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遺産の使い込みを取り戻す方法|証拠の集め方と手順

遺産の使い込みを取り戻す方法|証拠の集め方と手順

この記事で分かること

  • 使い込みとは相続財産を一部の人が無断で自分のものにする行為
  • 取り戻すにはまず取引履歴など客観的な証拠を集めることが大切
  • まず話し合いで返還を求め応じなければ法的手続きに進む
  • 使い込みの返還を求める権利には時効があるため早めの対応が必要
  • 身内が相手でも証拠にもとづいて返還を求められる

相続財産の使い込みとは、本来は相続人全員で分けるべき財産を一部の人が無断で自分のものにする行為です。取り戻すには、まず預貯金の取引履歴など客観的な証拠を集め、使い込みの事実と金額を確認します。そのうえで話し合いで返還を求め、応じなければ法的手続きに進みます。返還を求める権利には時効があるため、使い込みに気づいたら、できるだけ早めに相続に詳しい専門家へ相談しましょう。

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相続財産の使い込みとは何か

「親が亡くなって通帳を確認したら、知らないうちに大金が引き出されていた」。そんな経験をされる方は、決して少なくありません。相続財産の使い込みは、相続トラブルの中でも、とりわけ深刻なケースの一つです。相手が身内であることが多く、感情的な対立も生まれやすい。しかも、取り戻すための手続きが複雑で、どこから手をつければよいのか途方に暮れてしまう方も多いものです。血のつながった家族が、自分の知らないうちに親のお金を使っていた。その事実を前にすると、怒りや悲しみ、戸惑いといったさまざまな感情が押し寄せます。何をどうすればいいのか分からないまま、時間だけが過ぎてしまうことも少なくありません。だからこそ、まずは取り戻すための道筋を知っておくことが大切です。道筋さえ分かれば、何から手をつければよいかが見えてきます。落ち着いて順番に進めれば、必ず道は開けます。

まず、「使い込み」とは何かを整理しておきましょう。相続財産の使い込みとは、本来は相続人全員で分け合うべき被相続人の財産を、一部の相続人や第三者が無断で自分のものにしてしまう行為のことです。法律にはっきりした定義があるわけではありませんが、実務ではこうした行為が使い込みと呼ばれています。つまり、本来であれば相続人みんなで分けるはずだったお金を、誰かが横取りしてしまう。それが使い込みの本質です。被相続人の生前から行われることもあれば、亡くなった後に行われることもあります。いずれにせよ、ほかの相続人の取り分を侵害する行為である点は変わりません。

この記事では、相続財産の使い込みを発見したときに、どう動けばよいのかを、弁護士の視点から実践的に解説していきます。使い込みを取り戻すための手順、証拠の集め方、注意点まで、順を追って見ていきましょう。大切な遺産を守るために、ぜひ参考にしてください。使い込みは、泣き寝入りするしかないものではありません。正しい手順を踏めば、取り戻せる可能性は十分にあります。あきらめる前に、まずは何ができるのかを知ることから始めましょう。行動を起こすかどうかで、結果は大きく変わってきます。この記事が、その第一歩になれば幸いです。

使い込みを取り戻すための流れ
使い込みを発見したら、まず証拠を集め、使い込みの事実と金額を確認します。そのうえで、相手との話し合いや、法的な手続きによって返還を求めていきます。感情的にならず、順を追って冷静に進めることが大切です。

使い込みの典型的なパターン

相続財産の使い込みには、いくつかの典型的なパターンがあります。代表的なのは、被相続人と同居していた相続人が、生前から親の預貯金口座を管理し、その立場を利用してお金を引き出していたというケースです。介護や生活の世話を理由に通帳や印鑑を預かっているうちに、無断で自分のために使ってしまう、という形です。はじめは「親のために」と善意で預かったお金が、いつの間にか自分のために使われてしまう。あるいは、最初から使い込むつもりで管理を引き受けるケースもあります。善意で始まったものか、悪意で始まったものか。外からは見分けがつきにくいのも、使い込みの厄介なところです。だからこそ、客観的な証拠で事実を明らかにすることが重要なのです。同居していた相続人は、親の財産に日常的に触れられる立場にあるため、こうした使い込みが起こりやすいのです。ほかの相続人は、その実態を知るすべがないことも多く、発覚が遅れがちになります。

ほかにも、被相続人の判断能力が低下していたのをいいことに、特定の相続人が財産を移してしまうケースや、亡くなった直後に、ほかの相続人に知らせずに預金を引き出してしまうケースなどがあります。判断能力が衰えた親は、自分の財産がどう動いているかを把握できません。その隙をついて財産を移してしまう、という悪質なケースもあります。また、亡くなった直後は、口座が凍結される前に急いで引き出そうとする動きが起こりがちです。葬儀費用などの名目で引き出されたお金が、実は私的に使われていた、ということもあるのです。名目と実態が食い違うケースには、特に注意が必要です。名目を鵜呑みにせず、実際の使途を確かめる姿勢が求められます。いずれも、本来は相続人全員のものになるはずの財産が、一部の人の手に渡ってしまう点で共通しています。使い込みのパターンはさまざまですが、共通しているのは、特定の人が不当に財産を手にし、ほかの相続人がその分を失っているという構図です。誰かが得をした裏で、誰かが損をしている。だからこそ、使い込みは相続人の間に深刻な対立を生むのです。

こうした使い込みは、身近な家族によって行われることが多いだけに、発覚したときのショックも大きいものです。信頼していた家族に裏切られたという思いは、金銭的な損失以上に、心に深い傷を残すことがあります。それでも、前を向いて対応していくことが、自分の権利を守ることになります。傷を抱えながらも、なすべきことをなす勇気が求められます。しかし、感情に流されず、事実を一つひとつ確認していくことが、取り戻しへの第一歩になります。ショックや怒りは当然のことですが、感情だけで動いても問題は解決しません。むしろ、冷静さを失うと、相手に言い逃れの余地を与えてしまうこともあります。まずは落ち着いて、何が起きたのかを客観的に把握する。そこから、取り戻しに向けた具体的な行動が始まります。

使い込みを発見したらまず証拠を集める

使い込みを取り戻すために、最初にすべきことは証拠を集めることです。使い込みがあったと主張するには、それを裏づける客観的な証拠が欠かせません。いくら「使い込まれたに違いない」と思っても、証拠がなければ相手に返還を求めるのは難しくなります。相続の現場では、心情的に「絶対に使い込まれた」と確信していても、それを裏づける客観的な証拠がなければ、相手を動かすことはできません。相手が「使っていない」と言い張れば、それ以上は追及できなくなってしまいます。だからこそ、まず証拠を固めることが、取り戻しの成否を分ける鍵になるのです。証拠の有無が、すべての出発点だといえます。ここでは、どんな証拠を集めればよいのかを見ていきましょう。

預貯金の取引履歴を取り寄せる

使い込みの証拠として、まず押さえておきたいのが、被相続人の預貯金口座の取引履歴です。いつ、いくらが引き出されたのかが分かれば、不自然なお金の動きを把握できます。たとえば、毎月の生活費としては明らかに多すぎる出金が繰り返されていたり、特定の日にまとまった金額が引き出されていたりすれば、それは使い込みを疑わせる兆候です。金融機関に依頼すれば、過去の取引履歴を取り寄せることができます。取引履歴は、相続手続きや使い込みの調査において、最も基本的でありながら強力な資料です。まずはこの一枚を手に入れることが、調査の出発点になります。

相続人であれば、被相続人の口座の取引履歴の開示を金融機関に求めることができます。被相続人が亡くなった後でも、相続人という立場であれば、その口座の取引履歴を金融機関に開示してもらえます。過去にさかのぼって、いつ、いくらの出金があったのかを一覧で確認できるため、不審なお金の動きを洗い出すのに役立ちます。一覧で見ることで、隠れていた不正が一気に見えてくることもあります。複数の口座がある場合は、それぞれについて取り寄せておくとよいでしょう。使い込みは、複数の口座にまたがって行われていることもあります。見落としを防ぐためにも、関係しそうな口座はすべて調べておきましょう。一つの口座だけを見ていては、全体像をつかみ損ねるおそれがあります。すべての口座を確認して、初めて被害の全容が見えてきます。取引履歴を見て、被相続人が自分では引き出せないような時期に多額の出金があったり、入院中に頻繁に引き出されていたりすれば、使い込みが疑われます。入院していて外出できないはずの時期に、現金自動預払機から現金が引き出されていれば、本人が引き出したとは考えにくいでしょう。こうした、本人の行動と矛盾する出金は、使い込みを立証する有力な手がかりになります。矛盾点を一つずつ積み上げることで、使い込みの事実が浮かび上がります。まずは、お金の流れを客観的な記録で確認することが出発点です。記憶や印象ではなく、取引履歴という動かぬ記録でお金の流れを把握する。これが、使い込みを立証していくうえでの土台になります。取引履歴を丁寧に読み解けば、本人の生活実態と合わない不自然な出金が見えてくることがあります。日々の暮らしぶりと照らし合わせて、明らかに不釣り合いな出金がないかを確認することが大切です。生活実態との比較が、不自然さを見抜く手がかりになります。

使い込みを裏づける周辺の資料も集める

取引履歴だけでなく、使い込みを裏づける周辺の資料も集めておくと有効です。たとえば、被相続人の入院や入所の記録があれば、その時期に本人が自分でお金を引き出すのは難しかったことを示せます。本人が施設や病院にいた期間は、外出してお金を下ろすことが物理的に難しかったといえます。物理的に不可能な状況での出金は、強い証拠になります。その時期の出金は、本人以外の誰かが引き出した可能性が高いと考えられるのです。被相続人の判断能力に関する診断書なども、状況によっては役立ちます。たとえば、被相続人が認知症などで判断能力を失っていた時期に多額の出金があれば、本人の意思による引き出しとは考えにくくなります。当時の診断書や医療記録があれば、本人が自分の意思でお金を動かせる状態ではなかったことを示す手がかりになります。医療記録は、本人の判断能力を客観的に示す貴重な資料です。こうした資料は、時間が経つと入手が難しくなることもあるため、早めに確保しておきたいところです。

引き出されたお金が何に使われたのか、相手の説明と実際の使途が食い違っていないかを確認することも大切です。使い込みをした側は、「本人に頼まれた」「生活費や介護費に使った」などと主張することがあります。そうした主張が本当かどうかを検証するための資料を、あわせて集めておきましょう。使い込みをした側は、引き出したお金について何らかの言い訳を用意してくることが多いものです。「介護費用に使った」「本人に頼まれて引き出した」などの説明が出てきます。そうした説明が事実と合っているかを確かめるには、実際にかかった費用の記録や、本人の状態を示す資料などが必要になります。相手の主張を一つひとつ検証できるよう、関連する資料を幅広く集めておくと、後の交渉や手続きで有利になります。証拠は多ければ多いほど、相手の言い逃れを封じやすくなります。手間はかかりますが、ここでの努力が後の結果を大きく左右します。地道な証拠集めこそが、取り戻しの勝敗を決めるのです。

補足
証拠集めは、使い込みを取り戻すうえで最も重要な作業です。取引履歴や入院記録など、客観的な資料をできるだけ早く確保しておきましょう。時間が経つと、資料が処分されたり、取り寄せが難しくなったりすることがあります。

使い込みを取り戻すための手段

証拠がそろったら、いよいよ使い込まれた財産の返還を求めていきます。返還を求める方法には、いくつかの段階があります。いきなり裁判というわけではなく、まずは話し合いから始めるのが一般的です。ここでは、取り戻すための手段を順に見ていきましょう。

まずは相手との話し合いを試みる

使い込みが疑われる場合でも、最初は相手との話し合いから始めるのが基本です。証拠を示しながら、使い込んだ財産を返すよう求めます。相手が使い込みを認めて、素直に返還に応じてくれれば、それで解決することもあります。いきなり法的手続きに踏み切るのではなく、まずは話し合いで解決できないかを探るのが、時間や費用の面でも合理的です。証拠をそろえたうえで冷静に事実を示せば、相手が観念して返還に応じることもあります。証拠の重みが、相手を返還へと動かすこともあるのです。穏便に解決できれば、その後の家族関係への影響も最小限に抑えられます。裁判沙汰になると、家族の関係は決定的に壊れてしまうことが多いものです。可能なかぎり、穏やかな解決を目指したいところです。話し合いで解決できるなら、それに越したことはありません。

ただし、使い込みをした側は、認めようとしないことも少なくありません。「自分は使い込んでいない」「正当に使った」と主張して、話し合いが平行線をたどることもあります。当事者同士だと感情的になりやすく、冷静な話し合いが難しいこともあるため、早い段階で専門家に間に入ってもらうことも検討するとよいでしょう。使い込みをめぐる話し合いは、お金の問題であると同時に、裏切られたという感情の問題でもあります。当事者だけで話すと、つい責め立てる口調になり、相手も身構えて、話がこじれてしまいがちです。専門家が間に入れば、感情の対立から一歩離れて、事実と証拠にもとづいた冷静なやり取りがしやすくなります。間に立つ第三者の存在が、こじれた話し合いをほぐす力になります。

話し合いで解決しなければ法的手続きへ

話し合いで返還に応じてもらえない場合は、法的な手続きによって返還を求めることになります。使い込まれた財産の返還を求める法的な請求には、いくつかの構成が考えられます。どのような法的構成で請求するのが適切かは、ケースによって異なります。使い込まれた財産を取り戻す法的な請求には、いくつかの考え方があります。どの構成を選ぶかによって、主張すべき内容や、満たすべき要件、時効の扱いなどが変わってきます。自分のケースにどの構成が当てはまるのかを見極めるには、専門的な判断が必要です。

使い込みの返還請求をどのような法的根拠で行うか、その具体的な構成や、時効などの問題については、専門的な検討が必要です。法的手続きを進める際には、相続に詳しい弁護士に相談し、自分のケースに合った進め方を確認することが大切です。法的手続きは、証拠の整理から、請求の組み立て、相手方とのやり取り、場合によっては裁判所での対応まで、専門的な知識と経験を要します。自分だけで進めようとすると、主張の組み立てを誤ったり、必要な証拠を示せなかったりして、本来取り戻せたはずのものを取り戻せなくなることもあります。早い段階で弁護士に相談しておくことが、確実な取り戻しにつながります。専門家の力を借りることで、勝てる主張を組み立てやすくなります。

段階 内容
証拠集め 取引履歴や周辺資料で使い込みの事実を確認
話し合い 証拠を示して返還を求める
法的手続き 話し合いで解決しなければ請求を行う

遺産分割協議との関係

使い込みの問題は、遺産分割と密接に関わってきます。使い込みが絡む相続では、遺産分割の進め方にも注意が必要です。ここでは、使い込みと遺産分割の関係を見ていきましょう。

使い込みは遺産分割でどう扱われるか

使い込まれた財産をどう扱うかは、遺産分割の場面でも問題になります。使い込まれた分も含めて、本来あるべき相続財産を前提に分け方を考えるべきか、それとも使い込みの返還とは別に遺産分割を進めるべきか、状況によって対応が変わります。理想をいえば、使い込まれた財産も取り戻したうえで、本来あるべき相続財産の全体を相続人で公平に分けるのが筋です。しかし、現実には、使い込みの事実や金額をめぐって争いがあると、そう単純には進みません。争いがあるほど、手続きは複雑になっていきます。

相続人全員が使い込みの事実と金額に合意できれば、使い込まれた分を考慮したうえで遺産分割を進めることもできます。全員が事実を認めているなら、わざわざ別の手続きを取らなくても、遺産分割の話し合いの中で調整できます。話し合いで調整できれば、余計な手間も費用もかかりません。問題は、使い込みをした本人がそれを認めないケースです。認めない相手とどう向き合うかが、解決の分かれ道になります。しかし、使い込みをした相続人がその事実を認めない場合は、遺産分割の話し合いの中で使い込みの問題まで解決するのは難しくなります。そうした場合は、遺産分割とは別に、使い込みの返還を求める手続きを進めることになります。使い込みの問題と遺産分割の問題は、密接に絡み合いながらも、別々の手続きで扱われることがあります。使い込みを認めない相続人がいると、遺産分割の話し合いの中だけで決着をつけるのは難しくなります。その場合は、遺産分割は遺産分割として進めつつ、使い込みの返還は別途請求するという形を取ることになります。二つの問題を切り分けて進めるのが、現実的な対応です。どう進めるのが最善かは、状況に応じた判断が求められます。

遺産分割が進まないときの対応

使い込みをめぐる対立が原因で、遺産分割の話し合いがまとまらないこともあります。使い込みの有無や金額で意見が割れると、遺産全体の分け方も決められなくなってしまうのです。一部の財産の使い込みをめぐる対立が、相続全体を前に進めなくしてしまう。これは、使い込みが絡む相続でよく見られる事態です。だからこそ、使い込みの問題は早めの解決が望まれます。こうした場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することも一つの方法です。当事者だけで話し合っても埒があかないときは、第三者である調停委員を交えた話し合いの場を設けることで、膠着状態を打開できることがあります。行き詰まったら、調停という選択肢があることを覚えておきましょう。

調停では、調停委員が間に入って、使い込みの問題も含めた遺産分割の話し合いを進めてくれます。ただし、使い込みの返還請求そのものは、遺産分割調停とは別の手続きで扱われることもあります。どのような手続きをどう組み合わせて進めるのがよいかは、専門家に相談しながら判断するのが確実です。遺産分割の調停、使い込みの返還請求、それぞれの手続きをどう進め、どう組み合わせるか。これは、ケースごとに最適な進め方が異なる、難しい判断です。誤った順序で進めると、かえって解決が遠のくこともあります。正しい順序で進めることが、早期解決の前提になります。専門家に相談すれば、全体を見渡したうえで、効率的な進め方を提案してもらえます。見通しを持って進められることが、専門家に頼る大きな利点です。

使い込みの問題で気をつけたいこと

使い込みの返還を求める際には、いくつか気をつけておきたい点があります。これらを知らずに進めると、せっかくの権利を活かせなかったり、思わぬ不利益を被ったりすることがあります。ここでは、使い込みの問題で注意すべき点を見ていきましょう。

時効に注意する

使い込みの返還を求める権利には、時効があります。一定の期間が過ぎてしまうと、たとえ使い込みがあったとしても、返還を求められなくなることがあるのです。時効の期間は、請求の法的な構成によっても変わってきます。

「いつか話し合えばいい」と先延ばしにしているうちに、時効によって権利が消えてしまっては、取り返しがつきません。使い込みに気づいたら、できるだけ早く対応を始めることが大切です。時効が気になる場合は、早めに専門家に相談して、自分のケースでどのくらいの期間が残っているかを確認しておきましょう。時効までにどれくらいの猶予があるかは、使い込みがいつ行われたか、どの法的構成で請求するかによって変わります。自分のケースで時効がいつ完成するのかを正確に把握しておかないと、知らないうちに権利を失ってしまうおそれがあります。少しでも不安があれば、早めに専門家に確認して、必要なら速やかに手続きに着手することが大切です。時効との競争に負けないためにも、早めの確認が欠かせません。

感情的にならず冷静に進める

使い込みは、身近な家族によって行われることが多く、発覚すると強い怒りや悲しみを覚えるものです。しかし、感情的になって相手を一方的に責め立てると、かえって相手が態度を硬化させ、解決が遠のくこともあります。

使い込みを取り戻すには、客観的な証拠にもとづいて、冷静に手続きを進めることが何より大切です。感情のままに動くのではなく、何が事実で、どんな証拠があり、どんな手段が取れるのかを整理して、一歩ずつ進めていきましょう。焦りや怒りに任せて動くのではなく、状況を冷静に整理することが、結局は最も早い解決につながります。冷静さこそが、使い込み問題における最大の武器なのです。一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けることで、冷静に対応しやすくなります。専門家という味方がいるだけで、心の負担はぐっと軽くなります。

注意
使い込みの返還を求める権利には時効があります。先延ばしにしていると、時効によって権利が消えてしまうことがあります。使い込みに気づいたら、証拠の確保と並行して、できるだけ早く専門家に相談することをおすすめします。

使い込みの取り戻しで弁護士が果たす役割

相続財産の使い込みを取り戻すには、証拠を集め、法的な構成を考え、相手と交渉し、場合によっては裁判所の手続きを使うという、専門的で手間のかかる作業が必要になります。しかも、相手が身内であることが多いため、感情的な負担も大きいものです。自分一人で対応しようとすると、なかなか前に進まないことも少なくありません。

そんなときに頼りになるのが、相続に詳しい弁護士などの専門家です。専門家に相談すれば、集めた証拠で使い込みを立証できる見込みがあるか、どのような法的手段が取れるか、時効は大丈夫かといった点について、的確な助言を受けられます。また、相手との交渉を任せることで、直接ぶつかり合う精神的な負担も軽くなります。

使い込みの問題は、時間が経つほど証拠が集めにくくなり、時効の問題も迫ってきます。大切な遺産を取り戻したいと考えるなら、早めに専門家に相談することが何より重要です。早く動くほど、取り戻せる可能性は高まります。時間は、使い込みの被害者にとって味方ではありません。一日でも早い行動が、大切な遺産を守ることにつながります。迷っている時間が、権利を失う時間になりかねません。早めの一歩が、結果を大きく変えるのです。一人で悩まず、専門家の力を上手に活用してください。

相続財産の使い込みについてよくある質問

最後に、相続財産の使い込みについて、よく寄せられる質問にお答えします。

使い込みを発見したらまず何をすべきですか

使い込みを発見したら、まず証拠を集めることが大切です。被相続人の預貯金口座の取引履歴を取り寄せ、いつ、いくらが引き出されたのかを確認します。あわせて、被相続人の入院記録など、本人が自分でお金を引き出せなかったことを示す資料も集めておきましょう。証拠を確保したうえで、返還を求める手続きに進みます。

使い込まれたお金は取り戻せますか

使い込まれたお金は、証拠にもとづいて返還を求めることで、取り戻せる可能性があります。まずは相手との話し合いで返還を求め、応じてもらえなければ法的な手続きで請求します。ただし、取り戻すには使い込みの事実と金額を証拠で示す必要があり、時効の問題もあるため、早めに専門家に相談することをおすすめします。

使い込みの証拠はどうやって集めますか

使い込みの証拠として中心になるのは、被相続人の預貯金口座の取引履歴です。相続人であれば、金融機関に開示を求めることができます。不自然な時期や金額の出金がないかを確認します。あわせて、被相続人の入院・入所の記録や判断能力に関する資料など、使い込みを裏づける周辺の資料も集めておくと有効です。

使い込みに時効はありますか

使い込みの返還を求める権利には、時効があります。一定の期間が過ぎると、使い込みがあっても返還を求められなくなることがあります。時効の期間は、請求の法的な構成によって変わります。先延ばしにしていると権利が消えてしまうことがあるため、使い込みに気づいたら、できるだけ早く専門家に相談して確認しましょう。

身内が相手でも返還を求められますか

身内が相手であっても、使い込まれた財産の返還を求めることはできます。むしろ、使い込みは身近な家族によって行われることが多いのが実情です。だからこそ、被害に遭った側は「身内を訴えるのは気が引ける」とためらいがちです。しかし、不当に奪われた財産を取り戻すのは、正当な権利の行使です。遠慮する必要はなく、堂々と権利を主張してよいのです。相手が身内だと感情的な対立が生まれやすいため、当事者同士での解決が難しいこともあります。そうした場合は、専門家に間に入ってもらうことで、冷静に話を進めやすくなります。

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