掲載弁護士・法律事務所 2,000以上件/全国対応

従業員承継とは?メリットと手続きの流れを解説

従業員承継とは?メリットと手続きの流れを解説

この記事で分かること

  • 従業員承継は親族以外の役員や従業員に事業を引き継ぐ方法
  • 事業をよく理解した人に引き継げ従業員や取引先の理解を得やすい
  • 後継者の資金調達や経営者保証の引き継ぎが大きな課題になる
  • 後継者の選定と育成から承継計画の作成へと段階的に進める
  • 現経営者の相続も視野に入れて計画を立てることが大切

従業員承継とは、親族以外の役員や従業員に事業を引き継ぐ方法です。事業をよく理解した人に引き継げ、従業員や取引先の理解を得やすいメリットがある一方、後継者の資金調達や経営者保証の引き継ぎ、税の負担といった課題もあります。後継者の選定と育成から承継計画の作成へと段階的に進め、現経営者自身の相続も視野に入れることが大切です。早めに事業承継に詳しい専門家へ相談しましょう。

相続に強い弁護士を探す

従業員承継とは何か

「そろそろ引退を考えているが、子どもには会社を継がせられない。かといって、見ず知らずの第三者に会社を売るのも気が進まない」。そう感じている経営者の方は、少なくないはずです。後継者をどうするかは、長年会社を育ててきた経営者にとって、避けて通れない大きな問題です。自分が築き上げた会社を、誰に託すのか。それは、経営者人生の集大成ともいえる重い決断です。後継者選びを誤れば、長年かけて育てた会社が傾いてしまうこともあります。だからこそ、早いうちから真剣に向き合っておく必要があるのです。後継者問題は、先送りにすればするほど選択肢が狭まります。

そんなときに有力な選択肢となるのが、従業員承継です。長年ともに働いてきた役員や従業員に会社を引き継ぐ方法であり、近年その割合は着実に増えています。かつては、会社は子に継がせるものという考え方が一般的でした。しかし、子が会社を継ぎたがらない、あるいは継げる状況にないというケースが増え、親族以外への承継が注目されるようになっています。時代の変化とともに、承継のかたちも多様になっているのです。選択肢が増えた今、自社に合った方法を選ぶことが大切です。気心の知れた相手に会社を託せるという点で、安心感のある選択肢といえます。何年も、ときには何十年もともに働いてきた相手であれば、その人柄も能力も、経営者はよく分かっています。見ず知らずの第三者に託すのとは違い、相手のことを理解したうえで会社を引き継げる。この安心感は、従業員承継ならではの大きな魅力です。信頼できる相手に託せることは、何ものにも代えがたい価値です。会社の理念や大切にしてきた価値観も、共有しやすいでしょう。長く一緒に働く中で、経営者の思いは自然と従業員に伝わっているものです。日々の積み重ねが、価値観の共有を可能にするのです。

ただし、従業員承継にはメリットだけでなく、資金調達の問題、税の負担、社内の調整といった、決して軽視できない課題もあります。うまくいくかどうかは、早めの準備と適切な対策にかかっているといっても過言ではありません。この記事では、従業員承継の基本から、手続きの流れ、トラブルを防ぐための対策まで、弁護士の視点から分かりやすく解説していきます。従業員承継は、メリットの大きい選択肢である一方、特有の難しさもあります。その両面を正しく理解しておくことが、承継を成功させる第一歩です。これから事業承継を考える経営者の方は、ぜひ参考にしてください。備えあれば憂いなし。早めの理解が、円滑な承継の土台になります。

従業員承継のポイント
従業員承継とは、親族以外の役員や従業員に事業を引き継ぐ方法です。気心の知れた相手に託せる一方、資金調達や税の負担、社内の調整といった課題もあります。早めの準備と専門家のサポートが、成功の鍵になります。

従業員承継の位置づけ

従業員承継とは、現在の経営者が引退する際に、親族以外の役員や従業員を後継者として事業を引き継ぐ方法のことをいいます。事業承継とは、経営者が経営から離れる際に、会社の「経営」「資産」「目に見えない強み」を後継者に引き継ぐことです。従業員承継は、その引き継ぎ先を社内の人材に求める点に特徴があります。

具体的には、長年自社で働いてきた取締役や執行役員、部門の責任者などが後継者の候補になります。これらの人材は、現場の実務に精通しているだけでなく、経営に近い立場で会社全体を見てきた経験を持つことも多いものです。現場と経営の両方を知る人材は、後継者として大きな強みを持ちます。会社の事業内容や社風を熟知し、取引先や従業員との関係も築けている人材であれば、引き継ぎもスムーズに進みやすくなります。社内で長く働いてきた人材は、その会社がどんな強みを持ち、どんな課題を抱えているかを肌で知っています。取引先との信頼関係や、従業員との人間関係も、すでに築かれていることが多いものです。こうした土台があるからこそ、外部から後継者を迎えるよりも、引き継ぎが円滑に進みやすいのです。すでにある信頼関係が、承継を後押ししてくれます。

事業を引き継ぐ方法には、従業員承継のほかにも、子などの親族に引き継ぐ方法や、第三者に引き継ぐ方法があります。それぞれにメリットと注意点があるため、自社にとってどの方法が最も適しているかを、全体を見渡して検討することが大切です。親族に継がせる方法、従業員に継がせる方法、第三者に引き継ぐ方法。どれが最適かは、会社の状況や、後継者候補の有無、経営者の希望によって変わります。一つの方法に決めつけるのではなく、それぞれの利点と課題を比べたうえで、自社にとって最良の道を選ぶことが、承継を成功させる鍵になります。比較検討を経て選んだ道こそ、納得のいく承継につながります。

従業員承継のメリット

従業員承継には、ほかの承継方法にはない利点があります。なぜ多くの経営者が従業員承継を選ぶのか、その代表的なメリットを見ていきましょう。

事業をよく理解した人に引き継げる

従業員承継の大きなメリットは、事業をよく理解した人に会社を引き継げることです。長年自社で働いてきた役員や従業員は、会社の事業内容、取引先との関係、社内の事情を熟知しています。外部から後継者を迎える場合と違い、一から会社のことを理解してもらう必要がありません。外部から人を招く場合は、事業内容の把握から人間関係の構築まで、相当な時間がかかります。その点、内部の人材ならその手間が省けるのです。時間の節約は、承継をスムーズに進めるうえで見逃せない利点です。

事業内容を深く理解している人が後継者になれば、引き継ぎ後も経営の方向性が大きくぶれることなく、安定した経営を続けやすくなります。会社の歩みや理念を理解した人が舵を取れば、急な路線変更で現場が混乱することもありません。継続性のある経営が期待できます。安定こそが、引き継ぎ後の会社にとって何より大切です。これまで築いてきた会社の強みや文化を、引き継いでもらいやすいという点も、従業員承継ならではの魅力です。会社には、長年かけて培ってきた独自の強みや、大切にしてきた価値観があります。こうした目に見えない財産は、外部の人にはなかなか引き継ぎにくいものです。その点、内部の事情をよく知る従業員であれば、こうした会社の文化や強みを理解したうえで受け継いでくれることが期待できます。

従業員や取引先の理解を得やすい

従業員承継では、社内の人材が後継者になるため、従業員や取引先の理解を得やすいというメリットもあります。これまで一緒に働いてきた人が新しい経営者になるのであれば、ほかの従業員も納得しやすく、不安を感じにくいものです。見ず知らずの人がトップに就くと、従業員は「これから会社はどうなるのか」と不安を抱きがちです。よく知る同僚が経営者になるなら、そうした不安は和らぎます。親しみのある人物の昇格は、職場に安心感をもたらします。

取引先にとっても、見知らぬ第三者が経営者になるより、これまで取引の窓口になっていた人や、よく知る人物が後継者になるほうが、安心して取引を続けやすくなります。取引というものは、結局のところ人と人との信頼関係の上に成り立っています。長年付き合いのある担当者が経営者になれば、取引先も安心して関係を続けられます。逆に、まったく知らない人が突然トップになると、取引先が不安を感じ、取引が縮小してしまうこともあります。従業員承継は、こうしたリスクを抑えやすい方法なのです。承継にともなう混乱を抑え、事業を円滑に引き継げる点は、従業員承継の大きな強みといえます。承継のときには、どうしても社内外に動揺が生じがちです。変化に対する不安は、人間にとって自然な反応です。その不安にどう向き合うかが、承継を成功させる鍵になります。その動揺を最小限に抑えられるのが、従業員承継の利点です。

メリット 内容
事業の理解 会社をよく知る人が引き継ぐので経営が安定しやすい
周囲の納得 従業員や取引先の理解を得やすい

従業員承継のデメリットと課題

メリットの多い従業員承継ですが、一方で乗り越えるべき課題もあります。これらを知らずに進めると、思わぬところでつまずくことがあります。ここでは、従業員承継のデメリットと課題を見ていきましょう。

後継者の資金調達が課題になる

従業員承継で最も大きな課題になりやすいのが、後継者の資金調達です。会社を引き継ぐということは、その会社の株式を後継者が取得することを意味します。ところが、従業員である後継者には、株式を買い取るためのまとまった資金がないことが多いのです。会社の後継者になるということは、会社の所有権、つまり株式を引き継ぐことを意味します。しかし、一従業員として働いてきた人が、会社の株式を買い取れるだけの資金を個人で用意するのは、容易ではありません。とくに業績の良い会社ほど株式の価値は高くなり、後継者個人の負担は重くなります。この資金の壁が、従業員承継の最大の難所といわれるゆえんです。

会社の規模が大きいほど、株式の価値も大きくなり、後継者が個人で買い取るのは難しくなります。業績が良く、財産を多く持つ会社ほど、皮肉なことに株式の取得は難しくなります。価値ある会社ほど、引き継ぐハードルが上がるのです。これは、従業員承継ならではのジレンマといえます。良い会社ほど継ぎにくいという矛盾を、計画で乗り越える必要があります。この資金調達の問題をどう解決するかが、従業員承継を成功させるうえでの大きな関門になります。逆にいえば、この関門さえ乗り越えられれば、従業員承継はぐっと現実味を帯びてきます。資金の壁を越えることが、承継実現への大きな一歩です。だからこそ、資金面の計画には力を入れる必要があります。綿密な資金計画が、承継への扉を開きます。資金調達には、金融機関からの借り入れなど、さまざまな方法が検討されますが、後継者にとって過大な負担にならないよう、慎重な計画が必要です。後継者が無理な借り入れをして株式を取得すれば、その返済が重くのしかかり、経営に集中できなくなるおそれもあります。せっかく会社を引き継いでも、過大な負担で後継者がつぶれてしまっては元も子もありません。だからこそ、どのように資金を調達し、後継者の負担をどう抑えるかを、入念に計画することが欠かせないのです。資金計画の出来が、承継の成否を大きく左右します。

経営者保証の引き継ぎという問題

中小企業では、会社の借り入れについて、経営者個人が保証人になっていることが少なくありません。会社を引き継ぐ際には、この経営者保証をどうするかも問題になります。後継者が新たに保証人になることを求められる場合、その重い責任が、承継をためらわせる原因になることもあります。経営者保証とは、会社が借り入れを返済できなくなったときに、保証人である経営者個人が代わりに返済する責任を負うものです。会社を引き継ぐとなると、後継者がこの保証人の立場も引き継ぐよう求められることがあります。会社の借金を個人で背負うかもしれないという重圧は、後継者にとって大きなものです。これが原因で、承継に二の足を踏む人も少なくありません。

経営者保証の引き継ぎは、後継者にとって大きな心理的・経済的な負担です。この問題をどう扱うかは、従業員承継を進めるうえで丁寧に検討すべき点の一つです。後継者の不安を取り除くためにも、経営者保証の扱いは早めに方針を固めておきたいところです。保証の問題は、後継者の決断を左右する重要な要素です。保証をどう扱うかで、承継の実現性が変わってきます。近年は、経営者保証のあり方について見直しの動きもあるため、最新の状況を踏まえて対応を考えることが大切です。経営者保証が事業承継の妨げになっているという問題意識から、その取り扱いについては見直しが進められています。状況によっては、後継者が個人保証を負わずに済む道が開ける場合もあります。こうした最新の動向を踏まえて対応を検討することが、後継者の負担を軽くすることにつながります。専門家であれば、こうした最新の状況も踏まえた助言をしてくれます。制度は変わりうるため、最新情報に通じた専門家の存在が頼りになります。

税の負担にも注意が必要

従業員承継では、株式の移転にともなって税の負担が生じることがあります。どのような形で株式を移すかによって、課される税の種類や負担の大きさが変わってきます。税の負担を考えずに進めると、後継者や関係者に想定外の負担が生じることもあります。

事業承継にあたっては、税の負担を軽くするための制度が設けられている場合もあります。こうした制度を活用できるかどうかも含めて、税の問題は専門的な検討が欠かせません。制度には適用のための要件があり、自社が当てはまるかどうかの見極めが必要です。要件を満たすための準備が求められることもあります。制度活用には、事前の入念な準備が欠かせません。税の負担をどう抑えるかは、その会社の状況によって変わるため、専門家に相談しながら進めるのが確実です。株式の移転にともなう税の負担は、決して小さくないことがあります。どのような方法で、いつ、どれだけの株式を移すかによって、税の扱いは大きく変わります。専門家に相談すれば、活用できる制度がないか、どう進めれば負担を抑えられるかを、その会社の事情に即して検討してもらえます。税の問題は複雑なだけに、専門家の関与が特に重要になる分野です。

注意
従業員承継では、後継者の資金調達、経営者保証の引き継ぎ、税の負担といった課題があります。これらを軽視して進めると、後継者に過大な負担がかかり、承継が頓挫することもあります。早めに専門家に相談し、計画的に進めることが大切です。

従業員承継の手続きの流れ

従業員承継は、どのような流れで進めていくのでしょうか。実際の手続きの大まかな流れを見ていきましょう。一つひとつの段階を丁寧に進めることが、円滑な承継につながります。

後継者の選定と育成

従業員承継の出発点は、後継者を選び、育てることです。社内の役員や従業員の中から、経営者としての資質や意欲を持つ人材を選びます。後継者にふさわしい人物を見極めることは、承継の成否を左右する重要なステップです。経営者には、判断力や決断力、人をまとめる力など、現場の業務とは違った能力が求められます。優秀な従業員が、必ずしも優れた経営者になれるとは限りません。現場の能力と経営の能力は、別物だと心得ておく必要があります。だからこそ、経営者としての資質や意欲を慎重に見極めることが大切です。候補者の能力や人柄をよく観察し、本当に会社を任せられる人物かどうかを見定める必要があります。

後継者を選んだら、経営者として必要な知識や経験を身につけてもらうための育成を進めます。育成は、後継者本人の成長を促すだけでなく、周囲に「あの人が次の経営者だ」と認識してもらう機会にもなります。周囲の理解を得る過程としても、育成期間は意味を持ちます。経営の判断や、取引先との関係づくり、従業員のまとめ方など、経営者に求められる能力は多岐にわたります。こうした力は一朝一夕には身につかないため、時間をかけて計画的に育成していくことが大切です。経営者としての力は、一度教えればすぐに身につくというものではありません。実際にさまざまな業務や判断を経験する中で、少しずつ培われていくものです。だからこそ、承継を思い立ってから慌てて育成を始めるのではなく、早い段階から計画的に後継者を育てていくことが重要になります。育成は、思い立ったらすぐに始めるくらいの心づもりが必要です。十分な準備期間を確保することが、円滑な承継につながります。育成にかける時間は、未来への投資だといえます。焦らず、しかし着実に進めることが大切です。

承継計画を立てる

後継者が定まったら、いつ、どのように事業を引き継ぐのか、具体的な計画を立てます。株式をどう移すか、資金調達をどうするか、経営者保証をどう扱うか、税の負担にどう対応するかなど、検討すべき事項は多岐にわたります。

これらをその場しのぎで進めると、後でトラブルのもとになります。あらかじめ全体の計画を立て、課題を一つずつ解決していくことが大切です。従業員承継には、資金調達、経営者保証、税の負担など、解決すべき課題がいくつもあります。これらをその都度場当たり的に対応していては、どこかで行き詰まってしまいます。承継のゴールから逆算して、いつまでに何を解決するのかという全体の計画を立て、一つずつ着実に課題をつぶしていくことが、成功への近道です。承継計画の作成は専門的な知識を要するため、専門家の助けを借りながら進めると安心です。計画に抜けや漏れがあると、後で大きな問題に発展しかねません。小さな見落としが、後に大きな禍根を残すこともあります。専門家のチェックを受けることで、より確実な計画を立てられます。

株式の移転と経営の引き継ぎ

計画にもとづいて、実際に株式を後継者に移し、経営を引き継いでいきます。株式の移転には、売買や贈与など、いくつかの方法があります。どの方法を選ぶかによって、資金の準備や税の負担が変わるため、計画段階での検討が活きてきます。株式を売買で移すのか、贈与で移すのか。その選び方によって、後継者が用意すべき資金や、関係者が負担する税が変わってきます。どの方法が自社にとって最適かは、会社の状況や後継者の事情によって異なります。計画の段階でしっかり検討しておくことで、実際の移転をスムーズに進められます。

経営の引き継ぎは、ある日突然すべてを任せるのではなく、段階的に進めるのが一般的です。先代の経営者がしばらくサポートしながら、徐々に後継者に権限を移していくことで、混乱を抑えながらスムーズに承継を進められます。後継者がいきなりすべての経営判断を任されると、戸惑いや失敗が生じやすくなります。先代がしばらく見守り、必要なときに助言しながら、段階的に権限を移していくのが理想です。こうした移行期間を設けることで、後継者は経営者としての自信を育み、社内も新体制に少しずつ慣れていくことができます。急がば回れの姿勢が、結局は円滑な承継につながるのです。段階的な移行こそが、失敗を避ける確実な道です。

従業員承継のトラブルを防ぐために

従業員承継は、進め方を誤るとトラブルにつながることがあります。せっかくの承継が紛争の種にならないよう、注意すべき点を押さえておきましょう。ここでは、トラブルを防ぐための工夫を見ていきます。

関係者への説明と調整を丁寧に行う

従業員承継を円滑に進めるには、関係者への説明と調整を丁寧に行うことが欠かせません。後継者以外の役員や従業員、取引先、金融機関など、承継に関わる人は多岐にわたります。これらの関係者に、承継の方針を適切なタイミングで伝え、理解を得ておくことが大切です。

とくに、後継者に選ばれなかった役員や従業員への配慮は重要です。選ばれなかった人の心情に配慮することは、組織の結束を保つうえで欠かせません。配慮の有無が、承継後の組織の雰囲気を左右します。説明が不十分だと、社内に不満が生じ、承継後の経営に支障をきたすこともあります。後継者に選ばれなかった人が不満を抱えたまま残ると、新体制への協力が得られず、組織がぎくしゃくしてしまいます。一人ひとりへの目配りが、円満な承継を支えます。誰を後継者にするのか、なぜその人なのかを丁寧に説明し、社内の納得を得ながら進めることが、トラブルの防止につながります。透明性を持って承継を進めることが、社内の信頼を保つうえで何より大切です。隠し事のない承継こそが、組織の一体感を守ります。

現経営者の相続も視野に入れる

従業員承継を考える際には、現経営者自身の相続も視野に入れておくことが大切です。経営者が保有していた株式は、相続が発生すれば相続財産になります。承継の進め方によっては、経営者の相続人と後継者との間で、株式をめぐる問題が生じることもあります。株式は財産的な価値を持つため、相続人にとっても無関心ではいられない対象です。相続人の権利にも配慮しながら、承継を進める必要があります。

たとえば、株式を後継者に移す前に経営者が亡くなれば、その株式は相続人に引き継がれ、承継の計画が狂ってしまうおそれがあります。従業員承継と経営者個人の相続は、密接に関わってきます。事業承継を考えるなら、経営者自身の相続対策もセットで考える必要があるのです。二つを切り離さず、一体として準備することが肝心です。両方を見据えて計画を立てることで、思わぬトラブルを避けられます。事業の承継と、経営者個人の財産の相続。この二つは別々のことのようでいて、株式という財産を通じて深く結びついています。片方だけを考えて進めると、もう片方で思わぬ問題が生じかねません。両者を一体のものとしてとらえ、総合的に計画を立てることが、トラブルのない承継には欠かせないのです。

従業員承継を成功させるための備え

従業員承継は、後継者の選定や育成、資金調達、経営者保証、税の負担、関係者の調整、そして経営者自身の相続まで、考えるべきことが幅広く、いずれも専門的な知識を必要とします。自社だけで進めようとすると、どこかでつまずいたり、思わぬトラブルに見舞われたりすることがあります。

そんなときに頼りになるのが、事業承継に詳しい弁護士などの専門家です。専門家に相談すれば、その会社の状況を踏まえて、従業員承継を成功させるための計画づくりや、課題の解決方法について、的確な助言を受けられます。資金調達や税の問題、関係者との調整など、難しい論点を一つずつ整理してもらえます。複雑にからみ合った課題も、専門家の手にかかれば、解きほぐして整理できます。一人で抱え込まず、専門家とともに進めるのが賢明です。専門家との二人三脚が、確実な承継への近道です。

従業員承継は、準備に時間がかかるものです。引退を考え始めたら、できるだけ早く準備に取りかかることが大切です。早めに専門家に相談しておくことで、余裕を持って計画を進め、円滑な承継を実現しやすくなります。時間に追われて慌てて進めるより、ゆとりを持って準備するほうが、よい結果につながります。早く動き出すほど、選べる選択肢も増えていきます。会社と従業員の将来のために、専門家の力を上手に活用してください。円滑な承継は、会社を支えてきた従業員みんなの未来を守ることにもつながります。一つの承継が、多くの人の人生を支えているのです。だからこそ、悔いのない承継を目指したいものです。

従業員承継についてよくある質問

最後に、従業員承継について、よく寄せられる質問にお答えします。

従業員承継とはどんな方法ですか

従業員承継とは、現経営者が引退する際に、親族以外の役員や従業員を後継者として事業を引き継ぐ方法です。長年一緒に働いてきた人材に会社を託せるため、事業をよく理解した人に引き継げる、従業員や取引先の理解を得やすいといったメリットがあります。一方で、後継者の資金調達などの課題もあります。

従業員承継のメリットは何ですか

従業員承継のメリットは、事業をよく理解した人に会社を引き継げることです。長年自社で働いてきた人材は会社の事情を熟知しているため、引き継ぎ後も安定した経営を続けやすくなります。また、社内の人材が後継者になるため、従業員や取引先の理解を得やすく、承継にともなう混乱を抑えられる点もメリットです。

従業員承継の課題は何ですか

従業員承継の大きな課題は、後継者の資金調達です。会社の株式を買い取るためのまとまった資金が、従業員である後継者にはないことが多いためです。このほか、経営者保証の引き継ぎや、株式の移転にともなう税の負担も課題になります。これらを計画的に解決していくことが、承継の成功につながります。

従業員承継はどう進めればよいですか

従業員承継は、後継者の選定と育成から始まります。次に、株式の移転や資金調達、税の対応などを盛り込んだ承継計画を立て、計画にもとづいて株式を移し、段階的に経営を引き継いでいきます。検討すべき事項が多く専門的な知識を要するため、専門家の助けを借りながら計画的に進めるのが確実です。

従業員承継で相続は関係しますか

従業員承継では、現経営者自身の相続も関係します。経営者が保有していた株式は、相続が発生すれば相続財産になります。株式を後継者に移す前に経営者が亡くなると、その株式が相続人に引き継がれ、承継計画が狂うおそれがあります。従業員承継を考える際は、経営者の相続も視野に入れて計画を立てることが大切です。

あなたの相続税はいくら?無料診断

5,000万円
2人

基礎控除額

4,200万円

課税対象額

800万円

相続税の総額(概算)

80万円

申告が必要です

※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。

遺産相続は弁護士に相談を
法律のプロがスムーズで正しい相続手続きをサポート
  • 相続人のひとりが弁護士を連れてきた
  • 遺産分割協議で話がまとまらない
  • 遺産相続の話で親族と顔を合わせたくない
  • 遺言書に自分の名前がない、相続分に不満がある
  • 相続について、どうしていいのか分からない
掲載2,000以上事務所 初回相談無料の事務所多数 全国対応

かんたん3ステップで相談できます

1
お住まいの
地域を選ぶ
2
事務所を
比べて選ぶ
3
無料相談を
申し込む
上記に当てはまるなら弁護士に相談
相続に強い弁護士を探す