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自己破産をすると財産はどうなるのか
自己破産を考えるとき、多くの方が真っ先に心配するのが「家や車、預貯金はどうなってしまうのか」という点ではないでしょうか。借金がゼロになるのはありがたいけれど、生活に必要なものまで全部取り上げられてしまうのでは、と不安になる気持ちはよく分かります。
まず、安心してほしいことをお伝えします。自己破産をしても、生活に必要なものすべてを失うわけではありません。法律は、破産する人がその後の生活を立て直せるように、手元に残せる財産の範囲をきちんと定めています。すべてを差し出して身ひとつになる、というイメージは正確ではないのです。
自己破産という言葉の響きから、財産を根こそぎ失い、ふつうの生活が送れなくなるような印象を持つ方は少なくありません。けれども、制度の目的は「破産した人を罰すること」ではなく「経済的に行き詰まった人を再生させること」にあります。だからこそ、再スタートに最低限必要なものは手元に残せるよう、法律が配慮しているのです。この前提を知っておくだけで、自己破産に対する見方はずいぶん変わるはずです。
この記事では、自己破産で処分される財産と残せる財産の境界線、そして手続きの種類である「同時廃止」と「管財事件」の違いについて、弁護士の視点からわかりやすく整理していきます。自分のケースで何が残せて何を手放すことになるのか、読み終わるころにはイメージがつかめるはずです。
処分される財産と残せる財産がある
自己破産の基本的な考え方は、「一定以上の価値がある財産はお金に換えて債権者に分配し、その代わりに借金の支払い義務を免除する」というものです。つまり、価値のある財産は処分される一方で、生活に欠かせないものや一定額までの財産は手元に残せる、という二本立てになっています。
この「残せる財産」のことを、法律用語で自由財産と呼びます。自由財産があるおかげで、破産した人もその後の生活をゼロからではなく、最低限の土台の上から再スタートできるのです。何が処分され、何が自由財産として残るのかを知ることが、自己破産後の生活を見通す第一歩になります。
自由財産には、法律であらかじめ定められたものに加えて、裁判所が個別の事情を考慮して認める「自由財産の拡張」というものもあります。たとえば、その人の生活状況からどうしても必要だと認められる財産については、本来なら処分対象でも手元に残せることがあるのです。この拡張が認められるかどうかは、生活への影響の大きさなどを踏まえて判断されます。画一的にすべてが決まるわけではなく、その人の事情に応じた調整の余地が残されている、という点も知っておくとよいでしょう。具体的にどこまでが残せて、何が拡張の対象になり得るのかは、財産の内容と生活状況をあわせて見なければ判断できません。だからこそ、財産に不安がある方ほど、早い段階で専門家に具体的な状況を見てもらう意味があるのです。
まず確認したい自己破産の全体像
財産の話に入る前に、自己破産の全体像をおさらいしておきましょう。自己破産は、支払不能の状態にある人が、裁判所を通じて借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。財産の処分は、その過程の一部にすぎません。借金そのものを消すことが目的であり、財産を取り上げることが目的ではない、という点を押さえておくと、これから読み進める内容も理解しやすくなります。手続き全体の流れや費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
手元に残せる「自由財産」とは
では、具体的にどこまでの財産を手元に残せるのでしょうか。自由財産の範囲は法律で決まっており、ここを正しく理解しておくと、漠然とした不安がかなり和らぎます。
一定額までの現金は残せる
まず、現金については一定額まで手元に残すことが認められています。生活を続けていくためには、当面の食費や光熱費などのお金が必要だからです。手元に一定額の現金を残せることで、手続き中も生活が立ち行かなくなる事態を防げます。もし手元のお金まですべて取り上げられてしまえば、明日の食事にも困り、再起どころではなくなってしまいます。法律が一定額の現金を残すことを認めているのは、まさにこうした事態を避けるためなのです。当面の生活費まで奪われる、という心配は無用だと考えてよいでしょう。
注意したいのは、ここで言う「現金」と「預貯金」は扱いが異なる場合があるという点です。財布の中の現金と、銀行口座の残高は、別のものとして考えられることがあります。預貯金については、残高によっては処分の対象になることもあるため、自分のケースでどう扱われるかは確認が必要です。
また、複数の口座に分けて預けている場合は、それらを合計した金額で判断されます。「一つの口座の残高は少ないから大丈夫」と考えていても、すべての口座を足すと一定額を超えてしまう、ということもあるのです。手続きの際には、原則としてすべての口座の通帳を提出することになるため、一部の口座を隠しておくことはできません。正直にすべてを申告することが大前提になります。
差押えが禁止されている財産
次に、法律で差押えが禁止されている財産も、自由財産として手元に残せます。これは、生活に欠かせないものや、差し押さえると生活が成り立たなくなるものを守るための仕組みです。差押禁止財産という考え方は、自己破産に限らず、借金の取り立て全般に共通するルールです。どんなに借金があっても、人が最低限の暮らしを営むために必要なものまでは取り上げられない、という法律の基本姿勢がここに表れています。
具体的には、衣類や寝具、家具、台所用品といった日常生活に必要な家財道具が含まれます。テレビや冷蔵庫、洗濯機といった一般的な生活家電も、通常は処分の対象になりません。「家の中のものを全部持っていかれる」というのは誤解で、ごく普通の暮らしに使っているものは基本的に残せると考えてよいでしょう。
かつてのドラマや漫画では、借金を抱えた人の家財に差押えの札が貼られる場面が描かれることがありました。そうしたイメージから、自己破産をすると家の中が空っぽになると思い込んでいる方もいます。しかし実際には、生活に必要な最低限のものは法律でしっかり守られています。テレビが見られなくなる、布団がなくなる、といった心配は基本的に無用です。手続き中も、これまでと大きく変わらない日常生活を送ることができます。
手続き後に得た財産は対象外
もう一つ大切なのが、破産手続きが始まった後に得た財産、いわゆる新得財産は処分の対象にならないという点です。たとえば、手続き開始後に働いて得た給料は、自由に使うことができます。ここでいう「手続きが始まった後」とは、裁判所が破産手続きの開始を決定した時点を指します。その時点を境に、それより前から持っていた財産は清算の対象となり、その後に新たに得た財産は自分のものとして残せる、という線が引かれるわけです。
これは、破産する人の経済的な再生を支えるための重要なルールです。手続き後に稼いだお金まで取り上げられてしまっては、生活を立て直すことなどできません。過去の財産は清算するけれど、これからの収入には手をつけない――この線引きが、再スタートを可能にしているのです。
言い換えれば、自己破産で清算されるのは「過去」であって「未来」ではありません。手続きが終われば、そこからの収入も貯蓄も、すべて自分のものになります。借金に追われていたときには想像しにくいかもしれませんが、毎月の返済に消えていたお金を、これからは生活の立て直しや将来への備えに回せるようになるのです。財産を一部手放すことの先に、こうした新しい生活が待っていることも忘れないでください。
処分の対象になりやすい財産
一方で、価値のある財産は処分の対象になります。どんなものが対象になりやすいのか、代表的なものを具体的に見ていきましょう。自分の持ち物に当てはまるものがないか、確認しながら読んでみてください。なお、ここで紹介するのはあくまで「対象になりやすい」財産であり、すべてのケースで必ず処分されるとは限りません。価値の程度や、自由財産の拡張が認められるかどうかによって、結果は変わってきます。一つの目安として読み進めてください。
持ち家・不動産
もっとも影響が大きいのが、持ち家などの不動産です。一定の価値がある不動産は、原則として処分され、売却代金が債権者への配当に回されます。住宅ローンが残っている場合は、抵当権を持つ金融機関が優先的に回収することになります。不動産の処分は、通常は競売や任意売却といった形で行われます。売却によって住む場所を失うことになるため、その後は賃貸住宅などへの住み替えが必要になります。引っ越しのタイミングや費用についても、手続きの中で見通しを立てておくことが大切です。
「どうしても家だけは残したい」という方にとって、自己破産はその希望と相容れません。マイホームを手放すというのは、家族の生活拠点を変えるという大きな決断を伴います。だからこそ、家を残したいという思いが強い場合は、自己破産を選ぶ前に他の手続きを十分に検討することが大切です。家を守りたい場合は、自宅を残せる可能性のある個人再生を検討する余地があります。住宅ローンと自己破産の関係に悩む方は、こちらの記事も参考にしてください。
自動車
自動車も、価値によっては処分の対象になります。判断の目安となるのは、その車の時価です。一定の価値が残っている車は処分される一方、年式が古く価値がほとんどない車であれば、自由財産として残せることもあります。査定額がいくらになるかは、車種や走行距離、年式によって変わります。中古車の買取価格をイメージするとわかりやすいでしょう。
たとえば、新車を購入してまだ年数が浅い車は処分対象になりやすく、逆に10年以上乗っていて価値がわずかしかない車は手元に残せる可能性があります。地方で車が生活の必需品になっている方にとっては気になるところでしょうが、価値のない車まで一律に取り上げられるわけではありません。なお、自動車ローンが残っている場合は、ローン会社が車を引き上げるのが一般的です。これは、ローンを完済するまで車の所有権がローン会社に留保されていることが多いためです。所有権が自分に移っていない車は、そもそも自分の財産として自由にできないので、ローン会社へ返すことになるわけです。通勤に車が欠かせない方は、この点も含めて事前に対策を相談しておくと安心です。
保険・退職金・預貯金
このほかにも、まとまった価値のある財産は処分の検討対象になります。代表的なものを整理しておきましょう。
| 財産の種類 | 扱いの考え方 |
|---|---|
| 生命保険の解約返戻金 | 解約したときに戻ってくるお金が一定額を超える場合、処分の対象になることがあります。逆に少額であれば残せることもあります。 |
| 退職金 | すでに受け取った退職金や、近く受け取る予定の退職金は、一定割合が処分の対象として扱われることがあります。まだ先のものは評価が抑えられる傾向にあります。 |
| 預貯金 | 口座の残高が一定額を超える場合、超えた分が処分の対象になることがあります。 |
| 有価証券など | 株式や投資信託など、換金できる資産は処分の対象になります。 |
退職金について少し補足します。「まだ会社に勤めていて退職金は受け取っていないのに、なぜ財産になるのか」と疑問に思う方もいるでしょう。これは、もし今退職したらいくら受け取れるか、という見込み額を財産として評価する考え方です。ただし、実際にはまだ手元にないお金なので、その全額がそのまま処分されるわけではなく、一定割合に抑えて評価されるのが一般的です。退職がまだ遠い先であれば、評価額はさらに小さくなります。
このように、価値のある財産は幅広く処分の対象になり得ます。ただし、ここでも「一定額を超えるかどうか」という線引きが効いてくるため、少額のものまですべて取り上げられるわけではありません。自分の財産がどう評価されるかは、専門家に確認するのが確実です。
「同時廃止」と「管財事件」の違い
ここからが、この記事のもう一つの重要なテーマです。自己破産には、大きく分けて「同時廃止」と「管財事件」という二つの進め方があります。どちらになるかによって、手続きの手間や費用、期間が大きく変わってくるため、ぜひ押さえておきましょう。
同時廃止とは
同時廃止とは、処分すべき財産がほとんどなく、免責不許可事由などの調査も必要ないと判断された場合に取られる、シンプルな手続きです。破産手続きの開始と同時に手続きを終わらせる(廃止する)ことから、この名前がついています。
処分する財産がないのですから、債権者に分配する作業も不要です。そのため手続きは比較的早く進み、費用も抑えられます。財産が少なく、借金の原因にも問題がない方の多くは、この同時廃止で進むことになります。期間としては、申立てから免責が確定するまで数か月程度で済むことが多く、破産する人の負担は比較的軽くなります。手持ちの財産がほとんどなく、純粋に返済しきれない借金だけが残っている、という典型的なケースでは、この同時廃止が選ばれやすいと言えるでしょう。
管財事件とは
一方、管財事件は、処分すべき一定以上の財産がある場合や、免責不許可事由があって調査が必要な場合に取られる手続きです。この場合、裁判所によって破産管財人という専門家(多くは弁護士)が選任されます。
破産管財人は、破産する人の財産を調査して換金し、債権者に公平に分配する役割を担います。また、免責不許可事由がある場合には、その内容や反省の度合いなどを調査します。同時廃止に比べて手続きは複雑になり、期間も長く、費用も多めにかかるのが一般的です。
管財事件になると、破産管財人との面談が行われたり、求められた資料を提出したりする必要があります。手続きにかかる期間は、財産の内容や調査の進み具合によりますが、数か月から半年以上に及ぶこともあります。手間が増えるのは事実ですが、破産管財人は手続きを公正に進めるための存在であり、敵ではありません。誠実に協力すれば、手続きはスムーズに進んでいきます。
少額管財という選択肢
管財事件と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、負担を軽くした「少額管財」という運用もあります。これは、弁護士が代理人として申立てを行うなど一定の条件を満たす場合に、通常の管財事件より予納する費用を抑えて進められる仕組みです。通常の管財事件では裁判所に納める費用が高額になりがちですが、少額管財ではその負担がぐっと軽くなります。財産があったり免責不許可事由があったりして管財事件になりそうな場合でも、弁護士に依頼することでこの少額管財を使える可能性があるため、費用面での不安が大きい方ほど専門家に相談する意味は大きいと言えます。
裁判所によって運用は異なりますが、弁護士に依頼することでこの少額管財を利用でき、費用や手続きの負担を軽減できることがあります。これも、自己破産を弁護士に依頼するメリットの一つと言えるでしょう。
なお、管財事件になると裁判所に予納する費用が同時廃止より高くなるため、「費用が払えるか不安」という方もいるでしょう。費用を準備できないときの対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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財産が処分されるタイミングと注意点
財産がどう扱われるかがわかってきたところで、実際に処分が行われるタイミングや、その前後で気をつけるべきことも確認しておきましょう。ここを誤ると、手続きに思わぬ支障が出ることがあります。とくに、自己破産を決意してから実際に申立てをするまでの期間は、財産の扱いについて慎重になるべき時期です。この時期の行動一つで、その後の手続きがスムーズに進むかどうかが左右されることもあるのです。
財産を勝手に処分してはいけない
自己破産を考え始めたとき、つい「処分される前に財産を売ってお金にしておこう」「家族に渡しておこう」と考えてしまう方がいます。しかし、これは絶対に避けてください。
破産前に財産を不当に処分したり、特定の人に贈与したりする行為は、財産隠しと見なされて免責不許可事由に当たるおそれがあります。良かれと思ってやったことが、免責を妨げる結果になりかねないのです。財産の扱いについては、自己判断せず必ず弁護士の指示に従いましょう。たとえば、車を友人に格安で譲ってしまう、預金を引き出して親に預ける、といった行為は、本人にとっては「整理」のつもりでも、手続きの中では不当な財産処分と評価されることがあります。迷ったら動く前に相談する、という姿勢が何より安全です。何がやってはいけない行為に当たるかは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
処分されても生活はゼロからではない
仮に持ち家や車を手放すことになっても、それで人生が終わるわけではありません。前述のとおり、生活に必要な家財道具や一定額の現金は手元に残りますし、手続き後に得る収入は自由に使えます。賃貸住宅に移るなどして、新しい生活をスタートさせている方は大勢います。住む場所が変わることは大きな変化ですが、借金の重圧から解放され、毎月の収入を自分の生活のために使えるようになることの安心感は、それを補って余りあるものです。
むしろ、返しきれない借金を抱えたまま督促に追われ続けるより、いったん財産を清算してでも借金から解放されたほうが、長い目で見て生活が安定することは少なくありません。失うものに目が向きがちですが、得られる「再スタートの機会」にも目を向けてほしいと思います。実際、自己破産を経て、督促の電話や郵便に怯える日々から解放され、心穏やかに暮らせるようになったという声は多く聞かれます。財産の一部を手放すという代償はあっても、それと引き換えに取り戻せるものの大きさは、決して小さくないのです。
自己破産後の暮らしが実際どうなるのか、仕事や資格にどんな影響があるのかが気になる方は、こちらの記事もあわせて読んでおくと、より具体的に再スタート後の生活をイメージできるはずです。
信用情報への影響も理解しておく
自己破産をすると、その事実が信用情報機関に一定期間登録されます。いわゆるブラックリストの状態で、その間は新たな借入れやクレジットカードの作成が難しくなります。これは財産の処分とは別の影響ですが、生活の見通しを立てるうえで知っておくべき点です。とはいえ、この登録も永久に続くわけではなく、一定の期間が経てば消えていきます。その間は現金やデビットカードで生活することになりますが、裏を返せば、新たな借金に頼らない家計を立て直す良い機会とも言えます。登録される期間や、その後の影響については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自己破産と財産についてよくある質問
最後に、自己破産と財産の扱いについて、よく寄せられる質問にお答えしていきます。気になる項目から読んでみてください。
家族名義の財産も処分されますか
処分の対象になるのは、あくまで破産する本人の財産です。配偶者や子どもなど、家族名義の財産が処分されることは原則としてありません。たとえば配偶者が自分の収入で買った車や、家族名義の預貯金は、本人の破産の影響を受けないのが基本です。ただし、破産直前に本人の財産を家族名義に移したような場合は、財産隠しを疑われ、取り戻しの対象になることがあります。名義を分けていれば何でも守れる、というわけではない点に注意してください。なお、夫婦であっても、借金は原則としてそれを契約した本人だけのものです。配偶者が連帯保証人になっていない限り、本人の借金の返済を家族が肩代わりする義務はありません。家族に迷惑がかかるのではと過度に心配しすぎる必要はないのです。
給料は差し押さえられますか
自己破産の手続きそのものによって、毎月の給料が差し押さえられることはありません。むしろ、弁護士に依頼すれば債権者による給料の差押えを止められることもあります。前述のとおり、手続き開始後に得た給料は新得財産として自由に使えます。ただし、破産前にすでに債権者が裁判を起こして給料を差し押さえている場合は、状況が異なることがあるため、早めに相談することが大切です。給料の差押えは、生活に直結する深刻な事態です。すでに差押えが始まっている、あるいは差押えの予告が届いている、という場合は、一刻も早く専門家に相談してください。手続きを進めることで、差押えを止められる可能性があります。
生活に必要な車は残せますか
車の価値によります。年式が古く時価がほとんどない車であれば、生活に必要なものとして残せる可能性があります。一方、価値の高い車は処分の対象になります。地方にお住まいで車が通勤や通院に欠かせないという事情がある場合は、その点を弁護士に伝えておくとよいでしょう。事情によっては、自由財産の範囲を広げる「自由財産の拡張」という手続きで残せることもあります。公共交通機関が乏しい地域では、車がなければ仕事にも通えず、かえって生活の再建が難しくなってしまいます。そうした切実な事情は、きちんと伝えれば考慮される余地があります。最初からあきらめず、まずは状況を正直に相談してみることをおすすめします。
同時廃止と管財事件、自分はどちらになりますか
これは財産の状況と借金の原因によって決まります。処分すべきめぼしい財産がなく、浪費やギャンブルといった免責不許可事由もなければ、同時廃止になる可能性が高いでしょう。逆に、一定以上の財産があったり、免責不許可事由の調査が必要だったりすると管財事件になります。どちらになりそうかは、財産や借金の内容を具体的に確認したうえで、専門家が見通しを立ててくれます。なお、同じような財産状況でも、裁判所ごとに運用の細かな違いがあるため、最終的な振り分けは申立先の裁判所の判断によります。自分の住む地域の裁判所がどのような運用をしているかも、地元の事情に詳しい弁護士であれば把握しています。この点でも、専門家に相談する価値があると言えるでしょう。
財産の不安があるなら弁護士に相談を
ここまで、自己破産で処分される財産と残せる財産、そして同時廃止と管財事件の違いについて見てきました。ポイントを振り返ると、自由財産として一定額の現金や生活必需品は手元に残せること、価値のある財産は処分の対象になること、そして財産の有無や免責不許可事由の有無によって手続きの種類が変わること、この三つが大きな柱でした。改めて強調しておきたいのは、自己破産をしてもすべてを失うわけではない、ということです。生活の土台となるものは法律で守られており、手続き後に得る収入も自由に使えます。漠然と抱いていた「身ぐるみ剥がされる」という不安は、正しい知識を得ることで、ずいぶん小さくなるはずです。
「自分の場合、あの財産は残せるのだろうか」「同時廃止と管財事件、どちらになりそうか」――こうした疑問は、財産の内容や評価額を具体的に検討してみなければ正確には答えられません。財産の評価は専門的な判断を伴うため、自己判断で「これは取られる」「これは大丈夫」と決めつけるのは禁物です。とくに、自由財産の拡張が認められるかどうかや、少額管財を使えるかどうかといった点は、個別の事情と裁判所の運用によって変わります。一般的な情報だけでは判断しきれない部分が多いのです。
自己破産を考えていて財産の扱いに不安があるなら、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。自分のケースで何が残せるのか、どの手続きで進むことになりそうか、そして財産を守りたいなら他にどんな選択肢があるのか――専門家と一緒に整理することで、漠然とした不安は具体的な見通しに変わります。一人で抱え込まず、早めに専門家の力を借りて、安心して再スタートを切れる道を探していきましょう。
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