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マンション管理組合との顧問契約で、弁護士ができること
この記事で分かること
- トラブルの予防効果
- 理事長や役員の負担が減る
- 信頼と安心
- トラブルの際にスピーディ
マンション管理組合には顧問弁護士は必要ないと考える方もいらっしゃいますが、マンション管理組合の顧問弁護士は、マンション管理組合運営の中で大きな役割を果たすことになります。
目次[非表示]
マンション管理組合に弁護士との顧問契約は必要?
顧問弁護士というと、企業が弁護士の顧問契約をするというイメージがある方も多いのではないでしょうか。
実は、弁護士の雇用契約はとても多様で、個人で顧問弁護士をつける方もいらっしゃいますし、マンション管理組合が弁護士と顧問契約をしているというパターンもあります。実際にマンション管理組合が弁護士との顧問契約をしているのは、弁護士との顧問契約をすることで、顧問料を支払うだけのメリットがあるからです。
このページでは、マンション管理組合が弁護士と契約をした場合には、どのようなメリットがあり、具体的にどんなことをしてもらえるのかについて解説します。
マンション管理組合の役割
マンション管理組合とは「建物の区分所有等に関する法律」に基づいて作られる団体のことで、マンション区分所有者つまり同じマンションの住民同士で作られる集団のことです。マンション管理組合は、マンションの階段や廊下、エレベーターなどの共用部分と庭などを維持管理することが主な役割です。
マンション管理組合の標準管理規約「第2節 管理組合の業務」によると、維持管理とは具体的には、保安、保全、保守、清掃、消毒、ごみ処理に加えて、修繕、長期修繕計画の作成、変更に関する業務、長期修繕計画書の管理などとなっています。マンションの専有部分に関しては、個人の所有権に基づいて管理維持されますが、共有部分に関してはマンションの住人や持ち主で構成されたマンション管理組合が管理維持をしましょう、ということです。
管理会社の社員などであるマンションの管理人とは違って、主体的に管理をする人は管理組合の代表者ということになります。共有部分がない一戸建てや管理会社が維持管理をする賃貸マンションとは違い、分譲マンションの場合にはこのようなマンション管理組合があるのです。
つまり、マンション管理組合は、企業のような営利目的ではなくあくまでもマンションの管理と維持が目的です。それでは、営利が目的ではない住人や所有者の集まりになぜ顧問弁護士が必要なのでしょうか。
マンション管理組合が顧問弁護士をつけるメリット
顧問弁護士とは、顧問契約して代金を支払うことでパートナーになってくれる弁護士のことです。
顧問弁護士をつけるメリットとしては、一般的には
- 気軽に法律相談ができる
- リスク管理ができる
- 財産などを法的に守る
- 法的なアドバイザーとして利用できる
という点があげられます。
つまり、顧問弁護士は企業にとっては一種のお守りのようなもので、いざとうときだけでなく普段から法的なアドバイスをもらうことでトラブルを未然に防ぐ効果などがあるということです。しかし、これは企業の場合のメリットになります。では、営利団体ではないマンション管理組合に顧問弁護士をつけることに意味はあるのでしょうか。
マンション管理組合に顧問弁護士をつけるとなると「必要ない」「近所付き合いに法律は無用」という意見もあるかと思います。ですが、マンション管理組合は、ただの近所づきあいではなく、マンションという財産の維持と管理が目的の団体ですので、やはり法的な問題が起こってくることもあります。しかし、マンション管理組合に顧問弁護士をつけるメリットはあります。
トラブルの予防効果
マンション管理組合の中でも、法的なトラブルは起こり得ます。共同の財産であるマンションというものがあり、そして、少なからず金銭的な問題が絡んでくるわけですから、メンション管理組合に絡んでのトラブルはよくあることです。
たとえば、マンション管理組合での議案の内容や手続きに関する不満、法律の専門家がいないことで違法なやり方で運営していた、ということも十分に考えられます。マンション管理組合にも顧問弁護士をつけることで、このような法的紛争を予防しトラブル回避できるのです。
理事長や役員の負担が減る
顧問弁護士は、トラブルの時にだけ出てくるものではなく、普段から法律的なサポートなどをしていきます。そのため、マンション管理組合の理事長や役員の負担を軽減することができます。また、法的な紛争になった場合は速やかに動いてトラブルを解決するために尽力していきますので、精神的な負担もかなり少なくなります。
マンション管理組合の役員は、輪番制になっていることも多く、いつかは自分にも負担がかかるということを考慮すれば、顧問弁護士をつけるメリットは組合員すべてのメリットともいえます。
信頼と安心
マンション管理組合の役員は、あくまでもただのマンションの住人であり、多くの場合法的なことを良く知りません。素人ながらにしっかりと頑張って管理と運営をしていても、役員ではないものからすれば「本当に大丈夫なのか」と不安に感じてしまい、ついつい批判的な意見が出てくることもあります。
しかし、何か法律的な問題が起こった場合であっても「顧問弁護士と相談した」とか「顧問弁護士がそういっている」という一言があれば、すべての組合員が安心できるのです。このような組合員同士の信頼感と安心を担保するのが、顧問弁護士の存在です。
マンション管理組合の運営にあたって、このような安心感を得ることは、組合員同士の信頼や人間関係を円滑にする効果もあります。また、役員の精神なストレスも軽減してくれるので非常に有意義です。
トラブルの際にスピーディ
マンション管理組合で法律の知識が必要となるようなトラブルが起こったときに、顧問弁護士がいればスピーディな対応が可能です。
顧問弁護士がいない場合は、まず、適切な弁護士を探してすべての経緯を説明するという作業が必要になります。マンション管理組合に顧問弁護士がいる場合には、そのような面倒な作業は必要なく、事情を熟知した顧問弁護士がすぐに対応してくれるのです。
法律的な問題は時に迅速性が求められることもあります。そして、そのようなトラブルは何の前兆もなく突然起こることがあるのです。そのような場合に、一から不動産に強い弁護士を探していては時間不足で十分な対応ができないかもしれません。このようなリスクを回避するメリットがあるのです。
マンション管理組合の顧問弁護士は何をするか
顧問弁護士はマンション管理組合に具体的に何をしてくれるのでしょうか。
普段から法律的なアドバイスをしてくれる
マンション管理やマンション管理組合の運営に関しては、法律的な知識が必要な場面が多々あります。また、書類の作成や手続きに関しても法律の知識が必要になる場面も多く出てきます。顧問弁護士は、こうした普段のマンション管理組合の運営や手続きに関してのアドバイスをしてくれます。
複雑な法律の決まりを自分で調べて理解するのは大変ですが、顧問弁護士がいれ気軽に相談ができます。
役員のサポート
マンション管理組合の総会の議案書になれている人はそうそういないことでしょう。この議事録の作成の方法などで苦労することも少なくありません。ですが、顧問弁護士がいればこのような負担も軽減できます。
顧問弁護士は、議事録の作成や総会の運営に関してもサポートをしてくれます。法律のプロフェショナルが介在することで楽に正しい方法での組合運営が可能になるのです。
万が一の時の対応
顧問弁護士を頼んでいたとしても、どうしてもトラブルが発生してしまう場合もあります。そして、顧問弁護士は万が一のトラブルの際には心強い味方になります。トラブルが発生したあとに新たに弁護士を探した場合とは異なり、あらかじめ組合の事情を熟知しているので、様々な人間関係などにも配慮したトラブル対応が可能です。
迅速に、そしてそのマンション管理組合に最も適した方法での問題に当たることができるのは、顧問弁護士ならではの魅力といえます。
マンション管理組合にも弁護士との顧問契約は重要
マンション管理組合に顧問弁護士をつけることは、組合の健全な運営やトラブルの未然防止、そして、役員の負担軽減といった様々なメリットがあります。
顧問弁護士は、普段から法律的なアドバイスをしてくれますし、総会の議事録の作成などにも関与して法律の専門家として力を発揮してくれます。また、万が一のトラブルの際には組合の事情や人間関係を熟知した上でスピーディに対応してくれます。
一見、必要ないようにも思えるマンション管理組合の顧問弁護士は、マンション管理組合運営の中で大きな役割を果たすことになるのです。マンション管理組合で顧問弁護士が必要化どうかについて検討している場合には、まずは一度弁護士に相談だけでもしてみることをおすすめします。
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