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親族内承継とは?子への事業承継のメリットと流れ

親族内承継とは?子への事業承継のメリットと流れ

この記事で分かること

  • 親族内承継の3つの承継方法(生前贈与・相続・売買)と8ステップの流れ
  • 事業承継税制(令和9年12月末まで)の活用と特例承継計画(令和8年3月末まで)
  • 5〜10年の後継者教育の重要性と8つの教育内容
  • 民法特例(経営承継円滑化法)による遺留分対策
  • 8つのケーススタディと10のリスク回避策

親族内承継の3つの承継方法、8つのメリットと8つのデメリット、事業承継税制(令和9年12月末特例措置)の活用、株式評価方法、5〜10年の後継者教育、民法特例による遺留分対策(経営承継円滑化法)、8つのケーススタディ、12ステップの手続きまで網羅した実用的な徹底解説ガイドです。

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親族内承継の基本と全体像

「事業を子に継がせたいが、何から始めればいい?」「事業承継税制で本当に税負担ゼロにできる?」「後継者教育はいつから?」――こうした疑問は、中小企業のオーナーや、事業承継を控える方が必ず抱える切実なものです。

親族内承継は、中小企業のオーナーが、子・配偶者・兄弟姉妹などの親族に事業を承継する方法です。日本の中小企業の事業承継では、依然として親族内承継が中心(約40%程度)。事業承継税制(令和9年12月末までの特例措置)の活用で、贈与税・相続税の実質ゼロ化が可能となり、注目を集めています。本記事では、親族内承継の定義、メリット・デメリット、3つの承継方法、株式の評価・移転方法、事業承継税制、後継者教育、ケーススタディ、よくある質問まで、実用的な情報を弁護士目線で詳しく解説します。

事業承継の3つの類型

事業承継には、(1)親族内承継、(2)親族外承継(従業員等)、(3)M&A(第三者への売却)、の3つの類型があります。

類型 内容
1 親族内承継(子・配偶者・兄弟姉妹など)
2 親族外承継(従業員等・MBO)
3 M&A(第三者への売却)

類型1 親族内承継

親族内承継は、経営者が子・配偶者・兄弟姉妹などの親族に事業を承継する方法です。

日本の伝統的な事業承継の主要パターン。

類型2 親族外承継(従業員等)

親族外承継は、社内の役員・従業員に事業を承継する方法です。

MBO(マネジメント・バイアウト)などが該当。

類型3 M&A(第三者への売却)

M&Aは、第三者(他社・投資家など)に事業を売却する方法です。

近年増加傾向。

3つの類型の選択

事業承継の方法は、(1)後継者候補の有無、(2)企業規模、(3)業種、(4)オーナーの希望、(5)税務上の影響、を総合的に考慮して選択します。

親族内承継の特徴

親族内承継の特徴は、(1)経営理念・社風の継続性、(2)社内の理解を得やすい、(3)税務上の優遇(事業承継税制)、(4)親子間の信頼関係、です。

親族内承継のメリット

親族内承継の主なメリットを見ていきましょう。

メリット1 経営理念・社風の継続性

オーナーの経営理念・社風が、後継者(親族)に直接受け継がれます。

事業の長期的な安定性を確保。

メリット2 社内の理解を得やすい

親族内承継は、社内の役員・従業員にも理解されやすい傾向。

反発が少なく、円滑な承継。

メリット3 取引先・金融機関からの信頼

取引先・金融機関も、親族内承継を信頼しやすい。

事業の継続性への安心感。

メリット4 事業承継税制の活用

事業承継税制(令和9年12月末までの特例措置)の活用で、贈与税・相続税が実質ゼロ化可能。

メリット5 早期の後継者教育

親族の場合、後継者教育を子供の頃から長期的に進めることができます。

メリット6 オーナーの長期的なサポート

オーナーが、引退後も後継者(親族)を長期的にサポートしやすい。

メリット7 オーナー一族の財産形成

事業の発展により、オーナー一族の財産形成に寄与。

メリット8 雇用の継続性

親族内承継により、従業員の雇用も継続されやすい。

メリットの活用

これらのメリットを活かすため、(1)早期の準備、(2)後継者の選定、(3)事業承継税制の活用、(4)専門家のサポート、が重要です。

親族内承継のデメリット

親族内承継のデメリットも整理しておきましょう。

デメリット1 後継者候補の不足

少子化・価値観の多様化で、親族内に後継者候補がいない場合が増加。

デメリット2 後継者の能力不足

親族の後継者が、経営能力・適性に欠ける場合がある。

デメリット3 親子間の対立

事業承継をめぐる親子間の意見対立。

デメリット4 他の親族との対立

事業承継で特定の親族が優遇されることによる、他の親族との対立。

特に、遺留分問題が発生しやすい。

デメリット5 オーナーの引退困難

オーナーが引退後も経営に介入し、後継者の自立を妨げるケース。

デメリット6 株式の集中の困難

オーナーが複数の親族に株式を分散している場合、後継者への集中が困難。

デメリット7 税務上の負担

事業承継税制を活用しても、要件を満たさない場合や、特例期限切れ後の負担。

デメリット8 取引先・金融機関の判断

後継者の経営能力次第では、取引先・金融機関の信頼を失うリスク。

デメリットの注意点

これらのデメリットを踏まえ、(1)早期の検討、(2)後継者の慎重な選定、(3)後継者教育、(4)他の親族との合意形成、(5)専門家のサポート、が重要です。

親族内承継の3つの承継方法

親族内承継の主要な3つの承継方法を見ていきましょう。

方法1 生前贈与

オーナーの生前に、後継者に株式・事業用財産を贈与する方法。

事業承継税制の贈与税の納税猶予を活用できる。

方法2 相続

オーナーの死亡時に、後継者に株式・事業用財産を相続させる方法。

遺言書での指定が重要。事業承継税制の相続税の納税猶予を活用できる。

方法3 売買

後継者がオーナーから株式・事業用財産を有償で買い取る方法。

税務上は売買として扱われ、オーナーに譲渡所得税が発生。

方法の比較

各方法の選択は、(1)税務上の影響、(2)後継者の資金力、(3)オーナーの引退時期、(4)他の親族との関係、を総合的に考慮。

組み合わせも可能

これらの方法を組み合わせることも可能。

たとえば、(1)早期に一部を生前贈与し、(2)残りを相続で承継、または(3)後継者が資金を持てば一部を売買で買い取り、など。

推奨される組み合わせ

推奨される組み合わせは、事業承継税制を活用した生前贈与+遺言書での相続指定です。

税負担を最小化しつつ、確実な承継。

親族内承継の流れ(全体像)

親族内承継の全体的な流れを見ていきましょう。

ステップ1 現状の把握

オーナーが、(1)企業の現状、(2)後継者候補、(3)財産状況、(4)株主構成、を把握。

ステップ2 後継者の選定

親族内から後継者を選定。能力・意欲・適性を総合的に判断。

ステップ3 後継者教育

後継者を、社内で経営者として育成。長期間(5〜10年)が目安。

ステップ4 株式の整理

株主構成を整理し、後継者への株式集中を準備。

ステップ5 事業承継計画の作成

事業承継計画書を作成し、特例承継計画(事業承継税制)を提出。

ステップ6 株式の移転

生前贈与・相続・売買で、後継者に株式を移転。

ステップ7 経営の引継ぎ

オーナーから後継者へ、段階的に経営を引き継ぐ。

ステップ8 オーナーの引退

オーナーが完全に引退し、後継者が独立して経営。

全体期間の目安

全体の期間は、5〜10年が目安。

早期からの計画的な準備が、円滑な承継につながります。

事業承継税制の活用

事業承継税制を詳しく見ていきましょう。

事業承継税制とは

事業承継税制(法人版)は、非上場会社の後継者(親族・親族外)が、株式の贈与・相続を受ける際の贈与税・相続税の納税が猶予・免除される制度です。

2018年度税制改正で、特例措置として大幅に拡充されました。

特例措置の概要

特例措置(令和9年12月末までの時限措置)の特徴:

(1)対象株式の上限なし(全株式が対象)。
(2)猶予割合100%(全額納税猶予)。
(3)雇用確保要件の弾力化(満たさなくても理由を提出すれば免除)。
(4)複数の後継者(最大3人)への適用可能。
(5)経営環境変化に応じた減免制度。

特例承継計画

特例措置の適用には、令和8年3月末までに「特例承継計画」を都道府県に提出する必要があります(認定経営革新等支援機関の指導・助言が必要)。

適用要件

事業承継税制の適用要件:

(1)中小企業者であること。
(2)非上場会社であること。
(3)株式を後継者(個人)に贈与・相続。
(4)後継者が代表者となる。
(5)後継者が株主の議決権の過半数を有する。
(6)経営承継期間(5年間)中の継続要件。

事業承継税制の節税効果

事業承継税制を活用すれば、(1)贈与時の贈与税の納税猶予・免除、(2)相続時の相続税の納税猶予・免除、で実質ゼロ化が可能。

特に、株式評価額の高い中小企業のオーナーには、極めて大きな節税効果。

適用の注意点

注意点は、(1)継続要件の遵守、(2)雇用確保要件、(3)後継者の代表者要件、(4)取消事由の回避、です。

取消事由(例:後継者の代表辞退・株式の譲渡)があると、納税猶予が取り消され、利子税付きで納税が必要。

専門家のサポート必須

事業承継税制は、極めて複雑な制度です。

税理士・弁護士のサポートが、適用と継続の両面で不可欠。

特例措置の期限

特例措置の期限は、令和9年12月末まで(注:特例承継計画の提出期限は令和8年3月末まで)。

期限の延長の議論がありますが、確定情報は政府・国税庁の発表を確認してください。

個人版事業承継税制

個人事業者向けの事業承継税制(個人版)もあります(2019年度税制改正で導入)。

個人事業の事業用財産(土地・建物・機械装置など)が対象。

株式の評価方法

親族内承継での株式の評価方法を整理しておきましょう。

非上場株式の評価

非上場株式の評価は、(1)類似業種比準方式、(2)純資産価額方式、(3)配当還元方式、を組み合わせて算定。

評価方式の選択

評価方式の選択は、(1)会社規模(大会社・中会社・小会社)、(2)取得者の議決権割合、によって決まります。

類似業種比準方式

類似業種比準方式は、業績が似た上場会社の株価を参考に評価。

業績が良い会社では、評価額が高くなる傾向。

純資産価額方式

純資産価額方式は、会社の純資産を時価評価して株式数で割る方式。

不動産・株式などの含み益がある会社では、評価額が高くなる傾向。

配当還元方式

配当還元方式は、配当を基準に評価。

少数株主(議決権5%以下など)に適用。

評価額の引き下げ対策

評価額の引き下げ対策として、(1)役員退職金の支給、(2)不動産の取得、(3)生命保険の活用、(4)持株会社化、などがあります。

評価のタイミング

評価のタイミングは、贈与時または相続時の評価額が基準。

オーナーが生前に評価額を下げる対策を講じることが重要。

税理士による評価

非上場株式の評価は、税理士の専門領域。

正確な評価額の算定で、税負担の最適化が可能。

後継者教育

後継者教育について詳しく見ていきましょう。

後継者教育の重要性

後継者教育は、親族内承継の成否を左右する最重要要素です。

能力不足のまま承継すると、企業の継続性に重大な影響。

教育期間の目安

教育期間の目安は、5〜10年。

早期(後継者が30代以降)からの計画的な教育が推奨。

教育内容1 経営理念の共有

オーナーの経営理念・社風を、後継者と共有。

事業の核心的価値を継承。

教育内容2 業界知識・専門知識

業界の動向、技術・専門知識、を体系的に学習。

教育内容3 経営管理スキル

財務・会計、マーケティング、人事管理、戦略立案、などの経営管理スキル。

教育内容4 リーダーシップ

従業員・取引先・金融機関との関係構築、リーダーシップ。

教育内容5 社内での実務経験

営業・製造・管理など、社内の各部門での実務経験。

教育内容6 外部での経験

他社・他業界での経験で、視野を広げる。

教育内容7 外部研修・MBA

外部の経営研修・MBAなどで、体系的な経営学を学ぶ。

教育内容8 経営者の意思決定経験

段階的に重要な意思決定を任せ、経営者としての判断力を養成。

後継者教育のステップ

ステップ:(1)早期から事業への興味を促す、(2)他社・他業界で経験、(3)入社後、各部門で実務経験、(4)役員に登用、(5)取締役・専務などの重要ポジション、(6)代表取締役へ。

オーナーの役割

オーナーの役割は、(1)後継者の成長を促す、(2)失敗を許容する、(3)段階的に権限を委譲する、(4)引退後も助言する、です。

教育のための機関

事業承継・M&A支援センター、商工会議所、よろず支援拠点、などの公的機関が後継者教育プログラムを提供。

親族内承継のリスクと回避策

親族内承継のリスクと回避策を整理しておきましょう。

リスク1 遺留分問題

他の親族(後継者以外の子・配偶者など)からの遺留分侵害額請求。

回避策:民法特例(経営承継円滑化法)の活用、遺留分の事前放棄、遺言書での明確化。

リスク2 株式の分散

オーナー死亡後、株式が複数の親族に分散し、後継者の経営権が脅かされるリスク。

回避策:オーナー生前から株式を後継者に集中させる対策。

リスク3 後継者の能力不足

後継者の経営能力が不足し、企業の業績が悪化するリスク。

回避策:早期の後継者教育、段階的な権限委譲、外部のサポート。

リスク4 後継者の意欲不足

後継者(子など)が、事業承継を望まないリスク。

回避策:早期の対話、意欲のある後継者の選定、外部承継(M&A)の検討。

リスク5 親子間の対立

事業承継をめぐる親子間の意見対立。

回避策:早期の対話、第三者(弁護士・経営コンサル)の介入。

リスク6 オーナーの引退困難

オーナーが完全に引退できず、後継者の自立を妨げるリスク。

回避策:オーナーの引退計画、引退後の役割の明確化(顧問・名誉会長など)。

リスク7 経営環境の変化

事業承継後の経営環境(業界変動・経済情勢)の変化リスク。

回避策:後継者の柔軟性、外部のアドバイザー、事業転換の準備。

リスク8 事業承継税制の取消事由

継続要件違反による事業承継税制の取消リスク。

回避策:継続要件の厳格な遵守、税理士による継続管理。

リスク9 金融機関からの個人保証

オーナーの個人保証が、後継者に承継されるリスク。

回避策:経営者保証ガイドラインの活用、金融機関との交渉。

リスク10 知的財産・ノウハウの承継困難

オーナーの暗黙知・ノウハウの後継者への承継が困難。

回避策:長期的な後継者教育、ノウハウの文書化。

リスク回避の総合

これらのリスクを踏まえ、(1)早期の検討、(2)後継者の慎重な選定、(3)後継者教育、(4)他の親族との合意形成、(5)専門家のサポート、(6)定期的な計画の見直し、が重要です。

遺留分への民法特例(経営承継円滑化法)

親族内承継での遺留分問題への対策を見ていきましょう。

遺留分問題の概要

オーナーが株式を1人の後継者に集中させると、他の子(後継者以外)の遺留分を侵害する可能性。

他の子から遺留分侵害額請求が発生し、後継者が金銭支払いを余儀なくされるリスク。

民法特例の概要

中小企業経営承継円滑化法(2009年施行)による民法特例で、遺留分対策が可能。

特例1 除外合意

オーナーから後継者に贈与された自社株式を、遺留分計算の基礎財産から除外する合意。

他の子の同意+経済産業大臣の確認+家庭裁判所の許可、が必要。

特例2 固定合意

遺留分計算で、贈与時の株式評価額を固定する合意。

将来の株価上昇分を遺留分計算から除外。

特例の活用要件

要件:(1)中小企業者であること、(2)オーナー・後継者・他の親族の合意、(3)経済産業大臣の確認、(4)家庭裁判所の許可、です。

特例の効果

これらの特例で、遺留分問題による事業承継の阻害を回避できます。

専門家のサポート必須

民法特例の活用は、極めて複雑な手続き。

事業承継に強い弁護士のサポートが不可欠。

親族内承継のケーススタディ

具体的なケーススタディで、親族内承継を見ていきましょう。

ケース1 標準的な親族内承継

【ケース】

被相続人:A(70代・中小製造業オーナー)
家族:配偶者B、長男C(後継者)、長女D
Aの財産:非上場株式3億円+その他2億円

事業承継税制を活用し、AからCへ生前贈与で株式100%を移転。贈与税の納税猶予で実質ゼロ。

Cが代表取締役に就任。Dには現金で配分。

ケース2 株式の分散の整理

【ケース】

被相続人:E
家族:配偶者F、長男G(後継者)、長女H、次男I
Eの財産:非上場株式(E60%・H20%・I20%)

Hの株式をG(後継者)に集約するため、HからGへ売買。

Iの株式は、IがGに信託(議決権をGに集中)。

ケース3 遺留分問題への民法特例の活用

【ケース】

被相続人:J
家族:子K(後継者)・L・M
Jの財産:非上場株式8億円(全体の8割)+その他2億円

KLM全員の合意で、Kへの株式贈与を遺留分計算から除外する「除外合意」を活用。

L・Mの遺留分は、その他2億円から計算。後継者Kへの株式集中を実現。

ケース4 後継者教育の長期計画

【ケース】

被相続人:N(60代)
家族:子O(35歳)
状況:Oは大手企業勤務後、N社に入社

5年間で営業・製造・経理を経験。

その後3年間取締役、2年間専務取締役。Nの70歳時に代表取締役交代。

合計10年の計画的な後継者教育で、円滑な承継。

ケース5 M&Aを検討した結果の親族内承継

【ケース】

被相続人:P
家族:子Q(後継者候補)

当初M&Aを検討したが、Qの意欲と能力が確認され、親族内承継に切り替え。

3年間の教育を経て承継完了。

ケース6 事業承継税制の取消リスク

【ケース】

被相続人:R
家族:子S(後継者)
状況:事業承継税制を活用したが、5年後にSが経営を放棄(代表辞任)

納税猶予が取り消され、利子税付きで贈与税を支払うことに。

教訓:継続要件の遵守が不可欠。

ケース7 金融機関の個人保証問題

【ケース】

被相続人:T
家族:子U(後継者)
状況:Tの個人保証(借入1億円)をUに引き継ぐかが問題に

経営者保証ガイドラインを活用し、Uの個人保証なしで承継を実現。

ケース8 後継者不在のM&A移行

【ケース】

被相続人:V
家族:子なし、親族内に後継者候補なし

当初親族内承継を検討したが、適任者がいないためM&Aに移行。

事業を第三者に売却し、Vは事業承継を完了。

ケーススタディから学ぶ点

複数のケースから、(1)早期の計画、(2)事業承継税制の活用、(3)株式の集中、(4)遺留分対策、(5)長期的な後継者教育、(6)取消リスクへの注意、(7)経営者保証ガイドライン、(8)親族内承継の限界とM&Aへの転換、が確認できます。

親族内承継の手続き

親族内承継の具体的な手続きを整理しておきましょう。

手続き1 現状把握

企業の現状、財産、株主構成、後継者候補、を把握。

手続き2 後継者の選定・同意

後継者を選定し、本人の同意を得る。

手続き3 事業承継計画の作成

事業承継計画書を作成。特例承継計画(令和8年3月末まで)を都道府県に提出。

手続き4 後継者教育の開始

後継者の社内・社外での教育を開始。

手続き5 株式の評価

税理士による株式の評価(類似業種比準方式・純資産価額方式など)。

手続き6 株主構成の整理

オーナー以外の親族・株主からの株式買取り、信託の活用、で株式を後継者に集中。

手続き7 民法特例の活用(必要に応じて)

遺留分問題がある場合、民法特例(除外合意・固定合意)を活用。

手続き8 株式の移転

生前贈与・売買・相続で、後継者に株式を移転。

事業承継税制の納税猶予を活用。

手続き9 代表者の変更

法人登記で代表者を後継者に変更。

手続き10 取引先・金融機関への通知

取引先・金融機関に、代表者変更・事業承継を通知。

手続き11 個人保証の整理

オーナーの個人保証の解除・後継者への引継ぎを整理。

経営者保証ガイドラインの活用。

手続き12 経営承継期間の継続要件遵守

事業承継税制の経営承継期間(5年間)中、継続要件を遵守。

専門家のサポート

これらの手続きは複雑で、弁護士・税理士・司法書士・経営コンサルタントの連携が不可欠。

親族内承継に関するよくある質問

親族内承継について、よくある質問にお答えします。

Q1 親族内承継とは何?

経営者が子・配偶者・兄弟姉妹などの親族に事業を承継する方法です。日本の中小企業の事業承継の中心的パターン。

Q2 事業承継税制で本当に税負担ゼロにできる?

はい、特例措置(令和9年12月末まで)を活用すれば、贈与税・相続税が全額納税猶予され、実質ゼロ化が可能。ただし、継続要件の遵守が必要。

Q3 親族内承継のメリットは?

(1)経営理念の継続、(2)社内の理解、(3)取引先からの信頼、(4)事業承継税制、(5)早期教育、(6)長期サポート、(7)財産形成、(8)雇用継続、です。

Q4 後継者がいない場合は?

親族外承継(従業員等)またはM&A(第三者への売却)を検討。

Q5 後継者教育はいつから?

後継者が20〜30代から、5〜10年の計画的な教育を推奨。

Q6 株式の評価方法は?

非上場株式は、類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式を組み合わせて評価。税理士の専門領域。

Q7 遺留分問題への対策は?

民法特例(経営承継円滑化法)の除外合意・固定合意の活用。他の親族の同意と経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可が必要。

Q8 事業承継税制の取消リスクは?

後継者の代表辞任・株式譲渡などの取消事由があると、納税猶予が取り消され、利子税付きで納税が必要。

Q9 個人保証の問題は?

経営者保証ガイドラインの活用で、後継者の個人保証なしでの承継が可能なケースあり。金融機関との交渉が必要。

Q10 専門家への相談は?

早期(承継5〜10年前)から、弁護士・税理士・司法書士・経営コンサルタントへの相談を推奨。

2024年現在の親族内承継の動向

2024年現在の動向を整理しておきましょう。

動向1 親族内承継の減少

親族内承継の割合が減少傾向(40%程度)。M&Aの増加。

動向2 事業承継税制の活用増加

特例措置(令和9年12月末まで)の活用が増加。期限を意識した駆け込み事業承継。

動向3 特例承継計画の提出期限

特例承継計画の提出期限は令和8年3月末まで(2026年3月末)。

動向4 経営者保証ガイドラインの普及

経営者保証ガイドラインで、個人保証なしの事業承継が増加。

動向5 後継者教育の重要性増加

後継者教育の長期化・体系化が進んでいます。

動向6 デジタル化への対応

事業承継後のデジタル化・DX対応が重要課題。

動向7 国際的な事業承継

海外子会社・国際的なグループ会社の事業承継事案が増加。

動向8 ファミリービジネスの研究

ファミリービジネス(同族企業)の経営研究が、事業承継支援に活用。

親族内承継のチェックリスト

最後に、親族内承継のチェックリストを整理しておきましょう。

チェック1 後継者の選定

後継者候補を選定し、本人の意欲・能力を確認しましたか?

チェック2 事業承継計画の作成

事業承継計画書を作成しましたか?

チェック3 特例承継計画の提出

事業承継税制を活用する場合、特例承継計画を提出しましたか?(令和8年3月末まで)

チェック4 株式の評価

税理士による株式の評価を行いましたか?

チェック5 株主構成の整理

後継者への株式集中を整理しましたか?

チェック6 後継者教育

5〜10年の後継者教育計画を立てていますか?

チェック7 遺留分対策

他の親族の遺留分への配慮(民法特例の活用など)を計画していますか?

チェック8 個人保証の整理

オーナーの個人保証の解除・引継ぎを計画していますか?

チェック9 取引先・金融機関への通知

事業承継の通知を計画していますか?

チェック10 専門家チームの構築

弁護士・税理士・司法書士・経営コンサルタントの専門家チームを構築していますか?

これらのチェックを通じて、適切な親族内承継が実現できます。

専門家のサポート

親族内承継では、専門家のサポートが極めて有効です。

弁護士の役割

弁護士は、(1)事業承継計画の法的アドバイス、(2)遺留分対策(民法特例)、(3)株式の移転、(4)遺言書の作成、(5)紛争予防、を担当。

費用は、複雑な事案で50万円〜300万円が目安。

税理士の役割

税理士は、(1)株式評価、(2)事業承継税制の適用、(3)継続要件の管理、(4)節税戦略、を担当。

費用は、株式評価で20万円〜50万円、事業承継税制の継続管理で年20万円〜50万円が目安。

司法書士の役割

司法書士は、(1)株式の名義変更、(2)法人登記、(3)各種書類作成、を担当。

費用は、5万円〜30万円が目安。

経営コンサルタントの役割

経営コンサルタントは、(1)事業承継計画の戦略立案、(2)後継者教育、(3)組織変革、を担当。

事業承継センター

独立行政法人中小企業基盤整備機構の事業承継センターが、無料相談を提供。

よろず支援拠点・商工会議所

全国の都道府県によろず支援拠点・商工会議所があり、事業承継支援を提供。

親族内承継と他の相続対策との組み合わせ

親族内承継と他の相続対策との組み合わせを整理しておきましょう。

組み合わせ1 事業承継税制+遺言書

事業承継税制で株式の納税猶予+遺言書で他の財産配分を明確化。

最も基本的な組み合わせ。

組み合わせ2 事業承継税制+生命保険

事業承継税制+生命保険(他の親族への現金配分のため)。

遺留分問題の予防にも有効。

組み合わせ3 事業承継税制+養子縁組

後継者を養子縁組+事業承継税制。

基礎控除の増加と事業承継の安定。

組み合わせ4 事業承継税制+家族信託

家族信託で株式の管理権をオーナーが保持しつつ、議決権を後継者に。

柔軟な財産設計。

組み合わせ5 事業承継税制+持株会社化

持株会社を活用した株式集中。事業会社の株式を持株会社に移転し、持株会社の株式を後継者に承継。

組み合わせ6 事業承継税制+小規模宅地等の特例

事業用宅地について、小規模宅地等の特例(80%評価減)も併用。

組み合わせ7 事業承継税制+配偶者税額軽減

事業承継税制(後継者の株式)+配偶者税額軽減(配偶者の他の財産)。

組み合わせ8 事業承継税制+生前贈与(暦年贈与)

事業承継税制(株式)+暦年贈与(年110万円・現金など)。

長期的な財産移転の組み合わせ。

組み合わせの戦略性

これらの組み合わせは、長期的な視点での節税戦略と承継戦略として活用。

税理士・弁護士のチームでの戦略立案が有効。

親族内承継の長期的な視点

親族内承継の長期的な視点を整理しておきましょう。

視点1 早期検討(承継5〜10年前)

オーナーが60代から、承継の検討を開始することが推奨。

視点2 段階的な権限委譲

急激な権限委譲ではなく、段階的・計画的な引継ぎ。

視点3 後継者の独立性確保

後継者が独立して経営判断できる環境の構築。

視点4 経営チームの形成

後継者を支える経営チーム(役員・幹部)の形成。

視点5 経営理念の継承

経営理念・社風の明確な継承。

視点6 次々世代の視野

後継者の後の世代(孫世代)も視野に入れた長期計画。

視点7 外部環境の変化への対応

業界変動・経済情勢・デジタル化、への対応力の構築。

視点8 ファミリーガバナンス

オーナー一族の合意形成・ガバナンスの仕組み構築。

視点9 専門家との長期関係

事業承継に詳しい弁護士・税理士・経営コンサルタントとの長期的な関係構築。

視点10 後継者の覚悟と意欲

後継者本人の覚悟と意欲が、最も重要な成功要因。

親族内承継の実務ケーススタディの教訓

複数のケーススタディから得られる教訓は、(1)早期計画、(2)後継者教育、(3)税制活用、(4)遺留分対策、(5)専門家チーム、(6)継続要件遵守、(7)柔軟な対応、です。これらが、円滑な親族内承継の成功要因。

ワンポイントアドバイス
親族内承継は、中小企業のオーナーが、子・配偶者・兄弟姉妹などの親族に事業を承継する方法です。日本の中小企業の事業承継では、約40%が親族内承継。3つの承継方法は、(1)生前贈与、(2)相続、(3)売買、です。事業承継税制(法人版)の特例措置(令和9年12月末まで)を活用すれば、贈与税・相続税が全額納税猶予され、実質ゼロ化が可能。特例承継計画の提出期限は令和8年3月末までです。親族内承継の主なメリットは、(1)経営理念の継続、(2)社内の理解、(3)取引先からの信頼、(4)事業承継税制の活用、(5)早期の後継者教育、(6)長期サポート、(7)財産形成、(8)雇用継続、です。主なデメリットは、(1)後継者候補の不足、(2)後継者の能力不足、(3)親子・親族間の対立、(4)株式集中の困難、(5)税務上の負担、(6)継続要件違反リスク、です。重要な対策として、(1)5〜10年の長期的な後継者教育、(2)株主構成の整理(後継者への株式集中)、(3)民法特例(経営承継円滑化法)による遺留分対策、(4)経営者保証ガイドラインによる個人保証の整理、(5)事業承継税制の継続要件遵守、が挙げられます。複雑な手続きと長期的な計画のため、弁護士・税理士・司法書士・経営コンサルタントの専門家チームのサポートが、円滑な事業承継と長期的な企業の存続につながる最善策となります。

まとめ

親族内承継は、中小企業のオーナーが、子・配偶者・兄弟姉妹などの親族に事業を承継する方法です。

日本の中小企業の事業承継では、依然として中心的なパターン(約40%程度)。

3つの承継方法は、(1)生前贈与、(2)相続、(3)売買、です。組み合わせも可能。

事業承継税制(令和9年12月末までの特例措置)を活用すれば、贈与税・相続税が全額納税猶予され、実質ゼロ化が可能。特例承継計画の提出期限は令和8年3月末まで。

主なメリットは、経営理念の継続、社内の理解、取引先からの信頼、事業承継税制、早期の後継者教育、長期サポート、財産形成、雇用継続、です。

主なデメリットは、後継者候補の不足、後継者の能力不足、親子・親族間の対立、株式集中の困難、税務上の負担、継続要件違反リスク、です。

後継者教育は、5〜10年の長期的な計画が推奨。経営理念の共有、業界知識、経営管理スキル、リーダーシップ、社内・外部での実務経験、外部研修・MBA、意思決定経験、を体系的に進めます。

重要なリスク対策として、(1)株式の集中、(2)民法特例による遺留分対策、(3)経営者保証ガイドライン、(4)継続要件遵守、(5)後継者教育、があります。

2024年現在、親族内承継の減少、事業承継税制の活用増加、特例承継計画の提出期限、経営者保証ガイドラインの普及、後継者教育の重要性、デジタル化対応、国際的な事業承継、ファミリービジネス研究、などの動向があります。

読者の方が「事業を子に継がせたい」「事業承継税制を活用したい」と考えているなら、まずは事業承継に詳しい弁護士・税理士・経営コンサルタントに早めに相談することを強くおすすめします。早期の検討と長期的な計画、専門家チームのサポートが、円滑な事業承継と長期的な企業の存続につながる最善策となります。

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※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。

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