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生前贈与のメリット・デメリット|相続対策の基本

生前贈与のメリット・デメリット|相続対策の基本

この記事で分かること

  • 渡したい相手に確実に渡せる利点
  • 贈与税や渡しすぎのデメリット
  • 二つの課税方法の考え方
  • 相続対策になる仕組みと持ち戻し
  • 名義預金とみなされない注意点

生前贈与は、自分の意思で渡したい相手へ財産を移せる有効な手段ですが、贈与税の負担や渡しすぎといったデメリットもあります。この記事では、メリットとデメリットの両面、贈与税の二つの課税方法の考え方、亡くなる前の贈与が相続財産に加算される持ち戻しの注意点、名義預金とみなされないための対策、そして失敗しないための進め方までを、具体例を交えて整理してわかりやすく理解できます。

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生前贈与とは?相続対策として注目される理由

「元気なうちに、財産を子や孫に渡しておきたい」。そう考える方が増えています。亡くなってから財産を引き継ぐのが相続だとすれば、生きているうちに財産を渡すのが生前贈与です。あなたも、将来の相続を見すえて、今できる準備はないかと考えているのかもしれません。

生前贈与が注目されるのには、いくつかの理由があります。自分の意思で、渡したい相手に、渡したいタイミングで財産を移せること。やり方しだいで相続のときの負担を軽くできる可能性があること。そして、自分が亡くなったあとに家族が遺産分割でもめるのを防ぐ一助になること。こうした利点が、多くの人を生前贈与へと向かわせています。

とはいえ、生前贈与はいいことばかりではありません。やり方を間違えると、かえって損をしたり、後でトラブルになったりすることもあります。この記事では、生前贈与のメリットとデメリットを正直に整理しながら、贈与税のしくみや失敗しないための進め方まで、弁護士の視点でわかりやすくお伝えします。なお、税額や非課税の金額そのものは制度の改正などで変わりうるため、ここでは具体的な数字ではなく、考え方の軸を中心に説明していきます。

制度の細かな数字は、改正のたびに変わっていきます。けれども、生前贈与の基本的な考え方や、メリットとデメリットの構造は、そう簡単には変わりません。大切なのは、目先の数字に振り回されることではなく、自分の財産と家族の状況に照らして、生前贈与が自分に向いているのかどうかを見きわめることです。そのための判断材料を、これからひとつずつそろえていきましょう。

この記事では、まず生前贈与のメリットとデメリットを整理し、続いて贈与税の二つの課税方法、相続対策としての仕組みと落とし穴、失敗しないための進め方、そして名義預金の注意点までを順に見ていきます。読み終えるころには、自分にとって生前贈与が有効な手段なのか、どんな点に気をつければよいのかが、はっきりイメージできるようになっているはずです。

相続や贈与の話は、難しくてとっつきにくいと感じる方が多いものです。けれども、ひとつずつ順を追って理解していけば、けっして手の届かない世界の話ではありません。むしろ、自分や家族のこれからに直結する、身近で大切なテーマです。専門用語に身構えず、自分の暮らしに引きつけて読み進めてみてください。きっと、できることが見えてくるはずです。

なお、生前贈与は、相続というより大きなテーマの一部です。財産をどう次の世代へ引き継ぐかを考えるとき、生前贈与だけにこだわる必要はありません。遺言を活用する方法や、相続のときに分け方を工夫する方法など、ほかにもさまざまな選択肢があります。それらの中から、自分の目的と状況にいちばん合うものを選ぶ。生前贈与は、その有力な候補の一つだと位置づけて読み進めると、全体像がつかみやすくなります。

大切な財産を、自分の思いどおりに、そして家族が笑顔でいられる形で引き継ぐ。そのための一つの手段が生前贈与です。正しく理解して、上手に活用していきましょう。

生前贈与のメリット

まずは、生前贈与のよい面から見ていきましょう。大きく分けて、三つのメリットがあります。

渡したい相手に確実に財産を渡せる

生前贈与の最大の魅力は、自分の意思で、渡したい相手に財産を渡せることです。相続では、誰がどれだけ受け取るかをめぐって、残された家族の話し合いに委ねられる部分があります。けれども生前贈与なら、「この財産は、お世話になったこの子に渡したい」という気持ちを、自分の手で実現できます。お世話になった人へ感謝を形にしたいときにも、有効な方法です。

たとえば、長年にわたって自分の身のまわりの世話をしてくれた子に、感謝の気持ちとして財産を渡したいと考えたとしましょう。相続を待つだけでは、その思いが家族の話し合いの中でうまく反映されないこともあります。生前贈与なら、自分が元気なうちに、その子へ確かに財産を届けられます。自分の意思を、自分の手で形にできること。これは、お金の損得だけでは測れない、生前贈与ならではの価値だといえます。

相続のときの負担を軽くできる可能性がある

生前のうちに少しずつ財産を移しておくと、亡くなったときに残る財産が減り、結果として相続のときの負担を軽くできる場合があります。長い時間をかけてコツコツと贈与を重ねることで、その効果はより大きくなりやすいといわれます。早くから計画的に始めることに意味があるのは、このためです。

逆にいえば、思い立ってから短い期間に大きな財産をまとめて渡そうとすると、贈与税の負担が重くのしかかり、相続対策としての効果が薄れてしまうことがあります。生前贈与は、長距離をゆっくり走るマラソンのようなものです。早くスタートを切り、無理のないペースで続けていく。その積み重ねが、最終的に大きな差を生みます。あなたに時間という味方がいるうちに始めることが、何よりの強みになります。

ここで一つ、よくある誤解を解いておきましょう。生前贈与は、お金持ちだけがするものだと思われがちですが、そんなことはありません。財産の大小にかかわらず、誰に何を残したいかという思いがあれば、検討する価値は十分にあります。むしろ、限られた財産だからこそ、渡し方をていねいに考える意味が大きいともいえます。自分には関係ないと決めつけず、まずは知ることから始めてみてください。

たとえば、めぼしい財産が自宅くらいというご家庭でも、その自宅を誰にどう引き継ぐかは大きな問題です。財産が少ないほど、分けにくく、もめると関係がこじれやすいという面もあります。だからこそ、早いうちから渡し方を考えておくことには、十分な意味があるのです。財産の多い少ないにかかわらず、家族の未来を考えるすべての方に、知っておいてほしい話です。

家族の争いを防ぐ手がかりになる

誰に何を渡すかを生前にはっきりさせておけば、自分が亡くなったあと、家族が遺産分割で対立する場面を減らせる可能性があります。「親の本当の気持ちがわからない」という状態が、相続でのもめごとの大きな原因になるからです。元気なうちに意思を示しておくことは、残される家族への思いやりにもなります。

相続をめぐる争いの多くは、財産そのものよりも、亡くなった方の気持ちが見えないことから生まれます。「なぜあの子にだけ」「自分はどう思われていたのか」。そうしたわだかまりが、家族の関係を壊してしまうのです。生前にきちんと意思を伝え、その理由まで家族に共有しておけば、こうした誤解の芽を摘んでおけます。財産を渡すという行為に、言葉を添えること。それが円満な相続への近道です。

ワンポイントアドバイス
生前贈与は「早く・計画的に」が基本です。思い立ってから慌てて大きく渡すよりも、長い時間をかけて無理なく進めるほうが、メリットを活かしやすくなります。

生前贈与のデメリット・注意点

続いて、見落としてはいけないデメリットです。メリットだけに目を向けて進めると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。

贈与税の負担が生じることがある

財産を無償で渡すと、受け取った側に贈与税がかかることがあります。相続のときの負担を軽くするつもりが、渡し方によっては贈与税のほうが重くなってしまい、かえって損をするおそれもあるのです。何を、いくら、どのように渡すかによって結果が大きく変わりますから、慎重な検討が欠かせません。

とくにありがちなのが、相続の負担を軽くしようと焦って大きく贈与した結果、軽くなった相続の負担よりも、かかった贈与税のほうが大きくなってしまうケースです。これでは本末転倒です。どの財産を、どのくらいのペースで、どの方法で渡すのが自分にとって有利なのかは、専門的な検討が必要な部分です。自己判断で進めず、見通しを立ててから動くことが、損を避けるための基本になります。

贈与税は、相続のときの負担と比べて、必ずしも軽いとはかぎりません。渡し方によっては、むしろ重くなることもあります。だからこそ、「贈与すれば必ず得をする」という思い込みは禁物です。自分のケースで本当に有利になるのかを、きちんと確かめてから進めること。それが、せっかくの対策を無駄にしないための第一歩になります。

渡しすぎて自分の生活が苦しくなる

意外と多いのが、子や孫のことを思うあまり財産を渡しすぎて、自分自身の老後の生活が立ちゆかなくなるケースです。これからの人生で、医療や介護にどれだけお金が必要になるかは、誰にも正確には読めません。まずは自分の暮らしを守ったうえで、余裕のある範囲で贈与することが大切です。あなたの安心があってこその贈与だということを、忘れないでください。

子や孫の将来を思う気持ちは尊いものですが、その思いが強すぎて、自分の生活の蓄えまで手放してしまっては元も子もありません。一度渡した財産は、原則として簡単には取り戻せません。あとから「やはり自分の生活に必要だった」と気づいても、後の祭りになりかねないのです。これからの暮らしに必要な分はしっかり手元に残し、本当に余裕のある部分だけを贈与に回す。この線引きを、最初にきちんと決めておきましょう。

とくに、これから先の医療費や介護費は、見通しを立てにくい出費です。元気な今は想像しにくくても、年を重ねれば、思いがけずまとまったお金が必要になる場面も出てきます。子や孫に渡すのは、そうした自分の備えを確保したうえで、なお余る分にとどめておく。この慎重さが、結果として自分も家族も守ることになります。贈与は、自分を犠牲にしてまで行うものではありません。

子や孫にとっても、親や祖父母が安心して暮らしてくれることこそが、何よりの願いのはずです。無理をして財産を渡し、その結果あなたの生活が苦しくなれば、受け取った側もかえって心を痛めます。あなたが心穏やかに過ごせる土台を守ることが、めぐりめぐって家族みんなの幸せにつながる。そう考えれば、余裕の範囲でという原則の大切さが、いっそう腑に落ちるのではないでしょうか。

あとから相続でのトラブルにつながることもある

特定の子だけに多くを贈与すると、ほかのきょうだいが不公平に感じ、相続のときに対立の火種になることがあります。生前贈与は相続争いを防ぐ手にもなりますが、進め方しだいでは、逆に争いの種をまいてしまうこともあるのです。家族全体のバランスに目を配ることが、円満な相続への鍵になります。

また、特定の相続人が生前に多くの贈与を受けていた場合、相続のときにその分を考慮して取り分を調整する、という考え方もあります。つまり、生前にたくさん受け取った人は、相続のときの取り分が抑えられることがあるわけです。これを知らずにいると、「自分はもっともらえるはずだ」と思っていたきょうだいとの間で、認識のずれから争いに発展しかねません。家族みんなにとって納得感のある渡し方を意識することが、後々の安心につながります。

贈与税の二つの課税方法を知っておこう

生前贈与を考えるうえで欠かせないのが、贈与税のしくみです。贈与税には大きく二つの課税の方法があり、どちらを使うかで結果が変わってきます。考え方を押さえておきましょう。

毎年こまめに渡していく方法

一つめは、一年ごとに区切って贈与税を計算する方法です。この方法では、一定の額までは贈与税がかからない非課税の枠が用意されています。この枠を活かして、毎年少しずつ財産を渡していくのが、生前贈与の基本的なやり方としてよく知られています。時間をかけるほど効果が積み上がりやすいのが特徴です。

この方法のよいところは、特別な手続きをしなくても、無理なく始めやすい点です。毎年こつこつと続けることで、長い目で見れば相当な財産を移していけます。ただし、一年あたりに渡せる非課税の範囲には限りがありますから、一度に大きな財産を動かしたい場合には向きません。あくまで、時間を味方につけて少しずつ進めるためのやり方だと理解しておきましょう。

なお、この方法を使うときに気をつけたいのが、毎年同じ時期に同じ額を機械的に渡し続けると、はじめからまとまった額を渡す約束だったとみなされ、思わぬ課税につながるおそれがある、という点です。形式的に繰り返すだけでなく、その都度きちんと贈与の意思を確認し、記録を残しておくことが大切です。細かなことのようですが、こうした積み重ねが後の安心を生みます。

まとめて渡して相続時に精算する方法

二つめは、ある程度まとまった額まで贈与税をかけずに渡しておき、その代わり、贈与した人が亡くなったときに相続の財産として精算する、という方法です。一度にまとまった財産を渡したいときに向いていますが、相続のときにまとめて計算される点に注意が必要です。どちらの方法が適しているかは、財産の状況や目的によって変わります。

この方法は、たとえば子の住宅取得を今すぐ援助したいときなど、まとまった資金を一度に渡す必要がある場面で力を発揮します。一方で、相続のときに贈与した財産がまとめて計算に含まれるため、相続対策という観点では、必ずしも有利になるとはかぎりません。目的が「今すぐの援助」なのか「将来の相続の負担を軽くすること」なのか。その狙いによって、選ぶべき方法は変わってきます。

課税の方法 向いている場面 注意点
毎年区切って計算 長い時間をかけて少しずつ渡したいとき 一度に大きく渡すと負担が重くなりやすい
まとめて渡して精算 まとまった額を一度に渡したいとき 相続時にまとめて計算される

どちらを選ぶかは、いったん決めると後から自由に戻せない場合もあります。安易に選ばず、専門家に相談したうえで判断するのが安全です。

生前贈与が相続対策になる仕組みと落とし穴

生前贈与が相続のときの負担を軽くするといわれるのは、生きているうちに財産を移すことで、亡くなったときに残る財産を減らせるからです。残る財産が少なくなれば、その分だけ相続のときの負担も軽くなる、という理屈です。けれども、ここには大きな落とし穴があります。

亡くなる前の一定期間の贈与は加算される

注意したいのが、持ち戻しと呼ばれるルールです。亡くなる前の一定の期間内に行われた贈与については、相続の財産に加算して計算される決まりになっています。つまり、亡くなる直前に慌てて贈与をしても、相続対策としての効果が得られないことがあるのです。さらに、この加算の対象となる期間は、近年の法改正によって以前より長くなる方向で見直されました。直前の駆け込み贈与では効果が薄い、という点はとくに覚えておきましょう。

だからこそ、生前贈与は早くから計画的に始めることが重要になります。時間に余裕があるうちに、無理のないペースで進めていく。これが、生前贈与を相続対策として活かすための基本姿勢です。場当たり的な贈与は、思ったような効果につながりません。

「相続のことを考えるのはまだ早い」と感じる方もいるかもしれません。けれども、生前贈与に関しては、まさにその「まだ早い」と思える時期こそが、最も効果を出しやすいタイミングなのです。健康で、判断力もしっかりしていて、時間にも余裕がある。そんな今だからこそ、落ち着いて計画を立て、着実に進めていけます。先延ばしにするほど、選べる手は少なくなっていきます。

また、判断する力が衰えてしまってからでは、贈与という行為そのものが難しくなります。贈与は、渡す本人にしっかりとした意思があってはじめて成り立つものだからです。元気なうちにこそ動けるという当たり前のことが、実はとても大切なのです。今この瞬間が、これからの人生でいちばん若く、いちばん自由に動けるときだと考えて、一歩を踏み出してみてください。

もし、認知症などで判断する力が十分でなくなってしまうと、本人の意思による贈与は行えなくなります。そうなる前に、自分の意思をはっきり示せるうちに準備を進めておくことが、本当に渡したい相手へ財産を届けるための備えになります。元気な今だからこそできる選択がある。このことを、どうか心にとめておいてください。

生前贈与で失敗しないための進め方

では、実際に生前贈与を進めるとき、どんな手順を踏めばよいのでしょうか。失敗を避けるための流れを整理します。

大きな流れとしては、自分の状況を見直し、目的を定め、方法を選び、証拠を残す、という順番になります。一足飛びに「とにかく贈与する」と動き出すのではなく、土台を固めてから進めることが、後悔しないためのコツです。それぞれの段階で、何を確認すべきかを見ていきましょう。

  1. 自分の財産と生活設計を見直す。何を、どこまで渡せるのかを、老後の生活も踏まえて見きわめます。
  2. 渡す相手と目的をはっきりさせる。誰に、何のために渡すのかを整理します。
  3. 課税の方法を選ぶ。毎年区切る方法か、まとめて精算する方法か、目的に合うほうを検討します。
  4. 贈与の証拠を残す。後で「本当に贈与だったのか」を問われないよう、書面などの形で記録します。
  5. 必要に応じて専門家に相談する。判断に迷う点は、税理士や弁護士の力を借りて確認します。

とくに大切なのが、四つめの証拠を残すことです。口約束だけで財産を動かすと、後になって贈与の有無や中身をめぐって争いになりかねません。きちんと書面にしておくことが、自分と家族を守ることにつながります。

名義預金とみなされないための注意点

生前贈与でとくに注意してほしいのが、名義預金の問題です。これは多くの方が見落としがちな、重要なポイントです。

名義預金とは、たとえば子や孫の名前で口座を作って預金していても、実際には親が管理し、子や孫は自由に使えない、というような預金のことです。名義は子や孫でも、実質的には親の財産とみなされてしまうのです。こうなると、せっかく贈与したつもりでも、相続のときに親の財産として扱われ、生前贈与の意味がなくなってしまいます。

これを避けるには、贈与した財産を、受け取った側が本当に自分のものとして管理し、自由に使える状態にしておくことが大切です。通帳や印鑑も受け取った側が持ち、贈与の事実を書面で残しておく。こうした積み重ねが、「これはきちんとした贈与だ」と説明できる裏づけになります。形だけの贈与にしないこと。それが、後のトラブルを防ぐ決め手です。

名義預金は、とくに親が子や孫のために良かれと思って始めるケースで起こりがちです。「子どもの将来のために」と親が口座を作り、こつこつ積み立てる。気持ちはとても温かいものですが、子ども本人がその存在すら知らず、通帳も親が管理しているとなると、贈与として認められない可能性が高くなります。本当に贈与にしたいのなら、相手に伝え、相手に管理してもらうこと。この一手間を惜しまないことが、せっかくの思いを無駄にしないために欠かせません。

子どもがまだ小さくて自分で管理できない場合は、どうすればよいのかと迷う方もいるでしょう。そのような場合でも、贈与の事実を書面で残し、財産が子どものものであることを明確にしておくなど、できる工夫はあります。状況に応じた適切な備え方は、専門家に相談すれば具体的に教えてもらえます。良かれと思って始めたことが裏目に出ないよう、早めに正しいやり方を確認しておきましょう。

注意したい点 望ましい対応
口座の管理 受け取った側が通帳や印鑑を管理する
贈与の記録 贈与の事実を書面で残しておく
財産の使用 受け取った側が自由に使える状態にする

専門家に相談すべきケース

生前贈与は、自分だけで進められる部分もありますが、判断に専門知識が求められる場面も少なくありません。次のような場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  • 渡したい財産が大きく、贈与税や相続のときの負担が気になる
  • 不動産など、評価や手続きが複雑な財産を贈与したい
  • 特定の子だけに渡すことで、相続争いが起きないか心配だ
  • どの課税の方法を選べばよいか自分では判断できない

税金に関わる細かな判断は税理士の得意分野ですし、相続争いを防ぐ観点や、贈与をめぐる法的な問題については弁護士が力になれます。一人で抱え込まず、目的に応じて専門家を頼ることで、生前贈与の効果を最大限に引き出しながら、後のトラブルも防げます。あなたの大切な財産を、思いどおりに、安全に引き継ぐために、頼れる相手を見つけておきましょう。

とりわけ、財産の中に不動産が含まれている場合や、会社を経営していて事業を引き継ぎたい場合などは、考えるべきことが一気に複雑になります。こうした場面では、税金、法律、家族の事情のすべてに目を配った総合的な判断が求められます。専門家に相談すれば、自分では気づかなかった選択肢や注意点を教えてもらえることも少なくありません。早い段階で相談しておくほど、取れる手段の幅も広がります。

よくある質問

生前贈与は早く始めたほうがよいですか

はい、一般的には早く始めるほど有利になりやすいといえます。長い時間をかけて少しずつ渡していくことで、相続対策としての効果が積み上がりやすくなるからです。また、亡くなる直前の贈与は相続の財産に加算されることがあるため、時間に余裕をもって進めることが大切です。思い立ったときが始めどきだと考えてよいでしょう。

少額でも贈与の記録は残すべきですか

残しておくことをおすすめします。金額の大小にかかわらず、贈与の事実をはっきり示せるようにしておくことが、後のトラブルを防ぎます。とくに、子や孫の名義で預金する場合は、名義預金とみなされないためにも、贈与の記録と適切な管理が重要になります。手間を惜しまず記録を残しておきましょう。

特定の子だけに贈与しても問題ありませんか

贈与すること自体はできますが、ほかの子が不公平に感じ、相続のときに争いの原因になることがあります。場合によっては、相続の際に贈与分が考慮されることもあります。家族全体のバランスを意識し、できれば事前に家族で話し合っておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。心配なときは専門家に相談してください。

生前贈与と相続では、どちらが得ですか

一概にどちらが得とは言えません。財産の種類や額、家族の状況、目的によって、有利な方法は変わってくるからです。生前贈与が向いている場合もあれば、相続のほうが適している場合もあります。それぞれの特徴を理解したうえで、自分の状況に合った方法を選ぶことが大切です。判断に迷うときは、専門家の意見を求めるのが確実です。

不動産を生前贈与することはできますか

できます。ただし、不動産の贈与は現金の贈与に比べて手続きが複雑で、名義変更に関わる費用なども生じます。また、評価のしかたや課税の方法によって有利不利が変わるため、慎重な検討が必要です。自宅や土地といった大切な財産を扱うことになりますから、進める前に専門家へ相談し、見通しを立てておくことを強くおすすめします。

贈与したことを家族に知らせる必要はありますか

法律上、必ず知らせなければならないわけではありません。けれども、後々の相続争いを防ぐという観点からは、家族に伝えておくことをおすすめします。誰に何を渡したのかをあいまいにしておくと、相続のときに不公平感や不信感が生まれやすくなるからです。可能であれば、なぜそうするのかという理由まで添えて共有しておくと、家族の納得を得やすくなります。

生前贈与をしたほうがよい人は、どんな人ですか

一概には言えませんが、渡したい相手がはっきりしている方、時間に余裕をもって計画的に進められる方、自分の生活の備えを確保したうえで余裕のある財産がある方などは、生前贈与の効果を活かしやすいといえます。逆に、自分の生活で精いっぱいの場合や、渡し方で家族がもめそうな場合は、慎重な検討が必要です。自分が当てはまるか迷うときは、専門家に相談してみるとよいでしょう。

一度した生前贈与を取り消すことはできますか

いったん成立した贈与を、あとから一方的に取り消すことは、原則として簡単ではありません。お互いが合意して財産を渡した以上、後になって気が変わったからといって、自由に戻せるわけではないのです。だからこそ、贈与する前に、本当にその相手に、その財産を渡してよいのかを、よく考えることが大切になります。迷いがあるなら、急がず、立ち止まって検討しましょう。取り返しのつく段階で慎重になることが、後悔を防ぎます。

生前贈与の相談は、誰にすればよいですか

目的によって、相談先を使い分けるとよいでしょう。税金の負担をできるだけ抑えたいなら税理士、家族間の争いを防ぎたい、贈与をめぐる法的な問題が心配だという場合は弁護士が力になれます。何から相談すればよいかわからないときは、まず弁護士に全体像を整理してもらい、必要に応じて税の専門家とも連携してもらう、という進め方も有効です。一人で悩まず、専門家の知恵を頼ってください。

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