2019/2/4 87view

国際離婚に必要な手続きと注意点~子どもの親権・養育費は特に問題に!

この記事で分かること
  1. どこの国の法律が適用されるのか、外国人配偶者の本国の離婚成立要件も事前に確認した方がよい
  2. 親権は子供の利益が最優先で考えられるので、どの国の法律が適用されるのか、事前の確認は必須である
  3. 相手が日本以外の国に居住する場合を想定し、養育費を確実に回収するための方法を事前に検討することが重要

離婚というだけでも大変な労力が必要ですが、国際離婚の場合はさらに、互いの国の法律が絡み、一層複雑になります。 この記事では、国際離婚の流れから、親権、養育費に関わる事項を、どの国の法律が適用されるかという問題から、段階的にまとめて解説します。

国際離婚に必要な手続きとは

国際離婚をする上で、最初に考えなければならない問題があります。それは、どの国の法律を適用して、離婚手続きを進めていくかということです。準拠法が決まれば、それに従って離婚成立まで進めていきますが、次にさらなる問題が出てきます。

それは離婚が成立しても、相手の国でも有効かということです。ここでは、国際離婚に必要な手続きの流れを、段階的に解説します。

準拠法はどの国の法律?

準拠法とは、事件に適用される法律のことです。国際結婚をしているということは、当事者双方の母国が異なり、それぞれの法律があるはずです。つまり、離婚手続きを進める上で、どちらの法律に則って進めていくかを決めなければなりません。

この点、法の適用に関する通則法(「通則法」)27条、25条では、以下のような定めがあります。

夫婦の本国法が同一であるときはその本国法による

 ⇒国際結婚の場合は、本国法が同一ではないため、関係ありません。

夫婦の同一の本国法がない場合においては夫婦の常居所地(居住地との意味)法による

 ⇒夫婦が日本に居住の場合は日本の法律となります。
 ⇒外国人配偶者の国に居住の場合は外国人配偶者の法律となります。

そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法律による

 ⇒それぞれの国籍以外の第三国に居住の場合は、その第三国の法律となります。

ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときには離婚は日本法による

 ⇒日本人が日本に住み、外国人配偶者が外国に居住の場合は、日本の法律となります。

こうして、離婚手続きを進める上で、どの法律を適用するかを決めるのです。

離婚までの流れ

夫婦の一方が日本人であるケースが多いため、ここでは日本の法律に則って、離婚手続きを説明します。離婚手続きは、日本人夫婦であろうが、国際結婚の夫婦であろうが、進め方は変わりません。簡単に離婚の種類を説明します。

協議離婚

夫婦が離婚することに同意していれば、離婚することが可能です。
性格の不一致やほんの些細な理由であっても離婚はできます。このような離婚の仕方を「協議離婚」といいます。

調停離婚

夫婦の一方が離婚に同意しない場合は、家庭裁判所に申し立てをして、調停手続きを利用します。調停委員の進める話し合いで、助言や解決案を提示してもらい、両者の合意を目指します。夫婦が合意すれば、調停が成立し、離婚が可能となります。

審判離婚

夫婦において合意に至らない場合は調停不成立となり、離婚できません。

ただ、調停の中で離婚の合意はできているものの、その条件面(財産分与や養育費など)が合わず、調停が成立しないというケースもあります。この場合、裁判所が職権で調停に代わって審判で離婚の処分を行うことがあります。これが「審判離婚」です。

なお、当事者の異議の申立により審判の結果の効力はなくなります。

裁判離婚

調停が不成立となれば、提訴して裁判での離婚を求めることになります。民法には「離婚原因」という規定があり、家庭裁判所がこの「離婚原因」につき「ある」と判断すれば、当事者の一方が同意をせずとも、判決によって離婚が成立するのです。

民法に明記されている「離婚原因」には、以下の5つがあります(民法770条)。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき(1号)
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき(2号)
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき(3号)
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(4号)
  • その他結婚を継続しがたい重大な事由があるとき(5号)

離婚の効力

上記の流れを経て、無事に日本で離婚が成立しても、その効力につき注意が必要です。相手の外国人の本国での手続きをしなければ、まだ結婚が継続中という状態なのです。

ここでは、準拠法以外の国へどうすれば離婚の効力が生じるかを説明します。

準拠法が日本の法律で、日本にいる場合

それぞれの国の法律では離婚が成立する要件が異なります。これは非常に重要です。

というのも、日本は協議離婚が認められていますが、多くの国では協議離婚ではなく、裁判による離婚という形式を採用しています。ですから、このような国に日本での離婚の事実を主張しても、裁判離婚での判決文などがない限り認めてくれないケースもあり、注意が必要です。

対策としては、事前に外国人配偶者の本国での離婚成立要件を調べることです。外国人の本国の在日公館(大使館や領事館)に問い合わせをし、併せて必要な書類なども把握することをお勧めします。書類が揃えば、国際結婚を日本でした場合と同じく、外国人の本国の在日公館(大使館・領事館)で離婚の届出をします。

準拠法が外国の法律で、外国にいる場合

外国人配偶者の国に居住して離婚が成立した場合は、在外日本公館(大使館や領事館)で日本における離婚の届出の手続きをします。もしくは、帰国して日本の市区町村役所で同様の手続きをすることも可能です。

必要書類は外国にて離婚が成立したと分かる証明書、具体的には裁判の判決文か離婚証明書と日本の離婚届出書となります。

ワンポイントアドバイス
まずは、どの国の法律が適用されるのか調べることが必要です。同時に離婚の効力のことも考え、外国人配偶者の本国の法律も事前に調べておいた方がいいでしょう。協議離婚が認められない場合は、最初から調停離婚などの選択ができるからです。国際離婚の場合は、特に互いの国の法律が関わってくるので、弁護士などの専門家への相談をお勧めします。

国際結婚の離婚で子どもの親権はどう決める?

親権とは、未成年の子どもを看護、教育、その財産管理をするため、父母に与えられた権利と義務のことをいいます。今まで共同で行使していましたが、離婚する場合はどちらか一方に「親権者」を決めなければなりません。

ここで、離婚の成立と同じく、子どもの親権を巡っても、どの国の法律を適用するのかが問題となります。以下、準拠法とそのあとの親権の決定までを説明します。

親権の決定にはどの国の法律を適用する?

ここで注意すべきことは、離婚の成立の際に適用された法律と同じではない可能性があるということです。この点、法の適用に関する通則法(「通則法」)32条では、以下のような定めがあります。

父または母の本国法と子の本国法が同一であるときは子の本国法による

 ⇒子どもと父母どちらか一方の国が同じであれば、子どもの本国の法律となります。

本国法が同じでないときは、子の常居所地(居住地との意味)法による

 ⇒子どもの住んでいる国の法律となります。

子どもの利益を優先的に配慮した規定となります。夫婦の一方が日本人の親を持つ子どもは、一般的には日本国籍も留保されています。ですから、親権に関して日本の法律の適用を受けることとなります。

ただ、子どもが外国人配偶者の本国の国籍の場合は、その外国の法律が適用されます。事情が大きく変わる可能性があるので、事前に調べることをお勧めします。

親権の決め方

ここでは、日本の法律に則って簡単に説明します。

協議で決める

「親権」は、子どもの利益を優先的に考えるという観点から、慰謝料や財産分与などの離婚条件とはその扱いが大きく異なります。

具体的には、離婚届けの書式の中に「親権者」の欄があり、この欄を埋めなければ、離婚届を受理してもらえないという仕組みです。親権者が確定し記入すれば、戸籍にも記載されることとなります。なお、子どもがどちらの姓を名乗るかは、別の問題です。

調停や審判で決める

親権が協議で決定できない場合は、家庭裁判所に申し立てをして、調停手続きを利用します。調停委員の進める話し合いで合意を目指します。合意に至らなかった場合は、調停不成立として審判となり、最終的に裁判所の判断となります。

判断の基準は、「子どもの利益及び福祉」です。どちらを親権者とするのが子どもの利益となるのか、様々な事情を考慮し、総合的に判断します。

海外で離婚した場合

外国人配偶者の母国、もしくは第三国で居住している場合、注意が必要です。離婚の裁判の結果、せっかく親権が認められて離婚が成立しても、子どもを日本へ連れて帰ることができない場合があります。

「子どもが居住している国が母国」との考えであれば、子どもの利益を一番に考え、現状維持の観点から、裁判所は「その国に居住することが前提」で、親権を認めたことになるからです。離婚しても日本に帰れず、そのまま子どもと、その国で生活をするという想定外の結果となります。

ポイントは、離婚を決意してから行動を起こすまでの間に、親権に関わる法的な問題をしっかりと調べ、クリアにしておくことです。必要であれば、弁護士などの専門家に相談をし、事前に対策を立て、準備をすることをお勧めします。

ワンポイントアドバイス
親権に関わる問題も、やはりどの国の法律が適用されるかが重要です。離婚の成立と異なり、子どもの利益を最優先で考えるため、知っておかなければ、親権が認められても日本に連れて帰れない事態が起こる可能性もあります。早めに弁護士などの専門家に相談し、助言のもと、迅速な準備が必要です。

国際結婚の離婚での子どもの養育費の決め方は?

養育費とは「子どもが生活するためのお金」のことです。離婚をして親権者ではなくても、親子関係は切れません。子どもを扶養する義務があります。ここでも同じく、子どもの扶養義務に関して、どの国の法律を適用するかという問題があります。以下、準拠法と日本の法律を適用した場合の養育費について、説明します。

扶養義務の準拠法に関する法律って?

もうお分かりかもしれませんが、養育費に関しても、離婚の成立、親権の決定に適用された法律と同じではない可能性があることに注意が必要です。この点、扶養義務の準拠法に関する法律の2条では、以下のような定めがあります。

扶養義務は、扶養権利者の常居所地(居住地との意味)法による

 ⇒扶養権利者は子どもなので、子どもの居住している国の法律となります。

但し、扶養義務者から扶養を受けることができないときは、当事者の共通本国法による

 ⇒子どもと扶養義務者(親)が共通の本国であればその国の法律となります。

それでも扶養を受けることができないときは、扶養義務は、日本の法律による

 ⇒それでも扶養を受けられない場合は日本の法律となります。

このように、出来る限り養育費を払わせ、扶養を受けさせるように法律を適用する趣旨の規定となります。

養育費を確実に受け取るためには?

離婚した場合、子どもと生活をしない親が、養育費を分担して毎月支払うことになります。養育費の金額は当事者間の協議により決まります。家庭裁判所の調停や裁判などで決められる場合は、「養育費の算定表」を基準として算定します。

なお、ここで注意すべきは、養育費の回収です。月々の養育費の支払いを決めたとしても、相手から確実に回収できなければ意味がありません。

その点、国際離婚の場合は、相手が日本以外の国に居住することも考えられます。日本であれば給料の差し押さえも、海外であれば困難だといえます。そこで、確実に養育費を回収するために、以下の2つの方法をお勧めします。

  • 日本から出国する前に一括で養育費を支払ってもらう
  • 送金方法など具体的な事柄や、相手が支払わなかった場合の対処法も事前に決める

養育費が支払われない場合、シワ寄せがいく先は「子どもの生活」です。取り決めた金額を確実に回収するためにも、話し合いの前に、事前に弁護士などの専門家への相談をお勧めします。

ワンポイントアドバイス
養育費はどれだけ確実に回収できるかがポイントです。特に国際離婚の場合、相手が日本以外の国に居住する場合も考えられます。早めに弁護士などの専門家に相談し、養育費の一括支払いや、具体的な送金方法など、二重三重の対策を立てることをお勧めします。

国際離婚は早めに弁護士に相談しよう

国際離婚をする場合は、事前の調査、準備が結果を左右します。特に、互いの国の法律が絡む特殊な分野といえ、専門的な知識が必要となります。

まずは離婚に向けての行動を起こす前に、弁護士などの専門家に相談をお勧めします。

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