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不動産の契約は誰に相談すべき?目的別で選ぶ不動産相談窓口一覧
この記事で分かること
- ハトマークの不動産業者、ウサギマークの不動産業者それぞれに相談窓口がある
- 法的に不動産トラブルを解決したい場合は弁護士に相談することが重要
- 賃貸でも売買でもトラブルが起きる可能性は十分ある
- 不動産トラブルをネットなどの知識のみで解決しようとするのは危険
不動産の契約などで様々なトラブルが起こる可能性があります。これを当事者のみで解決しようとすることにはリスクも伴います。このページでは、不動産トラブルについての相談窓口や、どのようなトラブルが起こる可能性があるか、どこに相談するのが一番良いのか、ということについて解説をしています。
不動産の契約についての相談窓口
家や駐車場など、私たちが生活する上では、どうしても不動産との関わりを避けて通ることはできません。そして、不動産との関わりをする以上、売買契約や賃貸借契約など、多くの法的な場面に接することとなるでしょう。
不動産の売買の代理や媒介については免許制がとられており、基本的には宅地建物取引業の登録をしている宅地建物取引業者に売買の手続きを相談することになります。一般的にイメージする不動産屋さんが、宅地建物取引業者になります。売買手続きが全てスムーズにいくような場合には、宅地建物取引業者のみで手続きは完結します。売買価格などの条件をよりよくできないか、ということであれば複数の宅地建物取引業者に相談をすることも有効です。
不動産の取引で、特に問題もなく円滑に取引をできれば良いのですが、残念ながらそのようなことばかりではありません。例えば、賃貸の部屋に関しても、貸す側も借りる側も、いろいろなトラブルに巻き込まれる可能性があります。そこで、今回は、このような不動産をめぐるトラブルにはどのようなものがあるのか、また、どのような場所に相談をすればいいのか、ご紹介していきたいと思います。
不動産の売買契約がトラブルに発展してしまうケースもあります。もちろん、不動産業者と取引先で、直接トラブル相談をするのもある意味では正しい方法ではあるのですが、話し合いでは解決しないこともありますので、相談窓口への相談も選択肢に入れておくと安心できます。ここでは、不動産の売買でトラブルが発生してしまった場合に、相談をすることができる窓口を紹介します。
宅地建物取引業協会の不動産無料相談所
ハトのマークのシールが貼られている不動産業者は、「宅地建物取引業協会」に加入しています。ハトマークの不動産業者で取引を行ってトラブルなどが発生してしまった場合には、宅地建物取引業協会の中にある不動産無料相談所に相談することが1つの選択肢になります。
宅地建物取引業協会は全国47都道府県にあり、各都道府県にある宅地建物取引業協会の中に不動産無料相談所を設置しています。また、全宅保証地方本部では、全宅保証の会員である宅地建物取引業者との取引で発生した苦情の解決を目的とする相談業務を行っています。都道府県によって相談日時・場所等が異なりますので、相談をする前に電話での確認が必要になります。例えば、東京都の不動産無料相談所の住所・連絡先は下記のようになります。
名称 | (公社)東京都宅地建物取引業協会 |
---|---|
住所 | 〒102-0071 千代田区富士見2-2-4東京不動産会館 |
Tel | 03-3264-8000 |
全国の宅建協会・不動産無料相談所一覧は下記URLからご確認ください。
https://www.zentaku.or.jp/association_list/
不動産保証協会の地方本部
ウサギのマークが貼られた不動産業者は、先程紹介した宅地建物取引業協会ではなく。「不動産保証協会」に加入しています。ウサギマークの不動産業者で取引をして、トラブルに発展してしまった場合には、不動産保証協会の地方本部に相談をすることができます。地方本部に相談をすると、内容に応じて対応をしてもらえます。不動産保証協会の東京都本部の住所・連絡先は下記のようになります。
名称 | (公社) 不動産保証協会 |
---|---|
住所 | 〒102-0093 東京都千代田区平河町一丁目8番13号 全日東京会館 |
Tel | 03-3261-1010 |
全国の不動産保証協会の地方本部一覧は下記URLからご確認ください。
http://www.zennichi.or.jp/about/address/chihou/
その他の不動産についての相談窓口
ここまで紹介したどちらに苦情を言えばいいのか分からない、あるいは、苦情を申し立てたけれども取り合ってもらえない、というような場合には、各種相談窓口に問い合わせることも選択肢に入ります。その他の相談窓口には、例として以下のような機関があります。
- 消費生活センター・国民生活センター
- 法テラス
- 司法書士総合相談センター
- 行政書士市民相談センター
- 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
法的に不動産トラブルを解決するなら弁護士
ここまでは協会の相談先を紹介しましたが、あくまでもトラブル解決や法律を専門としている訳ではないことと、中立的な立場での対応になるので、満足できる対応をしてもらえるとは限りません。専門家に自ら依頼すると、相談者の意向もくみとった上で、法的な対応もしてもらうことができます。不動産に関わる専門家には、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、不動産鑑定士など様々ありますが、不動産で相手とトラブルになった場合には弁護士に相談をすることになります。法的に自分の主張をして、ドラブルを解決したい場合には弁護士に相談するようにしましょう。
ただし、弁護士であっても、それぞれの弁護士ごとに得意分野は異なりますので、不動産トラブルに強い弁護士に相談することをおすすめします。
契約時などの登記については司法書士
法的な相談は、基本的に弁護士に相談することになりますが、登記についての相談は司法書士にすることになります。多くの場合は不動産業者が紹介してくれると思いますが、登記料金があまりにも高い場合には、他の司法書士に相談するのも一つの方法です。相場としては総額20万円程度ですが、内容によって料金も変わりますので一概には言えません。
部屋の賃貸借契約をめぐる不動産トラブル
ここまで不動産トラブルがあった際の相談窓口を紹介しましたが、ここでは部屋の賃貸借契約で起きる不動産トラブルを紹介します。
敷金の返還など退去時のトラブル
不動産の賃貸借契約でトラブルが多く発生するのが退去時です。退去時のトラブルの中でも特に多いのが、契約したときに支払った敷金の返還に関するものや、原状回復の費用に関するものなどです。
例えば、普通に生活していれば当然壁紙に多少の汚れが付着したり、画鋲の穴が空いたりするようなこともあります。しかし、退去の際に壁紙の張替えが必要と判断され、その費用を請求されてしまったというような場合、果たしてその費用は誰が負担すべきものなのでしょうか?また、入居者側の過失で、汚れや破損が生じたような場合でも、大家さんが費用負担をしなければいけないのでしょうか?
このような原状回復に関するもの以外にも、退去時には多くの問題が発生します。契約書にどのような内容が明記されているのか、改めてしっかりと確認をしておくべきでしょう。契約書確認をした上で話し合いをしても解決しない場合や、契約書を読んでもはっきりとした判断がつかない場合などは、弁護士などの専門家に相談することも有効です。
騒音や賃料未払いなど入居中のトラブル
部屋を借りて生活している場合にも、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
まずは、隣や上下の階の住民など、他の居住者とのトラブルです。隣の部屋からの騒音がひどかったり、共用スペースに邪魔なくらい私物が置かれていたりするなど、同じ建物で生活をしている以上、トラブルの原因はたくさんあります。大家さんや不動産管理会社に処理を依頼すべきなのか、直接自分で当人に苦情を申し立てるべきなのか、悩ましいところでしょう。また、オーナー側としても、居住者同士がトラブルになっている場合には、対応に悩まされることになります。
また、近隣住民とのトラブルも考えられます。例えば、マンションと並んで一戸建ての家が建っているような場合、その一戸建ての家からの騒音は、どのように対処すればいいのでしょうか?その他にも、ゴミなどの問題なども考えられますし、様々なトラブルが起きる可能性があります。
一番多いのが、賃料支払いに関するトラブルです。賃料未払いが発生したような場合に、オーナーが直接賃料の支払いを請求すべきなのか、管理会社に委ねるべきなのか、専門家に依頼して法的措置をとるべきかなど、処理に悩むはずです。また、保証会社が代わりに支払ってくれるのか、いつから賃貸借契約を解除できるのかなど、トラブルは多岐に派生し得ます。
賃貸借契約時・更新時のトラブル
全体に占める割合は比較的少ないですが、契約時や更新時にもトラブルが発生することがあります。
例えば、好みの物件を見つけて申し込みをして押さえていたはずなのに、別の人が先に契約をしてしまったような場合、そこに引っ越しができると信じていた人はどのような請求ができるのでしょうか?また、一度申込みをしたけれども、どうしても引っ越しが出来ないような事情が発生したとき、申込み時に支払ったお金は全額取り戻すことができるのでしょうか?
また、基本的に2年程度で契約更新のタイミングが訪れますが、その時に特に理由もないのに更新を拒絶されたり、賃料をいきなり増額された契約書が送付されてきたりすることもありえます。そのような際、賃借人は文句が言えないのでしょうか?あるいは、地価や物価の変動などで今までの賃料では不適正だと思われるような場合でも、大家さんは賃料を勝手に増額することはできないのでしょうか?
住居を購入したときのトラブル
せっかく気に入った住居を購入して、マイホームを手に入れた場合でも、さまざまなトラブルが起きることが考えられます。
家自体についてのトラブル
住みはじめてすぐに雨漏りが発生したり、配管設備に不具合が見られたりするような場合、「もう売買契約やお金の支払は全て終わっている」という理由で、修繕費などは買主が負担しなければならないのでしょうか?あるいは、住みはじめて数年が経ってから、家屋の欠陥が見つかったときにはどこまでの補償がされるのでしょうか?
これらの問題は、中古住宅を購入した場合と新築を建てた場合では、法的な対処法が異なるので注意が必要になります。最近では、リフォームの見積もりに関するトラブルも増えてきています。
近隣住民とのトラブル
直接不動産売買に関するトラブルではありませんが、マイホームを購入した場合には、近所に住んでいる住民とのトラブルも多く考えられます。ゴミの出し方、車の駐車方法、町内清掃に関すること、騒音・臭いなどのトラブルなど、トラブルの原因は様々なものが考えられます。
相続・離婚などでのトラブル
持ち家があると、相続や離婚で様々な問題となるケースがあります。相続や離婚は難しい問題で、当事者同士で話し合いを行うと感情的になってしまうことも多いですので、法律の専門家に相談することをおすすめします。
不動産の契約に関するトラブルへの対処法
不動産トラブルは似たケースであっても、個々のケースで対処法が変わりますので、一般的に共通する注意点や対処法を紹介します。
契約書をチェックする
賃貸借契約でも売買契約でも、基本的には全てのことがしっかりと記載されているはずです。もちろん複雑な法律問題に発展することもありますので、全ての事に対処することは難しいです。とはいえ、契約書の内容で、当事者双方が合意をしたはずですから、契約書の内容が重要になります。できるだけどのような特約が付いているかなども含めて、細かいところまで見逃さないようにしましょう。さらに、契約を締結する際に、どれだけ注意深くいられるかが大切になります。
交渉内容を残しておくこと
契約時に条件などについて交渉をすることもあると思いますし、トラブルを解消しようと自分で対処して交渉する場合もあると思います。このような内容をしっかりと書面で残しておくようにしないと、後から「言った、言わない」の争いになってしまう事もありえます。後々証拠とするためにも、どのような交渉をして、どのような結果になったかということを記録しておくことをおすすめします。
各種相談窓口に連絡する
不動産トラブルを当事者のみで解決することは相談窓口に問い合わせるのが適切でしょう。ここまでで紹介した相談窓口を再度まとめると以下のようになります。
- 宅地建物取引業協会
- 不動産保証協会
- 法律事務所(弁護士)
- 消費生活センター・国民生活センター
- 法テラス
- 司法書士総合相談センター
- 行政書士市民相談センター
- 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
不動産の契約トラブルは弁護士に相談!
様々な相談窓口や、不動産トラブルについて紹介しましたが、細かな点でトラブルの数だけ事情が異なり、それによって対処法も異なります。もちろん、他のトラブルと同じような解決ができることもありますが、各契約書の記載内容も異なりますので、ネットで検索した知識などだけで全てを対処しきろうとするのはリスクがあります。
不動産は生活に大きく関わるものですし、動くお金も大きいですので、不動産トラブルには慎重に対応する必要があります。少しでも困ったことがあれば、すぐに専門家の助言を求めるようにしましょう。
不動産の契約についてのトラブルでは、様々な公的機関などへの相談が有効な場合もありますが、完全に任せて解決できる可能性が高いのは、やはり弁護士になりますので、不動産に強い法律事務所への相談を行うというのが一番いい方法になると思います。
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