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自宅の生前贈与は特別受益?遺留分への影響も解説

自宅の生前贈与は特別受益?遺留分への影響も解説

この記事で分かること

  • 自宅の生前贈与は特別受益として遺産分割に影響することがある
  • 自宅の購入資金援助も特別受益にあたる場合がある
  • 特別受益があると先に受けた利益を相続分の計算に反映する
  • 自宅の贈与は他の相続人の遺留分を侵害することがある
  • 持ち戻し免除の意思は遺言などで明確に残しておきたい

自宅の生前贈与は、後の相続で特別受益として扱われ、遺産の分け方に影響することがあります。自宅そのものだけでなく購入資金の援助も特別受益にあたる場合があり、先に受けた利益は相続分の計算に反映されます。さらに、自宅の贈与は他の相続人の遺留分を侵害し、金銭の支払いを請求されることもあります。後のトラブルを防ぐためにも、自宅の贈与を考えるなら早めに相続に詳しい専門家へ相談しましょう。

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自宅の生前贈与と特別受益の関係とは

「長年同居してくれた長男に、自宅を生前のうちに贈与しておきたい」。そんな思いから、自宅を子に生前贈与する方は少なくありません。けれども、ここで一つ知っておいていただきたいことがあります。自宅という大きな財産の生前贈与は、後の相続で「特別受益」として扱われ、遺産の分け方に影響することがあるのです。よかれと思って行った自宅の贈与が、いざ相続が始まったときに、かえって家族の対立を招いてしまう。そんな事態を避けるためにも、特別受益という考え方をきちんと理解しておくことが大切です。自宅を生前贈与する前に、それがどんな影響を及ぼすのかを知っておきましょう。

特別受益とは、相続人の一部が被相続人から生前に特別に受けた利益のことをいいます。たとえば、ある子だけが自宅の贈与を受けていた場合、その子は他の相続人より先に多くの財産を受け取っていることになります。これを考慮せずに残りの遺産だけを等しく分けると、贈与を受けた子だけが得をして、不公平が生じてしまいます。相続は、本来、相続人の間で公平に行われるべきものです。一部の相続人だけが生前に大きな利益を受けていたのに、それを無視して残りの財産を等分すれば、すでに利益を受けた人がさらに得をすることになります。これでは、贈与を受けなかった相続人が納得できないのも当然でしょう。

そこで民法は、生前贈与などで特別に利益を受けた相続人がいる場合、その利益を相続分の計算に反映させる仕組みを設けています。これが特別受益の持ち戻しと呼ばれる考え方です。持ち戻しという言葉は耳慣れないかもしれませんが、要するに、生前に受け取った利益を相続の計算にいったん戻して考える、ということです。自宅の生前贈与が特別受益に当たるかどうかは、相続人同士の取り分を左右する重要な問題なのです。特別受益に当たると判断されれば、贈与を受けた相続人の取り分はその分だけ調整されます。逆に、当たらないとされれば、贈与はそのまま尊重されます。どちらになるかで、各相続人が最終的に手にする財産が大きく変わってくるのです。だからこそ、特別受益の問題は相続において避けて通れません。とりわけ自宅のように大きな財産が絡む場合は、その影響も大きくなります。

ワンポイントアドバイス
特別受益が問題になるのは、相続人が複数いる場合です。相続人が一人だけであれば、その人がすべてを相続するため、特別受益を考える必要はありません。自宅を生前贈与する際は、他に相続人がいるかどうかをまず確認しておきましょう。配偶者や複数の子がいる場合は、特別受益の問題が現実味を帯びてきます。誰が相続人になるのかを把握することが、生前贈与を考える出発点です。相続人の顔ぶれによって、注意すべき点も変わってくるからです。

なぜ自宅の贈与が問題になりやすいのか

自宅は、多くの家庭にとって最も大きな財産です。預貯金や株式と違い、自宅という不動産は金額が大きいため、特定の相続人に生前贈与すると、その額の大きさゆえに相続人間の不公平が際立ちやすくなります。数百万円の預貯金であれば、他の財産で調整できる範囲かもしれません。しかし、自宅となると、その価値は他の財産を大きく上回ることが多く、一人が受け取った場合の影響は計り知れません。自宅の価値が遺産の大半を占めるようなご家庭では、とりわけこの問題が深刻になります。

たとえば、主な財産が自宅とわずかな預貯金だけというご家庭を考えてみましょう。この自宅を一人の子に生前贈与してしまうと、他の子が相続できる財産はほとんど残りません。残された財産だけを分けても、自宅をもらった子との差は埋まらないのです。だからこそ、自宅の生前贈与は特別受益として問題になりやすいといえます。預貯金のように分けやすい財産であれば、多少の偏りも残りの財産で調整できます。しかし、自宅は金額が大きく、しかも分割しにくい財産です。一人がまるごと受け取ってしまうと、他の相続人との差を埋める手立てが乏しくなります。こうした自宅ならではの性質が、特別受益の問題を深刻にしているのです。分けられない財産を一人が受け取ることの難しさが、ここにあります。

特別受益に当たるケース・当たらないケース

自宅の生前贈与が、必ず特別受益に当たるとは限りません。どのような贈与が特別受益として扱われるのか、当たるケースと当たらないケースを見ていきましょう。

特別受益に当たりやすいケース

自宅そのものを生前贈与した場合は、特別受益に当たる典型例です。住むための家屋や土地を無償で譲り受けることは、相続人にとって大きな利益となるため、特別受益として扱われやすくなります。自宅は、生活の基盤となる財産です。それを無償で手に入れられるというのは、金銭的にも生活面でも大きな恩恵です。こうした性質から、自宅そのものの贈与は、特別受益の典型的な例として扱われることが多いのです。自宅を贈与する以上、特別受益になることを前提に考えておくのが現実的です。

また、自宅の購入資金を援助した場合も、特別受益に当たることがあります。たとえば、親が子の自宅購入のためにまとまったお金を出してあげたようなケースです。直接自宅を贈与していなくても、その購入を可能にする資金を援助していれば、実質的に利益を与えたとみなされることがあるのです。形のうえでは「家を買うためのお金を渡しただけ」でも、その援助がなければ自宅を手に入れられなかったのであれば、結果として自宅という財産を与えたのと変わりません。特別受益かどうかは、形式だけでなく、実質的に大きな利益を与えたかどうかという観点から判断されるのです。

このように、自宅にまつわる援助は、それが相続人の生計の基礎を支えるような大きな利益であれば、特別受益と判断される傾向があります。逆にいえば、ちょっとした手助け程度の援助であれば、特別受益にはなりにくいといえます。重要なのは、その援助が相続人の生活の土台を築くほどの大きなものだったかどうかです。自宅やその購入資金は、まさにそうした大きな利益に当たりやすいため、注意が必要になります。だからこそ、自宅を生前贈与する際には、特別受益になる可能性を念頭に置いて進めることが大切です。

特別受益に当たらないこともあるケース

一方で、自宅に関する援助でも、特別受益に当たらないと判断される場合があります。たとえば、扶養の範囲内と評価できるような援助や、社会通念上、親が子にしてあげる範囲の支援にとどまる場合などです。

何が特別受益に当たるかの線引きは、援助の金額や性質、家庭の状況などによって変わります。明確な金額の基準があるわけではなく、さまざまな事情を総合して判断されます。この曖昧さが、特別受益をめぐる争いを生む一因にもなっています。そのため、自分のケースが特別受益に当たるかどうかは、一概には言えないのが実情です。同じような援助でも、その家庭の資産状況によって、特別な利益といえるかどうかの評価が分かれることがあります。判断が難しいケースも多いため、迷ったときは専門家に相談するのが確実です。たとえば、資産が豊富な家庭での援助と、財産が限られた家庭での同額の援助とでは、相続人にとっての意味合いが異なります。前者では日常的な援助の範囲とみられても、後者では特別な利益と評価されることがあるのです。同じ援助でも、家庭ごとに評価が変わりうるという点が、判断を難しくしています。こうした微妙な判断は、過去の事例や法律の解釈を踏まえて行う必要があり、素人判断は禁物です。

特別受益かどうかの判断ポイント
援助が相続人の生計の基礎を支えるような大きな利益かどうか、扶養の範囲を超えているかどうか、家庭の資産状況に照らしてどうか。こうした点を総合的に見て判断されます。一律の基準があるわけではありません。

持ち戻し免除という考え方

被相続人が「この贈与は特別受益として持ち戻さなくてよい」という意思を示していた場合、その贈与を相続分の計算に反映させない扱いが認められることがあります。これを持ち戻し免除といいます。

被相続人が、特定の相続人に多くを残したいという明確な意思を持っていたのであれば、その意思を尊重しようという考え方です。財産を持つ人には、それを誰にどう残すかを決める自由があります。持ち戻し免除は、その意思を一定の範囲で尊重する制度だといえます。ただし、持ち戻し免除の意思があったかどうかをめぐって、相続人の間で争いになることもあります。意思を明確に残しておかないと、後でトラブルのもとになりかねません。自宅を生前贈与する際は、持ち戻しについての考えも整理しておくとよいでしょう。被相続人本人は持ち戻しを免除するつもりだったとしても、その意思が形に残っていなければ、相続人にはそれを知るすべがありません。結果として、贈与を受けた相続人と他の相続人との間で、持ち戻すべきか否かをめぐる争いが生じることがあります。こうした事態を防ぐには、持ち戻しに関する意思を遺言などではっきり残しておくことが有効です。

特別受益が遺産分割に与える影響

自宅の生前贈与が特別受益に当たると判断された場合、遺産分割にどのような影響があるのでしょうか。具体的な流れを見ていきましょう。

特別受益は相続分の計算に反映される

特別受益がある場合、その利益をいったん相続財産に加えて、各相続人の相続分を計算します。そのうえで、特別受益を受けた相続人については、すでに受け取った利益の分を差し引いて、実際に取得する財産を決めます。この計算によって、各相続人が最終的に取得する財産が定まります。一見複雑に思えますが、公平を実現するための合理的な仕組みなのです。生前贈与を受けた人も、受けていない人も、トータルで見れば公平になるよう調整されるわけです。

つまり、自宅の生前贈与を受けた子は、その分だけ相続で受け取る財産が少なくなるという調整が行われるのです。これは、自宅をもらった子を不利に扱うためのものではありません。あくまで、相続人全体で公平を図るための調整です。先に大きな財産を受け取った人が、相続でも同じだけ受け取れば二重に得をしてしまうため、それを防ぐ仕組みなのです。この調整があるからこそ、相続は公平なものとして成り立っているのです。これにより、生前贈与を受けた相続人と受けていない相続人との間の公平が図られます。先にもらった分は、相続のときに精算されるというイメージです。このしくみがあるおかげで、生前贈与があっても、相続人全体としての公平が保たれるようになっています。先に大きな利益を受けた人は、その分を考慮されたうえで相続分が決まる。だからこそ、生前贈与を受けていない相続人も、一定の納得感を持って相続に臨めるのです。

遺産分割協議でもめやすいポイント

特別受益が絡む遺産分割は、相続人の間でもめやすいものです。生前贈与を受けた相続人は「あれは正式な贈与だ」と主張し、受けていない相続人は「特別受益として持ち戻すべきだ」と主張する。こうした対立が生じやすいのです。どちらの言い分にも一理あるように見えるため、当事者だけでは決着がつきにくいのが特別受益をめぐる争いの難しいところです。だからこそ、第三者の専門的な視点が解決の糸口になることが多いのです。

とくに、自宅のような高額の財産が絡むと、双方の主張する金額の差も大きくなり、話し合いが難航しがちです。特別受益に当たるかどうか、当たるとしてどう評価するかといった点で意見が割れると、遺産分割協議がまとまらなくなることもあります。遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。一人でも納得しない人がいれば、協議は前に進まなくなります。特別受益をめぐる対立は、こうした膠着状態を招きやすいのです。協議がまとまらなければ、最終的に家庭裁判所での手続きに進むこともあります。そうなると解決まで時間も費用もかさむため、できれば話し合いで解決したいところです。こうした場合には、専門家の助けを借りて冷静に話し合いを進めることが大切です。当事者同士だけで話し合うと、感情的になって対立が深まることも少なくありません。第三者である専門家が間に入ることで、客観的な視点から落としどころを探りやすくなります。話し合いがこじれてしまう前に、早めに専門家に関わってもらうことをおすすめします。早期の関与が、対立を最小限に抑える鍵になります。

場面 特別受益がある場合の扱い
相続分の計算 生前贈与の利益を加えて計算する
取得する財産 受けた利益の分を差し引いて決める
相続人間の公平 先にもらった分を精算して公平を図る

自宅の生前贈与と遺留分の関係

自宅の生前贈与を考えるうえで、特別受益とあわせて知っておきたいのが「遺留分」の問題です。遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された、最低限の取り分のことをいいます。

遺留分とは何か

遺留分は、被相続人がどのように財産を処分しても、一定の相続人には最低限これだけは残されるべきだという取り分です。配偶者や子などには、この遺留分が認められています。被相続人が自由に財産を処分できるとはいえ、残された家族の生活を守るため、最低限の取り分が法律で保障されているのです。財産をどう処分するかは、本来その持ち主の自由です。しかし、その自由を無制限に認めてしまうと、たとえば全財産を一人だけに譲ってしまい、他の家族が何も受け取れないという事態も起こりえます。それでは残された家族の生活が立ちゆかなくなることもあるため、一定の相続人には最低限の取り分を保障することにしたのです。これが遺留分の趣旨です。

たとえば、自宅を含むほとんどの財産を一人の子に生前贈与してしまうと、他の子の遺留分を侵害してしまうことがあります。遺留分を侵害された相続人は、贈与を受けた人に対して、侵害された分を金銭で支払うよう請求できる場合があります。これは、遺留分を侵害している贈与や遺贈があったときに、その侵害額に相当する金銭を請求できるという仕組みです。請求を受けた側は、原則として金銭でその分を支払うことになります。つまり、自宅という現物をもらっていても、支払いは現金で求められるのが原則です。自宅を贈与された人が、他の相続人からこの請求を受ければ、まとまった金銭の準備を迫られることもあるのです。

生前贈与が遺留分の対象になることがある

生前贈与は、一定の場合には遺留分の計算において考慮されます。つまり、自宅を生前贈与していても、それが遺留分の計算に組み込まれ、他の相続人の遺留分を侵害していると判断されれば、贈与を受けた人が金銭の支払いを求められることがあるのです。

自宅をもらったつもりでいても、後から遺留分の請求を受けて、思わぬ金銭の負担が生じる可能性があります。自宅という現物をもらっても、その自宅を売らなければ支払いに充てる現金がないという場合もあります。遺留分の請求に応じるために、せっかくもらった自宅を手放さざるをえなくなる、という皮肉な事態も起こりえます。だからこそ、贈与の前に遺留分への影響を見極めておくことが欠かせないのです。現物をもらえる喜びの裏に、こうした落とし穴があることを知っておきましょう。自宅の生前贈与を考える際は、他の相続人の遺留分を侵害しないか、あらかじめ確認しておくことが大切です。遺留分をめぐる争いは深刻な対立に発展しやすいため、慎重な配慮が求められます。遺留分の問題は、金銭が直接絡むだけに、相続人の対立が先鋭化しやすい分野です。お金のことになると、それまで穏やかだった家族の間にも溝が生まれることがあります。一度争いになると、家族の関係が修復しがたいほど壊れてしまうこともあります。そうならないためにも、贈与の段階から遺留分への目配りを欠かさないことが肝心です。

注意
自宅を特定の相続人に生前贈与すると、他の相続人の遺留分を侵害してしまうことがあります。その場合、贈与を受けた人が遺留分に相当する金銭の支払いを求められる可能性があります。贈与の前に、遺留分への影響を確認しておきましょう。

トラブルを防ぐために生前にできること

自宅の生前贈与をめぐるトラブルは、事前の備えによってある程度防ぐことができます。せっかくの贈与が家族の争いの種にならないよう、生前にできる工夫を見ていきましょう。

家族で話し合っておく

最も大切なのは、生前のうちに家族でよく話し合っておくことです。なぜ特定の子に自宅を贈与するのか、その理由を家族に伝え、理解を得ておくことで、後の不公平感を和らげることができます。

相続をめぐる争いは、財産そのものよりも、納得できないという気持ちから生じることが多いものです。被相続人の意思や思いを生前に共有しておけば、相続人同士のわだかまりを減らせます。話し合いの場を持つこと自体が、家族の関係を守る大切な一歩になります。なぜ特定の子に自宅を残したいのか。たとえば、長年同居して介護をしてくれた、家業を継いでくれたなど、それぞれの家庭に理由があるはずです。その理由を生前に率直に伝え、他の相続人にも理解してもらう努力をすることで、相続後の感情的な対立を防ぎやすくなります。亡くなった後では伝えられない思いを、生きているうちに言葉にしておくことが大切です。言葉にして伝えることは、財産を残すのと同じくらい、家族にとって意味のあることなのです。

遺言で意思を残しておく

自宅の生前贈与とあわせて、遺言を残しておくことも有効です。遺言で、なぜその贈与をしたのか、残りの財産をどう分けてほしいのかといった意思を明確にしておけば、相続人が被相続人の考えを知ることができます。

とくに、持ち戻し免除の意思がある場合は、それを遺言などで明確にしておくことが重要です。意思が明確であれば、後の争いを防ぎやすくなります。遺言の作成には決まりごとがあるため、専門家に相談しながら、確実に効力のある遺言を残すとよいでしょう。遺言は、形式の不備があると効力を持たないことがあります。法律で定められた要件を満たしていなければ、遺言として認められないのです。せっかく意思を残しても、それが無効になってしまっては意味がありません。確実に効力のある遺言を作るためにも、専門家の助言を受けながら作成することをおすすめします。きちんとした遺言は、残された家族への何よりの配慮になります。

他の相続人への配慮も忘れずに

自宅を一人の相続人に贈与する場合でも、他の相続人に何も残さないというのは、争いのもとになりがちです。可能であれば、他の相続人にも一定の財産を残すなど、全体のバランスに配慮することが望まれます。

遺留分を侵害しないよう財産の配分を工夫したり、贈与の代わりに別の方法を検討したりと、選択肢はさまざまです。家族全体が納得できる形を探るために、早めに専門家に相談し、最適な方法を一緒に考えていくことをおすすめします。自宅の引き継ぎ方には、生前贈与のほかにも、遺言で自宅を相続させる方法など、いくつもの選択肢があります。それぞれの方法には、メリットもあれば気をつけるべき点もあります。家族の状況に合った方法を選ぶことが、円満な財産の引き継ぎにつながります。どの方法が家族にとって最も望ましいかは、財産の構成や家族の関係によって変わります。専門家とともに複数の選択肢を比較しながら、納得のいく方法を見つけていくとよいでしょう。

トラブル防止の三つの工夫
生前に家族で話し合っておく、遺言で意思を明確に残す、他の相続人とのバランスに配慮する。この三つを意識することで、自宅の生前贈与をめぐる争いをぐっと減らせます。

自宅の生前贈与を安全に進めるための備え

自宅の生前贈与は、大切な財産を望む相手に引き継げる有効な手段です。しかし、特別受益や遺留分といった問題が絡むため、安易に進めると後の相続で家族の争いを招くおそれがあります。自宅という大きな財産だからこそ、慎重な検討が欠かせません。勢いで贈与を進めてしまうと、後になって取り返しのつかない問題に発展することもあります。大きな決断だからこそ、立ち止まってよく考えることが大切です。

こうした問題を避けるには、相続に詳しい弁護士などの専門家に相談しながら進めるのが安心です。専門家であれば、その贈与が特別受益に当たるか、遺留分を侵害しないか、持ち戻し免除をどう扱うかといった点を踏まえ、トラブルの少ない進め方を提案してくれます。これらの論点は、いずれも法律の専門的な判断が求められるものです。一般の方が自分だけで的確に見極めるのは容易ではありません。専門家に相談すれば、こうした難しい問題を一つひとつ整理し、安全な道筋を示してもらえます。安心して贈与を進めるための、心強い味方になってくれるはずです。一人で抱え込まず、専門家とともに進めることが、後悔のない選択につながります。迷ったときこそ、専門家に頼ることをためらわないでください。

自宅の生前贈与を考え始めたら、贈与してしまう前の段階で専門家に相談することをおすすめします。事前に相談しておけば、起こりうる問題を予測し、対策を講じたうえで贈与を進められます。問題が起きてから対処するより、起きる前に手を打っておく方が、はるかに少ない労力で済みます。後手に回らないことが、円満な相続の秘訣です。家族の円満を保ちながら、望む形で財産を引き継ぐために、専門家の力を上手に活用してください。

自宅の生前贈与と特別受益についてよくある質問

最後に、自宅の生前贈与と特別受益について、よく寄せられる質問にお答えします。

自宅を生前贈与すると必ず特別受益になりますか

自宅の生前贈与は特別受益に当たりやすいものの、必ず特別受益になるとは限りません。援助の性質や金額、家庭の資産状況などによって、特別受益に当たるかどうかの判断は変わります。扶養の範囲内と評価できる場合などは、特別受益に当たらないこともあります。判断が難しいケースが多いため、専門家に確認するのが確実です。自分では特別受益に当たらないと思っていても、専門家から見れば該当する、あるいはその逆もあります。思い込みで判断せず、確認してもらうのが安全です。

自宅の購入資金を援助した場合はどうなりますか

自宅そのものを贈与していなくても、その購入資金を援助した場合、特別受益に当たることがあります。子の自宅購入のためにまとまった資金を出してあげたようなケースでは、実質的に利益を与えたとみなされ、特別受益として扱われる傾向があります。ただし、これも金額や状況によって判断が分かれるため、個別の確認が必要です。

持ち戻し免除とは何ですか

持ち戻し免除とは、被相続人が「この贈与は特別受益として相続分の計算に反映させなくてよい」という意思を示していた場合に、その贈与を持ち戻さない扱いのことです。被相続人の意思を尊重する考え方ですが、意思があったかどうかをめぐって争いになることもあります。持ち戻し免除を考えるなら、その意思を遺言などで明確に残しておくことが大切です。口頭で「あの子には持ち戻さなくていい」と言っていたとしても、それを証明するのは簡単ではありません。確実に意思を伝えるには、書面の形で残しておくのが安全です。

自宅の生前贈与で遺留分は問題になりますか

自宅の生前贈与は、遺留分の問題を引き起こすことがあります。自宅を特定の相続人に贈与した結果、他の相続人の遺留分を侵害していると判断されれば、贈与を受けた人が遺留分に相当する金銭の支払いを求められる場合があります。自宅の生前贈与を考える際は、他の相続人の遺留分への影響を事前に確認しておくことをおすすめします。事前に確認しておけば、遺留分を侵害しないように贈与の方法を工夫したり、他の財産で調整したりといった対策を講じられます。

トラブルを避けるにはどうすればよいですか

自宅の生前贈与をめぐるトラブルを避けるには、生前に家族でよく話し合い、遺言で意思を明確に残し、他の相続人とのバランスに配慮することが有効です。なぜその贈与をするのかを家族に伝え、理解を得ておくことで、不公平感を和らげられます。早めに専門家に相談し、家族全体が納得できる形を探ることが、円満な相続につながります。自宅という大切な財産を、争いの種ではなく、家族への思いを込めた贈り物として残すために、できる備えをしておきましょう。備えあれば憂いなし、という言葉のとおりです。相続をめぐる争いの多くは、財産そのものよりも、気持ちのすれ違いから生まれます。生前のコミュニケーションと、専門家の適切なサポート。この二つがそろえば、自宅の生前贈与も円満に進められるでしょう。大切な家族のためにこそ、丁寧な準備を心がけたいものです。

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