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家賃滞納で困らないために貸主ができる予防と対策法を紹介!
この記事で分かること
- 家賃を滞納されたら、まずは借主あるいは保証人に支払いを請求する
- 再三の請求にも応じない場合は支払督促や訴訟などの法的措置も検討する
- 契約時から借主とコミュニケーションをとっておくことで、滞納を防げることも
家賃の滞納は、貸主の収入の減少に直結します。そのため、早急に家賃を支払ってもらうことが必要ですが、家賃の支払いを請求する方法については様々な要素を考慮に入れた上で選択することが必要です。
家賃を滞納する借主への対応方法
賃貸借契約では貸主を悩ませる様々なトラブルが起こります。最も厄介な問題のひとつが「家賃滞納」です。借主に家賃を滞納されないようにするにはどうすればよいのでしょうか。まずは、家賃滞納をする借主への対応の仕方に関する大まかな流れを見ていきましょう。
家賃の支払いを催促する
家賃収入で生計を立てている賃借物件の貸主は、借主に家賃を滞納されては困ってしまうでしょう。しかし、家賃の支払いは借主の義務なので、借主が家賃を滞納した場合は支払いを催促することができます。
内容証明で支払いを請求
貸主が最初にすることは、借主に滞納家賃を払うように催促することです。口頭で催促しても支払われない場合は、書面で督促します。このとき、『内容証明郵便』を使うことがポイントとなります。内容証明郵便では内容の写しをとって保管してくれるので、後々証拠として残るのです。
借主が支払いに応じない場合は保証人に支払ってもらう
借主が支払いに応じない場合は、保証人に支払い義務が生じます。従って何度家賃を払うよう借主に請求しても応じてもらえない場合は、賃貸借契約を結ぶ際に立てた連帯保証人や保証会社に家賃を請求しましょう。
法的手続きをとる
それでも支払われない場合は“少額訴訟”や“支払い督促”等の法的措置をとりましょう。督促手続きは、審議をしたり借主の意見を聞いたりせずとも、判決と同じ効力の「支払督促」を行うことができる法的手続きです。
少額訴訟を起こせば高確率で払ってもらえる
少額訴訟とは訴額が60万円以下の場合のみ利用できる法的手続きで、一回の審議ですぐに判決が出るのが特徴です。原告(貸主)の言い分が認められる場合でも、支払いの猶予や分割払い、遅延損害金の免除が認められるケースもあるため、借主も家賃の支払いに応じる可能性が高くなります。ただし、少額訴訟判決に対しては控訴することができず、不服の申し立ては異議申し立てに限られます。
強制執行もできる
また、少額訴訟で勝訴したにもかかわらず家賃が支払われなかった場合は、「強制執行」をすることができます。強制執行をすれば、借主の財産を差押さえ、強制的に未払い家賃の回収を行うことが可能です。
支払督促書類を送る
金銭等の支払いを請求する場合に利用できる法的手続きが、支払督促です。支払督促は書類審査のみなので、原告・被告共に出廷する必要はありません。この場合も支払いがされなければ、強制執行することが可能です。
かえって二度手間になることも
簡潔な手続きでスピーディーに支払い命令を得られるのが支払督促のメリットです。しかし、借主が支払督促通知を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てた場合、通常の裁判に移行することに留意する必要があります。申し立てには根拠が必要なく、ほとんどのケースでは異議申し立てがなされるので、二度手間になって時間も費用もかかってしまうことも少なくありません。
滞納期間によって対応の仕方は異なる
家賃の滞納期間によって、貸主がとるべき行動はずいぶんと違ってきます。数日遅れただけならば、借主が支払いを忘れていた可能性も十分あります。何日も支払わないようなら、対応の仕方を考えたほうがよいでしょう。
滞納期間が浅いうちは丁寧な対応を
家賃の払い込みが2~3日遅れただけならば、借主が支払いをうっかり忘れていただけかもしれません。この程度の遅れなら、丁寧に支払いをお願いしましょう。
入金確認ができない場合は電話で期日を約束する
賃借物件の家賃の流れとしては、「約定日」に指定口座に払い込まれ、翌日に貸主が記帳して入金確認するのが一般的です。何日も入金が確認できない場合、家賃を振り込むよう借主に電話を入れることになりますが、振り込みの期日は一週間程度の猶予を与えるようにしましょう。
それでも支払わない場合は更に念を押す
約束した期日になっても尚払い込まれていない場合は、再度催促の電話を入れなければなりません。しかし、この時点では単に支払いを忘れているだけの可能性はかなり低いので、確実に振り込める期日を確認し厳守するよう、借主に伝えることが必要です。
滞納期間が長くなってきたら
再三支払いを要求しても入金されない場合は、法的措置も視野に入れることになります。借主には何らかの事情があるのかもしれませんが、故意に家賃を払っていない可能性が高いので、法的措置も辞さない構えを見せることも必要となるでしょう。
書面で支払催告する
書面での支払督促は、口頭でのそれと法律的な効果は同じです。しかし、書面で催促することによって本気で督促していることが伝えられ、借主に心理的なプレッシャーを与えることができます。このとき、内容証明郵便や配達証明郵便等、後に証拠として残る方法で書面を郵送するとよいでしょう。
訴訟を起こす
それでもまだ支払いに応じなければ、訴訟を提起することになります。滞納家賃を請求するだけなら損害賠償請求や支払請求の訴訟を、賃貸契約を解除したい場合は明け渡し訴訟を起こしましょう。どちらにするかは明け渡しにかかる費用やその後のこと、及び自らの経済状況等を考慮した上で判断することが大切です。
家賃滞納で困らないために貸主が覚えておくべきこと
貸主が家賃滞納で困らないようにするためには、入金確認のタイミングや借主とのかかわり方等、その他の要素も重要になってきます。それは一体どういうことでしょうか。
家賃滞納の初期段階でのポイント
家賃滞納期間が長引けば貸主の生活にもかかわってきますが、借主もまた滞納が長期化すればする程支払いにくくなります。そのため、滞納の初期段階での貸主の行動が重要になってくると言えます。
素早い対応が肝心
賃借物件の貸主の多くは、契約時に設定した家賃の支払日の翌日に入金確認を行います。家賃滞納の長期化のリスクを最小限にとどめるためにも、入金されているかどうかできるだけ早く把握することが重要です。
借主に関する情報収集も大切
滞納の初期段階では借主と連絡をとれたのに、滞納期間が長引くにつれて連絡がとれなくなるのはよくあることです。連絡がとれるうちに、借主の収支状況や生活状況、滞納した原因等の情報を集めておくとよいでしょう。そうすることで、その後の居住継続を認めるかどうか、支払い猶予を受け入れるかどうか等の判断にも役立ちます。
家賃滞納を未然に防ぐ方法もある
ここまで実際に家賃を滞納された貸主が事後にとるべき対策を紹介してきました。しかし、やり方次第で家賃滞納を未然に防ぐこともできます。どのようなやり方をすればよいのでしょうか。
入居審査の明確な基準を設けておく
収入の額や連帯保証人の要否等、入居基準を明確に設けて、契約を申し込んだ人がこの基準から著しく外れる場合は入居を断ることも時には必要です。仲介業者を利用する場合は、業者からの言葉を鵜呑みにするのではなく、入居基準に照らし合わせて客観的な判断をするようにしましょう。
普段から借主とコミュニケーションをとる
普段からコミュニケーションをとり、お互いに顔を合わせることで信頼関係が生まれ、家賃滞納が起きにくくなります。申込時から申込者と接しておけば入居後もコミュニケーションをとりやすくなるでしょう。ただ、馴れ合いの関係になってしまうと、かえって借主に少々の滞納なら許してもらえると認識される可能性があるため注意も必要です。
家賃滞納で困ったら弁護士に相談を
家賃滞納で困らないためには、借主に家賃を支払わなければならないといかに思わせるかがカギとなります。そのためには、弁護士を通じて支払督促を行うのも有効でしょう。家賃滞納で困ったら不動産問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
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