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交通事故の損害賠償請求はどう決まる? 弁護士に任せれば増額する理由とは?
この記事で分かること
- 交通事故の損害賠償請求金は、弁護士に依頼すると大幅に増額する
- 弁護士費用特約を利用すると、費用負担をなくして(減らして)弁護士に依頼できる
- 弁護士に依頼すると示談が決裂しても訴訟などをスムーズに進めることができる
交通事故に遭ったときに、加害者から受け取れるのが損害賠償金です。しかし、入通院をしている中で加害者側と交渉するのは大変なので、弁護士の力を借りるのがベストです。弁護士に話し合いに入ってもらえれば、より高額の賠償金を引き出すことができるでしょう。
交通事故の損害賠償金の決まり方
交通事故の損害賠償金は、どのようにして金額を決定するものなのでしょうか?以下では、賠償金の基本的な決め方を説明します。
示談交渉
交通事故の賠償金は、基本的に「示談交渉」によって決まります。示談交渉とは、加害者と被害者が話合いをすることにより、損害賠償金を決定する手続きです。相手が任意保険に加入していたら、相手の任意保険会社と示談交渉をしますし、相手が保険に入っていなければ、相手本人と話し合いをすすめます。
示談交渉により、合意ができたらその内容に従って賠償金の支払いを受けることができます。
調停、ADR、訴訟
示談が成立しない場合には、調停やADR、訴訟などの方法により、賠償金の金額を決定する必要があります。
調停とは、簡易裁判所において、調停委員会(調停委員と裁判官)のサポートを受けて、加害者と賠償金についての話し合いをすすめる手続です。
ADRとは、裁判外の紛争解決機関のことで、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターなどのサポートを受けて、賠償問題を解決する方法です。
訴訟は、裁判所で「損害賠償請求訴訟(裁判)」を起こすことにより、裁判官から加害者に支払い命令を出してもらい、賠償金を回収する方法です。
賠償金は、このような段階を踏むことにより、最終的に支払いを受けることができます。
請求できる損害
交通事故で相手に請求できる損害の内容には、積極損害と消極損害、精神的損害(慰謝料)があります。
積極損害とは、入通院による治療費や交通費など、実際に支払いが必要になった費用です。消極損害とは、休業損害や逸失利益など、本来得られるはずだったのに、事故によって得られなくなってしまった利益のことです。精神的損害は、事故で死傷したことによって受けた精神的苦痛に対する賠償金で、いわゆる慰謝料のことです。慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があります。
相手に賠償金の請求をするときには、こういった賠償金のすべての合計額を、支払ってもらう必要があります。
任意保険基準について
交通事故の賠償金の支払いを受けるとき、多くのケースでは相手の保険会社との示談交渉によって賠償金を決めることが多いです。このとき「任意保険基準」という基準により、賠償金が計算されることになります。
任意保険基準とは、各自動車保険会社(任意保険会社)が独自に定めている基準です。法的根拠はなく、任意保険会社が、被害者との示談交渉のために、内規を作って「このような場合にはこのくらいの賠償金にすべき」と決めているものです。
保険会社が、任意保険基準によって「この件の賠償金は〇〇円です」と言ってきたとき、被害者が特に異議を唱えなければ、その基準が適用されて示談金が決まります。(普通、被害者はそういうものだと思うので、強く異議を唱えることは少ないです)ただ、この任意保険基準は法的な基準より安いので、そのまま受諾すると、賠償金が下がってしまいます。
弁護士に任せると慰謝料が増額する理由
弁護士に賠償金の請求手続を依頼すると、被害者が賠償金請求を行うよりも大きく金額が上がります。その理由は、以下の通りです。
- 弁護士基準が適用される
- 損害賠償項目の見落としがない
- 適切な過失割合認定基準が適用される
- 事故状況が明らかになる(相手の嘘を暴ける)
- 後遺障害の認定を確実に受けられる
- 相手の主張に的確に反論できる
- 粘り強く交渉ができる
- 誤った対応をしないで済む
- 示談が決裂しても、訴訟で請求ができる
- 相手が加害者本人など、困難なケースでも適切に対応できる
以下で、それぞれがどういったことなのか、順に確認していきましょう。
弁護士基準が適用される
弁護士に賠償金の請求を依頼すると、慰謝料を含めた賠償金は「弁護士基準」によって計算されることになります。弁護士基準は、裁判所が賠償金の計算をするときにも採用されている法的な基準のことで、「裁判基準」とも呼ばれます。法的な根拠があるものですから正当な金額で、先に説明をした任意保険基準よりもかなり高額です。たとえば後遺障害慰謝料などは、弁護士基準で計算すると、2倍~3倍くらいになります。
被害者が自分で示談交渉をしていると、低額な任意保険基準で計算されますが、弁護士に依頼すると、正当な弁護士基準で計算されることになるので、大幅に賠償金がアップします。
損害賠償項目の見落としがない
交通事故の損害賠償の項目は、非常にたくさんあります。積極損害だけでも、入通院の治療費、入通院の付添看護費、入院雑費、通院交通費などの費用がありますし、消極損害には休業損害、後遺障害逸失利益、死亡逸失利益、慰謝料にも、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料があります。それぞれについて定められた計算方法で計算する必要がありますが、被害者には通常こういった知識がないため、損害賠償項目を見落としてしまうことが多いです。
そこで、加害者の保険会社は、あえて損害賠償の項目を抜かして示談を進めてくることがあります。たとえば、加害者が送ってきた示談案には、付添看護費用が含まれていないことが多いです。実際には、1日6600円程度の入院付添費が認められるのに、被害者が自分で示談をしていると、こうした金額が支払われないままになってしまいます。
弁護士に対応を依頼すると、賠償金の見落としをすることがなく、確実にすべての賠償金の支払いを受けることができるので、賠償金の金額が上がります。
適切な過失割合認定基準が適用される
交通事故の損害賠償金の計算の際には「過失割合」が非常に重要です。過失割合とは、被害者と加害者双方の、事故の結果に対する責任のことです。被害者に過失割合があると、その分加害者に請求できる賠償金が減額されてしまいます。このことを、過失相殺と言います。
そして、過失割合については、事故のパターンごとに妥当な割合が決められています。その基準を、過失割合の認定基準といいます。ところが、被害者が自分で相手の任意保険会社と示談交渉を進めるときには、保険会社は過失割合の認定基準に従わず、被害者に不当に大きな過失割合を押しつけてくることが多いです。被害者には、法的な過失割合の認定基準についての知識がないので、そういった高い過失割合を押しつけても、そのまま受諾するだろうと考えてのことです。
そして、実際に多くの被害者が、気づかないまま高い過失割合を受け入れて、示談してしまいます。その場合、大きく過失相殺されて賠償金が減額されます。
弁護士に対応を依頼すると、当然法的に妥当な過失割合の認定基準に従って双方の過失を認定するので、結果的に被害者の過失割合が下がって賠償金が大きく上がります。
事故状況が明らかになる(相手の嘘を暴ける)
交通事故では、加害者が事故状況について嘘をつくことがあります。相手も、自分が有利になりたいため、自分が悪くなかった(=被害者が悪かった)と主張するのです。たとえば、実際よりもスピードを出していなかったと言うこともありますし、車両の接触状況や信号の色について嘘をつくこともあります。
被害者が自分で対応していると、このようなとき、お互いが根拠なく言い合いをすることとなりやすく、相手の嘘を暴くことは難しくなります。
弁護士が介入すると、実況見分調書を取り寄せて内容をじっくり検討したり、ドライブレコーダーを精査したり、監視カメラの内容をチェックしたり目撃者に話を聞いたりして、適切な方法で証拠を集めて検討し、被害者に有利な事情を抜き出すことができます。このことにより、加害者の嘘を暴き、事故状況を明らかにすることにより、被害者の過失割合を減らして賠償金をアップさせることが可能です。
後遺障害の認定を確実に受けられる
交通事故で、なるべく高額な賠償金を獲得するためには、後遺障害の等級認定を受けることが非常に重要です。重大な後遺障害が残っても、認定を受けられない限り、相手の保険会社は後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の支払いに応じないからです。
しかし、後遺障害の等級認定の方法は複雑で、被害者が適切に認定を受けることが難しいシステムになっています。多くの場合、被害者は、相手の保険会社に後遺障害の認定を任せてしまう「事前認定」の方法を利用します。しかし、事前認定の場合、事故の相手である任意保険会社が後遺障害認定の手続きを行います。すると、相手の保険会社は、被害者にとって不利な意見書などを提出することもあり、後遺障害の認定が行われにくくなります。
弁護士に依頼すると、被害者自身が後遺障害の認定請求をする「被害者請求」の方法によって後遺障害の認定請求を進めることができます。この方法なら、被害者の裁量で、被害者に有利な資料なども追加提出することなどもできるので、より確実に、高い等級の後遺障害認定を目指すことができます。
このように、的確に後遺障害認定を受けることにより、高額な後遺障害慰謝料と逸失利益を得ることができるので、賠償金が大きく上がります。
相手の主張に的確に反論できる
保険会社と示談交渉を進めるときには、相手の保険会社はいろいろと賠償金を減額するための主張をしてきます。たとえば、後遺障害が残っても、「労働能力が下がっていないから逸失利益はない」とか「実際に減収になっていないから逸失利益がない」などと言われることもあります。また、被害者に事故前からの素因があるので、賠償金を減額すると言われることもあります。このような場合、被害者としては、どのように反論して良いのかわからないため、相手から言われるままに賠償金を減額されてしまいがちです。
弁護士がついていたら、こういったケースでも適切に反論ができるので、相手の主張通りに賠償金が減額されることはありません。被害者が自分で示談交渉をするよりも賠償金がアップします。
粘り強く交渉ができる
示談交渉は、被害者にとって非常に精神的に負担になるものです。被害者は、ただでさえケガをして通常とは異なる状態になり、気落ちしていることが多いものですが、相手の保険会社は、そのようなことはおかまいなしに賠償金の減額を求めてきます。被害者の過失割合が高いことを言うために、被害者が事故を引き起こしたかのような主張をしてくることもありますし、被害者のケガが治らないのは被害者がうつ病になったせいだなどという主張をしてくることもあります。このようなことを言われ続けると、被害者は精神的に参ってしまい、粘り強く相手と交渉する気力を失ってしまいます。結果的に、相手の言う金額で妥協して、賠償金を下げられてしまいます。
弁護士に対応を依頼すると、被害者自身が示談交渉を進める必要がなくなるので、酷いストレスを感じることもなくなります。このことで、粘り強く交渉を行うことも可能になり、安易に妥協することがなくなるため、結果的に賠償金がアップします。
誤った対応をしないで済む
交通事故後の対応では、各場面で適切な対応を求められます。たとえば、事故後ケガをしたときの通院先の選び方や通院の頻度、通院期間などによっても、後で後遺障害の認定を受けられるかどうかが変わってきます。
しかし、被害者が自己判断で対応していると、こうした対応方法を誤って、後に思わぬ不利益を受けてしまうことがあります。たとえば、通院治療を途中でやめてしまったら、入通院慰謝料が大きく減ってしまいますし、必要な治療を受けられないまま示談が成立してしまいます。すると、後に症状が酷くなったときの治療費の支払いを受けられませんし、後遺障害の認定も受けられないままになってしまうおそれがあります。
弁護士に相談をしていたら、このような対応方法で誤ることがないので、常に適切に対処して、加害者に対し、必要十分な額の賠償金を支払わせることが可能です。
示談が決裂しても、訴訟で請求ができる
相手や相手の保険会社と示談交渉をしていても、どうしても意見が合わずに決裂してしまうことがあります。
被害者が自分で示談を進めていると、示談が決裂したときにどう対応して良いかがわからないことが多いです。自分なりに調停やADRを進めてみたけれど、調停委員やセンターの弁護士に言われるままに和解して、それでよかったのかがわからないままということもありますし、調停やADRでも解決できないケースもあります。かといって、自分一人で裁判をすることは難しいので、賠償問題を棚上げにしたままにしてしまう例もありますが、その場合、損害賠償請求権の時効が成立してしまう可能性についても考えなければなりません。
弁護士に対応を依頼していたら、示談が決裂したとき、訴訟を中心とした適切な手続きを選択して、速やかに相手に対して賠償金の請求を行います。訴訟をすれば、相手が合意しなくても裁判所が支払い命令を出してくれるので、法的に正当な主張をしている限り、確実に高額な支払いを受けることが可能となります。
弁護士に依頼する方法
ネットで弁護士を探す
交通事故を依頼する弁護士を探すためには、ネットの情報を利用することをお勧めします。ネット上には、弁護士事務所がウェブサイトを開示しているので、効率よく交通事故に強い弁護士を探すことができるからです。
これまでの交通事故事件の解決実績が高く、交通事故事件に力を入れている事務所を探しましょう。今は、たくさんの弁護士事務所が無料相談を実施しているので、まずは無料でアドバイスを受けてみて、対応がよく、信頼できると感じたら、実際に依頼を出すと良いでしょう。
弁護士費用特約を使う
弁護士に依頼すると、高額な費用がかかることが心配という方も多いです。
もし、今自分が加入している自動車保険に弁護士費用特約がついていたら、弁護士費用を支払わずに弁護士に依頼できる可能性があります。弁護士費用特約とは、自動車保険が弁護士の相談料や着手金、報酬金などの費用を負担してくれる内容の保険のオプションです。自分の弁護士費用特約だけではなく、家族の弁護士費用特約を利用できることも多いので、事故に遭ったらまずは弁護士費用特約を利用できないか、調べてみましょう。
弁護士に依頼して、多額の賠償金を獲得しよう
弁護士に依頼すると、被害者が自分で示談交渉をするよりも、確実に賠償金が大きくアップします。それだけではなく、示談交渉にかかる精神的ストレスも軽減されて、被害者が治療に専念することも可能となるので、被害者にとっては非常にメリットが大きいです。
無料相談や弁護士費用特約を利用できると、負担も抑えて弁護士に依頼することができるので、これから示談交渉を行う方や、既に自分で示談交渉を始めている方は、是非ともお早めに、交通事故に強い弁護士に相談してみましょう。
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
- 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
- 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
- 適正な後遺障害認定を受けたい
- 交通事故の加害者が許せない