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弁護士費用は「いつ、何に対して」発生するのか
交通事故で弁護士に依頼したい。けれど費用が分からないから踏み切れない。この相談を、本当によく受けます。金額の目安が示されていない状態で契約するのは、たしかに不安なものです。
ただ、ここには一つ誤解があります。弁護士費用は「総額いくら」という定価があるものではなく、いくつかの費目が、それぞれ違うタイミングで発生する仕組みになっています。ですから、知るべきなのは金額そのものより、どの費目が、いつ、何を基準に発生するのかという構造です。構造さえ分かれば、見積もりを受け取ったときに中身を判断できます。
かつては弁護士会が報酬の基準を定めていましたが、その基準は廃止され、いまは各事務所が自由に料金を決められることになっています。だからこそ事務所ごとに差が出るのですし、依頼する側が中身を確かめる必要があるのです。金額の高い低いだけでなく、何に対して払うのかを見る目が要ります。
とはいえ、まったく無秩序というわけでもありません。交通事故の被害者側の依頼については、着手金を抑えて成功報酬に寄せるという形が広く定着しています。事務所ごとの違いは、その中の細部に現れます。細部を読み取れれば、比較はそれほど難しくありません。
想像してみてください。二つの事務所から説明を受けたとします。片方は着手時の負担が軽く、解決後の割合が高い。もう片方は着手時に一定の負担があり、解決後の割合は低い。どちらが得かは、この説明だけでは判断できません。結果としていくら受け取れそうかという見込みと組み合わせて、初めて比べられます。
もう一つ、費用の話には前提があります。弁護士費用特約が使えるかどうかです。使えるのであれば、これから説明する費用の多くは保険から支払われますので、比較の作業そのものが不要になります。まずはご自身と家族の保険を確認してから、この先を読み進めてください。
この記事では、費用の四つの区分、着手金が無料になる仕組み、報酬の決まり方、そして最も気になる費用倒れの見極め方までを順に説明します。契約書に署名する前に確認すべき項目も、最後にまとめました。
なお、金額の相場をここで具体的に示すことはしていません。事務所ごとの差が大きく、事案の内容によっても変わるため、数字を挙げると、かえって判断を誤らせるおそれがあるからです。示すべきは金額の目安ではなく、見積もりを正しく読むための視点だと考えています。
弁護士費用は四つに分かれる
交通事故の依頼で発生しうる費用は、おおむね次の四つに整理できます。
| 費目 | 発生する時期 | 性質 |
|---|---|---|
| 相談料 | 相談したとき | 時間制が一般的。初回を無料としている事務所が多い |
| 着手金 | 依頼したとき | 結果にかかわらず発生。無料としている事務所もある |
| 報酬金 | 解決したとき | 得られた結果に応じて決まる |
| 実費・日当 | 手続きの過程で | 記録の取り寄せ、郵送、裁判所への納付、遠方への出張など |
相談料
相談だけで終わる場合に発生する費用です。交通事故の分野では、被害者側の初回相談を無料としている事務所が多くみられます。ただし、加害者側の相談や、物損だけの相談は無料の対象外としている事務所もありますから、予約の際に確認しておくと安心です。
相談料が有料の事務所であっても、時間制で区切られているのが通常です。長く話し込めば際限なく積み上がる、という設計にはなっていません。有料であることをためらう必要はなく、むしろ相談の中身で判断すべきところです。
相談料の有無と、その後の対応の質は別の話です。無料だから雑ということもなければ、有料だから丁寧ということもありません。判断すべきは、こちらの状況を踏まえた具体的な助言が返ってくるかどうかです。
無料の範囲がどこまでかも、事務所によって差があります。事情を聞いて見通しを説明するところまでは無料でも、資料を精査して書面にまとめる作業に入れば、正式な依頼として扱われます。
境目が分かりにくいと感じたら、「ここから先は費用が発生しますか」と率直に聞いてください。作業に入る前に確認しておけば、後から請求されて驚くという事態は避けられます。
着手金
依頼を受けた時点で発生する費用です。結果がどうなっても返還されないのが原則で、ここが依頼をためらう原因になりやすい部分です。
着手金は、成功に対する報酬ではなく、事件処理に取りかかることへの対価です。ですから、結果が思わしくなくても返還されないのが原則になっています。この性質を理解しておかないと、後で納得がいかない気持ちが残ります。
依頼を受けた弁護士は、その時点から資料の精査、相手方への通知、医療機関とのやり取りといった作業に入ります。結果が出る前から作業は動いているのですから、その対価が発生するという考え方です。
着手金がある場合でも、金額は事案の内容によって変わります。争点が少なく見通しの立ちやすい事案と、後遺障害の等級を争う事案とでは、必要な作業量が違うからです。一律の金額が示されている場合は、どの範囲の作業までを含むのかを確かめてください。
もっとも、交通事故の被害者側の案件では、着手金を無料としている事務所が少なくありません。この仕組みについては後で詳しく説明します。
報酬金
解決して賠償金を受け取ったときに発生します。得られた結果に応じて決まるため、成果がなければ発生しないのが原則です。
この点が、依頼する側にとっての安全弁になっています。結果が出なければ報酬も発生しないのですから、事務所側にも成果を出す動機が働きます。着手金を抑えて報酬に寄せる料金体系が広がっているのは、この構造によるところが大きいのです。
ここで重要なのが、何を基礎として計算するのかという点です。受け取った賠償金の総額なのか、弁護士が介入して増えた分だけなのか。この違いは、最終的な手取りに大きく響きます。
同じ「一割」という表示でも、何の一割かで金額はまるで変わります。表示されている割合だけを見て比較すると、判断を誤ります。必ず、基礎になる金額の定義とセットで確認してください。
加えて、報酬に最低額が設定されているかどうかも見ておきましょう。割合で計算した結果が一定の額を下回る場合には、最低額を適用するという取り決めがあることがあります。金額の小さい事案では、この設定が手取りに効いてきます。
これらは、聞かなければ説明されないという性質のものではありません。むしろ、きちんとした事務所であれば契約書に明記していますし、契約前に読み合わせの時間も取ってくれます。読み合わせをしない、書面を渡さないという対応であれば、それ自体が判断材料になります。
実費と日当
実費は、実際にかかった経費です。診断書やカルテの取り寄せ、コピー代、郵送料、裁判所に納める手数料や郵便切手代などが含まれます。日当は、遠方の裁判所や現場に出向いた場合に発生することがあります。
実費は預り金として先に預かり、解決時に精算する扱いが一般的です。使われなかった分は返ってきますから、費用というより一時的な預け金だと考えてください。
実費のうち、金額が大きくなりやすいのは医療記録の取り寄せです。通院した医療機関が複数にわたる場合や、画像データを取り寄せる必要がある場合には、それなりの額になります。後遺障害の申請を伴う事案では、この点も見込んでおいてください。
日当については、発生する条件を確認しておくとよいでしょう。近隣の裁判所であれば発生しないが、遠方への出張には発生する、といった取り決めが置かれているのが通常です。どこからが遠方にあたるのかも、あわせて聞いておくと安心です。
着手金無料という仕組みの中身
交通事故の分野で着手金無料が広がっているのには、理由があります。
被害者側の案件では、解決すれば相手方の保険会社から賠償金が支払われます。つまり、回収の見込みが立ちやすい類型なのです。回収できる前提なら、着手時に費用を受け取らず、解決後の報酬でまかなうという設計が成り立ちます。
言い換えると、回収の見込みが立ちにくい事案では、この設計が使えません。相手に任意保険がなく資力も乏しいといった事案で着手金を求められるのは、こうした事情によるものです。断られたわけではなく、構造上そうならざるを得ないのだと理解してください。
もう一つの理由が、弁護士費用特約の普及です。特約が使える依頼者であれば、費用は保険会社から支払われます。着手金を無料にしても事務所側の負担にならない場面が増えたわけです。
つまり、着手金無料という表示は、事務所の善意というより、この分野の構造から生まれた合理的な設計です。無料だから質が低いのではないか、と身構える必要はありません。判断すべきは、無料かどうかではなく、解決までの見通しをどれだけ具体的に説明できるかです。
見通しの説明とは、いつごろ何が起き、どこで判断が必要になり、どういう結果が想定されるかを示すことです。抽象的な言い回しに終始する説明しか返ってこないのであれば、その事務所がこの分野をどれだけ扱っているかを疑ったほうがよいかもしれません。
無料には条件が付いていることがある
着手金無料をうたっていても、すべての事案が対象とは限りません。次のような条件が付いていることがあります。
- 被害者側の案件に限る(加害者側は対象外)
- 人身事故に限る(物損のみは対象外)
- 後遺障害の等級が認定されている、または見込まれる場合に限る
- 訴訟に移行した段階で、あらためて着手金が発生する
四番目は見落とされやすい条件です。示談交渉の段階は無料でも、裁判を起こす段になって費用が発生する設計になっていることがあります。訴訟まで進む可能性がある事案なら、この点を先に確認しておくべきです。
訴訟に移行するかどうかは、依頼した時点では分かりません。だからこそ、移行した場合の費用を最初に聞いておく意味があります。「そうなったときにあらためて相談しましょう」で済ませてしまうと、判断の場面で費用が足かせになります。
報酬金は何を基礎に計算されるのか
報酬の計算方法は、事務所によって考え方が分かれます。ここが手取りを最も左右する部分です。
総額を基礎にする方式
受け取った賠償金の全体を基礎として、その一定割合を報酬とする方式です。分かりやすい反面、弁護士が介入する前から支払われることが決まっていた部分も基礎に含まれます。
たとえば、自賠責保険から支払われる部分は、弁護士が交渉しなくても支払われる性質のものです。これを基礎に含めるかどうかで、報酬額は変わってきます。
とくに後遺障害が認定された事案では、自賠責から支払われる金額が相応の規模になります。この部分を基礎に含める方式かどうかは、必ず確かめておきたい点です。
増額分を基礎にする方式
弁護士が介入したことで増えた分だけを基礎とする方式です。提示額との差額を成果ととらえる考え方で、依頼者から見れば納得しやすい設計といえます。
ただし、提示を受ける前に依頼した場合は、比較の起点となる金額がありません。この場合にどう計算するのかを、契約前に確認しておく必要があります。
実務上は、提示を受ける前に依頼した場合には、保険会社の基準で計算した仮の金額を起点とする、といった取り決めを置くことがあります。取り決めの内容は事務所によりますので、どういう考え方をとっているのかを聞いておきましょう。
どちらが有利かは事案による
一概にどちらがよいとは言えません。提示額がすでに一定の水準にあり、そこから上積みを狙う事案では、増額分を基礎とする方式のほうが依頼者に有利になりやすいでしょう。一方、提示前から依頼して手続き全体を任せる事案では、総額方式のほうが説明が明快な場合もあります。
大事なのは、契約前にどちらの方式かを確かめ、想定される金額で計算してみることです。「だいたいこのくらいです」という口頭の説明で済ませず、数字を当てはめて示してもらいましょう。
その際、うまくいった場合と、思うように動かなかった場合の二通りで計算してもらうと、判断の材料になります。良い結果だけを前提にした試算では、費用倒れのリスクが見えないからです。
調停や訴訟に進むと費用はどう変わるか
示談がまとまらなければ、次の手続きに進みます。段階が変わると、費用の扱いも変わります。
| 手続き | 費用面の特徴 |
|---|---|
| 示談交渉 | 裁判所を使わないため、実費は少額にとどまる |
| 裁判外の紛争解決手続 | 機関の利用自体は無料または低額。代理人を立てるかは任意 |
| 民事調停 | 裁判所に申立ての手数料を納める。訴訟より低額 |
| 訴訟 | 請求額に応じた手数料と郵便切手が必要。期間も長くなる |
調停は、訴訟に比べて手続きが簡易で、費用の負担も軽く済みます。話し合いの余地がまだ残っている事案では、有力な選択肢になります。
ただし、調停は相手方が応じなければ成立しません。相手が話し合いに前向きでない事案では、時間を費やしたうえで訴訟に移ることになり、かえって遠回りになる場合もあります。どの手続きを選ぶかは、相手の姿勢も見ながら決めることになります。
訴訟に進んだ場合でも、判決まで行かずに和解で終わることが多くあります。和解であれば、判決を待つより早く解決し、その分だけ手続きにかかる負担も抑えられます。
訴訟にかかる期間は、争点の数や、鑑定が必要になるかどうかによって変わります。長期化しそうな見込みがあるのであれば、その間の生活をどう支えるかもあわせて考えておく必要があります。先に受け取れる補償がないかを確認しておくと安心です。
弁護士費用特約があれば自己負担はほぼ生じない
ここまで費用の話を続けてきましたが、弁護士費用特約が使えるなら、この心配のほとんどは消えます。特約は、相談料、着手金、報酬金、実費といった費用を、自分が加入している保険から支払う仕組みだからです。
確認すべきは、自分の自動車保険だけではありません。配偶者や同居している親族、別居している未婚の子の契約からも使える商品が多くあります。自分の証券に記載がなくても、家族の契約を確かめる価値は十分にあります。
火災保険や傷害保険、クレジットカードの付帯サービスとして用意されていることもあります。自動車保険で見つからなかったときの、次の確認先です。
特約を使っても、翌年の保険料が上がることは通常ありません。等級に影響しない類型として扱われているためです。使うと損をするのではないかという心配から使わずに終わるのは、最ももったいない選択です。
特約を使うと決めたら、弁護士に依頼する前に保険会社へ連絡を入れておきましょう。順序が逆になると、連絡より前に生じた費用の扱いをめぐって話がこじれる場合があります。
費用倒れとは何か
費用倒れとは、弁護士に依頼した結果、増えた賠償金より費用のほうが大きくなり、依頼しなかった場合より手取りが減ってしまう状態を指します。
この言葉が独り歩きして、依頼そのものをためらわせている面があります。実際には、起きやすい類型と起きにくい類型がはっきり分かれていますから、線引きを知っておけば必要以上に恐れることはありません。
また、費用倒れかどうかは、依頼する前に相談の場でおおむね見当がつきます。判断がつかないまま契約してしまい、後から気づくというケースは、説明を受けずに進めた場合に起きるものです。順序を踏めば、避けられるリスクです。
もう一つ付け加えると、費用倒れになりそうだと分かったからといって、何もできないわけではありません。自分で交渉を進めるための助言だけを受け取り、依頼はしないという使い方があります。相談で持ち帰れるものは、決して小さくありません。
実際、提示額の検証だけを受けて、自分で交渉を続けた結果、上積みを引き出せたという方もいます。どこが低いのか、何を根拠に主張すべきかが分かっていれば、本人の交渉でも動く余地は残ります。依頼するかどうかは、その先の判断です。
費用倒れが起きやすいケース
- 治療が数回で終わり、通院期間が非常に短い
- 物損だけで、修理費も少額にとどまる
- 提示額がすでに妥当な水準にあり、上積みの余地が乏しい
- こちらの過失が大きく、賠償額そのものが圧縮される
- 相手に資力がなく、判決を得ても回収できる見込みが薄い
擦り傷程度で治療が終わったようなケースでは、動かせる幅がもともと小さくなります。ただし、こうした事案でも人身事故として扱われているかどうかで結論が変わることがありますので、金額の小ささだけで判断しないでください。
相手に資力がない事案も、判断が難しいところです。判決を得ても回収できなければ、費用だけが残ります。ただし、自分の保険から支払いを受けられる補償が付いている場合には、別の道が開けます。この確認をせずにあきらめてしまうのは早計です。
加害者側に賠償能力がない場合の受け皿としては、政府が設けている制度や、自分の保険に付いている補償が挙げられます。どれが使えるかは事案によりますので、あきらめる前に一度確認してみてください。
費用倒れが起きにくいケース
- 通院期間が長く、慰謝料の算定期間が確保されている
- 後遺障害の等級が認定されている、または認定が見込まれる
- 過失割合に争いがあり、動かせば金額に大きく響く
- 休業損害の算定方法に疑問がある
- 死亡事故や重い後遺症が残った事故
とくに後遺障害が絡む事案では、等級がひとつ変わるだけで金額が大きく動きます。この領域は、費用をかけてでも専門家に任せる意味が最も大きい部分です。
過失割合も同じです。割合は賠償額に掛け算で効きますから、損害額が大きい事案では、一割の違いが相当な金額の差になります。争う価値があるかどうかは、損害額の規模と合わせて考えてください。
そもそも提示額が低すぎる、あるいは費目が抜けているという場合も、検証するだけで差が出ます。金額に納得できていないのなら、まずは検証してみる価値があります。
費用倒れを避けるための手順
依頼するかどうかを判断するには、次の順で確かめていきます。
- 弁護士費用特約が使えるかどうかを最初に確認する。使えるなら、この検討自体が不要になる
- いま提示されている金額と、動かせそうな幅を相談の場で示してもらう
- その幅に対して、着手金と報酬金がどう計算されるかを当てはめてもらう
- 実費の見込みと、訴訟に進んだ場合の追加費用を確認する
- 差引きで手元に残る見込みを比べ、依頼するかを決める
二番目と三番目は、遠慮せずに具体的な数字で示してもらってください。誠実な事務所であれば、費用倒れになりそうな場合はその旨をはっきり伝えます。むしろ、そこを曖昧にしたまま契約を勧めてくる事務所は、依頼先として避けたほうがよいでしょう。
一番目を最初に置いたのには理由があります。特約が使えるなら、二番目以降の検討はほとんど意味を持たなくなるからです。順番を逆にして費用の計算から始めてしまうと、無駄な悩みを抱えることになります。
契約前に確認しておく項目
委任契約書に署名する前に、次の項目を確認しておきましょう。書面に記載されているかどうかも、あわせて見てください。
- 着手金の有無と金額、発生する時期
- 報酬金の計算方法(総額を基礎とするのか、増額分を基礎とするのか)
- 示談交渉から訴訟に移行した場合、追加の費用が発生するか
- 実費の預り方と、精算のしかた
- 日当が発生する条件
- 途中で契約を解約した場合の費用の扱い
- 弁護士費用特約を使う場合、上限を超えたときの扱い
六番目は、後になって問題になりやすい項目です。方針が合わずに依頼を取りやめたいと思ったとき、それまでの作業に対してどれだけ支払う必要があるのか。契約の時点で確認しておけば、後で揉めずに済みます。
七番目も、後遺障害が重い事案では現実的な論点になります。上限を超えそうな見込みが立った時点で知らせてもらえるか、超過分をどう扱うか。この取り決めがあるかどうかで、途中の判断のしやすさが変わります。
口頭の説明だけで済ませず、書面に落としてもらうことも大切です。説明を書面にすることを渋る事務所は、その時点で判断材料になります。
弁護士費用は加害者に請求できるのか
「相手のせいで弁護士を頼むことになったのだから、その費用も相手に払わせたい」。当然の感覚だと思います。ただ、扱いは手続きによって変わります。
示談交渉では原則として自己負担
話し合いによる解決の場合、弁護士費用は自分で負担するのが原則です。相手方が任意に負担してくれることは、まずありません。示談で決まるのは損害の賠償であって、交渉にかかった費用は含まれないという整理です。
もっとも、弁護士が入ることで増えた金額が費用を上回るのであれば、実質的には相手方の支払いから費用を賄えていることになります。名目としては自己負担でも、手取りが増えているのなら結果は同じです。この見方をしておくと、費用の話も落ち着いて考えられます。
訴訟では一部が損害として認められる
裁判で判決に至った場合、弁護士費用の一部が損害として認められる取扱いがあります。実際にかかった費用の全額が認められるわけではなく、認容された損害額に対する一定の割合が目安とされています。
この扱いがあるため、訴訟に進む判断をするときには、認められた場合の上乗せ分も計算に入れることになります。示談で終わらせるか裁判まで進むかの判断は、金額の見込みだけでなく、期間や手間も含めて決めることになります。
ただし、訴訟の途中で和解が成立した場合には、和解の内容に含めて調整されることが多く、判決の場合と同じ扱いになるとは限りません。
よくある質問
弁護士費用はいつ支払うのですか
着手金がある事務所では依頼した時点で、報酬金は解決して賠償金を受け取った時点で発生します。報酬金は、受け取った賠償金から差し引いて精算するのが一般的で、別途まとまった金額を用意する必要はありません。
着手金が無料の事務所は信頼できますか
無料であること自体は問題ありません。交通事故の被害者側の案件は回収の見込みが立ちやすいため、成り立つ設計です。確認すべきは、報酬金の計算方法と、訴訟に移行した場合の扱いです。
途中で解約したら費用はどうなりますか
契約の内容によります。それまでに行った作業に応じた費用を求められる場合と、着手金のみで精算される場合があります。契約書に記載があるはずですので、署名の前に確認してください。
複数の事務所から見積もりを取ってもいいですか
問題ありません。むしろ比べたほうが判断しやすくなります。同じ事案について複数の説明を聞けば、見通しの立て方の違いも見えてきます。比べられることを嫌がる事務所は、それ自体が判断材料になります。
比べるときは、費目ごとの数字ではなく、想定される結果に当てはめた手取りの見込みで並べてください。表示の仕方が事務所ごとに違うため、数字をそのまま横に並べても意味のある比較になりません。
費用の総額はいつ分かりますか
解決するまでは確定しません。報酬金が結果に応じて決まるためです。ただし、想定される結果ごとにいくらになるかは、依頼の時点で計算して示してもらえます。
提示額に納得できませんが、費用をかけてまで依頼すべきでしょうか
まずは相談で検証してもらってください。動かせる幅が費用を上回るなら依頼する意味がありますし、下回るなら自分で進めるという判断もできます。判断材料をそろえること自体には、費用はかかりません。
保険会社が紹介する弁護士なら費用は安くなりますか
紹介されたからといって料金が変わるわけではありません。費用は各事務所が定めるものです。紹介を受けること自体に問題はありませんが、自分で探した事務所に依頼して特約を使うこともできますので、比べたうえで決めてかまいません。
家族が代わりに依頼して費用を払うことはできますか
費用を家族が負担すること自体は可能です。ただし、委任契約を結ぶのは原則としてご本人になります。入院中などで手続きが難しい場合は、状況に応じた進め方を相談してください。
実費はどのくらい預けることになりますか
手続きの段階によります。示談交渉だけであれば、記録の取り寄せや郵送にかかる程度です。訴訟に進むと、裁判所に納める手数料や郵便切手が加わります。預けた分のうち使われなかった額は返還されます。
金額が読めないと不安であれば、依頼の時点で見込みを聞いておいてください。示談で終わる想定と、訴訟まで進む想定の二通りで示してもらうと、備えがしやすくなります。実費は依頼者の負担ですが、弁護士費用特約が使える場合は、この部分も補償の対象に含まれるのが一般的です。
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※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
