4,322view
会社から解雇予告を受けた!解雇予告手当を請求する方法は?
この記事で分かること
- 解雇予告は30日以上前にしなければならないと定められている
- 解雇予告期間が30日に満たない場合は解雇予告手当を請求できる
- 解雇が不当な場合は法的措置も検討できる
解雇予告された際には、手続が法律にきちんと則っているかを確認しましょう。解雇予告期間が30日に満たない場合は、解雇予告手当を請求することもできます。この記事では、解雇予告の概要、解雇予告手当の請求方法、解雇が不当であった場合の対処法について解説します。
解雇予告とは?
最初に、解雇予告とは法的にどのように定められているのか、解雇予告手当の計算方法、および試用期間中など解雇予告が適用除外されるケースについてみていきましょう。
解雇予告は30日以上前にすることが必要
会社が社員を解雇しようと思ったら、解雇する日の30日以上前に解雇予告をしなければならないと法律で定められています。会社に解雇されることは社員にとっては大問題です。解雇後の身の振り方を社員が検討・準備するために30日間の解雇予告期間が設けられています。もし、解雇予告期間が30日に満たない場合は、足りない日数分の平均賃金を解雇予告手当として社員に支払わなければなりません。
解雇予告は口頭でもいいの?
解雇予告の方法については、法律での定めはありません。したがって、解雇予告が口頭でなされることもあるでしょう。しかし、口頭での解雇予告はあとで「言った、言わない」のトラブルになることがあります。解雇予告が口頭でなされたら、解雇の理由が明記された解雇通知書を請求しましょう。解雇理由などについての証明書の発行を社員から請求されたら、会社はこれを交付しなければならないと法律で定めがあります。
解雇予告手当の計算方法
解雇予告手当は、解雇予告期間が30日に足りない日数に平均賃金をかけたものです。
解雇予告手当の額 = 解雇予告期間が30日に足りない日数 × 平均賃金
例えば、5月31日付で解雇するのなら、その30日前である5月1日までには解雇予告がされなければなりません。もし、5月31日付の解雇を5月15日に予告したのなら、30日に足りない日数は14日であることになります。
平均賃金は、直近3ヶ月間における賃金の総額を、3ヶ月の日数で割ったものです。賃金の総額に賞与は含まれませんが残業代や家族手当、通勤手当などは含めることとなっています。日数は、労働日数ではなくカレンダーの日数です。
試用期間中など解雇予告が適用除外されるケース
「解雇予告をしなくていい」と、解雇予告の適用が除外されるケースがあります。それは次のようなものです。
- 雇用期間が1ヶ月以内の日雇い労働者
- 2ヶ月以内の期間で契約している人
- 4ヶ月以内の期間で契約している季節労働者
- 試用期間が始まって14日以内の人
試用期間中の場合は、14日を超えて試用期間が継続することになった場合は、解雇予告の規定は正社員と同様に適用されます。
また、懲戒解雇で労働基準監督署の認定を受けた場合にも、解雇予告は適用が除外されます。
解雇予告手当の請求方法
ここまでで、解雇予告の概要についてみてきました。解雇予告は、解雇日の30日以上前にされなければなりません。また、もし解雇予告期間が30日に満たない場合は、その日数分の解雇予告手当が支払われなければなりません。次に、本来は支払われなければならないはずの解雇予告手当が支払われなかったケースについて、解雇予告手当の請求方法をみていきましょう。
解雇予告通知書・解雇理由書を発行してもらう
解雇予告が口頭で行われた場合には、あとで「言った、言わない」のトラブルになることがあります。解雇予告された日付を文書として残すために、解雇予告通知書を会社に発行してもらいましょう。解雇予告通知書は、上で解説したとおり、社員から請求されたら会社は必ず交付しなければならないと法律で定められています。
また、解雇予告通知書には、解雇理由を必ず記載してもらいましょう。解雇理由は、解雇が不当でないかどうかを確認するための大きな判断材料となります。
内容証明を会社に送る
解雇予告通知書を入手したら、「解雇予告手当の支払いを求める」旨の内容証明郵便を送りましょう。内容証明郵便は手紙の内容を郵便局が証明してくれるもので、解雇予告手当の請求をしたことが公的に証明されます。後に訴訟などになった場合、請求を公的に証明しておくと役に立つこともあるでしょう。
労働基準監督署に申告する
内容証明郵便を送ることとあわせ、労働基準監督署に解雇予告手当の不払いを申告しましょう。労働基準監督署が会社に対し、指導や勧告をしてくれる可能性があります。
解雇が不当であるケースと不当解雇への対処法
それでは最後に、解雇が不当であるかどうかの判断方法と、不当解雇の場合の対処法についてみていきましょう。
解雇が法律で禁止されるケース
解雇が法律で禁止されるケースがあります。このようなケースでの解雇は違法性が高く、不当解雇のなかでも悪質だとみなされます。解雇が法律で禁止されるのは以下のような場合です。
- 業務上の負傷または疾病の療養のために休業する期間、およびその後の30日間(労働基準法第19条)。
- 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労働基準法第3条)。
- 行政官庁または労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇(労働基準法第104条2項)。
- 年次有給休暇を取得したことを理由とする解雇(労働基準法附則第136条)。
- 女性であることを理由とした解雇。男女の均等な機会および待遇の確保にかかわる紛争に関する援助・調停を都道府県労働局長に求めたことを理由とする解雇(男女雇用機会均等法第6条)。
- 女性が婚姻、妊娠、出産し、産前産後の休業をしたことを理由とする解雇(男女雇用機会均等法第9条)。
- 産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業する期間およびその後の30日間(労働基準法第19条)。
- 育児休業の申し出をし、また育児休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条)。
- 介護休業の申し出をし、また介護休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第16条)。
- 労働組合員であること、労働組合に加入し、もしくは結成しようとしたこと、もしくは労働組合の正当な行為をしたことを理由とする解雇および労働委員会への申立て等を理由とする解雇(労働組合法第7条)。
- 労働基準監督機関に申告したことを理由とする解雇(労働基準法第104条)。
- 女性労働者が、男女の均等な機会・待遇に関する事業主の措置での募集・採用、配置・昇進・教育訓練、一定の福利厚生、定年・退職・解雇にかかわる係争について都道府県労働局長に援助を求めたことを理由とする解雇(男女雇用機会均等法第17条2項)。
- 解雇予告または予告手当の支払を欠く解雇(労働基準法第20条)。
解雇が不当だとみなせるケース
解雇の理由が上の法令に違反していなくても、「客観的な合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合(労働契約法16条)」には解雇は不当だとみなされます。具体的には、それは次のようなケースです。
- 就業規則や労働契約書の内容に反した、または記載されていない理由で解雇した場合。
- 整理解雇(リストラ)で、①人員削減の必要性があること②解雇を回避するための措置をとること③解雇の人選が適切であること④従業員に説明し、納得させていたこと――の4要件を満たさずに行った場合。
不当解雇は法的な措置も検討しよう
解雇が不当である場合には、法的措置をとることにより、
- 解雇されなければ支払われていたはずの賃金の請求
- より違法性が高い場合には慰謝料の請求
をすることも可能となります。弁護士と相談のうえ適切な対応策を検討しましょう。
解雇予告されたら弁護士に相談しよう
解雇予告をされた場合は、「自分が良くなかったからだ」と自分を責めることも多いでしょう。しかし、たとえ自分に非があったとしても、会社が社員を自由に解雇していいわけではありません。解雇予告されたら、泣き寝入りするのではなく、労働問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。弁護士が法律の豊富な知識と法的な交渉力とを駆使して、苦境から抜け出す手助けをしてくれることでしょう。
- サービス残業、休日出勤がよくある
- タイムカードの記録と実際の残業時間が異なる
- 管理職だから残業代は支給されないと言われた
- 前職で残業していたが、残業代が出なかった
- 自主退職しなければ解雇と言われた
- 突然の雇い止めを宣告された