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土地売買時の土壌汚染トラブルを回避するポイント

この記事で分かること

  • 土地を売るときには必ず事前調査をする
  • 土壌汚染についての説明義務を果たす
  • 事前調査をしていない土地は買わない
  • 工場跡地だけでなく、ガソリンスタンド跡地にも注意
  • 土壌汚染ドラブルはまずは弁護士に相談

借地・借家オーナーは様々なトラブルに巻き込まれる可能性があります。トラブルを全てオーナー自身で解決することは難しいですので、弁護士への相談を行うことが重要になります。

土壌汚染とは

土壌汚染という言葉はよく耳にしますが、そもそも土壌汚染とはどんな状態を指しているのでしょうか。

土壌汚染とは、土の中に特定有害物質に指定された物質が染み込んだ状態のことをいいます。ただ、ごみが散らかっているとか、不要品が廃棄されているとか、草だらけ、整地されていなくて岩だらけ、などというだけでは土壌汚染とはいいません。

土壌汚染とは、土の中に有害物質が含まれているかというもので、目視だけで確認するのはほぼ不可能です。一見、整地された綺麗な土地に見えても、実は土が有害物質で汚染されていた、ということもありえるのです。そして、土壌汚染の基準となる物質を特定有害物質といいます。

この特定有害物質には現在、25種類の物質が指定されています。厄介なことに、この有害物質は、一度地中に染み込むと数十年経過しても土の中に残ったままになります。つまり、土壌汚染は、目で見ただけでは分かりにくいというだけでなく、時間経過で消えてしまうことはないのです。

土壌汚染が起こる理由は様々ですが、工場などから流れ出た有害物質が土壌や地下水に染み出したものや、有害物質を含む廃棄物が地中に埋められていることが原因になる場合もあります。過去にどのような用途で土地が使われていたか、そして、周辺の環境などにも影響を受けるということになります。

土壌汚染トラブル対策の為に作られた法律

土壌汚染は、様々な健康被害の原因になるだけでなく水生生物の毒性にも影響を与えます。

人体への被害が懸念される土壌汚染に関する法律「土壌汚染対策法」が2002年に施行されました。土壌汚染対策法は、土壌汚染から国民を守る目的で制定されており、有害物質を使用していた施設や、法で定められた特定施設を止めるとき、そして、工場跡地の地形を変える場合などに土壌汚染の調査をすることが義務化しています。

ワンポイントアドバイス
土壌汚染は、目で見ただけでは分かりにくいというだけでなく、土壌汚染が時間経過で消えてしまうということもないため、土壌汚染トラブルは対策が難しいトラブルの1つです。土壌汚染トラブルに巻き込まれた場合には、法律の専門家である弁護士に相談することが有効な対処法の1つになります。

土壌汚染トラブルを回避するポイント

テレビや新聞で取り上げられることも多い「土壌汚染」の問題は、不動産投資や事業用の土地の売買で起こるトラブルの原因になることもあります。

よく聞く言葉ではあるものの、なかなか身近なものとしてとらえる機会が少ない土壌汚染トラブルですが、実は事前の対応で回避することができる問題なのです。土壌汚染トラブルを回避するためのポイントを見ていきましょう。

土地を売るときには必ず事前調査をする

土壌汚染対策法では、工場の跡地などを売買する場合には土壌汚染調査をすることが義務付けられています。この、土壌汚染対策法が施行されたのは2002年ですが、それ以前に工場だったことがある土地の場合は、トラブル回避のために必ず、土壌汚染調理を行いましょう。

くわえて、現在、特定有害物質を扱っておらず土壌汚染対策法で調査が義務付けられていない工場の場合も調査をした方が安心です。というのも、特定有害物質に関する規制が始まった1967年より前に特定有害物質を取り扱っていた可能性があるからです。土壌汚染という概念や特定有害物質という概念がなかった時代にさかのぼって、どんな物質を取扱っていたかをすべて把握することはほぼ不可能ですから、調査をした方がよいのです。

先ほどご説明した通り、一度、土壌汚染されてしまうと長い時間が経過しても、汚染物質が消えてなくなることはありません。ですので、過去に一度でも工場だった土地や特定有害物質を取扱っていた可能性が否定でない場合は、調査が義務付けられていなくても必ず土壌汚染調査をしておくほうが安全です。

もし、このような場合に、売買後に土壌汚染が発覚した場合に「隠れた瑕疵」と認定されれば、契約が無効になる可能性もありますまた、それだけでなく損害賠償請求をされるかもしれません。また、契約が無効にならないまでも、土壌汚染調査の費用を後から請求されたり、訴訟になったりするケースもあります。目に見えない土壌汚染だからこそ「多分大丈夫だろう」で済ませるのは危険ということです。

土壌汚染調査を怠って後から問題が出できた場合には、大きなトラブルに発展するケースもすくなくありません。このようなトラブルを回避するためにも、工場だった土地を売却する場合には、必ず土壌汚染調査をしておきましょう。土壌汚染の調査をして安全性が確保されれば、契約無効や損害賠償請求というトラブルを回避できるだけでなく、売却価格も高くなる傾向があります。

説明義務を果たす

仮に、土壌汚染調査をして土壌汚染が発覚した場合でも、土地の売買ができないわけではありません。土壌汚染調査の結果をすべて買主に公開して適正な価格で取引をすれば、トラブルの可能性はかなり低くなります。土壌汚染があることを隠して取引することが、土壌汚染トラブルが発生する原因になります。万が一、土壌汚染が発覚した場合は、情報を開示してしっかりと説明した上で取引をすればいいのです。

土壌汚染があることがわかった場合には、具体的な説明する義務があります。逆の言い方をするのであれば、この義務を果たしていれば、後からトラブルになるリスクは低くなるということになります。土壌汚染されているから、不動産売買をすることができないというわけではなく、土壌汚染が発覚した場合にはしっかりと説明義務を果たすことが土壌汚染トラブル回避につながります。

事前調査をしていない土地は買わない

不動産投資をする場合には、土壌汚染調査をしていない土地には手を出さないほうが無難です。土壌汚染は見ただけでは分かりません。ですが、健康被害など重大な結果を引き起こすとても怖いものです。土壌汚染調査をしていない工場跡地やガソリンスタンドの跡地には、そのようなリスクが潜んでいるということになります。

不動産投資をする際には、土壌汚染調査の有無を必ずチェックするようにし、未調査の土地にはできるだけ手を出さないように注意しましょう。

ワンポイントアドバイス
土壌汚染トラブルを回避するポイントとしては、土地を売るときには必ず事前調査をする、説明義務を果たす、事前調査をしていない土地は買わない、の3つです。土壌汚染トラブルについて少しでも心配な点がある場合には、不動産に強い弁護士に相談するようにしましょう。

工場跡地以外にも土壌汚染トラブルを注意すべき施設

土壌汚染で、調査が義務付けられているのは特定有害物質を取り扱っている工場のみですが、土壌汚染の可能性があるのは、特定有害物質の取扱いがある工場だけではありません。

先ほどご紹介した、1967年以前に工場だった土地以外にも、土壌汚染の危険がある施設としてあげられるのが「ガソリンスタンド」です。ガソリンスタンドは、地中にガソリンタンクを埋めて営業しています。そして、特定有害物質がタンクや配管から染み出している可能性があるのです。

ガソリンスタンドは、土壌汚染調査が義務付けられている特定施設ではありませんが、土壌汚染のリスクが高い施設です。ガソリンスタンドの跡地に投資したり、売買したりする場合には土壌汚染の有無をしっかりと見極める必要があります。

ワンポイントアドバイス
土壌汚染トラブルを注意するべき場所は、工場跡地だけではなく、ガソリンスタンドの跡地も同様です。土壌汚染トラブルを回避するよう、対策をとるようにしましょう。

土壌汚染トラブルは弁護士に相談

土壌汚染は、目では見えない上に、時間が経過していても汚染物質が土壌からなくなることがないというとても厄介なものです。健康被害を及ぼす危険があり、もし、売買などで後から土壌汚染が発覚した場合には、契約無効や損害賠償請求、土壌汚染調査費の請求などのトラブルになることもあります。

このようなトラブルを事前に回避するためには、土壌汚染対策法で土壌汚染調査が義務化されていない土地でも、少しでも可能性がある場合には土壌汚染調査をすることが重要です。また、土壌汚染が発覚した場合には、説明義務をしっかりと果たすよう心がけましょう。加えて、土壌汚染の特定施設には入っていないものの土壌汚染のリスクがあるガソリンスタンドの跡地などにも充分注意が必要です。

土壌汚染は、目に見えないものであるため、後からトラブルになることも少なくありません。ですが、土壌汚染をして事前にリスク回避をすることは可能です。しっかりと、調査をして安全な不動産投資や売買をしていきましょう。

土壌汚染トラブルが発生する可能性がある場合など、土壌汚染の懸念があるときには、事前に不動産に強い弁護士に相談をすることをおすすめします。

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