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いつ弁護士に頼むかで、結果はここまで変わる
交通事故の被害に遭った方から、よく同じ質問を受けます。「弁護士に頼むとしたら、いつがいいのですか」というものです。答えは単純で、早いほうがいい。ただ、それだけでは何も伝わりません。なぜ早いほうがいいのか、遅れると具体的に何が失われるのか。ここを知らないまま「まだ大丈夫だろう」と先延ばしにしてしまうと、後から取り返せない部分が出てきます。
逆に言えば、失われるものが何なのかを知っていれば、いま急ぐべきかどうかを自分で判断できます。事故の型やケガの重さによって、急ぐ理由の大きさは変わります。すべての事故で今日じゅうに動く必要があるわけではありません。
交通事故の賠償金は、交渉のうまさだけで決まるものではありません。治療の記録、検査の結果、事故直後に残した資料。こうした素材が積み上がった結果として、金額が決まります。つまり、素材を作っている最中に助言を受けられるかどうかが、最終的な結果を左右するのです。
ここは料理に少し似ています。素材が悪ければ、どんなに腕のいい料理人でも限界があります。示談交渉の直前に依頼しても、そこまでに積み上がった記録が薄ければ、動かせる幅はその範囲にとどまります。
想像してみてください。事故から半年が経ち、治療も終わり、保険会社から賠償額の提示書が届いた。金額に納得がいかず、そこで初めて弁護士に相談する。弁護士は書類を見て、こう言うかもしれません。「もう少し早く来ていただければ、この検査を受けておくよう申し上げたのですが」。この一言の重さが、この記事で伝えたいことです。
ここでは、弁護士が入ると賠償額が動く理由を仕組みの面から説明したうえで、事故直後から示談直前までの四つの節目ごとに、依頼することで何が変わるのかを整理します。
なぜ保険会社の提示額は低くなるのか
まず前提として、なぜ提示額が低くなるのかを押さえておきましょう。ここを理解しないと、増額の仕組みも分かりません。
担当者は自社の基準で計算している
保険会社の担当者は、悪意で低い金額を出しているわけではありません。会社が定めた支払いの基準に沿って、粛々と計算しているだけです。ただし、その基準は保険会社が支払う立場から作られたものですから、被害者にとって有利にはできていません。
担当者が個人の裁量で金額を上げられるわけでもありません。社内で決裁を通す必要がありますから、こちらが根拠を示さない限り、基準どおりの数字が出てきます。ここで感情的に抗議しても、相手は動きようがないのです。動かすためには、別の物差しを持ち込むほかありません。
賠償の世界には、複数の計算基準が併存しています。自賠責保険の基準、各保険会社が社内で用いる基準、そして裁判所が判決を書くときに用いる基準。同じ事故、同じケガでも、どの基準を当てはめるかで結論が変わります。被害者本人が交渉している限り、話は自社基準の枠内で進みます。
この三つの基準は、どれかが正しくてどれかが誤りというものではありません。それぞれ役割が違います。自賠責は最低限の補償を素早く支払うための仕組みですし、裁判所の基準は当事者が争ったときに裁判官が判断するための目安です。問題は、被害者がどの基準の話をされているかを知らないまま合意してしまうことにあります。
提示書には、どの基準で計算したかが明示されているとは限りません。「弊社の基準では」と書かれていることもあれば、金額だけが並んでいることもあります。数字の妥当性は、比べる相手がいて初めて判断できるものです。ひとつの提示書だけを見て高いか安いかを判断するのは、そもそも無理があります。
被害者側が主張しなければ、費目は足されない
賠償金は複数の費目の合計です。治療費、通院にかかった交通費、休んだ分の収入、精神的な苦痛に対する慰謝料、後遺症が残った場合の将来の減収。この中に入っていないものがあっても、相手が気づいて足してくれることはありません。
たとえば、家事ができなかった期間の損害、通院に付き添った家族の費用、装具や器具の購入費。こうした費目は、こちらが根拠とともに主張して初めて検討の対象になります。
主張するには、裏づけが要ります。付き添いが必要だったのなら、その必要性が分かる医師の記載や、実際に付き添った記録。家事ができなかったのなら、家族構成や日常生活の状況。こうした材料を、後からそろえるのは簡単ではありません。
弁護士が入ると増額が起きる三つの経路
では、代理人が入ると何が起きるのか。増額の道筋は、大きく三つに分けられます。
経路1:慰謝料の算定の前提が変わる
弁護士が代理人として交渉に入ると、話し合いの前提は「裁判になったらどうなるか」に移ります。訴訟を起こす選択肢が現実味を帯びるからです。裁判で判断されれば裁判所の基準が使われますから、その見込みを踏まえた金額に近づいていきます。
保険会社の側から見ても、訴訟になれば費用と時間がかかります。裁判で認められそうな水準に近い金額で早く終わらせるほうが合理的だ、という判断が働く場面があるのです。増額は、この計算の結果として生じます。
これは、弁護士が強く言ったから相手が折れる、という話ではありません。前提となる物差しが入れ替わっているのです。同じ通院期間でも、どの物差しを当てるかで結論が違ってくる。それだけのことです。
ですから、依頼した弁護士が交渉で声を荒らげることはまずありません。淡々と根拠を示し、こちらの計算を提示する。そういう静かなやり取りが中心です。派手さはありませんが、結果には確実に効いてきます。
経路2:抜けていた費目が加わる
提示書を精査すると、計上されていない費目が見つかることがあります。通院交通費、休業損害の算定方法の誤り、装具費、家事への影響。ひとつひとつは大きくなくても、合わせると無視できない差になります。
この作業は、費目の一覧を知っていて初めてできることです。何が請求できるのかを知らなければ、抜けていることにも気づけません。
とくに休業損害は、算定の方法によって差が出やすい費目です。給与所得者、自営業者、家事に従事している方、勤務先の役員。立場によって計算の考え方が変わりますから、画一的な当てはめでは実態からずれることがあります。
とくに、事故の前後で収入が変動していた方、複数の勤務先から収入を得ていた方、開業して間もない方は、単純な計算では実態を反映しきれません。こうしたケースでは、どんな資料を使って収入を示すかが争点になります。裏づけの作り方に工夫がいる領域です。
経路3:過失割合が見直される
過失割合は、賠償額に直接掛け算で効いてきます。仮に損害額が同じでも、こちらの過失が二割とされるか一割とされるかで、受け取る金額は変わります。
この割合は、保険会社が示した数字がそのまま正しいとは限りません。過去の裁判例を類型化した資料を基礎に、事故の具体的な状況に応じて修正していくものです。信号の状況、道路の幅、速度、相手の動き。こうした要素を主張して、割合を動かせる場面があります。
注意しておきたいのは、過失割合は警察が決めるものではないという点です。実況見分の結果は資料として使われますが、割合そのものは当事者の話し合い、あるいは裁判で決まります。「警察がこう言っていた」という理由で示された数字を、そのまま受け入れる必要はありません。
過失割合は、こちらの言い分を裏づける材料があるかどうかで決まります。映像、目撃者、車両の損傷の位置と程度、路面の痕跡。これらのうち手元に残せるものを早く確保しておけば、後で割合を争うときの土台になります。逆に、何も残っていなければ、相手の説明を覆す手立てがありません。
タイミング1:事故の直後
最も早い相談の機会が、事故直後です。この段階で弁護士に関わってもらうのは、まだ損害も確定していない時期ですから、一見すると気が早いようにも思えます。けれど、この時期にしかできないことがあります。
この時期にしかできないこと
- 物損事故として処理されそうな場合に、人身事故への切り替えを検討する
- 実況見分に立ち会う際、事故状況を正確に伝える方法を確認する
- ドライブレコーダーや防犯カメラの記録を、消える前に確保する
- 目撃者の連絡先を押さえておく
- 最初にかかる医療機関の選び方を確認する
とくに記録の確保は、時間との勝負です。店舗や施設の防犯カメラは、一定期間で上書きされてしまいます。過失割合で争いが起きたときに決め手となる映像が、気づいたときには残っていなかった。こういう事態は、後から埋め合わせができません。
自分の車のドライブレコーダーについても、データが上書きされる前に取り出しておく必要があります。事故の衝撃で自動保存されていると思い込み、確認しないまま走り続けて消してしまった。そんな話も実際にあります。
最初の診断が後まで効く
事故直後の受診も、この時期の重要な行動です。痛みが軽いからと受診を先延ばしにすると、事故とケガのつながりを疑われる材料になります。数日空いただけで「事故とは関係のない症状ではないか」と指摘されることがあるのです。
また、最初にどの診療科にかかるかも影響します。整骨院や接骨院だけに通っていると、医学的な検査や診断書の作成という面で不足が生じます。まず医師の診察を受け、その上で必要に応じて併用する。この順番が大切です。
もうひとつ、初診のときに痛む箇所をすべて伝えておくことも大事です。強く痛む場所だけを訴えて、他の部位を伝えないまま日が経つと、後から症状を訴えても事故との関係を疑われます。軽い違和感でも、その時点で伝えて記録に残してもらってください。
事故直後は気が張っていて、痛みを感じにくいことがあります。翌日以降に症状が出てくるのは珍しくありません。その場で「大丈夫です」と答えてしまったとしても、後日痛みが出たなら、すぐに受診して事故との関係を医師に伝えてください。早く動くほど、つながりを説明しやすくなります。
タイミング2:治療中
実務上、最も効果が大きいのがこの時期です。治療中の過ごし方が、後の賠償額を決める材料をそのまま作っているからです。
治療費の打ち切りに備えられる
治療がある程度の期間に達すると、保険会社から「そろそろ治療を終了しませんか」という打診が入ります。これは医学的な判断ではなく、支払いを続けるかどうかの判断です。まだ症状が残っているのに応じてしまうと、そこで治療が止まり、慰謝料の算定期間も短くなります。
打ち切りを打診されたとき、被害者側が取れる選択肢はいくつかあります。医師に必要性を確認して延長を求める、健康保険に切り替えて自分で通院を続け、後から請求する、症状固定として後遺障害の申請に進む。どれを選ぶかは症状の状態によりますが、選択肢があること自体を知らないと、言われるままに治療を終えることになります。
打ち切りの打診は、事故から一定の期間が経つと出てくることが多いものです。ケガの内容によって時期の目安は変わりますが、いずれ来るものだと構えておけば、突然のことに動揺せずに済みます。あらかじめ医師と、あとどれくらい治療が必要かを話しておくことも有効です。
代理人が入っていれば、この打診への対応を任せられます。医師の見解を確認したうえで、必要な期間の継続を求める。この作業を、痛みを抱えたまま自分で行う必要がなくなります。
体調が悪いときに交渉ごとを引き受けるのは、想像以上に消耗します。電話が鳴るたびに身構える状態が続けば、治療にも影響しかねません。窓口を移せること自体が、この時期の依頼の大きな効用です。
通院の記録が整う
慰謝料の算定では、通院した期間と実際の通院日数が基礎になります。間隔が空きすぎると、その期間は治療の必要がなかったと読まれかねません。どのくらいの頻度で通うべきか、仕事の都合で通えない時期をどう扱うか。こうした点を早い段階で相談しておけば、後から悔やまずに済みます。
短期間の治療で終わったケースであっても、通院の実態がどう記録されているかで結論が変わります。日数だけを見て判断されるわけではないからです。
また、痛みの程度や日常生活への影響を、診察のたびに具体的に伝えることも大切です。「変わりません」とだけ答え続けると、カルテには経過の記載がほとんど残りません。後から症状の重さを説明しようとしても、裏づけになる記録がないという事態になります。
伝え方にコツがあるわけではありません。どの動作で痛むのか、仕事や家事のどこに支障が出ているのか、前回と比べて変化があるのか。この三点を毎回伝えるだけで、記録の密度は変わります。
タイミング3:症状固定と後遺障害の申請の前
治療を続けてもこれ以上よくならない状態を、症状固定といいます。ここが賠償の計算にとって大きな区切りで、以降の治療費は原則として相手方に請求できなくなります。そして、残った症状については後遺障害としての評価に移ります。
申請の方法を選べる
後遺障害の等級認定を申請する方法には、相手方の保険会社に手続きを任せる形と、こちらで資料をそろえて自賠責に直接請求する形の二つがあります。選び方によって、審査に回る資料の顔ぶれが変わってきます。
任せる形は手間がかかりませんが、こちらが有利だと考える資料を積極的に加えることはできません。自分で進める形は手間がかかる代わりに、必要な検査結果や医師の意見を添えられます。
どちらを選ぶべきかは、症状の性質によります。画像で異常が明確に写るケガであれば、資料に大きな差は生じにくいでしょう。一方、画像に現れにくい症状や、神経の障害が問題になる場合には、添える資料の中身が結論を分けることがあります。
また、いったん認定された等級に納得できない場合、異議を申し立てる道があります。ただし、同じ資料を出し直しても結論は変わりません。新しい検査結果や医師の意見といった追加の材料が必要になりますから、最初の申請の段階で資料をそろえておくほうが、結果的に近道です。
診断書の記載が結論を左右する
等級の判断は、書面審査で行われます。審査する側は、本人に会うわけではありません。カルテ、画像、検査結果、後遺障害診断書。この書面に何が書かれているかがすべてです。
ですから、症状固定の前に、必要な検査が済んでいるか、診断書に症状の内容と経過が具体的に記載されるかを確認しておく意味は大きいのです。作成された後で書き直しを求めるのは、簡単ではありません。
医師は治療の専門家であって、賠償の手続きの専門家ではありません。等級の判断でどんな記載が求められるかを、当然に把握しているとは限らないのです。だからこそ、必要な項目を事前に整理して伝えることに意味があります。
タイミング4:賠償額の提示を受けた後
実際に相談が最も多いのが、この段階です。金額を見て違和感を持ち、そこで初めて外部の意見を求める。自然な流れですし、この時期でも間に合います。
提示書を見れば、どの基準で計算されているか、費目に漏れがないか、過失割合がどう設定されているかが読み取れます。検討した結果、妥当な水準であればそのまま進めればよいですし、動かせる余地があるなら交渉に入ります。
ただし、この段階では手を入れられない部分も残ります。通院の頻度、受けなかった検査、書かれてしまった診断書。これらは変えられません。だからこそ、提示後の相談は「残った余地を探す作業」になりやすいのです。
それでも、残っている余地が小さいとは限りません。提示額が自社基準で計算されているのであれば、物差しを入れ替えるだけで差が生じます。すでに手遅れだろうと決めつけて、検証もせずに署名してしまうことのほうが、失うものは大きくなります。
遅すぎるのはいつか
間に合わなくなる線引きは、二つあります。
示談が成立してしまったとき
示談は当事者間の合意ですから、成立すればその内容に拘束されます。後から「やはり金額に納得できない」と言っても、原則としてやり直せません。示談書に、今後は互いに請求しないという趣旨の条項が入っていれば、なおさらです。
例外がないわけではありません。示談の時点で予想できなかった重い後遺症が現れた場合や、内容について重大な思い違いがあった場合には、争う余地が残ります。ただし、これを認めてもらうハードルは高く、確実な道ではありません。
ですから、示談書に署名を求められた場面が、実質的な最終期限だと考えてください。内容が分からない、期限を切って急かされている、といった状況であれば、その場では応じずに持ち帰る。この一手間が、後の後悔を防ぎます。
ご家族から署名を勧められる場面もあります。早く終わらせて日常に戻りたいという気持ちは自然なものですが、賠償の内容は一度きりの決定です。数日かけて確認したことで状況が悪化することは、まずありません。
時効が完成してしまったとき
損害賠償を請求する権利には、期間の制限があります。この期間を過ぎると、法律上は請求できなくなります。長い治療が続いていたり、相手が特定できなかったりする事案では、この点に注意が必要です。
期間の数え方は、いつから起算するかによって変わります。ケガについての請求と、後遺障害についての請求とでは、起算点が異なる扱いになっています。自分のケースでいつまでなのかは、早めに確認しておいたほうが安全です。
治療が長期にわたる事案や、後遺障害の等級について争っている事案では、手続きの途中で期間が迫ることがあります。期間の進行を止める方法もありますので、心配なら早い段階で見通しを確認しておくべきです。
早く依頼するデメリットはあるのか
早いほうがよいと書いてきましたが、不利になる面はないのでしょうか。正直に検討してみます。
費用の面
依頼期間が長くなるからといって、費用が積み上がる料金体系が一般的というわけではありません。多くの事務所では、解決したときの結果に応じて報酬が決まる形をとっています。したがって、早く依頼したから高くつく、ということにはなりにくいのです。
むしろ、早く依頼したほうが結果として費用対効果は上がりやすくなります。整えられる材料が増えるぶん、動かせる幅も広がるからです。契約前に、費用がどのタイミングで発生するのかを書面で確認しておけば、不安なく進められます。
弁護士費用特約が使えるなら、この点はさらに気になりません。相談の枠と依頼の枠が別に用意されている商品が多く、早い段階から使っても不足しにくい設計になっています。
関係が長くなることの負担
やり取りの期間が長くなるという意味では、たしかに負担は生じます。ただ、その負担は保険会社との直接のやり取りが消えることで相殺されます。むしろ、連絡の窓口がひとつになるぶん、気持ちの上では楽になったという声のほうが多く聞かれます。
依頼した後にこちらがやることは、それほど多くありません。治療を続け、資料を渡し、症状の経過を伝える。この三つが中心です。日々の交渉から解放されることを考えれば、負担は明らかに軽くなります。
まだ損害が確定していないという問題
治療中の段階では、最終的な金額の見通しを立てにくいのは事実です。そのため「今の時点では増額の幅がどれくらいとは言えません」という説明になることがあります。これを物足りなく感じる方もいるでしょう。
けれど、この時期の依頼の狙いは金額の予測ではありません。後で効いてくる材料を整えることです。目的が違うと理解しておけば、説明への受け止め方も変わります。
見通しを示せないことと、何もできないこととは違います。この時期にできるのは、後で金額を左右する要素を落とさないように管理することです。地味な作業ですが、これが積み上がって最終的な結論になります。
依頼を急ぐべきケースと、そうでないケース
すべての事故で急ぐ必要があるわけではありません。判断の目安を整理しておきます。
| 状況 | 急ぐ必要 | 理由 |
|---|---|---|
| 後遺症が残りそう | 高い | 検査と記録の整備が結論を左右する |
| 過失割合でもめている | 高い | 映像や目撃情報の確保に期限がある |
| 治療の打ち切りを打診された | 高い | 応じるかどうかの判断が慰謝料に直結する |
| 相手が任意保険に入っていない | 高い | 回収の道筋を早く組み立てる必要がある |
| 自分の過失がゼロ | 高い | 自分の保険会社が交渉を代行できない |
| 物損だけで金額も小さい | 低い | 動かせる幅が限られる |
| 数回の通院で完治した | 低い | 自賠責の枠内で処理が完結しやすい |
急ぐ必要が低い場合でも、相談すること自体には意味があります。急がなくてよいと分かるだけで、余計な不安を抱えずに済むからです。
また、いまは急がなくてよいが、この状況になったら連絡してほしい、という目安を教えてもらえることもあります。治療が三か月を超えたら、痛みが残ったまま打ち切りを言われたら、といった条件です。目安を持っておけば、判断すべき場面を見逃しません。
相談したうえで依頼しないという選択も、もちろんあります。急ぐ理由がないと分かったなら、自分で進めながら、状況が変わった時点で改めて相談すればよいのです。相談と依頼を切り離して考えると、動き出しやすくなります。
依頼すると決めたら準備しておくこと
タイミングを決めたら、次は準備です。手元にそろえておくと話が早く進むものを挙げておきます。
- 事故の日時、場所、状況を時系列で書いたメモを作る
- 交通事故証明書、診断書、通院の記録を集める
- 保険会社から届いた書面をすべてまとめておく
- 自分と家族の保険証券を確認し、弁護士費用特約の有無を調べる
- 仕事を休んだ場合は、給与明細や休んだ日が分かる資料を用意する
四番目は依頼するかどうかの判断そのものに関わりますから、相談の前に済ませておくことをおすすめします。特約があると分かれば、費用の心配なしに依頼を検討できます。
一番目のメモは、思い出せる範囲で構いません。完璧に書こうとして手が止まるより、日付と出来事を箇条書きで並べるほうが役に立ちます。記憶は時間とともに薄れますから、早く書き留めておくこと自体に価値があります。
三番目の書面についても、封筒ごと保管しておくことをおすすめします。届いた日付が分かる状態にしておくと、後で経過を確認するときに役立ちます。読まずに置いてある書面の中に、返送期限が書かれていることもありますから、一度は目を通しておいてください。
よくある質問
治療中でも依頼できますか
できます。むしろ、治療中こそ効果が出やすい時期です。治療費の打ち切りへの対応、通院の進め方、必要な検査の確認など、この時期にしか整えられない部分があります。
示談交渉の直前に頼んでも意味はありますか
意味はあります。提示額の検証、費目の追加、過失割合の見直しは、この段階でもできます。ただし、通院の記録や診断書の内容は変えられませんので、動かせる幅は治療中から依頼した場合より小さくなります。
依頼すれば必ず賠償金は増えますか
必ずとは言えません。提示額がもともと妥当な水準にある事案や、争点がほとんど残っていない事案では、大きな変化は生まれません。相談の場で、動かせそうな幅と費用の見込みを聞いたうえで判断してください。
依頼した後、自分は何をすればよいのですか
基本的には、治療に専念していただくことになります。保険会社との連絡は弁護士が受けますので、日常のやり取りは不要です。資料の提出や、症状の経過を伝えることをお願いする場面はあります。
途中で依頼をやめることはできますか
できます。委任契約は解約できます。ただし、それまでに行った作業に対する費用の扱いは契約の内容によりますので、契約時に確認しておいてください。
すでに保険会社と話を進めていますが、今からでも間に合いますか
示談書に署名していなければ間に合います。話し合いの途中で代理人を立てることに問題はありません。相手方には弁護士から通知が届き、以降のやり取りは弁護士が引き継ぎます。
弁護士を立てると相手方の心証が悪くなりませんか
心配は不要です。相手方の窓口は保険会社の担当者であり、日常的に代理人とやり取りしています。代理人が立ったからといって態度が硬化する、といったことは通常ありません。むしろ、争点が整理されて手続きが進みやすくなる面があります。
相手方から示談を急かされています。どうすればよいですか
急ぐ必要はありません。「弁護士に相談してから回答します」と伝えてください。これは角の立つ言い方ではなく、一般的な対応です。返答を数日待たせたことで不利になる場面は、まずありません。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
