2020/1/8 48view

不当利得返還請求とは?相続財産の使い込みが発覚したら効果を発揮する

この記事で分かること
  1. 正当な理由なしに移された財産を戻して、当事者の公平を保つのが不当利得返還請求である。
  2. 払いすぎた利息である「過払い金」を取戻すのに、不当利得返還請求が役立つ。
  3. 使い込まれた預金や独り占めをされた賃料を取り返すにも、不当利得返還請求が役立つ。
  4. 相続財産については、不法行為による損害賠償請求も不当利得返還請求と同じ役目を果たす。
  5. 不当利得返還請求と不法行為による損害賠償請求には、期間の制限が設けられている。
  6. 不当利得返還請求によって財産を取り返すなら、まず弁護士に相談するのが一番である。

不当利得返還請求とは、正当な理由なしに移された財産を戻して、当事者の公平を保つ制度です。「過払い金」の取戻し、相続財産である預金や賃料の取り返しに役立ちます。不法行為による損害賠償請求も不当利得返還請求と同じ役目を果たします。いずれも、請求期間が制限されています。不当利得返還請求によって財産を取り返すなら、まず弁護士に相談するのが一番です。

不当利得返還請求とは

不当利得返還請求とは、不当な利得を返すよう求めることです。民法によって認められた権利です。

「不当な」とは、正当な理由がないことです。正当な理由とは、契約を結ぶことなど、財産の移動を正当なものとする理由です。

「利得」とは、相手から財産や労働力をもらい受けることです。相手の意思によってもらい受けるパターンと、相手の意思によらずにもらい受けるパターンとがあります。

「不当利得」とは、正当な理由がないのに、相手から財産などをもらい受け、相手に損をさせることです。

正当な理由があれば、相手の財産などが減ることは、正当なことなので、「損」とはいえません。正当な理由がなければ、相手の財産などが減ることは、正当なことではないので、「損」といえます。

正当な理由がないのに、相手から財産や労働力をもらい受けると、相手が損をします。相手は、財産などをもらい受けた者に対し、もらい受けた分を返すよう求めます。それが返されることで、相手の損が穴埋めされます。両者の損得のバランス(=公平)が保たれます。公平を保つことが、不当利得返還請求の目的です。

代表的な不当利得返還請求「過払い金」

不当利得返還請求の代表例として、過払い金の返還請求があります。最近、テレビなどのCMで耳にすることばです。

過払い金」とは、すでに支払ってしまった、利息制限法による制限を越えた利息のことです。

利息制限法は、借金の利息を制限する法律です。たとえば、借りたお金が10万円未満であれば、利息は年20%を超えてはならないと決められています。

利息制限法による制限を越えた利息は、無効です。無効な利息は、正当な理由のない利息です。

お金の貸主が、利息制限法による制限を越えた利息(=過払い金)を受け取ることは、正当な理由のない利息を受け取ることであり、不当利得に当たります。

借主は、貸主に対して、不当利得返還請求として、過払い金の返還を求めることができます。

ワンポイントアドバイス
過払い金の返還請求をするには、いくら借りて、利息は何%なのかをはっきりさせなければなりません。金銭消費貸借契約書や借用書などから読み取らなければなりません。借主がすでに支払った金額もはっきりさせなければなりません。返済金の領収書、引き落とし口座となっている通帳の記録などから読み取らなければなりません。こうした作業は、一般の方には難しいことです。借金問題に詳しい弁護士に相談することが一番です。

相続で不当利得返還請求を行えるシーン

前の章では、お金の貸し借りにおいて不当利得返還請求を行うシーンを紹介しました。それでは、相続において不当利得返還請求を行えるシーンはあるのでしょうか。

相続において不当利得返還請求を行えるシーンとして、次の2つを挙げることができます。

  • 一部の相続人が、相続財産である預金を使い込んだ
  • 一部の相続人が、相続財産の賃料を勝手に受け取って独り占めした

それぞれのシーンについて解説します。

預金の使い込み

一部の相続人が、相続財産である預金を、他の相続人に無断で勝手に引き出し、使ってしまうことがあります。

相続財産は、遺産分割がすむまでは、相続人全員の財産です。それを勝手に使い込むことは、正当な理由なく、他の相続人の財産をもらい受け、他の相続人に損をさせることです。

他の相続人は、使い込んだ相続人に対し、使い込んだ分の預金を返すよう求めることができます。預金使い込みシーンでの不当利得返還請求です。

1相続人による賃料収入の独占

一部の相続人が、相続財産であるアパートなどの賃料を借主から受け取り、そのまま自分のものにしてしまうことがあります。

相続人はそれぞれ、相続財産について、同じ割合で権利を持ちます。相続分といいます。「何分のいくつ」という分数で表されます。

賃料でいえば、賃料×相続分で計算された金額だけが、それぞれの相続人がもらえる賃料です。

一部の相続人が賃料すべてを独り占めすることは、正当な理由なく、他の相続人の財産をもらい受け、他の相続人に損をさせることです。

他の相続人は、賃料を独り占めした相続人に対し、自分の相続分以上の賃料を返すよう求めることができます。賃料独占シーンにおける不当利得返還請求です。

ワンポイントアドバイス
預金の使い込みや賃料の独り占めをするほどの人は、常識やモラルの欠けた人がほとんどです。しかも、他の相続人の意思によらずに使い込みや独り占めをする点で、他の相続人を軽視する度合いも強いです。こうした難敵を相手に不当利得返還請求を行うことは、決して容易ではありません。高度な交渉力が必要です。弁護士は、相手との交渉を得意とする専門職です。相続において不当利得返還請求をするなら、弁護士の力を借りることをお勧めします。

不当利得返還請求と損害賠償請求の違い

使い込みや独り占めをされた相続財産を取り返す方法は、不当利得返還請求だけではありません。不法行為による損害賠償請求という方法もあります。

不法行為による損害賠償請求とは

不法行為とは、わざとまたはうっかり、社会的に許されない方法で、他人に損害を与える行為です。不法行為によって損害を受けた人は、不法行為をした者に対し、損害賠償を求めることができます。

相続財産の使い込みや独り占めは、わざと、社会的に許されない方法で、他の相続人に損害を与える行為です。他の相続人は、相続財産をもらえなくなるという損害を受けます。不法行為に当たります。損害を受けた他の相続人は、使い込みや独り占めをした者に対し、損害賠償を求めることができます。

使い込みや独り占めにおける損害賠償とは、他の相続人に相続財産を返すことです。

不当利得返還請求との違いとは

不当利得返還請求と不法行為による損害賠償請求は、使い込みや独り占めをされた相続財産を取り返すことを目的とする点で同じです。

目的は同じでも、法律上は違う制度です。この2つの方法には、具体的にどんな違いがあるのでしょうか。

最も大きな違いは、消滅時効期間の長さです。権利は、一定の期間が経つと消滅してしまう場合があります。この期間が、消滅時効期間です。

不当利得返還請求権の消滅時効期間は10年間

不当利得返還請求権の消滅時効期間は、不当利得があった時から10年間です。使い込みや独り占めの場合でいえば、相続財産の使い込みや独り占めがされてから10年間経てば、不当利得返還請求権は時効によって消滅します。

不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は3年間

不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は、被害者が損害と加害者を知った時から3年間です。

使い込みや独り占めの場合でいえば、他の相続人が、使い込みや独り占めの事実および使い込みや独り占めをした者を知ってから3年間経てば、不法行為に基づく損害賠償請求権は時効によって消滅します。

ワンポイントアドバイス
消滅時効期間については、不法行為による損害賠償請求権よりも不当利得返還請求権の方が長いので、使い込みや独り占めから長期間経っての返還請求であれば、不当利得返還請求の方が効果的といえます。しかし、時効には中断というものがあり、中断されると期間の計算は振り出しに戻ります。これらは法律で決められた専門的なことなので、一般の方には理解しずらいかと思われます。不当利得返還請求権と不法行為による損害賠償請求権の消滅時効については、弁護士に相談することが間違いを防ぐ一番の方法です。

不当利得返還請求の申立は弁護士に相談を

使い込みや独り占めをされた相続財産を取り返すには、まず相手との交渉から始めます。しかし、使い込みや独り占めをするような者との交渉は、一筋縄ではいかないことがほとんどです。そうなれば、裁判を起こして、相続財産を取り返すしかありません。

相続財産を巡るトラブル相手との交渉、裁判の開始と進行。これらは、一般の人にはとても難しいことです。交渉と裁判手続のプロである弁護士の力を借りるのが一番です。

相続財産を取り返すために不当利得返還請求の申立を考えたら、まず相続に強い弁護士に相談しましょう。

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