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個人再生の最低弁済額と清算価値の計算方法

この記事で分かること

  • 個人再生の返済額が最低弁済額と清算価値の高いほうで決まる仕組み
  • 借金の総額に応じて段階的に定められる最低弁済額の基準額と具体例
  • 自己破産なら債権者が受け取れた額を保障する清算価値保障の原則
  • 預貯金や保険・不動産・退職金など清算価値に含まれる主な財産
  • 小規模と給与所得者等で比べる基準が変わり返済額が異なる理由
  • 給与所得者等再生で加わる可処分所得2年分という3つ目の基準
  • 財産を不当に減らさずありのままに申告すべき試算上の注意点

個人再生の返済額は、借金の総額に応じて決まる最低弁済額と、財産の価値である清算価値を比べ、高いほうが基準になります。財産が少なければ最低弁済額が、持ち家などがあれば清算価値が基準になりやすい仕組みです。給与所得者等再生では可処分所得2年分も加わります。この記事で計算の考え方と注意点を整理します。

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個人再生を考えるとき、多くの方が最も気にされるのが「結局、いくらまで返さなければならないのか」という点ではないでしょうか。元金を大幅に減らせると聞いても、その減った後の金額がどう決まるのかが分からなければ、自分の生活がどうなるのか見通せませんよね。

返済額が分からないままでは、手続きに踏み出す決心もつきにくいものです。じつは、個人再生で返済する金額は、最低弁済額と清算価値という二つの基準によって決まります。

この記事では、個人再生の返済額を左右するこの二つの基準について、それぞれの意味から計算の考え方、具体例までを弁護士の視点でわかりやすく整理します。あわせて、給与所得者等再生で加わる可処分所得という三つ目の基準や、試算するうえでの注意点もお伝えします。

読み終えるころには、自分の場合にどれくらい返済することになりそうか、その見当をつけるための手がかりがつかめるはずです。数字の話が続きますが、できるだけかみくだいて説明しますので、安心して読み進めてください。

返済額の決まり方さえ理解できれば、漠然としていた不安が具体的な見通しに変わります。自分の生活がどうなるのかをイメージしながら、読み進めてみてください。

個人再生の返済額は2つの基準で決まる

まず、全体像をつかんでおきましょう。個人再生で実際に返済する金額は、借金の総額に応じて決まる最低弁済額と、いま持っている財産の価値である清算価値とを比べて、高いほうが基準になります。どちらか一方だけで決まるのではなく、二つを比較して大きいほうが採用される、という点がポイントです。

たとえば、最低弁済額が100万円、清算価値が150万円であれば、高いほうの150万円が返済額の基準になります。逆に、最低弁済額が200万円、清算価値が80万円であれば、200万円が基準です。どちらか低いほうではなく、高いほうが選ばれるという点を、まず押さえておきましょう。

なぜ二つを比べるのかというと、それぞれ守ろうとしているものが違うからです。最低弁済額は「借金額に応じて、これだけは最低限返しましょう」という基準です。一方の清算価値は「自己破産をしていたら債権者が受け取れたはずの金額は、最低限返しましょう」という基準です。

この二つのうち高いほうを返済額とすることで、債権者の利益が不当に害されないよう調整されているのです。言いかえれば、借金の額から見た最低ラインと、財産の額から見た最低ラインの、両方をクリアする金額を返しなさい、という仕組みです。

二つの最低ラインのうち、より高いほうに合わせる、と考えればわかりやすいでしょう。どちらの基準で見ても債権者が損をしないように設計されている、と考えるとわかりやすいかもしれません。まずは、この二本立ての仕組みを頭に入れてください。

なお、後で説明するとおり、給与所得者等再生を選ぶ場合には、ここにもう一つの基準が加わります。

最低弁済額とは?借金の総額で決まる基準

一つ目の基準である最低弁済額は、借金の総額に応じて、法律で段階的に定められています。借金が多いほど最低弁済額も上がっていきますが、総額に比例して増えるわけではなく、一定の区切りごとに基準が変わる仕組みです。住宅ローンを除いた借金の総額をもとに判断します。

住宅ローンを別に扱うのは、後で触れる住宅を残すための仕組みのなかで、住宅ローンが別枠で処理されるためです。つまり、ここでいう借金の総額とは、住宅ローン以外のカードローンや消費者金融からの借入れなどを合計したものだと考えてください。

最低弁済額の基準額

法律で定められている最低弁済額の基準は、次のように整理されます。自分の借金総額がどの区分にあたるかを当てはめてみましょう。

借金の総額(住宅ローンを除く) 最低弁済額
100万円未満 借金の全額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円超1500万円以下 借金の総額の5分の1
1500万円超3000万円以下 300万円
3000万円超5000万円以下 借金の総額の10分の1

この表からわかるとおり、借金が100万円未満の場合は、減額されず全額が返済の対象になります。元金をあまり減らせないため、少額の借金では個人再生のメリットが小さくなることがあります。たとえば借金が90万円の方の場合、最低弁済額は90万円の全額となり、減額そのものは見込めません。

こうしたケースでは、利息のカットで対応する任意整理など、別の手続きのほうが向いていることが多くなります。一方、借金が500万円を超えてくると、総額の5分の1や10分の1まで圧縮される可能性があり、減額の効果が大きく感じられるようになります。

たとえば借金が1000万円ある方なら、最低弁済額は5分の1の200万円が目安になります。1000万円が200万円になると考えれば、その差は非常に大きいといえるでしょう。借金が大きく膨らんでしまった方ほど、最低弁済額の仕組みによる圧縮の恩恵を受けやすいのです。

ただし、ここで決まるのはあくまで最低弁済額という一つの基準にすぎません。実際の返済額は、このあと説明する清算価値と比べて高いほうになるため、最低弁済額がそのまま返済額になるとは限らない点に注意してください。財産が多い方の場合は、清算価値のほうが基準になることもあります。

最低弁済額の具体例

具体的に見てみましょう。たとえば、住宅ローンを除いた借金の総額が600万円の方の場合、表にあてはめると「500万円超1500万円以下」の区分に入るため、最低弁済額はその5分の1の120万円が一つの目安になります。

600万円が120万円になると考えると、減額の幅の大きさが実感できるのではないでしょうか。実に5分の1ですから、毎月の返済の負担も大きく軽くなります。利息だけを止める任意整理とは、圧縮の規模がまるで違うことがわかります。

これがそのまま返済額になるとは限りませんが、後で説明する清算価値がこれを下回っていれば、この最低弁済額が基準になります。仮にこの方の清算価値が80万円だったとすれば、120万円のほうが高いので、最低弁済額の120万円が返済額の基準となり、それを原則3年で返していくことになります。

月々に直すと、3年は36回ですから、おおよその月額のイメージもつかめるでしょう。120万円を36回で割れば、毎月いくら返していくことになるのかが見えてきます。この月額が、いまの家計で無理なく払える範囲かどうかが、個人再生を選べるかどうかの大きな分かれ目になります。

このように、まず最低弁済額を出し、清算価値と比べる、という順番で返済額を考えていきます。

清算価値とは?持っている財産で決まる基準

二つ目の基準が清算価値です。これは、申立てをした時点で自分が持っている財産を、かりに現金に換えたとしたらいくらになるか、という価値のことです。預貯金や不動産、車、保険など、さまざまな財産が対象になります。

財産が多い人ほど、この清算価値は高くなります。ここでいう財産には、現金や預貯金のようにそのまま金額がわかるものだけでなく、保険を解約したら戻ってくるお金や、不動産・車を売ったらいくらになるかといった、換金したときの価値も含まれます。

普段は財産だと意識していないものも対象になることがあるため、注意が必要です。たとえば、積立型の生命保険は、保障のために入っているつもりでも、解約すればお金が戻ってくるため、その金額が財産として扱われます。

学資保険なども同様で、子どものために積み立てているものでも、解約返戻金があれば財産として見られます。「これは財産ではない」と自己判断せず、戻ってくるお金があるものは一度すべて洗い出してみることが大切です。

清算価値保障の原則

個人再生では、最低限この清算価値の分は返済しなければならないとされています。これを清算価値保障の原則といいます。考え方の根っこにあるのは、自己破産との比較です。

もし自己破産をしていれば、その人の財産は処分され、その分のお金が債権者に配られていたはずです。それなのに、個人再生を選んだことで債権者の取り分が自己破産より少なくなってしまうのは公平でない、という発想です。

そこで、個人再生でも、自己破産をしたら債権者が受け取れたはずの金額、つまり清算価値の分は最低限返しましょう、という仕組みになっているのです。この原則があるため、財産を多く持っている方は、その分だけ返済額が引き上げられることになります。

家や車、まとまった預貯金などを持っている方は、最低弁済額だけを見て安心するのではなく、清算価値がどれくらいになるかも必ず確認しておく必要があります。財産の額によっては、想定よりも返済額が高くなることがあるからです。

とくに、退職金の見込み額が大きい方や、解約返戻金の多い保険に複数加入している方は、自分では気づかないうちに清算価値が高くなっていることがあります。

ワンポイントアドバイス
清算価値が高くなりやすいのは、まとまった預貯金がある方や、解約返戻金の大きい保険に入っている方、価値のある不動産や車を持っている方です。これらの財産が多いと、最低弁済額より清算価値のほうが高くなり、返済額が膨らむことがあります。自分にどれだけの財産があるかを整理しておくことが、返済額を見通す第一歩になります。

清算価値に含まれる主な財産

清算価値の計算では、おおむね次のような財産が対象になります。どんなものが含まれるのかを確認しておきましょう。

財産の種類 清算価値の考え方
預貯金 申立て時点の残高
生命保険 解約した場合に戻ってくる金額(解約返戻金)
不動産 時価からローン残債などを差し引いた価値
自動車 査定した場合の評価額
退職金 現時点で退職した場合の見込み額の一部

退職金については、すぐに受け取るわけではないため、見込み額の全部ではなく、その一部だけが清算価値に算入されるのが一般的です。これは、現時点で必ず手にできるお金ではないことが考慮されているためです。

退職が近い方とそうでない方とで扱いが変わることもあり、勤続年数や就業規則の内容によっても見込み額は変わってきます。また、生活に欠かせない家財道具などは、価値として計上されないのが通常です。

何がどこまで対象になるかは専門的な判断を伴うため、財産の資料をそろえて専門家に確認してもらうのが確実です。たとえば、複数の保険に入っている方は、それぞれの解約返戻金を合計すると意外と大きな金額になることがあります。

また、不動産は、時価そのものではなく、住宅ローンなどの残債を差し引いた後の価値で評価される点も押さえておきたいところです。財産の種類ごとに評価の考え方が異なるため、自己判断せずに専門家の確認を受けることが、正確な見通しを立てるうえで欠かせません。

ここまで読んで、自分の場合は借金がどのくらい減らせそうか、気になってきた方も多いのではないでしょうか。下の無料診断なら、いくつかの項目を入力するだけで減額の目安を確認できます。手続きを決める前の判断材料として、まずは気軽に試してみてください。

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清算価値は申立て時点の状況で判断される

清算価値は、申立てをした時点での財産の状況をもとに計算されます。そのため、手続きを始める前後の財産の動きには注意が必要です。たとえば、申立ての直前に高額な買い物をして預貯金を減らしたり、保険を解約してお金を使ってしまったりすると、その経緯が問題視されることがあります。

返済額を下げる目的で財産を不自然に動かす行為は、手続きの公正さを損なうものとして、認可に悪影響を及ぼしかねません。財産は、ありのままの状態で申告するのが大原則です。気になる動きがある場合は、自己判断で動く前に専門家に相談しましょう。

最低弁済額と清算価値を比べて高い方が返済額になる

ここまで見てきた二つの基準を、いよいよ比べてみます。繰り返しになりますが、個人再生の返済額は、最低弁済額と清算価値のうち、高いほうが採用されます。この比較こそが、返済額決定の核心です。

2つのケースで比べてみる

イメージをつかむために、二つのケースを考えてみましょう。一つ目は、借金600万円・最低弁済額120万円の方で、めぼしい財産がなく清算価値が50万円だったとします。この場合、120万円のほうが高いので、最低弁済額の120万円が返済額の基準になります。

財産が少ないというのは、たとえば、預貯金がわずかで、持ち家もなく、価値のある車や保険もない、といった状態です。賃貸暮らしで大きな資産を持っていない独身の方などの多くは、このパターンにあてはまります。財産が少ない方は、このように最低弁済額が基準になることが多いのです。

二つ目は、同じく借金600万円・最低弁済額120万円の方でも、不動産や預貯金があって清算価値が200万円だったとします。この場合は清算価値の200万円のほうが高いので、こちらが基準になります。

同じ借金額でも、財産の有無によって返済額が変わってくることが、この比較からよくわかります。財産が多い方ほど、返済額が大きくなる傾向があるのです。この点は、個人再生を検討するうえでとても重要です。

「借金額が同じだから返済額も同じ」とは限らず、自分がどれだけの財産を持っているかによって、最終的な負担が変わってくるからです。

同じ職場の同僚どうしでも、一方は賃貸で財産が少なく最低弁済額が基準に、もう一方は持ち家があって清算価値が基準に、というように、返済額が違ってくることもありえます。だからこそ、返済額を見通すには、借金の総額だけでなく、自分の財産の状況もあわせて把握しておく必要があります。

注意
借金を減らしたいからといって、申立て直前に財産を隠したり、誰かに贈与したりするのは絶対に避けてください。財産を不当に減らす行為は、手続きが認められなくなる原因になります。財産はありのままに申告することが、結果的に自分を守ることにつながります。

給与所得者等再生では可処分所得2年分も加わる

ここまでは、おもに小規模個人再生を前提に説明してきました。もう一つのタイプである給与所得者等再生を選ぶ場合は、これまでの二つの基準に加えて、三つ目の基準が登場します。それが、可処分所得の2年分です。

可処分所得とは

可処分所得とは、収入から税金や社会保険料、そして最低限の生活に必要な費用を差し引いて残る、いわば自由に使えるお金のことです。給与所得者等再生では、この可処分所得の2年分という金額も計算され、最低弁済額・清算価値・可処分所得2年分の三つのうち、最も高い額が返済額の基準になります。

この三つ目の基準が加わることで、給与所得者等再生は小規模個人再生よりも返済額が高くなりやすい傾向があります。とくに、収入が高く、扶養する家族が少ない方の場合、可処分所得が大きくなり、その2年分が基準になることで返済額が膨らみやすくなります。

債権者の同意が不要という安心感がある反面、返済の負担は重くなりがちだという点を押さえておきましょう。可処分所得は、収入から税金や社会保険料、そして法律で定められた生活費の基準額を差し引いて計算されます。

家族の人数が多いと、その分だけ差し引かれる生活費も増えるため、可処分所得は小さくなる傾向があります。これは、扶養すべき家族が多いほど、生活に必要なお金も多く認められるためです。同じ収入でも、独身の方と、子どものいる家庭とでは、可処分所得の額が変わってくるのです。

逆に、独身で収入が高い方などは、可処分所得が大きく出やすく、その2年分が返済額の基準になると、負担がかなり重くなることもあります。

こうした事情から、まずは可処分所得の基準がない小規模個人再生を検討し、それが使えない事情があるときに給与所得者等再生を選ぶ、という順序が基本になるのです。

どちらのタイプを選ぶかで返済額が変わる

ここまで見てきたように、小規模個人再生では最低弁済額と清算価値の二つを、給与所得者等再生ではそこに可処分所得2年分を加えた三つを比べて、返済額が決まります。基準が一つ増える分、給与所得者等再生のほうが返済額は高くなりやすいといえます。

一方で、給与所得者等再生には債権者の同意が不要というメリットがあります。返済額を抑えたいのか、それとも債権者の反対を気にせず確実に進めたいのか、何を優先するかによって選ぶべきタイプが変わってきます。返済額の試算は、このタイプ選びとも密接に関わっているのです。

どちらが自分にとって有利かは、返済額と手続きの確実性を見比べて、専門家とともに判断していくことになります。

返済額を試算するときの注意点

ここまでの基準を使えば、自分の返済額のおおよその見当をつけることはできます。ただし、実際の手続きでは、いくつか注意しておきたい点があります。

まず、ここで示した金額はあくまで一例であり、実際の返済額は個別の事情によって変わります。借金の総額の確定や、財産の評価には専門的な判断が必要で、自分で思っていた金額と実際とがずれることもあります。とくに清算価値は、保険や退職金、不動産などの評価が絡むと複雑になりがちです。

正確な返済額を知りたい場合は、財産の資料をそろえたうえで、専門家に試算してもらうのが確実です。具体的には、預貯金の通帳、加入している保険の内容がわかる書類、不動産や車の資料などが、清算価値を見積もるための材料になります。

これらをそろえておけば、相談の際により正確な試算をしてもらえます。

また、返済額が決まっても、それを原則3年で返していけるかどうかが、手続きを進めるうえでもう一つの大事なポイントになります。いくら減額されても、毎月の返済が家計に対して重すぎれば、計画を続けられません。

返済額の試算とあわせて、その金額を無理なく返していけるかどうかも、専門家と一緒に確認しておきましょう。たとえば、返済額が120万円と試算されても、それを3年で返すとなると、月々の負担が生じます。

その負担に毎月の家計が耐えられるかどうかを、収入と支出を照らし合わせて見極めることが大切です。減額された後の返済を確実に続けられてはじめて、個人再生は本当の意味で成功するからです。家計に占める返済の割合が大きすぎると、生活そのものが立ちゆかなくなってしまいます。

返済額の数字だけでなく、その先の返済生活までイメージして判断するようにしましょう。せっかく減額されても、途中で返済が続けられなくなれば、計画が取り消されて元の借金額に戻ってしまうおそれもあります。

だからこそ、返済額の試算は、それを払い続けられる家計かどうかの検討とセットで行うことが欠かせません。

返済額の計算で迷ったら専門家に相談を

最低弁済額と清算価値という二つの基準、そして給与所得者等再生の可処分所得という三つ目の基準。仕組みは理解できても、自分のケースに正確にあてはめるのは簡単ではありません。借金の総額や財産の評価には、専門的な知識が欠かせないからです。

だからこそ、自分の返済額が気になる場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。状況を伝えれば、最低弁済額と清算価値を比較して、自分の場合の返済額の見込みを試算してもらえます。

その金額を無理なく返していけるかどうかまで含めて検討すれば、個人再生という選択が自分に合っているかどうかが、はっきり見えてきます。漠然とした不安を抱え続けるよりも、具体的な数字をもとに見通しを立てることが、解決への近道になります。

多くの法律事務所では、借金に関する相談を無料で受け付けているところもあります。財産や収入の状況を伝えれば、最低弁済額と清算価値を比べた返済額の見込みを示してもらえます。自分一人で計算式とにらめっこするよりも、専門家の試算を聞いたほうが、はるかに早く正確に見通しが立ちます。

早めに相談して数字を把握することが、安心への第一歩です。

最低弁済額と清算価値に関するよくある質問

最低弁済額と清算価値は、結局どちらが返済額になりますか?

二つを比べて、高いほうが返済額の基準になります。財産が少ない方は最低弁済額のほうが高くなりやすく、まとまった預貯金や不動産などの財産がある方は清算価値のほうが高くなりやすい傾向があります。

どちらが基準になるかは、借金の総額と財産の状況の組み合わせで決まるため、自分のケースでは専門家に試算してもらうのが確実です。一般には、めぼしい財産を持たない方は最低弁済額が、持ち家や大きな預貯金がある方は清算価値が基準になりやすい、と覚えておくとイメージしやすいでしょう。

借金が100万円未満だと個人再生のメリットはないのですか?

借金が100万円未満の場合、最低弁済額は全額になるため、元金そのものはほとんど減りません。そのため、減額という観点でのメリットは小さくなります。ただし、個人再生には返済を分割して立て直せるという面もあります。

とはいえ、少額の借金であれば、利息をカットする任意整理のほうが負担が軽く適していることも多いので、どの手続きが向いているかを専門家に相談してみるとよいでしょう。

個人再生は裁判所を通す手続きで手間も費用もかかるため、減額の効果が小さいなら、より手軽な方法を選ぶほうが合理的なこともあります。自分の借金額でどの手続きが最も負担を減らせるのか、選択肢を比べて検討することが大切です。

持ち家があると返済額は必ず高くなりますか?

持ち家があると清算価値が上がり、返済額が高くなる場合があります。ただし、住宅ローンが多く残っている場合は、不動産の時価からローン残債を差し引いた価値で評価されるため、評価額がそれほど高くならないこともあります。

住宅ローンの残高と不動産の時価とのバランスによって、清算価値への影響は変わってきます。ローン残高が時価を上回っているような場合は、不動産の清算価値がほとんどゼロと評価されることもあります。自分の不動産がどう評価されるかは、資料をもとに専門家に確認してもらいましょう。

なお、住宅ローンが残っている持ち家を手放したくない場合は、住宅を残すための仕組みを使うことも検討できます。その場合でも清算価値の計算自体は行われますが、家を維持しながら他の借金を整理する道があることは知っておくとよいでしょう。

持ち家があるからといって、すぐに個人再生をあきらめる必要はありません。

退職金は全額が清算価値に含まれるのですか?

いいえ、退職金は、いますぐ受け取るわけではないことから、見込み額の全部ではなく、その一部だけが清算価値に算入されるのが一般的です。どの程度算入されるかは、退職が現実的に近いかどうかなどによっても扱いが変わります。

退職金の見込み額がわかる資料を用意したうえで、専門家に確認してもらうと、より正確な見通しが立てられます。勤務先に問い合わせれば、現時点で退職した場合の見込み額を確認できることもあります。

返済額が決まれば、必ずその金額で個人再生できるのですか?

返済額が決まっても、その金額を原則3年で無理なく返していけることが、手続きを進めるうえで欠かせません。返済額が家計に対して重すぎる場合は、計画を続けられず、認可されても途中で行き詰まってしまうおそれがあります。

返済額の試算と、それを返していける家計かどうかの確認は、セットで行うことが大切です。返済が難しそうな場合は、別の手続きも含めて専門家と検討しましょう。

清算価値を下げるために財産を整理してもよいですか?

返済額を下げる目的で、申立ての前に財産を売ったり、誰かに渡したり、預貯金を不自然に使ったりするのは避けるべきです。こうした行為は、財産を不当に減らすものとみなされ、手続きが認められなくなったり、隠した財産の分まで返済額に加えられたりするおそれがあります。

財産は、あるがままの状態で正直に申告するのが原則です。生活上どうしても必要な出費がある場合などは、自己判断で動かず、事前に専門家に相談して進めるようにしましょう。正直に対応することが、結局は手続きを円滑に進める一番の近道です。

自分で正確な返済額を計算することはできますか?

おおよその見当をつけることはできますが、正確な金額を自分だけで計算するのは簡単ではありません。借金の総額の確定には利息の計算が絡むことがありますし、清算価値の算定には保険や不動産、退職金などの評価という専門的な判断が必要だからです。

正確な返済額を知りたい場合は、財産の資料をそろえて専門家に依頼するのが確実です。多くの事務所では、相談の段階で返済額の見込みを試算してくれます。

自分でおおよその金額をつかんでおくことは、相談をスムーズに進めるうえで役立ちますが、最終的な金額は専門家の確認を経て確定するものだと考えておきましょう。少しでも気になることがあれば、抱え込まずに相談してみてください。具体的な数字が見えるだけで、次の一歩が踏み出しやすくなります。

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