2019/5/31 97view

養育費の支払い義務は何歳まで?

この記事で分かること
  1. 養育費とは離婚後の子どもの生活費全般を意味し、支払い期間の大半は「成人まで」とする場合が多いが、大学進学を見越して「大学卒業まで」との取り決めも可能。
  2. 養育費の決定の基礎事情に変更があった場合は、養育費の変更も可能だが、予め、取り決めの際に、再度話し合いが持てるような一文を入れておくとスムーズである。
  3. 養育費の決定は、当事者間で協議を行い、合意に至らなければ調停や審判を利用する。

養育費とは、子どもの衣食住に関わるお金、教育費や医療費など、離婚後の子どもの生活費全般を意味します。支払い期間の大半は「成人まで」とする場合が多いですが、大学進学を見越して「大学卒業まで」との取り決めも可能です。 また、養育費の金額や支払い期間を決めた後に、養育費を決定するに至った基礎の事情に変更があった場合は、養育費についての変更も可能です。 なお、養育費の決定は、当事者間で協議を行い、合意に至らなければ調停や審判を利用することとなります。

「養育費」の基礎知識 金額は?支払い義務は何歳まで?

最初に、養育費の意味から、金額、支払い期間まで、養育費の基礎知識についてご説明します。

「養育費」は親の義務?

「養育費」とは、離婚後の子どもの生活費のことをいいます。具体的には、子どもの衣食住に関わるお金、教育費や医療費、娯楽費なども含みます。

そもそも、民法877条には、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められており、両親に子どもを扶養する義務があることを明記しています。この扶養義務は、離婚をしても影響はありません。というのも、離婚すれば夫婦は互いに他人となりますが、親と子どもの関係は変わらないからです。

ですから、離婚後も、双方が子供の生活にかかるお金を支払う必要があるといえます。なお、平成24年より施行された改正後の民法776条では「子の監護に要する費用の分担」と「養育費」が明示されるに至っています。

「養育費」の金額は?

それでは、養育費の金額は実際にどれくらいの金額なのでしょうか。

「養育費・婚姻費用算定表」が基準となる

親の子に対する扶養義務は、一般的に、自分と同じ水準の生活を保障するという生活保持義務と解されています。とはいっても、実際にどれくらいの金額が想定されているのか、気になるところです。

じつは、家庭裁判所には、養育費又は婚姻費用の算定をする際に、参考として活用している資料があります。「養育費・婚姻費用算定表」といわれるもので、縦軸には「養育費を支払う側の年収」、横軸には「養育費を受け取る側の年収」が刻まれており、両者が交差する部分ごとに、養育費の金額が予め設定されています。

なお、この算定表は、公立学校に進学を想定しているため、大学や私立学校などに進学した場合は、別途、協議が必要になるでしょう。

出典元:裁判所「養育費・婚姻費用算定表」

実際の平均月額は?

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によれば、実際の養育費の金額は、離婚した父親からの養育費の平均月額(養育費の額が決まっている世帯)は 43,707 円となっています。

他方、離婚した母親からの養育費の平均月額(同)は 32,550 円です。

出典元:厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要
出典元:厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

養育費の支払い期間は何歳まで?

次に、養育費の支払い期間についてです。

子どもが成人するまでが大半

じつは、養育費の支払い期間については、法律で一律に決まっているものではありません。子どもが未成年であれば、親には子どもを扶養する義務があるので、養育費の支払い期間の大半は、「子どもが成人するまで」と決めることが多いようです。

しかし、大学進学を見越して、「大学卒業まで」などとする場合もあり、具体的な支払い期間は当事者の話し合いによります。

子どもが働いている場合は?

子どもが働いて自分で収入を得ている場合はどうでしょうか。もともと、養育費の根拠は扶養義務です。子どもが自力で生活できるようになれば、養育費の支払いは不要となります。

例えば、当事者の話し合いにより、養育費の支払いを「成人まで」と決めていても、高校卒業後就職したなどの事情がある場合は、成人まで支払う必要はありません。

ワンポイントアドバイス
養育費とは、子どもの衣食住に関わるお金、教育費や医療費、娯楽費など、離婚後の子どもの生活費全般を意味します。一般的に、自分と同じ水準の生活を保障するという生活保持義務と解され、支払い期間の大半は「成人まで」と決めている場合が多いようです。ただ、金額や支払い期間は当事者の話し合いで決めることができ、大学進学を見越して「大学卒業まで」との取り決めも可能です。

養育費の支払い義務は延長できる?

予め決めていた養育費に不足が生じる場合があります。例えば、大学進学を想定しておらず、「高校卒業まで」と養育費の支払い期間を決めていたにもかかわらず、子どもの大学進学が決定したような場合です。

このようなケースにおいて、養育費の支払い期間の延長はできるのでしょうか。

養育費の変更は可能?

民法880条には「(省略)…扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる」と、養育費の変更ができることを定めています。

そもそも、養育費は互いの資力やその他の事情を考慮して決定します。しかし、生活していく中で、取り巻く環境や事情が変わる場合もあるでしょう。このような実際の状況の変化に応じて、養育費の変更ができる道の確保が必要となります。

そのため、養育費の金額や支払い期間を決めた後に、判断の基礎となる事情に変更が生じた場合は、養育費についての決定事項を変更することができるとされているのです。

事情の変更とは?

それでは、具体的に「事情の変更」が認められるのは、どのような場合といえるのでしょうか。具体的には、養育費を決定するに至った基礎の事情に変更があった場合などが考えられます。事例としては下記のようなケースが該当します。

1)増額の可能性のある場合
  • 子どもが学費の高い学校に進学した
  • 子どもと離れて暮らす別居親の収入が増えた(昇給など)
  • 子どもと同居している同居親の収入が減った(減給、失業など)
  • 病気や事故などで多額の医療費がかかる
  • 養育費の取り決め時より物価が上昇した
2)減額の可能性のある場合
  • 子どもと離れて暮らす別居親の収入が減った(減給、失業など)
  • 子どもと離れて暮らす別居親が病気や事故で多額の医療費がかかる
  • 子どもと同居している同居親の収入が増えた(昇給や、再婚での養子縁組など)

養育費を決めるときは将来を予測した一言を!

実際に、養育費の変更については、当事者間での話し合いから始めます。ただ、相手によっては、話し合いにすら応じてもらえない場合もあります。このような場合を想定して、将来的に養育費の金額や支払い期間について変更の可能性があることを、予め決めておくことをお勧めします。

例えば、養育費の取り決めの際に、事情の変更があった場合には、再度話し合いが持てるような一文を入れておくのです。具体的には、「高校卒業時に、子どもの進学状況や物価などの状況により、再度養育費の見直しを協議する」などの文言を入れておけば、あとの手続きがスムーズになるでしょう。

ワンポイントアドバイス
養育費の金額や支払い期間を決めた後に、養育費を決定するに至った基礎の事情に変更があった場合は、養育費についての決定事項を変更することができます。ただ、相手によっては、変更の可否について、話し合いにすら応じてもらえない可能性があります。そのため、養育費の取り決めの際に、事情の変更があった場合には、養育費の見直しができる機会の設定をしておけばスムーズです。

養育費の「金額」「何歳まで支払うか」はどうやって決める?

最後に、どのようにして養育費を決定するのか、その流れを説明します。

当事者間での協議で決定

離婚することが決まれば、財産分与や親権など、離婚の条件について話し合いがなされます。一般的には、この条件の中に「養育費」に関わる事項も含まれることが多いといえます。

具体的には、養育費を支払うのか、支払うとなれば毎月いくらの金額を支払うのか、いつまで支払うのかなど、金額や支払い期間について、話し合って決めるのです。

現在の自分の資力や想定している事情をしっかりと説明し、逆に相手側の資力やその他の事情も考慮する必要があります。なお、ここで両者が合意に至った場合は、合意内容での養育費の支払いが決定事項となります。

具体的な内容を詰めることがポイント!

ポイントは、養育費が支払われない場合も想定して、詳細な事項までしっかりと決めることをお勧めします。具体的には下記の事項についてです。

  • 毎月支払われる金額
  • 支払期日
  • 支払い方法
  • 支払期間
  • 支払われない場合の連絡方法

公正証書を忘れずに!

話し合いで養育費の内容を決めた場合は、必ず公証役場にて公正証書を作成することをお勧めします。公正証書は公正な第三者である公証人が権限に基づいて作成する文書で、非常に信頼性の高い文書といえます。

特に、金銭の支払いができなければ強制執行を受けることを応諾する文言があれば、裁判を経ることなくすぐに強制執行が可能です。強制執行とは、裁判所が強制的に支払いをさせることです。例えば、離れて暮らす別居親の給料などを差し押さえて、その給料から養育費の支払いをしてもらえることができます。

調停や審判にて決定

当事者間での話し合いで合意に達しない場合は、調停や審判などを利用して決定します。調停も幾つか種類があります。

離婚と共に離婚条件である養育費についての取り決めを行うのであれば、「夫婦関係調整調停」の手続きとなります。一方、とにかく先に離婚だけしてあとから、養育費について話し合うという場合は「養育費請求調停」の手続きを利用することになります。

調停では、調停委員が申し立てた本人と相手側の現在の収入、その他考慮しなければならない一切の事情や希望などを、当事者双方から聴取します。場合によっては資料などの提出が必要になることもあります。双方に助言や解決案を提示し、両者がこれに合意すればその内容で調停成立となります。

一方、合意に至らず調停が不成立となった場合には、自動的に審判手続が開始されます。裁判官が必要な審理を行い、当事者双方の事情を勘案して、決定することになります。

ワンポイントアドバイス
養育費の決定は、当事者間で協議を行い、合意に至らなければ調停や審判で決定します。
特に、当事者間で決定する場合は、口約束や単なる書面ではなく、強制執行認諾文言付きの公正証書の作成をお勧めします。
公正な第三者である公証人が権限に基づいて作成する公正証書であり、かつ、支払われない場合に備えて、強制執行認諾の文言があれば、より確実に養育費を確保することができるでしょう。

養育費は親の義務!金額や何歳まで支払ってもらえるかは、弁護士に相談しよう

養育費は、今後の子どもの生活に直結する大事な事項です。

子どもを十分に養育できる環境を作るには、子どもが自立して生活できるまで、継続した養育費の支払いが確実に行われることが重要です。そのためには、弁護士などの専門家へ相談することをおすすします。

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