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遺産分割の調停|申立ての流れと審判との違い

遺産分割の調停|申立ての流れと審判との違い

この記事で分かること

  • 遺産分割の協議・調停・審判の三段階
  • 調停の流れと特徴
  • 調停を申し立てる方法
  • 調停成立と不成立の場合
  • 審判との違いと弁護士に頼む利点

遺産分割の話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停を利用して解決を目指せます。この記事では、協議・調停・審判という三つの段階の関係、調停委員が間に入る調停の流れと特徴、申立ての方法と必要な準備、調停が成立した場合と不成立で審判へ移る場合の違い、弁護士に依頼するメリットまでを具体的に整理して理解でき、自分が次にどう動けばよいかがはっきりと見えるようになります。

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遺産分割がまとまらない…そんなときの家庭裁判所手続き

相続人どうしで遺産の分け方を話し合っても、どうしても意見がまとまらない。感情的な対立が深まり、もう当事者だけでは解決できそうにない。そんな状況に追い込まれて、このページを開いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。話し合いが行き詰まったとき、頼れる場所があります。それが家庭裁判所です。

遺産分割は、まず相続人どうしの話し合いで決めるのが基本です。けれども、話し合いがまとまらないときには、家庭裁判所の手続きを利用して解決を目指すことができます。第三者である裁判所が間に入ることで、当事者だけでは越えられなかった壁を乗り越えられることが少なくありません。

この記事では、遺産分割が家庭裁判所に持ち込まれたとき、どのような手続きで進んでいくのかを、調停と審判という二つの段階に分けて、弁護士の視点でわかりやすく説明します。手続きの全体像がわかれば、漠然とした不安が、見通しの立つ具体的な道のりに変わるはずです。落ち着いて、ひとつずつ確認していきましょう。

家庭裁判所と聞くと、なんだか大げさで、敷居が高いと感じる方もいるでしょう。けれども、遺産分割の調停は、争いごとを裁く厳しい裁判とは少し性格が違います。あくまで、話し合いがうまくいかない当事者のために、中立な立場の人が手助けをしてくれる場です。利用をためらう必要はありません。むしろ、こじれた話し合いを前に進めるための、心強い味方だと考えてよいのです。

この記事では、まず遺産分割の三つの段階を確認し、続いて調停の流れと特徴、申立ての方法、調停が成立した場合と不成立の場合、そして審判との違いや弁護士に依頼するメリットまでを順に見ていきます。読み終えるころには、自分が次にどう動けばよいのかが、はっきりとイメージできるようになっているはずです。気になるところから読み進めてみてください。

遺産分割の争いは、当事者にとって、心身ともにこたえるものです。先が見えない不安、相手への不信、終わらない話し合いへの疲れ。そうした重荷を、少しでも軽くするために、家庭裁判所の手続きは用意されています。仕組みを知り、適切に使えば、出口の見えなかった争いに、確かな道筋をつけられます。まずは知ることから始めましょう。それが、解決へ向けた最初の一歩になります。

相続は、多くの方にとって何度も経験するものではありません。だからこそ、いざ争いになると、どう動けばよいのか戸惑うのは当然です。けれども、家庭裁判所の手続きは、そうした人のためにこそ用意された、公平な解決の場です。難しく身構えず、頼ってよいものだと考えてください。この記事を読み終えるころには、漠然としていた不安が、具体的な見通しへと変わっているはずです。

遺産分割の三つの段階|協議・調停・審判

遺産分割の解決には、大きく三つの段階があります。順を追って進んでいくのが基本ですから、まずこの流れを押さえておきましょう。

  • 第一段階は協議です。相続人どうしが話し合いで分け方を決めます。
  • 第二段階は調停です。話し合いがまとまらないとき、家庭裁判所で第三者を交えて合意を目指します。
  • 第三段階は審判です。調停でも合意できないとき、裁判所が分け方を決めます。

大切なのは、いきなり審判から始めるのではなく、まず話し合い、それでも難しければ調停へ、というように段階を踏んで進むのが原則だという点です。家庭裁判所の手続きというと身構えてしまうかもしれませんが、その入り口である調停は、あくまで話し合いの延長線上にあるものです。裁判で白黒つけるというより、第三者の助けを借りて合意を探る場、とイメージするとよいでしょう。

あなたが今、協議の段階で行き詰まっているなら、次に進むべきは調停ということになります。それぞれの段階がどのようなものか、これから詳しく見ていきます。

ここで一つ押さえておきたいのは、調停と審判は別々の手続きのようでいて、実は一つながりになっている、という点です。遺産分割では、調停を申し立てて話し合いがまとまらなければ、わざわざ改めて申し立てをしなくても、そのまま審判へと移っていきます。つまり、調停を申し立てた時点で、最終的な決着までの道筋が用意されている、ということです。途中で投げ出さないかぎり、必ずどこかで結論にたどり着けるのです。

逆にいえば、当事者だけの話し合いが行き詰まったまま放置されている状態は、出口の見えないトンネルのようなものです。何年経っても何も決まらず、ただ時間だけが過ぎていきます。調停を申し立てることは、そのトンネルに出口を作る行為だといえます。すぐに合意できなくても、手続きに乗せてしまえば、いつかは必ず結論にたどり着く。この安心感は、こじれた相続に悩む方にとって、とても大きなものです。

とくに、何年も前から話し合いが止まったまま、というご家庭は少なくありません。誰かが切り出さないかぎり、ずっとそのままになってしまうのです。そんな膠着状態を打ち破る一手が、調停の申立てです。自分から動くことに気が引けるかもしれませんが、放置していても状況は良くなりません。誰かが一歩を踏み出してはじめて、解決への歯車が回り始めるのです。

遺産分割調停とは|流れと特徴

遺産分割調停は、家庭裁判所で行われる話し合いの手続きです。当事者だけでは合意できなかった遺産の分け方について、裁判所の力を借りながら、改めて解決を目指します。

調停委員が間に入る

調停では、裁判官と、調停委員と呼ばれる人たちが間に入ります。当事者が直接顔を突き合わせて言い争うのではなく、調停委員がそれぞれの言い分を聞き取り、間を取り持ちながら話し合いを進めていくのが特徴です。多くの場合、当事者は別々の部屋で待機し、交互に調停室に呼ばれて意見を述べます。相手と直接対面せずに済むため、感情的な衝突を避けやすいのです。

この仕組みは、関係が険悪になってしまった相続人にとって、とてもありがたいものです。顔を合わせるだけで気持ちがざわついてしまう相手とも、調停委員を介してであれば、落ち着いて自分の考えを伝えられます。直接ぶつかれば感情的になってしまう話も、間に人が入ることで、冷静なやり取りに変えていけるのです。話し合いの土俵そのものを整えてくれる点に、調停の意義があります。

当事者だけの話し合いがうまくいかない原因の多くは、財産の中身そのものよりも、過去のいきさつや感情のもつれにあります。「あのとき親の面倒を見なかった」「自分ばかり負担した」といった思いが、冷静な判断を妨げてしまうのです。調停では、こうした感情の渦から少し距離を置き、今どう分けるかという問題に焦点を絞って話し合えます。論点を整理してくれる第三者がいることの価値は、想像以上に大きいものです。

感情のもつれは、当事者本人にはなかなか整理しきれないものです。怒りや悲しみが入りまじり、何が本当の争点なのか、自分でも見えなくなってしまうこともあります。第三者である調停委員は、そうした感情と事実を切り分け、解決すべき問題はどこにあるのかを浮かび上がらせてくれます。霧の中をさまよっていた話し合いに、進むべき方向を示してくれる。それが調停の心強いところです。

非公開で行われる

調停は非公開の手続きです。家庭の事情や財産といったプライバシーに関わる話を、外部に知られることなく進められます。人に聞かれたくない事情を抱えている方にとっても、安心して話せる場が用意されているわけです。

調停では、それぞれの相続人がどう考えているのか、なぜそう主張するのかを、調停委員が丁寧に整理してくれます。当事者だけで話していたときには見えなかった解決の糸口が、第三者の視点を通すことで見えてくることもあります。冷静に話し合える環境が整うこと。これが調停の大きな利点です。

また、調停委員は、それぞれの主張が法律に照らしてどう評価されるのかについても、見通しを示してくれることがあります。自分の言い分がどの程度通りそうなのかがわかれば、現実的な落としどころを考えやすくなります。「自分の主張は絶対に正しい」と思い込んでいた相続人が、第三者の説明を聞いて、歩み寄る気持ちになる。そんなふうに、調停が膠着した状況を動かすきっかけになることも少なくありません。

もちろん、調停委員はどちらか一方の味方をするわけではありません。あくまで中立の立場から、双方が納得できる着地点を探る手伝いをしてくれます。だからこそ、その言葉には説得力があります。身内から言われると反発したくなることも、中立な第三者からの指摘であれば、すんなり受け入れられることがあるのです。こうした第三者ならではの力が、行き詰まった話し合いに風穴を開けてくれます。

調停を申し立てる方法

では、実際に遺産分割調停を申し立てるには、どうすればよいのでしょうか。基本的な流れを整理します。

  1. 申立先の家庭裁判所を確認する。原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
  2. 必要な書類をそろえる。申立書のほか、亡くなった方や相続人の戸籍、遺産の内容がわかる資料などを準備します。
  3. 申立てを行う。書類を家庭裁判所に提出し、調停の手続きを始めます。
  4. 調停の期日に出席する。指定された日に家庭裁判所へ出向き、調停委員を交えて話し合います。
  5. 合意を目指して話し合いを重ねる。一度で決まらないことも多く、複数回にわたって期日が設けられます。

申立てに必要な書類は、ケースによって異なることがあります。とくに戸籍は、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの一連のものが必要になるなど、そろえるのに手間がかかることも少なくありません。何をどこまで用意すればよいか迷ったときは、家庭裁判所の窓口で確認できますし、弁護士に依頼すれば書類の準備から任せることもできます。

申立て自体は、必要な書類さえ整えば、専門家でなくても行えます。とはいえ、慣れない手続きですから、書類の不備で何度もやり直しになったり、準備に思いのほか時間がかかったりすることもあります。スムーズに進めたい、確実に必要なものをそろえたいという場合には、最初から弁護士に相談しておくと安心です。手続きの入り口でつまずかずに済みます。

申立てをするとき、自分の希望をどう伝えるかも大切なポイントです。ただ「納得できない」と訴えるだけでは、調停委員も判断のしようがありません。どの財産を、どういう理由で、どう分けてほしいのか。自分の考えを整理して示すことで、話し合いはぐっと前に進みやすくなります。こうした主張の組み立てこそ、専門家の力が生きるところです。何をどう伝えればよいか迷うなら、早めに相談しておくとよいでしょう。

調停が成立した場合・不成立の場合

調停を進めた結果は、合意に至るかどうかで大きく分かれます。それぞれどうなるのかを見ておきましょう。

合意できた場合(調停成立)

話し合いがまとまり、相続人全員が分け方に合意すると、調停が成立します。合意した内容は調停調書という書面にまとめられます。この調停調書は、確定した判決と同じように強い効力を持つのが特徴です。万が一、後から約束を守らない相続人がいても、この調書をもとに財産の引き渡しなどを実現できる場合があります。口約束とは違う、確かな裏づけが得られるわけです。

当事者だけの話し合いで合意した場合、その内容を書面にしていても、相手が約束を破ったときにすぐ実現できるとはかぎりません。改めて別の手続きが必要になることもあります。その点、調停で成立した合意は、強い効力を持つ調書の形で残ります。せっかくまとめた合意が、いざというときに役に立たない、という事態を避けられるのです。確実に約束を守らせたいという観点からも、調停を利用する意味は大きいといえます。

たとえば、不動産を一人が引き継ぐ代わりに、ほかの相続人へ金銭を支払うという合意をしたとしましょう。もしその支払いが滞ったとき、当事者間の口約束では、回収に手間取ることがあります。けれども調停で成立した合意であれば、強い効力を持つ調書をもとに、支払いを実現できる場合があります。約束が絵に描いた餅にならないという点は、調停の見逃せない強みです。

こうした強い効力があるからこそ、調停での合意は、後々のトラブルを防ぐ確かな土台になります。せっかく苦労して話し合いをまとめても、それが守られなければ意味がありません。調停という手続きを経ることで、合意した内容に法的な裏づけが与えられ、安心して次の生活へ進めるのです。争いに区切りをつけ、前を向くためにも、確かな形で決着をつけることには大きな意味があります。

合意できなかった場合(調停不成立)

どうしても合意に至らなかった場合、調停は不成立となります。けれども、ここで手続きが終わってしまうわけではありません。遺産分割の場合、調停が不成立になると、自動的に次の段階である審判へと移ります。話し合いで決まらなければ、最終的には裁判所が判断を下す、という仕組みになっているのです。

この点は、調停を利用する大きな安心材料になります。もし調停が、不成立になったら振り出しに戻ってしまう手続きだったとしたら、当事者はいつまでも宙ぶらりんのままです。けれども実際には、調停で決まらなくても、その先には審判という決着の場が待っています。だからこそ、調停の場では、無理に妥協する必要はありません。納得できない条件で合意を急ぐより、ときには審判で判断を仰ぐほうが、結果的に納得のいく解決になることもあるのです。

ただし、審判に進めば、結論は裁判所に委ねられます。自分の望みどおりになるとはかぎりませんし、判断が下されるまでには相応の時間もかかります。調停での歩み寄りと、審判での判断仰ぎ。どちらが自分にとって有利かは、ケースによって変わります。目の前の条件をのむべきか、審判に進むべきかの見きわめは、難しい判断です。こうした場面でこそ、専門家の助言が大きな意味を持ちます。

ワンポイントアドバイス
調停は話し合いの場ですが、不成立なら自動的に審判へ進みます。「とりあえず調停を申し立てれば、いつかは決着がつく」と理解しておくと、先の見通しが立てやすくなります。

遺産分割審判とは|調停との違い

調停が不成立になると進むのが、遺産分割審判です。調停との違いを理解しておくことが、手続き全体を見通すうえで役立ちます。

審判は、話し合いではなく、裁判官が分け方を決める手続きです。当事者がそれぞれの主張や証拠を出し、それを踏まえて、裁判官が法律にもとづいて結論を示します。調停が合意を目指す場であるのに対し、審判は裁判所が判断を下す場である、という点が決定的に異なります。

審判では、裁判官は法定相続分などを基準にしながら、それぞれの事情を考慮して分け方を決めます。たとえば、亡くなった方の介護に特別に貢献した相続人がいれば、その点が考慮されることもあります。当事者にとっては、自分の主張をきちんと示すことが大切になります。なお、審判の結論に納得できない場合には、上級の裁判所に不服を申し立てる道も用意されています。

審判では、調停のときのように歩み寄りを探るのではなく、それぞれの主張の当否が法的に判断されます。そのため、自分の言い分を裏づける資料をどれだけ用意できるかが、結果を大きく左右します。たとえば、特別な貢献を主張するなら、それを示す記録や証拠が重要になります。感情に訴えるだけでは通りにくいのが審判です。だからこそ、審判の段階では、法的な主張の組み立てに長けた専門家の存在が、いっそう頼りになります。

審判で示された結論には、当事者は従うことになります。話し合いのように、気に入らなければ合意しないという選択はできません。だからこそ、審判に進むのであれば、その前の調停の段階から、自分の主張を裏づける準備を整えておくことが大切です。いざ審判になってから慌てて資料を探すのでは、間に合わないこともあります。先を見すえた備えが、結果を左右するのです。

このように、家庭裁判所の手続きは、話し合いの調停から、判断を下す審判へと段階的に進みます。どの段階にいるのかによって、すべきことや心構えが変わってきますから、自分が今どこにいるのかを意識しておくことが大切です。

調停の段階では、いかに合意点を見いだすかが鍵になります。一方、審判の段階では、いかに自分の主張を説得力をもって示すかが問われます。同じ遺産分割でも、段階によって求められるものが変わるのです。この違いを意識せずに臨むと、調停で必要以上に強硬になってまとまる話もまとまらなかったり、審判で準備が足りずに不利になったりしかねません。今が話し合いの局面なのか、判断を仰ぐ局面なのかを、つねに見きわめておきましょう。

こうした局面の見きわめは、はじめて相続の手続きに臨む方には、なかなか難しいものです。どこで踏ん張り、どこで折り合うべきか。その判断を誤ると、解決が遠のいたり、不利な結果を招いたりしかねません。経験のある専門家であれば、今がどういう局面で、どう動くのが得策かを、的確に見立ててくれます。手探りで進めるより、確かな道案内を得るほうが、ずっと心強いはずです。

家庭裁判所の手続きで弁護士に依頼するメリット

家庭裁判所の手続きは、自分だけで進めることもできますが、弁護士に依頼することで得られる利点も多くあります。どんなメリットがあるのか、見ていきましょう。

主張や書類の準備を任せられる

調停や審判では、自分の言い分を法的に整理して伝えることが大切になります。弁護士に依頼すれば、どんな主張をどう組み立てればよいか、どんな資料を用意すればよいかを、専門家の視点で進めてもらえます。慣れない手続きに一人で立ち向かう不安から、解放されるわけです。

冷静に交渉を進められる

相続をめぐる争いは、感情がからむだけに、当事者だけだとつい熱くなってしまいがちです。弁護士が代理人として間に入れば、感情論ではなく事実と法律にもとづいて、冷静に話を進めやすくなります。とくに、相手方との関係が険悪な場合には、直接やり取りせずに済むことの安心感は大きいものです。

家庭裁判所の手続きは、長い期間にわたることも珍しくありません。その間、ずっと一人で抱え込むのは、精神的にも大きな負担です。頼れる専門家がそばにいてくれることは、解決までの道のりを歩むうえで、心強い支えになります。

費用の負担が気になる方もいるでしょう。経済的に余裕がないときは、法テラスという公的な制度を通じて、弁護士費用の立替えなどの支援を受けられる場合があります。お金のことで相談をあきらめる必要はありません。まずは、どんな支援が利用できるのかを調べてみるところから始めてみてください。専門家に相談すること自体が、こじれた状況をほぐす第一歩になります。

手続きを進めるうえでの注意点

最後に、家庭裁判所の手続きを進めるうえで気をつけたい点を、いくつかお伝えします。

早めに動くことが大切

遺産分割そのものに期限はありませんが、放置すればするほど解決は難しくなります。相続人がさらに亡くなって関係者が増えたり、当時の事情を知る人がいなくなったりするからです。また、相続には期限のある手続きも別にあります。話し合いが行き詰まっていると感じたら、ずるずると引き延ばさず、早めに調停の申立てを検討することをおすすめします。

とくに、相続人の中に高齢の方がいる場合は、注意が必要です。話し合いを先延ばしにしているうちに、その方が亡くなってしまうと、新たにその相続人が加わって、当事者がさらに増えてしまいます。人数が増えれば、合意を得るのはいっそう難しくなります。早く動くほど、関係者が少なく、事情も整理しやすいうちに解決できる。時間は、解決の味方にも敵にもなるのです。

同じように、財産の状況も、時間とともに変わっていくことがあります。不動産の状態が変化したり、当時の経緯を示す資料が散逸したりすることもあるでしょう。早い段階で手続きに着手すれば、こうした変化に振り回されずに済みます。相続の解決は、機を逃さないことが肝心です。迷っている間にも状況は動いていく、ということを心にとめておきましょう。

感情よりも解決を優先する

相続の争いでは、「相手に勝ちたい」「絶対に許せない」という気持ちが先に立つこともあります。その気持ちは自然なものですが、感情に振り回されると、かえって解決が遠のいてしまうことがあります。最終的に自分や家族にとって何が最善かを冷静に見すえることが、納得のいく結果への近道になります。迷ったときは、専門家に相談し、客観的な視点を取り入れるとよいでしょう。一人で抱え込まず、頼れる相手の力を借りてください。

よくある質問

いきなり審判を申し立てることはできますか

遺産分割では、まず調停を経るのが原則です。話し合いでの解決を目指す調停を先に行い、それでもまとまらない場合に審判へ進む、という流れになっています。いきなり審判だけを求めても、まずは調停での話し合いを促されるのが一般的です。段階を踏んで進む仕組みだと理解しておきましょう。

調停には必ず本人が出席しないといけませんか

本人が出席するのが基本ですが、弁護士を代理人として立てている場合は、代理人が出席して進めることもできます。遠方に住んでいる、仕事の都合がつきにくいといった事情があるときは、代理人を立てることで負担を軽くできます。出席が難しい事情があるなら、早めに弁護士へ相談するとよいでしょう。

調停はどのくらいの期間がかかりますか

ケースによって大きく異なります。比較的早くまとまることもあれば、争いが複雑で長い期間を要することもあります。一度の期日で決まることは少なく、複数回にわたって話し合いを重ねるのが一般的です。先の見通しを立てたいときは、自分のケースについて弁護士に相談すると、おおよその流れをつかみやすくなります。

調停で決まったことは守らせることができますか

調停が成立すると、その内容は調停調書にまとめられ、確定した判決と同じような強い効力を持ちます。そのため、約束を守らない相続人がいる場合でも、この調書をもとに財産の引き渡しなどを実現できることがあります。話し合いの結果に確かな裏づけが得られる点も、調停を利用する大きな意味の一つです。

相手が調停に来なかったらどうなりますか

相手方が正当な理由なく調停に出てこない場合、話し合いが進まないため、調停は不成立となることがあります。ただし、遺産分割では、調停が不成立になっても自動的に審判へ移行するため、相手が応じないからといって手続きが止まってしまうわけではありません。最終的には裁判所が判断を下しますので、相手が話し合いを拒んでも、解決への道は確保されています。

調停を申し立てると相手との関係が悪化しませんか

申立てをためらう理由として、相手との関係悪化を心配する方は少なくありません。けれども、当事者だけで感情的に対立し続けるほうが、かえって関係をこじらせてしまうこともあります。調停は、中立な第三者を交えて冷静に話し合う場です。むしろ、ヒートアップしがちな当事者間のやり取りを落ち着かせ、関係の決定的な悪化を防ぐ役割を果たすこともあるのです。

調停と裁判はどう違うのですか

一般的な裁判が、原告と被告が争って勝ち負けを決める手続きであるのに対し、調停は、当事者の話し合いによる合意を目指す手続きです。遺産分割では、まず調停で話し合い、まとまらなければ審判で裁判所が判断する、という流れになります。いきなり勝ち負けを争うのではなく、まずは歩み寄りを探るところから始まる点が、調停の特徴です。穏やかな解決を目指す仕組みだと理解しておくとよいでしょう。

弁護士に頼まず自分だけで進めることはできますか

できます。調停は当事者本人でも利用できる手続きですから、自分だけで申立てから期日への出席まで行うことも可能です。ただし、主張の整理や書類の準備、相手方との交渉などを一人で担うのは、負担が大きいのも事実です。とくに争いが複雑な場合や、相手が弁護士を立てている場合には、こちらも専門家に依頼するほうが安心です。まずは相談だけしてみて、依頼するかどうかを判断するのもよいでしょう。

家庭裁判所の手続きについては、誰に相談すればよいですか

遺産分割の調停や審判については、弁護士が力になれます。手続きの進め方や、自分の主張をどう組み立てるか、相手方とどう交渉するかなど、専門的な判断が必要な場面で頼りになります。とくに、相手との対立が激しい場合や、争いが複雑な場合には、早めに弁護士へ相談することで、見通しを持って手続きに臨めます。どう動けばよいか迷ったら、まずは身近な専門家に相談してみてください。

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