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相続税の計算とは?かかる人と税額の決まり方

相続税の計算とは?かかる人と税額の決まり方

この記事で分かること

  • 相続税とはどんな税金で誰に関わるのか
  • 相続税がかかるかどうかの分かれ目の考え方
  • 財産の評価から税額を求めるまでの計算の流れ
  • 税率の決まり方と税額を軽くする主な制度
  • 計算で間違えやすい点と進めるときの手順

この記事では、亡くなった方の財産にかかる相続税について、その計算がどのように進むのかを弁護士の視点で解説します。まず相続税とはどんな税金かを押さえ、控除との関係から自分のケースでかかるかどうかの分かれ目を整理します。財産の評価から課税対象を求め、決められた仕組みに沿って税額を計算するまでの流れ、税率の考え方、負担を軽くする制度、見落としやすい点までを順に確認します。読み終えれば、相続税の全体像と進め方が落ち着いて見通せるようになります。

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相続税とはどんな税金か

「うちにも相続税はかかるのだろうか」「もしかかるとしたら、いくらくらいになるのか」——身近な方が亡くなったあと、こうした不安を抱える方は少なくありません。相続税は、亡くなった方から受け継いだ財産にかかる税金です。ただし、相続が起きたからといって、すべての人に必ずかかるわけではありません。実際には、一定の枠を超える財産を受け継いだ場合にだけ課されるしくみになっています。この記事では、相続税がそもそもどのように決まるのか、その計算の流れと考え方を、弁護士の視点でやさしく整理していきます。

相続税の話になると、いきなり細かい数字や専門用語が出てきて、身構えてしまう方も多いものです。けれども、全体の流れさえつかんでしまえば、相続税は決して理解できないものではありません。大切なのは、どんな財産が対象になり、どの段階で税額が決まっていくのか、その順序を押さえることです。まずは、相続税という税金の輪郭を、落ち着いて眺めていきましょう。

相続税が課される基本的な考え方

相続税は、亡くなった方が残した財産を、相続人などが受け継いだときにかかります。土地や建物、預貯金、株式といったプラスの財産が、課税の対象になるのが基本です。ここで覚えておきたいのは、相続税が「受け継いだ財産の総額」を出発点として組み立てられている、という点です。誰がどれだけ受け取ったかという前に、まずは亡くなった方の財産全体がどれくらいあるのかを把握することが、すべての計算の入り口になります。

なぜ財産の総額から考えるのかというと、相続税が、亡くなった方の財産が世代を超えて移っていくことに着目した税金だからです。個々の相続人がいくら受け取ったかをいきなり見るのではなく、まず財産全体に対して税負担の大きさを決め、それを取り分に応じて分けていく——この順序が、相続税の計算の根っこにあります。この発想を頭の片隅に置いておくと、後の計算の流れがぐっとわかりやすくなります。

相続税には、財産の総額そのものを減らす控除と、計算した税額から直接差し引く控除という、性質の異なる二種類の差し引きが登場します。基礎控除は前者にあたり、配偶者への軽減や各種の税額控除は後者にあたります。この二つは働く段階が違うため、混同すると計算がちぐはぐになってしまいます。どの段階で何を差し引くのか、その役割の違いを意識しておくと、相続税の計算全体がすっきりと見通せるようになります。

すべての相続で税金がかかるわけではない

意外に思われるかもしれませんが、相続が起きても、相続税がかからずに終わるケースは数多くあります。相続税には、一定額までは税金をかけないという非課税の枠が用意されているからです。受け継いだ財産の総額がこの枠の中に収まっていれば、相続税はかからず、申告も原則として必要ありません。「相続が起きたら必ず税金を払うものだ」と思い込んでいる方もいますが、まずは自分のケースが課税の対象になるのかどうかを確かめることが、最初の一歩になります。

とはいえ、「枠の中に収まっているはずだ」と自己判断で決めつけてしまうのは禁物です。財産の中には、見落としやすいものや、評価のしかたによって金額が変わるものがあります。土地のように、持っているだけでは正確な金額がわからない財産もあります。課税されるかどうかの瀬戸際にあるようなときほど、財産を漏れなく洗い出し、慎重に見積もることが欠かせません。ここを誤ると、本来必要だった申告をしないまま、後で問題になることもあります。

受け継ぐ財産の中には、亡くなった方が生前から持っていた預貯金や不動産だけでなく、亡くなったことをきっかけに受け取ることになるものも含まれることがあります。こうした財産は、見た目には相続財産と違って見えても、相続税の計算上は同じように扱われることがあるため、注意が必要です。何が課税の対象に含まれるのかを正しく知っておくことが、課税されるかどうかの判断を誤らないためのポイントになります。

相続税がかかるかどうかの分かれ目

相続税がかかるかどうかを左右するのが、先ほど触れた非課税の枠です。専門的には「基礎控除」と呼ばれます。受け継いだ財産の総額が、この基礎控除の範囲内であれば相続税はかからず、これを超えた部分にだけ税金がかかります。つまり、相続税の計算は「財産の総額と、非課税の枠を比べる」ところから本格的に始まる、といってよいでしょう。

ご自身のケースで相続税がかかりそうかどうかが気になっている方は、まずこの分かれ目の考え方を押さえておくと安心です。財産がこの枠を大きく下回っていれば、過度に心配する必要はありません。逆に、枠に近い、あるいは超えていそうだという場合には、早めに準備を始めたほうがよい、という見当をつけることができます。

基礎控除という非課税の枠

基礎控除は、相続税の計算において、誰にでも一律に認められる非課税の枠です。受け継いだ財産の総額からこの枠を差し引き、残った部分が「課税される遺産」となります。財産の総額が枠を下回れば、課税される部分はゼロになり、相続税はかかりません。ここで大切なのは、相続税が財産の「すべて」にかかるのではなく、「枠を超えた部分」にだけかかる、というしくみを理解しておくことです。この一点を押さえるだけで、相続税への漠然とした不安は、かなり和らぐはずです。

基礎控除の枠がどれくらいの大きさになるかは、後で述べるように相続人の人数によって変わります。具体的な金額については、税制の改正によって変わることもありますので、実際に計算する際には、その時点の最新の基準を確認することが欠かせません。本記事では、金額そのものよりも、「枠を超えた分にだけ課税される」という考え方を、まずしっかりとつかんでいただくことを大切にしています。

法定相続人の数で枠が変わる

基礎控除の枠は、固定された一つの金額ではなく、法定相続人の人数が多いほど大きくなるしくみになっています。相続人が一人のときよりも、二人、三人と増えていくほど、非課税の枠も広がっていく、というイメージです。これは、受け継ぐ人が多いほど、一人ひとりの負担に配慮する必要がある、という考え方によるものです。同じ財産額でも、相続人が何人いるかによって、課税されるかどうかや税額が変わってくる、という点はぜひ覚えておきましょう。

ここで注意したいのが、「法定相続人の数」の数え方です。誰が法定相続人になるのかは、家族構成によって決まり、思っていたよりも人数が多かった、あるいは少なかった、ということが起こりえます。たとえば、すでに亡くなっている子に代わってその子ども、つまり孫が相続人になるような場合もあります。誰が相続人にあたるのかを正確に把握しておかないと、枠の大きさを見誤り、課税の有無の判断まで狂ってしまいます。家族関係が複雑なときほど、ここは丁寧に確認したいところです。

相続税の計算はどのように進むのか

ここからは、相続税が実際にどのような順序で計算されていくのかを見ていきましょう。相続税の計算は、いくつかの段階を踏んで進みます。順番に追っていくと、複雑に見える計算も、一つひとつは決して難しくないことがわかります。全体像をつかんでおけば、税理士などの専門家から説明を受けたときにも、話の流れを理解しやすくなります。

相続税の計算は、大きく分けると、財産の総額を求める、課税される部分を割り出す、いったん法定相続分で按分して税額のもとを計算する、そして各人が実際に納める額に調整する、という流れで進みます。一見すると遠回りに感じるかもしれませんが、この手順には、相続人どうしの公平を保つための工夫が込められています。各段階の役割を意識しながら、順に見ていきましょう。

課税される遺産の総額を求める

最初の段階は、相続税の対象となる財産の総額を求めることです。亡くなった方が持っていた預貯金、不動産、株式などのプラスの財産を合計し、そこから借入金などのマイナスの財産や、葬式にかかった費用などを差し引いていきます。こうして出てきた金額から、さらに先ほどの基礎控除の枠を引いたものが、実際に課税される遺産の総額になります。この「課税される遺産」がゼロ以下であれば、相続税はかかりません。

この段階で重要になるのが、財産を漏れなく拾い上げ、それぞれを適切に評価することです。預貯金のように金額がはっきりしているものは問題ありませんが、土地や非上場の株式などは、評価のしかたによって金額が変わってきます。評価を高く見積もりすぎれば税額が膨らみ、低く見積もりすぎれば後で問題になります。財産の評価は、相続税の計算の中でもとくに専門的な部分であり、判断に迷う場面では専門家の力を借りるのが安心です。

たとえば、亡くなったことをきっかけに支払われる生命保険金は、受取人が指定されている場合、相続人固有の財産として扱われる一方で、相続税の計算上は課税の対象に含めて考える場面があります。ただし、こうした保険金については、一定の範囲で非課税となる枠が別に設けられていることもあり、扱いがやや複雑です。何がどこまで課税対象になるのかは、財産の種類ごとに丁寧に確認していく必要があります。判断に迷うときは、個別に専門家へたずねるのが確実です。

法定相続分で按分してから税率をあてはめる

課税される遺産の総額が出たら、次の段階では、それをいったん法定相続分で分けたものと仮定して計算します。実際にどう分けたかにかかわらず、まずは「法律で定められた取り分どおりに分けた」と考えて、各人の取得金額を出すのです。そして、その金額に応じた税率をあてはめ、それぞれの税額を計算し、最後にすべてを合計します。これが、相続全体としての税額のもとになります。

なぜ、実際の分け方ではなく、いったん法定相続分で計算するのでしょうか。それは、相続人どうしの分け方しだいで全体の税額が大きく変わってしまうのを防ぎ、公平を保つためです。もし実際の取り分にそのまま税率をあてはめると、特定の人に財産を集めることで税負担を不自然に軽くする、といったことが起こりかねません。そこで、まずは法律上の取り分を基準にして全体の税額を固め、そのうえで各人の負担を割り振る、という二段構えの計算が採られているのです。

各人が実際に納める額に調整する

相続全体としての税額が出たら、最後にそれを、各相続人が実際に受け取った財産の割合に応じて割り振ります。多く受け取った人は多く、少なく受け取った人は少なく負担する、という形に調整されるわけです。さらに、この段階で、相続人それぞれの事情に応じた軽減や加算が反映されます。こうして、一人ひとりが実際に納める相続税の額が、ようやく確定します。

この最後の調整があるおかげで、相続税は「財産を多く受け取った人ほど重く負担する」という、納得しやすい形に落ち着きます。同じ相続の中でも、たくさん受け取った人と、わずかしか受け取らなかった人とでは、納める税額に差が出るのが自然です。全体の税額をいったん固めたうえで、取り分に応じて配分し直す——この流れを理解しておくと、後で税額の通知を見たときにも、その金額の意味が腑に落ちるはずです。

税率はどのように決まっているのか

相続税で多くの方が気にされるのが、「税率はどれくらいなのか」という点でしょう。相続税の税率は、一律ではありません。受け継ぐ金額が大きいほど、段階的に高い税率があてはまるしくみになっています。ここでは、具体的な数字には踏み込まず、税率がどのような考え方で決まっているのか、その骨組みを押さえておきましょう。仕組みさえ理解しておけば、実際の数字は、その時点の最新の基準に当てはめて確認すればよいのです。

「税率」と聞くと、財産全体に同じ割合がかかるイメージを持つ方もいますが、相続税はそうではありません。金額の大きさに応じて、いくつかの段階に区切られ、上の段階にいくほど高い割合が適用されます。この点を誤解していると、税額を実際よりも大きく見積もって、必要以上に不安になってしまうことがあります。まずは、この段階的なしくみを正しくつかんでおきましょう。

取得金額が大きいほど税率が上がる仕組み

相続税の税率は、取得する金額が一定のラインを超えるごとに、超えた部分について高い割合があてはまる、という形で組み立てられています。これを「超過累進」と呼びます。大切なのは、金額全体に最も高い割合がかかるわけではない、という点です。あくまで、各段階を超えた部分にだけ、その段階に応じた割合がかかります。そのため、「財産が多いと、いきなり半分近く税金で持っていかれる」といった極端なイメージは、必ずしも実態に合いません。

この超過累進の考え方は、所得税など他の税金にも共通する、税の世界では基本的なしくみです。負担できる力が大きい人ほど、より高い割合で負担する、という公平の考え方にもとづいています。相続税についても、受け継ぐ財産が大きいほど、超えた部分の負担割合が段階的に重くなる、と理解しておけば十分です。実際の各段階の区切りや割合は、税制によって定められており、改正で変わることもあるため、計算時には最新のものを確認しましょう。

実際の相談の場でも、「財産が一定額を超えた瞬間に、全体へ高い割合がかかってしまうのではないか」と心配される方がいます。けれども、超過累進のもとでは、ラインを少し超えたからといって、税額が急に跳ね上がることはありません。超えた部分にだけ、その段階の割合が穏やかに上乗せされていくだけです。この点を正しく理解しておくと、財産が枠を超えそうな場合でも、過度に身構えることなく、落ち着いて見通しを立てられます。

速算表が使われる理由

相続税の税額を求める際には、「速算表」と呼ばれる一覧が使われることがあります。これは、段階ごとに割合をひとつずつ計算していくと手間がかかるため、一度の掛け算と引き算で税額を出せるように工夫された早見の道具です。本来であれば、金額を段階ごとに区切り、それぞれに割合をかけて足し合わせる必要がありますが、速算表を使えば、その手間を省いて素早く税額にたどり着けます。

速算表のしくみを言葉で説明すると、取得金額に応じた割合をかけたうえで、段階の差を埋めるための一定額を差し引く、という形になっています。つまり、超過累進の考え方を、計算しやすい形に置き換えたものが速算表だ、と捉えるとわかりやすいでしょう。実務では、この表を見ながら税額を計算していきますが、表に載っている数字そのものは、税制の改正によって変わることがあります。仕組みを理解したうえで、実際の計算では必ずその時点の正しい表を使うことが大切です。

税額を軽くする主な制度

相続税には、計算した税額をそのまま納めるのではなく、一定の事情がある場合に負担を軽くする制度がいくつも用意されています。これらをきちんと使えるかどうかで、最終的に納める額は大きく変わってきます。ここでは、代表的な軽減の制度について、考え方を中心に紹介します。自分のケースで使える制度がないか、確認する手がかりにしてください。

こうした軽減の制度は、知らなければ使えないものがほとんどです。要件を満たしていても、申告の際にきちんと適用しなければ、本来軽くできたはずの負担をそのまま背負うことになりかねません。「使えるはずの制度を見落としていた」という事態を避けるためにも、どんな軽減があるのかを、あらかじめ大まかに知っておくことが役立ちます。

配偶者には大きな軽減がある

相続税の軽減の中でも、とくに大きいのが、配偶者に対する軽減です。長年連れ添った配偶者が相続する場合には、生活の安定などへの配慮から、一定の範囲まで相続税がかからないしくみが設けられています。この軽減のおかげで、配偶者が相続するぶんについては、相続税がかからない、あるいは大きく抑えられることが少なくありません。残された配偶者の暮らしを守るための、重要な制度といえます。

ただし、配偶者の軽減を最大限に使おうとして、目先の税負担だけを考えて分け方を決めてしまうと、その配偶者が次に亡くなったとき、つまり二次相続の場面で、かえって全体の負担が重くなることもあります。一度の相続だけでなく、その先まで見据えて分け方を考えることが、結果的に家族全体の負担を抑えることにつながります。配偶者の軽減は強力なだけに、使い方には先を見通す視点が欠かせません。

相続税の負担は、亡くなってから慌てて対策しようとしても、できることは限られてしまいます。生前のうちから計画的に準備をしておくことで、軽くできる余地が広がる場面もあります。財産の持ち方や引き継ぎ方を、早い段階から家族で話し合っておくことは、税負担の面だけでなく、相続をめぐる争いを防ぐうえでも意味があります。どのような備えができるのかは、財産の内容や家族の事情によって変わるため、専門家とともに検討するのがよいでしょう。

そのほかの税額控除

配偶者の軽減のほかにも、相続人の事情に応じた税額控除がいくつかあります。たとえば、相続人がまだ若く、これから多くの費用がかかると見込まれる場合や、心身に障害があって特別な配慮が必要な場合などに、税額を軽くする制度が設けられています。また、短い期間に相続が続けて起きたような場合に、二重の負担を和らげるための調整が用意されていることもあります。

これらの控除は、それぞれ適用できる要件が定められています。自分や家族がその要件にあてはまるかどうかは、個別の事情を丁寧に確認しなければわかりません。あてはまる可能性があるのに見落としてしまうと、本来よりも多く納めることになってしまいます。逆に、要件を満たさないのに適用してしまえば、後で修正を求められることもあります。控除の適用は、慎重かつ正確に行うことが大切です。

こうした軽減や控除は、家族の状況によって、使えるものの組み合わせが一人ひとり違ってきます。同じような財産額でも、相続人の年齢や続柄、過去の相続の有無などによって、最終的に納める額は変わってくるのです。だからこそ、「知り合いはこれくらいだったから、自分も同じだろう」と単純に当てはめるのは禁物です。自分の家族の事情に即して、どの制度が使えるのかを一つずつ確かめていくことが、納め過ぎを防ぐ確実な方法になります。

相続税の計算で間違えやすいポイント

相続税の計算は、流れ自体はそれほど複雑ではありませんが、いざ自分でやろうとすると、つまずきやすい場面がいくつかあります。とくに、財産の評価と、申告や納付の期限は、多くの方が頭を悩ませるところです。ここでは、間違えやすいポイントを取り上げ、注意点を整理しておきます。あらかじめ知っておけば、無用なミスを避けられます。

注意
相続税の計算は、財産の評価ひとつで税額が大きく動きます。とくに土地や非上場株式は評価が難しく、自己流の見積もりで申告すると、後から修正や追加の負担を求められることがあります。金額が大きくなりそうなときほど、早めに専門家へ相談するのが安全です。

財産の評価を誤ると税額も狂う

相続税の計算で最も間違えやすいのが、財産の評価です。預貯金のように金額がはっきりしているものは別として、土地や建物、非上場の株式などは、定められた方法に従って金額を見積もる必要があります。この評価を誤ると、課税される遺産の総額が変わり、税額そのものが狂ってしまいます。とくに土地は、形や立地、利用状況などによって評価が変わるため、慎重な判断が求められます。

自宅の土地や建物は、多くの方にとって相続財産の大きな部分を占めます。その評価をどう行うかで、相続税がかかるかどうかが分かれることもあります。自宅の評価については、一定の要件を満たすと評価額を大きく抑えられる制度が用意されている場合もあり、これを使えるかどうかは税額に直結します。評価のしかたや使える制度については、財産の状況に応じて確認しておくことが欠かせません。

土地の評価は、面積が広い場合や、形がいびつな場合など、状況によって特別な扱いがされることがあります。とくに、広い宅地については、そのままの評価では実態にそぐわないとして、一定の調整が認められる場合があります。こうした評価のルールは細かく、専門的な知識がないと正しく適用するのが難しいものです。土地の評価に不安がある場合は、評価の方法を丁寧に確認するか、専門家に見てもらうのが確実です。

申告と納付の期限に注意

相続税には、申告と納付の期限が定められています。亡くなったことを知った日の翌日から一定の期間内に、申告と納税を済ませなければなりません。この期限を過ぎてしまうと、本来の税額に加えて、余計な負担が生じることがあります。財産の調査や評価、相続人どうしの話し合いには時間がかかるものですから、期限から逆算して、早めに動き出すことが大切です。

とくに、相続人のあいだで分け方がまとまらないまま期限が近づいてしまう、というケースには注意が必要です。分け方が決まっていなくても、申告と納税の期限そのものは待ってくれません。話し合いが長引きそうなときは、いったん法律上の取り分で申告しておき、後で精算する、といった対応が必要になることもあります。期限に追われて慌てないためにも、相続が起きたら、税金の面でも早めに段取りを考えておきましょう。

ワンポイントアドバイス
相続税は「財産の総額から非課税の枠を引き、超えた部分にだけ段階的に課される」税金です。税率や控除の金額は改正で変わるため、仕組みを理解したうえで、実際の計算では最新の基準を使うことが大切です。財産の評価や使える軽減の判断は専門的なので、迷ったら早めに専門家へ相談しましょう。

相続税の計算を進めるときの手順

最後に、実際に相続税がかかりそうかどうかを確かめ、計算を進めていくための手順を整理しておきます。順番に取り組めば、何から手をつければよいか迷うことはありません。すべてを一人で抱え込む必要はなく、難しいと感じた段階で専門家に相談すればよいのです。

一度に完璧を目指すよりも、まずは財産の全体像をつかむことから始めるのが現実的です。最初の一歩を踏み出せば、次に何をすべきかが自然と見えてきます。

  1. 亡くなった方の財産と債務を、漏れなく洗い出す
  2. 土地や株式など、評価が必要な財産を見積もる
  3. 財産の総額が、非課税の枠を超えそうか確かめる
  4. 超えそうな場合は、計算の流れに沿って税額のもとを求める
  5. 使える軽減や控除がないかを確認し、最終的な税額を出す
  6. 期限内に申告と納税を済ませる

相続税の計算に関するよくある質問

ここからは、相続税の計算について、相談の場でよく寄せられる質問にお答えします。考え方を押さえておけば、自分のケースを判断する際の手がかりになります。

相続税は必ずかかるのですか

いいえ、必ずかかるわけではありません。相続税には非課税の枠があり、受け継いだ財産の総額がその範囲に収まっていれば、相続税はかからず、原則として申告も必要ありません。実際には、課税されずに終わる相続も数多くあります。ただし、枠を超えるかどうかは、財産を正しく評価してみなければわかりません。判断に迷う場合は、専門家に確認してもらうと安心です。

とくに、財産の大部分が自宅などの不動産で、預貯金が多くない、というご家庭は注意が必要です。書類の上では枠を超えていても、評価を見直したり、使える制度を適用したりすることで、課税されずに済む場合があります。反対に、預貯金は少なくても土地の評価しだいで枠を超えてしまうこともあります。課税されるかどうかが微妙なときほど、思い込みで判断せず、財産を正確に評価したうえで見極めることが大切です。

税率は財産全体にかかるのですか

いいえ、財産全体に一律の割合がかかるわけではありません。相続税は、金額が大きくなるほど、超えた部分について段階的に高い割合があてはまる、超過累進というしくみを採っています。そのため、最も高い割合が財産のすべてにかかる、ということはありません。「財産が多いと半分近く取られる」といった極端なイメージは、必ずしも実態に合わないので、まずは仕組みを正しく理解しておきましょう。

自分で計算して申告することはできますか

計算と申告を自分で行うこと自体は可能です。ただし、財産の評価や、使える軽減・控除の判断には専門的な知識が必要で、誤ると税額が変わってしまいます。とくに土地や非上場株式がある場合や、財産が非課税の枠を大きく超える場合には、専門家に依頼したほうが確実です。期限もありますので、不安がある場合は早めに相談することをおすすめします。

相続税の計算は誰に相談すればよいですか

相続税の計算や申告そのものは税理士の専門分野ですが、相続人どうしの分け方でもめている場合や、遺産の範囲に争いがある場合には、弁護士に相談することが解決の近道になることもあります。税額をどう抑えるかと、財産をどう分けるかは、密接に関わり合っているからです。どちらの問題も抱えている場合は、両方の視点から相談できる体制を整えるとよいでしょう。迷ったら、まずは早めに専門家へ相談することが大切です。

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基礎控除額

4,200万円

課税対象額

800万円

相続税の総額(概算)

80万円

申告が必要です

※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。

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