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退職を強要された どうする?経緯を記録し弁護士に相談を!
この記事で分かること
- 退職勧奨は法律で認められてるが、行き過ぎると退職強要となり不法行為にあたる
- しつこい退職勧奨、追い出し部屋、退職に応じるしかないと思いこませる行為などは退職強要
- 退職を強要されたら、こまめに記録を残し、労働・雇用問題に強い弁護士に相談を
退職強要とは、会社が従業員に不当な圧力をかけるなどして退職に追い込む不法行為です。法律で認められている退職勧奨を長期間しつこく行う、精神的に追い詰める、退職に応じるしかないと思い込ませるといった行為を受けても、退職に応じる必要はありません。
会社が従業員に退職を強要することは不法行為
会社で働く従業員が離職する形式は解雇か退職のいずれかです。解雇とは会社の都合で一方的に労働契約を解除することで、懲戒解雇、整理解雇、普通解雇があります。一方、退職は解雇以外の方法で労働契約が終了することです。
退職強要とは
退職の種類には自己都合退職や定年退職などがありますが、会社が従業員に対して退職をもちかける場合もあり、法律で認められています。しかし、従業員に辞める意思がないにも関わらず会社が無理に退職を迫る行為は「退職強要」にあたり、重大な問題です。
退職勧奨とは
会社が従業員に退職を推奨することを「退職勧奨」と言います。退職勧奨は会社側と従業員の合意がなければ成立しないため、退職勧奨を受けた従業員が必ずしも会社の方針に従う必要はありません。解雇のように会社の都合だけで決められるものではないのです。このように退職勧奨には強制力がないため、会社は自由に退職勧奨を行うことができます。また、就業規則や雇用契約書に退職勧奨の記載がなくても実施が認められています。
退職強要は不法行為
会社が従業員を辞めさせたいと考えても、労働者の権利は法律によって守られているため簡単に解雇することはできません。そこで、どうしても辞めさせたい場合に従業員に不当な圧力をかけるなどして自ら退職する形に持ち込む「退職強要」が行われるのです。行き過ぎた退職勧奨は退職強要として不当行為に当たります。従業員が裁判を起こして復職や慰謝料を勝ち取った事例もあります。
退職勧奨が行き過ぎると退職強要となる
実際に裁判になったケースでは、航空会社で行き過ぎた退職勧奨があり、成績の悪い従業員への嫌がらせ・暴力行為や実質的な仕事を取り上げた行為が問題となりました。このケースで裁判所は会社側に損害賠償責任があるとの判決を下しています。
退職勧奨が退職強要になるケース
退職勧奨が行き過ぎて退職強要となるのは、どんなケースなのでしょうか。具体的には、退職勧奨の期間が長い・回数が多い場合、嫌がらせで精神的に追い込んで退職させようとする場合、退職に応じるしかないと勘違いさせる場合です。
退職勧奨の期間が長い・回数が多い場合
会社が従業員に対ししつこく退職勧奨を行うと退職強要に当たります。普通では考えられないほどの頻度や回数で、しかも長期間にわたって勧奨を行なう、あるいは本人が退職勧奨を受け入れない意思をはっきり示しているのに会社を辞めるよう求め続けるといった行為は通常の退職勧奨の限度を超えています。
嫌がらせで精神的に追い込んで退職させようとする場合
従業員に自発的に「退職する」と言わせるために精神的に追い込む行為も退職強要です。いわゆる「追い出し部屋」がその一例で、ターゲットにした従業員を特定の部署に集め、業務とはほとんど関係ない簡単な作業、あるいは過酷な業務に従事させます。このほか、仕事を与えない・無視するといった嫌がらせや、大声で脅すように退職を迫る行為で勧奨することも退職強要です。
退職に応じるしかないと勘違いさせる場合
退職勧奨をする際、会社の言う通りにしないとさらに不利な状況になると従業員に勘違いさせる行為は退職強要に当たります。「退職勧奨を受け入れなければ懲戒解雇になる」と言ったり、「退職しなければ給料が大幅に下がるが、どちらがいいのか」と迫った場合などです。
退職を強要された時の対処法(1)記録を残す
もし自分が会社から退職強要のターゲットにされてしまった場合はどうすればいいのでしょうか。まずは退職強要に応じる義務はないということです。退職の意思がないことをはっきり伝えます。そして退職強要が続く間、こまめに記録を残していくことです。
客観的事実をノートや資料で残す
労働・雇用をめぐるトラブルの際は、会社とのやりとりを記録に残しておくことが重要です。具体的には、ノートに書く、資料を残すといった方法です。後々、会社に対して主張する際の証拠に活用できます。
ノートに書く
上司から言われた言葉や、上司の態度の変化、指示される業務内容の変化に違和感を感じたことなど、退職強要と関係しそうなことはすべてノートに書き留めておきます。会社のおかしな行為を漏れなく記録するため、何か出来事があったらこまめに記録することが大切です。数ヶ月経ってから「後で思い出して書こう」と思っても記憶が曖昧になっていることもあるので、仕事中なら携帯電話やスマートフォンなどを使ってメモをとり、自宅に帰ってからノートに書き出すという方法がおすすめです。
客観的事実を書く
記録を残す時は、出来事があった年月日・時間(始まりと終わりの時間)・場所を記入しておきます。記録を記入した日時も書き添えておくとなお良いでしょう。そして誰が何を言った、何をしたかをできるだけ正確に書きます。日記のように感情を吐き出すツールとは違って、客観的な事実を書くことを意識してください。思い出したくないような発言・行為もあるかもしれませんが、残しておけば後で役に立つ時がきます。
資料を残す
退職を強要したり嫌がらせの内容が書かれた文書がある場合は、捨てずに保管します。内容によってはすぐに捨てたくなるものもあると思いますが、受け取った年月日・時間・場所や関係者の発言・言動のメモとともに残しておきましょう。また、可能なら会社側が退職を強要する発言をICレコーダーやスマートフォンなどで録音しておくと有力な証拠になります。
退職を強要された時の対処法(2)一人で悩まず弁護士に相談する
退職強要のターゲットになったら、決して一人で悩みを抱え込まないでください。会社という組織に対し、一人の従業員は弱い存在です。労働・雇用トラブルを解決に導いてくれる組織・機関や専門家に相談することが有効です。
退職強要のトラブルを相談できる窓口
退職強要の相談先として代表的なものは、労働組合や労働基準監督署です。トラブルの経緯を記録したノートや資料を持っていけば、スムーズに状況を把握してもらえます。また、労働・雇用問題は弁護士の中にも専門家がいます。
労働組合・労働基準監督警署に相談する
労働組合に入っていれば、まず組合に相談してみましょう。労働組合は会社との間に入って交渉を行ってくれます。労働組合から団体交渉の申し入れがあった場合、会社はこれを拒否できないことが法律で定められています。しかし労働組合が会社に対してあまり力を持たない、あるいはそもそも労働組合がないというケースもあります。
その場合は最寄りの労働基準監督署に相談するのも一つの方法で、匿名でも無料で相談に乗ってもらえます。しかし労基署は労働基準法違反が明確でない場合は介入しない傾向があるため、望む成果が得られない場合もあるでしょう。
弁護士に相談する
雇用の問題は本人や家族の人生を大きく左右する問題であり、安心して生活するためには一刻も早く解決することが大事です。問題解決のために確かなサポートを得たい場合は、労働・雇用問題に強い弁護士に相談することがおすすめです。弁護士がついたことを会社に通知しただけで退職強要がストップするケースもあります。すでに退職させられてしまった場合も、裁判で無効にできるケースが少なくありません。
退職勧奨は法律で認められていますが、その方法が常識の範囲を超えると退職強要となります。一人で解決しようとせず、ぜひ弁護士に相談してみてください。
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