マンションで起こりうる法律トラブル事例

この記事で分かること
  1. マンションでのトラブルは、まずはできるだけ穏便に交渉を
  2. 交渉でトラブルが解決しない場合は管理組合からの対処も法律で認められる
  3. トラブルがどうしても解決しなければ訴訟を提起することも可能

マンションでのトラブルは、ゴミ出しのマナー違反や共用部分の独占的使用、管理の滞納など、さまざまなものがあります。穏便な交渉などで解決しないトラブルは、管理組合による対処のほか法的措置も検討できます。この記事では、マンションの専有部分、共用部分、および管理についての法律トラブル事例を紹介します。

マンション専有部分についての法律トラブル事例

最初に、マンション専有部分についての法律トラブル事例を見ていきましょう。専有部分についてのトラブルは、法的な措置では完全に解決できない場合があるのも実情です。

近隣の騒音がうるさい!どうすれば?

「上階のテレビやステレオの音がうるさい」
「幼児が走り回る音で夜も眠れない」

など近隣の騒音問題は、マンションにおけるトラブルの代表的なものだといえるでしょう。

マンションの騒音トラブルを解決する際に重要なのは、「当事者同士で交渉しないこと」です。騒音はお互いにとってデリケートな問題であるために、双方が感情的になってしまいさらなるトラブルを招くことがあるからです。管理会社に相談したり、管理組合の総会などで提議するなど、第三者を巻き込むように工夫するのが良いでしょう。

それでも解決しない場合は、法的手段を行使することが選択肢となるでしょう。裁判の判例では、幼児が家の中を走り回る50~65デシベルの音が原因で不眠症になった事例で、損害賠償が認められています。健康被害があるなど実際の損害を受けている場合には、弁護士に相談するのが良いでしょう。

管理規約に反してペットを飼っている住民がいたら?

「ペット禁止の管理規約に反してペットを飼っている住人がいて迷惑」

というケースは、マンションのトラブルで多く見られます。ペットは、飼い主や動物が好きな人にとっては可愛いものですが、そうでない人にとっては鳴き声・吠え声や抜け毛、ニオイが迷惑なものとなります。

規約違反のペット飼育についての裁判所の判例は、上階で飼われている犬の吠え声で不眠症になったとして、健康被害の損害賠償とペット飼育禁止を求めて争われたものがあります。裁判所は、不眠症の損害賠償として100万円を命じたものの、ペットの飼育禁止については「犬の飼育や騒音で占有権までが侵害されたとはいえない」と請求を退けました。

したがって、ペットの飼育に関しては管理規約で、

  • ペットの飼育は専有部分のみでおこなう
  • 共有部分ではペットを抱えるかケージに入れる
  • 運動不足などによる無駄吠えを適切に防止する

などのルールを定めたうえで、飼育を認めることも1つの選択肢かもしれません。

住人が暴力団員だったら追放できる?

「マンションの住人が暴力団員だった。追放したい」

というケースは、マンショントラブルで比較的多く見られます。マンションは、構造が堅牢で住人同士が比較的干渉せず、対立組織から襲撃を受けた場合も住民を盾にできることから、暴力団の格好の隠れ家になっているといわれます。

マンションの管理規約に「暴力団禁止」が明文化されていれば、それを元に退去の請求がおこなえます。また、仮に明文化されていなくても、区分所有法で定める「共同の利益に反する行為」として、暴力団に退去の請求がおこなえます。

また、管理組合総会の特別決議を経ることで、専有部分の使用禁止請求を訴訟により求めることもできます。

ワンポイントアドバイス
マンションの専有部分についてのトラブルは、健康被害などのはっきりとした損害がある場合は別として、法的に解決することが難しい場合もあります。穏便な形で交渉し、理解を求めていかなければならないケースもあるでしょう。どのように交渉すれば解決するかは、法律と交渉の専門家である弁護士に相談するのも良いでしょう。

マンション共用部分についての法律トラブル事例

次に、マンション共用部分についての法律トラブル事例を見ていきましょう。共用部分についてのトラブルは、区分所有法により管理組合に権限が認められているために、比較的対処しやすいものだといえるでしょう。

ゴミ出しのルールを守らない人がいる

「燃やせるゴミと燃やせないゴミなどの収集日を守らない人がいる」

などのケースでは、ゴミが収集されずに収集場所に置き去りになるなどし、マンションの住民全体の迷惑となることがあります。

ゴミ出しのトラブルを解決するには、管理会社に依頼し監視や取締りを行ってもらうことが手始めの対策となるでしょう。また、ゴミ出しのルールを守らないことは区分所有法が定める「共同の利益に反する行為」に当たりますので、管理組合として、ゴミ出しのルールを守るよう貼紙を掲示する、違反者に対して改善を直接指示するなどのことも可能です。

万が一、それでも改善が見られない場合には、管理組合の総会で決議のうえ訴訟を提起し、「違反行為の禁止および差止め」を請求することも法的には可能です。

共用部分の独占的使用はやめさせられる?

「住人が、共用部分である部屋の前の通路に自転車などを置いているため、それが邪魔で通路の通行が困難になる」

など、共用部分の独占的使用がマンションで問題になることは多いでしょう。

通行が困難になるほど独占的に共用部分を使用することは、区分所有法が定める「共同の利益に反する行為」に当たります。したがって、上で解説したゴミ出しルール違反のケースと同様、管理組合は共用部分の独占的使用をやめるよう、違反者に請求することができます。

もし管理組合から請求を受けながら改善が見られない場合には、ゴミ出しの場合とやはり同様、管理組合の総会で決議のうえ訴訟を提起し、「違反行為の禁止および差止め」を法的に求めることもできます。

敷地内での不法駐車の対策は?

「敷地内に不法駐車が多くて困っている」

というケースは、マンションでは多いでしょう。マンションは私有地であるために、警察は介入することができません。

不法駐車があった場合は、まずは貼紙などで警告するのが良いでしょう。また、車のナンバーと不法駐車の証拠写真を陸運局に提出すれば、車の所有者を教えてもらうこともできます。不法駐車が度重なる場合には、所有者に直接警告することも有効でしょう。

それでも解決しない悪質なケースでは、土地所有権の侵害として訴訟により、損害賠償請求や車の退去請求をおこなうことも可能です。

ワンポイントアドバイス
共用部分の使用に関するトラブルは、「共同の利益に反する行為」の停止などを管理組合が請求することができると区分所有法に定められているために、比較的対処しやすいマンショントラブルであるといえるでしょう。訴訟の提起もできますが、訴訟には時間も労力もかかるため、トラブルは訴訟まで行く前での解決を目指しましょう。

マンション管理についての法律トラブル事例

最後に、マンション管理についての法律トラブル事例を見ていきます。特に、管理費の滞納については深刻な問題となりかねないため、早急な対処が必要となるでしょう。

滞納された管理費の取立てはどうすれば?

「マンションの管理費や修繕費を滞納している人がいる」

という問題は、滞納が続けばマンション管理や修繕が円滑に行えなくなる可能性がありますので、住民にとって深刻な問題になりかねません。

滞納された管理費の取立ては、最終的には訴訟によっておこなうことができます。ただし、訴訟のまえに以下のような手続きを踏むことで、訴訟に行く前での解決を目指すのが良いでしょう。

  1. 内容証明郵便で支払請求をする
  2. 支払督促を裁判所に申立てる

支払督促は、実態審理を行わず、申立者の請求により裁判所から督促されます。2週間以内に異議申立てがなければ、支払督促は裁判での勝訴と同じ効力があります。ただし、異議申立てがあった場合は、通常の訴訟に移行します。

総会で決議された修繕工事に住人が反対する場合は?

「管理組合の総会で決議された修繕工事に従わない住人がいるために工事が進められず困っている」

というケースは、マンションでは起こりやすいトラブルの1つです。

管理組合の総会は区分所有法において、区分所有者団体の最高意思決定機関として位置づけられています。区分所有者は、管理組合総会での決議に対し、たとえ反対であったとしても従わなければならないことが原則です。したがって、工事に反対する住人に対し、管理組合は工事への協力を請求したり、最終的には立退き訴訟を提起することもできます。

ただし、区分所有法では、共用部分の工事により区分所有者の専有部分に「特別な影響」が及ぶ場合には、決議の実行にあたり区分所有者の承諾が必要とされています。修繕工事が住人に対して大きな不利益を与える場合は、住人の承諾を得なくてはなりません。

ワンポイントアドバイス
管理費の滞納をはじめとし、マンションの管理についてもトラブルは多く起こります。管理費滞納は、マンションを管理していくうえで深刻な問題となりかねません。滞納が高額にならないうちに早急な対処が必要でしょう。滞納額が60万円以下の場合は、「少額訴訟」で比較的短期に判決を得ることもできます。手続きは、弁護士と相談のうえ確実に進めましょう。

マンションでの法律トラブルは弁護士に相談しよう

住宅は誰にとっても大切なものですから、マンションでのトラブルは法的および感情的に深刻な問題となることがあります。

訴訟となれば、時間や労力がかかるのはもちろんですが、精神的にも辛くなることもあるかもしれません。そんなとき、法律の専門知識を持ち、物心ともにサポートしてくれる弁護士の存在は、大変心強いものとなるでしょう。

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