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退職金は財産分与の対象になる|将来分の受け取り方

退職金は財産分与の対象になる|将来分の受け取り方

この記事で分かること

  • 退職金が財産分与の対象になる理由と範囲
  • すでに支給された退職金と将来分の扱いの違い
  • 将来の退職金を計算する二つの方法
  • 清算条項で退職金を書き漏らす危険性
  • 熟年離婚で退職金が特に重要になる理由

離婚時の財産分与では、まだ受け取っていない将来の退職金も、条件を満たせば分け合う対象になり得ます。この記事では、退職金が対象となる理由と婚姻期間に対応する範囲、すでに支給された分と将来分の扱いの違い、二つの算定方法、清算条項をめぐる落とし穴、そして熟年離婚で退職金が生活を左右する理由まで整理しました。受け取れるはずの財産を取りこぼさないための知識が身につきます。

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退職金は財産分与の対象になるのか

離婚を考えたとき、預貯金や不動産に目が向く方は多いものですが、意外と見落とされがちなのが退職金です。「まだ受け取っていないお金だから関係ないのでは」と思うかもしれません。ところが、条件を満たせば、将来受け取る退職金も財産分与の対象になり得るのです。まずはこの基本から押さえていきましょう。

退職金は、人によっては老後の生活を支える最大の資産になります。金額が大きいだけに、これを財産分与の対象に含められるかどうかは、離婚後の暮らしを左右する重大な分かれ道です。にもかかわらず、その存在を知らずに、あるいは「もらえないもの」と思い込んで、退職金に触れないまま離婚してしまう方が後を絶ちません。この記事を通じて、退職金と財産分与の関係を正しく理解し、受け取れるはずの財産を取りこぼさないための知識を身につけていただければと思います。

退職金の分与は、専門用語も多く、一見すると難しそうに感じられるかもしれません。けれども、順を追って一つずつ理解していけば、決して手の届かないものではありません。この記事では、退職金がなぜ分与の対象になるのかという基本から、算定の方法、手続きの流れ、そして陥りやすい落とし穴まで、実際の場面を想像しながら丁寧に解説していきます。読み終えるころには、あなた自身のケースで何を確認すべきかが見えてくるはずです。

財産分与とは、夫婦が結婚生活の中で協力して築いた財産を、離婚の際に公平に分け合う制度です。ここで重要なのは「協力して築いた」という点です。退職金は、長年勤め上げた対価として支払われるものですが、その勤続期間の多くが結婚生活と重なっているのであれば、配偶者の支えがあってこそ積み上がった財産だと考えられます。だからこそ、分与の対象になり得るわけです。

退職金を「賃金の後払い」と捉えると、この考え方がすっと腑に落ちます。毎月の給料の一部が積み立てられ、退職時にまとめて支払われるのが退職金だと見れば、それは結婚生活の間に少しずつ積み上がってきた財産にほかなりません。給料そのものが夫婦の生活を支える原資であるのと同じように、その延長線上にある退職金もまた、二人で築いた財産の一部と評価されるのです。

ここで一つ、退職金のすべてが分与の対象になるわけではないという点を押さえておきましょう。分与の対象になるのは、あくまで婚姻期間に対応する部分です。たとえば結婚前から働いていた期間の分や、別居してから退職までの期間の分は、夫婦の協力とは無関係と考えられるため、原則として対象から外れます。勤続期間の全体のうち、どこからどこまでが婚姻期間と重なっているのかが、金額を左右する大切な要素になるのです。

あなたが専業主婦やパート勤務で家庭を支えてきたのなら、その内助の功は退職金という形にも反映されていると評価されます。逆に、あなた自身が長く働いてきた側であれば、配偶者に渡すべき分がどれくらいになるのかを正しく理解しておく必要があります。どちらの立場であっても、退職金を無視して財産分与を進めるのは損につながりかねません。

家事や育児に専念してきた方は、「自分は収入を得ていないのだから、退職金を分けてもらう資格などないのでは」と引け目を感じることがあるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。財産分与の世界では、外で働いて収入を得ることと、家庭を守って配偶者が働ける環境を整えることは、対等な貢献として扱われます。あなたが家庭を支えていたからこそ、配偶者は仕事に打ち込み、退職金を積み上げることができたのです。遠慮する必要はまったくありません。

反対に、退職金を支払う側になる方にとっても、正確な知識は身を守る盾になります。相手の言い分をそのまま受け入れて過大な額を渡してしまえば、これもまた損失につながります。分与の対象になるのは婚姻期間に対応する部分に限られるという原則を踏まえ、どこまでが妥当な範囲なのかを冷静に見極めることが大切です。受け取る側も支払う側も、正しい基準を知っておくことで、はじめて公平な話し合いが成り立つのです。

すでに支給された退職金と将来の退職金の違い

退職金と一口にいっても、離婚の時点で「すでに受け取っているか」「これから受け取るか」によって、扱いが変わってきます。この違いを理解しておくことが、正しい財産分与への第一歩です。

財産分与
婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚に際して公平に分け合う制度。退職金も、婚姻期間に対応する部分は対象になり得ます。
清算条項
離婚の合意書に入れられることの多い「定めた以外は互いに請求しない」という趣旨の条項。将来の退職金を書き漏らすと、後から請求しにくくなる点に注意が必要です。

すでに支給された退職金

離婚時にすでに退職金が支払われ、預貯金として手元にある場合は、比較的シンプルです。その退職金のうち、婚姻期間に対応する部分が財産分与の対象になります。すでに現金化されているため、金額がはっきりしており、争いになりにくい傾向があります。

たとえば、定年退職を機に離婚を切り出すというケースを考えてみましょう。この場合、退職金はすでに口座に振り込まれていることが多く、その残高を確認すれば分与の対象額を把握しやすくなります。ただし、退職金がほかの預貯金と混ざってしまっていると、どこまでが退職金なのか判別しにくくなることもあります。振り込まれた時点の記録を残しておくと、後の話し合いがスムーズになります。

また、退職金を受け取った後、その一部を使ってしまっているという状況もよくあります。生活費に充てたり、ローンの返済にあてたりして、手元に残っている額が退職金の全額とは限りません。こうした場合、何にいくら使ったのかによって分与の考え方が変わってくることがあります。使い道の説明ができるよう、支出の記録を整理しておくと、話し合いの際に主張の裏づけとして役立ちます。

これから支給される将来の退職金

問題になりやすいのは、まだ在職中で退職金を受け取っていないケースです。将来の退職金は、本当に支払われるかどうかが不確実な面もあります。会社の経営状況が変わるかもしれませんし、本人が自己都合で早期に退職する可能性もあります。それでも、支給される可能性が高いと見込まれる場合には、財産分与の対象として考慮されます。

では、どういう場合に「支給される可能性が高い」と判断されやすいのでしょうか。おおまかには、次のような事情が考慮されます。

  • 退職金規程が整備され、支給の実績がある会社に勤めている
  • 勤続年数が長く、雇用が安定している
  • 定年退職までの期間が比較的近い
  • これまで自己都合で退職する兆候がなく、勤務を続けている

逆に、勤め先が退職金制度を持っていなかったり、定年まで何十年もあったりする場合には、対象と認められにくくなります。あなたの配偶者の勤務先がどのような状況にあるのかを整理することが、見通しを立てる出発点になります。

ここで大切なのは、「将来のことだから対象外だろう」と早合点しないことです。将来の退職金は不確実な面があるものの、条件がそろえば立派な分与の対象になります。実際に受け取っていないからといって、はじめから請求の対象から外してしまうのは、大きな損失につながりかねません。まずは対象になり得るという前提に立って、勤務先や勤続の状況を確認してみることが、取りこぼしを防ぐ第一歩になります。

将来の退職金を算定する二つの方法

将来の退職金を財産分与の対象とする場合、いくらを分与すべきかをどう計算するのかが焦点になります。実務では、主に二つの考え方が用いられています。それぞれの特徴を見ていきましょう。どちらの方法が使われるかは、退職までの期間や事案の事情によって変わってきます。

離婚時点で退職したと仮定して算定する方法

一つ目は、離婚する時点で仮に退職したとしたら、いくらの退職金が支払われるかを基準にする方法です。会社の退職金規程に当てはめて、現時点での退職金額を算出し、そのうち婚姻期間に対応する部分を分与の対象とします。計算が比較的わかりやすく、退職が近い場合に用いられやすい考え方です。

この方法の利点は、金額の予測に大きな不確実さが入り込みにくいことです。今この時点で退職したらいくら、という計算なので、将来の昇給や会社の業績変動といった読みにくい要素を織り込まずに済みます。そのぶん、当事者双方が納得しやすく、話し合いがまとまりやすいという特徴があります。退職が数年以内に迫っているようなケースでは、この考え方が採用されやすい傾向にあります。

もっとも、この方法にも一つ留意点があります。定年までまだ長い期間がある場合、離婚時点で計算した退職金額は、実際に定年で受け取る額よりかなり小さくなることがあります。勤続年数が短い段階では退職金の額も低く抑えられるからです。したがって、どちらの立場から見ても、退職までの残り期間を踏まえてどの方法が公平かを慎重に検討する必要があります。受け取る側にとっても支払う側にとっても、算定方法の選択は結果を大きく左右する重要な判断なのです。

定年退職時の見込額から算定する方法

二つ目は、実際に定年で退職したときに支払われる見込額を基準にする方法です。将来の退職金額を予測し、そのうち婚姻期間が占める割合に応じて分与額を計算します。定年までまだ時間がある場合に検討されることがありますが、金額の予測に不確実さが伴う点には注意が必要です。

この方法では、定年時の見込額をそのまま分与するのではなく、支給までにまだ時間があることを踏まえた調整が行われることもあります。将来受け取るお金を今の価値に置き換える、という考え方です。いずれにしても、計算の前提が複雑になりやすく、当事者だけで話をまとめるのは難しい面があります。

また、この方法を用いる場合には、定年時の退職金額をどう見積もるかという難しさもあります。会社の退職金規程に基づいて計算するのが基本ですが、将来の勤続や昇進をどこまで織り込むかによって、見込額は変わってきます。予測の幅が大きいほど、当事者の主張も食い違いやすくなります。そのため、この方法が採られるのは、定年までの期間や勤務先の安定性などから、ある程度の見通しが立てられる場合に限られる傾向があります。

ワンポイントアドバイス
退職金の算定方法は、どちらを選ぶかで分与額が変わることがあります。自分にとって有利な方法を主張するには、退職金規程や勤続年数、婚姻期間といった前提となる情報を正確にそろえることが欠かせません。どの方法が妥当かは事案ごとに異なるため、迷ったら早めに専門家へ相談し、見通しを立てておくと安心です。

清算条項と将来の退職金をめぐる注意点

離婚の際に取り交わす合意書には、しばしば清算条項という取り決めが入ります。これは「この合意で定めたほかには、互いに何も請求しない」という趣旨の条項です。一見すると当たり前のことのように思えますが、退職金については特に慎重に扱う必要があります。

清算条項は、離婚後に蒸し返しが起きないようにするための大切な取り決めです。お互いにきれいに関係を清算し、それぞれ新しい人生を歩み出すという意味では、望ましいものだといえます。しかし、その「きれいに清算する」という効果は、書き漏らした権利をも消してしまうという側面を持っています。ここに落とし穴があるのです。

もし将来の退職金について何も取り決めないまま清算条項を入れてしまうと、後になって「やはり退職金を分けてほしい」と請求することが難しくなる恐れがあります。せっかく分与を受けられたはずの退職金を、みすみす手放してしまうことにもなりかねません。

だからこそ、離婚の合意をまとめる段階で、将来の退職金をどう扱うのかをはっきりさせておくことが大切です。分与の対象とするのか、するならどのように支払うのか、といった点を書面に明記しておけば、後々のトラブルを防げます。

注意
「とりあえず離婚だけ先に成立させて、退職金は後で話し合えばよい」と考えるのは危険です。清算条項の入った合意書に署名してしまうと、後から退職金を請求する道が閉ざされてしまうことがあります。将来の退職金に触れないまま合意書を交わす前に、必ずその取り扱いを確認してください。

実際、離婚を急ぐあまり細かい条件をよく確認しないまま署名してしまい、後になって退職金を請求できないと知って後悔する、という例は少なくありません。特に退職金は金額が大きいだけに、取り決め漏れによる損失も深刻になりがちです。合意書に何が書かれているのか、そして書かれていないことが何を意味するのかを、一つひとつ丁寧に確かめる姿勢が欠かせません。

もし将来の退職金を分与の対象に含めることで合意できたなら、その支払い方法まで具体的に定めておきましょう。退職金が実際に支給された時点で支払うのか、それとも別の形で清算するのか、支払いが滞ったときにどうするのか、といった点まで書き込んでおけば、約束が実効性を持ちます。曖昧な取り決めは、後になって「そういう意味ではなかった」という争いの火種になります。せっかくの合意を確かなものにするためにも、細部まで詰めておくことをおすすめします。

退職金の財産分与を進める手続きの流れ

退職金を含めた財産分与は、どのような順序で進めていくのでしょうか。ここでは、実際の流れを段階ごとに確認しておきましょう。

財産分与は、まず全体を見渡すことから始まります。夫婦にどんな財産があり、それぞれがいくらの価値を持つのかを整理しなければ、公平な分け方は決められません。退職金は、その財産の棚卸しの中でも見落とされやすい項目です。目に見える預貯金や不動産と違い、退職金はまだ形になっていないことが多いため、意識して洗い出さない限り、そのまま抜け落ちてしまいがちなのです。だからこそ、最初の段階で「退職金はどうなっているか」を必ず確認する習慣が大切になります。

  1. まず、対象となる財産を洗い出します。退職金についても、配偶者の勤務先や退職金規程の内容を把握することから始めます。
  2. 次に、退職金がいくらになるのかを算定します。すでに支給されたものか将来のものかによって、計算方法を選びます。
  3. その金額を踏まえて、夫婦で分与の内容を話し合います。合意できれば、その内容を書面にまとめます。
  4. 話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判を利用して解決を図ります。

この流れの中で最も難しいのが、退職金の情報を正確につかむことです。相手が勤務先の情報を隠そうとする場合もあり、そうしたときには専門家の力が必要になります。

退職金の金額を算定するには、勤務先の退職金規程を確認することが欠かせません。この規程には、勤続年数に応じてどのように退職金が計算されるかが定められています。しかし、配偶者が規程の開示に非協力的だと、算定の前提そのものが手に入らないという壁に突き当たります。そうした場合には、裁判所を通じて資料の提出を求める手続きなども検討することになります。相手の協力が得られないからといって、退職金の分与をあきらめる必要はないのです。

また、財産分与の話し合いは、退職金だけを切り離して進めるものではありません。預貯金、不動産、保険、そして負債まで含めて、夫婦の財産全体を見渡したうえで、公平な分け方を考えていきます。退職金はその中の一つの要素ですが、金額が大きいだけに、全体のバランスに与える影響も小さくありません。財産の全体像を把握したうえで交渉に臨むことが、納得のいく結果につながります。

なお、財産分与には請求できる期間に制限があるという点も覚えておきましょう。離婚が成立してから一定の期間を過ぎると、財産分与を求めること自体ができなくなってしまいます。退職金についても例外ではありません。「落ち着いてから考えよう」と先延ばしにしているうちに、請求できる期間が過ぎてしまうと、取り返しがつかなくなります。離婚の前後を通じて、財産分与は早めに動くことが鉄則だと心に留めておいてください。

熟年離婚で退職金が特に重要になる理由

退職金の財産分与は、いわゆる熟年離婚において、とりわけ大きな意味を持ちます。長年連れ添った夫婦が離婚する場合、退職金の存在が離婚後の生活を大きく左右するからです。

熟年離婚を選ぶ方の多くは、これから始まる第二の人生を、より自分らしく生きたいという思いを抱いています。ただ、その新しい生活を支えるお金の問題は、決して軽視できません。特に、長年家庭に入ってきた方にとって、離婚後に自分の収入だけで暮らしを立てるのは容易ではないのが現実です。ここで、婚姻期間に対応する退職金を適正に受け取れるかどうかが、生活の安定を大きく左右することになります。

結婚してから何十年も経った夫婦であれば、退職金の勤続期間の大半が婚姻期間と重なります。つまり、退職金のうち分与の対象となる割合が大きくなるのです。定年間近であれば、退職金の金額もかなりの規模になっていることが多く、これを分与に含めるかどうかで受け取れる財産が大きく変わります。

具体的にイメージしてみましょう。二十代で結婚し、定年まで連れ添った夫婦の場合、勤続年数のほとんどが婚姻期間に収まります。この場合、退職金の大部分が分与の対象になり得るわけです。一方、結婚が遅かったり、勤続の途中で結婚したりした場合は、婚姻期間の割合がそのぶん小さくなります。同じ退職金でも、いつ結婚したかによって分けられる金額が変わってくる、というのが実際のところです。

特に、長く家庭を支えてきた側にとって、退職金は離婚後の生活資金として重要な柱になります。年金だけでは心もとない老後の暮らしを考えると、退職金を適正に分与してもらえるかどうかは、その後の人生設計に直結する問題です。だからこそ、熟年離婚を考える際には、退職金を決して見過ごさないようにしてください。

熟年離婚では、退職金だけでなく年金分割という制度も重要な意味を持ちます。長年の婚姻期間に対応する年金を分け合う仕組みで、退職金とあわせて検討することで、離婚後の生活の見通しがより立てやすくなります。老後の資金を確保するという観点からは、退職金と年金の両面から準備を進めておくことが賢明です。

熟年離婚を決意した方の中には、これまで我慢を重ねてきたぶん、一日も早く自由になりたいという思いから、お金の話をおろそかにしてしまう方もいます。しかし、感情を優先して財産の取り決めを軽く扱うと、後で生活に困る事態を招きかねません。せっかく手に入れた新しい人生を安心して歩むためにも、退職金をはじめとする財産分与だけは、腰を据えてきちんと向き合っておくことをおすすめします。

退職金の財産分与を弁護士に相談すべき理由

退職金の財産分与は、他の財産に比べて計算が複雑で、争いにもなりやすい分野です。だからこそ、専門家の助けを借りることで、適正な分与を実現しやすくなります。

ここまで見てきたように、退職金の分与には、対象になるかどうかの判断、金額の算定方法の選択、清算条項をめぐる注意、相手の情報開示への対応など、いくつもの難所があります。これらを一人で乗り越えようとすると、どうしても知識の不足から不利な結果を招きやすくなります。専門家はこうした論点を熟知しているため、あなたが取りこぼしそうなポイントを的確に押さえてくれます。

弁護士に相談すれば、あなたのケースで退職金が分与の対象になるのか、なるとしてどの程度の金額を見込めるのかについて、見通しを立ててもらえます。また、相手が退職金の情報を出そうとしない場合でも、必要な資料を集めるための方法を検討してもらえます。感情的になりやすい交渉を任せられる安心感も、大きなメリットです。

退職金の財産分与は、金額が大きいだけに、当事者同士では折り合いがつきにくいテーマです。「これだけ払えば十分だろう」「いや、もっと受け取れるはずだ」という主張がぶつかり、話し合いが行き詰まってしまうこともあります。専門家が間に入れば、法的な根拠に基づいて適正な金額の落としどころを示せるため、感情的な対立を避けながら解決に近づけます。

相談のタイミングは、離婚の話し合いを本格化させる前が理想的です。合意書に清算条項を入れる前の段階で相談しておけば、退職金の取り決め漏れという失敗を避けられます。すでに話し合いが進んでいる場合でも、合意をまとめる前であれば軌道修正が可能です。迷ったら、早めに専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。

退職金は、あなたが結婚生活の中で配偶者とともに築いてきた財産の一部です。それを正当に受け取ることは、決してわがままでも欲張りでもありません。離婚後の生活を安定させ、新しい一歩を踏み出すための大切な原資です。難しく感じる部分は専門家に委ね、あなたは自分の権利をしっかり主張することに集中してください。適切な備えがあれば、退職金の分与は決して手の届かないものではありません。

最後にもう一度お伝えしておきたいのは、退職金の問題は「知っているかどうか」で結果が大きく変わるということです。制度を知らずに離婚してしまえば、受け取れたはずの財産をそのまま手放すことになります。反対に、正しい知識を持って臨めば、離婚後の生活を支える確かな備えを手にできます。この記事で得た知識を土台に、必要に応じて専門家の力も借りながら、あなたにとって納得のいく形で財産分与を進めていってください。

よくある質問

相手が自己都合で退職したら退職金の分与はどうなりますか

自己都合退職の場合、会社都合よりも退職金額が下がることが一般的です。分与の対象となる金額も、実際に支払われる退職金を基準に考えることになります。ただし、財産分与を逃れる目的で不自然に退職したような事情があれば、その点が考慮される余地もあります。個別の状況によって判断が分かれるため、専門家に相談するとよいでしょう。

逆に、あなた自身が退職金を受け取る側で、相手が離婚の話が出た途端に退職を口にし始めたような場合は、注意が必要です。分与の対象となる退職金を減らそうとする意図が疑われるなら、そうした事情を主張していくことも考えられます。相手の退職が本当にやむを得ないものなのか、それとも財産分与を意識した動きなのかを、冷静に見極める視点を持っておきましょう。

退職金がまだ何年も先の場合でも請求できますか

定年までかなりの年数がある場合、将来の退職金が支払われるかどうかの不確実さが増すため、分与の対象と認められにくくなることがあります。一方、定年が近く支給の見込みが高い場合には、対象として扱われやすくなります。どのくらい先なら認められるかは一律ではなく、勤務先の安定性なども踏まえて判断されます。定年が遠い場合でも、まったく可能性がないとあきらめてしまう前に、勤務先の状況や退職金制度の実態を確認したうえで、専門家に見通しを尋ねてみるとよいでしょう。

退職金を一括で受け取れない場合はどうなりますか

相手にまとまった現金がなく、退職金の分与分を一度に支払えないケースもあります。その場合、分割で支払う取り決めをしたり、実際に退職金が支給された時点で支払う約束をしたりする方法が考えられます。いずれの場合も、支払いが確実に履行されるよう、書面で明確に取り決めておくことが大切です。

退職金を財産分与で受け取ると税金はかかりますか

財産分与として受け取る財産には、原則として贈与税はかからないとされています。夫婦が協力して築いた財産を清算する性質のものだと考えられているためです。ただし、分与の内容や金額が不相当に過大であるような場合など、例外的に課税が問題になることもあります。税金の扱いは個別の事情によって変わるため、心配なときは専門家に確認しておくと安心です。

相手が退職金の情報を教えてくれない場合はどうすればよいですか

配偶者が勤務先や退職金規程の情報を明かさないと、算定の前提がつかめず困ってしまいます。こうした場合には、裁判所の手続きを通じて必要な資料の開示を求める方法などが検討できます。相手が非協力的だからといって、退職金の分与そのものをあきらめる必要はありません。情報を引き出す手立てがあるため、まずは専門家に状況を伝えて対応を相談してみてください。

退職金の情報開示をめぐっては、相手が「そんな規程は知らない」ととぼけたり、金額をあいまいにしたりすることもあります。しかし、勤務先には退職金の計算根拠となる規程が存在するのが通常であり、それをたどれば適正な金額に近づけます。あなたが直接勤務先に問い合わせるのは難しくても、法的な手続きを使えば道は開けます。相手の非協力を前にひるむのではなく、どんな手段が使えるのかを知っておくことが、あきらめずに権利を守る力になります。

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