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死亡事故で請求できるもの
ご家族を亡くされた後、しばらくして相手方の保険会社から金額の提示が届きます。並んだ数字を見ても、それが妥当なのかどうかは分かりません。
照らし合わせる相手もいませんし、そもそも金額を検討する気力が湧かない時期でもあります。それでも、示談が成立してしまえば後戻りはできません。
請求できる費目は、次のとおりです。
| 費目 | 内容 | 誰の損害か |
|---|---|---|
| 死亡慰謝料(本人分) | 亡くなった方の精神的苦痛 | 本人(相続人が引き継ぐ) |
| 死亡慰謝料(近親者分) | 遺族自身の精神的苦痛 | 遺族固有 |
| 逸失利益 | 生きていれば得られたはずの収入 | 本人(相続人が引き継ぐ) |
| 葬儀費用 | 葬儀、火葬、埋葬にかかった費用 | 支出した遺族 |
| 治療関係費 | 即死でない場合の入院・治療費 | 本人(相続人が引き継ぐ) |
| 入通院慰謝料 | 死亡までに入院期間がある場合 | 本人(相続人が引き継ぐ) |
金額の中心になるのは、死亡慰謝料と逸失利益です。この二つで、全体の大半を占めます。
したがって、提示額を検討する際も、この二つに絞って確認すれば大きな見落としは防げます。
細かい費目まですべて見るのは負担です。まず大きいところから確かめてください。
葬儀費用や治療費の計上漏れも、見つかれば主張すればよいだけです。
領収書がそろっていれば、認めてもらうのは難しくありません。
この記事では、それぞれがどう算定されるのか、提示額をどう検討するのかを整理します。手続きの進め方については、別の記事で扱っています。
まだ提示を受けていない段階の方も、何を請求できるのかを知っておくと準備しやすくなります。
必要な資料も見えてきますので、早めに集め始められます。
収入を示す書類は、勤務先や税務署から取り寄せることになります。
死亡慰謝料は二本立てになる
まず、この構造を押さえてください。
本人の慰謝料
亡くなった方が受けた精神的苦痛に対するものです。本人が請求する権利を持ち、それを相続人が引き継ぎます。
誰が受け取るかは、相続の割合によって決まります。
相続人が複数いれば、それぞれの持分に応じて分けることになります。
交渉の窓口をどうするかも、あわせて決めておいてください。
めいめいが別々に連絡を取ると、交渉が進まなくなります。代表者を立てるのが現実的です。
合意をまとめるには、相続人全員が同意している必要があります。誰か一人でも反対していれば、成立しません。
金額の妥当性について、全員が同じ理解を持てるようにしておいてください。
後から不満が出ると、親族の関係にも影を落とします。内訳を共有し、疑問はその都度解消しておくことです。
説明役を一人に任せきりにしないことも、大切です。
負担が偏ると、その人が追い詰められます。
近親者固有の慰謝料
遺族自身が受けた精神的苦痛に対するものです。相続とは関係なく、遺族が直接請求できます。
請求できるのは、配偶者と子、そして父母が基本です。生活を共にしていた親族まで認められる場合もあります。
相続人にあたらない方でも請求が認められることがあります。籍を入れていない配偶者や、長年一緒に暮らしてきた方がその例です。
二つを分けて考える意味
相手方の提示に、近親者分が含まれていないことがあります。合計額だけを見ていると、抜けに気づきません。
内訳を出してもらい、両方が計上されているかを確認してください。
「慰謝料」としてひとまとめに記載されている場合は、その中身を尋ねてください。
本人分と近親者分をそれぞれいくらと見ているのか。分けて示してもらえば、検討しやすくなります。
尋ねること自体は、何ら失礼な行為ではありません。
算定の基準によって金額が変わる
ここが最も重要な点です。
慰謝料の算定には、複数の水準があります。自賠責が用いる基準、任意保険会社が社内で用いる基準、そして裁判で用いられる基準です。
相手方が最初に示してくるのは、低めの水準であることが一般的です。同じ被害でも、どの基準で計算するかで金額が変わります。
担当者に悪意があるわけではありません。社内の基準に沿って処理しているだけです。ただ、それがこちらにとって最も有利な計算だとは限りません。
怒りをぶつけても提示は動きません。根拠を示して求めるほうが、結果につながります。
感情と交渉を切り分けるのは難しいことですが、金額の面ではそれが効きます。
難しければ、代理人に任せるという方法もあります。
相手方と直接やり取りせずに済むだけでも、負担はかなり軽くなります。
連絡が入るたびに気持ちが乱される、という状態から離れられます。
金額の面だけでなく、その点にも意味があります。
気持ちを整える時間は、交渉と同じくらい必要なものです。どちらも、急いで片づけようとすべきものではありません。焦らず、ご自身の速さで進めていただいて差し支えありません。期限にだけ気をつけてください。
提示額が相場だと思い込まないでください。まず、どの基準で計算されたのかを尋ねることから始めます。
差はどの程度になるのか
死亡事故は金額の規模が大きいため、基準の違いによる差もそのまま大きくなります。数百万円から、事案によっては一千万円を超える開きが生じることもあります。
ケガの事案であれば数十万円の差で済む場面でも、死亡事故では桁が変わります。ここを見過ごすと、取り返しがつきません。
金額の話をする気になれない時期だからこそ、誰かに内容を見てもらう意味があります。
ご自身で判断するのが難しければ、親族に読んでもらうだけでも違います。
自賠責の枠組み
法律で定められている部分ですので、金額を挙げておきます。
死亡による損害の上限は、3,000万円です。この枠のなかに、慰謝料も逸失利益も葬儀費用も含まれます。
慰謝料だけで3,000万円が使えるわけではない、という点に気をつけてください。
逸失利益が大きい事案では、枠のほとんどがそちらで埋まります。
若い方や、収入の高かった方の事案では、自賠責だけではとても足りません。
不足分をどこから回収するかが、実務上の課題になります。
相手が任意保険に入っていれば、そちらから支払われます。
加入していなければ、加害者本人への請求になります。回収の見込みを踏まえて進め方を考える必要があります。
分割での支払いを取り決める場合は、書面に残してください。
公正証書にしておけば、滞ったときに手続きへ移りやすくなります。
慰謝料についても、内訳が決められています。亡くなった方本人の分が400万円。遺族の分は、請求する人が1人で550万円、2人で650万円、3人以上で750万円という区分です。さらに、亡くなった方が扶養していた遺族がいれば200万円が上乗せされます。
この場面での遺族は、配偶者と子、父母を指します。数え方にも決まりがありますので、対象となる方が抜けていないか確かめてください。
この水準は、裁判で認められる額を大きく下回ります。自賠責はあくまで最低限の補償を確保する仕組みであり、これで足りるという前提ではありません。
相手が任意保険に加入していれば、不足分はそちらから支払われます。
枠を超える部分
3,000万円を超える損害は、相手方の任意保険か、加害者本人に請求することになります。
相手が任意保険に加入していない場合、この点が大きな問題になります。判決を得ても、支払う財産がなければ回収できません。
分割での支払いを取り決めることになりますが、長期にわたるやり取りが必要になります。
立場によって水準が分かれる
裁判で用いられる基準では、亡くなった方の家庭内での立場によって水準が区分されています。
一家の支柱だった場合
世帯の生計を主に支えていた方です。残された家族への影響が最も大きいため、最も高い水準が設定されています。
収入が途絶えることで、遺族の生活そのものが成り立たなくなるためです。
配偶者や母親だった場合
家庭を支えていた立場として、これに次ぐ水準が設定されています。
家事や育児を担っていた役割が、金銭では測りにくいものとして評価されます。
その他の場合
子ども、高齢の方、独身の方などが含まれます。ただし、この区分だからといって低く抑えられると決まっているわけではありません。
いずれの区分でも、自賠責の本人分を大きく上回る水準です。そして、区分の枠内でも事案によって調整されます。
加害者の悪質性や、事故後の対応も判断に影響します。
区分は目安にすぎない
形式的に当てはめて終わり、という性質のものではありません。実際に誰を支えていたのか、家庭内でどういう役割を担っていたのか。実態に即して判断されます。
独身であっても、親に仕送りをしていた、同居して支えていたといった事情があれば、主張する余地があります。
相手方が形式的に低い区分を当てはめてきたら、実態を示して反論してください。
実態を示す材料
- 同居していた家族の構成
- 亡くなった方の収入と、世帯収入に占める割合
- 仕送りや扶養の実績が分かる記録
- 家事や育児をどこまで担っていたか
- 介護や看護をしていた家族がいたか
- 今後の進学や就職の予定
これらを具体的に示すことで、区分の当てはめが変わることがあります。形式的な判断に委ねないでください。
資料が手元になければ、勤務先や役所から取り寄せてください。
逸失利益はどう算定するのか
慰謝料と並ぶ、もう一つの柱です。
生きていれば得られたはずの収入から、本人が使ったであろう生活費を差し引いて算定します。そのうえで、将来受け取るはずだった分を現在の価値に直す調整が入ります。
本来なら何十年もかけて受け取るはずだった収入を、いま一度に受け取るためです。この調整があるため、単純な掛け算より額は小さくなります。
基礎となる収入
働いていた方であれば、事故前の実際の収入が基礎になります。源泉徴収票や確定申告の控えが資料になりますので、用意してください。
一年分だけでなく、数年をさかのぼった資料があれば確実です。転職したばかり、昇進した直後といった事情があれば、その点も伝えてください。
家事に従事していた方は、平均的な賃金を基礎に算定します。収入がなかったことを理由に、請求から外れることはありません。
兼業していた方は、実際の収入と平均賃金のいずれか高いほうを基礎にする扱いが一般的です。
学生や幼い子どもの場合も、平均的な賃金を用います。まだ働いていないから請求できない、ということにはなりません。
進学が見込まれる事案では、就労を始める時期を遅らせて算定することもあります。
何歳まで働けたとみるか
原則として六十七歳までとされています。高齢の方については、平均余命の半分を用いる扱いもあります。
働いていた方であれば、その後も続けられたはずだという主張も可能です。実際の就労状況を示してください。
年齢が若いほど働ける期間が長く、その分だけ額が積み上がります。若い方の事案では、数千万円という規模になることも珍しくありません。
慰謝料より逸失利益のほうが大きくなる事案も多くあります。
生活費として差し引かれる割合
亡くなった方が自分のために使ったであろう生活費は、損害から差し引かれます。
この割合は、家族構成によって変わります。扶養していた家族が多いほど、本人が使う分は少なかったとみられ、差し引く割合も低くなります。
一家の支柱で扶養家族が複数いる場合は低めに、独身の男性は高めに見積もられるのが一般的です。
女性については、独身であっても低めに設定される扱いがあります。家事を担っていた分が考慮されるためです。
相手方の提示で、この割合が高く設定されていることがあります。家族構成を踏まえた数字になっているかを確認してください。
一割違うだけでも、金額は数百万円動きます。見落としやすい部分ですので、必ず内訳を見てください。
葬儀費用とその他の費目
金額としては小さいものの、忘れられやすい部分です。
葬儀費用は、実際にかかった額がそのまま認められるわけではなく、一定の水準までとされるのが通常です。それでも、領収書はすべて保管しておいてください。
地域の慣習や参列者の規模が考慮されることもあります。実際の支出が水準を大きく超えるのであれば、事情を説明してください。
墓石や仏壇の代金まで認められるかは、事案ごとに結論が異なります。香典を受け取っていても、その分だけ賠償が削られることはありません。
即死でない場合は、死亡までの治療費や入院費、その間の入通院慰謝料も請求できます。数日でも入院期間があれば、その分が加わります。
ご遺族が仕事を休んで付き添った場合、その分の休業損害も対象になることがあります。
細かい費目ですが、積み上げれば無視できない額になります。
死亡までに期間があった場合
即死でなければ、その間の損害も加わります。
治療に関する費用
救急搬送から亡くなるまでの入院費、手術費、投薬費。すべて請求の対象です。
ご家族が付き添った費用も認められます。仕事を休んだのであれば、その分の休業損害もあわせて主張してください。
遠方から通った場合の交通費も対象になります。日付と経路を控えておいてください。
入通院慰謝料
死亡慰謝料とは別に、入院していた期間に応じた慰謝料が生じます。数日でも対象になります。
相手方の提示から漏れていることがありますので、確認してください。
入院の期間が分かる資料を、医療機関から取り寄せておいてください。
逸失利益の起算点
収入の減少は、事故の日から生じています。入院していた期間についても、休業損害として算定できる場合があります。
この部分と死亡後の逸失利益をどう切り分けるかは、事案によって扱いが分かれます。
提示の内訳を見て、二重に差し引かれていないかを確認してください。
意識がないまま亡くなった場合
本人が苦痛を感じていなかったとしても、慰謝料が減るわけではありません。命を失ったこと自体に対する賠償だからです。
相手方からそうした主張がなされたら、争う余地があります。
過去の判断でも、意識の有無によって水準を下げる扱いは一般的ではありません。
提示額をどう検討するか
書面が届いたら、次の順で確認してください。
- 費目がすべて計上されているか。とくに近親者固有の慰謝料
- どの基準で慰謝料を算定したか
- 逸失利益の基礎収入が実態に合っているか
- 生活費として差し引かれた割合は妥当か
- 就労可能な期間をどう見ているか
- 過失割合による減額がされていないか
一番目と二番目で、大きな差が生じます。まずここを確認してください。
三番目から五番目は、逸失利益に関わる部分です。ここも金額の規模が大きいため、丁寧に見る価値があります。
根拠を示せない項目が出てくれば、そこを争う余地があります。反対に、どの項目にも筋の通った答えが返ってくるなら、その提示はおおむね妥当だと考えてよいでしょう。
過失割合による減額
亡くなった方の側にも落ち度があったと言われることがあります。本人の口から反論できない以上、遺族が資料をそろえて示すほかありません。
実況見分の調書や、記録装置に残った映像が支えになります。死亡事故では加害者が起訴されるのが通例ですから、刑事の資料も使えます。
法廷の記録には、事故がどう起きたかについての詳しい判断が残されています。どう入手するかを、早めに調べておいてください。
署名を急がない
返送の期日を示されても、それに縛られる決まりはありません。署名を終えてしまえば、内容を覆すことはできません。
相続人が何人もいるなら、全員で目を通してから結論を出してください。
後から意見が食い違うと、話がもつれます。
過失割合が争いになったとき
死亡事故では、この論点が金額を大きく動かします。
一割の差が数百万円になる
全体の額が大きいため、割合の差がそのまま響きます。二割違えば、一千万円を超える差が生じる事案もあります。
慰謝料の水準を争うより、こちらのほうが影響が大きい場面すらあります。
提示書に割合が書かれていたら、まずそこを見てください。
亡くなった方は反論できない
加害者の説明だけが記録に残る、という構図になりがちです。だからこそ、客観的な資料が重要になります。
実況見分の調書、現場の写真、防犯カメラの映像、目撃者の証言。事故の直後に確保できたかどうかが、ここで効いてきます。
まだ集めていないのであれば、いまからでも警察に照会を依頼してください。
刑事の記録を使う
死亡事故では、加害者が起訴されるのが通常です。公判では、事故の状況が詳しく審理されます。
加害者の供述が変遷していれば、その経緯自体が材料になります。記録を取り寄せて、内容を確認してください。
起訴された事案であれば、取得できる範囲も広くなります。
相手方の主張をそのまま受け入れない
提示書に過失割合が記載されていたら、その根拠を尋ねてください。どの資料を根拠にした判断なのか、これまでのどの類型に当てはめたものなのか。
説明が曖昧であれば、争う余地があります。
納得できないまま受け入れると、数百万円を手放すことになりかねません。
判断がつかなければ、署名する前に相談してください。
増額を主張できる場合
通常の算定を超える額が認められることがあります。
加害者の行為が著しく悪質である場合です。飲酒運転、無免許運転、著しい速度超過、信号の殊更な無視。こうした事情があれば、主張する余地が生じます。
事故後の対応も考慮されます。救護せずに立ち去った、証拠を隠そうとした、虚偽の説明を繰り返した。これらも材料になります。
ただし、自動的に上乗せされるわけではありません。相手方が自発的に増額して提示してくることは、まずないと考えてください。
刑事の記録を取り寄せ、事情を示して主張する必要があります。
認められる幅に一律の相場はありませんが、主張しなければゼロのままです。
まずは、加害者がどういう状態で運転していたのかを確かめるところから始めてください。
期限に注意する
請求できる期間には限りがあります。
損害と加害者を知った時から一定の期間で消滅します。自賠責に対する請求についても、これとは別の期限が置かれています。
刑事の判決を待ってから交渉に入る、という進め方は合理的ですが、待っているうちに期限が近づくことがあります。
手続きを進めているうちに、数年は過ぎていきます。自分の事案でいつまでなのかを、早い段階で把握しておいてください。
期限が近いと感じたら、放置せず動いてください。しかるべき手続きを踏めば、期間の進行を止められることもあります。
受け取った後の扱い
賠償金が支払われた後についても、触れておきます。
誰がどう分けるか
本人の慰謝料と逸失利益は、相続の割合に応じて分けることになります。近親者固有の慰謝料は、それぞれが直接受け取るものです。
この区別を踏まえずに分けると、後から不公平が生じます。内訳を明らかにしたうえで、配分を決めてください。
示談書の段階で、誰の分がいくらかを明記しておくと後で困りません。
税金はかかるのか
損害賠償金には、所得税が課されないのが原則です。失われたものを埋め合わせる性質のものだからです。
ただし、生命保険金については扱いが異なります。誰が保険料を負担し、誰が受け取るかによって、かかる税が変わります。
金額が大きい事案では、税理士に確認しておくと安心です。
相続税との関係も、あわせて整理しておく必要があります。
他の給付との関係
労災の給付や遺族年金を受け取っている場合、賠償金との間で調整が行われることがあります。二重に受け取る形にならないよう、差し引かれる仕組みです。
一方、生命保険金は賠償とは別のものですので、差し引かれません。
どの給付が調整の対象になるかは、制度によって異なります。窓口で確認してください。
相手方から「労災を受け取っているなら賠償は減る」と言われた場合も、その範囲が正しいかを確かめてください。すべてが差し引かれるわけではありません。
相談すべき時期
死亡事故は、専門家の関与が金額に最も響く類型です。理由を三つ挙げます。
一つめは、規模の大きさです。慰謝料と逸失利益を合わせれば、数千万円という単位になります。基準が一段変わるだけで、差は数百万円に及びます。
二つめは、争点の多さです。慰謝料の水準、逸失利益の基礎収入、生活費として差し引く割合、就労可能な期間、過失割合。どれも金額に直結し、どれも交渉の余地があります。
三つめは、ご遺族の負担です。悲しみのなかで、これだけの論点を検討するのは現実的ではありません。判断を誤っても、後から取り返せません。
ご遺族が抱えるものは、金額の検討だけではありません。
葬儀、相続、刑事の手続き。そこに賠償の交渉まで重なります。任せられる部分を任せるという判断にも、十分な意味があります。
時期としては、提示を受ける前が理想です。何を請求できるかを把握したうえで待てば、提示の妥当性もすぐに判断できます。
資料の集め方も、早い段階で聞いておけば無駄がありません。
収入を示す書類や戸籍謄本は、そろえるのに時間がかかります。
提示を受けた後でも間に合いますが、署名する前に相談してください。成立してしまえば、やり直しはききません。
返送を催促されても、それに従う義務はありません。落ち着いて検討する時間を取ってください。
相続人が複数いれば、全員の意向をそろえる時間も必要になります。
費用が気になるのであれば、弁護士費用特約の有無を確認してください。付いていなくても、増額分が費用を上回る事案が多い類型です。
相談の段階で、見込まれる増額の幅を示してもらってください。そのうえで依頼するかを決めれば足ります。
初回の相談を無料で受け付けている事務所も多くあります。
よくある質問
死亡慰謝料の相場はいくらですか
算定に用いる基準によって変わります。自賠責では本人分として400万円、遺族分が人数に応じて550万円から750万円と定められていますが、裁判で用いられる基準ではこれを大きく上回ります。亡くなった方の家庭内での立場によっても水準が分かれます。
提示された金額が妥当か分かりません
まず、費目がすべて計上されているかを確認してください。とくに近親者固有の慰謝料は、抜けていることがあります。そのうえで、どの基準で算定したのかを尋ねてください。
近親者の慰謝料とは何ですか
遺族自身が受けた精神的苦痛に対する慰謝料です。亡くなった方の慰謝料とは別に生じ、相続とは関係なく請求できます。配偶者、子、父母が基本ですが、同居していた親族が含まれることもあります。
専業主婦でも逸失利益は請求できますか
できます。平均的な賃金を基礎に算定します。収入がないという理由で対象外になることはありません。
子どもが亡くなった場合はどうなりますか
まだ働いていなくても、平均的な賃金を基礎に逸失利益を算定します。若いほど働ける期間が長いため、金額の規模は大きくなります。慰謝料も、遺族固有の分とあわせて請求できます。
生活費として差し引かれる割合に納得できません
家族構成によって変わる部分です。扶養していた家族が多いほど、差し引く割合は低くなります。相手方の設定が実態に合っているかを確認し、合っていなければ根拠を示して求めてください。
加害者が飲酒運転でした。慰謝料は増えますか
増額を主張する余地があります。ただし、相手方が自発的に上乗せしてくることはありません。刑事の記録を取り寄せ、事情を示して交渉する必要があります。
加害者が起訴されました。賠償にも影響しますか
刑事処分と賠償額は連動しません。有罪になったからといって、慰謝料が自動的に増えるわけではありません。ただし、刑事で認定された事実は賠償の交渉でも使えます。飲酒の数値や走行速度、事故後の行動が記録に残りますので、増額を主張する材料になります。
判決を待ってから交渉に入るという進め方も、合理的な選択です。
示談と裁判では金額が変わりますか
変わる可能性があります。裁判では、そこで用いられる基準で算定されるためです。ただし、時間も費用もかかりますし、ご遺族にとっては事故を思い出し続ける期間が延びることも意味します。見込まれる増額分と負担を比べて判断してください。
実際には、判決に至らず途中の和解で終わる事案も多くあります。その場合も、交渉段階より高い水準で決着することが少なくありません。
弁護士費用が心配です
まず、弁護士費用特約が付いていないかを確認してください。亡くなった方の契約や、同居していた家族の契約から使える場合があります。死亡事故は金額の規模が大きいため、特約がなくても依頼する価値がある類型です。
増額分が費用を上回ることが少なくありません。相談の段階で、見通しを示してもらってください。
相手が任意保険に入っていません
自賠責への直接請求と、加害者本人への請求を組み合わせることになります。自賠責の上限は3,000万円ですので、それを超える部分は本人への請求です。回収の見込みを踏まえて、進め方を考える必要があります。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
