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賃貸不動産の退去・立ち退き交渉~弁護士に相談する費用とメリット

この記事で分かること

  • 賃貸不動産の退去・立ち退き交渉を弁護士に相談すれば揉めずに早期に解決できる
  • 退去・立ち退き交渉の弁護士費用は総額で40万円~
  • 退去・立ち退き交渉では交渉戦略を弁護士としっかり相談しよう

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉は、感情的な対立を引き起こしてこじれることになりがちです。この記事では、退去・立ち退き交渉を弁護士に相談するメリットと費用、および交渉の流れについて解説します。

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉を弁護士に相談するメリット

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉は、当事者同士で話し合うと感情的な対立を引き起こし、こじれてしまうことがあります。専門家である弁護士が間に入ることにより、交渉がよりスムーズに進みます。また、立ち退き料などについて法律に基づいた算定ができるのも、弁護士に相談するメリットです。

メリット1 揉めずに解決することができる

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉が感情的になりがちなのは、貸主と借主の双方が重い事情を抱えることによるでしょう。貸主にとっては借主に出ていってもらわなければならない事情があります。一方、借主にとっても、たとえば家賃の滞納を好き好んでする人は少ないですし、退去したあとの引越し先の物件をみつけることが容易ではないこともあるでしょう。

そのような貸主と借主の当事者同士の交渉に、第三者として弁護士が入ることにより、交渉はよりスムーズに進みます。法律の専門家として弁護士が、貸主・借主の双方が満足できる解決策を提案することもできるでしょう。

メリット2 早期に解決することができる

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉は、長引くことになりがちです。感情的な対立がその原因となることもあります。また、必要な書類の作成や一つ一つの手続きにも多くの時間がかかります。法的な交渉の専門家である弁護士は、当事者同士の感情的な対立を解きほぐしていくのとともに、書類作成や手続きなども迅速に行います。

メリット3 立ち退き料などについて法律に基づいた算定ができる

「老朽化した建物を建て替える」など貸主の事情で立ち退きを求める場合は、立ち退き料の支払いが必要となることがあります。立ち退き料は相場といえるものがなく、ケースバイケースで判断しなくてはなりません。弁護士に相談することで、法律に基づいた適正な立ち退き料を算定することができ、法外な要求があった場合でもそれを断ることができます。

ワンポイントアドバイス
賃貸不動産の退去・立ち退き交渉は、感情的な対立がこじれてしまうとなかなか前へ進めなくなることがあります。裁判に訴えなければ解決できなくなることも場合によってはあるでしょう。したがって、弁護士に相談するのはなるべく早い段階がおすすめです。こじれる前に弁護士が介入すれば、より短い時間で交渉が終わるでしょう。

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉を弁護士に依頼するための費用

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉を弁護士に依頼するには、着手金や報酬金などの費用がかかります。着手金と報酬金は、退去・立ち退きが借主の家賃滞納などによるものか、貸主の事情によるものかで変わります。

家賃滞納などによる退去の場合

借主が家賃を滞納したことなどによって退去を請求する場合には、着手金と報酬金は次の金額が相場です。

着手金

20万円~30万円。

報酬金

20万円~40万円。

ただし、着手金、報酬金とも、家賃の月額によって変わることがあります。

貸主の事情による立ち退きの場合

「老朽化した建物を建て替える」など貸主の事情による立ち退き交渉の場合には、交渉が成立した場合に貸主が得る経済的利益によって着手金と報酬金が変わります。

経済的利益が300万円以下の場合

  • 着手金 …8~10%(最低額は10万円)
  • 報酬金 …15~16%

経済的利益が300万円超~3,000万円までの場合

  • 着手金 …5~8% + 6万円~9万円
  • 報酬金 …10~12% + 9万円~18万円

経済的利益が3,000万円超~3億円までの場合

  • 着手金 …3~5% + 69万円~296万円
  • 報酬金 …6~10% + 69万円~469万円

経済的利益が3億円以上の場合

  • 着手金 …2% + 369万円~596万円
  • 報酬金 …4% + 738万円~1,069万円
ワンポイントアドバイス
賃貸不動産の退去・立ち退き交渉を弁護士に依頼した場合の費用は、弁護士事務所によって変わります。したがって、まずは弁護士事務所で、費用を含めた相談をしてみましょう。相談料は1時間につき5,000円~10,000円が相場ですが、弁護士事務所によっては初回の相談を無料とするところもあります。

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉を弁護士に依頼した場合の流れ

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉を弁護士に依頼すると、その後の手続きの流れは、

  1. 法律相談をする
  2. 交渉戦略を立てる
  3. 任意交渉を行う
  4. 訴訟を提起する

の4ステップです。弁護士と相談しながら慎重に手続きを進めましょう。

ステップ1 法律相談をする

最初に、弁護士と法律相談をします。法律相談では、どのような事情で退去・立ち退きを求めるのかを説明するのとともに、賃貸借契約の内容を確認します。賃貸借契約書は忘れずに持参しましょう。また、すでに交渉を始めている場合には、交渉内容の記録やメモを持参すれば、相談はよりスムーズに進むでしょう。

ステップ2 交渉戦略を立てる

退去・立ち退き交渉では、どのように交渉していくのかの戦略が重要です。特に、貸主の事情で立ち退きを求める場合には「正当事由」を見極めなければなりませんし、立ち退き料の支払いも必要となるでしょう。

立ち退きの請求には「正当事由」が必要

借主に立ち退きを請求するためには「正当事由」が必要です。一般に、賃貸借契約は期間を2年としていることが多いでしょう。「契約期間が終了したので立ち退きしてもらいたい」と思っても借主が拒否すれば、正当事由がない限り退去・立ち退きを求めることはできません。

正当事由には以下のようなものが該当します。

  • 借主が家賃を滞納し、請求をしても支払いがない
  • 「建物が老朽化して建て替えなければいけない」などやむを得ない事情が貸主にある

また、正当事由として単独では弱いものであっても、立ち退き料でそれを補うことができれば、正当事由として認められることもあります。

正当事由の精査は、退去・立ち退き交渉を行うに当たって大変重要です。正当事由がしっかりあれば、最終的には、訴訟を提起することで立ち退きをさせられます。逆に、正当事由が十分でない場合には、裁判所が立ち退きを認めないこともあり得ます。

立ち退き交渉は契約期間満了の1年前~6ヵ月前までに

貸主の都合で退去・立ち退きを請求する場合には、契約期間満了の1年前~6ヵ月前までに立ち退き交渉を行わなくてはなりません。借地借家法26条に、

「建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6ヵ月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」

と定めがあります。立ち退きを求めることは賃貸借契約の「更新をしない」ことに該当しますので、そのための通告を、上の条文の通り1年前~6ヵ月前までの間にしなければならないからです。

立ち退き料の相場は?

貸主の都合で退去・立ち退きを求める場合、交渉を円満に進めるためには立ち退き料の支払いが必要となることが多いでしょう。また、訴訟が提起された場合にも、立ち退き料は正当事由を補完するものとなりますので、裁判で立ち退きが認められやすくなります。

立ち退き料は、交渉次第で決まってくるものであり、はっきりとした相場はありませんが、だいたい以下のようなものとなります。

  • 立ち退きのための引越し費用
  • 引越し先の賃貸借契約で発生する敷金・礼金・不動産仲介料など
  • 現在よりも家賃が高いところへ引っ越さなければならない場合は、家賃の差額

ステップ3 任意交渉を行う

弁護士と相談して立案した交渉戦略に基づいて、解約申入れや更新拒絶の通知を行った上で、借主と交渉します。合意が成立した場合には和解契約を締結し、その内容に沿って退去・立ち退きが行われます。もし、当事者同士だけで話し合いをした方が交渉がスムーズに進むと判断される場合には、弁護士は正面へは出ず、後方支援役にまわることもあります。

ステップ4 訴訟を提起する

任意交渉で協議がまとまらない場合には、建物明け渡し請求訴訟を提起することになります。裁判の争点は「立ち退き請求に正当事由が認められるか」が主なものです。審理の途中で裁判所から和解をすすめられることもあります。和解に至らない場合には、最終的な判断を裁判所が判決として下します。

ワンポイントアドバイス
賃貸不動産の退去・立ち退き交渉を確実に進めるために欠かせない正当事由は、「十分であるかどうか」の判断が一般の人には難しいことも多いでしょう。正当事由が十分でない場合には、立ち退き請求が裁判で認められないこともあります。正当事由についての検討は、弁護士の判断を仰ぎながら慎重に進めましょう。

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉は弁護士に相談しよう

賃貸不動産の退去・立ち退き交渉はスムーズに進めばいいですが、感情的に対立するなどでこじれると精神的な負担ともなるでしょう。ましてや、訴訟を起こすとなった場合には、精神的にさらに消耗することにもなりかねません。さらに、法律の知識と交渉力も必要になるでしょう。素人判断で何とかしようとせず、不動産に強い弁護士などに依頼すれば、スムーズに手続きが進むでしょう。

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