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特許の出願に必要なものは?|専門知識のある弁護士に依頼しよう!
この記事で分かること
- 特許を出願する前には、クリアすべき要件がある
- 特許は出願・審査請求を経て設定登録される
- 特許出願時には弁護士等の専門家に依頼することでさまざまなメリットが享受できる
特許を取るには、内容が複雑な書類を準備した上で、求められる要件をクリアすることが必要です。スムーズに特許取得の手続きを進めようと思ったら、弁護士などの専門家の力を借りて行うことがベストと言えます。
特許出願の要件と出願時に必要なものとは
「素晴らしい発明ができたので、特許を取りたい」と思っても、特許を取得するにはいくつかの要件をクリアする必要があります。また、要件をすべてクリアして出願をするときになったときにも、さまざまな書類を準備しなくてはなりません。
特許出願の要件
まずは、特許出願の要件について見ていきましょう。特許を出願するには、自らの発明が以下の5つの条件にすべて当てはまることが必要です。
特許は産業の発達に寄与するものなので、特許を受けるためには出願する品物が産業上利用できるものでなければなりません。「産業上利用できる」とは、すなわち再現性があり、再現したものを大量生産できるものであることが求められます。
新規性があること
特許を取得するためには、新しいものであることが条件です。「新規性」とは、未発表のことを意味するものであるため、例えば公式的には未発表でも、SNSやブログなどで特許を取得する予定の品物の写真などをアップすれば、新規性を失うことになります。
進歩性があること
特許を取得する条件として、進歩性があることが必要です。発明に既存の技術の組み合わせではなく、より進歩した技術を利用することが求められています。
先に出願されていないこと
特許は産業の発展に寄与する者でもありますが、同時に他人に無断で自分の発明を利用させないようにするためのものでもあります。そのため、出願する発明が先に出願されていないことも大事な要件のひとつです。
公共良俗に反しないこと
発明がいくら新規性や進歩性のある素晴らしいものだったとしても、犯罪に使用される可能性のあるようなものであれば特許庁も承認することはできません。そのため、公序良俗に反しないことも特許を取得する要件のひとつとなります。
出願時に必要なもの
願書のほかに「明細書」「特許請求の範囲」「図面」「要約書」の4つの書類が必要です。これらの書類は非常に煩雑なので、時間に余裕を持って準備をしたほうがよいでしょう。
- 明細書
- 特許請求の範囲
- 図面
- 要約書
明細書
特許は出願後1年半経つと自動的に公開されますが、そのときに必要となるのが明細書です。明細書には、発明の名称だけでなく、背景技術や発明の開示といった内容について、誰にでもわかるように記載しなければならないとされています。
特許請求の範囲
特許請求の範囲とは、発明の権利が及ぶの技術的範囲のことを言います。そのため、特許請求の範囲には、特許権を取得して他社から特許権を侵害されたくない範囲を設定します。
図面
図面とは、発明の内容を図示して発明の概要を理解しやすくするためのものです。そのため、発明者から特許担当者へわかりやすくなるたけでなく、特許庁審査官や裁判官にも発明の内容を容易に理解できるようにする役割もあります。
要約書
要約書とは、その名の通り発明の内容を分かりやすく簡潔にまとめたもののことを指します。発明が解決する課題や解決手段を記します。これは、のちに特許の検索を容易にするために必要になる物です。
特許出願から成立までの流れ
特許出願を行う際に必要となる要件や書類について理解ができたら、次は特許出願の流れについて把握しましょう。出願人が特許を出願してから特許査定を受けて設定登録が完了するまではどのような流れになっているのでしょうか。
特許出願から成立までの流れを知る
特許庁に特許出願を行う前には、自分たちより前に同じような発明をした人や会社がないかどうか先行技術調査を行うことも必要となります。その調査をして、問題がなさそうだと判断すれば、出願の手続きに入ります。
- 出願手続き
- 出願審査請求
- 方式審査・実体審査
- 特許料の納付
- 設定登録完了・特許証の送付
出願手続き
出願時には発明者・出願人を記した出願書類とともに、明細書・特許請求の範囲・図面・要約書の4点を提出します。出願人は私人でも法人でもよく、また、一人でも複数名でも可能であるとされています。ただし、発明者でも出願人としての記載がなければ特許権者になれないことに注意が必要です。
出願審査請求
特許権を取得するには、審査を受けることが必要です。その審査を開始してもらうためには、出願審査請求を行わなければなりません。出願審査請求は出願日から3年以内に行いますが、出願と同時でも構いません。
方式審査・実体審査
まず、出願書類が規定に則って作成されているかどうかを形式的に判断するための方式審査が行われます。その後、技術専門家でもある審査官によって特許の内容に関する実体審査が行われます。問題がなければ特許査定となりますが、先行発明に類似しているなど問題があれば拒絶査定となります。
特許料の納付
特許査定となれば、特許権を占有するために特許料を特許庁に納めます。まず3年分払うため、納める特許料は(2,600円+請求項数×200円)×3となります。特許権の存続期間は、特許出願日から原則20年間です。特許権の設定登録日から4年後も特許権を維持する場合は、その前年までに、毎年特許料(特許権維持のための年金)を支払う必要があります。(数年分まとめて納付する一括納付も可)。
設定登録完了・特許証の送付
特許料を納付すれば、特許権の設定登録が完了し、晴れて特許権が発生します。ぞの後、「特許証」という賞状のようなものが送られてくるので、大切に保管しておきましょう。
特許出願を弁護士に依頼するメリットとその費用
特許を出願し、特許庁にスムーズに審査を進めてもらうには、かなり用意周到に準備をしなければなりません。また、出願したら何事もなく順調に審査が進み、設定登録が完了することはまれです。そのため、特許出願には専門家である弁護士の協力を得ることが一番です。
弁護士に特許出願を依頼するメリット
弁護士や弁理士などの専門家に特許出願を依頼すると、依頼者にとってさまざまなメリットがあります。どういったメリットがあるのかについて、具体的に見ていきましょう。
- 書類準備などの労力が減る
- 起こりうる紛争などを見越したアドバイス
- 海外での特許取得もサポート
書類準備などの労力が減る
特許出願に必要な書類は、素人には内容が非常に難しいものが多くなっています。しかし、弁護士に手続きを依頼すれば、出願に必要な書類を準備したり、出願手続きを行ったりする労力や手間が削減できます。また、書類の記載内容の抜け漏れなども防ぐことも可能です。
起こりうる紛争などを見越したアドバイス
特許出願時に弁護士に相談しておけば、将来的に起こりうる紛争などを見越し、それを回避するためのアドバイスを受けられることも大きな魅力です。弁護士からのアドバイスのもとで経営戦略を立てることで、市場でも有利な立場になれるでしょう。
海外での特許取得もサポート
もし、海外でも製品やサービスを販売したい場合は、海外でも特許を取ることを検討するのではないでしょうか。そのときにも、知的財産に強い弁護士にあらかじめ相談しておけば、海外で特許出願するときに法的なサポートをしてもらえるでしょう。
特許出願するときの弁護士費用の相場とは
特許出願を弁護士に依頼するときの費用は、一般的な民事事件や刑事事件の手続きを依頼するときにかかる費用とはだいぶ性質が異なります。
まず、特許を出願する前には先行技術に関する調査が必要ですが、そこから費用が発生します。また、出願時には出願をすること自体にかかる手数料だけではなく、特許の明細書や図面を作成するのにもそれぞれ費用がかかってきます。
まとめると、特許出願時にかかる弁護士費用の相場は以下の表のようになります。
項目 | 費用 |
---|---|
出願手数料 | 150,000円~400,000円 |
先行技術文献調査 | 25,000円~75,000円 |
明細書作成手数料 | 1枚あたり6,000円~7,000円 |
図面作成料 | 5,000円~10,000円(難易度による) |
出願審査請求手数料 | 10,000円~20,000円 |
電子化料 | 5,000円~8,000円 |
特許出願は弁護士に依頼しよう
特許を出願してスムーズに設定登録をしてもらうためには、やはり知的財産分野を得意とする弁護士などの専門家に手続きを依頼したほうがよいでしょう。専門家であれば、拒絶査定となったときにも、異議申立てなどのしかるべき対応を迅速に行うことができます。特許出願の際には、遠慮なく専門家の力を借りるのがベストです。
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