2019/12/25 560view

二世帯住宅で相続税節税~争族を避けるために注意すべきポイント

この記事で分かること
  1. 小規模宅地の特例を使うと、宅地の評価額を80%下げることができる。
  2. 二世帯住宅だと、小規模宅地の特例を使いやすい場合がある
  3. 二世帯住宅に区分所有登記をすると、小規模宅地の特例が使えなくなる。
  4. 二世帯住宅の相続は、兄弟間の争いである「争族」トラブルになりやすい。
  5. 二世帯住宅の相続税節税と「争族」トラブル防止には、まず弁護士に相談することが一番である。

二世帯住宅の相続では、小規模宅地の特例を使うことで相続税が安くなります。小規模宅地の特例を使うには、クリアすべき条件があります。二世帯住宅の相続では、登記の仕方と、「争族」トラブルを防ぐことが重要です。二世帯住宅の相続を考えるなら、まず税と登記に詳しい弁護士に相談することが賢明です。

二世帯住宅は相続税対策になる

住宅と敷地の持ち主が亡くなると、それらは持ち主の相続人が相続します。住宅と敷地を相続した相続人は、国に相続税を納めなくてはなりません。

住宅が二世帯住宅の場合、敷地の相続税を安くできる場合があります。

この記事では、二世帯住宅の相続税を安くできる仕組み、および二世帯住宅を相続する際の注意点について解説します。

ワンポイントアドバイス
二世帯住宅の相続税を安くするには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。二世帯住宅を相続する際にぜひとも気を付けなければならない点もあります。相続と税についての専門知識が必要となります。二世帯住宅の相続については、まず税に詳しい弁護士に相談しましょう。

小規模宅地の特例が認められると相続税80%減額

二世帯住宅の相続税を安くできるのは、「小規模宅地の特例」という制度を使った場合です。相続税を納めるために住宅や敷地を売ることを防いで、住み慣れた住まいに住み続けることができるようにするための制度です。

小規模宅地の特例を使うと、相続する敷地について、評価額を80%下げることができます。相続する住宅の評価額を下げることまではできません。

評価額とは、相続税計算の基になる金額です。計算の基になる金額が80%下がれば、計算によって割り出される相続税の額も80%下がります。

2015年税制改正で減税の対象が拡大

2015年の税制改正により、小規模宅地の特例を使える土地面積の上限(限度面積)が、240㎡から330㎡へと広がりました。

評価額を80%減らせる面積が広がったことで、改正前よりも土地の評価額が下がるケースが増えました。

限度面積拡大により評価額が下がる計算例

限度面積が広がることで土地の評価額が下がることを、計算式に表してみましょう。土地面積が400㎡、もともとの評価額が5000万円だったとします。

改正前 下がる分の評価額 5000万円×240㎡/400㎡×80%=2400万円
最終評価額 5000万円-2400万円=2600万円
改正後 下がる分の評価額 5000万円×330㎡/400㎡×80%=3300万円
最終評価額 5000万円-3300万円=1700万円

限度面積が広がることで、土地の最終評価額が2600万円-1700万円=900万円下がることが分かります。

ワンポイントアドバイス
小規模宅地の特例は、相続税額を80%減らすことのできる節税効果の高い制度です。それだけに、特例を使うには、いくつかの条件があります。条件をクリアするための知識が必要です。小規模宅地の特例については、まず税に詳しい弁護士に相談することが一番です。

二世帯住宅で小規模宅地の特例が認められる条件

二世帯住宅について小規模宅地の特例を使うには、どんな条件をクリアしないといけないのでしょうか。特例の効果と合わせて解説します。

二世帯住宅に小規模宅地の特例を使うための条件

二世帯住宅に小規模宅地の特例を使うには、次の2つの条件をクリアしなければなりません。

  • 親世帯と子供世帯の生計が一であること
  • 相続後10か月間、子供がその家で生活すること

それぞれの条件について、父が亡くなり、唯一の相続人である長男が相続する場合を例に解説します。

親世帯と子供世帯の生計が一であること

小規模宅地の特例を使うには、被相続人が亡くなるまで、相続人と生活を共にしていたことが必要です。相続人が引き続きその住宅で生活できるようにするための制度だからです。

二世帯住宅でいえば、親世帯と子供世帯が生活を共にしていたことが必要です。これにより、父と長男が生活を共にしていたことになります。
 
生活を共にするとは、生計を一にする、つまり財布を一つにすることです。

二世帯住宅の場合、食材費、電気・ガス・水道代、電話料金などの生活費全般について、親世帯と子供世帯とで分担するのが普通です。たとえば、食材費は折半、電気・ガス・水道代は長男の口座から引き落とし、電話料金は父の口座から引き落としといった形です。

二世帯住宅だと、生計を一にしていると評価されやすい、したがって小規模宅地の特例を使いやすいといわれる理由がここにあります。

互いの自由な往来ができるか、玄関・台所・風呂などが別々か共用かといった住宅の造り、同一世帯か別世帯かといった住民票の形などは、生計が一の判断には影響しません。

相続後10か月間、子供がその住宅で生活すること

小規模宅地の特例を使うには、相続人が、相続後10か月間以上、その住宅で生活することが必要です。相続人がその住宅で生活を続けられるようにするための制度だからです。相続後10か月間というのは、相続税の申告期間に合わせた期間です。

二世帯住宅でいえば、長男が、相続後10か月間以上、その住宅で生活することが必要です。

二世帯住宅での小規模宅地の特例の効果

二世帯住宅に小規模宅地の特例を使うことで、二世帯住宅の敷地について、評価額が80%下がります。

ワンポイントアドバイス
二世帯住宅に小規模宅地の特例を使う条件のうち、特に親世帯と子供世帯の生計が一であることが重要です。二世帯住宅にする場合、生計が一であると税務署に評価されるように生活費負担の仕方を決めなければなりません。具体的にどのように負担するのがよいかは、ケースバイケースです。二世帯住宅を考えた時点で、税に詳しい弁護士に相談しましょう。

二世帯住宅を相続する場合の注意点

二世帯住宅を相続する場合に注意すべき点が2つあります。登記の方法、他の親族との関係の2点です。

父が亡くなり、唯一の相続人である長男が相続する場合を例に解説します。

二世帯住宅の区分所有登記はNG

二世帯住宅については、区分所有登記をしてはなりません。

区分所有登記とは、ひとつの建物を2つ以上に区分し、それぞれ別々の物件として、所有権登記をすることです。分譲マンションが、その代表です。マンション住人の居室は、それぞれ別々の所有権を持ちます。所有権登記も、居室ごと別々の所有権として登記されます。

二世帯住宅に区分所有登記をしたらどうなる?

二世帯住宅について、分譲マンションのように、親世帯と子供世帯とを別々に区分所有登記をしたとします。親世帯と子供世帯には、それぞれ別々の所有権があることになります。

税務署は、所有権が別々であることに目を付け、親世帯と子供世帯は生活が別々であると評価します。「生計を一にする」という小規模宅地の特例の条件が満たされないことになります。

敷地の相続について、評価額が80パーセント下がるという恩恵を受けられなくなってしまいます。

共有 or 親の単独名義

二世帯住宅の登記については、共有にするか、親の単独名義にするのが無難です。

共有は「生計を一」のイメージ

二世帯住宅を父と長男の共有とし、共有登記をする方法があります。共有とは、ひとつの所有権を分け合うことです。分け合う割合を、持分といいます。

住宅の所有権を分け合うことは、生活を共にしている意味を含みます。税務署による、「生計を一にしている」という評価につながりやすいのです。

敷地は父の単独名義、住宅は父と長男が持分1/2 ずつで共有したとします。父が亡くなりました。長男が、敷地全体と、住宅の父の持分1/2 を相続します。敷地について、小規模宅地の特例を使って、評価額を80%下げることができます。

単独名義も「生計を一」の評価につながる

二世帯住宅を父の単独名義にする方法もあります。父単独名義の住宅に、親世帯と子供世帯が暮らした場合、税務署は、両世帯の生活の実態から、「生計を一」かどうかを判断します。「生計を一にしている」と評価される可能性は十分にあります。

敷地の単独名義人である父が亡くなりました。長男が、敷地と住宅を相続します。敷地について、小規模宅地の特例を使って、評価額を80%下げることができます。

兄弟がいる場合「争族」トラブルの種に

二世帯住宅の親世帯としては、二世帯住宅ながらも一緒に暮らしてくれる子供に感謝の気持ちを抱きます。

その気持ちは、自分亡き後の財産の分け方を決める際の親の心情に影響します。遺言で遺産の分け方を決めるとき、一緒に暮らしてくれている子供に与える財産が、他の子供に与える財産よりも多くなることは十分に考えられます。

このことは、他の子供たちの不満と反発を招きます。他の子供たちは、親と同居兄弟を非難します。親と同居兄弟もこれに反論し、応酬の繰り返しとなります。双方の関係は、もはや親族ではなく、相続をもじった「争族」となってしまいます。

二世帯住宅を建てる際は、一緒に住む子供だけでなく、他の子供も交えて、将来の相続問題について話し合いをしておくことが、「争族」トラブルを防ぐためのポイントです。

ワンポイントアドバイス
二世帯住宅の登記の仕方は、小規模宅地の特例の利用を左右する重要なポイントです。二世帯住宅にすることで、兄弟間の「争族」になることも避けなくてはなりません。二世帯住宅の登記、兄弟間の「争族」防止について、登記や親族間トラブルに詳しい弁護士に相談し、アドバイスをもらうことをお勧めします。

二世帯住宅の相続は、事前の準備が重要

二世帯住宅の相続に際し、小規模宅地の特例を使って相続税を安くするには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。

小規模宅地の特例が使えないと分かってあたふたとしないように、二世帯住宅を計画する時点で、小規模宅地の特例についてしっかりと調べ、土地の評価額が確実に下がるように、十分な事前準備をしましょう。

事前準備には、相続・税・登記についての知識が必要です。これらは、一般の方がおいそれと理解できる代物ではありません。専門家のアドバイスが欠かせません。

二世帯住宅の相続については、税や登記に詳しい弁護士に相談しましょう。

遺産相続は弁護士に相談を
法律のプロがスムーズで正しい相続手続きをサポート
相続人のひとりが弁護士を連れてきた
遺産分割協議で話がまとまらない
遺産相続の話で親族と顔を合わせたくない
遺言書に自分の名前がない、相続分に不満がある
相続について、どうしていいのか分からない
上記に当てはまるなら弁護士に相談