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借金の踏み倒しをするとどうなる?犯罪や裁判になる?
この記事で分かること
- 借金の踏み倒しても犯罪として逮捕されることはない
- ただし、裁判を起こされ財産が差し押さえされるなど多くの不都合がある
- 債務整理は借金踏み倒しよりメリットが大きい
借金が多額になり返済が苦しくなってくると「踏み倒してしまおうか」と考えることもあるでしょう。この記事では、借金の踏み倒しをするとどうなるのか、犯罪になるのか、借金の時効が成立する条件、および債務整理が借金踏み倒しよりメリットが大きい理由についてご紹介します。
借金の踏み倒しをするとどうなる?犯罪になる?
借金の踏み倒しをするとどうなるのか、罪になるのかを、最初にみていきましょう。
借金の踏み倒しは刑事罰にはならない
借金は返済する責任があります。しかし、その責任はあくまで民事上のものとなります。したがって、借金を踏み倒しても、逮捕されて刑事罰を受けるなどのことはありません。
ただし、お金を貸した金融業者などが裁判を起こすと強制執行を受け、財産が差し押さえられるなどの措置を受けることはあります。
時効が成立すれば返済の義務もなくなる
借金には「時効」があります。時効が成立すれば、借金を返済する義務はなくなります。
借金の時効は、借入先が消費者金融会社などの「商人」であれば5年、友人などの個人や信用金庫、住宅金融支援機構の住宅ローンなどの商人以外であれば10年です。(2020年4月1日以降にする借金は、民法が改正されるため商人であってもそれ以外であっても5年に変更)
借金の時効を成立させるための方法
借金の時効を成立させるための方法として、いわゆる「夜逃げ」があります。住民票を旧住所に置いたまま逃げてしまえば、金融業者も取り立てができなくなりますので、時効が成立する可能性はあります。
ただし、お金を貸した金融業者も時効の成立を何もせずに待つことはないでしょう。下で詳しくみる通り、金融業者により裁判が起こされるなどすると、時効はリセットされてしまい、さらに期間も10年となります。
また、住民票を実際の居住地に移動しないと、
- 住んでいる市町村での行政サービスが受けられなくなる
- 国民健康保険に加入しにくくなる
- 就職活動などがしにくくなる
などの様々な不利益を被ることになります。
連帯保証人に迷惑がかかる
借金をする際に連帯保証人を立てている場合には、夜逃げをするなどして借金を踏み倒そうとすると、お金を貸した金融業者は連帯保証人に返済を求めます。したがって、借金の踏み倒しは連帯保証人に迷惑がかかります。
クレジットカードを作ったり住宅ローンを組んだりすることは信用情報に登録されるためできなくなる
借金の踏み倒しをすると、信用情報に登録されるため、クレジットカードを作ったり住宅ローンを組んだりすることはできなくなります。信用情報への登録は、借金を延滞している状態が継続される限り続きます。時効が成立して返済義務がなくなっても、それから5年間程度、信用情報への登録は消えません。
裁判が提起され財産が差し押さえられることもある
借金を踏み倒して延滞が続いた場合、お金を貸した金融業者が裁判を起こすことがあります。裁判で差し押さえが認められると、預金や給料などの財産が差し押さえされることになります。
裁判は、たとえ住民票を置いたまま転居しても、所定の手続きにより行うことができます。逃げることはできません。
借金踏み倒しの時効が成立する条件
借金踏み倒しの時効が成立する条件をみていきましょう。借金の時効が成立し、返済義務がなくなるためには、
- 時効が成立するまでの期間返済しない
- 返済の承認や期日の延長などをしない
- 金融業者から裁判を起こされない
- 時効の援用を行う
のことが必要です。
時効が成立するまでの期間返済しない
借金の時効の期間は「最終返済日」から計算されます。したがって、時効の成立を待つのであれば、その間に一部であっても返済をしてはいけません。返済をしてしまえば時効は中断(リセット)され、新たに返済をした日から時効期間が数えられることとなります。
返済の承認や期日の延長などをしない
返済と同様に、「債務の承認」も時効をリセットさせる効果があります。お金を借りている金融業者に「払います」と言ったり、念書を入れたりすれば、時効がリセットされる場合があります。
金融業者から裁判を起こされない
借金の時効が成立するためには、金融業者から裁判などを起こされないことが必要です。金融業者が裁判所に請求などの訴えを起こすと、判決が確定することによって時効がリセットされるからです。
しかも、貸金業者などからの借金ならば時効は5年であるところ、裁判所の判決が確定すると時効は10年に伸びてしまいます。したがって、例えば5年間の時効の成立寸前に金融業者から訴えを起こされた場合には、さらにそこから10年、合計15年間のあいだ時効は成立しないことになります。
また、住民票を残したまま逃げ、裁判所からの書類が届いていなくても、通常通り裁判を行い、判決を確定させることができます。
裁判所からの送達が届かなかった場合でも送達があったとみなす「付郵便送達」や、相手の所在が不明な場合の送達の方法である「公示送達」などの手続きができるからです。
時効の援用を行う
無事に時効の期間が満了しても、それだけで自動的に借金の返済義務がなくなるわけではありません。時効の「援用」の手続きを行って初めて、借金の返済義務から解放されることになります。
時効の援用は「時効の利益を受ける」ことを金融業者などの債権者に伝えることで、方法は特に指定されていませんので口頭で行ってもかまいません。
ただし、期間が満了して時効が完成してから援用を行うまでのあいだに、上でみた「債務の承認」をしてしまうと、時効援用権を喪失し、時効を主張できなくなることがあります。金融業者などは時効援用権の喪失をねらい、1,000円などの少額の返済を時効成立後に求めてくることがあります。
債務整理は借金踏み倒しよりメリットが大きい理由
最後に、合法的に債務整理を行うことが借金を踏み倒すことよりメリットが大きい理由をみていきましょう。
借金の返済額の減額または免除を受けることができる
債務整理を行うと、借金の返済額の減額または免除を受けることができます。債務整理の方法は大きく3つあり、それぞれの方法で借金が減額される程度は次のようになります。
- 任意整理 …将来の利息をカットした上で3~5年の分割返済にすることができる
- 自己再生 …借金の元本自体を5分の1程度にまで減額した上で3~5年の分割返済にすることができる
- 自己破産 …借金の全額が免除される
借金の減額または免除を確実に行うことができる
借金の時効は、金融業者からの裁判の訴えにより簡単にリセットされます。したがって、時効がいつ成立するかは、実際に時効が成立してみるまで見通すことができません。それに対して債務整理は、借金の減額や免除を法律に従った手続きによって確実に行うことができます。
金融業者からの取り立てがなくなる
債務整理は弁護士に依頼することにより行います。弁護士は依頼を受けると「受任通知」を金融業者などの債権者に送ります。するとそれ以降、金融業者などからの取り立てがなくなります。
弁護士が受任通知を送った以降は、債権者が債務者にたいして直接取り立てをすることが法律で禁止されているからです。取り立てがなくなることにより、精神的な負担は大きく軽減されるでしょう。
参考記事(外部リンク):債務整理とは?4種類の手続きの流れやあなたにオススメの整理方法を紹介!
弁護士費用は公的扶助により立替えが受けられることがある
債務整理を弁護士に依頼するには弁護士費用がかかります。「弁護士費用が払えないから」と債務整理に二の足を踏む人も多いでしょう。しかし、その場合には、法テラスの民事法律扶助制度を利用することができます。
民事法律扶助制度を利用すれば、債務整理のための弁護士費用の立替えを受けることができます。立替金の返済は、月々5,000円程度の分割払いが可能です。
また、民事法律扶助制度を利用する場合には、弁護士費用はあらかじめ規定されています。したがって、制度を利用しない場合と比べ、弁護士費用は大幅に安くなることがあります。
民事法律扶助制度を利用するためには、収入と資産について一定の条件が定められています。しかし、債務整理を考えるようなケースでは、ほとんどが条件を満たしていると考えられます。
借金の踏み倒しは弁護士に相談しよう
借金の残高が多額になり返済が苦しくなっていることは、誰にも相談できないことも多いでしょう。一人で悩むうちに「借金の踏み倒し」による解決に思い至ることも多いと思います。
しかし、借金は、踏み倒すよりメリットが大きい整理の方法があります。最適な解決方法をみつけるために、まずは弁護士に相談してみましょう。
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