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弁護士に無料相談すべき建築トラブルの事例
この記事で分かること
- 建築トラブルには注文建物に関するものとリフォームに関するものとがある
- 建築トラブルを解決するには瑕疵担保責任や債務不履行を追及する
- 建築トラブルに強い弁護士事務所は無料相談できるところもある
注文建物やリフォーム工事に欠陥があった際には、弁護士に相談することによりトラブル解決を目指しましょう。この記事では、弁護士に相談すべき建築トラブルの事例、弁護士に依頼した場合の建築トラブル解決法、および弁護士へは無料相談できるのかを解説します。
弁護士に相談すべき建築トラブル事例
弁護士に相談すべき建築トラブルには大きく分けて、
- 注文建物のトラブル
- リフォーム工事のトラブル
- 近隣トラブル
があげられます。これらそれぞれのトラブル事例を見ていきましょう。
注文建物のトラブル
注文して建築した建物についてのトラブルは、建築トラブルの中でも最も多いといえるものです。トラブル事例は以下のようなものがあります。
- 竣工後2年が経過し、浴室前の脱衣所の天井が突然崩落した。原因は、浴室と脱衣所の遮断が不完全であったことにより、浴室の熱気が脱衣所の天井裏に流れ込み、天井裏が高温多湿になったため。
- 地中に埋設してある排水管に亀裂が入り汚水が流れ出した。原因は、新規に盛り土をしたことにより軟弱層の地盤沈下が起きたため。
- 竣工後3ヶ月が経過し、冬になったため暖房を入れたところ、床に張った塩ビタイルが膨れ上がって建物が使えなくなった。原因は、デザインや色調を重視し材質を十分に検討せずに取入れた外国製の塩ビタイルが、伸縮性の大きな製品であったため。
- 竣工半年後に外壁からタイルが落下した。原因は、壁に吹き付ける風量や風力を設計段階で十分に考慮しなかったため。
- 部屋の入口ドアが床に擦れるようになった。原因は、特定の柱に計画値以上の集中的な荷重がかかったため。
リフォーム工事のトラブル
リフォーム工事を行うことにより、建物に欠陥が生じることも多くあります。トラブル事例には以下のようなものがあります。
- リフォームを行うに際し、将来に備えバリアフリーにするよう事業者に依頼した。ところが工事が終わってみると、最大5センチほどの段差があった。原因は、依頼者にとってバリアフリーとは「段差をゼロにすること」を意味していたのに対し、事業者は「少しの段差は許容される」と理解していたため。
- 購入した中古マンションに入居してみると、両側の住戸から話し声が聞こえるため、「話し声は聞こえなくなる」と説明されて遮音工事を行った。ところが、工事が終わっても話し声は以前と変わらず聞こえてくる。
近隣トラブル
近隣に新たに建物が建てられることによってトラブルが生じることがあります。具体的な事例は次のようなものです。
- 近隣の土地に高層ビルが建てられたことにより、自分の建物に、昼間でも日差しが入らなくなった
- 目の前に建てられた建物により、自分の建物からのせっかくの眺めが台無しになった
建築トラブルを弁護士に依頼した場合の解決法
建築トラブルには、注文建物やリフォーム工事に関するものがあることを見てきました。それでは次に、それぞれのトラブルに対し、弁護士に依頼するとどのような解決法があるのかを見ていきましょう。
注文建物のトラブルの解決法
新築注文建物のトラブル解決法は、引渡し後10年以内なら、事業者の「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」を追及することがあげられます。瑕疵担保責任を追及する具体的な方法には、補修請求や損害賠償請求などがあります。また、引渡し後10年を過ぎた場合でも、事業者の不法行為責任を追及することにより損害賠償請求ができることがあります。
瑕疵担保責任の追及
注文建物建築の事業者に対して瑕疵担保責任を追及するためには、注文建物に瑕疵があることが要件となります。瑕疵とは、
- 建物が通常期待される品質を欠く場合
- 契約で特に定めた品質を欠く場合
のいずれかを意味します。建物の欠陥が瑕疵に該当するかどうかは、建築基準法などの関係法令、および契約書や見積書、設計図面などから読み取れる事業者との合意内容から判断されます。
注文建物に瑕疵がある場合には、事業者に対して瑕疵の補修を請求することができます。また、瑕疵が存在することにより、
- 建物価格の減少
- 代替の建物を使用するための賃料
- 引越し費用や調査費用、営業損害
などが発生した場合には、損害賠償を請求することもできます。瑕疵が重大であるために補修が不可能である場合には、契約の解除や建替え費用の請求をすることもできます。
不法行為責任の追及
新築注文建物の瑕疵担保責任の権利行使期間は「10年間」と定められていますので、引渡しから10年以上が経過した建物についてのトラブルは、瑕疵担保責任を追及することはできません。しかし、その場合でも、事業者の不法行為責任を追及することにより損害賠償請求ができることがあります。
不法行為責任を追及するためには、
- 事業者の故意または過失により
- 建物としての基本的な安全を損なう瑕疵がある
ことが要件となります。したがって、建物としての基本的な安全を損なうほど重大な欠陥については、引渡し後10年以上を経過していても損害賠償請求ができることになります。
リフォーム工事のトラブルの解決法
リフォーム工事の欠陥は、
- 契約で予定した工事がすべて終了していない
- 工事は終了したが欠陥がある
の2通りがあるでしょう。工事がすべて終了していないのであれば債務不履行を、終了した工事に欠陥があるのであれば瑕疵担保責任を追及することとなります。
債務不履行の追及
事業者が工事の請負契約において取り決めた工事をすべて終了していなければ、事業者の債務不履行を追及することとなります。この場合には、事業者に対して残りの工事を行うよう請求することができます。また、請求にもかかわらず工事を行わないのであれば、リフォーム工事の契約を解除することができます。
さらに、事業者が工事を終了させないことにより何らかの損害が発生した場合には、債務不履行を理由として損害賠償を請求することもできます。
瑕疵担保責任の追及
契約で予定した工事は終了してはいるけれど、工事に欠陥がある場合には、事業者に対して瑕疵担保責任を追及することになります。瑕疵担保責任の追及は、上で解説したのと同様、欠陥が、
- 建物が通常期待される品質を欠く場合
- 契約で特に定めた品質を欠く場合
のいずれかに当てはまることが要件です。訴訟を起こした場合には、「欠陥が瑕疵に当てはまるのか」が争点となることが一般的です。
リフォーム工事にたしかに瑕疵があるとなれば、事業者に対して瑕疵の補修を請求できます。また、瑕疵により工事期間中の代替住居の家賃などが発生した場合には、それらを損害として賠償請求することもできます。
ただし、リフォーム工事は新築の工事と異なり、既存の建物が存在した上で行われることになります。したがって、建物の欠陥が、たしかにリフォーム工事によるものであり、既存の建物に以前から存在していたものではないことを、証拠に基づいて立証しなくてはなりません。
近隣トラブルの解決法
日照トラブル
日照トラブルに関しては、新たに建てられた建物が建築基準法に違反している場合には、工事の差止めや損害の賠償を請求できます。また、日照阻害が一定の受忍限度を超えるとみなせる場合にも、民法上の不法行為として損害賠償請求ができることがあります。
不法行為として賠償請求する際の損害の内容は、日照が阻害されたことによる物件価格の下落や精神的損害などとなるでしょう。
眺望トラブルについて
眺望に関しては、一般に許されるべき限度を超えて侵害された場合には、民法上の不法行為として損害賠償請求をできることがあります。その際の損害の内容は、精神的損害や、もしホテルや旅館などが眺望の阻害により客数が減った場合は営業利益の減少などとなるでしょう。
建築トラブルは弁護士に無料相談できる?
多くの建築トラブルは、上で解説したように、弁護士に依頼することにより解決することができます。しかし、「弁護士に依頼すると費用が高いのでは?」と思う人も多いでしょう。
弁護士による法律相談のための費用は、「1時間につき5,000円~1万円」が一応の相場となります。ただし、最近では弁護士事務所の多くが「初回は無料」としています。「とりあえず気楽に相談してみたい」と思ったら、無料相談ができる弁護士事務所へ行ってみるのが良いでしょう。
無料相談ができる弁護士事務所は、複数の事務所で相談してみるのもおすすめです。弁護士事務所は、雰囲気や仕事の仕方などがそれぞれで異なります。複数の事務所を見てみることで、より自分に合った弁護士事務所を選ぶことができるでしょう。
建築トラブルの解決は弁護士に相談しよう
建物を建築したりリフォームしたりする際には、費用も大きなものとなります。それだけの費用をかけて建築・リフォームした建物に欠陥があった場合には、がっかりするとともに怒りもこみ上げてくるでしょう。
建築トラブルは、素人の判断だけで解決できるものではありません。法律の豊富な知識と高度な交渉力を持ち、物心ともに親身に相談に乗ってくれる弁護士に依頼して、スムーズな解決を目指すことをおすすめします。
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