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離婚した夫(妻)の再婚後に養育費はどうなる?打ち切りや減額はあり得る?

この記事で分かること

  • 減免や打ち切りは条件次第
  • 条件を変更した場合は、その内容を公正証書にしておく必要がある
  • ここの事情の変化については、弁護士に相談すると良い

現在、養育費をしっかり支払っている方は、全体の25%程度とされています。つまり、養育費を定期的に支払っている人はそれだけで数少ない、責任感のある人ということになりますが、経済状況や扶養家族が増えたというように状況が変わるにつれて、毎月の支払いを控えたいという思いも出てくるでしょう。例えば、親権を持ち、子供を連れて行った妻が新しい夫と再婚したといった場合には、養育費はどうなるのでしょうか。

元夫、元妻の再婚後の養育費はどうなる?

両親には、別れた後も子供を養育する義務があります。その義務を遂行するためのものが「養育費」です。子供を養育する義務は離婚してから生じるものではなく、離婚する前にもありますが、離婚してから支払うものを特に養育費といいます。

さて、この養育費ですが、元夫や元妻が再婚した後にはどうなるのでしょうか。 減免や打ち切りになる可能性はあるのでしょうか。また反対に元旦那(妻)の再婚後ももらいつづける事は可能なのでしょうか。

養育費の減免や打ち切りは話し合いで決める

養育費は離婚時に決めるのがもっとも良い方法です。 しかしその後の状況が変わったことで養育費の額を変更したいという方や、養育費そのものを打ち切りたいという思いが出てくる方もいらっしゃるでしょう。結論から言えば、話し合いでお互いが合意した場合、どちらも可能です。

しかし、金銭に関することですので、話し合いがあまりうまくいかないケースもあります。そのような場合は再度調停や審判、裁判で決着をつけることになります。その際に考慮されるのが「事情の変化」です。

「事情の変化」について~収入や扶養家族の増減~

「事情の変化」とは、養育者の収入が減ってしまった、あるいは仕事がなくなってしまったということから、再婚した相手が子供と養子縁組をしたといったことまで幅広い変化をさしています。例えば収入が減ってしまった、仕事がなくなってしまったという場合には、話し合いで月々の養育費の支払いを減額することができます。

反対に子供が病気になってしまったといった場合には、増額をお願いすることもできます。裁判で考慮されるのも、こういった「事情の変化」です。 それでは「再婚」は、調停や裁判でどのように考慮されるのでしょうか。

調停や裁判では再婚がどう扱われるか

結論から言ってしまえば、再婚したかどうかは、養育費減免の決定的な理由になるわけではありません。決定的な理由になるのは、自分の子供が相手の再婚相手と養子縁組をしたかしないかです。 養子縁組とは、血の繋がっていない子供との親子関係を法律上認めるという制度です。

つまり、これで自分の子供の主たる親権者が養父になりますので、養育費の減免又は打ち切りも申請することができます。ただし、子供と会わせてもらえなくなってしまうという状況を避けるためや、子供にまだ自分が見捨てていないということを伝えるためにも、養育費を支払うというケースもあります。

ただ相手が再婚したものも、その再婚相手が養子縁組をしなかったということもあります。その場合は、自分が主たる扶養義務者であることには変わりがありませんので、続けて養育費を支払う必要があるでしょう。

再婚後新たに子供ができた場合は?

再婚後新たに子供ができたという場合はどうなるのでしょうか。まず親権を持って子供を連れて行った方の親が、再婚して新しい兄弟を作った場合、これもやはり養子縁組をしているか、していないかによって養育費の額が決まります。

ただ、親権を持っておらず、養育費を支払っている側の親が再婚して新しい子供を作った場合、扶養者が新しく増えるということで「事情の変化」に認められる可能性があります。このような場合、親権を持って子供を育てている親の状況は変わっていないのに、養育費が減るということになるためもめ事が起きる可能性があります。

本来は話し合いで合意を得るのが一番良い方法ですが、話し合いがこじれた場合は弁護士等に相談をしたり裁判を起こしたりする必要があります。

ワンポイントアドバイス
養育費は子供を育てるのに必要なお金のことです。 養育費を毎月支払っているということで、子供との繋がりを保つことができます。しかし、支払われているケースは25%程度と低くなっています。もし、養育費の金額や支払いに関して問題になった場合は、専門の弁護士に相談するようにしましょう。

再婚後の養育費の具体的なケース

次に、離婚後の養育費の減免や打ち切りに関して、どのような例があるのかその具体例を見てみましょう。

子供を連れて行った親権者が再婚した場合

まずは、子供を連れて行った親権者が再婚した場合について見ていきましょう。簡単に言えば、子供と一緒に暮らしている元妻が、他の男性と再婚したというケースです。この場合、先ほども言いましたが、子供が相手の男性と養子縁組をしているかが、大きなポイントになります。

また、再婚相手の男性の中には、子供に関するお金は支払わないという立場の方もいるため、子供に関するお金は頼りにならないこともあるようです。このような場合、子供のために使えるお金としては、養育費が重要なものとなるため、減免や打ち切りは難しいでしょう。

減免や打ち切りをすることで、子供に会わせてもらえなくなるなどのリスクも考えた方がいいです。養育費は、子供のことを忘れていないということを伝える一つのメッセージであることも、忘れないでください。

子供と別居している非親権者が再婚した場合

次に子供と別居している、非親権者の方が再婚した場合について見ていきましょう。一般的なケースとしては、子供と別々に暮らしている元夫の方が、再婚した場合です。この場合、元夫の扶養家族(新しい妻)が増えたからといって、養育費減免の理由にはなりません。

しかし新しく子供ができた場合は、扶養する子供が増えたということで減免の理由になるかもしれません。これも結局は話し合いになるのですが、やはり減免あるいは打ち切りをしたことで、前の妻との子供に会えなくなるというリスクがあるようです。このような場合、話し合いがこじれることが多く、弁護士に相談されるケースが少なくないようです。

お互いに子供を持っている親同士が再婚した場合

お互いに子供を持っている親同士が再婚した場合、つまり親権者同士が再婚した場合はどうなるのでしょうか。このケースも、お互いが養子縁組しなければ、やはり養育費をもらい続けることができます。

非親権者の方は、子供が他の親の養子に入らないのであれば、ずっと扶養義務がありますので支払い続けなければなりません。ただし実際には様々なケースがあるので、ここのケースに関しては専門の弁護士に相談する方が良いでしょう。

ワンポイントアドバイス
養育費の金額を決めるために「養育費算定表」というものがあります。養育費算定表はあくまで目安なのですが、様々なケースによって変わる金額を記載しているものですので、調停や裁判でも参考にされるものです。もし双方のどちらかに金額に影響を与えるような重要な「事情の変化」がある場合は、養育費算定の範囲を超えて支払われたり、下回ったりすることがあります。金額についてもめているのであれば、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

再婚後の養育費に関する注意事項

最後に、再婚後に養育費の条件を変えた際の注意事項について述べていきます。

そもそも養育費は何歳まで支払うべき?

しかし、そもそも養育費は何歳まで支払うべきなのでしょうか。一般的には二十歳まで、つまり成人するまでと考えられていますが、成人したとしても今は大学生の年齢であるために、学費や生活費の援助として養育費を支払い続けるケースが少なくないようです。

法律上も子供が「未熟子」、つまり経済的に自立していない状態にある場合は、扶養する義務があると定めていますので、養育費を支払い続ける必要があるのです。ただ最終的に、養育費に関しては話し合いで決めることになります。また再婚後に養育費を支払う義務があったとしても、それも二十歳や大学卒業までということになります。

養育費の条件が変わった後は再度公正証書にすること

養育費の条件を変えることは話し合いで行うこともできます。しかしそれを公正証書にしておかないと、後で問題が起きるケースがあります。

どういうことかと言いますと、例えば一度話し合いで、養育費を減免もしくは打ち切りにしてもいいと合意が得られているとします。しかしその時に公正証書にしておかなければ、条件を変える前の古い公正証書の方の効力が強くなりますので、本来は減免や打ち切りに合意が得られているはずなのに、その古い公正証書に基づいて、養育費をしっかり支払っていないと判断されて強制執行されてしまう可能性が出てくるのです。

強制執行とは給与の差し押さえや財産の現金化のことを意味するのですが、公正証書にしておかなかったばかりに、急に給与が差し押さえられたということになってしまうのです。このようなことがないよう、古い公正証書の条件が変わった場合には、しっかり新しく公正証書に記載する必要があります。

減免はしても支払いの義務がなくなるわけではない

ここで注意が必要であるのは、たとえ事情の変化が考慮されて養育費が減免又は打ち切りになったとしても養育費を支払う義務自体が完全に消えたというわけではないことです。例えば子供が大病にかかって、養父の収入だけでは入院費や生活費を賄えない場合、やはり養育費を支払う必要が出てきます。

さらに、養父に収入がなくなってしまった、あるいは少なくなってしまったといった場合には、やはり養育費を払って、子供を健全に育てられるような環境を作ってあげる必要があります。たとえ減免や打ち切りをしてもらったとしても、子供が二十歳になる前では扶養の義務がなくならないと言えるでしょう。

ワンポイントアドバイス
養育費は、支払う側と受け取る側の収入や状況によって、金額が変化していきます。しかしここで問題が起きやすいのは、どちらか一方の状況が変わっただけで、金額が変わってしまうということです。つまり、もう一方の状況は変わっていないのに、片方の都合だけで金額が変わるということが起きるため、話が難航してしまうのです。このようなケースの場合は、しっかり法律に則って対処する必要があるため、専門の弁護士に相談することをおすすめします。

再婚後の養育費に関しては弁護士に相談を!

親には、離婚後も子供を養育する義務があります。その義務を遂行するためのものが「養育費」です。この養育費は、双方の事情の変化によって金額が変わることもあり、「再婚」というきっかけで金額を減らしたい、又は養育費を打ち切りたいと考える方も少なくありません。

子供が誰の扶養に入っているか、あるいは再婚相手と養子縁組をしているのかというのが重要なポイントですが、基本的には話し合いで決めるものです。話し合いで合意が得られた後は、その内容をしっかりと公正証書にしておく必要があります。

もし、話し合いがうまくいかなかったり、勝手に減免されたり、打ち切られたといった場合は、専門の弁護士に相談すると良いでしょう。また再婚後の事情については、そのケースによって異なってくることもあるため、減免や打ち切りの可能性については、まず弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

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