掲載弁護士・法律事務所 2,000以上件/全国対応

自筆証書遺言とは?書き方と保管制度の注意点

自筆証書遺言とは?書き方と保管制度の注意点

この記事で分かること

  • 自筆証書遺言とはどんな方式かという基本
  • 手軽さや費用などのメリットと保管などのデメリット
  • 自書・日付・署名・押印という書き方の基本ルール
  • 紛失や改ざんを防ぐ法務局の保管制度の活用
  • 無効になりやすいケースと作成から保管までの進め方

この記事では、自筆証書遺言の基本から、メリットとデメリット、正しい書き方、保管制度の活用までを弁護士の視点で解説します。自筆証書遺言は紙とペンがあれば手軽に作れる反面、本文の自書、日付、署名、押印といった要件を欠くと無効になりやすい方式です。手軽さや費用の利点と、保管や形式不備といった弱点を押さえます。さらに、紛失や改ざんを防ぐ法務局の保管制度や、無効になりやすいケース、作成から保管までの進め方まで整理します。読み終えれば、安心して自筆証書遺言を作れます。

相続に強い弁護士を探す

遺言を残そうと考えたとき、もっとも身近で手軽なのが、自分の手で書く自筆証書遺言です。費用をかけずに、思い立ったその日に作れる手軽さは大きな魅力です。とはいえ、「本当に自分で書くだけで効力があるのか」「うっかり無効にならないか」と不安を感じる方も少なくありません。手軽だからこそ、知っておくべきルールがあるのです。

この記事では、自筆証書遺言の基本から、メリットとデメリット、正しい書き方、そして紛失や改ざんを防ぐ保管制度の活用法まで、弁護士の視点でわかりやすく整理します。注意すべき点をきちんと押さえれば、自筆証書遺言はとても頼りになる味方になります。読み終えるころには、安心して自分の遺言づくりに取りかかれるはずです。

遺言というと、特別な人だけが用意するものだと感じるかもしれません。けれども、財産が多いか少ないかにかかわらず、自分の意思を残しておくことには意味があります。むしろ、財産がそれほど多くない家庭でこそ、わずかな財産の分け方をめぐって思わぬ争いが起きることもあります。自筆証書遺言は、そうした身近なトラブルを防ぐ第一歩として、誰にとっても役立つ仕組みなのです。

この記事を読んでいる方の中には、親に遺言を書いてほしいと考えている方もいるかもしれません。その場合も、自筆証書遺言の書き方や注意点を知っておけば、いざというときに手助けできます。本人が書くものではありますが、まわりが正しい知識を持っていれば、無効になりにくい遺言づくりを支えられます。家族で理解を共有しておくことが、確実な遺言への土台になります。

遺言の話は切り出しにくいものですが、「争いを避けたい」「あなたの考えを大事にしたい」という前向きな理由を添えると、相手も受け止めやすくなります。縁起でもないと身構える人もいますが、本質は家族への思いやりです。やわらかく伝え、必要なら一緒に書き方を調べてあげる。そうした寄り添いが、遺言づくりを前に進めてくれます。

もし本人がどうしても書くのをためらうようなら、まずは財産の整理から一緒に始めてみるのもよい方法です。何があるかを書き出すだけでも、相続への備えは一歩進みます。遺言そのものへのハードルが高いなら、できることから少しずつ取り組めばよいのです。焦らず段階を踏むことで、いつか自然と遺言を残す気持ちが整っていくこともあります。

大切なのは、本人の意思を尊重しながら進めることです。まわりが急かしすぎると、かえって気持ちが離れてしまうこともあります。本人のペースに合わせて、必要な情報をそっと差し出す。そうした支え方が、結果として確実な遺言につながります。家族の理解と本人の意思が重なったとき、遺言づくりは自然と前へ進むものです。

自筆証書遺言とは何か

自筆証書遺言とは、遺言を残す人が自分の手で全文を書いて作る遺言です。紙とペンさえあれば作れるため、もっとも手軽な方式として広く使われています。公証役場に出向く必要も、立会人を頼む必要もありません。一人で、いつでも、何度でも作り直せるのが特徴です。

たとえば、夜中にふと「やはりあの財産は子に残しておきたい」と思い立ったとき、その場で書き直せるのが自筆証書遺言のよいところです。気持ちの変化にすぐ対応できる柔軟さは、ほかの方式にはない強みだといえます。自分のペースで、自分の言葉で意思を残せる。この自由さこそ、多くの人に選ばれている理由の一つです。

ただし、自由であるぶん、すべての責任が自分にかかる点は意識しておきましょう。誰もチェックしてくれないからこそ、形式を守れているかは自分で確かめるしかありません。自由と責任は表裏一体です。自筆証書遺言を選ぶなら、手軽さを楽しみつつ、最後の点検は丁寧に行う。このメリハリが、確実な遺言を残すコツになります。

自由と責任のバランスをとるうえで役立つのが、書く前の準備です。財産の一覧と渡したい相手をあらかじめ整理しておけば、書く段階で迷わずにすみ、もれも減ります。準備を整えてから書けば、責任を一人で背負う負担も軽くなります。手軽さを活かしつつ確実さも保つには、書く前のひと手間が効いてくるのです。

その手軽さの裏返しとして、自筆証書遺言には守るべきルールが法律で定められています。決められた形式を欠くと、せっかくの遺言が無効になってしまいます。手軽さと引き換えに、形式の正確さが求められる。これが自筆証書遺言の本質だといえます。確実性を最優先したい場合には、公証人が関与する公正証書遺言という選択肢もありますので、両者を比べたうえで選ぶとよいでしょう。

手軽さと確実さは、しばしば反対の関係にあります。手間をかけないぶん、形式のチェックも自分で行わなければなりません。逆に、確実な方式は手間がかかるぶん、専門家が形式を整えてくれます。どちらがよいかではなく、自分が今どちらを必要としているかで選ぶのが正解です。まずは手軽な方式で形にし、必要に応じて確実な方式へ移る、という進め方もよいでしょう。

たとえば、まだ財産の整理がついていない段階では、ひとまず自筆証書遺言で大きな方針だけを残しておく、という使い方もできます。そのうえで、財産が固まってきたら確実な方式で作り直せばよいのです。段階を踏んで備えていけば、焦らずに自分の意思を形にできます。一度で完璧を目指す必要はなく、状況に合わせて育てていく姿勢が大切です。

遺言は、一度書いたら終わりというものではありません。むしろ、人生の歩みとともに何度も見直していくものです。今の自分にとって最善の内容を残し、状況が変わればまた整え直す。その繰り返しの中で、遺言はつねに今の意思を映したものになっていきます。気負わず、折にふれて向き合っていく姿勢が、後悔のない遺言につながります。

どの方式を選ぶかは、手軽さを取るか確実さを取るかのバランスで決まります。公正証書遺言の手続きや費用の考え方が気になる方は、あわせて確認しておくと選びやすくなります。

ワンポイントアドバイス
自筆証書遺言は手軽な反面、形式の不備で無効になりやすい方式です。書き始める前に、自分の財産と渡したい相手を整理し、書き終えたらルールを満たしているか必ず点検する。この二つを習慣にするだけで、失敗をぐっと減らせます。

自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言には、ほかの方式にはない利点がいくつもあります。なぜ多くの人に選ばれているのか、その理由を見ていきましょう。

第一のメリットは、なんといっても手軽さです。紙とペンがあれば、思い立ったときにすぐ作れます。公証役場の予約も、専門家への依頼も必須ではありません。第二に、費用がほとんどかからない点も魅力です。自分で書くだけですから、作成そのものにお金はかかりません。第三に、内容を誰にも知られずに作れます。家族にも秘密にしたまま、自分の意思を残しておけるのです。

  • 手軽に作れる。紙とペンがあれば、その場ですぐ書ける。
  • 費用がかからない。自分で書くだけなので作成に出費が不要。
  • 内容を秘密にできる。誰にも知られず一人で作成できる。
  • いつでも書き直せる。気が変われば何度でも作り直せる。

このように、自筆証書遺言は「とにかくまず形にしておきたい」という方に向いています。完璧を目指して動けないより、まず一通作っておくほうが、ずっと安心だからです。後から確実な方式に切り替えることもできますので、第一歩として活用する価値は十分にあります。

実際、「いつか公正証書で作ろう」と思っているうちに時間だけが過ぎてしまう、という話は少なくありません。その点、自筆証書遺言なら今日から始められます。たとえ簡素な内容でも、何もないよりはるかに家族の助けになります。とりあえず一通残しておくことが、結果として大きな安心につながるのです。完璧を後回しにせず、まず行動することを大切にしましょう。

また、自筆証書遺言を一度書いてみると、自分の財産や家族への思いが整理され、その後に専門家へ相談する際にも話がスムーズに進みます。下書きのつもりで書いてみることが、より確実な遺言づくりの準備運動になるのです。最初から完璧を目指すより、書きながら考えを深めていくほうが、自分の本当の意思に近づけることも多いものです。

書いてみると、思っていた以上に財産の整理が必要だと気づいたり、誰に何を残すか改めて考えさせられたりします。こうした気づきは、頭の中だけで考えていてはなかなか得られません。手を動かして書くことで、自分の意思が具体的になっていくのです。自筆証書遺言は、結果として自分自身の考えを整理する道具にもなってくれます。

財産を書き出してみると、長く使っていない口座や、名義のはっきりしない不動産など、生前に整理しておいたほうがよいものが見つかることもあります。こうした整理は、遺言の内容を明確にするだけでなく、相続そのものをスムーズにします。書く準備が、結果として相続全体の備えになる。これも自筆証書遺言づくりの隠れた効用といえるでしょう。

自筆証書遺言のデメリットと注意点

手軽な自筆証書遺言にも、見過ごせない弱点があります。メリットだけでなくデメリットも知ったうえで選ぶことが、後悔しないためのポイントです。

もっとも大きな弱点は、形式の不備で無効になりやすいことです。書き方のルールを一つでも欠くと、効力が認められません。次に、保管の問題があります。自宅にしまっておくと、紛失したり、見つけてもらえなかったり、書き換えられたりするおそれがあります。さらに、自宅で保管していた自筆証書遺言は、相続が起きたあとに家庭裁判所での確認手続きが必要になることもあります。

この確認手続きは検認と呼ばれ、相続人への通知や申し立てが必要で、それなりに時間と手間がかかります。悲しみのなかで慣れない手続きに追われる家族にとって、これは決して小さくない負担です。さらに、自宅保管の遺言書は、発見した人によって隠されたり捨てられたりするリスクもゼロではありません。手軽さの裏に、こうした保管と発見の不安があることは知っておくべきです。

こうした不安を解消する手立てとして、法務局の保管制度があります。あとで詳しく見ますが、預けておけば紛失や改ざん、隠匿の心配がなくなり、検認も不要になります。自筆証書遺言の手軽さを保ったまま、最大の弱点である保管の問題を補えるのです。手軽さと安心の両方を求めるなら、保管制度の活用を前向きに考えるとよいでしょう。

保管制度を使うかどうかは、自分の状況に合わせて判断すればよいことです。たとえば、信頼できる家族がいて確実に保管・発見してもらえる見込みがあるなら、必ずしも利用しなくてもよいでしょう。一方、一人暮らしで保管に不安がある場合などは、制度の安心感が大きく活きます。自分の環境を踏まえて、必要かどうかを考えてみてください。

なお、保管制度を利用する場合は、あらかじめ決められた様式や手続きにそって準備する必要があります。利用を考えているなら、事前にどんな準備が必要かを調べておくと、当日あわてずにすみます。手続きの流れを把握しておけば、スムーズに預けられます。せっかくの制度を活かすためにも、前もって段取りを確認しておきましょう。

準備を整えておけば、いざ手続きをするときの心理的な負担も軽くなります。何をどう進めればよいか見通しが立っていれば、落ち着いて取り組めるからです。遺言づくりも保管手続きも、段取りを知ることが安心への近道です。一つずつ確認しながら進めていけば、難しく感じることはありません。

自筆証書遺言は、正しく備えれば、手軽さと確実さを両立できる頼もしい仕組みです。今日からでも始められる手軽さを活かし、形式と保管に気を配って、あなたの大切な意思を確かな形で残してください。

注意
夫婦や親子で一通の遺言書を一緒に作る共同の遺言は認められていません。たとえ夫婦であっても、それぞれが別々に自分の遺言書を作る必要があります。一枚にまとめて書くと無効になってしまいます。

また、内容があいまいだったり、他の相続人の権利への配慮を欠いていたりすると、後で争いになることもあります。一定の相続人には法律で保障された最低限の取り分があるため、これを無視した内容にすると、その取り分をめぐってもめるおそれがあります。特定の人に多くを残したいときほど、慎重さが求められます。

たとえば、財産のすべてを一人の子に残すといった内容にすると、他の子が強い不満を抱くことがあります。法律上、分け方は自由に決められますが、最低限の取り分を求める権利が他の相続人に残る場合があるのです。あえて偏った分け方にするなら、その理由を付言で丁寧に説明しておくと、感情的な対立をやわらげられます。配慮の一文が、家族の平穏を守ります。

付言には、なぜそのような分け方にしたのかという理由や、家族への感謝の気持ちを自由に書けます。「長年支えてくれた妻に多く残したい」「家業を継ぐ子に事業用の財産をまとめたい」といった背景を記しておくと、他の相続人も納得しやすくなります。法的な強制力はなくても、こうした言葉が争いを未然に防ぐことは少なくありません。気持ちを伝える一文を、ぜひ大切にしてください。

自筆証書遺言の正しい書き方

自筆証書遺言を有効に残すには、法律で定められた書き方のルールを守る必要があります。ここはとくに大切なので、一つずつ丁寧に確認しましょう。

まず大原則として、本文は遺言者本人がすべて自分の手で書きます。パソコンで作成したものや、他人が代わりに書いたものは認められません。次に、いつ書いたのかという日付を正確に記します。「令和○年○月吉日」のように日付が特定できない書き方は避けてください。そして、遺言者本人が署名し、押印します。これらの要素がそろってはじめて、正式な遺言書として扱われます。

署名には、できるだけ戸籍に記載された正式な氏名を書きましょう。通称やあだ名では、本人かどうかを疑われるおそれがあります。日付も、「○年○月○日」と年月日をすべて書く習慣をつけてください。複数の遺言書がある場合、どれが新しいかは日付で判断されるからです。一つひとつは小さなことですが、こうした丁寧さの積み重ねが、無効を防ぐ確かな備えになります。

押印に使う印は、実印でなくても認められるのが一般的ですが、より確実にしたいなら実印を用い、印鑑証明書とあわせて保管しておくと安心です。署名のそばに住所や生年月日を書き添えておくと、本人をより確実に特定できます。これらは法律上の必須事項ではありませんが、後から本人かどうかを争われる事態を防ぐ備えになります。確実さを高める一手間は惜しまないようにしましょう。

要件 ポイント
本文の自書 すべて自分の手で書く。パソコンや代筆は不可
日付 作成した年月日を正確に書く
署名 遺言者本人の氏名を自分で書く
押印 印を押して本人の意思を明確にする

なお、財産の一覧を示す目録については、一定の条件のもとでパソコンなどで作成することも認められています。ただし、その場合も各ページに署名と押印をするなどのルールがあります。本文は手書き、目録は印刷でもよい、という違いを正しく理解しておきましょう。遺言に何を書けるのか全体像を知っておくと、内容に迷わず書けます。

財産目録をパソコンで作る場合でも、その一枚一枚に署名と押印が必要です。通帳のコピーや不動産の登記事項証明書を目録として添付する方法も認められていますが、やはり署名と押印を忘れないことが肝心です。便利な制度ほど、細かな条件を見落とさないよう注意しましょう。本文と目録のルールの違いを正しく押さえることが、有効な遺言への近道です。

財産が多い方は、本文で大まかな分け方を示し、詳細を目録にまとめると整理しやすくなります。目録を活用すれば本文がすっきりして読みやすくなり、書き間違いも減らせます。相続人が財産の全体像をつかみやすくなるという利点もあります。書き方を工夫するだけで、遺言の使い勝手は大きく変わるのです。読み手のことを考えた書き方を心がけましょう。

法務局の保管制度を活用する

自筆証書遺言の弱点である保管の問題を解決してくれるのが、法務局が遺言書を預かる保管制度です。手軽さを保ちながら、保管面の不安を解消できる心強い仕組みです。

この制度を使うと、作成した自筆証書遺言を法務局に預けられます。預けた遺言書は安全に保管され、紛失や改ざんの心配がなくなります。さらに、相続が起きたあとに家庭裁判所で行う確認手続きが不要になるという利点もあります。残された家族の負担を軽くできるのです。

検認が不要になることの意味は、思いのほか大きいものです。相続が起きたあと、家族は数々の手続きに追われます。その一つでも省けることは、心身の負担を確かに軽くします。自分の遺言を確実に残しつつ、家族の手間も減らせる。保管制度は、この二つの安心を同時にかなえてくれる仕組みなのです。手軽さを保ったまま弱点を補える点で、検討する価値は十分にあります。

「自分で書いた遺言書だけれど、保管が不安だ」という方には、まさにうってつけの選択肢です。利用するには法務局での手続きが必要になりますので、関心がある方は事前に調べておくとよいでしょう。なお、預ける際に形式の要件は確認してもらえますが、内容が適切かどうかまでは判断されないため、内容に不安があれば事前に専門家へ相談すると安心です。

保管制度はあくまで保管と形式確認のための仕組みであって、内容が最適かどうかまで保証してくれるわけではありません。たとえば、他の相続人の取り分への配慮が足りなかったり、表現があいまいだったりしても、預けることはできてしまいます。本当に安心できる遺言にするには、形式と内容の両面を整えることが欠かせません。預ける前にひと手間かけて内容を見直すことを、ぜひおすすめします。

自筆証書遺言が無効になりやすいケース

自筆証書遺言が無効になってしまう原因の多くは、ちょっとした不注意にあります。よくある失敗を知っておけば、同じあやまちを避けられます。代表的なケースを見ていきましょう。

もっとも多いのが、本文をパソコンで作ってしまうケースです。本文は手書きが原則ですから、これだけで無効になりかねません。次に多いのが、日付の書き方の誤りです。日付が特定できない書き方では、効力が認められないことがあります。また、押印を忘れていた、署名がなかった、という基本的な抜けも意外と起こります。

こうした基本的な抜けは、書き終えた満足感から最後の確認をおろそかにすることで生まれます。長い文章を書き上げると、それだけで安心してしまい、署名や押印といった締めくくりを忘れてしまうのです。書き終えたら一呼吸おいて、要件がすべてそろっているか落ち着いて見直す。この習慣があるだけで、もったいない無効を防げます。

さらに、財産の書き方があいまいで「どの財産のことかわからない」という場合も、その部分が実現できなくなることがあります。これらの失敗は、どれも知っていれば簡単に避けられるものばかりです。書き終えたら、すぐに保管せず、ルールを満たしているか一つずつ点検する習慣をつけましょう。相続放棄など他の手続きとの関係も気になる場合は、あわせて基本を確認しておくと役立ちます。

点検するときは、本文を自分で書いたか、日付は正確か、署名と押印はあるか、財産は特定できるように書けているか、という順で一つずつ確かめるとよいでしょう。チェックする項目を決めておけば、見落としが減ります。可能なら、書いた直後だけでなく、数日おいてもう一度読み返すと、冷静な目で確認できます。時間をおいた見直しが、思わぬ抜けに気づかせてくれます。

もし自分だけで点検するのが不安なら、専門家に内容を見てもらうのも一つの方法です。プロの目を通せば、形式の不備だけでなく、内容のあいまいさや他の相続人への配慮不足にも気づいてもらえます。手軽さを保ちつつ確実性も高めたいなら、書く作業は自分で行い、点検だけ専門家に頼むという組み合わせも有効です。安心を得るための投資と考えれば、相談する価値は十分にあります。

ここまで見てきたように、自筆証書遺言は手軽さが魅力である一方、形式の正確さと保管への配慮が欠かせません。要件を守り、内容を明確にし、保管の不安には制度で備える。この三つを意識すれば、自筆証書遺言は十分に頼れる遺言になります。手軽さを活かしながら確実さも追求して、安心して自分の意思を残しましょう。

自筆証書遺言を作成するときの進め方

では、実際に自筆証書遺言を作るには、どう進めればよいのでしょうか。作成から保管までの大まかな流れを押さえておきましょう。

  1. 自分の財産と、誰に何を渡したいかを書き出して整理します。これが内容のもとになります。
  2. 本文を自分の手で書きます。日付を正確に記し、署名と押印を忘れずに行います。
  3. 書き終えたら、形式のルールを満たしているか一つずつ点検します。財産の書き方があいまいでないかも確認します。
  4. 保管方法を決めます。紛失や改ざんが不安なら、法務局の保管制度の利用を検討します。

自筆証書遺言は、作って終わりではありません。財産の状況や家族構成が変わったときには、内容が今の意思に合っているか見直しましょう。後の日付の遺言が優先されるため、変更したい場合は作り直せば大丈夫です。人生の節目ごとに見直すことで、つねに今の意思を反映した遺言に保てます。

とくに見直しが必要になりやすいのが、家族構成が変わったときです。子や孫が生まれた、配偶者と死別した、相続人の一人が先に亡くなった。こうした変化があると、以前の遺言では今の意思に合わなくなることがあります。財産の大きな増減があったときも同様です。せっかく作った遺言を「過去のもの」にしないために、節目ごとの見直しを習慣にしておきましょう。

自筆証書遺言についてよくある質問

最後に、自筆証書遺言について、よく寄せられる質問にお答えします。

自筆証書遺言は鉛筆で書いてもよいですか

法律上、筆記具の種類に決まりはありませんが、鉛筆は避けるべきです。鉛筆書きは簡単に消したり書き換えたりできるため、後から内容を疑われたり、改ざんを疑われたりするおそれがあります。せっかくの遺言を確実なものにするためにも、消えにくいボールペンや万年筆などで書くことを強くおすすめします。確実さを高める小さな工夫を惜しまないことが大切です。

自筆証書遺言は何枚にもわたって書いてもよいですか

枚数に制限はなく、内容が多ければ複数枚にわたっても構いません。複数枚になる場合は、ページのつながりがわかるようにし、それぞれに必要な要件を満たしておくと安心です。本文が長くなりそうなときは、財産の詳細を目録にまとめると、本文がすっきりして読みやすくなります。整理して書くことが、後の手続きを滞らせない秘訣です。

自筆証書遺言を書いたことを家族に伝えるべきですか

遺言書は、見つけてもらえなければ意味がありません。せっかく作っても、誰にも知られないまま見過ごされては残念です。信頼できる家族に、遺言書を作ったことと保管場所を伝えておくとよいでしょう。内容まで知られたくない場合は、法務局の保管制度を使えば、存在を確実にしつつ中身は伏せておけます。

自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらがよいですか

どちらがよいかは、何を重視するかによります。手軽さや費用を抑えることを重視するなら自筆証書遺言、形式の不備で無効になる心配を避け確実性を重視するなら公正証書遺言が向いています。財産が多い、相続人の間に対立がありそう、確実に実現したい希望がある、といった場合には、確実な方式を選ぶ価値が大きいといえます。迷うときは専門家に相談して決めるとよいでしょう。

自筆証書遺言は封筒に入れて封をする必要がありますか

自筆証書遺言については、封筒に入れて封をすることは法律上の要件ではありません。封をしていなくても、本文の書き方など必要なルールを満たしていれば有効です。ただし、封をしておけば中身を勝手に見られたり書き換えられたりするのを防ぎやすくなります。なお、自宅で封をして保管した遺言書は、相続が起きたあとに家庭裁判所での検認が必要になる点には注意してください。

書き間違えたときはどう直せばよいですか

書き間違いの訂正には、法律で定められた方法があります。決められた方式にそって訂正しないと、その訂正が認められなかったり、場合によっては遺言全体の効力に影響したりすることがあります。少しでも不安があるなら、無理に訂正せず、新しく書き直すほうが確実です。きれいに書き直すことで、間違いをめぐる後々のトラブルも避けられます。

あなたの相続税はいくら?無料診断

5,000万円
2人

基礎控除額

4,200万円

課税対象額

800万円

相続税の総額(概算)

80万円

申告が必要です

※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。

遺産相続は弁護士に相談を
法律のプロがスムーズで正しい相続手続きをサポート
  • 相続人のひとりが弁護士を連れてきた
  • 遺産分割協議で話がまとまらない
  • 遺産相続の話で親族と顔を合わせたくない
  • 遺言書に自分の名前がない、相続分に不満がある
  • 相続について、どうしていいのか分からない
掲載2,000以上事務所 初回相談無料の事務所多数 全国対応

かんたん3ステップで相談できます

1
お住まいの
地域を選ぶ
2
事務所を
比べて選ぶ
3
無料相談を
申し込む
上記に当てはまるなら弁護士に相談
相続に強い弁護士を探す