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個人でもできる特定調停|5つのメリットを解説!
この記事で分かること
- 特定調停は個人でも手続き可能で経費が安く済みます
- 特定調停では債権者との交渉には調停委員が間に入ってくれます
- 特定調停では任意整理と同様、整理する対象を選ぶことができます
特定調停には費用が抑えられる、迅速な解決が可能です。借金理由も問われず、財産を保持できる等のメリットがあります。しかし同時に複数回返済が滞ると強制執行のリスクもあるなど、デメリットも存在するので注意が必要です。
特定調停にはメリットが多い
特定調停とは簡易裁判所で調停委員を介して債権者との話し合いをし、借金残高の分割払いについて合意をする手続きで、さまざまなメリットがあります。
メリット1~経費が安く済む
特定調停も債務整理の一つですので、構図的には金融業者との交渉をすることになります。しかし特定調停では交渉を裁判所から選任された調停委員が間に入って交渉を進めてくれるため、必ずしも弁護士に依頼しなくてもよいため、弁護士費用がかかりません。
個人再生や任意整理の場合、滞りなく手続きを進めるためには専門知識が求められるため、弁護士や司法書士等の法律の専門家への相談が必要になり、着手金や相談料等、費用がかかります。しかし、特定調停ではそれらの経費がかからずにすみます。その代わり、必要書類の作成等申し立て人が行わなければなりません。
手続きにかかる経費として必要なのは、債権者一社につき500円の収入印紙代と一社につき420円の予納郵便切手代のみです。
メリット2~スピーディな解決が可能~
また特定調停は、債務整理の中で群を抜いて迅速な解決が可能です。期日は原則2回、期間としては申し立てから約3か月で終了するため、負担が少ないと言えます。
調停は申し立てから約3か月で解決が可能
特定調停は他の債務整理と比較してスピーディな解決が可能です。任意整理や個人再生では手続きに3か月~6か月の歳月を要しますし、自己破産では長ければ一年かかることもあります。一方、特定調停では申し立てから3か月程度で終了し時間的拘束が少ないのです。
通常2回の期日で終了、まとまらなければ3回目も
第1回期日は、分割返済可能な額を債務者の収入や固定支出(月収の額、家賃、水道光熱費、電話代、食費等)から検討する目的で開かれるため、出頭するのは債務者のみです。第2回期日以降は債権者との減額交渉が行われることになります。また消費者金融業者の数が多かったり、業者側が自社のみに有利な弁済条件(返済回数を減らす等)を求めたりすると業者を説得するために3回目の期日が開かれることがあります。
特定調停では手続き上も大きなメリットが
特定調停を語る上で欠かせないのが、手続き上のメリットでしょう。交渉も債務者が自身で行う必要はなく、借金の理由も問われないのです。
メリット3~交渉は調停員が代行してくれる
特定調停の申し立てをするのは債務者自身ですが、前述の通り、実際に債権者と交渉をする際は、調停委員が間に入ってくれます。
調停委員が交渉を仲介してくれる
メリット3~交渉は調停員が代行してくれる
特定調停の申し立てをするのは債務者自身ですが、前述の通り、実際に債権者と交渉をする際は、調停委員が間に入ってくれます。
調停委員が交渉を仲介してくれる
調停委員が交渉を仲介してくれる
特定調停において第2回期日以降は債権者も出頭し、交渉に入ることになります。しかしこの際債務者と債権者が直接話し合うわけではなく、交渉するのはあくまでも調停委員を介してです。多くの場合、債務者と債権者は別の部屋に入り、調停委員が双方から聞き取りをしてそれを交互に伝えることで話し合いを成り立たせる方式をとっています。
泥沼化することがない
調停委員が間に入るので、債権者との間で口論になることもありません。耳をそろえて借金を返して欲しい債権者と、減額したい債務者が直接顔を合わせて会議を行えば、こじれることは想像に難くないでしょう。債務者と債権者が対面することがない特定調停においては、そのようなトラブルを避けることができるのです。
メリット4~借金の理由も問われない
特定調停では借金の理由に関わらず手続き可能で、利用対象が広範囲です。特定調停の対象は将来支払い不能に陥るおそれのある者であり、個人・法人問わず利用可能な上、申請時における返済能力は問題になりません。
借金理由や債務状況にも制限はない
自己破産の場合、例えば無計画な浪費や投資の失敗による損失、ギャンブルが理由の借金等は「免責不許可事由」に該当し借金の整理が許可されないことがあります。その点特定調停ではこの決まりはなく特定債務者であれば個人・法人問わず利用可能です。また個人再生では、債務が5000万円以下であること等利用には厳しい条件があります。しかし特定調停ではある程度の返済能力は要するものの特定債務者であれば利用可能です。
このような点から、特定調停は利用のハードルが低く、門戸が広いと言えます。
財産が問題にならないメリットも
また特定調停では、任意整理と同様、整理する対象を選ぶことができるので財産を手放す必要はありませんし、財産状況が問題にならないメリットもあります。
メリット5~財産を手放す必要がない
特定調停は自己破産と異なり破産者となることもなく、財産を手放す必要もありません。また個人再生では所有する財産以上の返済が要求されますが、特定調停ではどれだけ多額の財産を持っていても返済額に影響はないのです。
財産を残せる
特定調停では任意整理と同様、整理する対象を選ぶことができます。例えば車を残したい場合はマイカーローンを、住宅を保持したい場合には住宅ローンを整理の対象から外せば引き続き所有可能で、財産を処分する必要がありません。
所有する財産で返済額が変わることもない
特定調停では所有する財産が問題になりませんが、同じ債務整理でも自己破産や個人再生の場合、そうはいきません。例えば自己破産の場合、生活に必要な最低限の財産以外の財産があれば、それは全て失うことになります。また債務を5分の1程度に圧縮できる個人再生の場合でも、所有する財産以上の返済が求められます。同じ1000万の借金があった場合でも、財産が全くなければ200万円の返済で済みますが、600万の財産があれば600万円を返済する必要があるのです。
特定調停では債務者がどれだけ多額の財産を持っていても問題になりません。債権者と債務者の双方が納得しさえすれば、調停は成立するのです。
「17条決定」とは
特定調停は、裁判所で行われるものの、あくまでも個々の債権者と交渉し調停をまとめる“私的な交渉”です。そのため、うまく話がまとまらないケースもあります。そうした場合のための制度が“17条決定”です。
この仕組みがとられるのは、特定調停に解決力を持たせるためです。と言うのも、話がまとまらなければ調停が成立しないのでは、多くの債権者が強固な姿勢をとり調停を不成立に終わらせようとするおそれがあるわけです。なお17条決定と呼ばれるのは、この決まりが民事調停法第17条に規定されているからです。
特定調停に際して覚えておきたい点
低コストで、迅速な解決が可能。借金理由も問われない上財産も残せる…などメリットばかりのように見える特定調停ですが、デメリットもあります。
過払い請求ができない
本来であれば、融資の際の利息は「利息制限法」によって定められています。しかし10年ほど前まで多くの金融機関がそれより高い利率での利息をとっていたのです。この差額が“過払い金”ですが、特定調停の際、同時に過払い金の返還請求を行うことはできないのです。
過払い金が見つかっても調定内で請求はできない
特定調停において、金融業者等から取引履歴を取り寄せ引き直し計算する過程で過払い金が見つかることがあります。しかしその場合でも調停で過払い金請求することはできません。なぜならば、特定調停はあくまでも“借金の返済方法を決め直す”ものであり、お金の返還を請求するものではないからです。よって過払い金が見つかった場合、調停外で請求するか、過払い金請求訴訟を起こさなければなりません。
複数回返済が滞ると強制執行されるおそれがある
調停が成立すると、債権者との合意内容を記した「調停調書」が作成されます。これには判決と同じ法的拘束力があり、内容に従わなかった場合“期限の利益”を喪失し、強制執行されるおそれがあるのです。
期限の利益喪失とは
「期限の利益」とは借金をしても定められた期限までは返済しなくてよい権利のことです。期限の利益喪失とはこの権利の喪失、つまり返済中に遅延した場合に、ただちに残債の一括返済を求められることを指します。
2回以上返済遅延すると強制執行されることも
調停調書には返済を2回以上怠った場合、債務者は期限の利益を喪失し残債を一括弁済する義務が生じる旨が記載されます。つまり調停終了後2回以上の返済遅延があれば債権者から一括請求が来ることになります。払えなければ給与や銀行預金の差し押さえ等、強制執行される可能性があります。調停が成立したら、この辺りのことを常に念頭に置き確実に返済しなければなりません。
特定調停にはメリットだけでなくデメリットもある
特定調停は幾つものメリットがある債務整理です。しかし同時にデメリットも多いのも事実です。特に返済遅延があると強制執行され、私生活に大きく影響することもありえます。特定調停を利用する際は、メリット・デメリット両方があることを覚えておきましょう。
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