増加する住宅瑕疵トラブル!売り主が負う瑕疵担保責任とトラブルへの対応方法

この記事で分かること
  1. 住宅の売り主は瑕疵担保責任を負う
  2. 新築住宅の場合の瑕疵担保責任は10年
  3. 住宅瑕疵トラブルは不動産に強い弁護士に相談することが重要

販売した不動産に瑕疵があった場合には、売り主が瑕疵担保責任を負うことになる場合があります。瑕疵担保責任の期間は、新築か中古か、瑕疵の内容はどのようなものか、によって違いがあります。住宅瑕疵トラブルに巻き込まれた場合には、不動産に強い弁護士に相談することが重要です。

瑕疵担保責任についての基本事項

購入する前にしっかりと確認した上で、住宅を売却しても、買い主が住み始めた後に何かしらの欠陥が見つかる場合もあります。そのようなときに、果たして売り主はどのような責任を負うことになるのでしょうか?

スーパーで野菜を販売・購入するときなどは、陳列されている段階などで、これは傷んでいるかどうかということが、見ただけで簡単に販売しようとするものがどんな状態であるのかを見抜くことができます。しかし、住宅の場合には、いざ住んでみなければどんな状態であるのかは全てわかりませんし、長年住んでみてはじめて、弱い部分が露見してくるということだってあるでしょう。

そこで今回は、住宅瑕疵がある場合に売り主にどのような責任があるのかについてご説明します。表題にも「瑕疵」という難しい用語が出てきたように、住宅欠陥トラブルが生じた場合には、まず民法上のいくつかの基本事項を押さえておく必要があります。

瑕疵とは?

瑕疵は「かし」と読みます。一般的には備わっていなければならない機能や品質、性能などが備わっていない状態のことを意味する言葉です。

簡単に言ってしまうと、住宅の欠陥と考えればいいです。

瑕疵担保責任とは?

一般論としては、物を購入する場面で、購入した物に「隠れた瑕疵」があったときに売り主側が負う法的な責任のことを、瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)と言います。ここでのポイントは、以下の2点です。

  • どんな瑕疵があったときに売り主は瑕疵担保責任を負うのか?
  • いつまで、どのような内容の責任を、売り主は負担するのか?

隠れた瑕疵とは?

瑕疵担保責任が問題となる場面では、瑕疵があるだけでは不十分です。瑕疵が、「隠れた瑕疵」でなければなりません。

隠れた瑕疵とは、取引の常識に照らして考えてみれば、通常は当たり前に備えているべき品質・性能を欠いていて、買い主が通常の注意を払っていたとしても、品質・性能が欠けていることに気付くことができないこと、を意味する言葉です。

「隠れた」というのはイメージしにくいかもしれませんが、住宅に住もうと思ったら屋根がついていなかったというような場合、屋根が足りないことは見て明らかに分かります。つまりこの場合は、「隠れた」瑕疵にはならないということになります。

このようなケースでは、そもそも瑕疵が隠れていませんので、瑕疵担保責任が問題になることはありません。目的物の引渡し義務を果たしていないという形で、法的な責任を追及されることになります。

たとえば、普段は雨漏りがしていなかったが、大雨のときには雨漏りがする家だった場合には、住んでみなければわからないことですので、隠れた瑕疵となります。

瑕疵担保責任の内容は?

売り主が瑕疵担保責任を負う場合には、買い主から契約解除、損害賠償請求がされることになります。ただし、いつまでも売り主側が瑕疵担保責任を負担し続けるわけではありません。買い主は隠れた瑕疵があることを知った時から1年以内でなければ売り主に対して損害賠償請求などを行うことが一切できなくなります。

ワンポイントアドバイス
不動産売買を行う上で、瑕疵担保責任についてはしっかりと知っておくことは重要です。ただし、実際のトラブルに巻き込まれる可能性がある場合には、なるべく早く弁護士に相談するようにしましょう。

住宅瑕疵トラブルの責任は1年だけじゃない?

ここまでの説明ですと、「住宅に欠陥があるのが分かっても、買い主がゆっくりしているうちに1年経過しちゃえば、もう何も請求されることはないってこと?」と思われたかもしれません。

しかし、住宅欠陥はそうそう簡単に見つかるものではありませんし、ちょっとした水漏れなどがあったとしても、わざわざ売り主や施工業者に対してすぐに声をあげようとは普通は思いません。買い主が、「しばらく様子を見て判断してみよう」と思われるのは、むしろ当たり前のことです。

そのような住宅購入者の実情に沿うために、住宅瑕疵が問題となるケースでは、売り主の瑕疵担保責任を拡大させるために、「住宅品質確保促進法」という法律が定められています。ここまでに説明した、民法上の瑕疵担保責任では買い主があまりに保護されていないということで、住宅売買については特別法で瑕疵担保責任が拡大されています。

新築住宅に限定されている

民法上の瑕疵担保責任の規定は、全ての住宅売買について当てはまるものでした。しかし、この特別法では、新築住宅の売買のみに限定されています。つまり、中古住宅の売買には、特別法は適用されません。

瑕疵が限定されている

民法上の瑕疵担保責任の規定では、「隠れた瑕疵」であれば足りるとされていました。しかし、特別法では、構造耐力上主要な部分や雨水浸水防止部分の瑕疵のみに限定されています。

構造耐力上主要な部分とは、例えば柱や梁、壁や基礎、地盤、土台などの建物を支えている箇所のことです。柱に欠陥があると、建物にとっては致命的になります。また、雨水浸水防止部分とは、屋根、外壁、窓、換気口、下地部分のことをいいます。雨漏れは建物にとって致命的な欠陥です。

これに関する箇所の瑕疵は、特別法の対象範囲内として買い主が保護されるようになっています。

瑕疵担保責任拡大の内容

瑕疵担保責任拡大の内容のまず1つは、担保責任の内容が拡大されていることです。民法上の売買に関する瑕疵担保責任の規定では、契約解除・損害賠償請求のみが規定されていました。これに対して、特別法では、瑕疵の修繕を請求することも可能とされています。

次に、期間制限も緩和されています。引っ越しから10年間は、当然に売り主の瑕疵担保責任は継続することとされています。しかも、この期間は特約によって20年を上限に伸長することもでき、買い主が保護されるように配慮されています。

売り主や施工業者にとって不利なものにはなりますので、中には契約書で「瑕疵担保の期間を10年以下に短縮する」という特約を結ぼうと考える売り主もいますが、このような特約は無効となってしまいますので意味はありません。

中古住宅売買の場合の住宅瑕疵トラブル

中古住宅の場合には、特別法による保護を受けることはありません。したがって、原則通り、民法上の瑕疵担保責任のみを負うことになります。

ワンポイントアドバイス
新築住宅を販売した場合には、住宅瑕疵トラブルが発生したときに売り主が負う、瑕疵担保責任は、中古物件に比べて大きくなります。販売前に瑕疵がないかしっかりと確認することも重要になります。

瑕疵担保責任を負う売り主が倒産した場合は?

新築住宅に関する売り主の瑕疵担保責任が拡大されているとはいっても、売り主が倒産するなど資力不安を抱えていたら結局保障されないのではないか、という買い主の不安に答える形で、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が規定され、瑕疵担保責任の履行をより実効性のあるものにするための制度が定められています。

具体的な内容は?

万が一、売り主自身が倒産して新築住宅の賠償をできないような場合に備えて、供託金を納付するか、保険への加入が義務付けられています。これによって、新築住宅に瑕疵があることが判明した場合に、売り主が資力不安を抱えていたとしても、買い主は供託金からの補償を受けられるか、保険で対処することができるようになります。

指定住宅紛争処理機関へ相談

新築住宅について住宅瑕疵があり、瑕疵担保責任に関する事柄で紛争が起こった場合には、紛争処理機関に相談することで、間に入って紛争の処理を図ってくれます。

ワンポイントアドバイス
倒産した後に、住宅瑕疵トラブルが起きた場合であっても、保険などで解決できる可能性もあります。倒産時から不動産に強い弁護士に相談をして、事前に対策しておくことが重要になります。

住宅瑕疵トラブルは弁護士に相談!

買い主にとっては、住宅の購入は人生に何度もあるようなことではありません。だからこそ、トラブルが発生したときに大きな住宅瑕疵トラブルになる可能性は高くなりますので、どのような対処法があるのかを売り主としてもある程度知っておく必要があります。

特に、瑕疵担保責任に関しては期間制限が非常に重要なポイントになることをお分かり頂けたかと思います。新築住宅の場合には、瑕疵担保責任が10年間続くことになりますので、瑕疵担保責任は1年だと思って対応をしてしまうと、予想外の不利益を被る可能性があります。

基本的に、住宅は適切に建造されていれば10年程度では根幹部分に問題が発生するとは考えられていません。売却した新築の住宅がまだ10年を経過していないのに、買い主から雨漏り等の住宅瑕疵トラブルが発生したという連絡などがあった場合には、何らかの瑕疵がある可能性が充分に考えられます。

住宅瑕疵トラブルが大きくなる前に、できるだけ早く不動産に強い弁護士に相談をすることをおすすめします。

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