6,306view
借地権の相続手続きと注意すべき3つのポイント

この記事で分かること
- 借地権の種類(旧法・普通・定期)と相続への影響の違い
- 法定相続人が相続する場合は地主の許可が不要な理由と、許可が必要になる3つのケース
- 相続登記・遺産分割協議・地主への通知・相続税申告まで手続きの流れ全体
- 普通借地権・定期借地権それぞれの相続税評価額の計算方法
- 相続後に注意すべき3つのポイントと地主とのトラブル事例・対処法
- 売却・地主への買い取り・相続放棄など、借地権の活用・処分の選択肢
借地権は土地を借りて建物を所有する権利で、相続財産として相続税の対象になります。法定相続人が相続する場合は地主の許可不要ですが、売却・遺贈・建て替えの際は承諾が必要です。この記事では手続きの流れ・評価額の計算・地主トラブルの対処法まで弁護士目線で徹底解説します。
目次[非表示]
「親が亡くなったが、住んでいた家は借りた土地の上に建っていた。借地権も相続できるのだろうか?」「地主から立ち退きを求められているが、応じなければならないのか?」――借地権の相続をめぐる相談は、弁護士のもとにも数多く寄せられます。
借地権は、土地を借りて建物を所有する権利です。目に見えないだけに「財産としての価値がないのでは」と思われがちですが、実は預貯金や株式と並ぶ立派な相続財産です。都市部では、借地権の評価額が数千万円から1億円を超えるケースも珍しくありません。
その一方で、借地権の相続には通常の不動産相続にはない複雑な問題が絡んできます。地主との関係・契約の種類・建物の登記・相続税の評価方法など、知らないまま進めると後から大きなトラブルに発展することがあります。
この記事では、借地権の基礎知識から手続きの流れ・注意すべきポイント・地主とのトラブル対処法まで、弁護士の視点から丁寧に解説していきます。
借地権とは?相続との関係をまず理解しよう
借地権の定義と所有権との違い
借地権とは、建物を所有することを目的として、他人の土地を借りる権利のことです。土地の持ち主(地主)に地代を支払いながら、その土地の上に自分の建物を建てて使用することができます。
土地の「所有権」と「借地権」の最大の違いは、土地そのものを持っているかどうかです。所有権があれば土地を自由に使用・処分できますが、借地権はあくまで「借りている」権利にすぎません。契約期間が終われば原則として土地は地主に返還することになります。
ただし、借地権は「弱い権利」ではありません。借地借家法という法律によって借地権者(借り主)の権利は強く保護されており、地主が一方的に契約を解除したり立ち退きを求めたりすることは、原則として認められていません。
地上権と賃借権の違い
借地権には大きく分けて「地上権」と「賃借権」の2種類があります。実務上のほとんどは賃借権ですが、その違いを理解しておきましょう。
| 種類 | 法的性質 | 譲渡・転貸 | 登記 |
|---|---|---|---|
| 地上権 | 物権(強い権利) | 地主の承諾なしに自由に可能 | 地主の協力がなくても単独で登記可能 |
| 賃借権 | 債権(相対的な権利) | 原則として地主の承諾が必要 | 地主の協力なしには登記できないケースが多い |
地上権は地主にとって不利な面が多いため、実際の契約ではほとんどが「賃借権」で設定されています。賃借権の場合、売却や転貸には地主の承諾が必要です。ただし、相続による承継については地主の承諾は不要です(後述)。
借地権は立派な相続財産である
「借地権は土地を借りているだけだから財産ではない」と思っている方が多いのですが、これは大きな誤解です。
借地権は法律上の財産として相続の対象となり、相続税の課税対象にもなります。都市部の土地における借地権の評価額は、路線価に借地権割合(多くの地域で60〜70%)を掛けた額となり、相続財産の中でも高額な部類に入ります。
たとえば、路線価が1平方メートルあたり50万円・地積が100平方メートル・借地権割合70%の場合、借地権の評価額は次のように計算されます。
50万円 × 100㎡ × 70% = 3,500万円
被相続人が借地権を持っていた場合、必ずこの評価額を相続財産に含めて計算しなければなりません。見落としは税務上の問題にも発展しますので注意が必要です。
借地権の種類と相続への影響
借地権には、大きく3種類あります。どの種類の借地権かによって、相続後の権利関係や手続きの内容が変わってきます。まず、被相続人の借地契約がどの種類に該当するかを確認することが最初のステップです。
旧法借地権(1992年8月以前の契約)
1992年(平成4年)8月1日に現在の借地借家法が施行される前に締結された借地契約には、旧法(借地法・借家法)が適用されます。現在もその経過措置は続いており、旧法借地権のまま相続されるケースが多くあります。
旧法借地権の存続期間は、建物の種類によって異なります。
| 建物の種類 | 最初の契約期間 | 更新後の期間 |
|---|---|---|
| 非堅固建物(木造など) | 30年(契約で異なる場合は20年) | 20年 |
| 堅固建物(鉄筋コンクリートなど) | 60年(契約で異なる場合は30年) | 30年 |
旧法借地権は借地人の保護が非常に手厚く、正当事由がなければ地主からの解約・更新拒絶はほぼ認められません。長期間にわたって使い続けられる点で、借地人に非常に有利な権利です。
普通借地権(新法)
1992年8月1日以降に締結された借地契約に適用される借地借家法上の借地権のうち、更新が前提となっているものを「普通借地権」といいます。
普通借地権の存続期間は建物の種類に関係なく当初30年で、最初の更新後は20年、その後の更新は10年ごととなっています。
地主が更新を拒絶するには「正当事由」が必要であり、これを証明するのは容易ではありません。実質的には借地人が望む限り使い続けられる権利として機能しており、相続においても借地人の権利は保護されます。
定期借地権(新法)
定期借地権は、契約期間が満了したら必ず土地を返還しなければならない借地権です。更新はありません。代表的な種類は以下のとおりです。
- 一般定期借地権:存続期間50年以上。期間満了後は建物を解体して土地を返還
- 建物譲渡特約付借地権:存続期間30年以上。期間満了後に地主が建物を買い取る
- 事業用定期借地権:存続期間10年以上50年未満。事業用建物のみ対象
定期借地権を相続した場合、契約残存期間がどれくらいあるかが非常に重要です。残存期間が短い場合、相続してもすぐに土地を返還しなければならず、建物の解体費用も発生します。定期借地権の相続は特に慎重な判断が必要です。
種類の確認方法と相続への影響
被相続人の借地権がどの種類かを確認するには、まず「土地賃貸借契約書」を探してください。契約書に締結日・存続期間・更新の有無などが記載されています。
契約書が見当たらない場合は、法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得し、借地権が登記されているかどうかを確認します。登記されていれば「賃借権設定」として記載されており、存続期間や地代などの情報が確認できます。
借地権の相続に地主の許可は必要か
法定相続人が相続する場合は許可不要
結論から言えば、法定相続人が借地権を相続する場合、地主の許可は必要ありません。
これは、相続が「売買」や「贈与」などの意思表示に基づく権利の移転とは異なり、「包括承継」(被相続人の権利義務がそのまま相続人に引き継がれること)にあたるためです。借地権を第三者に譲渡するのではなく、被相続人の権利がそのまま法定相続人に移るわけですから、地主の承諾は不要とされています。
また、地主が要求してきたとしても、名義変更料(承諾料)を支払う義務もありません。賃貸借契約書を書き直す必要もなく、地代や契約期間など契約内容はそのまま引き継がれます。
地主の許可が必要になる3つのケース
法定相続人への相続では許可は不要ですが、次の3つのケースでは地主の許可が必要となります。
-
法定相続人以外への遺贈(第三者への遺贈)
遺言によって法定相続人以外の人(友人・法人・内縁の配偶者など)に借地権を遺贈する場合は、「特定承継」とみなされ、譲渡と同じ扱いになります。地主の承諾と譲渡承諾料(借地権価格の10%程度)の支払いが必要です。なお、地主が承諾しない場合は、家庭裁判所に「借地権譲渡承諾許可の申立て」を行うことで、裁判所が地主に代わって許可を与えることもできます。 -
建物の建て替え・増改築をする場合
相続後に老朽化した建物を建て替えたい場合や増改築を行う場合は、地主の承諾が必要です。多くの賃貸借契約には「増改築禁止特約」が設けられており、地主の承諾なしに工事を行うと契約解除の原因となる可能性があります。 -
借地権付き建物を第三者に売却する場合
相続した借地権付き建物を他の人に売る場合は、借地権の譲渡として地主の許可が必要です。この場合も譲渡承諾料(借地権価格の10%程度)が発生します。
地主に相続を通知すべき理由
許可は不要であっても、地主への通知は行うべきです。相続後もその土地を使い続けるためには、地主との良好な関係が不可欠だからです。
通知しないままでいると、地主が「誰が今の借地人なのか」を把握できず、更新交渉・地代改定・建物の管理などで行き違いが生じやすくなります。書面(内容証明郵便が望ましい)で相続の事実と相続人の氏名・連絡先を通知しておくことをおすすめします。
借地権相続の手続きの流れ
借地権の相続手続きは、主に5つのステップで進みます。通常の不動産相続と重なる部分もありますが、借地権特有の確認事項もあります。順を追って解説します。
ステップ1:借地契約書の確認
まず、被相続人が地主と締結していた「土地賃貸借契約書」を確認します。確認すべき内容は以下のとおりです。
- 借地権の種類(旧法・普通借地権・定期借地権)
- 契約締結日と存続期間
- 地代の金額と支払方法
- 増改築・転貸・譲渡に関する特約の有無
- 更新料の有無と金額
- 契約解除条件
これらは相続するかどうかの判断、その後の地主との交渉、売却・建て替えの方針決定に直結する重要な情報です。契約書は必ずコピーをとって保管しておいてください。
ステップ2:遺産分割協議
相続人が複数いる場合は、全員で遺産分割協議を行い、借地権を誰が相続するかを決めます。借地権付き建物は原則として一人の相続人が取得すべきで(後述)、複数の相続人で共有することはトラブルの原因になりやすいため避けることをおすすめします。
協議がまとまったら「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・押印します。遺産分割協議書は相続登記に必要な書類ですので大切に保管してください。
ステップ3:建物の相続登記(名義変更)
遺産分割協議で借地権を引き継ぐ人が決まったら、建物の相続登記(名義変更)を法務局に申請します。2024年4月1日からは相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記を行わなければ、10万円以下の過料が課される可能性があります。
なお、借地権が土地の登記簿に登記されている場合は、建物の相続登記と合わせて土地の借地権についても相続登記が必要になります。自分では対応が難しい場合は司法書士または弁護士に依頼してください。
相続登記に必要な主な書類は以下のとおりです。
- 被相続人の戸籍(出生から死亡まで一式)・除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印押印)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続する人の住民票
- 建物の固定資産税評価証明書
- 土地賃貸借契約書(借地権の確認のため)
ステップ4:地主への通知
相続登記が完了したら、地主に対して相続が発生した旨と、新たな借地権者(相続人)の氏名・連絡先を書面で通知します。義務ではありませんが、今後の地代支払い・更新交渉・建物管理などをスムーズに行うために必ず行っておきましょう。
地主が「名義変更料を払え」「新たに契約書を作り直せ」と要求してきても、法定相続の場合は応じる義務がありません。ただし、関係悪化を避けるために丁寧に対応することが重要です。
ステップ5:相続税申告
借地権を含む相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税を申告・納税しなければなりません。
借地権の評価額は自分では計算しにくく、評価方法を誤ると申告額が変わってきます。税理士に相談して正確な評価額を算出することをおすすめします。
借地権の相続税評価額の計算方法
借地権を相続した場合、相続税の申告にあたって「借地権の相続税評価額」を正確に計算する必要があります。評価方法は借地権の種類によって異なります。
普通借地権の評価計算式
普通借地権(旧法借地権を含む)の相続税評価額は、以下の計算式で算出します。
普通借地権の評価額 = 自用地評価額 × 借地権割合
- 自用地評価額:その土地が権利のない更地だった場合の相続税評価額(路線価方式または倍率方式で計算)
- 借地権割合:地域ごとに国税庁が定めた割合(30〜90%の間で設定されており、都市部では60〜70%が多い)
【計算例】路線価30万円/㎡・地積100㎡・借地権割合70%の場合:
自用地評価額:30万円 × 100㎡ = 3,000万円
借地権評価額:3,000万円 × 70% = 2,100万円
定期借地権の評価方法
定期借地権の評価は普通借地権より複雑で、契約残存期間によって評価額が変わります。残存期間が短いほど評価額は低くなります。
一般定期借地権の評価額は次の計算式が基本です。
一般定期借地権の評価額 = 自用地評価額 × 残存期間に応じた逓減率(国税庁の基準に従う)
実際の計算は国税庁の「財産評価基本通達」に基づいて行われますが、複数の要素が絡むため、税理士への相談が必須です。
借地権割合の調べ方
借地権割合は、国税庁が公表している「路線価図・評価倍率表」で確認できます。路線価図には路線価が記載されており、アルファベット(A〜G)で借地権割合が示されています。
| 記号 | A | B | C | D | E | F | G |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借地権割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
国税庁のウェブサイト(財産評価基準書)で対象地の路線価図を確認すると、その地域の借地権割合がわかります。
借地権を相続した場合の注意すべき3つのポイント
借地権の相続では、通常の不動産相続にはない特有の注意点があります。見落とすと深刻なトラブルや法律違反につながりかねない3つのポイントを解説します。
ポイント① 相続登記は3年以内に行う義務がある
2024年4月1日から施行された改正不動産登記法により、相続による不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記を行うことが義務化されました。この義務は借地権付き建物の相続登記にも適用されます。
正当な理由なく期限内に登記を行わなかった場合、10万円以下の過料の対象となります。さらに、登記をしていないと第三者に対して相続した権利を対抗できないリスクもあります。
なお、遺産分割協議が長引いている場合は「相続人申告登記」という簡易な手続きによって義務の履行を一時的に保全することもできます。遺産分割協議が完了したら、その日から3年以内に改めて遺産分割に基づく登記を行う必要があります。
ポイント② 定期借地権は契約残存期間に要注意
普通借地権(旧法含む)であれば、借地人が望む限り実質的に使い続けられますが、定期借地権は契約期間の満了とともに必ず土地を返還しなければなりません。
たとえば、一般定期借地権で50年の契約が結ばれており、すでに40年が経過していた場合、相続しても残り10年で建物を解体して返還する義務が生じます。建物の解体費用は借地人(相続人)の負担となるため、場合によっては費用が数百万円に達することもあります。
定期借地権の残存期間が短い場合は、相続してそのまま住み続けるのではなく、地主との協議や借地権の売却・買い取りなど、別の選択肢を早期に検討することが重要です。
ポイント③ 借地権と建物は同一人が相続すべき
借地権は「建物を所有することを目的とした土地の借用権」です。つまり、借地権者と建物の所有者が同一人でなければ、借地権としての権利が成り立ちません。
相続人が複数いる場合に「借地権はAが相続し、建物はBが相続する」という分け方をしてしまうと、AはBの建物のために土地を借りていることになり、権利関係が非常に複雑になります。地主から契約違反を指摘されるリスクもあります。
遺産分割協議の際は、必ず借地権と建物を同一の相続人が取得するよう設計してください。他の相続人への代償として現金を支払う「代償分割」などの方法を活用することが一般的です。
借地権相続で起きやすいトラブルと対処法
借地権の相続では、地主との間や相続人間でさまざまなトラブルが生じやすいのが実情です。よくある事例とその対処法を紹介します。
トラブル① 地主から「立ち退き」を求められた
「借地権者(被相続人)が亡くなったのだから土地を返してほしい」と地主から求められるケースがあります。しかし、借地権は相続財産として相続人に承継されるため、被相続人の死亡を理由に立ち退きを要求することは法的に認められていません。
地主の正当な理由がない限り、相続人は従前の契約内容のままで借地を使い続ける権利があります。地主からの立ち退き要求には応じる必要はありません。ただし、放置すると心理的なプレッシャーから不利な交渉に応じてしまうこともあります。早めに弁護士に相談して対応方針を決めることをおすすめします。
トラブル② 地主から名義変更料を要求された
「相続したなら名義変更料を払え」と地主から請求されることがあります。しかし、法定相続による承継では名義変更料(承諾料)を支払う法的義務はありません。
地主との関係を良好に保ちたいという気持ちはわかりますが、法的根拠のない費用を支払ってしまうと「慣行」として以後も要求され続けるリスクがあります。「相続による名義変更料の義務はないと理解しています」と丁寧に伝えることが大切です。対応に困ったら弁護士に交渉を代行してもらいましょう。
トラブル③ 建て替え・増改築を地主に拒否された
老朽化した建物を建て替えたいが、地主が承諾しないというトラブルはよく見られます。借地借家法では、建て替えや増改築をする場合に地主の承諾が必要とされていますが、地主が正当な理由なく承諾を拒否した場合は、裁判所に「借地条件変更・増改築許可の申立て」を行い、裁判所の許可を代わりに得ることができます(借地借家法17条)。
この制度を使うことで、地主の非合理的な拒否を乗り越えて建て替えが実現できる場合があります。ただし、裁判手続きが必要になるため、弁護士への依頼が不可欠です。
トラブル④ 相続人間で借地権の分け方でもめた
相続人が複数いる場合、借地権付き建物を「誰が相続するか」で対立が生じることがあります。建物に居住していた相続人はそのまま住み続けたいが、他の相続人は売却して現金を分けたいというケースが典型的です。
こうした場合は次のような解決策を検討してください。
- 代償分割:建物を取得した相続人が、他の相続人に相当額の現金を支払う
- 換価分割:借地権付き建物を売却し、売却代金を分割する(地主の承諾が必要)
- 調停・審判:家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、第三者の仲介を受ける
借地権を複数の相続人で共有することは、上述のとおり後々のトラブルの原因になります。一人の相続人が取得し、他の相続人には代償を渡す方向で協議することが最善です。
相続した借地権の活用・処分方法
借地権を相続した後、その権利をどのように活用・処分するかは、相続人の生活状況や財産状況によって異なります。主な選択肢を整理しておきましょう。
そのまま居住を継続する
被相続人と同居していた場合や、引き続きその建物に住む予定がある場合は、借地権をそのまま相続して居住を続けるのが最もシンプルな選択です。
建物が老朽化している場合は、地主の承諾を得て建て替えを行うことも検討してください。建て替えにより借地権の存続期間が更新されるため、長期にわたって使い続けることができます。
第三者に売却する
相続した建物に住む予定がない場合や、すでに別の住居を持っている場合は、借地権付き建物を売却する方法があります。ただし、売却には地主の承諾が必要で、承諾料(借地権価格の10%程度)の支払いも発生します。
地主が承諾しない場合は、裁判所に「借地権譲渡承諾許可の申立て」を行うことで解決できる場合があります。売却価格は一般の不動産よりも低くなる傾向がありますが、立地が良ければ相応の価格で売却することが可能です。不動産業者・弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
地主に買い取ってもらう(底地との交換含む)
借地権を地主に買い取ってもらう方法もあります。この場合、地主は借地権の制約から解放された完全所有権の土地を取得でき、借地人は相応の売却益を得られるというメリットがあります。
また、借地権(借地人が持つ権利)と底地(地主が持つ権利)をそれぞれ交換し、一方が完全所有権を得る「等価交換」という方法も活用されています。交換後は、それぞれが完全な所有権を持つ不動産を得られるため、両者にとってメリットのある解決策となることがあります。
相続放棄を検討すべきケース
次のような場合は、借地権の相続放棄を検討することも一つの選択肢です。
- 定期借地権の残存期間が短く、建物の解体費用が高額になる見込みがある
- 地代が高額で、経済的なメリットが見込めない
- 被相続人の借金(マイナスの財産)が借地権の価値を大幅に上回る
ただし、相続放棄は借地権だけを放棄することはできません。相続放棄をすると、借地権を含むすべての相続財産(預貯金・他の不動産なども含む)を一切相続できなくなります。プラスの財産も含めた全体を比較して判断することが重要です。
相続放棄の期限は、相続を知った日から3か月以内です。期限が迫っている場合は、早急に弁護士に相談してください。
借地権の相続は弁護士への早期相談が重要
借地権の相続は、通常の不動産相続と比べて確認すべきことが多く、地主との関係・契約内容・建物の状態・相続税の評価・相続人間の合意形成など、複数の問題が同時に絡み合います。
「とりあえず相続はできているだろう」と何も手続きをしないまま放置していると、相続登記義務違反・地主とのトラブル・相続税の申告漏れなど、深刻な問題が後から噴き出してくることになります。
弁護士に依頼することで、次のようなサポートが受けられます。
- 借地権の種類・契約内容の法的確認と相続への影響分析
- 遺産分割協議の進行サポートと協議書の作成
- 地主への通知・交渉の代行(名義変更料・立ち退き要求などへの対応)
- 建て替え・売却に際しての地主との承諾交渉、裁判所への申立て
- 相続税申告のための税理士との連携
- 相続人間のトラブルに発展した場合の調停・審判の対応
「うちの親の土地は借地だったが、よくわからない」という段階でも、弁護士は相談を受け付けています。早めに動くほど選択肢は広がり、トラブルを未然に防ぐことができます。借地権の相続に不安を感じたら、まずは弁護士への相談から始めることをおすすめします。
あなたの相続税はいくら?無料診断
基礎控除額
4,200万円
課税対象額
800万円
相続税の総額(概算)
80万円
申告が必要です
※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。
法律のプロがスムーズで正しい相続手続きをサポート
- 相続人のひとりが弁護士を連れてきた
- 遺産分割協議で話がまとまらない
- 遺産相続の話で親族と顔を合わせたくない
- 遺言書に自分の名前がない、相続分に不満がある
- 相続について、どうしていいのか分からない