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負担付贈与とは~普通の贈与とどう違う?税金のことも含めて解説!
この記事で分かること
- 財産をもらう側も何らかのことをしなければならない贈与が、負担付贈与である。
- 負担付贈与では、契約書を作ったほうが安心である。
- 負担付贈与をした人は、不備のあった財産についての穴埋めをしなければならない。
- 負担付贈与では、もらう側だけでなく、あげる側も税金を納めなくてはならない場合がある。
- 負担付贈与を検討するなら、税に詳しい弁護士に相談することが一番である。
負担付贈与では、財産をもらう側も何らかのことをしなければなりません。あげる側は、不備な財産の穴埋めをしたり、場合によっては税金を納めなくてはなりません。負担付贈与を上手に行うには、法律と税金の知識が必要です。これらは、一般の人にはとっつきにくい問題です。負担付贈与を考えるのなら、税に詳しい弁護士に相談しましょう。
目次[非表示]
負担付贈与とは
財産をもらう人が、財産をあげる人に対して、何らかのことをしなければならない形の贈与を、負担付贈与といいます。この「何らかのことをしなければならない」ことを、「負担」といいます。「負担の付いた贈与」ということで、負担付贈与と呼ばれます。
自分の財産を贈与しようかと考えている人が、負担付贈与について知りたいと思ったとき、どんなことに目を配ればよいのか。この記事で解説します。
負担付贈与の具体例
負担付贈与とはどのような贈与なのか。まずは具体例によって、そのイメージをとらえましょう。
住宅ローンの負担
住宅をもらう人が、住宅をあげる人の残りの住宅ローンを支払うことになる場合、これは負担付贈与です。
介護の負担
1年間に100万円をもらう人が、週2回、100万円をあげる人への入浴介助をすることになる場合、これは負担付贈与です。
土地の一部使用
土地をもらう人が、土地をあげる人に土地の一部を畑として使わせることになる場合、これは負担付贈与です。
負担付贈与のメリット
負担付贈与には、どのようなメリットがあるのでしょうか。代表的な4つのメリットについて解説します。
財産をもらう人からの見返りあり
負担付贈与では、財産をあげる人は、あげっぱなしではなく、財産をもらう人からも自分のために何らかのことをしてもらうことができます。
このことは、負担付贈与の定義であると同時に、メリットでもあります。
「確実な恩返し」ができる
毎週の入浴介助をしてもらう代わりに、毎年100万円をあげるという負担付贈与が、その代表的なケースです。
入浴介助をしてもらった人は、相手に対して、毎年100万円をあげる義務が生まれ、相手も毎年100万円をもらう権利が生まれます。この権利と義務は、法律によって守られます。こうして、良くしてもらった人は、自分に良くしてくれた人に対して、確実な恩返しができます。
スムーズな事業受継ぎができる
会社の経営者である父親が、息子に会社の経営権をあげる代わりに、息子は会社の借金を返して行くという負担付贈与が、その代表的なケースです。
会社の経営が途切れることなく受け継がれます。父親は、自分が健在のうちに息子への経営アドバイスができます。会社の借金が息子に受け継がれることで、債権者も安心して会社との取引を続けることができます。まさに、スムーズな事業受継ぎです。
以上は、財産をあげる人にとってのメリットですが、財産をもらう人にとってもメリットがあります。
贈与税のかかる部分が少なくなる
財産をもらう人は、贈与税を納めなければなりません。負担付贈与の贈与税は、「もらった財産の額-負担した額-基礎控除額110万円」に対してかかってきます。普通の贈与税は、「もらった財産の額-基礎控除額110万円」に対してかかってきます。この結果、負担付贈与の贈与税は普通の贈与の贈与税よりも安くなることが多くなります。
負担付贈与と普通の贈与の違い
負担付贈与は、特殊な贈与の形です。負担付贈与と普通の贈与とは、どのような違いがあるのでしょうか。代表的な4つの違いについて解説します。
財産をもらう人が負担を負う
負担付贈与では、財産をもらう人が財産をあげる人に対して、何らかのことをしなければならないという負担を負います。
普通の贈与では、財産をもらう人は財産をもらうだけで、あげる人に対して何かしなければならないことはありません。
財産をあげた人が財産不備の穴埋めをする
負担付贈与では、あげた財産に何らかの不備があった場合、あげた人はもらった人に対して、不備の穴埋めをしなければなりません。これを担保責任といいます。
普通の贈与では、財産をあげた人がもらった人に対して、不備の穴埋めをしなければならないことはなく、担保責任を負いません。
贈与税のかかる部分が少ない
負担付贈与の贈与税は、「贈与された額-負担した額-基礎控除110万円」に対してかかってきます。普通の贈与では、「贈与された額-基礎控除110万円」に対してかかってきます。
この違いは、普通の贈与よりも負担付贈与の方が贈与税が安く算定される結果につながってきます。
財産をあげた人が税金を納める場合がある
負担付贈与では、税金制度の目から見て、財産をもらう人よりもあげた人が得をしたといえる場合、財産をあげた人が税金を納めなくてはならない場合があります。
普通の贈与では、あげるだけの人ともらうだけの人という関係なので、財産をあげた人の方が得をするということはありません。従って、財産をあげた人が税金を払うというケースは生まれません。
負担付贈与の法律的な意味
負担付贈与は、財産を他の人に移す法律的手段です。従って、負担付贈与について知ろうとする場合、その法律的な意味を知ることが大切です。
ここで、負担付贈与の法律的な意味について、4つの重要なポイントについて解説します。
負担付贈与はあげる人ともらう人との契約
贈与は、財産をあげる人と財産をもらう人との間の契約です。負担付贈与は贈与の一種です。従って、負担付贈与は、財産をあげる人と財産をもらう人との間の契約です。
このことを、2つのポイントに分けて解説します。
負担付贈与契約は合意だけで成立する
負担付贈与契約は、財産をあげる人と財産をもらう人との間の合意のみによって成立します。たとえば「あなたに毎年、100万円をあげよう。だから、毎年、週2回、私の入浴介助をしてくれ。」「わかりました。その申し出をお受けします。」という両者の合意のみによって負担付贈与契約が成立します。
契約書を作ることは、負担付贈与契約の成立のために必ず必要なものではありません。
負担付贈与は契約書を作った方が安心
しかし、負担付贈与契約をするなら、契約書を作った方が安心です。契約書などの書面によらない贈与契約は、財産をあげる人・もらう人のどちらからでも、契約はなかったものとすること(撤回)ができます。
契約書がない場合、後になって、「あなたは私に土地Aをくれると言った」「いや、そんなことは言わない」、「君は私から家Bをもらう代わりに私の入浴介助をすると言った」「いや、そんなことは言わない」という、言った言わないの争いになるリスクもあります。
負担付贈与契約で決めたことをお互いにきちんと行うようにするためには、契約書を作った方が安心です。
負担付贈与契約の当事者が負う義務
負担付贈与契約が成立すると、契約の当事者はどのような義務を負うのでしょうか。1年間に100万円をもらう人が、週2回、100万円をあげる人への入浴介助をするという契約を例に、100万円をあげる人、100万円をもらう人、それぞれの義務について考えてみましょう。
財産をあげる人の義務
財産をあげる人は、負担付贈与契約に定められたとおりに財産をあげる法律的な義務を負います。この例では、100万円をあげる人は100万円をもらう人に対して、毎年、100万円をあげる法律的な義務を負います。
財産をもらう人の義務
財産をもらう人は、負担付贈与契約に定められたとおりに負担を果たす法律的な義務を負います。この例では、100万円をもらう人は、週2回、100万円をあげる人への入浴介助を行う法律的な義務を負います。
負担付贈与契約は解除できる?
契約の解除とは、契約の当事者の一方が契約で決めたことをきちんと行わない場合、相手方が契約解除の意思を表すことにより、契約が初めから無かった形にすることをいいます。
負担付贈与契約が成立したのにもかかわらず、当事者の一方が、契約で定められたとおりに財産をあげなかったり、負担を果たさなかったりした場合、相手方は負担付贈与契約を解除することができるのでしょうか。
負担付贈与契約は双務契約
契約解除の制度は、当事者が互いに義務を負う契約(双務契約)において特に、その力を発揮する制度です。
双務契約の当事者の一方が契約で決めたことをきちんと行わない場合、契約解除の制度がなかったとしたら、相手方は、義務を実行しない当事者に対して、法的な強制手段(強制執行)をもってでも実行させる一方、自分も自らの義務を実行しなくてはなりません。いわば二重の労を背負うことになります。
それよりも、相手方としては、解除により契約が初めから無かったことにして、義務を実行しない当事者による実行をあきらめる一方で、自分も自らの義務を実行しなくてもよくする形の方が、二重の労から解放される点で得策です。その上で、新たな契約の途を探る方が、より良い契約相手や契約条件にめぐりあう可能性がある点で建設的ともいえます。こうして、契約解除の制度は、双務契約において特に、その力を発揮します。
負担付贈与契約において財産をもらう人が負う負担は、法律的な義務と考えられています。負担付贈与契約における財産をあげる人の義務と財産をもらう人の負担との関係は、義務と義務の関係となります。従って、負担付贈与契約は双務契約と考えることができます。民法では、負担付贈与契約についても契約解除ができると定められています。
入浴介助を負担する例でいうと
AさんはBさんに対して1年間に100万円をあげる代わりに、Bさんは毎週2回、Aさんへの入浴介助をするという負担付贈与契約をしました。
契約どおり、AさんはBさんに100万円をあげました。ところが、Bさんは、待てど暮らせど、Aさん宅に来ません。Aさんが何度催促しても、Bさんは何かと理由を付けて、来ようとしません。堪忍袋の緒が切れたAさんは、Bさんに対して、今回の契約を解除すると告げました。
これにより、AさんとBさんの間の負担付贈与契約は初めから無かったことになりました。その後、Aさんは、誠実なCさんという人と負担付贈与契約を結び、Cさんに毎年100万円をあげる代わりに、毎週2回の入浴を楽しむことができるようになりました。
AさんがBさんにあげた100万円は、法律上の原因なくBさんにあげたお金ということになります。AさんはBさんに対して、100万円を返すよう求めることができます。
贈与財産に不備があったら~贈与者の担保責任
負担付贈与契約に基づいてあげた物に不備があった場合、あげた人は、もらった人に対して、担保責任という責任を負います。以下、詳しく見て行きます。
負担付贈与契約で財産をあげた人は担保責任を負う
負担付贈与契約では、財産をあげた人は、財産をもらった人の負担の限度において、担保責任を負います。負担付贈与では、財産をもらった人は財産をあげた人に対して何らかの負担を負うので、財産をあげた人に担保責任を負わせることで、財産をもらった人との間の公平を保たせるためです。
「財産をもらった人の負担の限度において」とは、たとえば、残り1000万円の住宅ローンを支払うという負担付きで住宅をもらったところ、家がシロアリにやられていたため、家をもらった人が、家をあげた人の担保責任として損害賠償請求をする場合、請求額の上限が1000万円になるという意味です。
普通の贈与では、財産をあげる人は原則として、担保責任を負いません。贈与契約において決めた物(たとえば、シロアリにやられた家)をそのまま渡すことで、財産をあげる人の責任は果たされます。財産をもらう人は何ら負担を負うことなく財産をもらうだけなので、財産をあげる人に担保責任を負わせなくても、財産をもらう人との間の公平が損なわれることはないからです。
担保責任とは?
たとえば、もらった住宅がシロアリにやられていたら、住宅をあげた人の責任はどうなるのでしょうか。このように、あげた物に不備があった場合、あげた人がもらった人に対して負う責任を担保責任といいます。担保責任の中心となるのは、契約を解除されても文句をいえないこと、損害賠償を請求されても文句をいえないことの2つです。
負担付贈与にかかる税金
わが国の税金制度では、贈与によって、あげる人からもらう人へと財産が動くと、税金を納めなくてはならない決まりになっています。このことは、負担付贈与についても同じです。負担付贈与について知りたいと思ったら、税金の問題は避けて通れません。
ここでは、負担付贈与をする場合、財産をあげる人と財産をもらう人が、それぞれどのような税金を納めなくてはならなくなるのかについて解説します。節税対策のヒントについても簡単に解説します。
贈与を受けた人にかかる税金
負担付贈与により財産をもらった人には、どのような税金がかかるのでしょうか。
贈与税
贈与によって財産をもらった人には、贈与税という税金がかかります。負担付贈与も増のひとつです。負担付贈与により財産をもらった人は、国に贈与税を納めなくてはなりません。
負担付贈与における贈与税の計算方法
負担付贈与における贈与税はどのように計算されるのでしょうか。贈与税のかかる部分と贈与税の計算方法とに分けて見て行きます。
負担付贈与における贈与税のかかる部分
贈与税は、もらった財産のどの部分に対してかかるのでしょうか。
負担付贈与の贈与税がかかる部分は、
「贈与された財産の額-贈与を受けた人が負担する額-基礎控除額110万円」
という式で計算されます。たとえば、5000万円相当の住宅が、住宅をもらう人が残りの住宅ローン1000万円を支払う約束で贈与された場合、計算式は、
「5000万円-1000万円-110万円=3890万円」
となります。もらった財産のうちの3890万円に対して贈与税がかかることになります。贈与される財産のうち、住宅などの不動産の額は、贈与時の取引価格に基づいて評価されます。
負担付贈与における贈与税の計算式
贈与税がかかる部分が決まったところで、ここからどのようにして贈与税の金額が決まるのでしょうか。
贈与税の金額は、
「贈与税がかかる部分の金額×贈与税率-控除額」
という式によって計算されます。
たとえば、5000万円相当の住宅が、住宅をもらう人が残りの住宅ローン1000万円を支払う約束で贈与された場合の贈与税の金額は、
「贈与税がかかる部分の金額3890万円×贈与税率55%-控除額400万円=1739万5000円」
となります。住宅をもらった人は、贈与税として1739万5000円を国に納めなくてはなりません。
贈与税率と控除額は、贈与税がかかる部分の金額によって変わります。詳しくは国税庁ウェブサイトの「贈与税の速算表」を参照してください。表にある「基礎控除後の課税価格」とは、贈与税がかかる部分の金額のことです。(国税庁ウェブサイトはこちら)
贈与した人にかかる税金
負担付贈与によって財産を贈与した人には、どのような税金がかかるのでしょうか。
所得税・住民税
負担付贈与により財産をあげた人が、国に所得税を、都道府県や市区町村に住民税を、それぞれ納めなくてはならない場合があります。贈与によりAさんから家をもらったBさんが、Aさんの残りの住宅ローンを支払うことになったケースで考えてみましょう。
残りの住宅ローン額が購入額を上回る場合
Aさんが、自ら1000万円で購入した家をBさんに贈与しました。Bさんは、利息も含めた残りの住宅ローン1200万円を支払うことにしました。この場合、Aさんは、家の購入に1000万円かかった半面、家のローン1200万円の支払いを免れたことで、差し引き200万円の儲けを手にしたことになります。
このAさんの200万円の儲けは、税金制度の上では、家の譲渡(贈与や売買などによって財産の権利を他の人に移すこと)によって得た所得、すなわち譲渡所得として評価されます。譲渡所得に対しては、所得税のひとつである譲渡所得税がかかります。また、所得があったことで、住民税もかかります。
相続時清算課税制度も利用可能
贈与税は、贈与によって財産をもらった時に納めるのが普通です。この特例として、相続時精算課税という贈与税の納め方があります。
贈与により財産をもらった人は、もらった時には贈与税を納めません。その代わり、贈与により財産をあげた人が亡くなった時に、その人の「残した財産+生前に贈与した財産」に対して相続税がかけられます。相続の時点で相続税と贈与税を一緒に清算して納めることから、「相続時精算課税」の名が付きました。
この方法は、原則として、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対して、財産を贈与した場合にのみ利用できます。これは、贈与により財産をもらった人が財産をあげた人の相続人となることを想定しています。財産をもらった人としては納めなかった贈与税を、財産をあげた人亡き後、今度はその相続人として、贈与税を相続税に含めて納める方法です。
この方法には2つのメリットがあります。ひとつは、贈与税と相続税の2度の納税を相続税の1度の納税で済ますことができることです。もうひとつは、贈与財産の額は贈与時を基準に評価されるため、贈与時よりも相続時の方が贈与財産の評価額が高くなった場合、相続時ではなく贈与時の評価額を基に相続税が算定される分、相続税の節税につながることです。
詳しくは、国税庁ウェブサイトを参照してください。(国税庁ウェブサイトはこちら)
負担付贈与のデメリット
負担付贈与には、どのようなデメリットがあるのでしょうか。負担付贈与を考えている人にとって、見過ごすことのできない問題です。
財産をあげた上に税金まで取られる場合あり
負担付贈与で財産をあげた人が譲渡所得税や住民税を納めなければならない場合があります。あげた財産と相手の負担との関係を税金の目で見ると、あげた人の方が得をしていると評価される場合に、こうした事態が起こります。
不動産を負担付贈与すると贈与税が高くなる
不動産を贈与する場合、不動産の額は、負担付贈与では時価(その時々の価格)、普通の贈与では相続税評価額(土地は路線価または倍率方式額、家屋は固定資産税評価額)に従って評価されます。時価は相続税評価額よりも高いため、贈与税は普通の贈与の場合よりも負担付贈与の場合の方が高くなります。
金銭評価できない負担は控除されない
お金を贈与する代わりに介護をしてもらうなど、負担を金銭で評価できない場合、贈与税がかかる部分を計算するに当たり、贈与された額から負担した額が控除されることはありません。
残りの住宅ローンを支払う負担を負う場合のように金銭評価できる負担であれば、負担した額として控除されるのと対照的です。
負担付贈与における節税対策
負担付贈与にかかる税金をなるべく少なくしたいと思うのは当然です。負担付贈与を行う場合、どのような節税対策が考えられるでしょうか。ここでは、財産をもらう人の節税について解説します。
不動産以外の物を負担付贈与する
不動産ではなく不動産以外の者を負担付贈与することで、次の2つの節税ができます。
贈与税の節税
贈与される物が不動産の場合、普通の贈与か負担付贈与かで、不動産の価額評価の方法が変わります。普通の贈与では、国税庁通達に定められた相続税評価額(土地は路線価または倍率方式額、家屋は固定資産税評価額)に従って評価されます。負担付贈与では、その時々の価格、つまり時価で評価されます。
不動産の時価と相続税評価額を比べると、時価は相続税評価額の約1.2倍です。その結果、不動産については、普通の贈与をしたときよりも負担付贈与をしたときの方が贈与税は高くなります。
贈与される物が不動産以外の場合、普通の贈与も負担付贈与も共に、相続税評価額に従って評価されます。不動産ではなく不動産以外の物を負担付贈与することで、贈与税を節税できます。
不動産取得税の節税
売買や贈与などにより不動産を自分の物にした人は、都道府県に、不動産取得税を納めなくてはなりません。不動産取得税は、贈与税がかからない場合でも、納めなければなりません。従って、不動産以外の物を負担付贈与した場合は、不動産取得税を納めずに済みます。
贈与税がかかる部分をゼロにする
負担付贈与について贈与税がかかる部分の計算式は、「贈与された財産の額-贈与を受けた人が負担する額-基礎控除額110万円」です。
この計算式によれば、贈与された財産の額が贈与を受けた人が負担する額よりも小さい場合、または贈与された財産の額が贈与を受けた人が負担する額よりも大きくても、その差額が110万円以下の場合、贈与税がかかる部分はゼロになり、贈与税はかかりません。
こうした節税は、住宅ローンを組んで間もない頃、贈与された財産の額と住宅ローン残高が同じくらいの時に、家をもらう人が残りの住宅ローンを負担する形の負担付贈与をした場合に可能となります。
贈与税の申告期間は、財産をもらった年の翌年の2月1日から3月15日です。贈与税がかかる部分をゼロにできる時と贈与税の申告期間とが重なれば、贈与税がかからなくて済むことになります。
負担付贈与を考えるなら、まず弁護士に相談を
負担付贈与を行う際のポイントは、大きく分けて2つあります。ひとつは、きちんとした負担付贈与契約書を作ることです。もうひとつは、財産をあげる人と財産をもらう人の法律的義務、財産をあげる人の担保責任、財産をあげる人と財産をもらう人にかかる税金について、それぞれ正しい理解をすることです。
こうしたポイントをふまえるには、法律と税金についての知識が必要です。こうした知識を一般の人が得るには、大変な苦労を伴います。中途半端な知識をもって無理に事に当たると、手痛い結果が待っています。ここは、専門家の手を借りるのが一番です。
負担付贈与を考えるなら、まず税に詳しい弁護士に相談しましょう。
法律のプロがスムーズで正しい相続手続きをサポート
- 相続人のひとりが弁護士を連れてきた
- 遺産分割協議で話がまとまらない
- 遺産相続の話で親族と顔を合わせたくない
- 遺言書に自分の名前がない、相続分に不満がある
- 相続について、どうしていいのか分からない