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主婦(主夫)の休業損害|請求できる根拠と計算方法

主婦(主夫)の休業損害|請求できる根拠と計算方法

この記事で分かること

  • 専業主婦(主夫)でも休業損害を請求できる根拠
  • 家事従事者として認められる仕組み
  • 賃金センサスを使った休業損害の計算方法
  • 兼業主婦(主夫)の場合の有利な計算
  • 後遺障害が残った場合の逸失利益など

専業主婦(主夫)は収入がなくても、家事労働の損害として休業損害を請求できます。計算は賃金センサスをもとに行い、兼業の場合は実収入と比較して有利なほうで算定します。後遺障害が残れば逸失利益も対象に。本記事では請求の根拠・計算方法・兼業の扱い・トラブル対処を弁護士目線で解説します。

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家事をしている人も休業損害を請求できる

「収入がないのだから、休業損害は出ませんよ」。相手方の保険会社からそう言われて、そのまま引き下がってしまう方がいます。これは正しくありません。家事に従事している方も、休業損害を請求できます。

専業でも兼業でも変わりません。男性でも同じです。年齢による線引きもありません。重要なのは、その人が実際に家族のために家事を担っていたかどうかです。

想像してみてください。買い物の帰りに車に接触され、手首を骨折した。炊事も洗濯も満足にできず、家族に頼りきりの日が続く。パートは休職扱い。それでも提示された賠償額には、休業損害の欄がない。あるいは、ごくわずかな金額しか計上されていない。

家事は、対価が発生しない労働です。だからこそ、失われても数字に表れません。表れないものを損害として示すには、こちらから働きかける必要があります。黙っていて計上されることは、まずありません。

しかも、この費目は金額として無視できない規模になります。通院が数か月に及べば、それだけで相当な額です。入院を伴う事案であれば、なおさらでしょう。「主婦だから出ないもの」と思い込んだまま示談してしまうと、その分がまるごと失われます。

この記事では、家事労働が損害として評価される理由、基礎になる金額の考え方、休んだ日数をどう数えるか、そして家事への支障をどう示すかまでを説明します。相手方から否定されたときの返し方も、あわせてお伝えします。

休業損害の全体像、とくに休業損害証明書の扱いや、給与所得者の場合の計算については、総論の記事にまとめてあります。あわせてご覧ください。

なぜ家事労働が損害として評価されるのか

給与が発生していないのに、なぜ損害になるのでしょうか。理屈を知っておくと、交渉のときに迷いません。

お金を払えば他人に頼める仕事だから

炊事、洗濯、掃除、買い物、育児、介護。これらはすべて、対価を払えば他人に依頼できる作業です。実際に家事代行を頼めば費用がかかります。つまり、家事労働には経済的な価値があるということです。

その価値のある労働を、事故のせいで提供できなくなった。これは、働けなくなって給与が減ったのと同じ構造の損害だと考えられています。現金のやり取りがないだけで、失われたものは同じだという整理です。

この考え方は、裁判所の判断として積み重ねられてきたものです。目新しい主張でも、特別な事情がある場合の例外でもありません。相手方の担当者が知らないということは、まずないと考えてよいでしょう。

それでも低い提示が出てくるのは、支払う側の基準に沿って処理しているからです。知らないのではなく、その基準で計算しているだけ。ここを理解しておくと、感情的にならずに済みます。

家事従事者として扱われる

賠償の実務では、こうした立場の方を家事従事者と呼びます。専業主婦や主夫に限りません。仕事を持ちながら家事も担っている方、家族の介護をしている方、同居する親族のために家事をしている方も含まれます。

逆に、一人暮らしで自分のためだけに家事をしている場合は、対象外とされるのが通常です。他人のために提供している労働ではないためです。

ここでいう家族は、配偶者や子どもに限りません。同居している親のために家事をしている、孫の世話をしている。こうした形も含まれます。誰かのために継続して担っていたかどうかが、判断の軸になります。

ワンポイントアドバイス
「主婦だから出ない」と言われたら、その根拠を尋ねてください。家事従事者の休業損害は実務上確立しています。担当者の説明が制度の理解に基づいていないこともあります。

基礎になる金額はどう決まるのか

給与明細がない以上、別の物差しが要ります。ここで使われるのが、賃金に関する統計です。

給与所得者であれば、事故前三か月の給与から日額を出します。家事従事者にはその資料がないため、代わりに社会全体の平均的な賃金を当てはめる、という発想です。

この方法には、実際の家事の量を反映しないという弱点もあります。負担の大きい家庭も、そうでない家庭も、同じ物差しが当たるためです。そのぶん、休業日数の評価で実態を反映させることになります。

統計上の平均賃金を基礎にする

国が毎年公表している賃金の統計から、女性労働者の平均的な年収にあたる額を取り、それを一年の日数で割って日額を求めます。男性が家事従事者である場合も、同じ統計の女性平均を用いるのが一般的な扱いです。

統計の数値は毎年更新されますので、どの年のものを使うかで多少の差が出ます。通常は、症状固定の時点や事故の時点で最新の統計を用いる形になります。

具体的な金額は年によって動きますので、ここでは示しません。相談の際に、その時点の統計に当てはめた数字を出してもらうのが確実です。

この扱いに違和感を覚える方もいるでしょう。家事労働の評価という性質上、性別ではなく家事従事者という立場に対して一律の物差しを当てる、という考え方によるものです。

保険会社の基準との差

相手方の保険会社は、自社の基準で低めの日額を提示してくることがあります。自賠責の枠内で用いられる定額を当てはめてくる場合もあります。

統計を基礎とする考え方は、裁判で用いられる算定の枠組みです。提示された日額がどの根拠によるものかを確かめてください。根拠が示されないまま金額だけが提示されているなら、そこに検討の余地があります。

差が生まれるのは、物差しが違うからです。相手方が誤った計算をしているというより、支払う側の基準を当てはめているというだけのことです。だからこそ、こちらから別の物差しを示す意味があります。

示すといっても、難しい書面が要るわけではありません。どの基準で計算した金額かを尋ね、統計を基礎にした場合との差を示せば足ります。この一往復で提示が動くこともあります。

立場ごとの基礎収入の取り方

立場 基礎にする額
専業で家事に従事 賃金に関する統計の平均額
兼業(統計額より収入が低い) 統計の平均額
兼業(統計額より収入が高い) 実際の収入
家族のために家事をしていない 原則として対象外

慰謝料の金額がどう決まるのかとあわせて見ておくと、提示書の全体像をつかみやすくなります。

休業日数の数え方

家事には出勤簿がありません。ここが、給与所得者との最大の違いです。

勤務先が発行する証明書もありません。何日休んだのかを客観的に示す資料が、そもそも存在しないのです。この不利をどう埋めるかが、家事従事者の請求における最大の課題になります。

埋める材料になるのが、医学的な記録と、生活の実態を示す情報です。この二つを積み上げるほど、主張の輪郭がはっきりします。逆に、どちらも乏しければ、相手方の見立てがそのまま通ってしまいます。

全部できなかった日と、一部できなかった日

入院していた期間は、家事がまったくできなかった期間として扱われます。問題は、退院後や通院中の期間です。まったくできないわけではないが、以前と同じようにはできない。この状態をどう評価するかが焦点になります。

実務では、回復の度合いに応じて割合で評価する考え方が採られます。事故の直後は支障が大きく、時間の経過とともに減っていく。この推移を段階的に見積もる形です。

たとえば、退院直後はほとんどできず、一か月後には半分ほどできるようになり、三か月後にはほぼ元どおりになった。このような経過であれば、それぞれの期間について異なる割合で評価する、という組み立てになります。

区切り方に決まった型があるわけではありません。症状の推移、通院の頻度、医師の記載。これらを踏まえて、実態に近い形を組み立てることになります。

通院した日だけではない

「通院した日数だけが休業日です」と説明されることがあります。これは、家事の実態に合いません。通院しない日でも、痛みで家事ができなければ支障は生じています。

通院の頻度は、あくまで一つの目安です。症状の程度、家事のどの部分に支障が出たか、家族がどれだけ肩代わりしたか。こうした事情を踏まえて判断されるべきものです。

とはいえ、通院の頻度が極端に少ないと、症状が軽かったと受け取られやすくなります。医師の指示に沿って、必要な通院は続けてください。痛みがあるのに我慢して通わないのは、結果として不利に働きます。

家事や育児に追われて通院の時間が取れない、という事情もあるでしょう。その場合は、通えない理由を医師に伝えて記録に残してもらってください。理由のある中断と、症状が治まったための中断とでは、意味が違います。

兼業の場合はどう扱われるか

パートやアルバイトをしながら家事も担っている。この形が、いま最も多いかもしれません。

高いほうを基礎にする

実際の収入と、統計上の平均額を比べて、高いほうを基礎とする考え方が採られます。両方を足し合わせるわけではありません。二重の評価になってしまうためです。

フルタイムで働きながら家事も担っている場合は、実際の収入のほうが高くなることが多いでしょう。この場合は給与を基礎に算定されますが、家事への支障が別途考慮される余地がないわけではありません。

たとえば、勤務は続けられたが家事はできなかった、という場合です。給与が減っていなくても、家事労働は失われています。事情を伝えたうえで、扱いを確かめてみてください。

パート収入が統計上の平均を下回っているなら、統計のほうを基礎にできます。「パート代しかもらっていないのだから、その額が上限だ」という説明は、そのまま受け入れなくてよいということです。

提示が低くなりやすい理由

兼業の方の場合、相手方は実際の給与額だけを見て計算しがちです。勤務先から休業損害証明書が出ていると、その数字だけで話が進みやすいのです。

家事にも従事していることを、こちらから伝えてください。伝えなければ、家事の部分は検討の対象にすら入りません。

伝え方に工夫は要りません。「パートに出ていますが、家族の家事も担っています」と一言添えれば足ります。そのうえで、家族構成と日ごろの家事の内容を示してください。

家事への支障をどう示すか

ここが実務上の要点です。目に見えにくい損害だからこそ、示し方が結果を左右します。

家族構成と生活の実態

誰のために、どんな家事をしていたのか。同居している家族の人数と年齢、食事の支度の回数、幼い子どもがいるか、介護が必要な家族がいるか。こうした事情が、家事労働の規模を示します。

住民票や、家族の状況が分かる資料が裏づけになります。日ごろの分担についても、説明できるよう整理しておいてください。

とくに、幼い子どもや介護が必要な家族がいる場合は、その事実を早めに伝えておくべきです。家事の規模が大きいほど、失われた労働の量も大きくなります。

家族が同居していない時間帯に何をしていたか、といった細かい点まで説明する必要はありません。日々の炊事、洗濯、掃除、送迎。基本的な項目を挙げられれば十分です。

できなくなったことを具体的に書き出す

「家事ができなかった」では伝わりません。どの動作ができなかったのかを具体化してください。

  • 鍋を持ち上げられず、調理を家族に代わってもらった
  • 腕が上がらず、洗濯物を干せなかった
  • しゃがめず、風呂や床の掃除ができなかった
  • 重い物を持てず、買い物に付き添ってもらった
  • 子どもの送迎ができず、家族や親族に頼んだ

日記のような形で残しておくと、後から思い出す手間が省けます。日付と、できなかったことを一行書くだけで十分です。

家族に代わってもらった作業を書き添えておくと、なお具体的になります。誰が、何を、どれくらいの期間肩代わりしたのか。この情報が、支障の大きさを裏づけます。

外部のサービスを利用した場合は、領収書を保管しておいてください。家事代行、配食、一時預かり。実際にかかった費用は、それ自体が損害として請求できる場合があります。

医師に伝えることの意味

診察のときに、家事のどこに支障が出ているかを具体的に伝えてください。カルテに記載が残れば、それが客観的な裏づけになります。

「痛みます」とだけ伝えていると、生活への影響までは記録に残りません。伝えなければ書かれない、という点は押さえておいてください。

医師は治療の専門家であって、賠償の手続きを前提に記録しているわけではありません。何を書き残してほしいのかは、こちらから伝える必要があります。遠慮する場面ではありません。

伝えるのは、症状そのものだけで足ります。賠償のために書いてほしい、と頼む必要はありません。日常生活のどこに支障が出ているかを話せば、必要な記載は自然に残ります。

対象にならない場合もある

誰でも認められるわけではありません。線引きを知っておくと、無用な期待も落胆も避けられます。

一人暮らしの場合

自分のためだけに家事をしている場合は、対象外とされるのが通常です。家事従事者として評価されるのは、他人のために提供している労働だからです。

ただし、単身赴任などで一時的に離れているものの、家族のために定期的に家事を担っているといった事情があれば、判断が変わる余地はあります。

また、事故の時点では一人暮らしだったが、家族の家に通って家事や介護を担っていた、という場合もあります。同居しているかどうかだけで機械的に決まるものではありません。

家事の実態がない場合

同居はしているが、家事は他の家族が担っていた。このような場合は、支障が生じたとは言いにくくなります。形式的に主婦という肩書があるかどうかではなく、実際に担っていたかどうかで判断されます。

もっとも、まったく家事をしていなかったという状況は、実際にはそう多くありません。分担の割合が小さかったという程度であれば、その範囲で評価される余地があります。

判断に迷う場合は、自己申告で線を引かず、実態をそのまま伝えてください。誇張する必要も、遠慮する必要もありません。

実態をそのまま示すのが、結局いちばん強い主張になります。作り込んだ説明より、日々の記録のほうが説得力を持ちます。

ケガの程度が軽い場合

数日で治った擦り傷程度であれば、家事への支障も限定的です。この場合、金額としてはわずかにとどまります。

ただし、金額が小さいからといって請求しない理由にはなりません。提示書に計上されていなければ、指摘すること自体に手間はかかりません。

金額の大小より、計上されているかどうかを確かめることが大切です。抜けている費目があること自体が、その提示の精度を示しています。

ひとつ抜けているなら、ほかにも抜けている可能性があります。通院交通費や、付き添いに要した費用もあわせて確かめてください。

補足
対象外に見える事情があっても、自己判断で請求をあきらめないでください。生活の実態は人によって違います。まず事情を伝え、判断してもらってから決めるほうが確実です。

相手方に言われがちなことと、その返し方

相談の場でよく聞く四つを挙げます。

「収入がないので損害はありません」

家事労働には経済的な価値があるとされ、現金のやり取りがないことは理由になりません。家事従事者の休業損害は実務上確立した扱いです。根拠を示して請求してください。

この説明を受けたときは、家事従事者としての休業損害を請求する旨を、あらためて文書やメールで伝えておくとよいでしょう。記録に残る形にしておくと、後の交渉で使えます。

電話でのやり取りだけだと、言った言わないになりがちです。重要な主張は、短くても文字で残しておいてください。

返答の期限を添えておくと、なお動きやすくなります。いつまでに回答がほしいのかを明示してください。

「通院した日数分だけです」

通院の有無と、家事ができたかどうかは別の問題です。通院しない日でも支障は生じます。症状の経過と、実際にできなかったことを示して求めてください。

入院していた期間については、争いになることはまずありません。問題は退院後の期間ですから、そこに絞って主張を組み立ててください。

退院後の期間は、症状の経過と生活の実態で判断されます。記録が残っていれば、そのまま主張の根拠になります。

「パート代の範囲でしか出せません」

兼業の場合、実際の収入と統計上の額を比べ、高いほうを基礎とする考え方があります。給与額が上限になるという説明は、当然の前提ではありません。

勤務先から証明書が出ていると、その数字が一人歩きしがちです。証明書はあくまで給与の実績を示すもので、家事労働の評価とは別だと整理してください。

「男性は対象外です」

性別による区別はありません。家事を担っている事実があれば、男性でも家事従事者として扱われます。

共働きで家事を分担している家庭も、単身で子どもを育てている家庭も同じです。家事を誰が担っていたかという事実だけが問われます。

いずれの場面でも、その場で返事をしないことが大切です。「確認してから回答します」と伝えれば足ります。

後遺症が残った場合に続く損害

休業損害は、症状固定の日までの損害です。それ以降も家事に支障が残るなら、別の費目で扱われます。

将来の家事労働への影響

後遺障害の等級が認定されれば、将来にわたって働く力が失われた分として、逸失利益を請求できます。家事従事者の場合も、統計上の平均賃金を基礎に算定されます。収入がないから対象外、ということにはなりません。

認定されるかどうかは、書面審査で決まります。必要な検査を受けているか、症状の経過がカルテに残っているか。ここが結論を左右します。

家事従事者の場合、就労に支障が出ているかどうかを勤務先の記録で示せません。そのぶん、医学的な資料の重みが増します。必要な検査を受けているかを、症状固定の前に確かめておいてください。

症状固定の後では、記録を足すことができません。作成された診断書の記載を後から変えるのも簡単ではありませんので、逆算して動く意識が要ります。

どの検査が必要かは、症状の部位や性質によって変わります。判断がつかないようなら、症状固定を打診された段階で一度相談してみてください。

慰謝料も別に生じる

後遺障害が認定されると、通院に対する慰謝料とは別に、後遺障害の慰謝料が発生します。これも家事従事者かどうかで変わるものではありません。

提示書に、休業損害、通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益がそれぞれ計上されているかを確かめてください。抜けていても、相手方から足してくれることはありません。

費目ごとに根拠が違いますので、一つずつ確認してください。総額だけを見て判断すると、どこが足りないのかが分かりません。

年齢や立場による個別の論点

家事従事者といっても、置かれた状況はさまざまです。

高齢の方

年金を受け取りながら家事を担っている場合も、家事従事者として認められます。ただし、年齢に応じて基礎となる額が調整されることがあります。実際にどれだけの家事を担っていたかを示すことが、より重要になります。

「もう年だから家事もしていないだろう」という前提で低く見積もられることがあります。実際に毎日炊事をしていたのであれば、その事実を具体的に伝えてください。

育児中の方

幼い子どもがいる場合、家事の負担は大きくなります。送迎、食事の支度、入浴の介助。できなくなった作業を具体的に示せば、支障の大きさが伝わります。

保育所や一時預かりを利用せざるを得なかった場合、その費用も損害として検討の対象になります。利用した記録は手元に取っておきましょう。

介護をしている方

家族の介護を担っていた場合も、家事従事者に含まれます。介護が止まったことで外部のサービスを利用したなら、その費用も損害として検討の対象になります。

介護を家族が交代で担った場合も、同じ考え方が当てはまります。誰がどれだけ負担したのかを記録しておいてください。

介護を受けている方の状態が悪化した場合には、その事情も伝えておくべきです。家事従事者が倒れたことの影響は、家庭全体に及びます。

仕事を辞めた方、休職した方

事故の前に退職していたが家事は担っていた、という場合も対象になります。逆に、事故のために勤務先を辞めざるを得なくなった場合は、また別の論点が生じます。

退職と事故のつながりをどう示すか、退職後の収入減をどこまで請求できるか。家事従事者としての請求とは切り分けて検討することになります。

請求の進め方

実際に請求するときの流れを、順に見ておきます。

  1. 家族構成と、日ごろ担っていた家事の内容を整理する
  2. 事故後にできなかったことを、日付とあわせて記録する
  3. 診察のたびに、家事への支障を医師へ具体的に伝える
  4. 兼業なら、勤務先に休業損害証明書を作成してもらう
  5. 相手方に、家事従事者としての休業損害を請求する旨を伝える
  6. 提示された日額と日数の根拠を確認し、開きがあれば求める

五番目を飛ばさないでください。伝えなければ、検討されません。兼業の方は、給与の分だけで処理されてしまいがちです。

六番目の確認も欠かせません。一日あたりいくらと見て、何日分を認めたのか。この二点に分けて尋ねれば、開きの所在がすぐに分かります。

治療費の支払いが打ち切られた場合でも、通院を続ける方法はあります。健康保険を使えば、窓口での負担を抑えられます。

金額が大きくなりやすい場面

家事従事者の休業損害は、条件によっては相当な額になります。次のような場合は、特に確認する価値があります。

  • 入院が長期に及んだ
  • 骨折など、日常動作に支障が出るケガを負った
  • 幼い子どもや介護が必要な家族がいる
  • 通院期間が数か月を超えている
  • 後遺障害の等級が認定される見込みがある

逆に、通院が数回で終わったような場合は、金額も限られます。事案の規模を見たうえで、どこまで手間をかけるかを判断してください。

判断に迷うなら、無料の相談を使って見通しだけ聞いてみるという進め方もあります。弁護士費用特約が使えるなら、費用を気にせず任せられます。

通院の実態が金額を決めるという点は、他の費目と同じです。

よくある質問

専業主婦ですが、本当に請求できますか

できます。家事も対価を払って他人に頼める労働である以上、失われれば損害になるという整理です。収入がないことは、請求を妨げる理由になりません。

男性が家事を担っている場合はどうですか

同じく認められます。性別による区別はありません。家事を実際に担っていた事実を示せば足ります。

パートをしています。どちらで計算されますか

実際の収入と統計上の額を比べ、高いほうを基礎とする考え方が採られます。両方を合算するわけではありません。パート収入が少ない場合は、統計のほうが基礎になります。

家事ができなかったことを、どう証明すればよいですか

できなかった作業を具体的に書き出し、日付とあわせて記録してください。あわせて、診察のたびに家事への支障を医師に伝え、カルテに残してもらうことが有効です。

家族が手伝ってくれました。その分は減りますか

家族が肩代わりしたからといって、損害がなかったことにはなりません。本来その方が担っていた労働が失われた点に変わりはないためです。

一人暮らしですが対象になりますか

自分のためだけの家事は、原則として対象外とされています。もっとも、別居している家族のもとへ通って家事や介護を担っていたのであれば、結論は変わりえます。生活の実態を伝えたうえで判断してもらってください。

高齢でも認められますか

認められます。年金を受け取っていても、家事を担っていれば家事従事者です。年齢に応じて基礎となる額が調整されることはありますので、実際の家事の内容を具体的に示してください。

入院中は家族が家事をしてくれました。請求できますか

できます。家族が肩代わりしたかどうかは、損害の有無とは別の問題です。入院期間は家事がまったくできなかった期間として扱われるのが通常で、この部分が争いになることはほとんどありません。

争点になりやすいのは、退院してからの期間です。どの家事にどれだけ支障が残っていたのかを、記録で示せるようにしておいてください。

提示書に休業損害の欄がありません

計上されていないだけで、請求できないという意味ではありません。家事従事者としての休業損害を請求する旨を伝え、家族構成と日ごろ担っていた家事の内容を示してください。伝えなければ検討されない費目です。

提示を受けた後でも間に合います。示談書に署名していなければ、追加を求めて交渉をやり直せます。

逆に、署名して合意が成立してしまうと、後から持ち出すのは難しくなります。提示書が届いたら、署名の前に費目の抜けを確かめてください。

後遺障害が残ったら、逸失利益も請求できますか

できます。等級が認定されれば、統計上の平均賃金を基礎に算定されます。収入の有無は関係しません。等級の認定に向けて、検査と記録を整えておくことが大切です。

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