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元夫に養育費を払わせる方法!離婚後の養育費不払いを防ぐ準備と対策

この記事で分かること

  • 支払われていない養育費は強制執行で取り立てることができる
  • 協議離婚の場合は、その内容を公正証書にしておく必要がある
  • 強制執行の手続きは弁護士に依頼するとよい

2011年には養育費がしっかり支払われているケースは2割にも満たないようでしたが、2016年の統計調査では2割5分程度になっています。養育費が支払われない理由はさまざまですが、配偶者の無責任であったり、収入が低かったりといったことが主な理由になるようです。しかし、一人で子育てをするのは本当に大変です。養育費がなければ生活するのもままならないでしょう。今回は、元夫に養育費を払わせる方法を紹介します。

元夫に養育費を払わせる方法~未払いを防ぐためには?~

「養育費」とは、離婚後に支払われる子供を育てるための費用です。離婚前は「婚姻費用」といって、いわゆる生活費とか子供のための教材費などに支払うお金のことをいいます。

上にも書きましたが、この養育費が支払われているケースは2011年時点では2割未満でしたが、2016年では2割5分、つまり25%に満たない程度になっています。しかし以前と比べて増加しているとはいえ、それでも養育費が支払われる割合はまだまだ低いのが現状です。

どうすれば養育費を受け取ることができるのでしょうか。それは離婚協議書を公正証書にすることです。まずは養育費の取り決め方について見ていきましょう。

養育費の取り決め方法

養育費は離婚時に決めるのがもっともよい方法です。その方法はいくつかありますが、もっとも穏便に済ますことができるのが話し合いで決める方法です。

話し合いで決める

離婚をする時に、裁判にまで発展することもありますが、まずは話し合いで決めたいというのが本音ではないでしょうか。お互い話し合いで合意を得ることができれば、それが一番よい方法でしょう。

その場合、親権者を決めるのも重要ですが、養育費に関しても、金額、支払期間、支払い方法など細部まで話し合いで決めておく方がよいでしょう。数年はかかることですので、決めたことはきちんと文章にしておきましょう。離婚の際に決めた条件について文章にしたものを離婚協議書といいます。この離婚協議書を作成しておくことが重要です。

調停で決める

「調停」とは裁判官や調停人などを間にはさんだ話し合いのことをいいます。個人間における単なる話し合いではなく、法律の専門家に意見したり相談したりしながら協議を進めることができるので、時間はかかってしまいますが安心です。

また、調停の内容は法的な効力を発揮できるので、養育費が支払われない時には強制執行つまり給与の差し押さえなども可能になります。ただ、あくまで調停ですので、お互いの話し合いで決めるということが前提にあり、話し合いがこじれた場合は審判や裁判に発展することになります。

審判や裁判で決める

調停、つまり話し合いで決着がつかない場合は裁判や審判で決着をつけることになります。裁判と審判は、その結果が話し合いの当事者ではなく、裁判所から出されるという点で似ていますが、公開か非公開か、口頭審議が行われるか行われないかという違いがあります。

調停の結論もそうですが、裁判と審判で出た結論も強制的な効力を持ちますので、もし養育費が支払われないといった場合があれば、配偶者の給与の差し押さえという手をつかうことが可能です。

協議離婚の場合は公正証書を作成する!!

調停、審判、裁判といった養育費の取り決め方法は、その結論を自分以外の第三者が知っており、書面にもされるので、養育費の内容についてしっかりと証拠があります。そのため、もし養育費が支払われないといった場合には、法的な手段に訴えることができます。

しかし離婚協議書を作成した場合、内容について知っているのは二人だけです。他に証人はいません。この場合、どうすれば法的手段をとることができるでしょうか。

それは公正証書を作成することです。公正証書とは、公証人という正式な公務員が作成した公文書のことです。協議内容は公文書にすることで、公的な書類にすることができ、これによって法的な効力を持つようになります。

ワンポイントアドバイス
相手の不貞による離婚の場合は、養育費の請求も重要ですが慰謝料の請求も必要になるでしょう。その際役に立つのは不貞の証拠ですが、しかし証拠の中には、法的に認められないものもあります。不貞が発覚したら出来るだけ早めに証拠の集め方や、その後の身の振り方の注意点などを弁護士に相談し、作戦を立てることをおすすめします。

養育費の算定方法

養育費について自分たちの考えだけで決めるというのもひとつの手だと思います。しかし、合意が得られない場合、何らかの計算方法が必要です。

養育費算定表とは?

通常養育費は、支払う人(義務者)と受け取る人(権利者)の収入のバランスで決定されるものです。つまり、支払う人にたくさんの収入があった場合は、養育費も多くなるということです。こういった収入に対する養育費の割合を一覧表にしたものを、「養育費算定表」といいます。

裁判ではこの表が参考にされるので、どちらかが極端な金額を主張しても、一方的な主張が通るというわけではありません。二人の話し合いだけで決める場合でも、もし養育費の金額についてもめたら、この養育費算定表を基準のひとつの目安として参考にするとよいでしょう。

養育費算定の見方

養育費算定を最初に見た方は、少し複雑な表のように思えるかもしれません。まずこの表は、子供の人数と年齢に合わせて9つの表に分かれています。それぞれの表の縦の軸と横の軸は、支払う人と受け取る人の収入が書かれています。見る手順としては、まず支払う人と受け取る人の収入を求め、次に子供の人数と年齢別の表を見る方がよいでしょう。

ワンポイントアドバイス
養育費算定はあくまで目安です。もし双方に金額に影響を与えるような重要な要素がある場合は、養育費算定の範囲を超えて支払われたり、下回ったりすることがあります。金額についてもめているのであれば、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

養育費を払わせる方法

協議離婚の場合は公正証書を作成し、話し合いでまとまらない場合は調停や審判、裁判などをするとよいということを述べてきました。

特に協議離婚の場合は、養育費や慰謝料などを公正証書として残しておくことが、後で不払いなどの問題が出てきた時に役に立ちます。しかし、それでも養育費が支払われないという場合はあります。相手の収入がなくなってしまった、といったケースです。

もし支払う側の収入がない場合は?

公正証書を作成したり、裁判を起こしたりして判決が出ても、結局お金がない場合は支払ってもらうことができません。何らかの財産があることが、支払う条件になります。では突如として会社が倒産したり、クビになったりして支払う側の収入がなくなってしまったらどうなるのでしょうか。

受け取る側も生活ができなくなる、という困った状態になるかもしれません。このようなことがないよう、もし対策をするのならば保証人を立てておくことが重要です。

離婚協議書に保証人についての取り決めを記載する

もし支払う側に収入がなくなってしまっても、保証人を立てておけばその保証人からお金を受け取ることができます。とはいえ、ここで問題となるのは誰に保証人になってもらうのかです。基本的に両親以外は養育費を支払う義務がありません。そのためたとえ支払う側の両親親族(つまり祖父母)であっても、支払いを拒否する可能性があります。

しかし、あらかじめ支払う側の給与がないといった場合には、是非とも頼んでみましょう。ここで重要なのは、このこともしっかりと公正証書に記載することです。公正証書にしなければ、そこまで法的な効力があるというわけではありません。

どうしても支払われない場合は強制執行をする!

離婚協議書を公正証書として残したり、調停や審判、裁判で結論が出たりしている場合は、強制執行をすることもできます。どういうことかというと、給与を差し押さえしたり財産を処分させたり強制的な手段をとって、お金を受け取ることができるということです。

強制執行の手続は?

強制執行をするためには、まずどのような財産があるかを調べなければなりません。財産調書を作成しましょう。財産調書に記載するのは、一般に不動産、動産、債権(お金を貸しているという証明書等)になります。

債権名義の送達申請と送達付与申請

難しい言葉ですが、債権名義とは判決文や公正証書など公的な文章のことをいいます。これで請求権があることが証明されるというわけです。

まず、債権名義を裁判所に送ってもらう手続をしなければなりません。さらにこの債権名義の送達には、「強制執行を行うことができる」といった執行文を付与する必要があります。そして、これら二つの書類を送ってもらう際には、送ったことを証明する送達証明を申請しておきます。

これによって給与の差し押さえ等ができるようになりますが、子育てで忙しい中でやらなければならない場合は、専門の弁護士に依頼した方がよいかもしれません。

ワンポイントアドバイス
相手の財産を差し押さえるという行為には、法的な手続き必要になります。もしこの手続が自分ではできない、負担になるという場合には、専門の弁護士に依頼して手続を代行してもらいましょう。

養育費が支払われない!支払わせる場合は、弁護士に相談を

「養育費」とは、離婚後に支払われる子供を育てるための費用です。きっちり支払われている割合は低く、現在では2割5分程度になっています。

調停や審判、裁判などの場合はすでに公的な文書が発行されるので問題ありませんが、お互いに話し合いで決める協議離婚の場合は、その内容を公正証書にしておかないと、後に支払いが行われなくなった際に強制執行の手続ができなくなりますので注意が必要です。強制執行をする場合は、専門の弁護士に依頼するなどをして手続を行いましょう。

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