないか、(3)被相続人の死亡をいつ知ったか、(4)相続放棄をする理由は何か、などが記載されています。
これに正直に回答し、署名・押印して家庭裁判所に返送します。回答内容に矛盾があったり、財産処分の事実が記載されていたりすると、相続放棄の受理に支障が出る可能性があるため、慎重な記入が求められます。回答期限は通常2週間程度です。
ステップ6:相続放棄申述受理通知書の受領
照会書を返送してから1〜2週間後、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が郵送されます。この通知書を受け取った時点で、家庭裁判所による相続放棄の申述受理が確定したことになります。申述から受理通知書の受領まで、トータルで1か月から1か月半程度かかるのが標準的です。
受理通知書は、債権者からの請求に対して「私は相続放棄しているので支払い義務はない」と主張する根拠になります。原本は大切に保管し、必要に応じてコピーを債権者に提示します。
債権者によっては「相続放棄申述受理証明書」の提出を求めるケースもあります。これは家庭裁判所に申請して交付してもらう書類(1通150円の収入印紙)で、受理通知書と同じ法的効力を持ちます。複数の債権者からの請求が予想される場合は、受理証明書を数通取得しておくと対応がスムーズです。
費用は3パターン:自分でやる・司法書士・弁護士
相続放棄の費用は、誰に依頼するかで大きく変わります。3つのパターンを比較しながら、自分のケースに合った選択肢を見ていきます。
| パターン | 費用相場(1人) | 向いているケース |
|---|---|---|
| 自分でやる | 3,000〜5,000円 | シンプルな事案・期限に余裕がある |
| 司法書士に依頼 | 3万〜7万円 | 書類作成だけ任せたい |
| 弁護士に依頼 | 5万〜10万円 | 複雑な事案・期限超過・債権者対応必要 |
パターン1:自分でやる(書類実費のみ)
最もシンプルで費用も低いのが、自分で申述する方法です。費用は収入印紙800円+郵便切手500円程度+戸籍謄本などの取得費用(1通450〜750円×必要枚数)で、合計3,000〜5,000円程度に収まります。
向いているのは、(1)被相続人の死亡日から3か月以内に余裕がある、(2)被相続人の戸籍が同じ市区町村で完結している、(3)財産処分などの法定単純承認に該当する行為がない、(4)被相続人の借金額や財産関係が概ね把握できている、というシンプルな事案です。
家庭裁判所のウェブサイトには申述書の記載例が公開されており、それを参考に記入すれば、法律の専門知識がなくても対応できます。家庭裁判所の窓口でも、記入方法を職員が教えてくれます(法律相談ではなく、書類記載のサポート)。
ただし、書類の不備で照会書のやり取りが長引いたり、財産処分への該当性が微妙なケースで判断を誤ったりするリスクは残ります。少しでも不安がある場合は、専門家への依頼を検討する場面です。
パターン2:司法書士に依頼する(3〜7万円)
書類作成だけプロに任せたい場合は、司法書士への依頼が選択肢になります。費用相場は1人あたり3万〜7万円程度。書類の作成、戸籍などの取り寄せ、家庭裁判所への提出代行、までを一括対応してもらえます。
ただし、司法書士には「家庭裁判所での代理権」がありません。具体的には、(1)照会書の回答を本人が記入する必要がある、(2)家庭裁判所からの問い合わせには本人が対応する、(3)債権者からの請求への対応も本人が行う、という点で弁護士と差があります。
向いているのは、(1)書類作成の手間だけ省きたい、(2)費用を抑えたい、(3)期限が迫っているわけではない、(4)債権者との交渉までは必要ない、というケースです。書類作成の不備リスクを避けつつ、費用を弁護士の半額程度に抑えられる、バランスのよい選択肢です。
ボリュームディスカウントを設定している事務所も多く、家族・親族の複数人をまとめて依頼すれば、2人目以降が割安になります。3人で個別依頼すれば15万円のところ、まとめ依頼で10万円程度に抑えられるパターンが一般的です。
パターン3:弁護士に依頼する(5〜10万円・期限超過時10〜30万円)
複雑な事案や、期限超過後の救済を狙うケースでは、弁護士への依頼が必要になります。費用相場は通常の事案で1人あたり5万〜10万円程度、期限超過後の特別事情救済を主張するケースでは10万〜30万円程度に上昇します。
弁護士に依頼する最大のメリットは、(1)家庭裁判所での代理権がある、(2)債権者からの請求対応(交渉・反論)もまとめて任せられる、(3)期限超過後の最高裁昭和59年4月27日決定(後述)による救済を主張する立証戦略を組める、(4)他の相続人や後順位の親族との調整も依頼できる、という点です。
向いているのは、(1)被相続人に多額の借金があり、債権者から既に請求が来ている、(2)被相続人の死亡から3か月を過ぎている、(3)財産処分があったかもしれず、法定単純承認の該当性が微妙、(4)後順位の親族との調整が必要、(5)他の相続関係(遺産分割、遺留分など)と一体で解決したい、というケースです。
費用は司法書士より高いですが、複雑な事案で「自分でやろうとして失敗した」結果として数百万、数千万の負債を背負う事態と比べれば、合理的な選択肢になり得ます。
パターン別の選び方
3パターンの選び方をシンプルに整理すると、次のようになります。
被相続人の死亡から3か月以内、被相続人の借金額が把握できており、財産処分などの問題行為がない場合は、自分でやる選択肢で十分です。書類作成の手間が惜しい、または書類不備のリスクを避けたいなら、司法書士に依頼します。期限超過、債権者対応、複雑な事案であれば、弁護士への依頼が安全な選択になります。
判断に迷う場合は、まず弁護士または司法書士の初回無料相談を受けて、自分の事案の難易度を判定してもらう方法があります。30分の相談で、自分でやれる事案か、専門家依頼が必要な事案かが見えてきます。
3か月の熟慮期間と起算点の実務
相続放棄の最大の制約が、3か月の熟慮期間です。この期限の解釈と運用を、実務的に押さえておきます。
原則:被相続人の死亡を知った日から3か月
民法915条1項は、相続人は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に相続放棄や限定承認を申述する必要がある、と定めています。
ポイントは「死亡日からではなく、知った日から」という点です。被相続人と同居していた家族なら、死亡日と知った日がほぼ一致するため、死亡日から3か月と理解して問題ありません。
3か月の数え方は、知った日の翌日から起算し、3か月後の応当日(同じ日付)が期限となります。例えば、1月15日に死亡を知ったなら、4月15日が期限です。応当日が土日祝日にあたる場合は、その翌営業日が期限になります。
起算点が遅れる3つのケース
熟慮期間の起算点が遅れるケースとして、3つの典型パターンがあります。
第1のパターンは、海外居住や長期出張などで、被相続人の死亡を遅れて知った場合です。米国駐在中の長男が父の死亡を1か月後に知った、というケースでは、知った日から3か月のカウントが始まります。
第2のパターンは、被相続人と長年疎遠で、役所からの連絡や債権者からの督促で初めて死亡を知った場合です。離婚した親、絶縁状態の兄弟など、死亡通知が直接来ない関係だと、死亡から数か月後、ときには数年後に初めて死亡を知ることがあります。この場合も、知った日が起算点です。
第3のパターンは、先順位相続人の相続放棄により、後順位として相続人になった場合です。被相続人の子が全員相続放棄した結果、被相続人の兄弟姉妹に相続権が移動したケースでは、兄弟姉妹の熟慮期間は「先順位の相続放棄を知った日」から起算します。
期限超過時の救済:最高裁昭和59年4月27日決定
3か月の期限を過ぎてしまった場合でも、例外的に相続放棄が認められるケースがあります。
最高裁判所昭和59年4月27日決定は、被相続人の財産が存在しないと信じる相当な理由があった場合、相続放棄の熟慮期間は「相続財産の存在を認識した時、または通常これを認識し得べき時」から起算するという救済論を示しました。
具体的には、被相続人と長年疎遠で財産・債務の状況を全く把握していなかった相続人が、死亡から数年後に債権者からの督促で初めて借金の存在を知った場合、その時点から3か月以内に相続放棄を申述すれば、原則として受理されます。
ただし、この救済を受けるには、(1)被相続人の財産・債務を知らなかった、(2)知らなかったことに相当な理由がある、(3)知った時から3か月以内に申述する、の3要件を満たし、家庭裁判所に立証する必要があります。要件の判断は厳格に行われるため、期限超過後の相続放棄は弁護士への依頼が事実上の前提になります。
熟慮期間の延長(伸長申立て)については、別の記事で詳しく解説しています。判断に時間がかかる場合は、3か月以内に延長申立てを行うことが、確実な方法になります。
法定単純承認の落とし穴:相続放棄ができなくなる行為
3か月の期限内であっても、特定の行為をすると「単純承認したもの」とみなされ、その後の相続放棄ができなくなる規定があります(民法921条1号)。これを法定単純承認といい、相続放棄を検討する方が最も注意すべき論点です。
葬儀費用の支払いは許されるか
最もよく問題になるのが、被相続人の葬儀費用の支払いです。葬儀は被相続人の死亡直後に発生する避けられない出費ですが、これに被相続人の預金を使ったら相続放棄できなくなるのか、という不安を抱える方が多いです。
裁判例の傾向としては、社会通念上相当な額の葬儀費用を被相続人の預金から支払った場合は、原則として法定単純承認に該当しないと整理されています。葬儀は宗教的・社会的に避けられない儀式であり、その費用は被相続人本人のために支出されるものという考え方が背景にあります。
ただし、「社会通念上相当な額」の範囲には限度があります。一般的な葬儀費用(100万〜200万円程度)であれば問題になりにくいですが、地方の慣習を超える豪華な葬儀(500万円以上など)で、被相続人の預金から引き出して支払った場合は、法定単純承認に該当する可能性が出てきます。
最も安全なのは、葬儀費用は相続人自身の財布から立て替えて支払い、後日相続財産で精算する形を取ることです。立て替え分は、相続放棄しても葬儀費用としての請求(債権者として)が可能なため、相続放棄者の不利益にはなりません。
被相続人の預金引き出しはNG
葬儀費用以外の目的で、被相続人の預金を引き出して使うと、原則として法定単純承認に該当します。
具体的には、(1)被相続人の預金を引き出して、相続人の生活費に使った、(2)被相続人の預金を引き出して、自分の名義の口座に移した、(3)被相続人名義のクレジットカードで買い物をした、(4)被相続人の不動産を売却した、(5)被相続人名義の自動車を売却した、などが該当します。
特に注意が必要なのは、被相続人の医療費や入院費の未払い分の支払いです。これは被相続人本人のための支出なので、社会通念上相当な範囲なら問題ないとする見方もありますが、判例上の確立した解釈はなく、グレーゾーンに位置します。判断に迷う場合は、相続人自身の財布から立て替える方法が安全です。
形見分けは原則として問題なし
被相続人の遺品を相続人間で分ける「形見分け」は、社会通念上相当な範囲なら法定単純承認に該当しないというのが、裁判例の一般的な傾向です。
具体的には、(1)写真、手紙、衣類、日用品などの遺品を相続人で分ける、(2)被相続人が使用していた家具を引き取る、といった行為は、形見分けの範囲内として問題ありません。
ただし、(1)被相続人の高価な貴金属、宝石、骨董品、ブランド品などを引き取る、(2)被相続人の自動車を相続人が使い続ける、(3)被相続人の絵画コレクションを引き取る、といった換価可能な動産の取得は、形見分けの範囲を超える可能性があります。判断に迷う場合は、専門家への確認が安全策になります。
受取人指定の生命保険金の受領は問題なし
受取人が指定されている生命保険金は、保険金請求権が受取人固有の権利として発生するため、相続財産には含まれません。したがって、相続放棄をした相続人が受取人として生命保険金を受領しても、法定単純承認には該当しません。
ただし、受取人が「被相続人」とされている場合や、受取人が指定されていない場合は、保険金が相続財産に含まれることがあります。この場合に保険金を受領すると法定単純承認に該当する可能性があるため、保険契約の内容を事前に確認することが大切です。
相続放棄しても受け取れる財産
相続放棄をしたら一切何も受け取れないと誤解されがちですが、実は相続放棄しても受け取れる財産がいくつかあります。これらは相続財産ではなく、別の法律関係に基づいて取得するためです。
生命保険金(受取人指定がある場合)
受取人が指定されている生命保険金は、保険金請求権が受取人固有の権利として発生するため、相続財産に含まれません。相続放棄をしても、受取人として保険金を受領できます。
被相続人に多額の借金があり相続放棄するケースでも、被相続人が「妻が受取人」「子が受取人」と指定して生命保険に加入していれば、その指定された家族は保険金を受け取れます。被相続人が遺族の生活保障として加入していた保険は、相続放棄しても機能するということです。
ただし、注意点が2つあります。1つ目は、相続放棄者は生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使えなくなることです。相続税の計算上、相続放棄者が受け取った保険金は全額が課税対象になります。2つ目は、保険金が著しく高額で、相続財産と比較して不公平が著しい場合、例外的に特別受益として持ち戻される可能性があることです(最高裁平成16年10月29日決定)。
死亡退職金
被相続人が在職中に死亡した場合に支給される死亡退職金は、退職金規程で「受給権者は配偶者」「受給権者は遺族」などと定められていることが多く、その場合は受給権者の固有の権利として発生します。相続財産ではないため、相続放棄しても受け取れます。
ただし、退職金規程に受給権者の指定がなく、被相続人の遺産として支給される形式の場合は、相続財産に含まれるため、相続放棄をすると受け取れません。退職金規程の確認が必要です。
遺族年金
遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金、遺族共済年金など)は、年金法に基づいて遺族の固有の権利として支給されるものです。相続財産ではないため、相続放棄をしても受給資格があれば受け取れます。
配偶者や子が遺族年金の受給資格を持つことが多く、被相続人が会社員・公務員であった場合に対象になります。受給資格や金額は、被相続人の加入年金、家族構成によって異なるため、年金事務所への確認が必要です。
2023年改正の管理義務:相続放棄後も油断できない
2023年4月施行の改正民法940条1項により、相続放棄者の管理義務の内容が明確化されました。実務上の影響が大きい改正なので、内容を押さえておきます。
改正前後の違い
改正前の民法940条は、「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」と定めていました。
この規定は曖昧で、相続放棄をした人がいつまで、何をする義務があるのかが不明確でした。特に、被相続人が老朽化した空き家を残して亡くなり、相続人全員が相続放棄したケースで、誰がその空き家を管理するのか、放置して倒壊した場合に責任を負うのか、といった問題が深刻化していました。
2023年改正により、相続放棄者の管理義務は、「相続放棄の時に相続財産を現に占有していた者に限り、相続人または相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存する義務を負う」と明確化されました。
改正の実務的な意味
この改正のポイントは2つです。
第1に、相続放棄者の管理義務が「現に占有していた者」に限定されたことです。被相続人と離れて暮らしていた相続人が、被相続人の家を一度も見たこともない場合、その家の管理義務を負いません。改正前は「すべての相続放棄者」が抽象的に管理義務を負うとも読める規定でしたが、改正後は実際に物理的に占有していた者だけが対象になります。
第2に、義務の内容が「保存」に限定されたことです。「管理」より「保存」の方が義務の範囲は狭く、価値の毀損を防ぐ程度の対応で足ります。例えば、雨漏りを応急処置する、最低限の見回りをする、といった範囲です。積極的な修繕や換価は義務に含まれません。
ただし、空き家を相続放棄した場合、相続放棄者がそこに住んでいたなら、相続財産清算人が選任されるまで(または次順位の相続人が管理を始めるまで)、最低限の保存義務は残ります。完全に手を引きたい場合は、相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要が出てきます。
相続財産清算人とは、相続人不存在の場合に被相続人の財産を管理・清算するために家庭裁判所が選任する者です。2023年改正前は「相続財産管理人」と呼ばれており、改正で名称が変更されると同時に、清算手続きの一本化など実務的な見直しも行われました。
相続財産清算人の選任費用
相続人全員が相続放棄した場合、被相続人の財産を管理・清算するために、相続財産清算人を家庭裁判所が選任することになります。これにより、相続放棄者の管理義務から完全に解放されます。
ただし、相続財産清算人の選任申立てには、予納金が必要になります。予納金の金額は事案や裁判所により幅があり、20万円〜100万円程度というのが実務上の目安です。被相続人の財産規模、清算の手間、想定される手続き期間などで判断されます。この予納金は、被相続人の財産から清算人の報酬や費用を支払うための原資になります。被相続人に十分な財産が残っている場合は予納金が後で戻ってくることもありますが、財産がほとんどない場合は戻りません。
予納金は、相続放棄者(申立人)が立て替える形になります。空き家を放置するリスクと、予納金のコストを比較して、判断することになります。
ケーススタディ:相続放棄の典型事例
ここまでの情報を踏まえ、実務で起きる典型的な3つのケースを見ていきます。
ケース1:被相続人の借金が判明、子が全員相続放棄
【ケース】
被相続人A(75歳・男性)が死亡。相続人は子B、C、D(40代)。Aは退職金を投資詐欺で失い、その後消費者金融からの借入で生活していた。死亡時の財産は預貯金100万円、Aの自宅(評価300万円)、消費者金融からの借入600万円、Aの兄に対する300万円の借金。
判断:プラス財産400万円(預金100+自宅300)に対して、マイナス財産900万円(消費者金融600+兄への借金300)で、明らかに債務超過。B・C・Dの3人で相談し、全員が相続放棄を選択。
手続き:Aの死亡から1か月後、3人それぞれが管轄の家庭裁判所に相続放棄を申述。司法書士に依頼し、費用は1人あたり3万円(3人で計9万円)。
注意点:Aには兄(E)がいたため、Eが第3順位の相続人として相続権を取得することになる。B・C・Dから、Eに事情を説明し、Eも自分の意思で相続放棄するかを判断する機会を確保。Eも相続放棄を選択した結果、最終的に相続人不存在となり、相続財産清算人の選任手続きへ移行。
ケース2:期限超過後に借金が発覚、最高裁判決による救済
【ケース】
被相続人F(60代男性)、20年前に離婚して家を出た元父。子G(35歳)、子H(32歳)は、Fと離婚以来一切の連絡なし。Fが亡くなって2年半後、消費者金融3社から立て続けに、G・Hに「相続人として被相続人の債務○○○万円を支払え」との内容証明郵便が届く。合計負債額は約750万円。G・Hは父の死亡すら知らなかった。
判断:期限超過後の相続放棄は、最高裁昭和59年4月27日決定の要件(被相続人の財産・債務を知らなかった、知らなかったことに相当な理由がある、知った時から3か月以内に申述)を満たすかが争点。20年前の離婚と連絡途絶という事情は、要件を満たす方向に働く。
手続き:消費者金融からの内容証明を受領した日を「相続財産の存在を認識した日」として特定。母親(元配偶者)の陳述書、住民票の異動履歴、年賀状などのやり取りの不在を立証材料として準備。弁護士に依頼し、内容証明受領から2か月以内に相続放棄を申述。
費用:弁護士費用1人あたり15万円(計30万円)、書類実費約3万円。
結果:G・Hの相続放棄申述は、いずれも家庭裁判所で受理。750万円の負債から解放された。
ケース3:同居家族が預金を引き出して法定単純承認のリスク
【ケース】
被相続人I(80代女性・認知症で長期療養)、同居の長女J(50代・主介護者)、別居の長男K(50代)。Iの財産は預貯金2,500万円、自宅(評価2,000万円)、株式500万円。Iの過去のKの事業のための連帯保証約1,800万円が、死亡から2か月後に発覚。
問題:Jは、Iの死亡直後、立替介護費用の精算と当面の生活費としてIの預金から約400万円を引き出していた。これが法定単純承認に該当するかが争点。
判断:葬儀費用や直前の医療費精算分(約100万円)はギリギリ許容範囲だが、生活費として使った分(約300万円)は明らかに処分行為に該当。Jの相続放棄は事実上困難。
代替手段:Jは相続放棄ではなく限定承認の方向で家族会議。Kとの合意の上、限定承認を3か月直前で申述。被相続人の積極財産の範囲で連帯保証債務を弁済し、残余があれば相続するという方針。
費用:弁護士費用約80万円(限定承認は手続きが複雑で相続放棄より高額)、官報公告費約4万円、合計約94万円。
教訓:熟慮期間中の預金引き出しは、正当な目的(立替金精算など)でも法定単純承認のリスクを伴う。引き出すなら、引き出さないか、引き出しても費消せず別管理するのが原則。
読者へのまとめ:相続放棄の判断と行動指針
本記事の最後に、相続放棄を検討する方が今すぐ取るべき行動を、優先順位順に整理します。
今日すぐにすべきこと:被相続人の死亡を「いつ知ったか」を客観的に記録できる形で整理してください。メール、電話履歴、SNSのメッセージなど、第三者でも確認できる記録があれば理想的です。これが熟慮期間の起算点の証拠になります。
同時に、被相続人の財産には一切手をつけないでください。葬儀費用は自分の財布から立て替え、被相続人の預金の引き出し、不動産の処分、株式の売却、高額な遺品の取得など、すべて避けます。
1週間以内にすべきこと:被相続人の財産・債務の概況把握に着手します。具体的には、(1)被相続人の自宅にある通帳・印鑑・契約書類・郵便物の確認、(2)信用情報機関(JICC、CIC、全国銀行協会)への開示請求、(3)被相続人住所地の市区町村への名寄帳請求、(4)被相続人の年金事務所への照会、です。
信用情報機関の開示には1〜2か月かかるため、早期着手が重要です。被相続人にどんな借入があるか、保証契約があるかが、これで概ね把握できます。
1か月以内に判断すべきこと:相続放棄、限定承認、単純承認のどれを選ぶかを決定します。判断材料は、(1)被相続人のプラス財産とマイナス財産のバランス、(2)被相続人の借金額が把握できているかの確実性、(3)他の相続人や後順位の親族との関係、(4)被相続人の財産に手をつけてしまっていないか、です。
判断に迷う場合は、相続に詳しい弁護士または司法書士の初回無料相談を受けてください。法律相談料は30分5,000円〜1万円程度。1回の相談で、自分の事案にどの選択肢が向いているか、手続きの見込みや費用がはっきりします。
2か月の時点でやるべきこと:相続放棄を選んだ場合は、家庭裁判所への申述手続きに入ります。書類取得、申述書作成、家庭裁判所への提出、まで含めて、3か月の期限の少なくとも2週間前には完了させるスケジュールが安全です。
判断材料が揃わない場合は、ためらわず熟慮期間の伸長申立てを家庭裁判所に行います。費用は800円+郵便代程度、弁護士依頼でも5万〜15万円で、財産・債務の調査時間を3〜6か月延長できます。
期限超過後の方への助言:被相続人の死亡から3か月を過ぎても、債権者から請求が来て初めて借金を知った場合は、最高裁昭和59年4月27日決定による救済の可能性があります。諦めず、債権者からの通知書を保管し、弁護士に相談してください。知った日から3か月以内の対応が要件なので、早期の行動が必要です。
相続放棄は、被相続人の負債から相続人を守るための仕組みです。手続き自体は単純ですが、期限・財産処分・後順位への影響など、判断を誤ると取り返しのつかない結果になりかねません。早期の情報収集と、必要に応じた専門家への相談が、適切な選択への道筋になります。
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