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急に夜勤を命じられて困っていませんか
来月からシフトに夜勤を入れる。上司からそう告げられて、返す言葉が見つからなかった。小さな子どもがいる、体調に不安がある、家族の介護がある。事情はあるのに、断れる気がしない。
周りも同じように夜勤に入っている。自分だけ外してほしいとは言い出せない。そうやって飲み込んでしまう方が、実際にはとても少なくありません。
けれども、事情は人それぞれです。同じ職場で働いていても、抱えているものは違います。横並びで我慢する理由はどこにもありません。
あるいは、もともと日勤の約束で入ったはずなのに、いつの間にか夜の勤務が当たり前になっていた。人が足りないからと言われれば、それ以上は言えない。そんな状況の方もいるでしょう。
入社のときに交わした書類を、あらためて読み返したことはあるでしょうか。実は勤務時間帯が限定して書かれていた、という例は珍しくありません。
入社時の書類は、たいてい封を切ったまましまい込まれています。取り出して読み返すだけで、状況が一変することがあります。
夜の勤務は、身体にも生活にも重くのしかかります。眠りの質が落ち、家族と過ごす時間がずれ、通院の予定も組みにくくなる。単に働く時間帯が変わるという以上の影響があります。
本人が慣れたつもりでいても、身体のほうは正直です。数か月してから不調が出てくることも珍しくありません。だからこそ、早い段階で確かめておく意味があります。
夜型に慣れたと感じていても、生活のリズムそのものが社会とずれていくことの負担は残ります。家族や友人と時間が合わないことも、じわじわ効いてくるものです。
ここで、最初にお伝えしておきたいことがあります。深夜の時間帯に働かせること自体は、それだけで違法になるわけではありません。多くの職場が、法律の枠内で夜の勤務を組んでいます。
けれども、会社が何の制約もなく命じられるかというと、そうでもありません。命じるための前提がありますし、法律が明確に断れると定めている立場もあります。
断れる立場にあることを知らないまま、何年も夜勤を続けてきた。そういう方に何度も出会ってきました。知っているかどうかで、生活そのものが変わります。
そして、命じられること自体は適法でも、その働かせ方に問題があるという場面は数多くあります。上乗せが支払われていない、休憩が取れていない、健康への配慮がまったくない。こうした点は別の問題です。
むしろ、相談として多いのはこちらのほうです。夜勤そのものは受け入れているけれど、それに見合う扱いを受けていない。そう感じている方が大半です。
そして、この部分は数字で確かめられます。感覚の問題ではなく、明細と記録を突き合わせれば答えが出るのです。
この記事では、会社が深夜勤務を命じられる前提、法律上断れる立場、断りにくいときの考え方、そして続けざるを得ないときに確かめたい点を順にお話ししていきます。
あわせて、シフトの組み方そのものに問題がある場合についても触れます。夜勤の有無より、組み方のほうが負担の正体だったという例は少なくありません。
読み終えるころには、自分の場合はどこに立っているのかが見えているはずです。まずは知ることから始めてください。
知ったうえで受け入れるのと、知らないまま我慢するのとでは、同じ働き方でも意味がまったく違います。我慢するしかないと思い込んだまま体を壊してしまう。それがいちばん避けたい結末です。
確かめる作業のほとんどは、会社に知られずに始められます。手元の書類を並べるところからで十分です。
深夜勤務そのものは違法ではない
まず前提を整理しましょう。法律は、夜の時間帯に働くこと自体を禁じてはいません。
ここを誤解したまま話を進めると、主張の組み立てを間違えてしまいます。最初に押さえておきましょう。
違法だと思って強く出た結果、根拠がないと突き返されて動けなくなる。そうした遠回りを避けるためでもあります。
ここでいう深夜の時間帯とは、原則として夜十時から翌朝五時までを指します。この時間帯に働いた場合、賃金に上乗せが必要になると定められています。
この時間帯にかかった部分だけが対象です。夜九時に上がった日は含まれませんし、逆に朝六時まで働けば五時までの分が対象になります。境目を意識しておいてください。
上乗せが定められているということは、裏を返せば、働かせること自体は想定されているということです。医療、介護、運送、警備、製造、飲食。社会には夜に動き続けなければならない仕事が数多くあります。
これらの仕事がなければ、社会は回りません。ですから、法律は一律に禁じるのではなく、上乗せと保護の仕組みを設けるという形を取っています。
上乗せがあるのは、夜に働くことの負担を賃金の面で埋め合わせるためです。保護があるのは、負担に耐えられない事情を抱える人がいるためです。どちらも意味があって置かれています。
ですから、夜勤を命じられたこと自体を違法だと主張しても、それだけでは通りません。争点は別のところにあります。
問われるのは、命じるための前提が整っているか、そして働かせ方が適切かという二点です。ここを分けて考えると、話の筋が通りやすくなります。
では、会社は無制限に命じられるのでしょうか。そうではありません。命じるには、いくつかの前提が必要です。
ひとつめは、労働契約や就業規則のうえで、深夜の勤務が予定されていることです。何もないところから一方的に命じられるわけではありません。
雇用契約書に勤務時間帯がどう書かれているか。就業規則に交替制の定めがあるか。まずはここを確かめてください。書面が手元になければ、会社に写しを求めるところから始まります。
写しを求めることは、何ら後ろめたい行為ではありません。自分の労働条件を確かめたいと伝えれば足ります。渋られるのであれば、その対応自体が気になる点になります。
二つめは、その勤務が法律の定める労働時間の枠に収まっていることです。夜に働かせるとしても、一日や一週の上限を超えれば、それは別の問題になります。
時間帯の話と、長さの話は別です。夜に働かせること自体が適法でも、その長さが上限を超えていれば、そこは是正が必要になります。
上限を超えて働かせるには、あらかじめ取り決めを結び、行政に届け出ておく必要があります。その手続きが踏まれているかも、確かめる余地のある点です。
三つめは、法律が特別に保護している立場の人に対しては、制限がかかるという点です。ここが、次の章でお話しする内容です。
この保護は、当てはまる方にとってはとても強い効き目を持ちます。自分が入るかどうかを確かめてみてください。
ここまでを踏まえたうえで、自分の職場がどこに当てはまるかを考えてみてください。契約に何も書かれていないのに命じられているのか。それとも、書かれてはいるが働かせ方に問題があるのか。この二つは、取るべき対応がまったく違ってきます。
前者であれば契約の中身を確かめる話になりますし、後者であれば労働時間や賃金の話になります。どちらなのかを見極めることが最初の一歩です。
法律で断れると定められている立場
次に、法律が明確に保護している立場を見ていきます。当てはまるのであれば、堂々と断れます。いずれも、会社の温情ではなく法律に根拠がある話です。遠慮する必要はありません。順に見ていきますので、自分や家族の状況と照らし合わせながら読んでみてください。
まず、満十八歳に満たない方については、原則として深夜の時間帯に働かせてはならないとされています。これは本人が承諾していても変わりません。
本人が働きたいと言っていても、保護者が同意していても同じです。年齢による保護は、当事者の合意で外せない性質のものだからです。アルバイトであっても変わりません。雇われ方によって扱いが変わるものではないからです。
次に、妊娠している方と、出産後まもない方についてです。求めれば、深夜の勤務をさせないよう会社に義務づけられています。会社の側に判断の余地はありません。
体調が良いから大丈夫だろう、という会社の判断で押し切られるものではありません。求めるかどうかを決めるのは、あくまで本人です。
逆に、本人が働き続けたいと考えているのであれば、それも尊重されます。義務ではなく、選べる権利だという点を押さえておいてください。
三つめが、小さな子どもを育てている方です。就学前の子を養育している方が求めた場合、会社は深夜の勤務をさせてはならないとされています。
父母のどちらであっても求められます。母親だけの権利ではありません。この点を知らずに諦めている方が、意外に多くいます。
共働きであっても使えます。配偶者が家にいるから駄目だ、と一律に言われる筋合いのものではありません。四つめが、家族の介護を担っている方です。こちらも、求めれば同じ扱いを受けられます。
介護の対象となる家族の範囲や、状態についての要件は定められています。自分が当てはまるか分からない場合は、その点も含めて相談してみてください。
同居しているかどうかで結論が変わる部分もあります。曖昧なまま諦めるより、確かめてしまうほうが早いでしょう。
これらは、お願いすれば考慮してもらえるという性質のものではありません。求めることそのものが法律上の権利として認められています。
ですから、上司の裁量で断られる筋合いのものでもありません。会社の担当部署が制度を理解していない場合には、根拠を示して伝えることになります。
ただし、いずれも自分から求める必要があります。黙っていれば会社が配慮してくれる、という仕組みにはなっていません。
ここでつまずく方が本当に少なくありません。事情は分かっているはずだと思っていても、会社の側は求められていないと整理してしまいます。
求め方についても決まりがあります。いつからいつまで免除してほしいのかを、あらかじめ会社に伝えることが求められます。書面で出しておくのが確実でしょう。
会社に所定の様式があれば、それを使えば足ります。様式がないのであれば、自分で書いて構いません。日付と内容が残る形にしておくことが大切です。
提出したら、控えを手元に残してください。受け取ってもらえなかった場合には、その事実こそ記録しておく価値があります。
なお、育児や介護を理由とする場合には、例外が定められています。事業の運営に支障が出る場合や、同居する家族が子どもを世話できる状況にある場合などです。
とはいえ、この例外は限定的に考えられています。人手が足りないという一般的な事情だけで、当然に例外になるわけではありません。
会社の側には、配置を調整する努力が求められます。ほかに配置できる人がいないのか、業務の割り振りを変えられないのか。そうした検討をしないまま例外を主張することはできません。
法律で深夜勤務を断れる主な立場を、表にまとめました。
| 立場 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 18歳未満 | 労働基準法61条 | 原則として深夜に働かせることが禁止されている |
| 妊娠中・産後1年以内 | 労働基準法66条 | 本人が請求すれば、会社は深夜に働かせてはいけない |
| 小学校入学前の子を育てている | 育児・介護休業法19条 | 請求すれば深夜勤務が免除される(入社1年未満などは対象外になることがある) |
| 家族を介護している | 育児・介護休業法20条 | 要介護状態の家族がいれば、同じく請求できる |
育児や介護を理由とする請求は、原則として開始の1か月前までに、期間を示して書面で行います。会社は、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、断ることができません。「人が足りないから」というだけでは、正常な運営を妨げる理由として認められにくいのが実際のところです。
それでも断りにくいときの考え方
法律上の立場に当てはまらない。あるいは当てはまるけれど、職場の空気を考えると言い出せない。そういう方が実際には多いはずです。
制度があることと、それを使える雰囲気があることは別だからです。この難しさは、私たちもよく分かっています。
それでも、切り出し方を工夫することで通ることは少なくありません。全部を諦める前に、やりようがないかを考えてみてください。
まず知っておいてほしいのは、法律上の権利を行使したことを理由に不利益な扱いをすることは認められないという点です。夜勤を断ったから評価を下げる、担当を外す、契約を更新しない。こうした対応は問題になります。
実際にそうした対応を取られた場合には、それ自体が別の争いになります。ですから、断ったことと、その後の扱いの変化は、時系列で記録に残しておいてください。
とはいえ、それを分かっていても言い出しにくいのが現実でしょう。そこで、いくつか進め方をお示しします。
ひとつめは、拒否という形にせず、事情の説明から入る方法です。断りますと切り出すより、こういう事情があるので調整をお願いしたい、と伝えるほうが受け入れられやすいものです。
会社の側も、対立の構図になると身構えます。相談という形で持ち込めば、担当者が動きやすくなることもあります。
二つめは、代わりの案を添えることです。夜勤の回数を減らせないか、特定の曜日だけ外せないか。全面的に断るより、話が前に進みやすくなります。
会社としても、まったく調整できないという答えは出しにくいものです。落としどころを先に示しておくと、担当者が上に上げやすくなります。
三つめは、健康上の事情がある場合に、医師の意見を添えることです。主治医から書面をもらえるのであれば、それは説得力のある材料になります。
会社としても、健康を損なうと分かっていながら働かせ続けることは避けたいはずです。書面があれば、対応せざるを得ない立場に置かれます。
四つめは、やり取りを形に残すことです。口頭でお願いしたが取り合ってもらえなかった、という状態がいちばんよくありません。
後から会社が、そんな相談は受けていないと言い出すこともあります。記録は、そうした食い違いを防ぐためのものです。
電子メールでもメッセージでも構いません。いつ、どんな事情を伝え、どう返されたのか。この記録が、後に大きな意味を持ちます。
口頭で話した場合でも、その日のうちに要点を書き留めておけば手がかりになります。念のため確認ですと前置きして、メールで送り直しておく方法もあります。
それでも取り合ってもらえない場合には、外部の力を借りる段階です。詳しくは後ほどお話しします。
その前に、いま置かれている状況を客観的に確かめておきましょう。次の章の内容は、断れる断れないにかかわらず役に立ちます。
深夜勤務が続くときに確かめたいこと
断れない、あるいは断らずに続ける。その場合でも、確かめておくべき点があります。ここを見落とすと、損をしたまま働き続けることになります。
夜勤を受け入れるという判断自体は、否定されるものではありません。ただし、受け入れる以上は、それに見合う扱いを受けているかを確かめてください。
最初に確かめたいのが、上乗せが支払われているかどうかです。給与明細を開いて、深夜に関する項目が立てられているかを見てください。
できれば一年分を並べてみてください。三か月分でも傾向は見えますが、繁忙期と閑散期の差まで含めて眺めると、不自然さに気づきやすくなります。
項目がない、あるいはあっても額がまったく動いていない。そうした場合は、計算されていない疑いがあります。夜の勤務が多かった月と少なかった月を並べてみると、はっきりします。
手当という名前でひとまとめにされている場合もあります。その場合は、何時間分をどう計算した結果なのかを尋ねてみてください。答えられないのであれば、そこが糸口になります。
次に確かめたいのが、労働時間そのものです。夜勤が入ることで、一日や一週の上限を超えていないでしょうか。夜勤明けにそのまま日勤に入るような組み方をされていれば、注意が必要です。
日付をまたぐ勤務は、どちらの日として数えるのかが分かりにくいものです。ここが曖昧なまま集計されている職場では、上限を超えていることに誰も気づいていない場合があります。
三つめが、休憩と休息です。長時間の勤務であれば、その途中に休憩を取れていなければなりません。仮眠の時間が実際には呼び出しに備えた待機になっているのであれば、それは休憩とは言えません。
仮眠室にいても、呼び出されれば起きなければならない。そうした状態は労働から解放されているとは言えず、労働時間として扱われる余地があります。
四つめが、健康への配慮です。深夜の勤務が一定の回数を超える方については、通常より頻繁に健康診断を受けさせることが会社に求められています。
受けられているつもりでも、実際には通常の頻度でしか実施されていないという職場があります。いつ受けたかを振り返ってみてください。
受けさせてもらえていないのであれば、それ自体が問題です。あわせて、体調に変化を感じているなら記録を残しておいてください。
眠れなくなった、食欲が落ちた、動悸がする。こうした変化は、後になって思い出そうとしても曖昧になります。日付とともに書き留めておくことをおすすめします。
五つめが、休日の確保です。夜勤が連続することで、法律上必要な休みが取れなくなっていないかを見てください。
法律上の休日は、週に一日、あるいは四週を通じて四日とされています。夜勤明けの日を休みとして数えられていないか、確かめてみる価値があります。
これらは、どれも自分で確かめられる範囲のことです。明細とシフト表を並べるだけで、多くのことが見えてきます。
確かめる順に並べておきます。
- 給与明細に深夜に関する項目が立てられているか。
- その項目の額が、夜の勤務が多い月と少ない月で動いているか。
- 夜勤を含めた一日と一週の労働時間が、法律の上限に収まっているか。
- 勤務の途中に休憩が取れているか。仮眠が実質的な待機になっていないか。
- 深夜の勤務が続く場合の健康診断が実施されているか。
- 法律上必要な休みが確保されているか。
ひとつずつ潰していけば、どこに問題があるのかが絞り込めます。全部を一度に見ようとしなくて構いません。気になる項目がひとつでも見つかれば、それが相談の入り口になります。
シフトの組み方に問題がある場合
夜勤そのものより、シフトの組み方に問題があるという相談も多くあります。ここも整理しておきます。
負担の正体が、夜に働くこと自体ではなく、予定が立たないことにある。そういう方は少なくありません。
よくあるのが、シフトが直前まで出ないという運用です。前月のうちに決まっていれば予定を立てられますが、数日前に伝えられるのでは生活が成り立ちません。
通院の予定も、子どもの行事も、家族との約束も組めない。夜に働くこと以上に、この不確実さが負担になっている方は多いはずです。
一定期間を平均して労働時間を判断する制度を採っている職場では、あらかじめ勤務を決めておくことが前提とされています。直前まで決まらない運用は、その前提から外れている可能性があります。
次によくあるのが、いったん決まったシフトを頻繁に変更されるというものです。人が休んだから急に入ってほしい、という連絡が日常的に入る職場です。
断りにくい形で連絡が来ることも多いでしょう。誰も手を挙げなければ回らない、という状況を作られると、事実上の強制になります。
事情は理解できますが、これが繰り返されていれば、前もって決めておくという仕組みは形だけのものになってしまいます。
三つめが、勤務と勤務の間隔が極端に短いという問題です。夜遅くまで働いて、翌朝また早くから出る。この繰り返しは、身体への負担がとりわけ大きくなります。
帰宅して眠り、身支度をして出るまでの時間を数えてみてください。実際に休めている時間が、驚くほど短いことに気づくはずです。
間隔をどれだけ空けるかについて、法律が一律に定めているわけではありません。しかし、健康を損なうような組み方が続いているのであれば、会社の配慮が足りていないと評価される余地があります。
実際に体調を崩してしまった場合には、その原因が働き方にあったと認められることもあります。ですから、勤務の記録と体調の記録を並行して残しておく意味があります。
いずれの場合も、記録が要になります。シフト表がいつ配られたか、どう変更されたか。手元に残しておいてください。
配られた紙の写真を撮っておく、変更を伝える連絡を消さずに残しておく。それだけで十分な記録になります。
会社に伝えても動かないときの進め方
説明しても取り合ってもらえない。そうした場合に取れる道をお話しします。
まず、社内に相談の窓口があるなら使ってみてください。人事の部署でも、労働組合でも構いません。直属の上司との間で止まっている話が、動くことがあります。
上司ひとりの判断で止まっていただけだった、という結末は実際にあります。まずは経路を変えてみてください。
それでも変わらないのであれば、行政の窓口に持ち込む方法があります。深夜の上乗せが支払われていない、休憩が取れていない、健康診断が実施されていない。こうした点は、法律違反として扱われる事柄です。
ただし、行政の窓口は法律違反があるかどうかを見るところです。あなた個人の未払い分を計算して取り戻してくれるわけではありません。目的に応じて使い分けてください。
それでも、外から指摘が入ることで職場の運用が変わることはあります。同じ状況で困っている同僚がいるなら、その人たちにとっても意味のある動きになります。
具体的な金額を取り戻したい、あるいは配慮を求めても応じてもらえないという場合には、弁護士に相談することになります。
弁護士に相談すると聞くと身構えるかもしれませんが、まずは事情を話して見通しを聞くだけでも構いません。動かないという判断をしても、それは無駄ではありません。
費用が心配で足が止まる方もいるでしょう。初回の相談を無料としているところもありますし、収入によっては費用の立替えを受けられる公的な仕組みもあります。
相談の際には、雇用契約書、就業規則、給与明細、シフト表、そして会社とのやり取りの記録を持っていってください。そろっているほど話が早く進みます。
すべてがそろっていなくても構いません。あるものを持っていけば、そこから何が足りないかを一緒に整理できます。
夜勤が長く続いているほど、積み上がっている額も大きくなります。動き出すのが早いほど、取り戻せる範囲は広くなります。
迷ったままにせず、まずは一度、状況を並べて見てもらってください。それだけでも進む方向が見えてきます。
育児や介護を理由に深夜勤務の免除を求めるときは、次の手順で進めます。
- 就業規則や社内の手続きで、請求の方法と様式を確かめる。
- 免除を受けたい期間(1回につき1か月以上6か月以内)を決める。
- 開始日の1か月前までに、書面で会社に請求する。
- 会社の返答と、その後のシフトを記録しておく。
深夜勤務に関するよくある質問
子どもが小さいのですが、夜勤を断れますか
就学前の子を養育している方が求めた場合、会社は深夜の時間帯に働かせてはならないとされています。これはお願いではなく、法律上の権利です。ただし、自分から求める必要があります。黙っていれば会社が配慮してくれる仕組みにはなっていませんので、いつからいつまで免除してほしいのかを、あらかじめ書面で伝えてください。なお、事業の運営に支障が生じる場合などの例外は定められていますが、人手が足りないという一般的な事情だけで当然に例外になるわけではありません。断ったことを理由とする不利益な扱いも認められません。
もともと日勤の約束でしたが、夜勤を命じられました
まず、雇用契約書と労働条件通知書を確かめてください。勤務時間帯がどう定められているかが書かれているはずです。日勤に限る趣旨で契約していたのであれば、一方的に夜の勤務を命じることには問題があります。就業規則に深夜の勤務がある旨の定めがあったとしても、個別の契約で限定していたのであれば、そちらが優先される場合があります。書面が手元にないのであれば、会社に写しを求めてください。求めた事実も記録に残しておくと、後で役に立ちます。
夜勤なのに深夜の上乗せがついていません
確かめる価値が十分にあります。深夜の時間帯に働いた分の上乗せは、残業したかどうかとは関係なく発生するものです。もともとのシフトが夜勤であっても、夜十時から翌朝五時までにあたる部分については必要になります。給与明細に深夜に関する項目が立てられているか、立てられていても額が月ごとに動いているかを見てください。夜の勤務が多かった月と少なかった月を並べると、計算されているかどうかが見えてきます。明細とシフト表がそろっていれば、おおよその不足額も出せます。
夜勤を断ったら評価を下げると言われました
そうした対応は認められません。法律上の権利を行使したことを理由に不利益な扱いをすることは、それ自体が問題として扱われます。評価を下げる、担当を外す、契約を更新しない。いずれも同じです。まずは、そう言われた事実を記録に残してください。誰から、いつ、どういう場面で言われたのか。可能であれば、その場でのやり取りをメールなどで確かめる形に置き換えておくと確実です。実際に不利益な扱いを受けた場合には、その経緯とあわせて相談してください。
