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交通事故の責任割合(過失割合)の算定、保険会社任せは危険!

この記事で分かること

  • 過失割合は保険会社と被害者の協議によって決まります。
  • 保険会社に任せると不当な過失割合を算出され、被害者が損をすることがあります。
  • 保険会社の提示した過失割合に納得いかない場合弁護士に依頼するのが得策です。

交通事故における過失割合は、保険会社と被害者が協議をして決めます。保険会社に任せると不当な過失割合を算出されることがあるので注意。交通事故示談で有利に立つには事前準備や法的知識を身に着けておくことと、交通ルールを守ることが大切です。

交通事故における責任割合とは

「責任割合」の言葉をご存知でしょうか。多くの方にとって耳慣れない言葉でしょう。そこでまずは「責任割合」とは何なのか、よく見聞きする「過失割合」とはどう違うのかなど責任割合について基本的なところを解説していきます。

責任割合と過失割合の違い

交通事故における「責任割合」とは過失割合と同義で、トラブルの解決に際して主に損害保険業界内部で用いられます。責任割合を算定する場合は、運転者や歩行者などが、要求される注意義務、つまり責任を果たしているかが考慮されます。

交通事故トラブルにおいては過失割合が非常に重要

過失割合とは読んで字のごとく過失の割合を数値化したものです。そして交通事故トラブルにおいては加害者・被害者双方にとって、過失割合が極めて重要になります。

なぜなら事故により発生するほとんどの賠償金はその額が過失割合の大きさによって決定されるからです。当然被害者の過失が大きいと判断されれば受け取れる賠償額も少なくなります。

過失割合はどのように決められるのか

過失割合は誰がどのように決定するのでしょうか。
過失割合は保険会社と被害者の協議で決定されます。交渉がまとまらなかった場合は最終的には裁判で決定されることとなります。

過失相殺される

実際に過失割合を決める際は、双方の過失は相殺されます。

交通事故の状況は多岐に渡るとは言え、ある程度類型化することが可能です。そこで、基本となる過失割合(基本過失)は類型化されたケースごとに過去の判例から決定します。
被害者にも過失がある場合は、その分請求できる賠償額が減ります。(民法722条)。つまり、被害者に何らかの過失があった場合、その分を損害額から差し引くことで当事者間の公平性を保つわけです。これが過失相殺の考え方です。

ワンポイントアドバイス
交通事故の状況はすべて異なるので実務上は、その事故特有の要素を考慮して過失割合を算定しなければなりません。この、事故特有の要素を「修正要素」と言い、一方にとって過失割合が増える要素を“加算要素”、減る要素を“減算要素”と言います。

交通事故の責任割合(過失割合)の算定を保険会社に任せると危険

過失割合は、被害者と損保会社の協議によって決定しますが、その算定を保険会社に任せっぱなしにすると被害者が損をする可能性があります。

受け取れる保険金の額が減る

交通事故において、被害者への賠償金や慰謝料の支払いをするのは言わずもがな相手方の保険会社です。お金を出す側の保険会社は当然支払額を抑えようとします。

保険会社は被害者の味方ではない

賠償金額は過失割合の大きさによって決まります。つまり被害者側の過失が大きければ大きいほど、額は小さくなります。
“保険業はビジネス”です。慈善事業でもなければ被害者の味方でもありません。
従って保険会社は少しでも保険金の支払額を抑えようとします。すると、どうしても保険会社の出す過失割合は“加害者寄り”になり、被害者の過失が不当に大きくなってしまうケースが発生します。

保険会社は被害者の過失を主張してくる

加害者が自らの過失を認めている場合は良いのですが、そうしたケースばかりではありません。

例えば明らかに相手側の過失が大きいと思われるような事件においても、保険会社任せにしていると理不尽な理由で被害者側の過失が増やされるケースはよくあります。

また、こちらと相手の保険会社が同一会社の場合、過失割合の行方は会社の損益に影響しないことになります。それゆえこの場合、おざなりな対応をされることが少なくないのです。

ケースに即した正当な過失割合を出ないことも

過失割合の算定を保険会社任せにすることのリスクとして、法律のプロではない保険会社は正当な過失割合を出す能力がない点も挙げられます。

交通事故の状況はすべて異なる

過失割合は過去の裁判例を参考に算出されるものです。

しかしながら交通事故は一見同じようでも状況はすべて違い、完全に一致することはありません。とすれば、判例にない微妙なケースが出てくる可能性は十分にあります。

ワンポイントアドバイス
専門家であれば豊富な知識と経験をもってして柔軟に対応・判断し、当該事故に即した適切な過失割合をはじき出すことが可能ですが、保険会社は法律の専門家ではなく、正当な過失割合を出せないこともあり得ます。

交通事故の過失割合(責任割合)に不服がある場合は

このように保険会社に任せると不当な過失割合を算定され、被害者が損をすることがあります。では保険会社が出してきた過失割合に不満がある場合は、どういった対応が可能なのでしょうか。ここでは保険会社が出した過失割合に納得がいかない場合どうすべきなのか、その対処法を解説していきます。

自分でできる対応は

「保険会社と粘って交渉したけれど、最終的に出された過失割合に今一つ納得いかない…。」交通事故示談ではこのようなケースは山ほどあります。

こうした場合、泣き寝入りになりがちですが、諦める必要はありません。まずは、自分でできる対応やポイントについて見ていきましょう。

保険会社の提示した過失割合に合意しない

まず重要になるのが保険会社の出してきた過失割合に、安易に合意しないことです。交通事故などそうそう経験するものではありませんので、多くの人が過失割合については素人です。そのため保険会社に簡単に言いくるめられてしまう可能性があります。

しかし保険会社の提示する過失割合を前提に話を進めてしまうと、後からそれを覆すのは難しいと言えます。

過失割合を自分で調べる

保険会社の提示してきた過失割合に納得いかない場合は、自分で調べ、妥当な過失割合であるかチェックしましょう。

交通事故の過失割合は法律雑誌、「別冊判例タイムズ」で調べることができます。他にも日本弁護士連合会交通事故センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」通称“赤い本” は地裁の実務に基づいた賠償額の基準を記した本ですが、参考になる判例が掲載されています。

加えて同センター本部が発行する「交通事故損害額算定基準」通称“青い本”も参照するとよいでしょう。内容は赤い本とほぼ同じです。 

弁護士に依頼するのが得策

とは言え、被害者過失割合は非常に多岐に渡る、それも専門的な要素を勘案して算定されるものです。素人が上記の書籍で調べても分からない場合があるでしょう。ですから最終的には弁護士に依頼するのが得策です。

弁護士なら適切な過失割合で慰謝料額も引き上げられる

過失割合が不当だと思ったら調停やADRを利用し合意を図るのも手ですが、調停やADRの担当者はあくまでも中立的な立場です。よって被害者有利に事が進むとは限りません。

対して弁護士は依頼側の立場での決着を目指してくれますし、豊富な経験と確かな知識で、正当な過失割合を算出することができます。

一般に損害賠償の支払い基準には「自賠責保険基準」と「弁護士基準(裁判基準)」「任意保険基準」が存在し、その額は通常、自賠責基準>任意保険基準>弁護士基準です。

弁護士基準で支払いを受けた場合が最も高額となるのですが、ケースによっては自賠責基準との差が実に100万円近く開くこともあります。

ワンポイントアドバイス
交通事故で後遺障害が残った場合に「後遺障害等級認定」を得られれば、請求できる賠償額も大幅に引き上げ可能です。ところが最も低い14級でさえなかなか認定を獲得できないのが実際です。その点弁護士に依頼すれば後遺障害等級認定を得るためのサポートを受けられる場合もあり、後遺障害等級認定を獲得しやすくなると言えます。

交通事故の過失割合(責任割合)について知っておきたいこと

ここ次に過失割合の算定交渉において有利に立つためのポイントを紹介します。

事故状況の記録・証拠の確保をする

交通事故においては証拠が極めて重要になります。
特に目撃者がいない場合、事故状況を証明してくれるものがありません。ですから例えば事故後に、道路標識の位置と言った現場の状況を確認し写真に撮るなどして記録し、被害者自身が証拠として持っておくことが大切です。

なお時間が経つとブレーキ痕などは薄れてしまうことがあるので、こうした証拠の確保はなるべく事故後早いタイミングで行うようにしましょう。

加えてドライブレコーダーも有用です。ドライブレコーダーの映像には証拠能力があり、裁判までもつれ込んだ場合でも証拠になり得ます。

近年はいろいろなタイプのものが出ていますが、数万円の出費でいざという時に役立つなら装着しない手はないでしょう。

法的知識を身に着けておく

前述の通り、こちらが完全な素人だと過失割合や賠償金その他の交渉で保険会社にまるめ込まれてしまうリスクがあります。

もちろん専門家レベルの細かな知識まで身に着ける必要はありませんが、過失割合の基本の考え方や代表的な修正要素など、基本的なところを押さえておくだけで随分と違ってきます。

交通事故の過失割合についてある程度、学んでおくことが大切です。

交通ルールを守る

そして何より肝心なのは、普段から交通ルールを順守することです。

交通ルールを守ることはすなわち加算要素を作らないことです。事故の際交通ルールを守っていれば、過失割合が大きくなることはありません。

飲酒運転や速度超過はもちろんのこと、“ながら”運転やわき見運転も加算要素になります。

前左右方向の確認を怠らない、一時停止や優先道路の規制をきちんと守るなど常に初心を忘れない安全運転を心がけることが重要です。

ワンポイントアドバイス
交通事故示談で有利に立つには事前準備や法的知識を身に着けておくこと、交通ルールを守ることが大切です。

交通事故の責任割合で困ったら弁護士に相談

“交通事故の示談は下手に素人が干渉するより保険会社に一任するのが得策”とする意見もあります。しかし、すべてを保険会社任せにすると、被害者が損を被る場合があります。自分でもある程度の知識を身に着けることや、法律のプロである弁護士に依頼することが得策です。

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