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特定調停の5つのメリットを弁護士が徹底解説!

この記事で分かること

  • 特定調停の5つの大きなメリット(費用面・スピード面・手続き面)が具体的に分かります
  • 特定調停の手続きの流れと、必要となる費用・期間の目安が把握できます
  • 特定調停のメリットを最大限に活かすための注意点や、向いている人の特徴が分かります
  • 他の債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)との違いを比較しながら、自分に合った方法を判断できます
  • 特定調停のデメリットを踏まえた上で、弁護士に相談すべきタイミングが理解できます

特定調停は、簡易裁判所の調停委員を介して債権者と返済条件を話し合う債務整理手続きです。費用が安く、スピーディに解決でき、調停委員が交渉を仲介してくれる上、借金理由を問われず財産も残せる5つのメリットがあります。一方で過払い金請求ができない等のデメリットも存在するため、自分に合うか弁護士に相談することが大切です。

特定調停とは?基本的な仕組みを理解しよう

「毎月の返済が苦しい」「借金が減る気配がない」そんな悩みを抱えていませんか。借金問題を解決する方法はいくつかありますが、その中でも比較的負担が軽く、個人でも取り組みやすい手続きが「特定調停」です。

まずは特定調停がどのような制度なのか、基本的な部分から確認していきましょう。仕組みを正しく理解することが、借金問題解決への第一歩になります。

特定調停の定義と目的

特定調停とは、借金の返済が困難になった債務者が、簡易裁判所に申立てを行い、調停委員を介して債権者と返済条件について話し合う手続きのことです。正式には「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律(特定調停法)」に基づいて行われます。

主な目的は、借金の利息をカットしたり、返済期間を延長したりすることで、債務者が無理なく返済を続けられる状態にすることにあります。原則として元金は減りませんが、将来発生する利息のカットや、返済回数を3年〜5年程度に分割し直すことで、毎月の返済負担を大きく軽減できるのです。

他の債務整理との違い

債務整理には、特定調停のほかに任意整理、個人再生、自己破産という方法があります。それぞれ特徴が異なるため、まずは違いを整理しておきましょう。

手続き 関与する機関 費用の目安 期間の目安 元金の減額
特定調停 簡易裁判所 数千円程度 約3ヶ月 原則なし
任意整理 弁護士・司法書士 1社あたり3〜5万円 3〜6ヶ月 原則なし
個人再生 地方裁判所 30〜60万円 6ヶ月〜1年 あり(最大10分の1)
自己破産 地方裁判所 30〜80万円 6ヶ月〜1年 全額免除

このように比べてみると、特定調停は 費用と期間の面で群を抜いて負担が軽い ことが分かります。一方、元金は減らないという特徴もあるため、ご自身の借金の状況に合わせて選ぶことが大切です。

特定調停を利用できる人の条件

特定調停は、借金で困っている方なら基本的に誰でも利用できる、間口の広い制度です。具体的には次のような条件を満たす方が対象になります。

  • 支払不能に陥るおそれのある債務者(将来的に返済が難しくなりそうな方)
  • 事業の継続に支障をきたすおそれのある事業者
  • 債務超過に陥るおそれのある法人

「将来的に支払不能になるおそれ」があれば申立てができるため、すでに延滞している必要はありません。「このままだと支払いが厳しくなりそうだ」と感じた段階で利用できる、予防的な側面も持つ手続きなのです。

ワンポイントアドバイス
特定調停は簡易裁判所で行う債務整理手続きで、費用と期間の負担が軽いのが特徴です。すでに延滞していなくても「支払不能のおそれ」があれば申立てできるため、早めの段階で検討する価値があります。

特定調停の5つの大きなメリット

ここからは、特定調停を選ぶことで得られる5つの大きなメリットについて、ひとつずつ詳しく解説していきます。「自分に合った債務整理はどれだろう」と迷っている方は、ぜひメリットを確認しながら、判断材料にしてみてください。

メリット1:費用が圧倒的に安く済む

特定調停の最大の魅力は、なんといっても費用の安さです。他の債務整理と比較したときに、これほどコストを抑えられる方法はほかにありません。

必要な実費は1社あたり1,000円程度

特定調停の申立てに必要な費用は、債権者1社につき以下の金額のみです。

費用項目 金額
申立手数料(収入印紙代) 500円
予納郵便切手代 420円程度
合計 約1,000円(1社あたり)

例えば3社から借入れがある場合でも、合計で3,000円程度しかかかりません。これは個人再生の数十万円、自己破産の数十万円と比べると、桁違いに安い金額です。

「弁護士費用が払えないから債務整理を諦めていた」という方にとって、特定調停は大きな救いとなる選択肢でしょう。

弁護士費用がかからない理由

特定調停では、調停委員が中立的な立場で債務者と債権者の間に入り、交渉を進めてくれます。そのため、必ずしも弁護士や司法書士に依頼する必要がなく、ご自身で手続きを行うことが可能なのです。

もちろん、弁護士に依頼してサポートを受けることもできますが、その場合は別途費用が発生します。「とにかくお金をかけずに借金問題を解決したい」と考える方には、自分で手続きを進められる特定調停が魅力的に映るはずです。

メリット2:スピーディに解決できる

借金問題は、解決までの時間が長引けば長引くほど、精神的な負担も大きくなります。特定調停は、この点でも非常に優れた手続きです。

申立てから約3ヶ月で終了

特定調停は、申立てから解決までおおむね3ヶ月程度で終わります。任意整理が3〜6ヶ月、個人再生や自己破産が6ヶ月〜1年かかることを考えると、その早さは際立ちます。

例えば、給料日前にお金が足りず、また借金を重ねてしまうという悪循環に陥っている方にとって、3ヶ月で解決できるというのは大きな希望になるでしょう。早く決着がつけば、その分だけ早く新しい生活を始められます。

期日は原則2回で完了

特定調停の期日は、通常2回で終了します。それぞれの期日では、次のような内容が話し合われます。

  1. 第1回期日:債務者の収入や支出を確認し、無理のない返済可能額を算出する(債務者のみ出頭)
  2. 第2回期日:債権者も出頭し、調停委員を介して具体的な返済条件について交渉する

債権者の数が多かったり、交渉が難航したりした場合には3回目の期日が設けられることもありますが、それでも他の手続きと比べれば短期間で済みます。仕事を休んで何度も裁判所に通う必要がないという点も、忙しい方にとってはありがたいポイントです。

メリット3:調停委員が交渉を仲介してくれる

「自分で債権者と交渉するなんて怖い」「強い口調で詰め寄られたらどうしよう」と不安に感じる方は多いはずです。特定調停では、そんな心配は無用です。

債権者と直接対面しなくて済む

特定調停では、債務者と債権者が顔を合わせて交渉することはありません。第2回期日以降は債権者も裁判所に出頭しますが、両者は別の部屋に入り、調停委員がそれぞれから話を聞いて交互に伝える形で交渉が進みます。

調停委員は中立的な立場の専門家で、裁判官経験者や弁護士、司法書士などが選任されることが多いです。法律の知識を持った第三者が間に入ってくれるため、債務者が一方的に不利な条件を押し付けられる心配もありません。

感情的なトラブルを避けられる

債務者と債権者が直接話し合うと、どうしても感情的になりやすいものです。「お金を返してほしい」と迫る債権者と、「もう少し返済を待ってほしい」と訴える債務者が対面すれば、話がこじれるのは想像に難くありません。

特定調停では調停委員が間に入ることで、こうした感情的な対立を避けられます。冷静に、合理的に、そして法的に妥当な範囲で話し合いを進められる仕組みになっているのです。

ワンポイントアドバイス
特定調停では、債務者が直接債権者と顔を合わせる必要がありません。調停委員という法律のプロが間に入って交渉してくれるため、強い口調で迫られる心配もなく、冷静に話し合いを進められます。

メリット4:借金の理由を問われない

「ギャンブルで作った借金は整理できないのでは?」「浪費が原因の借金でも大丈夫?」そんな不安を抱える方にも朗報があります。

ギャンブルや浪費でも利用可能

特定調停では、借金の理由は問われません。ギャンブル、浪費、投資の失敗、生活費の不足など、どんな理由で作った借金でも対象になります。これは自己破産との大きな違いです。

自己破産の場合、ギャンブルや浪費による借金は「免責不許可事由」に該当し、原則として借金が免除されない可能性があります(裁判官の裁量で免除される「裁量免責」もありますが、確実ではありません)。

一方、特定調停にはこのような制限がないため、 借金の原因に関わらず利用できる 点は、大きな安心材料になるでしょう。「自分の借金は理由が悪いから債務整理できないかも」と諦めていた方にも、道は開かれています。

個人・法人どちらでも申立てできる

特定調停は、個人だけでなく法人も利用できる珍しい手続きです。中小企業の経営者で資金繰りに悩んでいる方や、個人事業主の方も対象になります。

また、債務額にも特に上限はありません。個人再生では「住宅ローンを除く債務が5,000万円以下」という条件がありますが、特定調停にはこうした制限がないのです。借金の額が大きすぎて他の手続きが使えない場合でも、特定調停なら検討できる可能性があります。

メリット5:財産を手放さなくてよい

「家を残したい」「車がないと仕事にならない」そんな思いを抱える方にとって、特定調停は心強い味方です。

整理する債務を選べる柔軟性

特定調停は、任意整理と同じく整理する対象の債権者を自分で選べます。これは非常に大きなメリットです。例えば次のような選び方ができます。

  • 消費者金融からの借入れだけを整理して、住宅ローンはそのまま継続する
  • クレジットカードの債務だけを整理して、マイカーローンには手をつけない
  • 保証人がついている借金を除いて整理する

このように、ご自身の状況に合わせて柔軟に対応できるため、生活への影響を最小限に抑えながら借金問題を解決できるのです。

住宅や車を残したまま手続きできる

住宅ローンを整理対象から外せば、自宅を手放さずに済みます。マイカーローンを除けば、車も従来どおり利用できます。これは自己破産では実現できない大きな利点です。

自己破産の場合、生活に必要な最低限の財産(99万円以下の現金、生活必需品など)以外は処分しなければなりません。価値のある不動産や車は失われてしまいます。個人再生でも、所有財産以上の金額を返済する必要があるため、財産が多いと返済額も増える仕組みです。

その点、特定調停では 財産がいくらあっても返済額には影響しません。「家族のためにマイホームだけは守りたい」というケースでも、特定調停ならその願いを叶えられる可能性が高いのです。

ワンポイントアドバイス
特定調停では整理する債務を自分で選べるため、住宅ローンや自動車ローンを除外することで、家や車を残したまま借金問題を解決できます。財産を守りたい方にとって、これは非常に大きな魅力です。

特定調停ならではの隠れたメリット

5つの主要メリット以外にも、特定調停には他の債務整理にはない独自の魅力があります。あまり知られていないものの、知っておくと役立つポイントを紹介していきましょう。

裁判所が関与する安心感

特定調停は、簡易裁判所という公的機関が関与する手続きです。この点は、当事者同士で話し合う任意整理にはない安心感をもたらしてくれます。

調停は中立的な裁判所の場で行われるため、債権者が無理な要求をしてきたり、不当な圧力をかけたりすることがありません。法的な枠組みのなかで進められるという信頼感が、債務者の精神的な支えになります。「裁判所」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、簡易裁判所での調停はあくまで話し合いの場であり、裁判のような厳しい雰囲気とは異なります。

「17条決定」による解決力

特定調停では、当事者間で合意ができない場合に「17条決定」という制度が使われることがあります。これは民事調停法第17条に規定されている仕組みです。

17条決定とは、調停委員会が事件の解決のために必要と認めるときに、職権で当事者の利益を考慮した解決案を示す決定です。当事者が決定の告知を受けてから2週間以内に異議を申し立てなければ、その決定は確定し、調停成立と同じ効力を持ちます。

この制度があるおかげで、債権者が一方的に厳しい条件を主張して話し合いを決裂させようとしても、裁判所が公正な解決案を提示してくれる可能性があるのです。「合意できなければそれで終わり」ではない点が、特定調停の解決力を支えています。

調停調書の法的効力

調停が成立すると、合意内容を記載した「調停調書」が作成されます。この調停調書には、確定判決と同じ効力があります。つまり、もし債権者が調停内容に反した請求をしてきた場合、債務者は法的に対抗できるということです。

逆に言えば、債務者が調停内容を守らなければ強制執行されるリスクもあるため、双方にとって拘束力の強い合意となります。法的な裏付けがある約束だからこそ、安心して新しい返済計画をスタートできるのです。

家族や職場に知られにくい

債務整理を考える方の多くが気にするのが、「家族や職場にバレないか」という点です。特定調停は、比較的知られにくい手続きと言えます。

裁判所からの郵便物は本人宛てに届きますし、官報に名前が掲載されることもありません(自己破産や個人再生では官報に掲載されます)。職場への連絡が入ることも、原則としてありません。

ただし、家族と同居している場合は、裁判所からの郵便物を見られてしまう可能性はあります。完全に秘密にできるわけではない点は、念頭に置いておきましょう。

特定調停の手続きの流れ

「実際に特定調停を申し立てる場合、どんな流れになるの?」気になる手続きの流れを、ステップごとに見ていきます。全体像を把握しておけば、心の準備もしやすくなりますよ。

ステップ1:必要書類の準備

特定調停を申し立てるには、以下のような書類を準備する必要があります。

書類名 内容
特定調停申立書 裁判所所定の書式で作成。借金の状況や申立ての理由を記載
権利関係者一覧表 債権者の名称・住所・債務額などをまとめた一覧
財産目録 所有する財産(預貯金、不動産、自動車など)を記載
家計収支表 毎月の収入と支出を記載した表
住民票・戸籍謄本 本人確認のため
給与明細・源泉徴収票 収入を証明するため

これらの書類は、申立てを行う簡易裁判所のホームページからダウンロードできるほか、裁判所の窓口でも入手可能です。記入方法に不安がある場合は、裁判所の書記官に相談すれば丁寧に教えてもらえます。

ステップ2:簡易裁判所への申立て

書類が揃ったら、債権者(相手方)の住所地を管轄する簡易裁判所に申立てを行います。複数の債権者に対して同時に申立てる場合は、一括して申し立てることもできます。

申立て時には、収入印紙代と予納郵便切手代を納付します。書類に不備がなければ、その場で受理されます。

ステップ3:第1回調停期日

申立てから約1ヶ月後に、第1回調停期日が設定されます。この期日には債務者のみが出頭し、調停委員と次のような点を確認します。

  • 申立てに至った経緯と借金の理由
  • 現在の収入と支出の状況
  • 毎月返済可能な金額の試算
  • 整理を希望する債権者と除外する債権者

調停委員は債務者の生活状況を丁寧に聞き取り、現実的な返済計画の方向性を一緒に検討してくれます。緊張するかもしれませんが、法律の専門家と一対一で話せる貴重な機会だと思って、率直に状況を伝えましょう。

ステップ4:第2回以降の債権者交渉

第1回期日から約1ヶ月後、第2回期日が開かれます。ここからは債権者も出頭し、本格的な交渉が始まります。前述したとおり、債務者と債権者は別の部屋に入り、調停委員が間を行き来して話を取り次ぎます。

交渉では主に次の点が話し合われます。

  1. 将来利息のカット
  2. 遅延損害金のカット
  3. 分割返済の回数(通常3年〜5年)
  4. 毎月の返済額

1回の期日で合意に至らない場合は、3回目、4回目と期日が設けられることもあります。

ステップ5:調停成立と返済開始

すべての債権者と合意ができれば、調停成立です。合意内容を記した調停調書が作成され、その内容に従って新しい返済が始まります。

合意できない債権者がある場合は、先ほど触れた17条決定によって解決が図られることもあります。それでも解決しない場合は、調停不成立となり、別の債務整理方法を検討する必要があるでしょう。

ワンポイントアドバイス
特定調停の手続きは、書類準備→申立て→第1回期日→第2回期日(債権者交渉)→調停成立、という流れで進みます。トータルで3ヶ月程度の比較的短期間で完結するのが特徴です。

知っておくべき特定調停のデメリットと注意点

ここまで特定調停のメリットを中心にお伝えしてきましたが、当然ながらデメリットもあります。後悔しない選択をするために、注意点もしっかり押さえておきましょう。

過払い金請求ができない

特定調停では、過払い金請求を同時に行うことができません。これは見落としがちな大きな注意点です。

2010年の貸金業法改正以前、多くの消費者金融が法定利率を超える「グレーゾーン金利」で貸付を行っていました。長期間取引していた方の中には、利息を払い過ぎている「過払い金」が発生している可能性があります。

特定調停の手続きで取引履歴を取り寄せて引き直し計算をしたとき、過払い金が判明することはあります。ただし、特定調停はあくまで「将来の返済方法を決め直す」手続きであり、「過去に払い過ぎた金銭の返還を求める」ものではないのです。

過払い金がある場合は、調停とは別に過払い金返還請求訴訟を起こす必要があります。手間も費用も二重にかかってしまうため、長期間借入れをしていた方は、特定調停の前に弁護士に相談したほうがよいでしょう。

2回滞納で強制執行のリスク

特定調停で作成される調停調書には、確定判決と同じ法的効力があります。これは安心材料でもありますが、同時にリスクでもあります。

調停調書には通常、「2回以上の返済を怠った場合、期限の利益を喪失し、残債務を一括弁済する義務が生じる」という条項が記載されます。期限の利益とは、決められた期限までは返済しなくてよいという債務者の権利のことです。

これを失うと、債権者から残債務の一括返済を求められる可能性があります。支払えなければ、給与や預貯金、不動産などの財産を差し押さえられる強制執行に発展しかねません。

調停成立後は、何があっても返済を続けられる無理のない計画を立てることが、何よりも重要です。

信用情報への登録(ブラックリスト)

特定調停も債務整理の一種であるため、信用情報機関に事故情報として登録されます。いわゆる「ブラックリスト入り」です。登録される期間はおおむね5年程度とされています。

この期間中は、新たな借入れやクレジットカードの作成が難しくなるほか、住宅ローンや自動車ローンの審査にも通りにくくなります。携帯電話の分割払いや、賃貸物件の契約(信販系の保証会社を利用する場合)にも影響が出ることがあるのです。

「現金生活は不便そうだ」と感じる方もいるかもしれませんが、借金問題から抜け出すためには避けて通れない期間と言えるでしょう。逆に言えば、5年経てば信用情報は回復し、再びクレジットカードを作ったりローンを組んだりできるようになります。

自分で書類作成や交渉準備が必要

費用を抑えられるという特定調停のメリットは、裏を返せば「すべて自分で準備しなければならない」というデメリットでもあります。

申立書類の作成、債権者一覧の整理、家計収支表の作成、必要書類の収集など、慣れない作業が多く発生します。仕事をしながら平日の日中に裁判所へ何度も足を運ぶ必要もあるため、時間的な負担は決して小さくありません。

また、調停の場では調停委員が間に入ってくれるとはいえ、自分の主張を整理して伝える必要があります。法律の専門知識がないと、不利な条件で合意してしまうリスクもゼロではないのです。

「書類作成が苦手」「平日に裁判所へ行く時間がない」「交渉に自信がない」という方は、弁護士や司法書士のサポートを検討したほうが、結果的にスムーズに進むことが多いでしょう。

特定調停が向いている人・向いていない人

ここまでメリット・デメリットを見てきましたが、結局のところ「自分には特定調停が合っているのだろうか」と迷う方も多いはずです。判断の参考になるよう、向いている人・向いていない人の特徴を整理しておきましょう。

特定調停が向いている人の特徴

次のような方は、特定調停との相性が良いと考えられます。

  • 安定した収入があり、毎月一定額の返済が可能な方
  • 借金総額が比較的少なく、3〜5年で完済できる見込みがある方
  • とにかく費用を抑えて債務整理をしたい方
  • 住宅や車などの財産を残したい方
  • 自分で書類作成や手続きに対応できる時間と意欲がある方
  • 過払い金が発生していないことが明らかな方(借入期間が短い、低金利での借入など)

例えば、毎月の収入が安定している会社員の方で、消費者金融から3社・合計150万円の借金があるというケースであれば、特定調停は有力な選択肢になるでしょう。

特定調停が向いていない人の特徴

一方で、次のような方には特定調停はあまりおすすめできません。

  • 収入が不安定で、毎月の返済原資を確保できない方
  • 借金総額が大きく、3〜5年での完済が困難な方
  • 長期間借入れをしており、過払い金が発生している可能性がある方
  • 仕事が忙しく、平日に裁判所へ通う時間が取れない方
  • 書類作成や法的な手続きに大きな不安を感じる方
  • すでに給料の差し押さえなど、強制執行を受けている方

これらに当てはまる方は、別の債務整理方法を検討するか、弁護士に相談して最適な手続きを選んでもらうのがよいでしょう。

他の債務整理を検討すべきケース

特定調停以外の手続きを選んだほうがよいケースを、具体的に見てみましょう。

状況 おすすめの手続き 理由
過払い金が発生している 任意整理または過払い金返還請求 特定調停では過払い金請求ができない
借金総額が500万円超で住宅を残したい 個人再生 元金の大幅減額と住宅ローン特則が使える
収入がなく返済できる見込みがない 自己破産 借金が全額免除される
債権者と交渉だけで済ませたい 任意整理 裁判所を介さずに済む

ご自身の状況がどれに当てはまるか、冷静に判断することが大切です。一人で決めかねるときは、弁護士の無料相談を活用してみてください。

特定調停を成功させるためのポイント

せっかく特定調停を申し立てるなら、確実に成功させたいですよね。最後に、調停を有利に進めるためのコツをお伝えします。

事前の家計見直しが重要

特定調停の第1回期日では、債務者の収入と支出について詳しく聞かれます。このときに「無理なく返済できる金額」を提示できるかどうかが、その後の交渉を左右します。

申立て前に、ご自身の家計をしっかり見直しておきましょう。具体的には次のような点をチェックします。

  • 毎月の手取り収入はいくらか
  • 家賃、光熱費、通信費などの固定費はいくらか
  • 食費、日用品費などの変動費はいくらか
  • 削れる支出はないか
  • 毎月いくらまでなら返済に回せるか

家計簿アプリを使えば、現状を客観的に把握しやすくなります。3ヶ月分くらいの記録があると、説得力のある資料として活用できるでしょう。

資料は丁寧に準備する

申立書類や財産目録、家計収支表は、 正確かつ丁寧に作成すること が大切です。不備があると、再提出を求められたり、調停委員からの心証が悪くなったりすることもあります。

分からない点があれば、裁判所の書記官に相談しましょう。書記官は手続きの進め方について丁寧に教えてくれますし、書式の入手方法や記入例も案内してくれます。

無理のない返済計画を立てる

調停で合意した返済計画は、必ず守らなければなりません。前述したとおり、2回以上の滞納で強制執行のリスクが生じるからです。

そのため、調停の場では「ぎりぎり払える金額」ではなく、 「余裕をもって払える金額」 を提示することがポイントです。例えば、本当は月5万円払えるとしても、突発的な出費に備えて月4万円で交渉する、といった工夫が大切になります。

ボーナス払いを組み込む場合は、勤務先の業績によってボーナスが減る可能性も考慮しましょう。「絶対に支払える」と確信できる範囲での合意を目指してください。

困ったら弁護士に相談を

「特定調停は弁護士なしでもできる」とお伝えしてきましたが、状況によっては専門家のサポートを受けたほうが、最終的に得をすることもあります。次のようなケースでは、弁護士への相談を強くおすすめします。

  • 債権者の数が多くて自分では対応しきれない
  • 過払い金が発生している可能性がある
  • 取引履歴の引き直し計算が複雑で分からない
  • 仕事が忙しく、自分で手続きを進める時間がない
  • 債権者から強硬な対応をされて困っている
  • そもそも特定調停が自分に最適なのか判断がつかない

多くの法律事務所では、債務整理に関する初回相談を無料で受け付けています。「相談するだけならタダ」と気軽に活用してみてください。専門家の視点から、最適な解決策を提示してもらえる可能性が高まります。

ワンポイントアドバイス
特定調停を成功させるカギは、事前の家計見直しと無理のない返済計画です。「払える金額」より少し低めの金額で合意することで、長期的に確実な返済を実現しやすくなります。困ったときは弁護士の無料相談を活用しましょう。

まとめ:特定調停のメリットを活かして借金問題を解決しよう

ここまで、特定調停のメリットを中心に、その仕組みや手続きの流れ、デメリットや成功のポイントまで詳しく解説してきました。改めて、特定調停の5つのメリットを振り返ってみましょう。

  1. 費用が圧倒的に安く済む(1社あたり1,000円程度)
  2. スピーディに解決できる(申立てから約3ヶ月)
  3. 調停委員が交渉を仲介してくれる(債権者と直接対面しない)
  4. 借金の理由を問われない(ギャンブルや浪費でもOK)
  5. 財産を手放さなくてよい(住宅や車を残せる)

これらのメリットは、他の債務整理にはない特定調停ならではの魅力です。「弁護士費用が用意できない」「住宅は何としても守りたい」「早く借金問題を解決したい」と考える方にとって、心強い選択肢になるでしょう。

一方で、過払い金請求ができない、2回滞納で強制執行のリスクがある、信用情報に登録されるといったデメリットもあります。メリットとデメリットの両面を理解した上で、ご自身に最適な手続きを選ぶことが大切です。

借金の悩みは、一人で抱え込むほど深刻になりがちです。「相談したら何か言われそうで怖い」と感じるかもしれませんが、弁護士は守秘義務があるため、相談内容が外部に漏れることはありません。多くの法律事務所が無料相談を実施しているので、まずは気軽に話を聞いてもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。

あなたの状況を最もよく理解した上で、特定調停がベストな選択なのか、それとも他の方法のほうが合っているのか、専門家の視点から的確なアドバイスがもらえるはずです。新しい一歩を踏み出すためのきっかけとして、ぜひ活用してみてください。

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