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相続税の障害者控除とは
ご家族に障害のある方がいて、その方が相続人になる。そんなとき、相続税の負担を軽くできる制度があることをご存じでしょうか。それが「相続税の障害者控除」です。相続税の障害者控除とは、相続人が障害者である場合に、納めるべき相続税を軽減できる仕組みのことをいいます。
なぜこのような制度があるのでしょうか。障害のある方は、健常者に比べて働くことが難しく、収入が限られる場合があります。そうした方が相続税を負担することで、生活がさらに苦しくなってしまうのを防ぐ。それが、この制度に込められた考え方です。障害のある相続人の生活を、税の面から支えようという趣旨があるのです。相続税は、財産を受け継いだ人に課される税金です。しかし、障害のある方にとっては、その納税が生活の重荷になりかねません。そこで、障害のある相続人については税負担を和らげ、受け継いだ財産をできるだけ生活の支えとして残せるようにしようというのが、この制度の根底にある発想です。福祉的な配慮が税制に組み込まれた一例だといえるでしょう。相続税にはさまざまな控除や特例がありますが、その中でも障害者控除は、社会的に支援が必要な人に手を差し伸べる性格が色濃い制度です。その意義を理解したうえで、しっかり活用したいところです。
相続税の障害者控除は、知っているかどうかで納税額が変わってくる制度です。せっかく使える制度を見落として、本来より多くの相続税を納めてしまうのはもったいないことです。税務署が「この控除が使えますよ」と親切に教えてくれるわけではありません。控除を使うかどうかは、相続人の側から動かなければならないのです。だからこそ、制度を知っておくことに大きな意味があります。この記事では、障害者控除を受けるための要件や、控除の仕組み、注意点を順を追って解説していきます。障害のある方が相続人になるご家庭では、相続のたびにこの制度が関わってくる可能性があります。一度しっかり理解しておけば、いざというときに慌てずに済みます。読み進めながら、ご自身の家族に当てはまる部分を確認してみてください。制度を知っておくことは、いざ相続が起きたときに落ち着いて対応するための備えになります。
誰のための制度なのか
あらためて確認しておくと、相続税の障害者控除は、財産を受け取る側、すなわち相続人が障害者である場合に適用されます。亡くなった被相続人が障害者であったかどうかは関係ありません。
たとえば、父が亡くなり、その子の一人に障害があるというケースを考えてみましょう。この場合、障害のある子が相続人として財産を取得すれば、その子について障害者控除が使える可能性があります。逆に、父自身が障害者であっても、それだけでは障害者控除の対象にはなりません。ここを誤解していると、使えるはずの制度を使い損ねたり、逆に使えないのに期待してしまったりすることになります。あくまで「財産を受け取る相続人が障害者かどうか」が判断の分かれ目です。この基本を押さえておけば、制度を正しく理解する土台ができます。
このように、制度を使えるかどうかは「相続人が障害者かどうか」で決まります。家族の中で誰が障害者控除の対象になるのかを、まず正しく把握することが出発点です。複数の相続人がいる場合、その中に障害のある方がいれば、その方について控除を検討することになります。家族構成と、それぞれの相続人の状況を整理するところから始めましょう。誰が相続人で、その中に障害のある方がいるかどうかを確認することが、控除を検討する第一歩です。
相続税の障害者控除を受けるための要件
障害者である相続人が相続税の障害者控除を受けるには、いくつかの要件を満たす必要があります。法律が定める要件は、次のとおりです。
- 控除を受ける障害者本人が、法定相続人にあたること
- その障害者が、一定の年齢に達していないこと
- 相続または遺贈によって、実際に遺産を受け取っていること
- 遺産を取得した時点で、国内に住所があること
- 遺産を取得した時点で、障害の状態にあること
これらの要件は、一つでも欠けると障害者控除を受けられなくなります。それぞれの要件について、もう少し詳しく見ていきましょう。
障害者が法定相続人であること
相続税の障害者控除を受けるには、その障害者が被相続人の法定相続人でなければなりません。法定相続人とは、法律上、相続する権利を持っている人のことです。具体的には、被相続人の配偶者や子、父母や祖父母といった直系尊属、兄弟姉妹などが当たります。これらの人は、法律によって相続する権利が認められています。誰が法定相続人になるかは、被相続人との続柄や、他に相続人がいるかどうかによって決まります。相続人の範囲を正しく把握することは、障害者控除に限らずすべての相続手続きの基礎になります。
なぜ法定相続人であることが条件なのでしょうか。障害者控除は、もともと「障害のある親族の生活が困らないように」という被相続人の気持ちを酌んで設けられた仕組みだからです。被相続人と一定の身分関係にある人を対象にしているわけです。
そのため、被相続人の法定相続人ではない人が遺言によって財産を受け取った場合、たとえその人が障害者であっても、相続税の障害者控除を受けることはできません。たとえば、被相続人と血縁関係のない知人などが遺言で財産をもらったケースでは、障害者であっても控除の対象外となります。これは一見すると厳しい扱いに思えるかもしれませんが、障害者控除があくまで被相続人と一定の身分関係にある人を対象とした制度であることの表れです。遺言で財産を受け取る人が法定相続人かどうかは、控除の可否を分ける重要な点になります。
相続放棄した人も障害者控除の対象になる
少し意外に思われるかもしれませんが、相続放棄をして法定相続人でなくなった人でも、相続税の障害者控除を受けられる場合があります。これは、相続放棄をしても、相続税の計算上は法定相続人として扱われるためです。民法上は相続放棄をすると初めから相続人でなかったことになりますが、相続税の世界では別の考え方が取られている点がポイントです。
このことが生きてくる場面があります。たとえば、被相続人が亡くなる前の一定期間内に生前贈与を受けていた法定相続人が、被相続人の死亡後に相続放棄をしたケースです。一定期間内の生前贈与は相続財産とみなされて相続税の対象になることがありますが、障害者控除を適用すれば、その生前贈与に対する相続税の負担を軽くできる可能性があるのです。つまり、相続放棄をしたからといって障害者控除を諦める必要はありません。生前贈与を受けていた障害者が相続放棄を検討している場合には、障害者控除の存在も踏まえて判断することが大切です。こうした込み入ったケースこそ、専門家の助言が役立つ場面です。
障害者が一定の年齢未満であること
相続税の障害者控除は、障害者である相続人が一定の年齢に達していないことが要件とされています。これは、控除額が将来にわたる生活の支えとして計算される仕組みになっているためです。年齢が若いほど、これから生活する期間が長いと考えられるため、控除の効果も大きくなる傾向があります。これは、障害のある方がこれから先の人生を送るうえで、より長く支援が必要になるという考え方に基づいています。若い障害者ほど将来にわたる生活の支えが必要だという発想が、控除額の大きさに反映されているわけです。
逆に、その一定の年齢に達している障害者については、相続税の障害者控除を受けることができません。ご自身やご家族が対象になるかどうかは、年齢の要件を確認しておく必要があります。年齢の要件は、控除を使えるかどうかを左右する重要なポイントです。相続が始まった時点での障害者の年齢を確認し、要件を満たしているかどうかをチェックしておきましょう。境界に近い年齢の場合は、とくに慎重な確認が求められます。わずかな年齢の差で要件を満たすかどうかが分かれることもあるからです。
相続または遺贈によって遺産を取得したこと
障害者控除を受けるには、その障害者が実際に相続または遺贈によって財産を取得していることが必要です。財産をまったく取得していない場合には、そもそも納める相続税がないため、控除を適用する前提を欠くことになります。控除はあくまで、納めるべき相続税から差し引くものです。差し引く対象となる税金がなければ、控除の出番もありません。だからこそ、障害のある相続人に財産を取得してもらうことが、控除を活かす前提になります。財産をどう分けるかを考える際には、この点も頭に入れておきましょう。
ここで注意したいのは、財産を取得していなければ控除も使えないという点です。後ほど説明しますが、障害者が使いきれなかった控除枠を他の相続人に回せる仕組みがあるため、障害者がいくらか財産を取得しているかどうかは、相続全体の税負担にも関わってきます。そのため、遺産分割の際に、障害のある相続人にどの程度の財産を取得してもらうかは、相続全体の税負担を考えるうえで重要な検討事項になります。控除を有効に活用する観点から、財産の分け方を工夫する余地があるのです。遺産分割は相続人の自由な話し合いで決められますが、その際に税のことも考慮に入れると、家族全体にとってより望ましい結果につながることがあります。
遺産を取得した時に日本国内に住所があること
障害者控除を受けるには、遺産を取得した時点で、その障害者が日本国内に住所を有していることが原則として求められます。海外に住んでいる場合には、この要件を満たさず、控除を受けられないことがあります。近年は家族が海外で暮らすケースも増えています。障害のある相続人が海外に住んでいる場合は、この住所の要件に注意が必要です。国際結婚や海外赴任などで、家族の一部が国外にいる相続も珍しくなくなりました。住所がどこにあるかで控除の可否が変わるため、海外在住の相続人がいる場合は早めの確認が肝心です。控除を受けられるかどうかが住所によって変わってくるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
遺産を取得した時に障害者であること
当然のことですが、障害者控除を受けるには、遺産を取得した時点で障害者であることが必要です。相続が始まった後に障害を負った場合などは、取得時に障害者であったかどうかが問われます。判断の基準となるのは、財産を取得した時点での状態です。障害の状態がいつからのものかという点も、確認しておきたいポイントです。障害の認定を受けた時期や、障害の状態が続いている期間なども、控除の判断に関わることがあります。曖昧なまま申告すると、後から確認を求められることもあります。取得時に障害者であったことを示せるよう、関係する書類を整理しておくと安心です。
障害者控除の控除額はどう決まるのか
相続税の障害者控除では、障害の程度によって控除の扱いが変わります。障害者は大きく「一般障害者」と「特別障害者」に区分され、特別障害者の方がより手厚い控除を受けられる仕組みになっています。
一般障害者と特別障害者の区分
障害者控除における障害者は、その障害の程度に応じて一般障害者と特別障害者に分けられます。特別障害者は、より重い障害がある方が該当し、控除額も一般障害者より大きくなります。どちらに区分されるかによって、軽減される相続税の額が変わってきます。重い障害がある方ほど、生活上の負担も大きいと考えられます。そうした事情を踏まえて、特別障害者にはより手厚い控除が用意されているのです。一般障害者と特別障害者のどちらに当たるかで控除額に差が出るため、区分の判定は控除を受けるうえで欠かせない作業になります。区分が一段階変わるだけで、軽減される相続税の額が大きく変わることもあります。だからこそ、自分や家族がどちらの区分に該当するのかを正確に把握しておくことが重要なのです。
ご自身やご家族がどちらの区分に当たるのかは、障害の種類や程度によって判断されます。区分の判定に迷う場合は、専門家に確認するのが確実です。区分を誤ると、本来受けられる控除額と実際の控除額にずれが生じてしまいます。障害の種類や程度は人によってさまざまで、一般障害者と特別障害者のどちらに該当するかが一見して分かりにくいこともあります。判定を誤れば、受けられるはずの控除を取りこぼしたり、逆に過大に見積もって申告に誤りが生じたりします。確実を期すなら、専門家に判定してもらうのが安全です。
控除額は年齢に応じて計算される
障害者控除の控除額は、障害者の年齢を基礎として計算される仕組みになっています。一般に、年齢が若いほど、これから生活する期間が長いと見込まれるため、控除額も大きくなる傾向があります。これは、障害のある方の将来の生活を税の面から支えるという制度の趣旨に沿った考え方です。
控除額の具体的な計算は、障害の区分と年齢をもとに行われます。計算の方法には決まったルールがあるため、正確な控除額を知りたい場合は、税に詳しい専門家に算定してもらうとよいでしょう。自分で計算すると、思わぬ間違いが生じることもあります。控除額の計算は、障害の区分と年齢という二つの要素をもとに行われます。一見すると単純に思えても、端数の扱いや区分の判定など、細かい点で迷いが生じることがあります。正確な控除額が分からないと、相続税の試算もできません。確実な金額を把握するためにも、専門家の手を借りるのが安心です。
| 区分 | 該当する障害の程度 | 控除の手厚さ |
|---|---|---|
| 一般障害者 | 一定の障害がある方 | 標準的な控除 |
| 特別障害者 | より重い障害がある方 | 一般障害者より手厚い控除 |
使いきれなかった控除は他の相続人に回せる
相続税の障害者控除には、障害者本人が控除を使いきれなかった場合に、その余った分を他の相続人に回せるという特徴があります。これは、障害者控除ならではの大きなメリットといえます。
余った控除枠の活用
障害者本人が納める相続税より控除額の方が大きい場合、控除しきれない部分が出てきます。この使いきれなかった控除枠は、その障害者を扶養する関係にある他の相続人の相続税から差し引くことができます。障害者本人の相続税が少なく、控除枠を使いきれないというのは、決して珍しいことではありません。そんなときでも、余った分を無駄にせず家族で活用できるのが、この制度のありがたいところです。
つまり、障害者本人の相続税がゼロになってもなお控除枠が残っていれば、その残りを家族の中の他の相続人が活用できるのです。これにより、相続全体で見たときの税負担を抑えることが可能になります。障害者本人だけでなく、家族全体にメリットが及ぶ仕組みだと理解しておきましょう。この仕組みがあるおかげで、障害者控除は障害者本人だけのものにとどまりません。控除枠が大きく、本人の相続税では使いきれない場合でも、その効果を家族の中で無駄なく活かせるのです。相続税の負担を家族全体で見たときに、この余った控除枠の活用が大きな意味を持つことがあります。一人ひとりの相続税だけでなく、家族をひとまとまりとして捉える視点が大切です。せっかくの控除枠を取りこぼさないよう、誰がどう使えるのかを把握しておきましょう。
誰が余った控除を使えるのか
余った控除枠を使えるのは、その障害者を扶養する義務のある一定の親族に限られます。誰でも自由に使えるわけではなく、障害者との関係性が問われます。具体的に誰がこの控除を使えるのかは、家族構成や扶養の状況によって変わってくるため、個別の確認が必要です。たとえば、障害のある相続人を扶養している配偶者やきょうだいなどが、余った控除枠を使える立場にあたることがあります。ただし、扶養の関係があるかどうかは家庭の事情によって異なるため、一律には決まりません。誰が控除を使えるのかは、家族の状況を踏まえて個別に判断する必要があります。
この仕組みをうまく活用すれば、家族全体の相続税負担を効果的に軽減できます。ただし、適用のためには要件を満たす必要があり、判断が難しい部分もあります。控除枠の振り分けについては、専門家に相談しながら進めるのが安心です。余った控除枠を誰にどう振り分けるかは、相続全体の税負担に影響します。最も有利な振り分け方を見つけるには、家族全員の相続税を見渡したうえで検討する必要があります。こうした調整は専門家の得意とするところなので、相談しながら進めると無駄がありません。
障害者控除を受けるときの注意点
相続税の障害者控除は有用な制度ですが、適用にあたってはいくつか注意すべき点があります。せっかくの控除を取りこぼさないために、押さえておきましょう。
過去に障害者控除を使ったことがある場合
障害者控除には、過去の相続で同じ障害者がすでに控除を受けていた場合、控除額が調整されることがあります。同じ人が複数回にわたって相続を経験するケースでは、過去の控除の利用状況が影響してくるのです。
たとえば、以前に親の相続で障害者控除を受けた人が、その後また別の相続で障害者控除を受けようとする場合、過去に使った分を踏まえて控除額が計算されることがあります。たとえば、先に父の相続で控除を使い、後に母の相続でまた控除を使うといったケースです。同じ人が繰り返し控除を受ける場合には、過去の利用が今回に影響することを念頭に置いておきましょう。過去の相続での控除の有無は、忘れずに確認しておきましょう。同じ障害者が二度目、三度目の相続を経験する場合、過去にどれだけ控除を使ったかが今回の控除額に響いてきます。記憶があいまいな場合は、過去の申告書類などを確認しておくと安心です。過去の控除を見落とすと、控除額の計算を誤るおそれがあります。
障害者であることを証明する書類が必要
障害者控除を受けるには、その人が障害者であることを示す書類が必要になります。障害の種類や程度に応じた証明書類をそろえることになるため、どんな書類が必要かを事前に確認しておくとスムーズです。書類の準備に時間がかかることもあるので、早めに動くことをおすすめします。障害を証明する書類は、すぐに手元にそろうとは限りません。取得に日数がかかるものもあるため、相続税の申告期限から逆算して、余裕を持って準備を始めることが大切です。必要な書類が分からないときは、専門家に確認しておくと取り違えを防げます。
相続税の申告が必要になる場合がある
障害者控除を適用した結果、納める相続税がゼロになることもあります。しかし、控除を使って税額がゼロになる場合でも、相続税の申告そのものが必要になるケースがあります。「税金がかからないなら申告も不要だろう」と思い込んでいると、申告漏れになってしまうおそれがあります。
控除を使って相続税がかからなくなる場合に申告が必要かどうかは、状況によって異なります。判断に迷うときは、専門家に確認しておくと安心です。申告の要否を見誤ると、後で思わぬ指摘を受けることにもなりかねません。相続税の申告には期限があります。期限を過ぎてから申告漏れに気づくと、余計な負担が生じることもあります。税額がゼロだから大丈夫だろうと安易に判断せず、申告が必要かどうかをきちんと確認しておくことが、後のトラブルを防ぐことにつながります。
障害者控除を活用するうえで知っておきたいこと
相続税の障害者控除は、障害のある相続人とその家族にとって、税負担を軽くする心強い制度です。しかし、要件の判定や控除額の計算、余った控除枠の振り分けなど、専門的な知識が求められる場面が少なくありません。
- 控除を受ける相続人が、要件を満たしているかを確認します。
- その相続人が、実際に遺産を取得しているかを確かめます。
- 年齢などに応じて、控除できる枠を計算します。
- 控除枠を使いきれない場合は、扶養義務者への振り分けを検討します。
- 相続税の申告で、控除を適用して申告します。
自己判断で進めると、要件を満たしているのに控除を使わなかったり、控除額の計算を誤ったりするリスクがあります。せっかくの制度を最大限に活かすためにも、相続税に詳しい弁護士や税理士に相談しながら進めるのが安心です。専門家であれば、障害者控除の適用可否を的確に判断し、家族全体で最も有利になる形を提案してくれます。要件の確認から控除額の計算、余った控除枠の振り分けまで、一連の流れを任せられるのは大きな安心です。慣れない手続きに一人で悩むより、専門家とともに進めた方が、結果として時間も労力も節約できることが多いものです。障害のある方を支えるご家族の負担を、少しでも軽くすることにもつながります。
障害のある方が相続人になる相続では、控除以外にもさまざまな配慮が必要になることがあります。たとえば、障害のある方の財産を誰がどう管理していくかといった問題です。障害の程度によっては、本人が自分で財産を管理するのが難しい場合もあります。その場合、相続した財産を本人のためにきちんと役立てる工夫が求められます。そうしたときには、後見制度の利用を含めて、財産の管理方法を検討する必要が出てくることもあります。せっかく相続した財産を本人のために活かすには、適切な管理の仕組みを整えておくことが欠かせません。こうした点も含めて、早めに専門家に相談しておくことで、安心して相続を進めることができます。相続税の控除だけでなく、相続全体を見渡した支援を受けられるのが、専門家に相談する大きな利点です。障害のある方が関わる相続は配慮すべき点が多いからこそ、早い段階で相談しておくことをおすすめします。
相続税の障害者控除についてよくある質問
最後に、相続税の障害者控除について、よく寄せられる質問にお答えします。
被相続人が障害者だった場合も使えますか
この控除は、あくまで財産を受け取る側の相続人が障害の状態にある場合に使えるものです。亡くなった被相続人が障害者であったかどうかは、関係がありません。ここは取り違えやすいところなので、あらためて確認しておきましょう。誰が障害者なのかという一点を、しっかり押さえておくことが大切です。
相続放棄をしても障害者控除は受けられますか
相続放棄をして法定相続人でなくなった場合でも、相続税の計算上は法定相続人として扱われるため、障害者控除を受けられる場合があります。とくに、被相続人の死亡前の一定期間内に生前贈与を受けていた人が相続放棄をしたケースなどで、この扱いが意味を持つことがあります。詳しくは専門家に確認するとよいでしょう。相続放棄をするかどうかを決める前に、障害者控除が使える可能性も視野に入れて判断することが大切です。
障害者控除と他の控除は一緒に使えますか
相続税には、障害者控除のほかにもさまざまな控除や特例があります。これらは、それぞれの要件を満たせば併用できる場合があります。どの控除をどう組み合わせれば最も有利になるかは、相続人の状況によって変わるため、全体を見渡せる専門家に相談するのがおすすめです。控除や特例は、それぞれに要件があり、適用の順序や組み合わせ方によって結果が変わることもあります。最も有利な形を見つけるには、相続全体を俯瞰する視点が欠かせません。専門家に相談すれば、こうした全体最適の視点から助言を受けられます。
障害者控除を使うと必ず申告は不要になりますか
障害者控除を適用して相続税がゼロになる場合でも、相続税の申告が必要になることがあります。税額がゼロだからといって申告も不要とは限りません。申告の要否は状況によって異なるため、自己判断せず確認することが大切です。
障害の程度はどのように判断されますか
障害者控除では、障害の程度に応じて一般障害者と特別障害者に区分されます。どちらに該当するかは、障害の種類や程度によって判断されます。区分によって控除の手厚さが変わるため、判定に迷う場合は専門家に確認するのが確実です。自己判断で区分を決めてしまうと、後から誤りが見つかって申告をやり直すことにもなりかねません。
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基礎控除額
4,200万円
課税対象額
800万円
相続税の総額(概算)
80万円
申告が必要です
※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。
