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後遺障害14級の慰謝料金額の相場|認定基準や認定を受ける方法
この記事で分かること
- 後遺障害14級には、9種類の認定基準がある
- 後遺障害14級の後遺障害慰謝料は、弁護士基準で110万円
- 後遺障害14級で最も問題になりやすいのは、むち打ち症
- 後遺障害14級でなるべく高額な賠償金を獲得するには、弁護士に相談を
後遺障害14級には、9種類の認定基準があります。後遺障害14級相当の怪我をしている場合には、後遺障害慰謝料として、110万円をもらうことが可能です。後遺障害14級でお悩みの場合は、早期に弁護士に相談し、適正な後遺障害の認定を受けることで、より高額な賠償金を獲得できます。
目次[非表示]
後遺障害14級の認定基準
後遺障害とは、適切な治療を受けたにも関わらず、症状が完治せず、将来に渡って改善の見込みのない体の不具合を言います。
この後遺障害は、障害の程度が最も重い1級から、最も軽い14級までに等級分けされますが、今回は、後遺障害等級のなかで最も軽く、最も認定件数が多い14級の認定基準についてご説明します。
後遺障害14級は、最も認定件数が多い!
後遺障害14級は、1級から14級まである後遺障害等級のなかで、最も認定件数の多い等級です。
損害保険料率機構が作成した2017年度版「自動車保険の概況」(※)によれば、2016年度の後遺障害14級の認定件数は34,633件で、全等級の認定件数のなかで最も多く、全体の58.07%を占めています。
後遺障害14級の認定件数が最多となる理由の一つとしては、交通事故で最も多い怪我であるむち打ち症が、後遺障害として認定される場合、ほぼ14級になるということが考えられます。
※参照元:https://www.giroj.or.jp/publication/outline_j/j_2017.pdf#view=fitV
後遺障害14級が認定される場合一覧
後遺障害14級が認定されるのは、以下の9種類の症状が残ったケースです。
14級1号 | 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの |
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14級2号 | 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
14級3号 | 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
14級4号 | 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの |
14級5号 | 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの |
14級6号 | 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの |
14級7号 | 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの |
14級8号 | 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
14級1号:1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
片眼を閉じた際に、まぶたが角膜を覆うことはできるものの、白目が露出している程度の欠損が残るか、またはまつげの生えている周りに、1/2以上のまつげのはげを残すもののことです。
14級2号:3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3本以上の歯が、欠けたり、なくなった場合に、入れ歯などの人工物で補ったもののことです。
14級3号:1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
片耳の聴力が、1メートル以上の距離では、40デシベル〜70デシベル未満の声を解することができない程度のもののことです。
14級4号:上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
腕や手の、他人から露出して見える場所に、手のひらの大きさの醜い瘢痕(皮膚面の腫れ物や傷などが治癒した後に残るもの)が生じたもののことです。
14級5号:下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
足の、他人から露出して見える場所に、手のひらの大きさの醜い瘢痕(皮膚面の腫れ物や傷などが治癒した後に残るもの)が生じたもののことです。
14級6号:1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
片手の、おや指以外の手指の指骨の一部を失っていることが、エックス線写真等により確認できるもののことです。
14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
片手の、おや指以外の手指の遠位指節間関節が強直したもの、屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって自動で屈伸ができないもの、またはこれに近い状態にあるもののことです。
14級8号:1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
片足の第3の足指以下の1または2の足指について、遠位指節間関節以上を失ったもの、または中足指節関節もしくは近位指節間関節の可動域が、健側の可動域角度の1/2に制限されるもののことです。
14級9号:局部に神経症状を残すもの
医学的に説明可能な神経系統、または精神の障害を残す所見があるもので、医学的に証明はされないものの、受傷時の態様や治療の経過から、症状に関する訴えの説明がつくもののことです。
例えば、医学的に説明できる、むち打ち症の疼痛・しびれがあるものの、CTやMRIなどの画像検査では異常がなく、自覚症状のみが残存する場合などが当てはまります。
14級9号は、14級のなかで最も認定件数が症状です。
後遺障害14級で認められる慰謝料とその他の賠償金
後遺障害14級が認定されると、どのくらいの賠償金が支払われるのでしょうか?
以下では、慰謝料とその他の賠償金に分けて解説します。
後遺障害14級の慰謝料
後遺障害慰謝料
後遺障害14級の認定を受けると、後遺障害慰謝料が支払われます。後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる精神的損害に対する賠償金で、後遺障害の等級が上がるほど高額になります。
後遺障害慰謝料には、自賠責基準、任意基準、弁護士基準の3つの基準がありますので、14級の場合のそれぞれの基準額について見てみましょう。
【自賠責基準(注1)】…32万円
【任意基準(注2)】…40万円
【弁護士基準(注3)】…110万円
注1:法律で定められた強制保険である、自賠責保険の基準です。
注2:自賠責保険でカバーしきれない損害額を支払う、任意保険会社の基準です。各社に内部基準があるようですが、公表されていないため、上記は推定金額です。
注3:弁護士が、任意保険会社との示談交渉や裁判において用いる基準です。
入通院慰謝料
交通事故で入通院をすると、後遺障害慰謝料とは別に、入通院慰謝料が支払われます。入通院慰謝料とは、交通事故によって怪我を負い、入通院したことによる精神的損害への賠償金です。
入通院慰謝料も、後遺障害慰謝料と同じく、自賠責基準、任意基準、弁護士基準の3つの基準があり、「弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準」の順に高額になります。
入通院慰謝料は、入通院期間が長くなればなるほど支払われる金額が高くなり、例えば、入院期間が1ヶ月、通院期間が6ヶ月だった場合、弁護士基準では149万円です(むち打ち症で他覚症状がない場合は、同じ入通院期間でも113万円です)。
特別な事情があれば慰謝料が増額されることも
当該事故に、加害者の故意もしくは重過失(酒酔い、ひき逃げ、無免許、著しいスピード違反、信号無視)があったなどの特別な事情(慰謝料増額事由)が存在し、示談交渉や裁判に弁護士が介入した場合には、慰謝料が増額されることがあります。
その他の賠償金
逸失利益
逸失利益とは、交通事故で後遺障害を負い労働能力を喪失することがなければ、将来得られるはずだった収入のことです。
労働能力をどれくらい失ったかは、労働能力喪失率という割合で表します。この労働能力喪失率は、後遺障害の等級によって異なり、14級の場合は5%とされています。
逸失利益は、事故時の収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、ライプニッツ係数(注4)を用いて算出します。
例えば、年収400万円で、労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間が5年(注5)だった場合、86万円となります。
注4:長期にわたって発生する賠償金を、前倒しでもらう際の利益を控除するための指数です。
注5:14級のなかで最も多い、神経症状による認定の場合(14級9号)、5年で計算するのが一般的です。
逸失利益以外のその他の賠償金
逸失利益以外のその他の賠償金として、以下の費用等が請求できます。
- 治療費
- 看護料
- 入院雑費
- 通院交通費
- 文書料
- 休業損害
- 器具や装具の費用
後遺障害14級で問題になりやすいポイント
むち打ち症が14級9号に該当するのか否か
冒頭でも触れましたが、交通事故による怪我で最も多いのは、むち打ち症です。むち打ち症が後遺障害として認定される場合の等級は、14級9号です(まれに12級13号と認定されることがあります(※))。
後遺障害14級で問題になりやすいのは、事故後の首・腰の疼痛やしびれといったむち打ち症の症状が、14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当するのか、それとも該当しない(非該当である)のかです。
同じむち打ち症の症状でも、医学的説明がつくものの場合は14級9号の認定をされ、医学的説明がつかないものの場合は、後遺障害等級認定はされず「非該当」となります。
むち打ち症でよくある神経系統の症状は、他人の眼には見えにくいため、医学的に説明するのは容易ではありません。したがって、むち打ち症が14級9号に該当するのか否かは、後遺障害14級で最も問題になりやすいのです。
(※)詳細は「後遺障害12級の慰謝料相場~認定基準と金額の相場」の記事をご覧ください。
/traffic-accident/article12263.html
むち打ち症が非該当になる場合とは
では、むち打ち症が「非該当」になるのには、何か基準があるのでしょうか?
結論から言えば、むち打ち症が「非該当」になる基準は公開されていません。
しかし、
- 事故状況と後遺障害との関連性がない
- 受傷時からの症状の一貫性がない
- 定期的な通院の実績がない
- 症状が重篤ではなない
- 症状改善可能性がある
といった場合に「非該当」になることが多いようです。
非該当にならないために、弁護士に相談を
逆に言えば、上記に注意を払って後遺障害等級認定を申請すれば、むち打ち症でも「非該当」にならず、14級9号認定を得られるはずです。
詳しくは後述しますが、後遺障害等級認定は基本的に書面審査のため、専門家である弁護士に相談し、上記に注意を払った資料をそろえて認定申請することをオススメします。
こうした診断名を持つむち打ち症には、有名なレントゲン以外にも「深部腱反射検査」、「スパーリングテスト」、「ジャクソンテスト」などの複数の検査方法があります。むち打ち症が後遺障害として認定されるよう、こうした検査を受けるのも一つの手です。
後遺障害14級の認定を受ける方法
事前認定と被害者請求
後遺障害等級認定は、自賠責保険が行っています。
自賠責保険から後遺障害14級の認定を受けるには、事前認定と被害者請求の2つの方法があります。
事前認定とは
事前認定とは、被害者が加害者の任意保険会社を通じて、自賠責保険から後遺障害等級認定を受ける方法です。
事前認定では、被害者は後遺障害診断書を取り付け、加害者の任意保険会社に預けるのみです。あとは加害者の任意保険会社が、この後遺障害診断書とこれまでの資料を自賠責保険に送付し、手続きを行ってくれますので、その意味では手軽かもしれません。
しかし、加害者の任意保険会社が、適正な等級認定を得られるよう書類の不備や検査の不足をチェックしてくれるケースは少ないため、事前認定では被害者に不利になる可能性が高いです。
被害者請求とは
被害者請求とは、被害者自身が、加害者の自賠責保険に対して、後遺障害等級認定を申請する方法です。
被害者本人が直接手続きをするため、手間が発生する一方で、後遺障害を立証できる有利な資料をそろえることができます。
適正な等級認定を受け、より高額な賠償金を得るには、事前認定よりも被害者請求がオススメです。
後遺障害等級認定は、弁護士に依頼しよう
後遺障害等級認定は、主に書面審査で行われます。したがって被害者請求においても、後遺障害14級の認定を得るために、後遺障害を立証できる診断書・レセプト・カルテ等の医療記録をそろえる必要があります。
それには、主治医に適切な内容で医療記録を作ってもらわねばなりません。しかし、医師のなかには、後遺障害等級認定に詳しくない方もいますし、そもそも認定申請に非協力的な方もいます。
その点、弁護士は、専門的な知識とノウハウを駆使し、医師に医療記録をどう書いてもらったらいいかアドバイスしてくれます。また、必要であれば医師面談に同席もしてくれ、さらには、信頼のおける医師を紹介してくれる場合もあります。
後遺障害等級認定のための被害者請求は、弁護士に依頼するとよいでしょう。
異議申立
事前認定や被害者請求で、後遺障害認定が「非該当」となった場合には、「異議申立」の制度を活用しましょう。後遺障害等級認定における「異議申立」とは、「非該当」もしくは認定された等級が低いことに対し、自賠責保険に再審査するよう申し立てる手続きです。
「異議申立」では、これまでの等級認定をくつがえせる新たな資料の提出が必要ですが、これは被害者請求以上に、素人には困難です。
けれども、交通事故を専門とする弁護士は、「異議申立」においても、豊富な知識で被害者をサポートしてくれます。被害者請求と同様、「異議申立」も、弁護士への相談がベストです。
後遺障害14級でなるべく高額な賠償金を獲得したいなら、弁護士に相談しよう!
後遺障害14級に相当する後遺症があっても、後遺障害等級認定で14級認定を得られなければ、後遺障害慰謝料や逸失利益は受け取れません。
これらを受け取るためには、交通事故を専門とする弁護士の手を借りて、きちんと14級認定を受けられるようにすることが重要です。
弁護士に依頼した場合のもう一つのメリットは、示談交渉や裁判をする際に、自賠責基準や任意保険基準よりも高額な、弁護士基準で賠償金を得られるということです。これは、被害者本人だけで示談交渉・裁判する場合にはできません。
もし後遺障害14級についてお悩みの場合には、有利な解決に向けて、交通事故に特化した弁護士に相談してみましょう!
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
- 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
- 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
- 適正な後遺障害認定を受けたい
- 交通事故の加害者が許せない