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養育費算定表の見方|年収別の相場と計算の手順

この記事で分かること

  • 養育費算定表の縦軸・横軸の見方
  • 給与所得者と自営業者の年収の違い
  • 年収別の養育費の具体例
  • 算定表で決まらない特別な事情
  • 2026年改正の法定養育費と先取特権

養育費算定表は、夫婦双方の年収と子どもの人数・年齢から標準的な金額の目安をすぐに導ける早見表です。本記事では、縦軸と横軸の見方、給与所得者と自営業者で年収の見方が違う点、年収別の具体的なシミュレーション、私立学校の学費など算定表に表れない特別な事情の扱い、さらに2026年施行の法定養育費や先取特権まで、適正な養育費を取り決めて確実に受け取るための知識を解説します。

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養育費算定表とは?まず「何のための表か」を理解しよう

「養育費って、結局いくらもらえるの」。離婚を考え始めたとき、いちばん気になるのがこの問題ではないでしょうか。子どもを育てていくお金は、生活の土台そのものです。あいまいなままにはしておけません。

その金額を考えるときの出発点になるのが、養育費算定表です。これは、裁判所が調停や審判で養育費を決める際に使っている早見表で、夫婦双方の収入と子どもの人数・年齢から、標準的な金額の目安をすぐに導き出せるようになっています。インターネットで「養育費算定表」と検索すれば、裁判所の公式サイトで誰でも確認できます。

養育費の取り決めは、離婚後の生活を大きく左右します。厚生労働省の調査でも、離婚後に養育費を継続して受け取れている世帯は決して多くないことが知られています。「相手が口では払うと言っていたのに、結局もらえていない」という声は後を絶ちません。だからこそ、感覚で金額を決めるのではなく、客観的な基準である算定表をよりどころにして、適正な額をきちんと取り決めておくことが重要になるのです。

この算定表は2003年に作られ、その後の社会情勢の変化を踏まえて2019年12月に改定されました。現在使われているのは、この新しい算定表です。古い表を見て計算してしまうと金額がずれてしまうので、必ず最新版を使うようにしてください。

2019年の改定では、税金や社会保険料の負担割合、子どもにかかる教育費や生活費の実態など、計算の前提となる統計データが見直されました。その結果、多くのケースで以前より養育費の目安がやや上がっています。もし数年前に古い算定表を見て「これくらいか」と把握していた方は、いま改めて最新版で確認してみると、金額が違っているかもしれません。インターネット上には古い算定表を載せたままのページも残っているため、必ず裁判所の公式サイトで最新のものを確認することが大切です。

ここで一つ、誤解を解いておきます。算定表で出る金額は「絶対にこの額でなければならない」というものではありません。あくまで標準的な目安であり、夫婦の合意があればこれより高くも低くも設定できます。とはいえ、調停や裁判になれば算定表が強く尊重されるため、交渉の基準として知っておくことには大きな意味があります。養育費の期間や金額の全体像を整理したい方は、総論的な解説もあわせて読んでおくとよいでしょう。

算定表の構造|縦軸・横軸の見方を押さえる

算定表は一見すると数字がびっしり並んでいて、難しそうに感じるかもしれません。けれども、見方さえ分かればとてもシンプルです。基本の構造を整理しましょう。

表すもの ポイント
縦軸 養育費を支払う側(義務者)の年収 子どもと離れて暮らす親の収入
横軸 養育費を受け取る側(権利者)の年収 子どもと一緒に暮らす親の収入

縦軸で支払う側の年収を、横軸で受け取る側の年収を選び、二つが交わるマス目を読めば、その欄に書かれた金額帯が標準的な養育費の目安になります。金額は「6〜8万円」のように2万円幅で示されているので、その範囲のなかで具体的な額を話し合って決めていきます。

2万円幅のどこに落ち着けるかは、双方の事情で変わります。たとえば「6〜8万円」の欄に該当する場合、子どもの教育費がかさむ時期であれば上限に近い8万円を、支払う側の生活が苦しければ下限の6万円を、というように調整します。表のマス目は出発点であって、最終的な金額はそこから話し合いで決めるものだと考えてください。なお、年収の数字が表の目盛りのちょうど間に来るときは、近いほうの目盛りを参考にしつつ、間の金額を推測します。神経質に1円単位まで合わせる必要はなく、おおよその水準をつかむことが目的です。

「給与所得者」と「自営業者」で年収の見方が違う

算定表で最初につまずきやすいのが、年収の読み方です。給与所得者か自営業者かで、参照する数字が異なります

  • 給与所得者:源泉徴収票の「支払金額」(税金などが引かれる前の額面年収)を使います。
  • 自営業者:確定申告書の「課税される所得金額」をベースに、一定の調整をした金額を使います。

同じ年収でも、給与所得者と自営業者では手元に残るお金の計算方法が違うため、算定表でも別々の目盛りが用意されています。相手が自営業の場合は、申告書のどの数字を使うかで金額が変わってくるので、不安なときは弁護士に確認すると確実です。

もう少し具体的に補足します。自営業者の場合、確定申告書には「青色申告特別控除」や「専従者給与」「減価償却費」など、実際には手元からお金が出ていかない経費が計上されていることがあります。算定表で年収を見るときは、こうした項目を所得に足し戻して調整するのが一般的です。そのため、申告書上の所得が低くても、養育費の計算では実態に近い金額に修正されることがあります。相手が「自営業で所得が少ないから養育費は払えない」と主張してきても、鵜呑みにせず、申告書の中身を一つずつ確認することが大切です。逆に、自分が自営業で支払う側の場合は、調整後の年収で計算されることを念頭に置いておきましょう。

算定表の金額はどうやって計算されているのか

「なぜこの年収だとこの金額になるのか」。仕組みを知っておくと、相手から提示された額が妥当かどうかを自分で判断できるようになります。少し専門的になりますが、考え方をかみくだいて説明します。

算定表のベースにあるのは、「子どもには、親と同じ生活水準を保障する」という考え方です。離れて暮らす親であっても、子に対しては自分と同程度の暮らしをさせる義務があるとされます。これを「生活保持義務」と呼びます。

計算の大まかな流れは次のとおりです。まず、双方の年収から税金や社会保険料などを差し引いた「基礎収入」を求めます。次に、親と子それぞれの生活費の割合を示す「生活費指数」を使い、子どもにいくら必要かを算出します。最後に、その必要額を双方の基礎収入の比率で分担します。この一連の計算をいちいち行うのは大変なので、結果を早見表にまとめたものが算定表だ、と理解してください。

ポイントは、養育費が「支払う側の収入だけ」で決まるのではなく、双方の収入のバランスで決まるという点です。受け取る側の収入が増えれば養育費は下がり、減れば上がります。この仕組みを知っておくと、交渉の場でも納得感を持って話を進められるでしょう。

なお、どちらが養育費を受け取る側になるかは、親権・監護権を持つ親が誰になるかと密接に関わります。親権をどう決めるかで、養育費の立場そのものが変わってくるためです。親権の判断基準とあわせて理解しておくと、全体像が見えてきます。

子どもの人数と年齢で表が分かれている

算定表は1枚ではなく、子どもの人数と年齢の組み合わせごとに複数枚に分かれています。自分のケースに合った表を選ぶことが、正しい金額を知る第一歩です。

年齢は「0〜14歳」と「15歳以上」の2区分に分けられています。15歳以上の子の養育費が高めに設定されているのは、進学や生活費の負担が大きくなることを反映しているためです。たとえば「子ども2人(第1子15歳以上・第2子0〜14歳)」のように、人数と年齢の組み合わせで使う表が決まります。

子どもの状況 使う算定表
子1人(0〜14歳) 表1
子1人(15歳以上) 表2
子2人(年齢の組み合わせ別) 表3〜5
子3人(年齢の組み合わせ別) 表6〜9

子どもの数が多いほど、また年齢が上がるほど、養育費の目安は高くなります。とはいえ、子ども2人だからといって、単純に1人分の2倍になるわけではない点には注意してください。

これは、きょうだいが一緒に暮らすことで、生活費の一部が共通して節約できると考えられているためです。たとえば住居費や光熱費は、子どもが1人でも2人でも大きくは変わりません。そのため、2人目以降の上乗せ分は、1人目より緩やかになる仕組みになっています。子どもが3人以上いる場合も同じ考え方で、人数に応じて目安が積み上がっていきます。自分の家庭の子どもの人数と、それぞれの年齢を正確に当てはめて、該当する表を選ぶことが、正しい金額を知るうえでの基本になります。年齢の区分は離婚時点ではなく、その時々の年齢で変わるため、子が15歳になったタイミングで増額を見込んでおくと、将来の見通しも立てやすいでしょう。

年収別シミュレーション|具体例で金額をつかむ

言葉だけでは分かりにくいので、よくあるパターンを具体例で見てみましょう。いずれも、子どもと暮らす側(権利者)の年収と、支払う側(義務者)の年収から、算定表上の標準的な目安を示したものです。実際の金額は個別事情で変わるため、あくまでイメージとして捉えてください。

ケース1:会社員の夫(年収500万円)、パートの妻(年収100万円)、子1人(5歳)

このケースでは、支払う側が給与所得者で年収500万円、受け取る側が年収100万円、子どもは0〜14歳が1人です。算定表(表1)でこの組み合わせを読むと、月額の目安はおおむね4〜6万円の範囲に入ります。子どもが1人で、双方の収入差がそれほど極端でない、もっとも標準的なパターンといえます。

ケース2:会社員の夫(年収700万円)、専業主婦の妻(年収0円)、子2人(10歳・7歳)

支払う側の年収が700万円、受け取る側に収入がなく、子どもが2人(ともに0〜14歳)のケースです。子の人数が増え、受け取る側の収入がゼロのため、目安はおおむね月10〜12万円程度まで上がります。専業主婦だった方が離婚するときは、自身の収入が少ない分、養育費の比重が大きくなることが分かります。

ケース3:自営業の夫(申告所得400万円)、会社員の妻(年収300万円)、子1人(16歳)

支払う側が自営業、受け取る側が給与所得者で、子どもは15歳以上が1人というケースです。自営業者の年収は給与所得者より高く換算される傾向があり、また子が15歳以上のため、目安は月6〜8万円程度になります。共働きで双方に一定の収入がある場合は、その差に応じて金額が調整されます。

こうして見ると、養育費は「支払う側の年収」だけでなく、「受け取る側の年収」「子の人数」「子の年齢」という複数の要素で決まることが分かります。自分のケースに当てはめて、まずは大まかな目安をつかんでおきましょう。

ケース4:高収入の夫(年収1,200万円)、専業主婦の妻、子2人(中学生・小学生)

支払う側の年収が高額な場合、養育費も相応に高くなります。年収1,200万円・受け取る側0円・子ども2人というケースでは、算定表上の目安は月20万円前後に達することもあります。ただし、算定表は年収約2,000万円程度までを想定して作られており、これを大きく超える高所得者の場合は、表をそのまま当てはめず個別に判断されることがあります。生活実態に見合った金額をめぐって争いになりやすい領域です。

ケース5:双方とも低収入、子1人(3歳)

反対に、双方の収入が低い場合は金額も小さくなります。支払う側の年収が200万円台、受け取る側が100万円台で子ども1人というケースでは、目安は月1〜2万円程度にとどまることもあります。「少なすぎるのでは」と感じるかもしれませんが、算定表は双方の収入の範囲内で無理なく支払える金額を導く仕組みのため、収入が限られていれば金額も抑えめになります。こうしたケースでは、2026年から始まった法定養育費の仕組みが、最低限の確保に役立つ場面もあるでしょう。

これらの例はあくまで標準的な目安であり、実際には個別の事情で増減します。自分の年収と相手の年収、子どもの人数と年齢を当てはめ、裁判所の公式サイトにある算定表で実際のマス目を確認してみてください。

算定表だけでは決まらない「特別な事情」

算定表は標準的なケースを想定して作られています。そのため、表に表れない特別な出費がある場合は、その分を上乗せ(または考慮)して話し合う余地があります。代表的なものを挙げてみます。

  • 私立学校の学費:算定表は公立学校に通うことを前提にしています。私立への進学に双方が合意していた場合などは、学費の一部を別途分担することがあります。
  • 習い事や塾の費用:高額な習い事を続けている場合、その費用の扱いを話し合うことがあります。
  • 持病や障害による医療費:継続的に大きな医療費がかかる場合、追加で考慮されることがあります。
  • 大学進学の費用:算定表は原則20歳までを想定していますが、大学進学を見込んで22歳まで支払う取り決めをするケースも増えています。

反対に、支払う側に住宅ローンの負担があるなど、特別な事情を理由に減額を主張されることもあります。こうした個別事情は、算定表の金額からどう調整するかをめぐって対立しやすいポイントです。話し合いがまとまらないときは、専門家を介して整理するのが現実的でしょう。

特別な出費を養育費に上乗せしてもらうには、その必要性と金額を具体的に示すことが欠かせません。たとえば私立学校の学費なら、入学の経緯(夫婦で進学に合意していたか、相手の収入水準からして私立が相当といえるか)や、実際の学費の金額を資料で示します。漠然と「もっと欲しい」と伝えるだけでは、相手も納得しませんし、調停の場でも認められにくいものです。逆に、減額を求められたときも、相手の言い分が本当に減額に値するのかを冷静に見極める必要があります。住宅ローンを払っているといっても、その家に相手自身が住んでいるのであれば、当然に減額されるとは限りません。こうした調整の主張は、法的な評価がからむため、判断に迷ったら弁護士の意見を聞くのが安全です。

2026年の法改正で変わった養育費のルール

養育費については、2026年4月施行の改正民法で重要な見直しがありました。とくに知っておきたいのが「法定養育費」と「先取特権」という二つの仕組みです。

法定養育費|取り決めがなくても請求できる

これまでは、離婚時に養育費の取り決めをしていないと、あとから請求するのにハードルがありました。改正により、取り決めがない場合でも、子ども1人につき月2万円程度を目安とする法定養育費を請求できるようになります。2026年4月1日以降の離婚に適用される仕組みです。「離婚を急いで養育費を決めずに別れてしまった」というケースでも、最低限の養育費を確保しやすくなりました。

先取特権|合意書だけで差押えが可能に

従来、養育費が支払われなくなったときに相手の財産を差し押さえるには、公正証書や調停調書などの「債務名義」が必要でした。改正により、当事者間の合意書(私文書)があれば、債務名義がなくても差押えができる先取特権が認められます。対象は子の監護費用部分で、子ども1人につき月8万円が上限の目安とされています。不払いへの備えが、これまでより手厚くなったといえるでしょう。

こうした新しいルールがあるとはいえ、やはり離婚時にきちんと取り決めをしておくに越したことはありません。金額・支払期間・支払方法を明確にし、書面に残しておくことが、将来のトラブルを防ぎます。

補足しておくと、法定養育費はあくまで「取り決めがないまま離婚してしまった場合の最低限の備え」という位置づけです。月2万円程度という目安は、算定表で導かれる本来の金額よりも低くなることが多いと考えられます。つまり、法定養育費があるからといって取り決めを省いてよいわけではなく、本来はもっと受け取れたはずの養育費を取りこぼしてしまう可能性があるのです。子どもにとって最も有利なのは、離婚時に算定表を踏まえた適正な金額をきちんと取り決め、それを公正証書などの確実な形で残しておくことだと覚えておきましょう。

養育費を決める3つの方法|協議・調停・審判

算定表で目安が分かったら、次は実際に金額を決める段階です。決め方には大きく3つの方法があります。スムーズな順に見ていきましょう。

1. 協議(話し合い)で決める

もっとも多いのが、夫婦間の話し合いで決める方法です。算定表を基準にしつつ、お互いの事情を踏まえて金額・支払期間・支払日・振込先などを取り決めます。合意できたら、必ず書面に残してください。口約束だけでは、後から「言った言わない」のトラブルになりかねません。

2. 調停で決める

当事者だけでは折り合えない場合は、家庭裁判所に養育費の調停を申し立てます。調停では、調停委員が間に入り、双方の収入資料をもとに算定表を参照しながら話し合いを進めます。第三者が入ることで冷静に話せるようになり、合意に至りやすくなります。調停で合意した内容は調停調書に記載され、不払い時には強制執行が可能になります。

3. 審判で決める

調停でもまとまらなかった場合は、自動的に審判へと移り、裁判官が一切の事情を考慮して金額を決定します。審判では算定表が強く尊重されるため、表からかけ離れた金額になることはまれです。だからこそ、最初の段階から算定表の目安を理解しておくことが、現実的な落としどころを見つける助けになります。

どの段階でも、収入資料をきちんとそろえておくことが交渉を有利に進めるカギになります。源泉徴収票や確定申告書、給与明細などを準備しておきましょう。話し合いが難航しそうなときは、早めに弁護士へ相談しておくと、不利な条件で妥協してしまうリスクを減らせます。

調停や審判では、提出した資料の内容がそのまま判断材料になります。手元に資料がそろっていれば説得力のある主張ができますが、あいまいな記憶だけで話を進めると、相手のペースに飲まれてしまいかねません。準備を整えておくことが、結果的に子どものための養育費をしっかり確保することにつながります。

決めた養育費を「払わせ続ける」ための備え

養育費でいちばん多いトラブルは、「最初は払っていたのに、途中から止まってしまった」というものです。せっかく算定表をもとに適正な金額を決めても、実際に支払われ続けなければ意味がありません。

支払いを確実にするためには、口約束ではなく公正証書にしておくのが有効です。「支払いを怠ったときは強制執行に服する」という一文(強制執行認諾文言)を入れておけば、不払いになったときに裁判を経ずに給与などを差し押さえられます。万が一、相手が支払いをやめてしまったときの具体的な対処法も、あらかじめ知っておくと安心です。

公正証書は、公証役場で公証人に作成してもらう公的な書面です。作成には双方の合意と、数千円から数万円程度の手数料がかかりますが、その手間をかける価値は十分にあります。なぜなら、ただの私文書である念書や合意書では、不払いになったときにまず裁判を起こして支払いを命じる判決をもらう必要があり、時間も費用も大きくかかるからです。公正証書なら、その手間を一気に省けます。離婚時には養育費だけでなく、財産分与や慰謝料、面会交流の取り決めもまとめて公正証書に記載しておくと、一つの書面で将来の備えが整います。子どものための養育費だからこそ、確実に受け取れる形にしておくことを強くおすすめします。

相手が再婚したら養育費はどうなる?

養育費を払う側、あるいは受け取る側が再婚すると、養育費の金額が見直される可能性があります。これは、扶養すべき家族の構成が変わるためです。

たとえば、養育費を払う側が再婚して新たに子どもが生まれた場合、扶養する子どもが増えるため、養育費の減額が認められることがあります。また、受け取る側が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合は、第一次的な扶養義務が再婚相手に移り、養育費が減額・免除されることもあります。ただし、再婚したからといって自動的に金額が変わるわけではなく、当事者間の話し合いや調停を経て決まる点に注意が必要です。再婚後の養育費の扱いについては、具体的なケースを知っておくと判断しやすくなります。

養育費の取り決めで「やってはいけない」3つのこと

算定表で適正額を知っても、取り決めの仕方を誤ると、せっかくの養育費が受け取れなくなることがあります。実際にトラブルになりやすい失敗を、3つ紹介します。

  1. 口約束だけで済ませる。「毎月振り込むから」という言葉を信じて書面を作らないと、支払いが止まったときに証明が難しくなります。必ず書面、できれば公正証書にしましょう。
  2. 早く離婚したい一心で金額を妥協する。相手と関わりたくないからと、相場よりずっと低い額で合意してしまうケースがあります。一度決めた金額を後から増やすのは簡単ではありません。子どもの将来のためにも、目安を踏まえて冷静に交渉してください。
  3. 養育費を「もらわない」代わりに別の条件をのむ。たとえば「養育費はいらないから、子どもには会わせない」といった取り決めは、後々問題になりがちです。養育費は子どもの権利であり、面会交流とは切り離して考えるのが原則です。

養育費は、子どもが健やかに育つための大切なお金です。目先の感情や早期解決を優先するあまり、長い目で見て損をする選択をしないよう気をつけましょう。少しでも不安があれば、取り決めの前に専門家のチェックを受けておくと安心です。

とくに、相手が提示してきた金額をそのまま受け入れてよいか迷ったときは、必ず一度立ち止まってください。算定表に当てはめてみると、相手の提示額が相場より低いということは珍しくありません。逆に、自分が支払う側で、相手の請求が相場を大きく上回っているように感じる場合もあるでしょう。どちらの立場でも、客観的な基準で「適正かどうか」を確かめることが、納得のいく取り決めへの第一歩です。算定表という共通のものさしがあるからこそ、感情論ではなく数字を根拠に冷静な話し合いができます。迷ったら、その数字の読み方も含めて弁護士に相談してみてください。

養育費算定表に関するよくある質問

相手の年収が分からないときはどうすればいいですか?

まずは源泉徴収票や給与明細を確認できないか試みます。手元にない場合でも、調停の場では裁判所を通じて収入資料の提出を求めることができます。相手が収入を偽っていると疑われるときは、課税証明書の取得や、弁護士会照会などの手段で調べる方法もあります。

算定表の金額より多くもらうことはできますか?

できます。算定表はあくまで標準的な目安なので、相手が合意すればこれより高い金額に設定できます。私立学校の学費や習い事など、特別な出費がある場合は、その必要性を具体的に示して交渉するとよいでしょう。

専業主婦で収入がない場合、横軸はどう見ますか?

受け取る側に収入がない場合は、横軸の年収「0円」の欄を見ます。収入がないぶん、養育費の目安は高くなる傾向があります。ただし、就労可能な状況であれば、将来的に一定の収入があるものとして扱われることもあります。

養育費はいつまで払ってもらえますか?

原則として子どもが成人するまでですが、大学進学を見込んで22歳までとする取り決めも増えています。終期は当事者間で自由に決められるので、進学の予定なども踏まえて話し合っておきましょう。詳しい期間の考え方は、養育費の総論的な解説で確認できます。

一度決めた養育費を後から変更できますか?

できます。失業や収入の大幅な減少、子どもの進学による出費の増加など、取り決めた当時とは事情が大きく変わった場合には、増額や減額を求めることができます。まずは相手と話し合い、まとまらなければ家庭裁判所に養育費の変更を求める調停を申し立てます。ただし、いったん決めた金額を変えるには、それなりの事情の変化が必要です。「なんとなく足りない」というだけでは認められにくいので、変更を求める理由を具体的に示せるよう準備しておきましょう。

別居中の生活費は養育費とは別ですか?

はい、別物です。離婚が成立する前の別居期間中は、子どもの養育費を含めた「婚姻費用」を請求できます。婚姻費用には配偶者自身の生活費も含まれるため、養育費より金額が大きくなるのが一般的です。別居を考えている方は、この違いも押さえておきましょう。

まとめ:算定表を味方につけて適正な養育費を

養育費算定表は、夫婦双方の年収と子どもの人数・年齢から、標準的な金額の目安をすぐに導ける便利なツールです。縦軸で支払う側の年収を、横軸で受け取る側の年収を選び、交わるマス目を読むだけで、おおよその目安がつかめます。給与所得者か自営業者かで年収の見方が違う点と、必ず2019年改定の最新版を使う点だけ、忘れないようにしてください。

ただし、算定表で出るのはあくまで標準額です。私立学校の学費や医療費など特別な事情があれば、上乗せを話し合う余地がありますし、2026年の法改正で法定養育費や先取特権といった新しい備えも整いました。大切なのは、適正な金額を知ったうえで、それを公正証書などで確実に残しておくことです。

子どもの将来がかかった養育費だからこそ、感情的なやり取りで妥協してしまうのは避けたいところです。金額や支払期間で迷ったときは、一人で抱え込まず、弁護士に相談して自分のケースに合った見通しを立ててみてください。算定表を正しく味方につければ、子どもの暮らしをしっかり支える土台がつくれます。

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