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親の離婚は発達障害(ADHD)の子供にどう影響する?離婚前に確認したい注意点
この記事で分かること
- 発達障害の子供がいる夫婦の離婚率は高い
- 離婚時、親権、面会交流、養育費について特別な配慮が必要となる
- 子供への影響を考え、離婚に踏み切る前に夫婦で関係改善の方法を探るべきである
夫婦が子供を授かった時、その子供に障害があるケースがあります。発達障害(ADHD)もその一つです。このような場合、夫婦の絆が深まることもありますが、反対に離婚に至ることも多いと言われています。今回は、親が離婚する際に発達障害(ADHD)の子供にどのような影響があるのか、また離婚前に確認すべき注意点を解説していきます。
目次[非表示]
子供の発達障害(ADHD)と夫婦の離婚率
子供が発達障害の場合、夫婦には多くの困難があります。では、発達障害とはどのような障害なのでしょうか。また、発達障害の子供がいる場合、なぜ離婚率が高くなるのでしょうか。
発達障害について
発達障害はまだまだ社会的な理解が得られていない障害です。では、発達障害とはどのような障害なのか見ていきましょう。
発達障害とは
発達障害とは、発達障害者支援法第二条において、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常年齢において発現するもの」と定義されています。
発達障害のある子供は脳機能(認知機能)にかたよりがあります。この障害は、持って生まれた遺伝的なもの、または、いじめや虐待などのストレスによる環境的なものが主な要因とされています。
ADHDとは
発達障害の中でも、ADHDとは注意欠陥多動性障害と言って、下記のような症状があります。
- 不注意(集中できない)
- 多動・多弁(じっとしていられない)
- 衝動的に行動する(考えるよりも先に動く)
発達障害の子供がいる夫婦の離婚率が高い理由
どのような夫婦でも性格の不一致や不倫などにより離婚する可能性はありますが、発達障害の子供がいる夫婦の方が、そうでない夫婦よりも離婚率が高いのはなぜなのでしょうか。
親の生活に制約がかかる
発達障害の子供を持つと、親の生活には大きな制約がかかります。子供の病院や施設、幼稚園などへの送り迎えや何かあった時の対応はすべて親がしなければいけません。フルタイムで働いている場合、対応するのは非常に困難で、就労に制約がかかります。
発達障害の子供がいる夫婦の場合、妻の就業率は低くなっています。障害を持った子供に向けた社会制度も、まずは親が対応することが前提となっているので、子供の障害が重たいほど、親にかかる負担は大きくなります。
夫婦の価値観の違い
子供に障害がある夫婦は、価値観に違いが生じやすいです。子供を通常の学校に入れるか、あるいは養護学校に入れるかでも意見が衝突することがあります。また、特に父親に多く見受けられるのが、障害を持った子供を理解せず、受け入れられないといったケースです。
母親は妊娠中から子供にすでに愛着を持っており、生まれた時には母親としての自覚や責任感があります。一方で、父親は子供と共に成長して、父親になっていくものです。ところが、子供に障害があることがわかると、父親は現実を受け入れることを拒み、子供を理解しようという気持ちが失せてしまう場合があるのです。ここで、母親と父親の間に溝ができてしまうのです。
親にかかるストレス
発達障害の子供がいる場合、親にはストレスがかかります。頭では理解していても、「どうして他の子供と違うのか」といった思いで辛くなることもしばしばです。このような時に配偶者が理解を示してくれないと、許せないという気持ちになるのです。ストレスにより、余裕がなくなり、相手を受け入れることができなくなるのです。
相手を信用できなくなる
子供に障害があると、さまざまな困難に立ち向かわなければいけません。しかし、親同士の考え方や感じ方が異なることも少なくありません。相手の様子や態度、言動を見て、自らの考え方との違いにより信用できなくなることがあります。この不信感がやがて離婚を考えさせるに至るのです。
家庭の外に癒やしを求めてしまう
子供に障害があると、特に父親の場合はなかなか受け入れられない場合も多くあります。一方で、妻は障害を持った子供への対応に手一杯となり、夫にかまう余裕がなくなります。妻にかまわれない夫の関心は、家庭の外に向かいがちです。つまり、夫が不倫をしてしまうのです。不倫により、夫婦間に亀裂が入り、最終的には離婚に至るのです。
発達障害(ADHD)の子供を持つ夫婦の離婚
発達障害の子供を持つ夫婦が離婚を考えた場合、そうでない夫婦以上に留意すべき点が多くあります。
離婚時の3つのポイント
では、発達障害の子供がいる夫婦が離婚する場合、どのような点がポイントとなるのでしょうか。
親権者について
離婚時に裁判所が親権者をどちらにするか決める際は、子供の利益と福祉が最優先されます。父母それぞれの事情、子供側の事情などを比較して考慮し、総合的に判断します。発達障害の子供は、環境の変化に非常に敏感です。そのため、現在の生活環境や監護状況をなるべく継続する必要があります。
親権者の決定によって、転居することになっても、転居後の住居や環境に対応できるように、少しずつ慣れさせるといった特別な配慮が必要となります。発達障害の子供がいる場合の離婚は、相手方にも理解してもらい、協力してもらわなければいけません。発達障害の子供の監護は、発達障害に対する理解が必要不可欠ですので、十分に理解しているか、監護能力があるかといった点も重要となります。
面会交流について
面会交流は子供の健全な成長にとって、非常に大切なことです。そのため、子供の利益のために行う必要があると考えられています。どのように面会交流を実施すれば子供にとって最善であるかを検討しなければいけません。しかし、発達障害の子供の場合、面会交流をすることで、子供の混乱を招き、心身の状態が不安定になる場合があります。
そのため、相手方や調停委員など関係者に発達障害について十分に理解してもらい、その上で適切な面会交流の実施条件を決めましょう。子供が新しい環境に適応するまでは面会交流の実施を待ったり、試しに面会交流を実施し、子供の心身の状態が安定しているかを観察したりと子供に負担がかからないよう注意する必要があります。
養育費について
養育費を算定するには、双方の収入を明らかにしなければいけません。発達障害の子供の世話をするために、一方が専業主婦(主夫)になるケースは多く見受けられます。そのような場合、収入はゼロとなります。
しかし、働いていない場合でも、潜在的稼働能力が考慮される場合もあります。養育費を算定する際に、収入がゼロとなる場合としては、無職で収入がなく、監護養育している子供が幼かったり、病気などのため、就労して収入を得ることができない場合とされています。
発達障害の子供を監護養育するために就労することが困難であり、収入を得られないことを主張する必要があるでしょう。発達障害の子供がいることで予測される支出は、協議段階において養育費に含めておく必要があります。また、将来、治療費などがかかった場合には別途協議する旨を決めておきましょう。
子供の発達障害(ADHD)で離婚に踏み切る前に考えること
発達障害の子供がいる場合の離婚は、子供にとっても大きな影響があります。離婚を考えるに至っても、子供のためにまずは夫婦で関係の改善を図り、離婚を回避する道を探ってみましょう。
離婚を回避するための3つの方法
では、夫婦間で関係改善のためにどのようなことを行えばいいのでしょうか。
父親が子供との接し方を学ぶ
父親は、発達障害の子供とどのように接していいのかわからないことが多く、母親の手助けをしたくても、実際に何をすればいいのかわからない場合もあります。
そのような場合、子供を母親任せにせず、父親も障害者家族の集まりに参加したり、地域の障害者に関する相談所に行ってみたりすることで、子供との接し方が少しずつわかるようになります。父親が協力的になることで、母親のストレスも軽減し、夫婦関係の改善にもつながります。
母親は父親に具体的な説明をする
父親が発達障害の子供との関わり方を理解していない場合、母親が父親に時間をかけてなるべく具体的にわかりやすく説明をするのも方法の一つです。父親も関わり方がわからないだけで、やる気がないわけではないかもしれません。
理解していないからと言ってすぐに諦めず、根気強く伝えることが大切です。それが夫婦間のコミュニケーションにもつながるでしょう。
父親が家族のバランスを取る
母親は子供のことを考えるあまり、ヒートアップしてしまいがちです。冷静さを失い、逆に子供に負担がかかる場合もあります。また、余裕がなくなることで、夫の言動にも敏感に反応してしまい、言い争いの原因にもなるでしょう。
そのような時、夫が妻に気づかいの一声を掛けることで、妻の気持ちも楽になり、冷静さも取り戻せるでしょう。このような役割を果たすことが、夫婦や家族の連帯感につながるのです。
発達障害の子供を持つ夫婦のあり方
発達障害の子供を持つ親はどうしても、ストレスを溜めがちです。夫婦で乗り越える壁も高いことが、夫婦間の溝や離婚率の高さにもつながっています。
しかし、離婚は環境の変化が大きく、発達障害の子供にとってプラスとは言えません。たとえ、一度は離婚を考えたとしても、夫婦が協力体制を作る方向に少しずつでも進んでいけば、お互いの育児の負担も軽減し、夫婦関係も改善するでしょう。
発達障害(ADHD)の子供がいる場合の離婚は弁護士に相談しよう
発達障害の子供がいる夫婦の離婚は、子供に関係する親権、面会交流、養育費の問題で特別の配慮が必要となります。また、子供に及ぼす影響も大きいので、多角的に物事を考える必要があります。
離婚に際して高度な専門知識を要しますので、早い段階から弁護士に相談することで、夫婦にとっても、子供にとっても、最善の道が見つかるでしょう。
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