2019/1/21 194view

交通事故の病院は整形外科へ!整骨院だけに通うのはNG

この記事で分かること
  1. 整形外科は医師が、整骨院は柔道整復師が開業しており、業務範囲が大きく異なる
  2. 先に整形外科へ行けば、医師による「診断」で治療が開始でき、のちに必要となる「診断書」の作成も可能
  3. 交通事故に遭った場合は注意すべきことも多く、速やかに弁護士などの専門家に相談しよう

交通事故に遭った場合は、気が動転して、何をしていいのか分からないものです。「別に怪我をしていないから」と病院に行かない人や、「定期的に利用している整骨院があるから」と先に整骨院へ行く人もいます。しかし、自覚症状がなくても、懇意にしている整骨院があっても、まずは整形外科へ行くことをお勧めします。この記事では、整形外科と整骨院の違いから、先に整形外科で受診すべき理由、また受診の際に注意する事項などを丁寧に解説します。

整形外科、整骨院の基本的な違いを知ろう

交通事故に遭った場合、ケガや体の痛みなどがあれば、病院へ行くことが考えられます。しかし、病院といっても整形外科から整骨院、接骨院、整体院などがあり、どの種類の病院に行けばよいか迷うところです。そこで、ここではそれぞれの違いを丁寧に説明し、どの病院を選べばよいのか、前提となる基礎知識を整理します。

整形外科とは

整形外科とは、医師国家試験に合格した医師免許を持つ医師が、運動器の疾患を取り扱う診療科のことをいいます。運動器とは、骨・関節などの骨格系と、その周りの筋肉やそれらをコントロールする神経系を指し、整形外科では、骨・関節・筋腱・手足の神経・脊椎脊髄に対して、診療を行います。

整形外科の診療は、診察による所見だけでなく、詳細な検査も行うことができます。X線(レントゲン)や体内の内部を断面像として撮影できるMRI検査など、より精度の高い検査で的確な診断が可能です。
また、診断後の治療では、薬の処方や注射、場合によっては手術も行います。さらには、運動機能を改善するために、リハビリテーションも行っています。理学療法士(国家資格)の指導のもと、治療体操などの運動療法と、電気刺激、マッサージ、温熱などの物理的療法を組み合わせたリハビリテーションが可能なところもあります。

整骨院とは

整骨院(接骨院も同様)とは、大学または養成校で学び、国家試験に合格した柔道整復師が開業した施設のことをいいます。
ここでは、厚生労働大臣免許のもとで骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷(筋・腱の損 傷)などの施術を行うことができます。

整骨院の施術は、整形外科と異なり、薬の処方や注射、手術などの外科的な行為はできず、古来より伝承された「無血療法」という特殊な手技によるもので、痛みなどを和らげます。人間が本来持っている治癒力を引き出すという考え方に基づきます。
ですから、柔道整復師が行う施術は「医療類似行為」とされ、医師が行う「医療行為」とは異なり、「診断書」も作成することができません。

なお、カイロプラクティックや整体院などの施術者は、国家資格ではなく民間の資格であり、具体的に行える業務の範囲を定めたものもありません。

ワンポイントアドバイス
整形外科医は医師免許を持つ医師が診断と治療を行いますが、整骨院は国家資格である柔道整復師が施術を行います。整骨院にて柔道整復師が行える行為の範囲は決められており、投薬や注射、手術もできず、「診断書」も作成することができません。

交通事故に遭ったら、まず整形外科で受診すべき理由

整形外科と整骨院の違いを理解したところで、交通事故に遭った場合は、迷わず「整形外科」へ行くことをお勧めします。
どうして先に「整形外科」へ行くことがよいのか、ここでは2つの理由を説明します。

  1. 身体の診断と治療が最優先
  2. 整形外科は診断書を作成できる

身体の診断と治療が最優先

自分の身体とは一生の付き合いをしていかなければなりません。そのためには、その道の経験を積んだ医師の所見と、詳細な検査結果を合わせて、合理的な診断を行ってもらう必要があります。どのような治療を受けるかは、そのあとです。

自分の身体が正常なのか、思いもよらぬところに怪我をしていないか、正確に判断するためには、科学的な根拠も必要です。その点、整形外科ではX線やMRI検査といった、外側から見ることのできない部分を確認できる検査を行うことができます。
また、診断の結果、整形外科で行える治療の範囲は、整骨院と比べて広く、そのぶん、取りうる選択肢も広がります。

自分の身体が大事だからこそ、「異常がないか」ということを的確に判断できる整形外科での受診が、最も重要なのです。

整形外科は診断書を作成できる

自分の身体の次に考えないといけないのが、「お金」です。
自分が歩行者で相手が自動車の場合や、自分も相手方も自動車同士の場合など、交通事故の状況は様々です。事故の状況次第で、相手側に請求するお金の項目は増減します。しかし、どの状況においても変わらないものが、ケガなどの治療費や慰謝料です。これらを請求するためには、医師が作成した「診断書」が必要となります。
「診断書」の作成については、以下の2つの場合があります。

治療費請求のための診断書

治療費の請求には、実際に受けている治療が、交通事故によって起きたケガのためという因果関係が必要です。
その役割を果たすのが、医師によって作成された「診断書」なのです。
国家資格を持つ医師が、交通事故によって体がどのような状態になったのか、詳細に記載した「診断書」は効果的です。
特に整形外科でX線検査や画像診断など受けた場合は、それが客観的な資料となり、正確に記録として残すことができます。
ケガの症状は様々です。外傷の場合は一目見て分かりますが、内部の損傷などは、客観的な資料でなければわかりにくいものです。
正当な金額の治療費の請求には、検査結果と診断書が必要となるのです。

後遺障害認定のための後遺障害診断書

治療を一定期間続ければ、完全に治癒した「完治」か、もしくは、これ以上は症状が変わらず完治しない「症状固定」かのどちらかになるでしょう。
このように、症状が変わらず、事故の後遺症として障害が残る場合は、後遺障害の認定を受ける流れとなります。
後遺障害の等級は1~14級に分かれています。認定された等級によって、受け取ることのできる自賠責保険金や、相手側の任意保険会社の損害保険金、裁判を起こした場合の判決や和解の金額が変わります。これら全ての基準となるのが、後遺障害の等級なのです。

後遺障害の認定(等級)を受けるには、「後遺障害診断書」を作成してもらい、申請する必要があります。
先ほどの治療費の請求の「診断書」とは別に、担当に当たった医師に、一定の書式に則った「後遺障害診断書」を作成してもらいます。この際に、交通事故直後の最初の整形外科医の診断が影響します。もともとのケガがどれほどだったのか、治療してどの程度障害が残っているのか、経緯を知るためにも、治療のスタート地点である最初の診断が大事なのです。

整骨院は身体の診断・診断書作成の2点に対応できない

先にもご説明した通り、柔道整復師による整骨院が取り扱うのは「医療類似行為」であり、国が認める「身体の診断」を行うことができず、金銭的な損害賠償等に必要になる「診断書」の作成もお願いすることができません。
このことが、そのまま、整骨院ではなく、先に整形外科へ行くべき理由となるのです。

ワンポイントアドバイス
交通事故に遭った際は、先に整形外科へ行くべき理由が2つあります。それは、①ケガの診断を医学的見地から正確に行ってもらうことができる、②治療費や後遺障害認定のために事故のあとの身体の状態を記録し「診断書」を作成してもらえるという理由です。

交通事故で整形外科を受診する際に注意すべきことは

交通事故に遭った場合、先に整形外科で受診することになりますが、その際に気をつけなければならないことがあります。ここでは、初回の整形外科での受診で注意すべき点を説明します。

早めに整形外科で受診する

交通事故に遭った場合は、早めに整形外科の診断を受けることをお勧めします。仕事や家庭など様々な事情があるとは思いますが、可能であれば、事故当日での受診がいいでしょう。
特に、事故直後は興奮状態にあり、痛みを感じない可能性があります。放置し、あとから痛みや違和感が出てくることも少なくありません。初期治療がその後の治療にも影響するため、重要です。
また、治療費の請求において、診断書の作成日と交通事故が起こった日が離れている場合は、交通事故によりケガがなされたのか、断定できず争いが起きる可能性もあります。
無用な争いを避けるためにも、早めの受診をお勧めします。

交通事故でも健康保険を適用できる

交通事故の治療の相談で多いのが、健康保険を使えるかということです。
病院によっては、「健康保険の適用ができない」などと対応したり、いい顔をされないケースもあるようです。
健康保険を使ってほしくないというのは、あくまで病院側の都合です。
健康保険を使わず自由診療となる場合は、治療費が高額になる仕組みのため、このような対応となるのです。

交通事故の場合、自分に非はなくても「一切過失がない」と判断されることは滅多にありません。被害者といっても、一部過失があると認定されることが多いので、健康保険を適用した方が、総合的に計算すると、結果的に治療費などの損害請求の金額が高くなるといえます。

整形外科と整骨院も併用は可能

先に整形外科で受診するとして、そのあとは整形外科だけの通院となるのでしょうか。整骨院に行くことができないのかと悩まれることもあると思います。

これについては、先に整形外科で受診をしたあと、痛みを和らげるために補完的に整骨院に通院することも可能です。
ただし、必ず受診している医師に相談をすることが大事です。
医師に自覚症状などをしっかりと伝え、何の目的で整骨院も通院したいのか、正直に話す方が、今後の治療の方針にも反映されます。しっかりと医師に相談して整骨院への通院に理解を示してもらうことです。
また、通院する際は、同一日を避ける方がよいでしょう。
健康保険も適用できませんし、治療費の請求の際には、同一日であれば通院を「1回」としてカウントされる可能性もあるので注意が必要です。

併用後は、整形外科での定期的な診断も忘れないようにしてください。経過として体の状態を診断してもらう必要があります。また、整骨院へ通った際は、保険会社にも忘れずに連絡をするようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
交通事故に遭った場合は、可能であれば当日に整形外科で受診し、自分に過失が一切ない場合を除いて、病院での診療には健康保険を適用することをお勧めします。
また、痛みを和らげるために整骨院へ通院したい場合は、必ず整形外科で受診した医師にしっかりと相談することが大事です。

交通事故に遭った場合は弁護士に相談しよう

誰しも交通事故に遭った場合は、不測の事態であることから、冷静に判断することが難しくなります。それでも、まずは一生付き合っていかなければならない自分の身体が一番大事だということを忘れてはなりません。優先して整形外科へ行くことを考えましょう。また、診断書の作成や保険の手続き、警察の対応など、専門的な知識が必要となります。安心して対応するためにも、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

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